JP2014070256A - 耐高面圧部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高面圧が加わる摺動面の摩耗を、従来に比べて特別な処理工程を付加しなくても効果的に高めることができ、以て耐久寿命を高めることのできる耐高面圧部品を安価に提供する。
【解決手段】耐高面圧部品を、質量%でC:0.10〜0.30%,Si:0.65〜1.50%,Mn:0.20〜1.50%,Cr:0.20〜1.50%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有する鋼を部品形状に成形した後に浸炭焼入れ処理して成り、浸炭焼入れ処理後の表層のC量が質量%で0.40〜1.20%であり、浸炭焼入れ処理後に300℃で3時間焼戻し処理した後の表層の硬さが650HV以上で且つ表層の残留γ量が4体積%以上であるようにする。
【選択図】 なし

Description

この発明は高面圧が加わった状態で使用されるベルト式CVT(ベルト式無段変速機)プーリ等の耐高面圧部品に関し、詳しくは高面圧の加わる摺動面の摩耗抑制のための技術手段に特徴を有するものに関する。
自動車のベルト式CVTでは、図4に示すように無端環状(一部のみ図示)をなすスチールバンド(金属バンド)200に多数の鋼製且つ板状のエレメント(駒)202を並べて取り付けて成るスチールベルト204を、図5に示す溝幅が可変の一対のプーリ(プライマリプーリ206及びセカンダリプーリ208)間に無端環状に巻き掛け、かかるスチールベルト204を介してプライマリプーリ206からセカンダリプーリ208へと動力伝達を行う。
具体的には、エンジンからの入力は一方のプーリ(プライマリプーリ)206へと入り、他方のプーリ(セカンダリプーリ)208へと伝達された上で出力される。
その際、各プーリの溝幅を変化させることで各プーリの有効径を変化させ、変速を無段階で連続的に行う。
CVTプーリ(以下単にプーリとすることがある)の溝側面を成す摺動面(シーブ面)は、高面圧でエレメントが摩擦接触するため摩耗を生じ易い。
そこで従来では、JIS SCM420等の鋼種を用いて構成したプーリに浸炭焼入れ処理等を施し、摺動面を表面硬化させて使用することが一般に行われている。
しかしながらプーリの摺動面には高圧面が繰り返し作用するため、摺動面に単なるアブレシブ摩耗ではなく、高面圧の繰返し作用により生ずる微小な疲労亀裂の発生及びこれに起因する微小剥離による剥離摩耗、即ち軸受の損傷形態の1つであるピーリングに似た損傷が生じることがあり、このことがプーリの耐久寿命を低下させてしまう。このような摩耗に対しては単に硬さを高めるだけでは十分に抑制することはできない。
またプーリの摺動面は、繰り返し生ずる摺動発熱により温度上昇し、そのことによって硬さが低下することで摩耗が助長されるといった問題もある。
従来、上記摩耗を抑制する目的で、例えばショットピーニング処理を追加して表面硬さや残留応力を向上させる技術や、研磨方法を工夫して表面粗さを摩耗抑制に好適な状態に改善する技術等が提案されてきた。
例えば下記特許文献1には、JIS G 4053に規定されるクロム鋼又はクロムモリブデン鋼を用いたプーリの摺動面の表面硬さをHV800以上とし、摺動面を含む表層(21)に1200MPa以上の残留圧縮応力を付与することで亀裂の進展を抑制すること、また摺動面から深さ方向20μm以上の部分に残留オーステナイト層(22)を設けておくと、ベルト(3)からの繰返し応力により残留オーステナイトの加工誘起変態が起り、新たなマルテンサイトが生成し、加工硬化が助長されるので亀裂の進展を抑制できること、これらは浸炭処理後、摺動面にショットピーニング処理を施すことで得ることができること、等が開示されている。
また下記特許文献2には、機械加工及び浸炭浸窒処理後の仕上げ研磨により、疲労亀裂の起点となる摺動面の谷部の最大谷深さRvを2.0μm以下とすること、摺動面に含有する炭素濃度を0.65〜1.4質量%、窒素濃度をビッカース硬さHとの関係においてH≧−320×N+700を満たすようにして摺動発熱による軟化を抑制すること、等が開示されている。
更に下記特許文献3には、摺動面を旋削等により機械加工した後、粗研磨加工やショットピーニング処理等により摺動面の表面性状を、表面粗さRz1.4〜6.3μmとし、更に突出山部(81)に比較して突出谷部(82)を深くし、突出山部高さRpkと突出谷部深さRvkとの比率Rpk/Rvkを0.75未満とすること等が開示されている。
しかしながらこれらの従来技術は、ある程度耐摩耗性の改善に効果があるものの、ショットピーニング処理等の追加の工程が必要で、そのことがコストアップをもたらす問題がある。
自動車用部品の1つであるCVTプーリに対してはコスト低減要求も強く、コストアップの原因となる特別な表面処理の工程を追加せずに耐摩耗性を改善する技術が求められている。
尚、他の先行特許文献として下記特許文献4には、表面損傷が生じ難く、且つ高温となる雰囲気条件下でも長い耐久寿命を確保できるCVTプーリ等の動力伝達部品を提供することを目的として、これを、少なくとも合金元素として質量%でCを0.6%以上1.3%以下,Siを0.3%以上3.0以下,Niを0.1%以上3.0%以下,Mnを0.2%以上1.5%以下,Crを0.3%以上5.0%以下含有する鋼材で形成し、表面硬さをロックウェル硬さHRC58以上とする点が開示されている。
しかしながらこの特許文献4に開示のものは、Cを0.6%以上の多量に含有するものであり、この点において本発明とは異なっている。
特開2009−68609号公報 特開2009−68608号公報 特開2007−262470号公報 特開2001−181784号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、高面圧が加わる摺動面の摩耗を、従来に比べて特別な処理工程を付加しなくても効果的に高めることができ、以て耐久寿命を高めることのできる、CVTプーリで代表される耐高面圧部品を安価に提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、質量%でC:0.10〜0.30%,Si:0.65〜1.50%,Mn:0.20〜1.50%,Cr:0.20〜1.50%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有する鋼を部品形状に成形した後に浸炭焼入れ処理して成り、該浸炭焼入れ処理後の表層のC量が質量%で0.40〜1.20%であり、該浸炭焼入れ処理後に300℃で3時間焼戻し処理した後の該表層の硬さが650HV以上で且つ該表層の残留γ量が4体積%以上であることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記鋼が質量%でMo:0.05〜0.50%を更に含有していることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記300℃焼戻し処理前の前記表層の残留γ量が10体積%以上であることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、耐高面圧部品を構成する鋼を上記所定の化学組成とした上で、耐高面圧部品の浸炭焼入れ処理後の表層のC量を0.40〜1.20%とし、また浸炭焼入れ処理後に300℃で3時間焼戻し処理した後の表層の硬さが650Hv以上、表層の残留γ量(オーステナイト量)が体積%で4%以上であるようにしたものである。
高面圧の加わる摺動面を有する耐高面圧部品、例えばCVTプーリでは、その摺動面とベルトのエレメントとの間に異物を噛み込んでしまうことがある。
この場合、摺動面の異物周辺に局部的に大きな応力集中を生ぜしめ、異物周辺の組織に疲労亀裂を誘発し易い。而してその様な疲労亀裂を生じると亀裂を起点として割れや欠けが生じ易い。
ところが摺動面に所定量以上の残留γが存在していると、その残留γは軟らかいものであるから異物周辺で応力が吸収され、周辺組織に大きな応力が生じるが緩和され、軽減される。
そしてそのことによって、疲労亀裂の発生や成長或いはこれを起点とした割れや欠けが抑制される。
以上のようにして摺動面に存在する残留γは疲労亀裂を起点としたピーリング様の摩耗に対して有用な働きをする。
しかしながら浸炭焼入れ処理後において、当初摺動面にある程度残留γが存在していたとしても、残留γが不安定な場合にはその後プーリが自動車に組み付けられて使用されると、摺動面での摺動発熱による温度上昇によって残留γが分解して著しく減量し又は消失してしまう。
そうなると残留γによる疲労摩耗に対する抑制の働きが低下し、又は失われてしまう。
従って摺動面の残留γは摺動面の温度上昇に対して安定したものであることが必要である。
特に近年、部品のコンパクト化によって摺動面に従来に増して高い面圧が負荷されるようになってきており、これに伴って摺動面の温度上昇の程度も大となってきている。
従って残留γによる働きを長期に亘って持続的に得るためには、そうした摺動面の温度上昇の増大下でも、残留γが消失しないでできるだけ多く残り得ることが重要である。
この点に着眼して本発明者らが調査及び研究を行ったところ、残留γは200℃程度までは温度の上昇に応じた量で分解し穏やかに減少するが、200℃を超えて300℃に達するまでの間で急激に分解が進むこと、特に残留γが不安定である場合には300℃までの間に殆どが消失してしまうこと、一方で残留γが安定したものである場合には相対的に300℃に到るまでの間の分解が少なく、300℃を超えても所定量以上が残ること、CVTプーリの場合、部品のコンパクト化によって摺動面の温度上昇が増大した状況の下でも、最高到達温度は300℃を下回る(260〜270℃程度)温度であること、浸炭焼入れ処理後において、300℃で3時間の焼戻し処理をしたときに残留γが4%以上残るような安定したものであるならば、残留γによる上記の有用な働きを長期に亘って持続的に維持できるとの知見を得た。
より詳しくは、300℃の焼戻し温度は摺動面の想定される最高到達温度よりも高い温度であり、また3時間の焼戻し時間は摺動面が最高到達温度を維持する想定最長時間よりも長時間であり、従って300℃で3時間の焼戻し後の残留γ量が4%以上、との条件を満たすことで、摺動面のピーリング様の摩耗による疲労寿命を効果的に高め得るとの知見を得た。
また300℃で3時間焼戻し処理した後の表層の硬さの維持も重要で、その硬さが650HV以上であることで摺動面の疲労寿命を高め得るとの知見を得た。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。
かかる本発明によれば、高面圧が加わる摺動面の摩耗を、従来に比べて特別な処理工程を付加しなくても効果的に高めることができ、CVTプーリで代表される耐高面圧部品の耐久寿命を特別なコストアップを伴うことなく従来に増して高めることができる。
本発明では耐高面圧部品を構成する鋼に、必要に応じて請求項1の各化学成分に加えMo:0.05〜0.50%を更に含有しておくことができる(請求項2)。
Moを鋼に含有させておくことで300℃焼戻し処理後において所要硬さを確保し易くなる。
本発明ではまた、300℃焼戻し処理前の表層の残留γ量を10体積%以上としておくことが望ましい(請求項3)。
300℃焼戻し処理前の耐高面圧部品の表層の残留γ量(浸炭処理後の残留γ量)を10%以上としておくことで、300℃焼戻し処理後の残留γ量4%以上を得易くなる。
この300℃焼戻し処理前の表層の残留γ量、即ち浸炭焼入れ処理後の残留γ量はまた次のような意味を有している。
即ち、摺動面に10%以上の残留γ量が存在していると、上記のように残留γは軟らかいものであるから、プーリ使用初期において、その摺動面がベルトのエレメントと高面圧下で馴染み易くなる。
残留γが少なくてプーリの摺動面が硬いと、摺動面に対してエレメントが高面圧下で接触し、また摺動したときに、局部的に大きな応力が生じて、その応力により摺動面に微細な亀裂が発生したり、或いは欠けを生じたりする。そしてそのことがピーリング様の摩耗を促進してしまうことに繋がる。
しかるに摺動面に残留γが多く存在すると、摺動面とエレメントとの馴染みが良くなることによって、摺動面とエレメントとの初期の摩擦接触による微細な亀裂の発生が抑制され、従って初期に発生した微細な亀裂がその後疲労寿命に悪影響を与えるのを抑制する効果が得られる。
次に本発明における各化学成分の限定理由を以下に詳述する。
C:0.10〜0.30%
Cは強度を確保する上で必要な元素であり、部品の内部硬さを確保するために0.10%以上含有させる。
但し含有量が多くなる過ぎると被削性が低下するため、上限を0.30%とする。
Si:0.65〜1.50%
本発明においてSiは残留γを安定化し、300℃焼戻し後における残留γ量4%以上を確保し、耐摩耗性を向上させる上で重要な成分である。その働きのため本発明では0.65%以上含有させる。
但し含有量が多くなり過ぎると加工性が低下するため、上限を1.50%とする。
Mn:0.20〜1.50%
Mnは鋼溶製時の脱酸剤として添加される。Mnは焼入れ性を確保する上で有用な成分であり、その働きのために0.20%以上含有させる。
但し含有量が多くなり過ぎると被削性の低下が懸念されるため、上限を1.50%とする。
Cr:0.20〜1.50%
Crは焼入れ性を高めて内部硬度を確保する上で有用な成分であり、このような作用を得るために0.20%以上含有させる。
但し含有量が多くなり過ぎると被削性の低下が懸念されるため、上限を1.50%とする。
Mo:0.05〜0.50%
Moは焼入れ性を向上させ、所要の硬さを得る上で有用な成分である。その働きのためMoを含有させる場合には0.05%以上含有させる。
但し0.50%を超えて多量に含有させると鋼の加工性、特に被削性が劣化するため、上限を0.50%とする。
ローラピッチング用の試験片を摩耗試験の方法とともに示した図である。 浸炭焼入れ処理のヒートパターンを示した図である。 300℃焼戻し後のγ量及び焼戻し硬さと耐摩耗性との関係を示した図である。 ベルト式CVTのスチールベルトをスチールバンド,エレメント等とともに示した図である。 ベルト式CVTの説明図である。
次に本発明の実施形態を以下に詳述する。
表1に示す組成の鋼50kgを真空溶解炉にて溶解しインゴットとした後、φ32mmの丸棒に熱間鍛造し、次いでこれを焼ならし処理した後に、ローラピッチング試験機を用いた摩耗試験用の、図1(A)に示す試験片10に機械加工した。
そして試験片10を下記の条件でガス浸炭及び焼入れ処理を行った上で、図1(B)に示すようにしてローラピッチング試験機を用いた摩耗試験を下記の条件の下で実施した。
尚、試験片10は4本作製して、それぞれについて後述の接触部10aをφ26.3mmに加工して浸炭焼入れし、更に浸炭焼入れ後、精研磨してφ26.0mmとした。そしてそのうち3本を摩耗試験に供した。
また残りの1本について、以下の方法で表層のC量の測定と残留γの測定とを行った。
更に300℃,3時間の焼戻し処理を実施し、表層の硬さと残留γの測定とを行った。
この300℃,3時間の焼戻し処理は、CVTプーリを自動車に実際に組み付けて走行し、摺動発熱による温度上昇が生じたときに、残留γが分解せずに如何に安定して残り得るか、また必要な硬さを保持できるか否かを知るための加速試験としてのものである。
これらの結果が表1に併せて示してある。
また摩耗試験の結果については別途図3にも示してある。
尚、表層硬さは表面から50μm、表層のC量、残留γは表面から0μmを測定した。
<摩耗試験>
図1(A)に示すように、接触部10aの直径d=φ26mm,その両側の小径部10bの直径d=φ23mm,接触部10aの幅w=28mm,小径部10bの幅w=51mmの小ローラ(小円筒)を試験片10として、接触部10aを直径D=φ130mm,幅W=18mmの相手側の大ローラ(材質はSUJ2)に高面圧で接触させ、ローラピッチング試験機を用いてそれらを滑り率ゼロで回転させ、接触部10aの摩耗深さが10μmの寿命に達するまでの回転の回数(n=3の相乗平均値)を求めて耐摩耗性を評価した。
尚他の条件は以下とした。
面圧:3.5GPa
潤滑油種:CVTF(ここでCVTFとしては出光興産(株)
製のNS−2を用いた。
回転数(試験片10):1500rpm
<浸炭焼入れ処理>
滴注式ガス浸炭炉を用い、図2に示すヒートパターン及びCp(カーボンポテンシャル)の条件の下で加熱及び冷却し、浸炭焼入れ及び焼戻し処理を行った。
尚焼入れは表1に示す温度の油冷媒体を用いて行った。
<300℃での3時間焼戻し処理>
300℃に保持された大気炉(炉温を熱電対にて実測しながら制御するタイプ)に処理品を投入し、投入時に低下した温度が300℃に戻ってから3時間保持を実施した。
<表層のC量の測定>
試験片の横断面を埋め込んで研磨仕上げし、表層部のC濃度をEPMA分析した。
<硬さ測定>
JIS Z 2244に従い、試験片10の表面を鏡面研摩し、表面から50μmの位置を荷重2.94Nで測定した値を用いた。
<残留γ量測定>
残留γ量はX線回折法を用いて測定した。
詳しくはCuターゲットにより発生させたX線をZrフィルターを通して試料に当て定量した。
Figure 2014070256
表1の結果において、比較例1は300℃焼戻し後のγ量が本発明の下限値よりも少なく、耐摩耗性の値が低い。
比較例2は、Si量が本発明の下限値よりも低く、浸炭焼入れ後の当初のγ量が15%であるにも拘らず、γが不安定で300℃焼戻し後のγ量がゼロであり、耐摩耗性の値が低い。
比較例3もまた、Si量が本発明の下限値よりも低く、またCr量が本発明の上限値よりも高い。300℃焼戻し後のγ量はゼロで、耐摩耗性の値が低い。
比較例5は、Si量が本発明の下限値よりも低く、300℃焼戻し後のγ量がゼロで、300℃焼戻し後の硬さも本発明の下限値よりも低く、耐摩耗性の値が低い。
比較例6は、Si量が比較例5と同量で本発明の下限値よりも低く、300℃焼戻し後のγ量がゼロで、300℃焼戻し後の硬さも本発明の下限値よりも低く、耐摩耗性の値が低い。
比較例7及び比較例8は、何れもSi量が0.19%で同じく本発明の下限値よりも低く、300℃焼戻し後のγ量がゼロで、硬さが本発明の下限値よりも低く、耐摩耗性の値が低い。
比較例9,比較例10はSi量が本発明の範囲内であり、これに応じて300℃焼戻し後のγ量がそれぞれ6%と4%で、本発明の条件を満たすものであるが、300℃焼戻し後の硬さが何れも本発明の下限値よりも低く、その結果耐摩耗性の値はなお不十分である。
比較例11は、Si量が本発明の範囲内にあり、浸炭焼入れ処理後の表層のC量が本発明の範囲内ではあるものの下限値に比較的近い値であり、これに応じて浸炭焼入れ処理後の残留γ量が11%と比較的低い値であるにも拘らず、Si量が本発明の条件を満たしていることで300℃焼戻し後のγ量が本発明の下限値の4%以上であるものの硬さが低く、結果として耐摩耗性の値が低い。
比較例12は、同じくSi量が本発明の範囲内にあるものの、浸炭焼入れ処理後の残留γ量が7%と低いことから、300℃焼戻し後の残留γ量が4%以上を維持できておらず、また硬さも本発明の下限値よりも低くなっており、結果として耐摩耗性の値が低い。
比較例13は、300℃焼戻し後の残留γ量が辛うじて本発明の範囲内にあるものの、300℃焼戻し後の硬さが低く、耐摩耗性の値も低い。
比較例14,15は表層のC量が0.6%以上であるものの、浸炭焼入れ処理の際の油冷媒体の温度が低いために、浸炭焼入れ処理後の残留γ量が少なく。300℃焼戻し後のγ量が本発明の下限値である4%以上を維持できていない。結果として耐摩耗性の値が不十分となっている。
これに対して化学組成,表層のC量,300℃焼戻し後のγ量,硬さの値が本発明の条件を満たす実施例1〜7のものは何れも良好な耐摩耗性が得られている。
図3は、摩耗試験の結果と、300℃焼戻し後のγ量及び硬さとの関係を示したもので、同図から明らかなように300℃焼戻し後のγ量が4%以上で、且つ硬さが650HV以上である条件を満たすことにより、基準値としての3×10を超える摩耗寿命が得られていることが分る。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。本発明はCVTプーリに適用して特に好適なものであるが、
軸受,ギア等の他の耐高面圧部品に適用することも可能である。また本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
10 試験片(小ローラ)
12 大ローラ

Claims (3)

  1. 質量%で
    C:0.10〜0.30%
    Si:0.65〜1.50%
    Mn:0.20〜1.50%
    Cr:0.20〜1.50%
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有する鋼を部品形状に成形した後に浸炭焼入れ処理して成り、該浸炭焼入れ処理後の表層のC量が質量%で0.40〜1.20%であり、該浸炭焼入れ処理後に300℃で3時間焼戻し処理した後の該表層の硬さが650HV以上で且つ該表層の残留γ量が4体積%以上であることを特徴とする耐高面圧部品。
  2. 請求項1において、前記鋼が質量%で
    Mo:0.05〜0.50%
    を更に含有していることを特徴とする耐高面圧部品。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記300℃焼戻し処理前の前記表層の残留γ量が10体積%以上であることを特徴とする耐高面圧部品。
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