JP2014069146A - 酸性ガス分離用複合体の製造方法、酸性ガス分離用複合体、及び酸性ガス分離モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】酸性ガスの分離効率が高く、生産性(コストパフォーマンス)に優れた酸性ガス分離用複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、前記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも前記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、前記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、を有する酸性ガス分離用複合体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、前記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも前記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、前記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、を有する酸性ガス分離用複合体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、酸性ガス分離用複合体の製造方法、酸性ガス分離用複合体、及び酸性ガス分離モジュールに関する。
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術が広く検討されている。二酸化炭素の分離技術としては、例えば、地球温暖化対策として、エンジン等の内燃機関から排出される排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術がある。
また、燃料電池用等のガスを得る技術として、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)とに改質し、更に一酸化炭素と水蒸気とを反応させて二酸化炭素と水素とを生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を除くことで、水素を主成分とする水素含有ガスを得る技術がある。
また、燃料電池用等のガスを得る技術として、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)とに改質し、更に一酸化炭素と水蒸気とを反応させて二酸化炭素と水素とを生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を除くことで、水素を主成分とする水素含有ガスを得る技術がある。
二酸化炭素等の酸性ガスを選択的に分離する酸性ガス分離膜は、大別すると、溶解拡散膜と促進輸送膜とに区分される。
溶解拡散膜では、酸性ガス及び分離対象物質(酸性ガスと分離させる物質)の膜に対する溶解性及び膜中での拡散性の差を利用して分離を行なう。
溶解拡散膜の適用例としては、管壁に貫通孔が形成された透過ガス集合管に、溶解拡散膜を含む積層体を多重に巻き付け、接着剤で固定した酸性ガス分離モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
溶解拡散膜では、酸性ガス及び分離対象物質(酸性ガスと分離させる物質)の膜に対する溶解性及び膜中での拡散性の差を利用して分離を行なう。
溶解拡散膜の適用例としては、管壁に貫通孔が形成された透過ガス集合管に、溶解拡散膜を含む積層体を多重に巻き付け、接着剤で固定した酸性ガス分離モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、促進輸送膜は、膜中に酸性ガスキャリアを含有しており、このキャリアによって酸性ガスを膜の反対側に輸送して分離を行なう。
促進輸送膜の適用例としては、多孔質膜上に、促進輸送膜である酸性ガスキャリアを含有する分離活性層と架橋ポリマーを含有するガス透過性の高い層とを積層させたガス分離膜が知られている(例えば、特許文献2参照)。
促進輸送膜の適用例としては、多孔質膜上に、促進輸送膜である酸性ガスキャリアを含有する分離活性層と架橋ポリマーを含有するガス透過性の高い層とを積層させたガス分離膜が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された酸性ガス分離モジュールでは、促進輸送膜に比べて、分離対象物質の溶解性が低く、酸性ガスの透過速度が遅い溶解拡散膜を用いているため、酸性ガスの分離効率が低い。また、特許文献1に記載された酸性ガス分離モジュールにおいて、例えば、100℃以上の高温で水分を含有する原料ガスから酸性ガスを分離すると、熱や水分により膜や接着部が劣化して分離効率が低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載されたガス分離膜では、酸性ガス分離膜として、促進輸送膜を用いているため、酸性ガスの分離効率は良好であるものの、更なる分離効率の向上が望まれる。さらに、促進輸送膜には、酸性ガスキャリアとして、セシウム、ルビジウム等の非常に高価なアルカリ金属の塩が用いられるため、製造コストの低減も望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、酸性ガスの分離効率が高く、生産性(コストパフォーマンス)に優れた酸性ガス分離用複合体の製造方法、酸性ガス分離用複合体、及び酸性ガス分離モジュールを提供することを課題とする。
上記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも上記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、上記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、を有する酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<1> 多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも上記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、上記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、を有する酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<2> 上記液が、イオン交換能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、スルホン酸基、リン酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン交換基を有する上記<1>に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<3> 上記液が、イオン交換能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のアニオン交換基を有する上記<1>又は上記<2>に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<4> 上記液が、キレート能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、環状エーテル、環状アミン、フェノール誘導体、リジン誘導体、フェナンスロリン、テルピリジン、ビピリジン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ポリピラゾリルホウ酸、1,4,7−トリアゾシクロノナン、ジメチルグリオキシム、及びジフェニルグリオキシムから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する上記<1>〜上記<3>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<5> 上記液が、アルカリ金属イオン吸着剤として、プルシアンブルーを含む上記<1>〜上記<4>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<6> 多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方と、を含む酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体である。
<7> 上記<1>〜上記<5>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は上記<6>に記載の酸性ガス分離用複合体を備えた酸性ガス分離モジュールである。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、酸性ガスの分離効率が高く、生産性(コストパフォーマンス)に優れた酸性ガス分離用複合体の製造方法、酸性ガス分離用複合体、及び酸性ガス分離モジュールが提供される。
以下、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法について説明するとともに、本発明の酸性ガス分離用複合体、及びこれを用いた本発明の酸性ガス分離モジュールについても詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<酸性ガス分離用複合体の製造方法>
本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも上記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、上記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程とを少なくとも有し、更に、必要に応じて、塗布膜を冷却する冷却工程等の他の工程を有していてもよい。
本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、少なくとも上記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、多孔質支持体上に、上記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程とを少なくとも有し、更に、必要に応じて、塗布膜を冷却する冷却工程等の他の工程を有していてもよい。
なお、本発明における「酸性ガス」は、二酸化炭素、硫化水素等の酸性ガスを含む気体を包含する。
二酸化炭素等の酸性ガスを選択的に分離する酸性ガス分離膜は、溶解拡散膜と促進輸送膜とに大別される。一般に、溶解拡散膜は、促進輸送膜に比べて分離対象物質の溶解性が低く、酸性ガスの透過速度が遅いため、酸性ガスの分離効率が低い。促進輸送膜では、膜中に含まれる酸性ガスキャリアによって、酸性ガスが膜の反対側に輸送されるが、酸性ガスキャリアにより、酸性ガスの溶解度が飛躍的に増大し、輸送が良好となるため、分離効率が高い。酸性ガス分離膜には、更なる分離効率の向上が求められているが、促進輸送膜中に含まれる酸性ガスキャリアには、セシウム、ルビジウム等の非常に高価なアルカリ金属の塩が用いられるため、さらに製造コストの低減も求められている。
本発明では、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させ、これにより得られた酸性ガスキャリアの抽出液を、新たに製造する酸性ガス分離用複合体における酸性ガス分離層の酸性ガスキャリア源として使用することで、酸性ガスキャリアのみを酸性ガスキャリア源として使用する場合と比較して、酸性ガスの分離効率が高い酸性ガス分離用複合体の製造が可能となる点に意義がある。
また、本発明では、例えば、使用済品、欠陥品等の廃棄を予定している酸性ガス分離用複合体から上記酸性ガスキャリアの抽出液を得て、新たに製造する酸性ガス分離用複合体における酸性ガス分離層の酸性ガスキャリア源として使用すると、高価なセシウム、ルビジウム等のアルカリ金属の塩を再利用することになるため、製造コストの低減も可能となる点にも意義がある。
以下、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法を構成する各工程について、具体的に説明する。
−抽出工程−
本発明における抽出工程では、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る。
酸性ガスキャリアの抽出液を得るための酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成されたものであれば、未使用品であっても、使用品であってもよく、特に限定されない。高価なセシウム、ルビジウム等のアルカリ金属を回収し、新たに製造する酸性ガス分離用複合体の酸性ガスキャリア源として再利用することで、製造コストの大幅な低減が実現可能となる点において、使用済品、欠陥品等の廃棄を予定している酸性ガス分離用複合体を用いることが好ましい。
本発明における抽出工程では、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る。
酸性ガスキャリアの抽出液を得るための酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成されたものであれば、未使用品であっても、使用品であってもよく、特に限定されない。高価なセシウム、ルビジウム等のアルカリ金属を回収し、新たに製造する酸性ガス分離用複合体の酸性ガスキャリア源として再利用することで、製造コストの大幅な低減が実現可能となる点において、使用済品、欠陥品等の廃棄を予定している酸性ガス分離用複合体を用いることが好ましい。
<酸性ガス分離用複合体>
酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成され、構成されている。
以下、酸性ガス分離用複合体を構成する多孔質支持体、吸水性ポリマー、及び酸性ガスキャリアについて、説明する。
酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成され、構成されている。
以下、酸性ガス分離用複合体を構成する多孔質支持体、吸水性ポリマー、及び酸性ガスキャリアについて、説明する。
(多孔質支持体)
酸性ガス分離用複合体を構成する多孔質支持体(以下、単に支持体ともいう。)は、特に制限されないが、酸性ガス分離層を支持するともに、良好な酸性ガス透過性を有するものが好ましい。多孔質支持体には、塗布液の塗布により酸性ガス分離層を所望の形態で形成し得るものが好ましい。
酸性ガス分離用複合体を構成する多孔質支持体(以下、単に支持体ともいう。)は、特に制限されないが、酸性ガス分離層を支持するともに、良好な酸性ガス透過性を有するものが好ましい。多孔質支持体には、塗布液の塗布により酸性ガス分離層を所望の形態で形成し得るものが好ましい。
支持体の材料としては、例えば、コート紙、キャストコート紙、合成紙、上質紙等の紙、さらに、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォンアラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックス等が好適である。より具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂材料が好適に挙げられる。
これらの中でも、経時安定性の観点から、ポリオレフィン及びそのフッ化物が特に好ましい。
これらの中でも、経時安定性の観点から、ポリオレフィン及びそのフッ化物が特に好ましい。
支持体の形態としては織布、不織布、多孔質膜等を採用することができる。一般的には自己支持性が高く、空隙率が高い支持体を好適に使用することができる。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデンの延伸多孔膜や、ポリスルフォン及びポリアクリロニトリルの相分離膜は空隙率が高く、二酸化炭素等の分離ガスの拡散阻害が小さく、強度や製造適性に優れる等の観点から好ましい。これらの中でも、特にポリテトラフルオロエチレンの延伸膜が好ましい。
これらの支持体は単独で用いることもできるが、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。
これらの支持体は単独で用いることもできるが、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。
支持体としては、上述した有機系の材料以外にも、無機系の材料又は有機−無機ハイブリッド材料を用いてもよい。無機系の支持体としては、セラミックスを主成分とする多孔質基体が挙げられる。セラミックスを主成分とすることにより、耐熱性、耐食性等に優れ、機械的強度の高い支持体とすることができる。セラミックスの種類は、特に制限されず、一般的に使用されるセラミックスのいずれも採用することができる。例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア等が挙げられる。また、2種類以上のセラミックスを組み合わせたり、セラミックスと金属とを複合化したり、或いは、セラミックスと有機化合物とを複合化したりすることによって調整してもよい。
多孔質支持体は、厚過ぎると二酸化炭素透過性が低下し、薄過ぎると強度が低下する傾向がある。したがって、支持体の厚みは、30μm〜500μmが好ましく、50μm〜400μmがより好ましく、50μm〜350μmが特に好ましい。
(吸水性ポリマー)
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層は、吸水性ポリマーの少なくとも一種を含む。吸水性ポリマーは、バインダーとして機能し、水分を保持して、キャリアによる二酸化炭素等の酸性ガスの分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができ、かつ、酸性ガス分離層に高い吸水性(保湿性)を持たせることができるという観点から、吸水性が高いものが好ましい。具体的には、吸水性ポリマーは、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上である吸水性を有することが好ましく、1g/g以上の吸水性を有することがより好ましく、5g/g以上の吸水性を有することが更に好ましく、10g/g以上の吸水性を有することが特に好ましく、20g/g以上の吸水性を有することが最も好ましい。
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層は、吸水性ポリマーの少なくとも一種を含む。吸水性ポリマーは、バインダーとして機能し、水分を保持して、キャリアによる二酸化炭素等の酸性ガスの分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができ、かつ、酸性ガス分離層に高い吸水性(保湿性)を持たせることができるという観点から、吸水性が高いものが好ましい。具体的には、吸水性ポリマーは、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上である吸水性を有することが好ましく、1g/g以上の吸水性を有することがより好ましく、5g/g以上の吸水性を有することが更に好ましく、10g/g以上の吸水性を有することが特に好ましく、20g/g以上の吸水性を有することが最も好ましい。
吸水性ポリマーとしては、従来公知の親水性高分子を用いることができるが、吸水性、製膜性、強度等の観点から、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸類、ポリエチレンオキサイド類、水溶性セルロース類、デンプン類、アルギン酸類、キチン類、ポリスルフォン酸類、ポリヒドロキシメタクリレート類、ポリビニルピロリドン類、ポリNビニルアセトアミド類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレンイミン類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類等が好ましい。また、これらの共重合体も、吸水性ポリマーとして好適に用いることができる。
特に好ましい吸水性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体である。ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体は、吸水能が高い上、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。ポリアクリル酸は、塩を形成していてもよい。ポリアクリル酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩のほか、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば、1モル%〜95モル%、好ましくは2モル%〜70モル%、より好ましくは3モル%〜60モル%、特に好ましくは5モル%〜50モル%である。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば、1モル%〜95モル%、好ましくは2モル%〜70モル%、より好ましくは3モル%〜60モル%、特に好ましくは5モル%〜50モル%である。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)は、上市されている市販品を用いてもよく、該市販品の例として、クラストマーAP20(商品名、クラレ社製)が挙げられる。
ポリビニルアルコールとしては、PVA117(商品名、クラレ社製)が挙げられる。
また、吸水性ポリマーは、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。
ポリビニルアルコールとしては、PVA117(商品名、クラレ社製)が挙げられる。
また、吸水性ポリマーは、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。
(酸性ガスキャリア)
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層は、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアの少なくとも一種を含む。酸性ガスキャリアとは、酸性ガスの分離において、膜中で酸性ガスのキャリアとして機能する。
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層は、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアの少なくとも一種を含む。酸性ガスキャリアとは、酸性ガスの分離において、膜中で酸性ガスのキャリアとして機能する。
なお、本明細書において、アルカリ金属塩の種類数は、アルカリ金属の種類によって定まるものとし、対イオンが異なっていても異種とは数えないこととする。つまり、炭酸カリウムと水酸化カリウムとを併用しても一種と数えることとなる。
アルカリ金属塩は、酸性ガスと親和性を有し、かつ、水溶性を示すものが好ましく、公知のものを用いることができる。キャリアは、酸性ガスと親和性を有する物質であり、塩基性を示す各種の水溶性の無機物質及び有機物質が用いられる。例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、及びアルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
また、アルカリ金属塩は、水に対する溶解度が高い点で、ルビジウム塩、セシウム塩、及びカリウム塩からなる群より選択される塩が好ましく、中でも、ルビジウム炭酸塩及びセシウム炭酸塩がより好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム等が挙げられる。
また、アルカリ金属塩は、水に対する溶解度が高い点で、ルビジウム塩、セシウム塩、及びカリウム塩からなる群より選択される塩が好ましく、中でも、ルビジウム炭酸塩及びセシウム炭酸塩がより好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム等が挙げられる。
なお、酸性ガス分離用複合体の上記以外の構成や製造方法については、後述の工程において詳細に説明する。
本発明における抽出工程では、酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、上記酸性ガスキャリアの抽出液を得る。詳細には、酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能を有する官能性化合物、キレート能を有する官能性化合物、イオン交換能とキレート能とを有する官能性化合物、及びアルカリ金属イオン吸着剤から選ばれる少なくとも1種を含む液(以下、酸性ガスキャリア回収用媒体ともいう。)を、浸漬等により接触させることで、酸性ガスキャリアの抽出液を得る。
このようにして得られた抽出液には、酸性ガスキャリアであるアルカリ金属イオンと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方と、アルカリ金属錯体と、が含まれているものと考えられる。
このようにして得られた抽出液には、酸性ガスキャリアであるアルカリ金属イオンと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方と、アルカリ金属錯体と、が含まれているものと考えられる。
(イオン交換能を有する官能性化合物)
イオン交換能を有する官能性化合物は、金属イオンをイオン結合により捕捉する官能基を有する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の脱離を促進するという観点から、スルホン酸基、リン酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン交換基を有する官能性化合物が好ましく、スルホン酸基、カルボキシル基を有する官能性化合物がより好ましい。
また、抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着を促進するという観点から、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のアニオン交換基を有する官能性化合物が好ましく、4級アンモニウム塩基を有する官能性化合物がより好ましい。
イオン交換能を有する官能性化合物は、金属イオンをイオン結合により捕捉する官能基を有する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の脱離を促進するという観点から、スルホン酸基、リン酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン交換基を有する官能性化合物が好ましく、スルホン酸基、カルボキシル基を有する官能性化合物がより好ましい。
また、抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着を促進するという観点から、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のアニオン交換基を有する官能性化合物が好ましく、4級アンモニウム塩基を有する官能性化合物がより好ましい。
イオン交換能を有する官能性化合物の具体例としては、カチオン交換基であるスルホン酸基を有するタウリン、ドロキシプロピルスルホン酸、カルボキシル基を有するピコリン酸、ビスヒドロキシエチルグリシン、アレンドロン酸ナトリウム三水和物や、アニオン交換基である4級アンモニウム塩基を有するセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(キレート能を有する官能性化合物)
キレート能を有する官能性化合物は、金属イオンを配位結合により捕捉する官能基を有する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着及び脱離を促進する効果を有する観点から、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、環状エーテル、環状アミン、フェノール誘導体、リジン誘導体、フェナンスロリン、テルピリジン、ビピリジン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ポリピラゾリルホウ酸、1,4,7−トリアゾシクロノナン、ジメチルグリオキシム、及びジフェニルグリオキシムから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する官能性化合物が好ましく、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、及び環状アミンから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する官能性化合物がより好ましい。
ここで「〜に由来する基」とは、上記ニトリロトリ酢酸誘導体等を構成する分子から水素原子が少なくとも1つ取り除かれた残基を意味する。
キレート能を有する官能性化合物は、金属イオンを配位結合により捕捉する官能基を有する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着及び脱離を促進する効果を有する観点から、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、環状エーテル、環状アミン、フェノール誘導体、リジン誘導体、フェナンスロリン、テルピリジン、ビピリジン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ポリピラゾリルホウ酸、1,4,7−トリアゾシクロノナン、ジメチルグリオキシム、及びジフェニルグリオキシムから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する官能性化合物が好ましく、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、及び環状アミンから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する官能性化合物がより好ましい。
ここで「〜に由来する基」とは、上記ニトリロトリ酢酸誘導体等を構成する分子から水素原子が少なくとも1つ取り除かれた残基を意味する。
キレート能を有する官能性化合物の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム、コリン、ホスホリルエタノールアミン、アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸等が挙げられる。
なお、上記イオン交換能を有する官能性化合物、及び上記キレート能を有する官能性化合物は、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、更に必要に応じて、その他の官能基を有していてもよい。
(アルカリ金属イオン吸着剤)
アルカリ金属イオン吸着剤は、物理的吸着により金属イオンを捕捉する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着を促進するという観点から、プルシアンブルーが好ましい。
アルカリ金属イオン吸着剤は、物理的吸着により金属イオンを捕捉する化合物であり、その種類は特に制限されず、目的とするアルカリ金属種に応じて、適宜選択することができる。
抽出液を酸性ガスキャリア源として使用した場合に、酸性ガス、特に二酸化炭素の吸着を促進するという観点から、プルシアンブルーが好ましい。
上記官能性化合物及びアルカリ金属イオン吸着剤の液中における含有量(2種以上の場合は総含有量)は、その種類にもよるが、抽出対象物と十分に相互作用させるという観点から、液全質量に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.002質量%〜18質量%がより好ましく、0.003質量%〜16質量%が特に好ましい。
−塗布液調製工程−
本発明における塗布液調製工程では、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する。本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、上記抽出工程にて得られた酸性ガスキャリアの抽出液と、吸水性ポリマーと、を少なくとも含んで構成されている。
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、製膜性(塗布性)や酸性ガス分離性に悪影響を与えない範囲で、上記成分に加え、その他の成分として、架橋剤、界面活性剤、触媒、保湿(吸水)剤、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明における塗布液調製工程では、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する。本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、上記抽出工程にて得られた酸性ガスキャリアの抽出液と、吸水性ポリマーと、を少なくとも含んで構成されている。
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、製膜性(塗布性)や酸性ガス分離性に悪影響を与えない範囲で、上記成分に加え、その他の成分として、架橋剤、界面活性剤、触媒、保湿(吸水)剤、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液の調製は、上記抽出工程にて得られた酸性ガスキャリアの抽出液と、吸水性ポリマーと、必要に応じて、架橋剤等の添加剤等とを充分に混合し、攪拌(必要に応じて攪拌しながら加熱)することで調製することができる。
なお、吸水性ポリマーの詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
なお、吸水性ポリマーの詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
(架橋剤)
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、架橋剤を含むことが好ましい。吸水性ポリマーの架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋等の従来公知の手法にて実施することができる。
架橋剤としては、特に、吸水性ポリマーとしてポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体を含有し、このポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体と反応して熱架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含有している態様が好ましい。このような架橋剤の例としては、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、多価アミン等が挙げられる。
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、架橋剤を含むことが好ましい。吸水性ポリマーの架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋等の従来公知の手法にて実施することができる。
架橋剤としては、特に、吸水性ポリマーとしてポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体を含有し、このポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体と反応して熱架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含有している態様が好ましい。このような架橋剤の例としては、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、多価アミン等が挙げられる。
塗布液中の吸水性ポリマーの含有量は、その種類にもよるが、バインダーとして膜を形成させるとともに、酸性ガス分離層が水分を十分保持できるようにする観点から、塗布液全固形分に対して、0.5質量%〜60質量%が好ましく、0.75質量%〜55質量%がより好ましく、1質量%〜50質量%が特に好ましい。
上記抽出工程にて得られた酸性ガスキャリアの抽出液は、塗布液中のアルカリ金属塩の含有量が、塗布液全質量に対して、好ましくは1質量%〜20質量%、より好ましくは1.5質量%〜17.5質量%、特に好ましくは2質量%〜15質量%となるように添加する。抽出液に含まれるアルカリ金属塩の種類にもよるが、上記範囲であれば、塗布前の塩析を防ぐとともに、酸性ガスの分離機能を確実に発揮させることができる。
次に、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法において、上記の塗布液調製工程後に行なう塗布工程及び乾燥工程、並びに冷却工程等の他の工程について、図1を参照しながら説明する。
図1は、酸性ガス分離用複合体を製造する製造装置の全体構成を示している。
図1に示されるように、酸性ガス分離用複合体の製造装置110は、長尺状の多孔質支持体112を一定方向に送り出す搬送手段の例である送り出しローラ114と、多孔質支持体112を支持する複数の裏面支持ローラ126と、送り出しローラ114から送り出された支持体112の搬送方向に沿ってその上流側から下流側に順に、支持体112の表面に酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布装置116と、支持体112上に塗布された塗布膜を非接触状態で冷却してゲル膜を得る冷却装置の例である冷却ユニット118と、支持体112上のゲル膜を非接触状態で乾燥させ、酸性ガス分離層とする乾燥装置の例である乾燥ユニット120と、乾燥ユニット120の支持体搬送方向下流に配置され、支持体112上に酸性ガス分離層が塗設された酸性ガス分離用複合体140を巻き取る搬送手段の例である巻き取りローラ122とを備えている。
図1に示されるように、酸性ガス分離用複合体の製造装置110は、長尺状の多孔質支持体112を一定方向に送り出す搬送手段の例である送り出しローラ114と、多孔質支持体112を支持する複数の裏面支持ローラ126と、送り出しローラ114から送り出された支持体112の搬送方向に沿ってその上流側から下流側に順に、支持体112の表面に酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布装置116と、支持体112上に塗布された塗布膜を非接触状態で冷却してゲル膜を得る冷却装置の例である冷却ユニット118と、支持体112上のゲル膜を非接触状態で乾燥させ、酸性ガス分離層とする乾燥装置の例である乾燥ユニット120と、乾燥ユニット120の支持体搬送方向下流に配置され、支持体112上に酸性ガス分離層が塗設された酸性ガス分離用複合体140を巻き取る搬送手段の例である巻き取りローラ122とを備えている。
送り出しローラ114には、支持体112が巻回される軸芯114Aが配設されており、軸芯114Aが矢印方向に回転することで支持体112が送り出される。そして、支持体112の裏面側が複数の裏面支持ローラ124に巻き掛けられた状態で、支持体112が一定方向に搬送され、塗布装置116、冷却ユニット118、乾燥ユニット120に順次送られるようになっている。これらを経由して製造された酸性ガス分離用複合体140は、巻き取りローラ122に巻き取られる。巻き取りローラ122には、酸性ガス分離用複合体140を巻き取る軸芯122Aが配設されており、図示しないモータにより軸芯122Aを矢印方向に回転させることで、酸性ガス分離用複合体140が所定の速度で軸芯122Aに巻き回されるようになっている。
本発明においては、既述のような酸性ガス分離層形成用塗布液を用い、これを図1に示されるようにロールツーロール法(Roll-to-Roll Processing)によって多孔質支持体に酸性ガス分離層を連続製膜し、酸性ガス分離用複合体を製造する。
本発明においては、既述のような酸性ガス分離層形成用塗布液を用い、これを図1に示されるようにロールツーロール法(Roll-to-Roll Processing)によって多孔質支持体に酸性ガス分離層を連続製膜し、酸性ガス分離用複合体を製造する。
−塗布工程−
本発明における塗布工程では、多孔質支持体上に、上記塗布液調製工程にて調製した酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する。例えば、図1に示す製造装置を用い、送り出しロール114から長尺状の多孔質支持体112を送り出し、これを塗布装置116の塗布ダイ136による塗布位置に搬送し、この多孔質支持体112上に塗布液を塗布することで塗布膜が形成される。なお、多孔質支持体の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
本発明における塗布工程では、多孔質支持体上に、上記塗布液調製工程にて調製した酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する。例えば、図1に示す製造装置を用い、送り出しロール114から長尺状の多孔質支持体112を送り出し、これを塗布装置116の塗布ダイ136による塗布位置に搬送し、この多孔質支持体112上に塗布液を塗布することで塗布膜が形成される。なお、多孔質支持体の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
塗布装置116は、酸性ガス分離層形成用塗布液が貯留される貯留部116Aと、貯留部116Aに貯留された塗布液が流れる塗布ダイ136とを備えている。塗布ダイ136は、塗布液の流量と、多孔質支持体112との隙間幅を自由に調節可能であり、様々な厚みの支持体に対して様々な厚みで塗布可能である。貯留部116Aには、図示していないが、塗布液の温度を調節するためのヒータ、及び塗布液を攪拌する攪拌装置が配設されている。
塗布工程における塗布液の温度が低下すると、粘度が上昇したり、吸水性ポリマーが析出(塩析)して、多孔質支持体への塗布が困難となったり、膜厚バラツキが大きくなるおそれがある。そのため、塗布液を調製後、塗布するまでの間はゲル化や塩析が生じないように保温することが好ましい。塗布工程における塗布液の温度は、組成や濃度に応じてゲル化や塩析が生じないように設定されればよいが、温度が高すぎると塗布液から水が蒸発して組成濃度が変化したり、局所的にゲル化が進行したりする恐れがあるので、通常は50℃以上であり、60〜85℃程度が好ましい。
塗布装置116は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が挙げられる。特に、膜厚均一性、塗布量等の観点から、エクストルージョンダイコーターが好ましい。
塗布量は、塗布液の組成、濃度等によるが、単位面積あたりの塗布量が少なすぎると、乾燥工程(又は冷却工程)で膜に孔が形成されたり、酸性ガス分離層としての強度が不充分となるおそれがある。一方、塗布量が多すぎると、膜厚バラツキが大きくなったり、得られる酸性ガス分離層の厚みが大きくなり過ぎて、酸性ガスの透過性が低下するおそれがある。
以上の観点から、塗布量は、乾燥工程を経て得られた酸性ガス分離層の厚みが1μm〜100μm、より好ましくは2μm〜90μm、特に好ましくは3μm〜80μmとなるように調整されることがよい。
以上の観点から、塗布量は、乾燥工程を経て得られた酸性ガス分離層の厚みが1μm〜100μm、より好ましくは2μm〜90μm、特に好ましくは3μm〜80μmとなるように調整されることがよい。
−乾燥工程−
本発明における乾燥工程では、上記塗布工程にて形成した塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする。例えば、図1に示す製造装置を用いる場合、支持体搬送路に設けられた乾燥ユニット120において、冷却ユニット118によりゲル化された支持体112上のゲル膜を乾燥させるとともに、熱架橋させて酸性ガス分離層を得る。
本発明における乾燥工程では、上記塗布工程にて形成した塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする。例えば、図1に示す製造装置を用いる場合、支持体搬送路に設けられた乾燥ユニット120において、冷却ユニット118によりゲル化された支持体112上のゲル膜を乾燥させるとともに、熱架橋させて酸性ガス分離層を得る。
例えば、乾燥ユニット120に搬送された多孔質支持体112上のゲル膜に温風(乾燥風)を当てて乾燥させるとともに、架橋させる。後述する冷却工程後の膜は、ゲル状に固定化されているため、乾燥用の風が直接当たっても崩れずに乾燥する。
乾燥風の風速は、塗布膜(冷却工程を経たときはゲル膜)を迅速に乾燥させることができる共に、塗布膜(又はゲル膜)が崩れない速度、例えば1m/分〜80m/分に設定することが好ましく、さらには2m/分〜70m/分がより好ましく、さらには3m/分〜40m/分が特に好ましい。本実施形態では、風速は30m/分としている。
乾燥風の温度は、多孔質支持体の変形等が生じず、かつ、塗布膜(冷却工程を経たときはゲル膜)を迅速に乾燥させる観点から、20℃〜80℃に設定することが好ましく、25℃〜70℃がより好ましく、更には30℃〜60℃が特に好ましい。本実施形態では、乾燥風の温度は約40℃としている。
乾燥風の温度は、多孔質支持体の変形等が生じず、かつ、塗布膜(冷却工程を経たときはゲル膜)を迅速に乾燥させる観点から、20℃〜80℃に設定することが好ましく、25℃〜70℃がより好ましく、更には30℃〜60℃が特に好ましい。本実施形態では、乾燥風の温度は約40℃としている。
乾燥工程における乾燥と架橋とは、同時に行なってもよいし、別々に行なってもよい。例えば、ゲル膜に温風を当てて乾燥させた後、赤外線ヒータ等の乾燥手段によって架橋させてもよいし、温風によって乾燥とともに架橋させてもよい。熱架橋は、例えば100℃〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。
本実施形態の乾燥ユニット120は、支持体112が搬入及び搬出されるハウジング120Aと、このハウジング120A内に配置されて支持体112の表面のゲル膜を乾燥させる複数の温風器132及び複数のハロゲンヒータ134とを備えている。温風器132は、支持体112の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、支持体112の表面に温風を吹き付けることによって、支持体112上のゲル膜を乾燥させる。
ハロゲンヒータ134は、支持体112の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、熱によって支持体112上のゲル膜を乾燥させるものである。本実施形態では、温風器132とハロゲンヒータ134とが交互に複数配置されており、これらの温風器132とハロゲンヒータ134によって支持体112の表面のゲル膜を乾燥するとともに熱架橋して酸性ガス分離層を得る。本実施形態では、温風器132とハロゲンヒータ134とが交互に複数配置されているが、この構成に限定されず、例えば複数の温風器132のみを備えた構成でもよい。
上記のほか、酸性ガス分離用複合体の製造装置では、必要に応じて、乾燥ユニット120よりも多孔質支持体112の搬送方向下流側に、多孔質支持体112の表面に形成された酸性ガス分離層の上にキャリア溶出防止層を形成するための塗布装置及び乾燥装置等を設けてもよい。
−その他の工程−
本発明においては、上記の各工程に加えて、冷却工程等の他の工程が設けられてもよい。
本発明においては、上記の各工程に加えて、冷却工程等の他の工程が設けられてもよい。
塗布工程と乾燥工程との間には、図1のように、塗布により形成された塗布膜を冷却してゲル膜を得る冷却工程を設けてもよい。この場合、ゲル膜を得る冷却工程の後に乾燥工程が設けられる。乾燥工程は、塗布膜から得たゲル膜を乾燥させて酸性ガス分離層とすることで、酸性ガス分離用複合体を得る。
冷却工程を設ける場合の塗布液は、液膜の厚みを1mm以下として12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質の組成に調製されるのが好ましい。また、冷却工程が設けられる場合、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら、上記の塗布工程、冷却工程、及び乾燥工程を順次連続して行なうことによって、酸性ガス分離用複合体の製造適性をより向上させることができる。
冷却工程を設けた場合、得られるゲル膜の厚さは、30μm以上、より好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上である。
<酸性ガス分離用複合体>
本発明の酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方とを含む酸性ガス分離層を設けて構成される。
本発明の酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方とを含む酸性ガス分離層を設けて構成される。
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層の厚みは、5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは10μm〜40μmであり、特に好ましくは15μm〜30μmである。厚みが50μm以下であることで、酸性ガス分離性により優れる。厚みが5μm以上であることで、分離膜としての機械的強度を保つことができる。
酸性ガス分離用複合体を構成する成分、すなわち、多孔質支持体、酸性ガス分離層を構成する吸水性ポリマー、アルカリ金属塩(酸性ガスキャリア)等の詳細については、既述の通りであり、各々の好ましい態様も同様である。
酸性ガス分離層中における吸水性ポリマーの含有量は、全固形分に対して、0.5質量%〜60質量%が好ましく、0.75質量%〜55質量%がより好ましく、1質量%〜50質量%が更に好ましい。吸水性ポリマーの含有量が0.5質量%以上であると、分離膜としての強度を十分に確保することができる。また、吸水性ポリマーの含有量が60質量%以下であると、分離性能の点で有利である。
また、酸性ガス分離層中におけるアルカリ金属塩の含有量は、全固形分に対して、25質量%〜85質量%が好ましく、30質量%〜80質量%がより好ましい。アルカリ金属塩の含有量が25質量%以上であることで、二酸化炭素透過性を良好に維持することができる。また、アルカリ金属塩の含有量が85質量%以下であると、膜強度を保つ点で有利である。
本発明の酸性ガス分離用複合体は、上記の構成に作製されれば、いずれの方法で製造されてもよいが、既述の本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法によって、最も好適に製造される。
<酸性ガス分離モジュール>
本発明の酸性ガス分離モジュールは、既述の本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は既述の本発明の酸性ガス分離用複合体を設けて構成されている。
本発明の酸性ガス分離モジュールは、既述の本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は既述の本発明の酸性ガス分離用複合体を設けて構成されている。
酸性ガス分離モジュールは、多孔質支持体と酸性ガス分離層とが積層された本発明の酸性ガス分離用複合体を平膜として設置してもよいし、逆浸透膜モジュールとして知られるスパイラル型や、例えば特開2010−279885公報に記載される形状を有するプリーツ型等に加工して利用することもできる。
以下、本発明の酸性ガス分離層をスパイラル型として組み込んだ酸性ガス分離モジュールを例に挙げて説明する。
以下、本発明の酸性ガス分離層をスパイラル型として組み込んだ酸性ガス分離モジュールを例に挙げて説明する。
図2は、本発明の酸性ガス分離モジュール10の一実施形態を示す、一部切り欠きを設けて示した概略構成図であり、図3は、その断面を表す斜視図である。
スパイラル型の酸性ガス分離モジュール10は、その基本構造として、有孔の中空状中心管12の回りに、酸性ガス分離用複合体の例である酸性ガス分離部材14とこれに隣接して設けられた流路材16とからなる積層体を単数あるいは複数を巻き回して構成される。酸性ガス分離部材14と流路材16とにより形成された酸性ガスを分離する領域の周辺は、モジュール内を通過する気体等の流体を遮断しうる材料で形成された被覆層18で被覆されている。
酸性ガス分離部材14は、多孔質支持体と酸性ガス分離層とを積層した積層体である本発明の酸性ガス分離用複合体である。
スパイラル型の酸性ガス分離モジュール10は、その基本構造として、有孔の中空状中心管12の回りに、酸性ガス分離用複合体の例である酸性ガス分離部材14とこれに隣接して設けられた流路材16とからなる積層体を単数あるいは複数を巻き回して構成される。酸性ガス分離部材14と流路材16とにより形成された酸性ガスを分離する領域の周辺は、モジュール内を通過する気体等の流体を遮断しうる材料で形成された被覆層18で被覆されている。
酸性ガス分離部材14は、多孔質支持体と酸性ガス分離層とを積層した積層体である本発明の酸性ガス分離用複合体である。
酸性ガス分離モジュール10に使用される流路材16は、供給される流体の乱流(膜面の表面更新)を促進して供給流体中の酸性ガスの膜透過速度を増加させる機能と、供給側の圧損をできるだけ小さくする機能とが備わっていることが好ましい。
流路材16としては、スペーサーとしての機能を有し、かつ、流体に乱流を生じさせることが好ましいことから、ネット状の流路材16が好ましく用いられる。ネットの形状により流体の流路が変わることから、ネットの単位格子の形状は、目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形等の形状から選択して用いられる。流路材16の材質としては、何ら限定されるものではないが、本発明の酸性ガス分離部材14が100℃以上の温度条件下で使用されることから、耐熱性の材料が好ましく、先に多孔膜の素材として挙げた材料が流路材16の材料として同様に好ましく用いられる。
既述のように、本実施形態では、酸性ガス分離モジュール10は、分離された酸性ガスを回収するための有孔の中空状中心管12の周辺に、高分子化合物層及び多孔膜の積層体(酸性ガス分離部材)14とネット状流路材16とを巻き付けることで形成された酸性ガスを分離する領域を備え、その周辺が流体不透過性の被覆層18で被覆されている。
酸性ガスを含む気体は、酸性ガス分離部材端部20から供給され、上記被覆層18により区画された、本発明の酸性ガス分離部材14を備える酸性ガスを分離する領域を透過する際に、高分子化合物層14を透過して分離された酸性ガスが中空状中心管12に集積され、該中空状中心管12に接続された開口部22より回収される。また、酸性ガス分離部材14における多孔質膜の空隙や流路材16の空隙を通過した、酸性ガスが分離された残余の気体は、酸性ガス分離モジュール10において、酸性ガス回収用の開口部22が設けられた側の、酸性ガス分離部材の端部24より排出される。
酸性ガス回収用の中空状中心管12には不活性ガス等から選ばれるキャリアガスが供給されてもよい。
酸性ガス回収用の中空状中心管12には不活性ガス等から選ばれるキャリアガスが供給されてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>酸性ガス分離モジュール(M1)の作製
封止欠陥を有する炭酸セシウム/炭酸カリウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)を、酸性ガスキャリア回収用媒体として用意したタウリン含有水(タウリン濃度:12質量%)に30分浸漬させ、膜中に存在する酸性ガスキャリアである炭酸セシウム及び炭酸カリウムをタウリン含有水中に抽出させた。
得られた抽出液を濾過し、不溶分を除去した後、炭酸セシウム濃度が40質量%となるように濃縮することにより、キャリア液Aを作製した。
クラストマーAP-20(クラレ社製;ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(吸水性ポリマー))2.4質量%、及び25質量%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製;架橋剤)0.01質量%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋した。その後、キャリア液Aを、炭酸セシウム濃度が3.66質量%になるように添加した(この際、炭酸カリウム濃度は0.61質量%となる。)。これに、更に、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;ジ(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(界面活性剤))を、濃度0.003質量%になるように添加し、昇温した。その後、別に調液しておいた寒天水溶液をこれに加え、塗布液(酸性ガス分離層形成用塗布液)とした。
多孔質支持体としてPTFE/PP不織布(GE社製)を用意し、この不織布の一方の面上に塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることで、多孔質支持体上に、酸性ガス分離層が設けられた酸性ガス分離用複合体を作製した。
封止欠陥を有する炭酸セシウム/炭酸カリウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)を、酸性ガスキャリア回収用媒体として用意したタウリン含有水(タウリン濃度:12質量%)に30分浸漬させ、膜中に存在する酸性ガスキャリアである炭酸セシウム及び炭酸カリウムをタウリン含有水中に抽出させた。
得られた抽出液を濾過し、不溶分を除去した後、炭酸セシウム濃度が40質量%となるように濃縮することにより、キャリア液Aを作製した。
クラストマーAP-20(クラレ社製;ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(吸水性ポリマー))2.4質量%、及び25質量%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製;架橋剤)0.01質量%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋した。その後、キャリア液Aを、炭酸セシウム濃度が3.66質量%になるように添加した(この際、炭酸カリウム濃度は0.61質量%となる。)。これに、更に、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;ジ(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(界面活性剤))を、濃度0.003質量%になるように添加し、昇温した。その後、別に調液しておいた寒天水溶液をこれに加え、塗布液(酸性ガス分離層形成用塗布液)とした。
多孔質支持体としてPTFE/PP不織布(GE社製)を用意し、この不織布の一方の面上に塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることで、多孔質支持体上に、酸性ガス分離層が設けられた酸性ガス分離用複合体を作製した。
次に、この酸性ガス分離用複合体を、分離膜面が内側になるように二つ折りにした。二つ折りにした谷部にカプトンテープを貼り、供給ガス流路用部材の端部によって谷部の分離膜面が傷付かないように補強した。そして、二つ折りにした酸性ガス分離用複合体に、供給ガス流路用部材として厚み0.799mmのポリプロピレン製ネットを挟み込んだ。該ネットを挟み込んだ酸性ガス分離用複合体の多孔質支持体側の面に、エンベロープ状になるように高粘度(約40Pa・s)のエポキシ樹脂からなる接着剤(ヘンケルジャパン社製;E120HP)を塗り、トリコット編みのエポキシ含浸ポリエステル製透過ガス流路部材を重ね、これを1ユニットとし、3ユニット分、透過ガス集合管の周りに多重に巻き付けることで、実施例1のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M1)を作製した。この酸性ガス分離モジュール(M1)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例2>酸性ガス分離モジュール(M2)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、プルシアンブルー水溶液(プルシアンブルー濃度:1質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M2)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M2)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、プルシアンブルー水溶液(プルシアンブルー濃度:1質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M2)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M2)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例3>酸性ガス分離モジュール(M3)の作製
連続使用後、性能が落ちた炭酸セシウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)から、酸性ガスキャリアである炭酸セシウムの回収を行なった以外は、実施例1と同様にして、実施例3のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M3)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M3)における分離膜の膜面積は1m2であった。
連続使用後、性能が落ちた炭酸セシウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)から、酸性ガスキャリアである炭酸セシウムの回収を行なった以外は、実施例1と同様にして、実施例3のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M3)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M3)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例4>酸性ガス分離モジュール(M4)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)水溶液(EDTA濃度:8質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例4のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M4)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M4)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)水溶液(EDTA濃度:8質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例4のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M4)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M4)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例5>酸性ガス分離モジュール(M5)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、コリン水溶液(コリン濃度:12質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例5のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M5)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M5)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、コリン水溶液(コリン濃度:12質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例5のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M5)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M5)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例6>酸性ガス分離モジュール(M6)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ホスホリルエタノールアミン水溶液(ホスホリルエタノールアミン濃度:9質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例6のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M6)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M6)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ホスホリルエタノールアミン水溶液(ホスホリルエタノールアミン濃度:9質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例6のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M6)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M6)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例7>酸性ガス分離モジュール(M7)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸水溶液(アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸濃度:2質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例7のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M7)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M7)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸水溶液(アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸濃度:2質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例7のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M7)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M7)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例8>酸性ガス分離モジュール(M8)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ピコリン酸水溶液(ピコリン濃度:4質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例8のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M8)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M8)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ピコリン酸水溶液(ピコリン濃度:4質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例8のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M8)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M8)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例9>酸性ガス分離モジュール(M9)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン水溶液(テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン濃度:1質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例9のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M9)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M9)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン水溶液(テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン濃度:1質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例9のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M9)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M9)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例10>酸性ガス分離モジュール(M10)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド濃度:11質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例10のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M10)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M10)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド濃度:11質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例10のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M10)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M10)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<実施例11>酸性ガス分離モジュール(M11)の作製
酸性ガスキャリア回収用媒体として、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム水溶液(1−トリデカンスルホン酸ナトリウム濃度:13質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例11のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M11)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M11)における分離膜の膜面積は1m2であった。
酸性ガスキャリア回収用媒体として、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム水溶液(1−トリデカンスルホン酸ナトリウム濃度:13質量%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、実施例11のスパイラル型酸性ガス分離モジュール(M11)を作製した。かかる酸性ガス分離モジュール(M11)における分離膜の膜面積は1m2であった。
<比較例1>酸性ガス分離モジュール(M12)の作製
封止欠陥を有する炭酸セシウム/炭酸カリウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)を、酸性ガスキャリア回収用媒体として用意したタウリン含有水(タウリン濃度:12質量%)に30分浸漬させ、取り出したものを比較例1の酸性ガス分離モジュール(M12)とした。
封止欠陥を有する炭酸セシウム/炭酸カリウム含有促進輸送膜モジュール(酸性ガス分離モジュール)を、酸性ガスキャリア回収用媒体として用意したタウリン含有水(タウリン濃度:12質量%)に30分浸漬させ、取り出したものを比較例1の酸性ガス分離モジュール(M12)とした。
<炭酸セシウムの理論回収率>
回収できた炭酸セシウム量を、回収対象モジュールの膜中に存在する炭酸セシウム量で割り、100を乗じて得られた値を炭酸セシウムの理論回収率とした。
なお、炭酸セシウム量は、ICP−MSを用いて常法により測定した。
回収できた炭酸セシウム量を、回収対象モジュールの膜中に存在する炭酸セシウム量で割り、100を乗じて得られた値を炭酸セシウムの理論回収率とした。
なお、炭酸セシウム量は、ICP−MSを用いて常法により測定した。
<ガス分離評価>
上記方法にて作製した各実施例及び比較例の酸性ガス分離モジュールについて、酸性ガスの分離性能を以下のような条件で評価した。
上記方法にて作製した各実施例及び比較例の酸性ガス分離モジュールについて、酸性ガスの分離性能を以下のような条件で評価した。
−条件−
テストガスとしてH2:CO2:H2O=45:5:50の原料ガス(流量2.2L/min)を温度130℃、全圧301.3kPaで、各酸性ガス分離モジュールに供給し、透過側にArガス(流量0.6L/min)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2透過速度(P(CO2))、及びCO2/H2分離係数(α)を算出した。P(CO2)及びαの算出結果を表1に示す。また、参考例として、封止欠陥のない酸性ガス分離モジュールの初期性能値も表1に示す。
表1において、「処理前」の欄は、「酸性ガスキャリア回収前」の酸性ガス分離モジュールの酸性ガス分離性能を示し、「処理後」の欄は、上記方法にて作製した酸性ガス分離モジュール(M1〜M12)の酸性ガス分離性能を示す。
表1における参考例は、封止欠陥のない酸性ガス分離モジュールであり、「処理前」の欄には、初期性能値を示す。
テストガスとしてH2:CO2:H2O=45:5:50の原料ガス(流量2.2L/min)を温度130℃、全圧301.3kPaで、各酸性ガス分離モジュールに供給し、透過側にArガス(流量0.6L/min)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2透過速度(P(CO2))、及びCO2/H2分離係数(α)を算出した。P(CO2)及びαの算出結果を表1に示す。また、参考例として、封止欠陥のない酸性ガス分離モジュールの初期性能値も表1に示す。
表1において、「処理前」の欄は、「酸性ガスキャリア回収前」の酸性ガス分離モジュールの酸性ガス分離性能を示し、「処理後」の欄は、上記方法にて作製した酸性ガス分離モジュール(M1〜M12)の酸性ガス分離性能を示す。
表1における参考例は、封止欠陥のない酸性ガス分離モジュールであり、「処理前」の欄には、初期性能値を示す。
表1の結果より、酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、得られた酸性ガスキャリアの抽出液を、新たに製造する酸性ガス分離用複合体における酸性ガス分離層の酸性ガスキャリア源として使用することで、酸性ガスの分離効率が高い酸性ガス分離用複合体が得られることがわかった。
10・・・酸性ガス分離モジュール
12・・・有孔の中空状中心管(中空状中心管)
14・・・酸性ガス分離部材(酸性ガス分離用複合体)
16・・・流路材
18・・・被覆層(流体非透過性の被覆層)
112・・支持体
116・・塗布ダイ(塗布装置)
118・・冷却ユニット(冷却装置)
120・・乾燥ユニット(乾燥装置)
122・・巻き取りローラ(搬送手段)
132・・温風器(乾燥装置)
134・・ハロゲンヒータ(乾燥装置)
140・・酸性ガス分離用複合体
12・・・有孔の中空状中心管(中空状中心管)
14・・・酸性ガス分離部材(酸性ガス分離用複合体)
16・・・流路材
18・・・被覆層(流体非透過性の被覆層)
112・・支持体
116・・塗布ダイ(塗布装置)
118・・冷却ユニット(冷却装置)
120・・乾燥ユニット(乾燥装置)
122・・巻き取りローラ(搬送手段)
132・・温風器(乾燥装置)
134・・ハロゲンヒータ(乾燥装置)
140・・酸性ガス分離用複合体
Claims (7)
- 多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、を含む酸性ガス分離層が形成された酸性ガス分離用複合体に、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方を含む液を接触させて、前記酸性ガスキャリアの抽出液を得る抽出工程と、
少なくとも前記酸性ガスキャリアの抽出液と吸水性ポリマーとを混合して、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、
多孔質支持体上に、前記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、
を有する酸性ガス分離用複合体の製造方法。 - 前記液が、イオン交換能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、スルホン酸基、リン酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種のカチオン交換基を有する請求項1に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
- 前記液が、イオン交換能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のアニオン交換基を有する請求項1又は請求項2に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
- 前記液が、キレート能を有する官能性化合物を含み、該官能性化合物が、ニトリロトリ酢酸誘導体、イミノジ酢酸、イミノジエタノール、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、環状エーテル、環状アミン、フェノール誘導体、リジン誘導体、フェナンスロリン、テルピリジン、ビピリジン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ポリピラゾリルホウ酸、1,4,7−トリアゾシクロノナン、ジメチルグリオキシム、及びジフェニルグリオキシムから選ばれる少なくとも1種に由来する基を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
- 前記液が、アルカリ金属イオン吸着剤として、プルシアンブルーを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
- 多孔質支持体上に、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる酸性ガスキャリアと、イオン交換能及びキレート能の少なくとも一方を有する官能性化合物とアルカリ金属イオン吸着剤との少なくとも一方と、を含む酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は請求項6に記載の酸性ガス分離用複合体を備えた酸性ガス分離モジュール。
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2013
- 2013-06-13 WO PCT/JP2013/066404 patent/WO2014050226A1/ja active Application Filing
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019097995A1 (ja) * | 2017-11-15 | 2019-05-23 | 住友化学株式会社 | 酸性ガス分離膜シートの製造方法及び製造装置 |
JP2019089034A (ja) * | 2017-11-15 | 2019-06-13 | 住友化学株式会社 | 酸性ガス分離膜シートの製造方法及び製造装置 |
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WO2014050226A1 (ja) | 2014-04-03 |
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