以下に、本発明にかかる子局装置および省電力制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる通信システムの実施の形態1の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の通信システムは、子局装置10,親局装置20,通信端末30,通信端末40を備える。なお、これ以降の説明においては、子局装置をONU(Optical Network Unit)、親局装置をOLT(Optical Line Terminal)と記載する。
ONU10とOLT20は、光ファイバケーブル、光カプラ等からなる伝送媒体1で接続される。なお、ここでは1つのONU10を備える例を挙げているが、OLT20に接続されるONU10は複数であってもよい。通信端末30は、例えばHGW(Home Gate Way)装置、VoIP(Voice over Internet Protocol)装置、PC(Personal Computer)等であり、ONU10と伝送媒体2で接続される。通信端末40は、L2SW(Layer 2 Switch)等であり、OLT20と伝送媒体3で接続される。なお、ONU10に接続される通信端末30は1つ以上でも良い。伝送媒体2,3は、どのような媒体でもよいが例えばLAN(Local Area Network)ケーブル等である。OLT20は、通信端末40を経由して上位ネットワークに接続される。
なお、本実施の形態および後述する各実施の形態では、本発明を適用する通信システムがGE−PONシステムの場合について説明するが、本発明は他の通信システムにも適用可能であり、伝送媒体や伝送方式はGE−PONシステムに限定されない。
また、これ以降の説明においては、OLT20からONU10への向きを下り方向、ONU10からOLT20への向きを上り方向と呼び、上り方向に送信されるデータを上りデータ、下り方向に送信されるデータを下りデータと呼ぶ。上下データと記載した場合は、上りデータおよび下りデータを示すものとする。
各実施の形態で用いる用語に関して簡単に説明する。省電力制御とは、省電力状態と動作状態を交互に繰り返す制御を示す。省電力制御を実施している状態を省電力モードと呼ぶ。省電力状態は、通信に係わる一部または全ての機能(処理ブロック)を停止させて消費電力を抑えた動作状態を示す。動作状態は、通信に係わる全ての機能を動作させた通常の動作状態を示す。
ここで、装置間で連携した従来の省電力制御方法について説明する。図2は、装置間で連携した省電力制御方法の一例を示すチャート図である。図2の例は、通信装置aが、通信装置bと装置情報を交換しながら省電力制御を開始する方法である。
通信装置aは、通信装置bと連携した省電力制御を開始する前に、パラメータネゴシエーションを実行してパラメータ情報の交換を行う(ステップS1)。パラメータ情報は省電力制御で使用する情報であり、例えば、省電力状態の継続時間などである。パラメータ情報の交換後、通信装置aは、通信装置bへ送信するデータ(送信待ちデータ)の有無を監視し、送信待ちデータがない場合には通信装置bに対し、省電力制御の開始を要求する省電力開始要求通知を送信する(ステップS2)。通信装置bも通信装置aへ送信するデータ(送信待ちデータ)の有無を監視しており、通信装置aから省電力開始要求通知を受信した時点で通信装置aへの送信待ちデータがなければ、通信装置aに省電力制御を開始させるために、通信装置aに対し、動作状態の時間T11および省電力状態の時間T12を含む省電力開始指示を送信する(ステップS3)。なお、通信装置bは、ステップS1のパラメータネゴシエーションにおいて時間T11およびT12を予め通知しておいてもよい。T11およびT12を予め通知しておいた場合、通信装置bは、T11およびT12を含まない省電力開始指示を送信する。
通信装置aは、省電力開始指示を受信すると、これに対する応答として省電力開始指示応答を通信装置bに対して送信して省電力制御を開始する(ステップS4)。その後、処理遅延時間(図示した「処理時間」に相当)が経過すると、省電力状態に移行する。以後、データの送受信が必要となるまで、T11とT12で指定された周期で動作状態(非省電力状態)と省電力状態を交互に繰り返す。通信装置aと通信装置bの間では、送信待ちデータの保持状態についてのやり取りを行う。具体的には、送信待ちデータがあるか否かを問い合わせる送信データ問い合わせを通信装置bが周期的に送信する(ステップS5,S6)。通信装置aは、省電力状態(T12の時間帯)で送信待ちデータの問い合わせを受けた場合には応答しない(ステップS5のケース)。一方、動作状態(T11の時間帯)で送信待ちデータの問い合わせを受けると、応答として送信データ応答を返送する(ステップS6に対するステップS7のケース)。図2の例では、通信装置aが送信待ちデータを保持しておらず、ステップS6の問い合わせに対して、送信待ちデータが無い旨をステップS7で応答している。その後、T11時間が経過すると省電力状態へ再び移行する。
図3は、図2に示した手順に従って開始した省電力制御を終了する方法の一例を示すチャート図である。通信装置aは、省電力制御を開始すると、動作状態の時間T11と省電力状態の時間T12で指定された周期で動作状態と省電力状態を繰り返す(ステップS11)。通信装置aは、動作状態と省電力状態のいずれの状態においても通信装置bへの送信データが発生したか否かを監視しており、送信データの発生を検知すると、処理遅延時間経過後に省電力制御を終了し(ステップS12)、通信装置bからの送信データ問い合わせの応答として、送信待ちデータがある旨を示す送信データ応答を通信装置bに送信することで、通信装置bに対して送信待ちデータがあることを通知する(ステップS13)。この通知を受信した通信装置bは、データ送信開始指示を通信装置aに送信してデータを出力するよう通信装置aへ通知し(ステップS14)、通信装置aは、データ送信開始指示に対する応答としてデータ出力開始通知を通信装置bに送信することで、データを出力することを通知し(ステップS15)、その後、データを送信する(ステップS16)。
なお、図3では省電力状態において送信データの発生を検出した場合の例を示しているが、動作状態で送信データの発生を検出した場合には直ちに省電力制御を終了し、送信待ちデータがあることを通信装置bに通知する。また、通信装置aで送信データが発生した場合の動作を示したが、通信装置bで通信装置aへの送信データが発生した場合、通信装置bは、送信データがあることを通信装置aに通知して省電力制御を終了させてから、データを送信する。送信データがあることを通信装置bが通知した時点で通信装置aが省電力状態の可能性がある(送信データがあることの通知を受信できない可能性がある)ため、通信装置bは、応答が返送されてくるまで、送信データがあることの通知を所定のタイミングで繰り返す。通信装置aおよびbは、データの送受信が終了すると、図2に示した手順に従い、条件を満たした場合は省電力制御を再度開始する。
図4は、装置間で連携した省電力制御方法の別の一例を示すチャート図である。図4では、通信装置bと通信装置cの間でデータを中継する通信装置aが省電力制御を開始する場合の動作例を示している。
図4に示した省電力制御方法では、通信装置cが通信装置aに対し、送信待ちデータの有無を通知する。通信装置aは、送信待ちデータありの通知を受けた場合(ステップS21)、その後に送信されてくるデータを通信装置bへ中継する(ステップS22)。一方、通信装置cから送信待ちデータなしの通知を受けた場合(ステップS23)、通信装置aは、省電力制御を開始することに決定し、処理遅延時間経過後、省電力状態に移行する。通信装置cは、送信データがない場合でも、決められた時間間隔T13で送信待ちデータの有無の通知を繰り返す(ステップS24,S25,S26)。このようにして、T13の時間間隔ごとに通信装置aと通信装置cは接続性の確認を実施する。送信待ちデータがある場合(ステップS26)、通信装置aは省電力制御を終了し、通信装置cは通信装置aに対してデータを送信する(ステップS27)。一方、通信装置aと通信装置bの間では、図3を用いて説明した動作と同様に、通信装置bが送信待ちデータの有無を問い合わせ(ステップS11)、通信装置aは、送信待ちデータ(通信装置cから通信装置bへ中継するデータ)が存在する場合、送信待ちデータがあることを通信装置bに通知する(ステップS13)。以降、図3のステップS14〜S16と同様の手順で、通信装置aは通信装置bへデータを送信する。
図2〜図4を用いて説明した省電力制御方法では、通信装置間で装置情報(送信データの有無など)をやり取りしながら省電力制御を実施している。このため、通信装置の機能および通信装置間の接続に制約があり、汎用的な省電力化が難しい。これに対して、本実施の形態では、以下に述べる動作により、接続先の通信装置の機能に関係なく、一方の通信装置を省電力化できる。また、省電力制御で使用する各パラメータを動的に決定することにより、効率的な省電力化を行うことができる。なお、図2〜図4では、装置情報として送信待ちデータの状態の情報を交換する場合の例を示したが、交換する装置情報はこれに限定されない。省電力制御中に装置の状態に関する情報を通信装置間で交換する場合、装置間で連携した省電力方法に含まれる。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図1に示した本実施の形態の通信システムにおいて、ONU10は、上位のOLT20と通信する上位装置通信部11と、上位装置通信部11に対して省電力状態への移行や動作状態への復帰を指示する省電力制御部12と、各種データを保持するメモリ部13と、下位の通信端末30と通信する下位装置通信部14と、メモリ部13に対するデータの書き込みや読み出しを含む各種処理を実行するデータ処理部15と、OLT20、および通信端末30との間で送受信するデータの状態を監視するデータ情報監視部16とを備えている。
OLT20は、上位の通信端末40と通信する上位装置通信部21と、各種データを保持するメモリ部23と、下位のONU10と通信する下位装置通信部24と、メモリ部23に対するデータの書き込みや読み出しを含む処理を行うデータ処理部25とを備えている。
通信装置30は、上位のONU10と通信する上位装置通信部31と、各種データを保持するメモリ部33と、メモリ部33に対するデータの書き込みや読み出しを含む処理を行うデータ処理部35とを備えている。
通信装置40は、各種データを保持するメモリ部43と、下位のOLT20と通信する下位装置通信部44と、メモリ部43に対するデータの書き込みや読み出しを含む処理を行うデータ処理部45とを備えている。
本実施の形態の通信システムにおいて、ONU10は、OLT20と接続した場合に、OLT20の省電力機能の有無を判断する。具体的には、OLT20が、装置間で連携した省電力制御方法として説明した装置情報(送信データの有無など)のやり取りが可能か否かを判断する。すなわち、装置間で連携した省電力制御方法を実施できるか否か判断する。ONU10は、実施できると判断した場合、装置間で連携した省電力制御方法を選択し、実施できないと判断した場合には、以下の動作を行う。装置間で連携した省電力制御方法を実施できないと判断すると、ONU10は、上りデータ(OLT20への送信データ)および下りデータ(OLT20からの受信データ)がない場合には通信の実行と停止を交互に行う。すなわち、スリープ時間(送信機能を省電力状態として通信を停止する時間)およびアクティブ時間(省電力状態から復帰して通信を行う時間)を交互に繰り返す。このとき、省電力状態の継続時間であるスリープ時間は、OLT20とのリンク(論理的な接続)が継続できる範囲内で、最大となるように決定する。動作状態の継続時間であるアクティブ時間については、最小となるように決定する。上りデータまたは下りデータが発生した場合は、直ちに省電力状態から復帰し、データの送受信処理が完了するまで省電力状態へは移行しない。なお、ONU10とOLT20が装置情報を交換しながら省電力状態に移行する省電力制御を実施できると判断した場合においても、ONU10は、OLT20との間で装置情報のやり取りを行った結果、上記と同様の動作を行うようにしてもよい。
図5は、本実施の形態のONU10の構成例を示す図であり、図1に示したONU10の構成をさらに詳しく示したものである。ONU10は、図5に示すように、通信処理部として動作する上位装置通信部11と、省電力制御部12と、メモリ部13と、下位装置通信部14と、データ処理部15と、省電力モード選択部として動作するデータ情報監視部16と、を備える。上位装置通信部11は、光送信部17、送信機能部18、光受信部19および受信機能部50を含んでいる。図5においては、データ信号を実線の矢印線で示し、制御信号を破線の矢印線で示している。
上位装置通信部11の光送信部17は、送信機能部18から受け取ったデータを光信号に変換し、伝送媒体1に出力する。光受信部19は、伝送媒体1を介して受信した光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号を受信機能部50に出力する。送信機能部18は、光送信部17の発光タイミングの制御や、データ情報監視部16から受け取ったデータに基づくデータ列の生成を行う。受信機能部50は、光受信部19から受け取ったデータからデータ列を抽出してデータ情報監視部16へ出力する。
上記構成の上位装置通信部11は、OLT20(図1参照)とのデータの送受信処理を行う。上位装置通信部11は、OLT20から送信された下りデータの受信動作では、OLT20から受信した下りデータをデータ情報監視部16に供給する。供給された下りデータは、データ情報監視部16からデータ処理部15を経由し、メモリ部13が保持する。メモリ部13で保持された下りデータは、データ処理部15によって読み出され、データ情報監視部16、下位装置通信部14を経由して通信端末30(図1参照)に送信される。一方、下位の通信端末30から受信した上りデータのOLT20への送信動作において、上位装置通信部11は、下位装置通信部14が通信端末30から受信した上りデータをデータ情報監視部16、データ処理部15およびメモリ部13経由で受け取り、OLT20へ送信する。
省電力制御部12は、省電力制御の実行条件が満たされている状態において、装置内部の特定の処理部に対し、動作の停止または開始を指示して省電力状態と動作状態を切り替える。また、データ処理部15やデータ情報監視部16の情報を基に、省電力制御中に繰り返される省電力状態および動作状態の継続時間であるスリープ時間およびアクティブ時間についての情報である時間情報と、省電力状態又は動作状態を開始するタイミングについての情報である位相情報と、を決定する。メモリ部13は、データ処理部15から受け取ったデータを一時的に格納する。
下位装置通信部14は、PHY回路(UNI PHY回路)部で構成される。PHY回路部は、通信端末30(図1参照)との間の物理層の処理を実施する。PHY回路部は、データ情報監視部16から受信した下りデータを、通信端末30に送信する。また、通信端末30から受信した上りデータをデータ情報監視部16に出力する。
データ処理部15は、データ情報監視部16から受け取ったデータの処理を実施する。データ処理後はデータをメモリ部13に格納する。データ処理の結果、返信が必要な場合は、返信フレームを作成し、データ情報監視部16に出力する。また、必要なタイミングでメモリ部13に格納したデータを取り出し、フレーム化してデータ情報監視部16に出力する。
データ情報監視部16は、下位装置通信部14または受信機能部50からデータを受信したか否かの監視やデータを受信した場合の受信データの解析を行う。データ解析後は、受信データをデータ処理部15に出力する。データ処理部15からデータ(データフレーム)を受け取った場合はその宛先を確認し、下位装置通信部14または送信機能部18へ出力する。
なお、データ情報監視部16が行う処理をデータ処理部15で行うようにしてもよい。すなわち、データ処理部15とデータ情報監視部16を一つにまとめた構成としてもよい。また、光送信部17、送信機能部18、光受信部19、受信機能部50についても一つにまとめた構成、つまり送受一体の構成であってもよい。
図6は、本実施の形態のOLT20の構成例を示す図であり、図1に示したOLT20の構成をさらに詳しく示したものである。OLT20は、図6に示すように、上位装置通信部21と、メモリ部23と、下位装置通信部24と、データ処理部25と、を備える。下位装置通信部24は、光送信部27、送信機能部28、光受信部29および受信機能部60を含んでいる。
上位装置通信部21は、PHY回路(UNI PHY回路)部で構成される。PHY回路部は、通信端末40(図1参照)との間の物理層の処理を実施する。PHY回路部は、通信端末40から送信された下りデータの受信動作では、通信端末40から受信した下りデータを、データ処理部25を経由し、メモリ部23に供給する。メモリ部23は供給されたデータを保持し、メモリ部23で保持された下りデータは、データ処理部25によって読み出され、下位装置通信部24を経由してONU10(図1参照)に送信される。一方、ONU10から受信した上りデータの通信端末40への送信動作において、PHY回路部は、下位装置通信部24がONU10から受信し、メモリ部23に一旦格納された上りデータをデータ処理部25経由で受け取り、通信端末40へ送信する。
下位装置通信部24の光受信部29は、伝送媒体1を介して受信した光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号を受信機能部60に出力する。送信機能部28は、光送信部27の発光タイミングの制御や、データ処理部25から受け取ったデータに基づくデータ列の生成を行う。受信機能部60は、光受信部29から受け取ったデータからデータ列を抽出してデータ処理部25へ出力する。下位装置通信部24の光送信部27は、送信機能部28から受け取ったデータを光信号に変換し、伝送媒体1に出力する。
上記構成の下位装置通信部24は、ONU10(図1参照)とのデータの送受信処理を行う。下位装置通信部24は、ONU10から送信されたデータの受信動作では、ONU10から受信した上りデータをデータ処理部25に供給する。供給された上りデータはメモリ部23に渡され、メモリ部23が保持する。メモリ部23で保持された上りデータは、上位の通信端末40(図1参照)へ送信すべきタイミングでデータ処理部25によって読み出され、上位装置通信部21を経由して通信端末40へ送信される。一方、通信端末40から受信した下りデータのONU10への送信動作において、下位装置通信部24は、上位装置通信部21が通信端末40から受信し、メモリ部23で保持されている下りデータをデータ処理部25経由で受け取り、ONU10へ送信する。
図7は、通信端末30および40の構成例を示す図である。通信端末30と通信端末40の構成は異なっていてもよいが、ここでは、通信端末30と通信端末40の構成は同一と仮定する。
まず、通信端末30について説明する。通信端末30は、メモリ部33と、データ処理部35と、上位装置通信部31(便宜上、図7では「装置通信部」と記載している)と、を備える。メモリ部33は、供給されたデータを一時的に格納する。上位装置通信部31は、物理層の処理を実施するPHY回路部で構成される。データ処理部35は、メモリ部33から受け取った上りデータを、上位装置通信部31を経由して伝送媒体2に出力し、また、上りデータの出力タイミングを調整する。上位装置通信部31から受け取った下りデータはメモリ部33に供給する。
通信端末40の構成は、上述のメモリ部33,上位装置通信部31,データ処理部35,伝送媒体2をそれぞれメモリ部43,下位装置通信部44,データ処理部45,伝送媒体3に替える以外は通信端末30と同様である。
次に、本実施の形態の通信システムにおけるONU10とOLT20の基本動作を説明する。ONU10とOLT20は、互いに時刻を同期し、上り方向の通信には時分割多重通信を行い、下り方向の通信には同報通信を行う。
OLT20は、ONU10が送信するデータが上り方向の通信時に伝送媒体1内で他のONUから送信された上りデータと衝突しないよう、ONU10に対して上り方向が通信可能な時間(送信許可時間)を割り当てる。ONU10は、上り方向の通信において、OLT20から割り当てられた時刻に上りデータを送信する。このようにして、上り方向では時分割多重通信が行われる。
このように、OLT20は、ONU10に向けて同報送信を行い、ONU10は、自身に割り当てられた時刻に従ってOLT20に向けて時分割多重通信を行う。OLT20は、ONU10がデータ送信を要求できるよう定期的に通信可能な時間を割り当て、この通信可能な時間を通知する呼び出しを実施する。この呼び出しを受信したONU10は、送信するデータの有無にかかわらず割り当てられた通信可能な時間に応答する。また、OLT20は、通信が可能な時刻を割り当てたONU10から所定の時間(リンクタイムアウト時間)以上応答がなかった場合、異常があったものとみなし、装置間のリンクを切断する。なお、GE−PONシステムでは、GATE信号を送信することにより呼び出しを行い、上り帯域を割り当てる。
図8は、本実施の形態のONU10とOLT20の通信の一例を示すチャート図である。図8に示した動作によれば、OLT20の省電力機能の有無に関わらず、ONU10が単独で省電力モードに移行することが可能になるため、汎用的な省電力化を期待することができる。
図8に示した動作を説明する。ONU10とOLT20のリンクが確立すると(ステップS31)、ONU10は、OLT20に対し、省電力開始要求通知を送信する(ステップS32)。OLT20は、省電力機能を具備している場合、省電力開始要求通知を受信すると省電力開始指示をONU10に送信する(ステップS33)。ここでは、OLT20は、省電力機能を具備しておらず、省電力開始要求通知に対する省電力開始指示を送信しないものとして説明を続ける。ONU10は、省電力開始要求通知を送信した後、一定時間T0の間、省電力開始要求通知に対する応答である省電力開始指示を受信したか否かを監視する(ステップS34)。そして、移行する省電力モードを決定する(ステップS35)。ステップS35では、省電力開始要求通知を送信後、時間T0が経過する前に省電力開始指示を受信した場合、移行する省電力モードを装置間で連携した省電力モード(装置情報を交換しながら行う省電力制御動作)に決定する。省電力開始指示を受信することなく時間T0が経過した場合、移行する省電力モードを装置単独の省電力モード(装置情報を交換せずに行う省電力制御動作)に決定する。ここでは、装置単独の省電力モードに決定したものとして説明を続ける。
ONU10は、ステップS35で装置単独の省電力モードへ移行することに決定すると、一定条件を満たした場合、省電力制御を開始する。装置単独の省電力モードに対応する省電力制御の詳細については後述するが、省電力制御では、OLT20とのリンクが切断されないように考慮した周期で、省電力状態と動作状態を交互に繰り返す(ステップS37)。図示したように、スリープ時間をT2(リンク断とならない長さ)、アクティブ時間をT1とする。なお、省電力制御の開始条件は、例えば、一定時間(図8に示した「省電力判断時間」に相当)にわたって通信装置30から上りデータ受信がない場合、一定時間にわたってOLT20から下りデータ受信がない場合、等が考えられる。また、ONU10が応答する必要があるデータ(通信端末30からの上りデータ、OLT20が下りデータを保持していることを示すデータなど)を受信した場合には、省電力制御を直ちに終了する。
OLT20は、ONU10の状態によらず、定期的に呼び出しを送信する(ステップS36)。ONU10は、動作状態となるT1の期間では応答を返送するが、省電力状態となるT2の期間は呼び出しに対する応答を返送しない。
図9は、図8で示したチャート図に対応する動作のフローチャートであり、ONU10内の各部の動作を示している。動作を開始後、データ情報監視部16がリンク確立を検出すると(ステップS131)、次に、データ処理部15が、OLT20に対して省電力開始要求通知を送信する(ステップS132)。その後、データ情報監視部16が、省電力開始指示を受信したか否かを一定時間T0にわたって監視する(ステップS133)。T0時間が経過する前に省電力開始指示を受信した場合(ステップS134:Yes)、データ情報監視部16は、OLT20が省電力機能を具備していると判断し、その旨を省電力制御部12に通知する。この通知を受けた省電力制御部12は、装置間で連携した(ONU10とOLT20が連携した)省電力制御方法に従った動作を開始する(ステップS135)。
一方、省電力開始要求通知を送信後、T0時間以内に省電力開始指示を受信しなかった場合(ステップS134:No)、データ情報監視部16はデータの有無の監視を開始し、上述した省電力モード(図8に示したステップS37の動作)への移行条件を満足しているか否か判断する(ステップS136)。例えば、OLT20へ送信すべき上りデータが一定時間(省電力判断時間)にわたって発生しない場合、移行条件を満足していると判断する。省電力モードへの移行条件を満足している場合(ステップS136:Yes)、データ情報監視部16はその旨を省電力制御部12へ通知する(ステップS137)。この通知を受けた省電力制御部12は、上位装置通信部11の光送信部17および送信機能部18に対して動作の停止と再開を所定のタイミングで指示する省電力制御(OLT20との間で装置情報を交換せずに行う省電力制御)を開始する(ステップS138)。これにより、省電力状態(光送信部17および送信機能部18を停止させた状態)と動作状態を周期的に繰り返すことになる。データ情報監視部16は、省電力制御が開始された後も、省電力モードへの移行条件を満たしているかどうかの監視を継続し、移行条件を満たさなくなった場合、例えば、通信端末30から上りデータを受信した場合、その旨を省電力制御部12へ通知する。この通知を受けた省電力制御部12は、省電力制御を直ちに終了する。このとき、省電力制御部12は、光送信部17および送信機能部18が動作停止中の状態であれば、光送信部17および送信機能部18に対して動作の再開を指示する。なお、ここでは、データ情報監視部16が一定時間T0にわたって省電力開始指示を受信したか否かを監視し、その結果に基づいてONU10は装置間で連携した省電力制御動作またはONU単独での省電力動作を実行することとしたが、これに限らない。例えば、ONU10は前提として単独での省電力動作を行い、OLT20とのパラメータネゴシエーションにおいて省電力パラメータが設定された場合に、装置間で連携した省電力動作を行うこととしてもよい。この場合、データ情報監視部16は上記監視動作を行わない。
なお、本実施の形態では、省電力状態で上位装置通信部11の送信処理を行うブロック(光送信部17および送信機能部18)のみを停止させる構成としたが、受信処理を行うブロック(光受信部19および受信機能部50)も停止させる構成としてもよい。
次に、本実施の形態の省電力モード中の動作について説明する。図10は、本実施の形態の省電力動作(装置情報を交換せずに行う省電力制御動作)の一例を示すフローチャートである。図10に示した本実施の形態の省電力動作によれば、ONU10は、リンクが切断されることのない省電力動作が可能になる。また、状況に応じて各パラメータを動的に変更することが可能になるため、より効果的な省電力化が期待できる。
これに対して、装置間で連携した省電力動作(装置情報を交換しながら行う省電力制御動作)では、動作状態となる時間T11と省電力状態となる時間T12のパラメータは、図2を用いて説明したように、通信装置bに相当するOLT20とのパラメータネゴシエーション時またはOLT20から送信される省電力開始指示によって決定される。そして、通信装置aに相当するONU10は、OLT20で決定された内容に従う必要があった。また、図2〜図4では記載を省略したが、送信待ちデータの発生を検出して省電力モードを終了してから次に省電力モードを開始するまでのホールド時間T3(詳細は後述する)についても、決定された固定値で動作させる必要があった。さらに、ONU10がOLT20と装置情報を交換しないで省電力制御を実施する方法においても、省電力モード中に装置間のリンクを維持させておく必要があるために、送受信に関わる機能の全てまたは一部を常時起動させておく必要があった。
図10に示すように、ONU10において、データ情報監視部16が上下データ(上りデータおよび下りデータ)を監視し、一定時間にわたって上下データがない場合には、省電力制御部12が光送信部17および送信機能部18の省電力制御を開始する(ステップS141)。省電力制御を開始した省電力制御部12は、継続時間がT2(スリープ時間に相当)の省電力状態と継続時間がT1(アクティブ時間に相当)の動作状態を交互に繰り返すように、光送信部17および送信機能部18を制御する。省電力状態では光送信部17および送信機能部18を停止させ、動作状態では光送信部17および送信機能部18を動作させる。
アクティブ時間T1については、以下の手順で動的に決定する。まず、データ情報監視部16が、OLT20から送信される呼び出しの間隔T4を測定する(ステップS142)。データ情報監視部16は、測定結果を省電力制御部12に通知し(ステップS143)、省電力制御部12は、通知されたT4に基づいて、アクティブ時間T1をT1>T4となるように設定する(ステップS144)。また、この動作を周期的に繰り返してT1を更新する。これにより、動作状態において、OLT20からの呼び出しに対する応答を確実に返送することが可能になる。
また、スリープ時間T2については、以下の手順で動的に決定する。まず、データ情報監視部16が、動作状態中にデータ処理部15がOLT20に対して応答(呼び出しに対する応答)を返送した時刻T5を監視し、省電力制御部12に通知する(ステップS145)。次に、省電力制御部12は、上記のステップS143で通知された呼び出しの間隔T4と省電力制御の対象箇所(光送信部17,送信機能部18)の立ち上がり時間T6を考慮し(図11参照)、リンクタイムアウト時間T7>{(T8−T5)+T2+T6+T4}を満たすように、省電力状態の開始時刻T8およびスリープ時間T2を決定する(ステップS146)。すなわち、図11にも示したように、OLT20からの呼び出しに対する応答の送信間隔がリンクタイムアウト時間T7よりも短くなるように(応答を送信してから時間T7が経過する前に次の応答を送信するように)、省電力状態の開始時刻T8およびスリープ時間T2を決定する。なお、本実施の形態では、省電力状態で送信動作のみを停止させる構成としているが、受信動作も停止させる(光受信部19および受信機能部50も停止させる)構成とする場合には、応答を送信するためには呼び出しを受信して通信可能な時間(送信が許可された期間)を把握する必要があるため、呼び出しが受信可能なタイミングで動作状態に復帰できるよう、動作状態中に取得したT4およびT5からT8およびT2を決定する。また、これらのステップS142〜S146の動作は周期的に繰り返し、T8およびT2を更新する。
以上の動作により、省電力制御部12は、スリープ時間T2の最大値とアクティブ時間T1の最小値を決定することができ、省電力効果が最大となる省電力制御を実施することが可能になる。また、スリープ時間T2およびアクティブ時間T1の決定(更新)を周期的に繰り返すことで、各パラメータの時間的なばらつきを吸収し、効率的な省電力化を実現できる。なお、ONU10は、必ずしも最大のスリープ時間T2での省電力状態、最小のアクティブ時間T1での動作状態を繰り返さなくてもよく、スリープ時間T2の最大値よりも小さい値、アクティブ時間T1の最小値よりも大きい値で省電力動作してもよい。
図12は、本実施の形態の省電力モード解除動作(省電力制御の終了動作)の一例を示すフローチャートである。図12に示した本実施の形態の省電力モード解除動作によれば、ONU10は、省電力モードを一旦解除した後でも、条件を満たせば速やかに省電力モードに再移行することが可能になるため、より効率的な省電力化を期待できる。
データ情報監視部16は、省電力制御部12が光送信部17および送信機能部18の省電力制御(装置情報を交換せずに行う省電力制御)を行う省電力モードにおいて、省電力モードを解除する必要があるかどうか判断するために上下データを監視する。監視の結果、上りデータまたは下りデータの発生を検出すると、省電力モードを解除する必要があると判断し、省電力モードの解除を省電力制御部12に通知する(ステップS151)。また、データ情報監視部16は、データ処理部15に対してデータ処理の指令を通知する(ステップS152)。省電力制御部12は、省電力モード解除の通知を受信後、直ちに省電力制御を終了する(ステップS153)。すなわち、光送信部17および送信機能部18(図5参照)を停止させた状態であれば、これらを動作状態に復帰させる。データ処理部15はデータ処理を開始する(ステップS154)。データ処理部15は、データ処理が完了したかどうかを監視し(ステップS155)、データ処理完了を検出すると(ステップS155:Yes)、その旨をデータ情報監視部16に通知する(ステップS156)。データ処理の完了通知を受けたデータ情報監視部16は、再び省電力モードへの移行条件を満足しているかどうか確認する(ステップS157)。このステップS157は、上述した図9のステップS136と同じ処理である。省電力モードへの移行条件を満足している場合(ステップS157:Yes)、データ情報監視部16はその旨を省電力制御部12へ通知する(ステップS158)。この通知を受けた省電力制御部12は、上位装置通信部11の光送信部17および送信機能部18に対して動作の停止と再開を所定のタイミングで指示する省電力制御を開始する(ステップS159)。これらのステップS158およびS159は、上述した図9のステップS137およびS138と同じ処理である。なお、上記説明ではOLT20から送信される呼び出し間隔T4が一定として説明したが、例えばOLT20に接続されるONU10の台数の変更、加入しているサービスの変更等によりこの呼び出し間隔T4が変更された場合は、変更後の呼び出し間隔T4を測定した上で、省電力状態の開始時刻T8およびスリープ時間T2を決定すればよい。なお、データ情報監視部16が省電力モードにおいて上りデータまたは下りデータを検出した場合であっても、省電力制御部12は、直ちに省電力モードを解除しなければならないわけではなく、例えば上りデータまたは下りデータのデータレートが低ければ、そのまま省電力モードを維持するようにしてもよい。その場合、上りデータまたは下りデータはメモリ部13に蓄積され、省電力モードが解除された後に送信等の処理がなされることとなる。
装置間で連携した省電力制御では、図12のステップS155からステップS159までの処理時間に相当するホールド時間T3が、図2に示したステップS1のパラメータネゴシエーションにより決定され、固定値が設定される。そのため、データ処理が遅れた場合に、データ処理完了より前に省電力制御が開始されてしまい、データのロスが発生する場合があった。これに対して、図12に示した制御によれば、データ処理が完了したのを確認してから省電力モードへの移行条件を確認するので、図13に示したように、ホールド時間T3をデータ処理の進行状況に応じて動的に設定することができる。
このように、本実施の形態では、ONUがOLTの省電力機能の有無を判断し、省電力機能を有していれば、装置間で連携した省電力制御(ONUとOLTが装置情報を交換しながら省電力状態に移行する制御)を実行し、省電力機能を有していない場合には、上りデータおよび下りデータの監視結果に基づいて、単独で、省電力モードへ移行するか否かを判断することとした。これにより、ONUは、装置間で連携した省電力制御に対応していないOLTに接続された場合でも、省電力モードに移行して消費電力を削減することができる。また、省電力モードに移行後は、ONUとOLTのリンクが切れない範囲内で、アクティブ時間T1とスリープ時間T2を自身のデータ処理状況に応じて動的に変化させるようにした。さらに、データの発生により省電力状態から動作状態へ復帰した後は、データ処理が完了するまで省電力状態への再移行は行わず、データ処理完了後に直ちに省電力状態へ移行することとした。以上のことから、ONUの省電力化を汎用的にできるとともに、省電力状態となる時間を長く確保することができ、効率的に省電力化を図ることができる。なお、これまでONUはアクティブ時間T1、スリープ時間T2を動的に決定することとして説明を行ってきたが、必ずしもこれに限定されず、ONU(省電力制御部12もしくはONUが有する他の記憶装置等)に予め固定値として記憶しておいてもよい。その場合の固定値は、リンクタイムアウト時間を越えないような値として設定されていればよい。
実施の形態2.
図14は、実施の形態2のONU(ONU10aとする)の構成例を示す図である。本実施の形態の通信システムの構成は、図1に示したONU10をONU10aに替える以外は実施の形態1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図14に示すように、本実施の形態のONU10aは、実施の形態1のONU10(図5参照)の省電力制御部12を省電力制御部12aに置き換えたものである。
本実施の形態のONU10aでは、省電力制御の対象にメモリ部13を加える。すなわち、省電力制御部12aは、省電力モード中に光送信部17、送信機能部18およびメモリ部13の動作停止と動作開始を制御する。
以下に本実施の形態の各機能別の動作を示す。データ情報監視部16がリンク確立を判断してから、省電力モードへの移行条件の判断を実施するまでの動作は実施の形態1と同様である(図8,図9参照)。本実施の形態では、省電力モードへの移行条件を満たした場合、省電力制御部12aが光送信部17、送信機能部18およびメモリ部13を制御し、省電力状態と動作状態を周期的に繰り返す。データ情報監視部16は、省電力モードへの移行条件を満たしているか否かを監視しており、省電力モードにおいて、省電力モードへの移行条件を満たさない状態を検出すると、その旨を省電力制御部12aに通知し、省電力制御部12aは直ちに省電力制御を終了する。
省電力モード中のONU10aの動作は実施の形態1のONU10と同様である。しかし、データ情報監視部16が上下データを検知した場合、データがデータ処理部15を経由している間は必ずメモリ部13を動作状態にしておく必要がある。または、メモリ部13が動作状態になるまでは、データ処理部15でデータを溜めておくような構成とする必要がある。データ処理部15は、データ処理を開始する前に、メモリ部13が動作状態にあるかどうかを、特定データの読み出しをメモリ部13に対して実施するなどして確認する。データの読み出し動作によりメモリ部13の状態を確認するのではなく、書き込み動作による確認(データの書き込み/応答の検知)としてもよい。
このように、本実施の形態のONUは、光送信部17および送信機能部18に加え、メモリ部13についても省電力制御の対象としている。これにより、実施の形態1と比較して、さらに消費電力を削減することができる。
実施の形態3.
本実施の形態の通信システムの構成および各装置の構成は実施の形態1と同様である(図1、図5など参照)。
図15は、実施の形態3の通信システムにおけるONUとOLTの通信の一例を示すチャート図である。また、図16は、図15で示したチャート図に対応する動作のフローチャートである。なお、図15では、実施の形態1におけるONUとOLTの通信の一例を示すチャート図(図8)と共通する部分に同じステップ番号を付している。本実施の形態では、実施の形態1と異なる部分を説明する。
本実施の形態の通信システムにおいては、ステップS31でONU10とOLT20がリンクを確立した後、OLT20は、省電力制御で必要なパラメータ情報をONU10から収集するために、パラメータネゴシエーション通知を送信する。パラメータネゴシエーション通知では、動作可能なパラメータ(省電力制御で使用可能なパラメータ)をONU10に対して問い合わせる。仮に、OLT20が省電力機能を有していなければ、OLT20は、リンクが確立した後にパラメータネゴシエーション通知を送信しない。
一方、本実施の形態のONU10は、ステップS31でリンクを確立した後、実施の形態1,2とは異なり、省電力開始要求通知をOLT20に対して送信しない。ONU10は、リンクが確立した後、OLT20から送信されるパラメータネゴシエーション通知を一定時間T0の間監視することで、OLT20の省電力機能の有無を判断し、移行する省電力モードを決定する(ステップS41,S35)。具体的には、リンクが確立してからT0時間が経過する前にパラメータネゴシエーション通知を受信した場合、ONU10は、装置間で連携した省電力制御方法(装置情報の交換が必要な省電力制御方法)に従った動作を行うことに決定する。これに対して、リンクが確立してからパラメータネゴシエーション通知を受信することなくT0時間が経過した場合、ステップS37の省電力制御(実施の形態1で説明した、装置情報を交換しない省電力制御)を行うことに決定する。
上記動作に対応する図16のフローチャートは、図9に示したフローチャートのステップS132〜S134をステップS141およびS142に置き換えたものである。
ONU10において、データ情報監視部16は、リンクが確立した後、パラメータネゴシエーション通知が送信されてくるのを一定時間T0にわたって待つ(ステップS142)。T0時間が経過する前にパラメータネゴシエーション通知を受信した場合(ステップS142:Yes)、OLT20が省電力機能を有していると判断し、その旨を省電力制御部12に通知する(ステップS135に遷移する)。一方、T0時間以内にパラメータネゴシエーション通知を受信しなかった場合(ステップS142:No)、OLT20が省電力機能を有していないと判断し、装置情報を交換しない省電力制御を実行することに決定してステップS136に遷移する。
このように、本実施の形態のONUは、OLTが省電力機能を有しているかどうかを、OLTからパラメータネゴシエーション通知が送信されてくるかどうかで判別することとした。このため、ONUが、省電力機能を有していないOLTと接続される場合は、データ処理部15が省電力開始要求の通知機能を具備しなくても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
本実施の形態の通信システムの構成および各装置の構成は実施の形態1と同様である(図1、図5など参照)。
図17は、実施の形態4の通信システムにおけるONUとOLTの通信の一例を示すチャート図である。また、図18は、図17で示したチャート図に対応する動作のフローチャートである。なお、図17では、実施の形態1におけるONUとOLTの通信の一例を示すチャート図(図8)と共通する部分に同じステップ番号を付している。本実施の形態では、実施の形態1と異なる部分を説明する。
ステップS31でONU10とOLT20がリンクを確立した後、OLT20は、省電力制御で必要なパラメータ情報をONU10から収集するために、パラメータネゴシエーション通知を送信する(ステップS51)。パラメータネゴシエーション通知では、動作可能なパラメータ(省電力制御で使用可能なパラメータ)をONU10に対して問い合わせる。仮に、OLT20が省電力機能を有していなければ、OLT20はパラメータネゴシエーション通知を送信しない。
ONU10は、パラメータネゴシエーション通知を受信すると、パラメータネゴシエーション応答を送信して動作可能なパラメータをOLT20に通知する(ステップS52)。OLT20は、パラメータネゴシエーション応答を受信すると、通知されてきたパラメータに基づいて、省電力制御で使用するパラメータを決定し、決定したパラメータをパラメータネゴシエーション結果でONU10に通知する(ステップS53)。このステップS53において、OLT20は、省電力モードにおけるアクティブ時間(T01とする)、スリープ時間(T02とする)、およびホールド時間を決定し、ONU10に通知する。
ONU10は、OLT20から受信したパラメータネゴシエーション結果に基づいて、移行する省電力モードを決定する(ステップS35)。具体的には、パラメータネゴシエーション結果で通知されてきた時間T01およびT02に従って省電力制御(装置間で連携した省電力制御)を行った場合の消費電力と、装置情報を交換しない省電力制御(実施の形態1で説明した、時間T1およびT2に従った省電力制御)を行った場合の消費電力とを比較し、消費電力の削減効果が大きい方の省電力制御を実行することに決定する。このようにした場合、OLT20に省電力機能が有る場合においても、ONU10は、高い省電力効果が得られる省電力制御を選択できる。
上記動作に対応する図18のフローチャートは、図9に示したフローチャートのステップS132〜S134をステップS151〜S154に置き換えたものである。
ONU10において、データ情報監視部16は、リンクが確立した後、パラメータネゴシエーション通知を受信するとその内容を解析する(ステップS151)。次に、解析結果に応じた内容のパラメータネゴシエーション応答をデータ処理部15が生成してOLT20へ送信する(ステップS152)。その後、データ情報監視部16が、パラメータネゴシエーション結果が通知されてきたかどうか監視し(ステップS153)、通知されてきたことを検出すると(ステップS153:Yes)、データ情報監視部16は、通知されてきたパラメータに基づいて、移行する省電力モードを決定する(ステップS154)。ステップS154では、通知されてきたパラメータである、アクティブ時間T01とスリープ時間T02の比(=T02/T01)を算出するとともに、装置情報を交換しない省電力制御におけるアクティブ時間T1とスリープ時間T2の比(T2/T1)を算出し、算出した比の関係が「(T02/T01)<(T2/T1)」の場合(ステップS154:Yes)、装置情報を交換しない省電力制御を行うことに決定してステップS136に遷移する。算出した比の関係が「(T02/T01)≧(T2/T1)」の場合には(ステップS154:No)、装置間で連携した省電力制御を行うことに決定してその旨を省電力制御部12へ通知する(ステップS135)。なお、ステップS154で使用する判定式は上記のものに限定されない。装置情報を交換しながら行う省電力制御(装置間で連携した省電力制御)と装置情報を交換しない省電力制御のどちらを適用した場合により多くの消費電力削減が達成できるのか判別できるのであれば、どのような判別式でもよい。
以上のように、本実施の形態では、装置情報を交換しながら行う省電力制御が選択可能であっても、装置情報を交換しない省電力制御を選択した方がより効果的な省電力化を達成できる場合、装置情報を交換しない省電力制御を実行することとした。これにより、消費電力削減効果を高めることができる。