JP2014069032A - 被検体情報取得装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光音響トモグラフィーにおいて、被検体外の物質で発生した音響波によるノイズを抑えるための技術を提供する。
【解決手段】被検体に光を照射する照射部と、被検体から発生した音響波を受信する音響検出器と、音響波に基づき被検体内の情報を取得する処理部と、音響検出器を照射部から照射された光から遮蔽する光遮蔽体とを有し、光遮蔽体は音響検出器と音響的に絶縁されている被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図2
【解決手段】被検体に光を照射する照射部と、被検体から発生した音響波を受信する音響検出器と、音響波に基づき被検体内の情報を取得する処理部と、音響検出器を照射部から照射された光から遮蔽する光遮蔽体とを有し、光遮蔽体は音響検出器と音響的に絶縁されている被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、被検体情報取得装置に関する。
医療分野において、生体内部を非侵襲的にイメージングすることができる装置の一つとして、近年、光と超音波を用いて生体機能情報が得られるPhotoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案され、開発が進んでいる。
光音響トモグラフィーとは、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝播・拡散した光の吸収によって音響波(典型的には超音波)が発生するという光音響効果を用いて、音響波の発生源となる内部組織を画像化する技術である。受信された音響波の時間による変化を複数の個所で検出し、得られた信号を数学的に解析処理、すなわち再構成し、被検体内部の光学特性値に関連した情報を三次元で可視化する。再構成手法の一つにバックプロジェクションがあるが、これは、被検体中の音の伝播速度を考慮し、各受信信号を逆に伝播させ、重ね合わせることで信号源を特定する計算手法である。
パルス光に近赤外光を用いた場合、近赤外光は生体の大部分を構成する水を透過しやすく、血液中のヘモグロビンで吸収されやすい性質を持つため、血管像をイメージングすることができる。さらに、異なる波長のパルス光による血管像を比較することによって、機能情報である血液中の酸素飽和度を測定することができる。悪性腫瘍周辺の血液は良性腫瘍周辺の血液より酸素飽和度が低くなっていると考えられているので、酸素飽和度を知ることによって腫瘍の良悪鑑別を行えるようになると期待されている。
光音響波の強度pは数式(1)の関係で表わされるように、光の強度φに依存する。
p=Γ・φ・μa …(1)
ここでΓはグリューナイゼン定数、μaは光吸収係数である。この式で表わされるように、光吸収体の光吸収係数が大きな値だったとしても、届く光が少なければ発生する音響波は小さく、逆に、光吸収係数がそれほど大きくなかったとしても、届く光が多ければ、発生する音響波は大きくなる。
p=Γ・φ・μa …(1)
ここでΓはグリューナイゼン定数、μaは光吸収係数である。この式で表わされるように、光吸収体の光吸収係数が大きな値だったとしても、届く光が少なければ発生する音響波は小さく、逆に、光吸収係数がそれほど大きくなかったとしても、届く光が多ければ、発生する音響波は大きくなる。
光音響診断装置では被検体にパルス光を照射する。ここで、被検体の両側にそれぞれパルス光の照射口と音響検出器がある場合、言い換えると、照射口と音響検出器が被検体を挟むように配置されている場合を対向配置と呼ぶこととする。対向配置において、仮に被検体が照射口と音響検出器の間の位置から外れたとすると、音響検出器の表面に直接光が照射される。例えば、照射口と音響検出器を機械走査により移動させて被検体の様々な部位を測定する場合、被検体の端部を測定する際に、探触子の一部が被検体の影から外れることがあり得る。また、対向配置以外の配置であっても、反射などによってパルス光が音響検出器に照射される場合がある。
このような場合、光が当たった音響検出器の表面での光音響効果により、音響波が発生する。一般的に音響検出器の表面は光吸収係数が小さいとは言え、光が減衰せずに当たるので、発生する音響波の強度は無視し得ない大きさになる。被検体内の光吸収体が、被検体表面から深いところに位置していると、届く光は減衰しているので、発生する音響波は小さくなる。したがって、被検体内からの音響波強度よりも、被検体外(音響検出器)からの音響波強度の方が大きくなりかねない。
さらに、光照射により音響検出器表面と被検体内で同時に音響波が発生した場合、音響波の伝播時間を考慮すると、被検体内の光吸収体からの音響波よりも、音響検出器表面からの音響波の方が、音響検出器自身が備える受信素子によって早く検出される。すなわち、光照射後、最初に音響検出器表面からの大きな信号が受信され、この信号の応答が終わらないうちに被検体内部の信号が受信される。そのため、両者を時間的に分離することは困難であり、信号中には音響検出器表面など被検体外に由来する成分と、被検体内に由来する成分が混在することになる。かかる信号を再構成して得られる画像は、被検体外からの強い信号の重畳したものとなる。以下、被検体外からの信号をノイズと呼ぶ。
この問題に対処するために、特許文献1は、反射部材を音響検出器の表面に設置し、音響検出器の表面で吸収される光を少なくしている。
しかし、反射部材は光を100%反射するものではなく、一部を吸収してしまう。従って、被検体内の光吸収体の光吸収係数、反射部材の反射率、それぞれに届く光強度の関係によっては、反射が不十分であり、ノイズが画像に重畳する場合がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光音響トモグラフィーにおいて、被検体外の物質で発生した音響波によるノイズを抑えるための技術を提供することである。
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
被検体に光を照射する照射部と、
前記被検体から発生した音響波を受信する音響検出器と、
前記音響波に基づき前記被検体内の情報を取得する処理部と、
前記音響検出器を前記照射部から照射された光から遮蔽する光遮蔽体と、
を有し、
前記光遮蔽体は、前記音響検出器と音響的に絶縁されている
ことを特徴とする被検体情報取得装置である。
被検体に光を照射する照射部と、
前記被検体から発生した音響波を受信する音響検出器と、
前記音響波に基づき前記被検体内の情報を取得する処理部と、
前記音響検出器を前記照射部から照射された光から遮蔽する光遮蔽体と、
を有し、
前記光遮蔽体は、前記音響検出器と音響的に絶縁されている
ことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明によれば、光音響トモグラフィーにおいて、被検体外の物質で発生した音響波によるノイズを抑えるための技術を提供することができる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明の被検体情報取得装置には、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。
このような光音響効果を利用した装置の場合、取得される被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。音響検出器(例えば探触子)は、被検体内で発生又は反射した音響波を受信する。
[基本的な実施形態]
本発明の基本的な実施形態について説明する。以下の記載においては、本発明にかかる被検体情報取得装置の例として、光音響診断装置を取り上げて説明を行う。
本発明の基本的な実施形態について説明する。以下の記載においては、本発明にかかる被検体情報取得装置の例として、光音響診断装置を取り上げて説明を行う。
<光遮蔽体の特徴>
本発明の特徴である光遮蔽体の配置について図2を用いて説明する。図2の被検体3とは測定する対象である。パルス光Lを被検体に照射することによって、被検体内部にある光吸収体から音響波が発生する。音響検出器5は、発生した音響波を受信する。
光遮蔽体4はパルス光を遮蔽するものである。図2に示すように、本実施形態の光遮蔽体は、音響検出器を遮蔽することにより、音響検出器にパルス光が直接照射されないように配置される。一方、被検体にはパルス光が直接照射される。
本発明の特徴である光遮蔽体の配置について図2を用いて説明する。図2の被検体3とは測定する対象である。パルス光Lを被検体に照射することによって、被検体内部にある光吸収体から音響波が発生する。音響検出器5は、発生した音響波を受信する。
光遮蔽体4はパルス光を遮蔽するものである。図2に示すように、本実施形態の光遮蔽体は、音響検出器を遮蔽することにより、音響検出器にパルス光が直接照射されないように配置される。一方、被検体にはパルス光が直接照射される。
このとき、光遮蔽体から発生した音響波を、被検体から発生した音響波から分離できるように、被検体、光遮蔽体、音響検出器を設置しなくてはならない。それを実現する方法の一例として、光遮蔽体で発生した音響波が音響検出器に伝わらないようにする方法を述べる。その目的のために、ここでは、音響検出器と光遮蔽体との間に空気などの気体からなる気層を設けている。また、図2ではパルス光は、被検体を介して音響検出器に向かって照射されているが、パルス光の向きはこれに限られない。
光遮蔽体は光を完全に遮蔽するものが望ましいものの、光を完全に遮蔽できなくとも、光遮蔽体の遮蔽能力に応じたノイズ除去効果は得られる。ただし、十分な効果を得るためには、光遮蔽体を透過した光によって生じる音響検出器表面からの音響波が、被検体内の吸収体からの光音響信号よりも、所望するSN比に応じて小さくなければならない。多くの場合、70%程度の光を遮蔽できれば効果が見られる。
光遮蔽体は、パルス光を吸収、拡散、反射などの方法で被検体から遮蔽するが、吸収の
寄与が少ない方が、光遮蔽体での音響波の発生が抑制されるため、望ましい。また、気層に用いる気体は空気が望ましいが、音響検出器の検出面もしくは光遮蔽材と気体の音響インピーダンスが異なれば、遮蔽の効果が得られる。
寄与が少ない方が、光遮蔽体での音響波の発生が抑制されるため、望ましい。また、気層に用いる気体は空気が望ましいが、音響検出器の検出面もしくは光遮蔽材と気体の音響インピーダンスが異なれば、遮蔽の効果が得られる。
また、気層の代わりに金属などの音響反射材や樹脂などの音響吸収材を用いて、光遮蔽体で発生した音響波を音響検出器に伝えないようにすることも考えられる。音響波の絶縁は、光の遮蔽と同様に、絶縁能力に応じてノイズ除去効果が得られるので、完全に絶縁することが望ましいが、完全でなくとも、それに応じた効果が得られる。十分な効果を得るためには、不十分な絶縁のために光遮蔽体から生じた音響波が音響検出器に伝達したときの音響信号が、被検体内の吸収体で発生した光音響信号よりも、所望するSN比に応じて小さくなければならない。
<光遮蔽体の形状と設置方法>
光遮蔽体の形状の調整方法について説明する。形状の調整は、後に実施形態2で述べるように自動的に行われることが望ましいが、手動で行ってもよい。図10は光遮蔽体の形状調整方法について説明した図である。ここでは、紙面の手前からパルス光が照射され、紙面の奥に音響検出器があるものとする。
光遮蔽体の形状の調整方法について説明する。形状の調整は、後に実施形態2で述べるように自動的に行われることが望ましいが、手動で行ってもよい。図10は光遮蔽体の形状調整方法について説明した図である。ここでは、紙面の手前からパルス光が照射され、紙面の奥に音響検出器があるものとする。
図10(a)に、比較的単純な形状の調整方法を示す。この方法は、薄板状の光遮蔽体4を切り取り加工することによって、被検体3の形状に合わせるものである。手動で調整する場合は、特殊な設備を必要としないが、精度が悪い。また、自動で行う場合は大掛かりな設備が必要である。
次に図10(b)の方法は、細長い棒状の光遮蔽体4の位置を変更することによって、被検体3の形状に合わせるものである。この方法では細長い棒状の光遮蔽体を駆動させる駆動装置11が必要となる。この方法において、駆動装置への負荷を監視しておき、細長い棒状の光遮蔽体が被検体に当たった時の負荷を検知して、形状を自動調整することも可能である。駆動装置は本発明の駆動部に相当する。
図10(c)の方法は、液晶などを光遮蔽体4として用い、被検体3まで光を通したい部分は透明にし、光を遮断したい部分は色をつけるというものである。この方法は、操作電極14により電子的に遮断部分を制御することができるので、形状を自動調整するのに非常に便利である。
光遮蔽体の設置方法について図11を用いて説明する。図11は作図の関係上、光遮蔽体4と被検体3が接触しているように見えるが、実際は離れており、光遮蔽体で発生した音響波が音響検出器に伝播しないようになっている。
光遮蔽体の設置方法として、まず、図11(a)に示すように光遮蔽体4の両側を構造物15で固定する方法が挙げられる。この方法は光遮蔽体が自立できないような薄膜状の場合に有効である。
また、図11(b)に示すように構造物15の上に光遮蔽体4を自立させる方法もある。この方法は少ない構造物15で実現可能である。
また、図11(c)のように平板状の透明構造体16を設置し、その上に光遮蔽体4を設置する方法もある。この方法は、実施形態4で後述するような保持板がある場合に、特に構造物を追加することなく光遮蔽体を設置可能である。
また、図11(b)に示すように構造物15の上に光遮蔽体4を自立させる方法もある。この方法は少ない構造物15で実現可能である。
また、図11(c)のように平板状の透明構造体16を設置し、その上に光遮蔽体4を設置する方法もある。この方法は、実施形態4で後述するような保持板がある場合に、特に構造物を追加することなく光遮蔽体を設置可能である。
<装置全体の構成>
次に、本実施形態の構成要素について説明する。図1は本実施形態の構成要素を示すブロック図である。装置は、光源1、光照射装置2、光遮蔽体4、音響検出器5、電気信号
処理装置6、データ処理装置7、表示装置8からなっている。
次に、本実施形態の構成要素について説明する。図1は本実施形態の構成要素を示すブロック図である。装置は、光源1、光照射装置2、光遮蔽体4、音響検出器5、電気信号
処理装置6、データ処理装置7、表示装置8からなっている。
(光源)
光源1はパルス光を発生させる装置である。光源としては大出力を得るため、レーザーが望ましいが、発光ダイオードなどでもよい。光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体の場合、光源1から発生するパルス光のパルス幅は数十ナノ秒以下にすることが望ましい。また、パルス光の波長は生体の窓と呼ばれる近赤外領域であり、700nm〜1200nm程度が望ましい。この領域の光は比較的生体深部まで到達することができ、深部の情報を得ることができる。生体表面部の測定に限定すれば、500〜700nm程度の可視光から近赤外領域も使用してもよい。さらに、パルス光の波長は観測対象に対して吸収係数が高いことが望ましい。
光源1はパルス光を発生させる装置である。光源としては大出力を得るため、レーザーが望ましいが、発光ダイオードなどでもよい。光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体の場合、光源1から発生するパルス光のパルス幅は数十ナノ秒以下にすることが望ましい。また、パルス光の波長は生体の窓と呼ばれる近赤外領域であり、700nm〜1200nm程度が望ましい。この領域の光は比較的生体深部まで到達することができ、深部の情報を得ることができる。生体表面部の測定に限定すれば、500〜700nm程度の可視光から近赤外領域も使用してもよい。さらに、パルス光の波長は観測対象に対して吸収係数が高いことが望ましい。
(光照射装置)
光照射装置2は、光源1で発生させたパルス光を被検体3へ導く装置である。具体的には光ファイバーやレンズ、ミラー、拡散板などの光学機器である。また光を導く際に、これらの光学機器を用いて、パルス光の照射形状や光密度を変更することもある。光学機器は、必要な機能を満たすものであれば、ここの挙げたものに限定されない。光照射装置は、本発明の照射部に相当する。
光照射装置2は、光源1で発生させたパルス光を被検体3へ導く装置である。具体的には光ファイバーやレンズ、ミラー、拡散板などの光学機器である。また光を導く際に、これらの光学機器を用いて、パルス光の照射形状や光密度を変更することもある。光学機器は、必要な機能を満たすものであれば、ここの挙げたものに限定されない。光照射装置は、本発明の照射部に相当する。
(被検体)
被検体3は測定対象である。被検体として、生体または、生体の音響特性と光学特性を模擬したファントムを用いる。光音響診断装置では被検体の内部に存在する光吸収係数の大きい光吸収体をイメージングできるが、生体の場合、イメージングの対象はヘモグロビン、水、メラニン、コラーゲン、脂質などが挙げられる。ファントムの場合は以上のものの光学特性を模擬した物質を光吸収体として内部に封入する。また、生体は形状、特性に個人差、個体差がある。
被検体3は測定対象である。被検体として、生体または、生体の音響特性と光学特性を模擬したファントムを用いる。光音響診断装置では被検体の内部に存在する光吸収係数の大きい光吸収体をイメージングできるが、生体の場合、イメージングの対象はヘモグロビン、水、メラニン、コラーゲン、脂質などが挙げられる。ファントムの場合は以上のものの光学特性を模擬した物質を光吸収体として内部に封入する。また、生体は形状、特性に個人差、個体差がある。
(光遮蔽体)
光遮蔽体4は、パルス光が音響検出器5に直接照射されるのを防ぐために、光照射装置2の出射端と音響検出器5の間に設置されるものである。後で述べるが、被検体3にはパルス光が直接当たるが、音響検出器5にはパルス光が直接当たらないように光遮蔽体4を設置する。結果として、光遮蔽体4にパルス光が直接照射されることになり、光遮蔽体4から大きな音響波が発生する。この大きな音響波はノイズとしてふるまうため、被検体3、光遮蔽体4、音響検出器5の設置方法を工夫することによって、被検体3の中の光吸収体で発生する音響信号と分離できるようにする必要がある。
光遮蔽体4は、パルス光が音響検出器5に直接照射されるのを防ぐために、光照射装置2の出射端と音響検出器5の間に設置されるものである。後で述べるが、被検体3にはパルス光が直接当たるが、音響検出器5にはパルス光が直接当たらないように光遮蔽体4を設置する。結果として、光遮蔽体4にパルス光が直接照射されることになり、光遮蔽体4から大きな音響波が発生する。この大きな音響波はノイズとしてふるまうため、被検体3、光遮蔽体4、音響検出器5の設置方法を工夫することによって、被検体3の中の光吸収体で発生する音響信号と分離できるようにする必要がある。
光遮蔽体4の材質としては、パルス光に対して透明でないものが好ましい。例えば金属板や樹脂板、布製のカーテン等が考えられる。後述するように、光遮蔽体4は被検体3の形状に応じて、形状を調整することが望ましい。
なお、あらかじめ複数の形状の光遮蔽体4を用意しておき、被検体3に合わせて選ぶ方法でも良い。また、逆に光遮蔽体4の形状に合わせて被検体3の形状を調整してもよい。あるいは、光遮蔽体4を着脱可能な部材で構成し、必要に応じて取り付けまたは取り外しできることも好適である。
(音響検出器)
音響検出器5は、受信素子により音響波を電気信号に変換する。受信素子は単一でも良いが、複数であれば時間短縮などにつながる。また、音響検出器5を被検体3に対して走査すれば広い面積を測定できる。光音響診断装置では、被検体3内部から発生した音響波
を音響検出器5で受信するので、発生した音響波の反射、減衰を抑制するために、音響検出器5は、被検体3と音響的に結合されるように設置される必要がある。そのために、音響検出器5と被検体3の間に音響マッチングゲルや水、オイルなどの音響整合材を設けることが望ましい。
音響検出器5は、受信素子により音響波を電気信号に変換する。受信素子は単一でも良いが、複数であれば時間短縮などにつながる。また、音響検出器5を被検体3に対して走査すれば広い面積を測定できる。光音響診断装置では、被検体3内部から発生した音響波
を音響検出器5で受信するので、発生した音響波の反射、減衰を抑制するために、音響検出器5は、被検体3と音響的に結合されるように設置される必要がある。そのために、音響検出器5と被検体3の間に音響マッチングゲルや水、オイルなどの音響整合材を設けることが望ましい。
音響検出器は感度が高く、周波数帯域が広いものが望ましいが、具体的にはPZT、PVDF、cMUT、ファブリペロー干渉計を用いた音響検出器などが挙げられる。ただし音響検出器は、必要な機能を満たすものであれば、ここの挙げたものに限定されない。
(電気信号処理装置)
電気信号処理装置6は音響検出器5で得られた電気信号を増幅し、デジタル信号へと変換する。効率的にデータを取得するため、音響検出器の受信素子数と同じだけAnalog−digital Converter(ADC)があることが望ましい。あるいは、一つのADCを順々につなぎ換えて使用してもよい。
電気信号処理装置6は音響検出器5で得られた電気信号を増幅し、デジタル信号へと変換する。効率的にデータを取得するため、音響検出器の受信素子数と同じだけAnalog−digital Converter(ADC)があることが望ましい。あるいは、一つのADCを順々につなぎ換えて使用してもよい。
(データ処理装置)
データ処理装置7は、電気信号処理装置6によって得られたデジタル信号に基づき、被検体内の特性を反映した画像データを再構成する。データ処理装置として、具体的にはコンピュータ、電気回路などが挙げられる。この時の処理方法は、微分処理した信号を重ね合わせるユニバーサルバックプロジェクション法が望ましいが、画像を再構成できる方法ならどのような方法であってもよい。データ処理装置は、本発明の処理部に相当する。
データ処理装置7は、電気信号処理装置6によって得られたデジタル信号に基づき、被検体内の特性を反映した画像データを再構成する。データ処理装置として、具体的にはコンピュータ、電気回路などが挙げられる。この時の処理方法は、微分処理した信号を重ね合わせるユニバーサルバックプロジェクション法が望ましいが、画像を再構成できる方法ならどのような方法であってもよい。データ処理装置は、本発明の処理部に相当する。
(表示装置)
表示装置8はデータ処理装置7で生成された画像データを表示するものである。具体的にはコンピュータ用ディスプレイやテレビなどが挙げられる。
表示装置8はデータ処理装置7で生成された画像データを表示するものである。具体的にはコンピュータ用ディスプレイやテレビなどが挙げられる。
<処理フロー>
次に図3のフローチャートを用いて、実施方法について述べる。
まず、被検体を装置に設置する(S1)。次に、光遮蔽体を設置し(S2)、被検体の形状に合わせて光遮蔽体の形状を調整する(S3)。光遮蔽体の形状の調整方法によっては、先に形状を調整してから設置する。
次に図3のフローチャートを用いて、実施方法について述べる。
まず、被検体を装置に設置する(S1)。次に、光遮蔽体を設置し(S2)、被検体の形状に合わせて光遮蔽体の形状を調整する(S3)。光遮蔽体の形状の調整方法によっては、先に形状を調整してから設置する。
次に、パルス光を照射し(S4)、音響信号を取得する(S5)。このとき、光遮蔽体によって音響検出器からは音響波が発生せず、光遮蔽体から発生した音響波は音響検出器に届かないので、被検体からの音響信号のみを取得できる。得られた信号に対してバックプロジェクションなどのデータ処理を行い(S6)、計算された画像データを表示する(S7)。
以上述べたように、本発明にかかる光音響診断装置では、光遮蔽体の存在により、音響検出器表面で音響波が発生しない。その代わりに光遮蔽体で音響波が発生するものの、音響検出器には伝達されないので、パルス光照射によるノイズを除去でき、画像の画質を向上することができる。
[実施形態2]
ここでは、光遮蔽体の形状を自動的に調整する装置について述べる。本実施形態の構成は図4に示すように、基本的な実施形態にカメラ9、画像処理装置10、駆動装置11を加えたものになっている。パルス光の照射位置、被検体、光遮蔽体の配置をカメラ9で映して画像データとし、画像データを画像処理装置10で処理することによって光遮蔽体の調整幅、方向を計算し、その結果に基づき駆動装置11を用いて光遮蔽体の位置を調整する。
ここでは、光遮蔽体の形状を自動的に調整する装置について述べる。本実施形態の構成は図4に示すように、基本的な実施形態にカメラ9、画像処理装置10、駆動装置11を加えたものになっている。パルス光の照射位置、被検体、光遮蔽体の配置をカメラ9で映して画像データとし、画像データを画像処理装置10で処理することによって光遮蔽体の調整幅、方向を計算し、その結果に基づき駆動装置11を用いて光遮蔽体の位置を調整する。
このとき光遮蔽体としては、駆動装置11で形状が変形できるものを用いる。基本的な実施形態で述べたように、光遮蔽体の形状の調整は、薄板状光遮蔽体のカッターによる調整、棒状光遮蔽体の移動による調整、液晶光遮蔽体の電子的制御による調整などが考えられる。光遮蔽体は駆動装置で自動制御しやすいものが望ましく、液晶光遮蔽体の電子的制御による調整が好適である。ただし、自動調整が可能であれば、ここで挙げた形状調整方法には限定されない。
カメラは図12(a)のように、パルス光Lが照射する方向を撮影できるように配置し、照射位置、被検体、光遮蔽体の画像データを取得する。その結果として例えば、図12(b)のような画像データが得られる。図12(b)では音響検出器5の一部が光遮蔽体4の外に露出しており、パルス光Lが照射された状態となる。そこで画像処理によってこの音響検出器が露出した照射領域を判定して抽出し、その照射領域が見えなくなるように光遮蔽体を駆動させて、自動的に形状を調整する。この画像データに基づく判定、抽出および装置制御の処理は、データ処理装置によって実行できる。このときデータ処理装置は、本発明の抽出部として機能する。
実施方法に関しては、図3に示す通りである。基本的な実施形態では光遮蔽体の設置(S2)と光遮蔽体の形状調整(S3)が入れ替わることも考えられたが、本実施形態では入れ替えられない。なぜならば、パルス光の照射位置、被検体、光遮蔽体の配置をカメラで画像化する必要があるためである。
以上の方法によれば、生体のように被検体形状に個体差がある場合にも、本発明を簡便に実施することができる。
[実施形態3]
基本的な実施形態では、光遮蔽体と音響検出器を音響的に絶縁することによって、光遮蔽体から発生した音響波と、被検体内から発生した音響波とを分離していたが、ここでは時間的に分離する方法について述べる。
基本的な実施形態では、光遮蔽体と音響検出器を音響的に絶縁することによって、光遮蔽体から発生した音響波と、被検体内から発生した音響波とを分離していたが、ここでは時間的に分離する方法について述べる。
本実施形態の構成、実施方法は、基本的な実施形態と同じである。
本実施形態の光遮蔽体の設置方法について図5を用いて述べる。光遮蔽体4、被検体3、音響検出器5は、音響波を伝達する媒体中に設置される。媒体は被検体と音響インピーダンスが近いものが望ましく、被検体が生体の場合は音速、音響インピーダンスともに近い水が良い。水を保持する部材中に被検体等を配置すると良い。
本実施形態の光遮蔽体の設置方法について図5を用いて述べる。光遮蔽体4、被検体3、音響検出器5は、音響波を伝達する媒体中に設置される。媒体は被検体と音響インピーダンスが近いものが望ましく、被検体が生体の場合は音速、音響インピーダンスともに近い水が良い。水を保持する部材中に被検体等を配置すると良い。
光遮蔽体は、被検体にはパルス光Lが直接照射され、音響検出器にはパルス光Lが直接照射されないように設置する。さらにこの実施例では、光遮蔽体から発生した音響波を、被検体から発生した音響波から分離して除去するために、光遮蔽体から発生した音響波が、被検体から発生した音響波よりも遅く音響検出器に到達するようにする。そのために、音響検出器から見て、光遮蔽体を被検体より音響的に遠方に設置する。具体的な設置方法は後述する。二つの音響波を時間的に分けることができれば、被検体から発生した音響波の信号のみを用いて画像再構成を行い、ノイズの影響を受けていない画像が得られる。
これを実現する方法として以下に二つの方法を述べる。一つ目は、媒質中の音速が被検体と同じ程度のときに、音響検出器から見て、光遮蔽体を、被検体の音響検出器から遠い側の表面(光照射装置側の表面)より遠い位置に設置する方法である。
図6(a)において、音響検出器中のある受信素子を注目素子eとする。また、注目素子eの受信可能領域内において、光遮蔽体4で音響波が発生する箇所のうちで最も注目素
子eに近い箇所と、注目素子eとの距離をAとする。また、注目素子eの受信可能領域内において、被検体で音響波が発生する箇所のうち最も注目素子eから遠い箇所と注目素子eとの距離をBとする。
子eに近い箇所と、注目素子eとの距離をAとする。また、注目素子eの受信可能領域内において、被検体で音響波が発生する箇所のうち最も注目素子eから遠い箇所と注目素子eとの距離をBとする。
全ての音響検出器の受信素子においてA>Bが成立するように光遮蔽体を設置すると、光遮蔽体で発生した音響波は、被検体内で発生した音響波と時間的に完全に分離される。そこで、光遮蔽体で発生した信号を利用せずに画像再構成を行うことで、被検体のうち全領域にわたってノイズのない画像が得られる。よって、全ての音響検出器の受信素子においてA>Bが成立するように光遮蔽体を設置することが望ましい。
ただし、図6(b)に示すように、A<Bとなる場合があるような配置であっても、Aよりも伝播距離が短い領域Cの被検体内の信号からはノイズを除去することができ、光遮蔽体を設置する効果があると言える。
ここで、光遮蔽体をどこまで音響検出器に近づけられるかについて検討する。パルス光を被検体に照射すると、光吸収体だけでなく被検体表面でも音響波が発生する。すると、音響検出器は、被検体表面からの音響波も光吸収体からの音響波と同様に検出してしまい、被検体表面での信号と被検体内での信号が重畳する。その結果、図6(c)のように、被検体表面近傍の領域Dでは、ノイズ成分が増えて低SNとなる領域ができる。すなわち、光遮蔽体を被検体の光照射側表面よりも音響検出器側に近づけると、低SN領域を拡大させることになる。したがって、音響検出器から見た光遮蔽体の距離は、被検体の光照射側表面と同じ程度に留めておくことが好ましい。
よって、図6(d)のように、被検体の音響検出器から遠い面と音響検出器の距離をE、光遮蔽体のパルス光側の面と音響検出器の距離をFとすると、E≦Fとなるように光遮蔽体を設置することが好ましい。この時の距離は、音響検出器面からの垂線に沿った距離である。
以上の方法によれば、被検体と音響検出器を完全に音響マッチングさせるために、構成部品の全体を音響伝播媒体内に設置した場合でも、信号上においてパルス光照射によるノイズを除去し、画像の画質を向上させることができる。
また、被検体から発生した音響波と光吸収体から発生した音響波を時間的に分けるもう一つの方法として、音速の遅い媒体を満たす方法が挙げられる。光遮蔽体から発生した音響波は媒体を通って音響検出器に到達するので、音速が十分遅い媒体を用いれば、A<Bであったとしても、被検体から発生した音響波が先に到着し、光遮蔽体から発せした音響波は後から到着する。従って、信号を時間で区切って分離することができる。被検体が生体の場合、音速が十分遅い媒体としては酢酸系化合物、シリコンオイル、アセトンなどが挙げられる。当該媒体の音響伝播速度は、少なくとも被検体よりも遅いことが好ましい。
この方法を用いれば、音響伝播媒体内に設置した体系で設置スペースが限られている場合でも本発明を実施できる。
[実施形態4]
実施形態2では自動的に光遮蔽体の形状を調整する装置について述べたが、ここでは光遮蔽体の形状をパッシブに自動調整する装置として、ゲル状の光遮蔽体を用いる実施形態について述べる。
実施形態2では自動的に光遮蔽体の形状を調整する装置について述べたが、ここでは光遮蔽体の形状をパッシブに自動調整する装置として、ゲル状の光遮蔽体を用いる実施形態について述べる。
本実施形態の構成要素を、図7を用いて説明する。光源1、光照射装置2、被検体3、音響検出器5、電気信号処理装置6、データ処理装置7、表示装置8は、基本的な実施形
態と同じである。保持板12は被検体を挟み込むものであり、保持板を二枚用いて被検体3を挟むことが望ましいが、保持板一枚と音響検出器5で挟んでもよい。
態と同じである。保持板12は被検体を挟み込むものであり、保持板を二枚用いて被検体3を挟むことが望ましいが、保持板一枚と音響検出器5で挟んでもよい。
保持板12はパルス光を透過させられる材質のものが望ましい。また、音響検出器5を被検体3と音響的に接続するために、保持板二枚で被検体3を挟み込む場合は、被検体3と音響検出器5の間の保持板12としては、音響波を通すものを用いる。音響波、パルス光の両者を透過させる材料としてポリメチルペンテンが挙げられるが、条件を満たすものなら他の材料でも良い。
ゲル状光遮蔽体13は、ゾルやゲルのようにコロイド状の物質であり、パルス光に対して光学的に不透明である。例えば、波長700nm〜1200nmのパルス光に対しては、超音波ゲルに酸化チタン、インクや墨汁を分散させたものが挙げられる。また、被検体に対して十分柔らかく、変形しやすいものが好適である。
図8を用いて、ゲル状光遮蔽体13の設置方法について述べる。本図では1枚の保持板12と音響検出器5で被検体を挟持している。図8(a)に示すように、保持板12の被検体側にゲル状光遮蔽体13を塗布し、被検体を保持板と音響検出器で挟み込むために、保持板を被検体側に移動させる。
その結果、図8(b)のような状態になる。このとき、ゲル状光遮蔽体13は被検体によって回りに押し出され、被検体がある箇所は被検体と保持板が直接接触し、被検体がない箇所はゲル状光遮蔽体が覆うようになる。つまり、光遮蔽体は被検体の形状に合わせて自動的に形状調整される。これによって、光遮蔽体のパルス光Lに照射される面は、被検体と同じ距離になり、実施形態3で述べた図6(d)のE≦Fが成り立つ。したがって被検体内部から発生した信号のほとんどに音響遮蔽体から発生した信号が重畳しないので、図6(c)で示した領域Dを除いては高画質の画像が得られる。
以上の方法によれば、光遮蔽体の形状を調整する複雑な機構を備えずとも、自動的に被検体の形状に合わせて光遮蔽体の形状を調整することが可能となる。
[実施形態5]
本実施形態では、形状調整が容易で遮光性に優れた光遮蔽体として、布製のカーテンを利用する方法について述べる。
本実施形態では、形状調整が容易で遮光性に優れた光遮蔽体として、布製のカーテンを利用する方法について述べる。
本実施形態の装置構成は、図1と同様である。本実施形態における光遮蔽体4は、布製のカーテン形状の光遮蔽体であり、遮光性を備える。被検体に合わせて柔軟に形を変えられるカーテンは、形状調整の点で好ましい。また、カーテンの材質として防炎性を備えるものを利用することは、安全上の観点から好ましい。
このとき、カーテンを着脱可能な部材で構成し、必要に応じて取り付けまたは取り外しできることも好適である。例えば保持板と光照射装置の間にカーテンを配置する構成の場合、枠体となる骨組みを用意しておき、そこに光遮蔽体たるカーテンを磁石等で取り付けする方法が考えられる。これにより、被検体を測定位置に固定する際は光遮蔽体を取り外して作業しやすくし、測定する段階になってから取り付けることが可能となる。
また、カーテンレールやゴム等を用いて、作業時にはカーテンを脇に退避させておき、光照射時に被検体形状に合わせて調整する方法も考えられる。
また、カーテンレールやゴム等を用いて、作業時にはカーテンを脇に退避させておき、光照射時に被検体形状に合わせて調整する方法も考えられる。
以上の方法によれば、比較的安価かつ簡易な構成を持つカーテンを光遮蔽体として用いて光の照射状態を調整し、再構成画像中のノイズ成分を抑制して良好な診断画像を取得することが可能になる。
[実施例]
本発明の効果を実験にて確認した。被検体は半球状のファントムであり、ファントム母材の音響特性及び光学特性は生体に近づけた。また、ファントム内部には光吸収体が表面から5mm程度の位置に設置されており、光吸収体の光吸収係数はファントム母材に対して、約5倍であった。
本発明の効果を実験にて確認した。被検体は半球状のファントムであり、ファントム母材の音響特性及び光学特性は生体に近づけた。また、ファントム内部には光吸収体が表面から5mm程度の位置に設置されており、光吸収体の光吸収係数はファントム母材に対して、約5倍であった。
また、保持板として厚さ10mmのポリメチルペンテン二枚を被検体の両側に密着させ、さらに片側の保持板には、被検体に接する面と逆の面に1mmの油層を設け、その油層を通して音響検出器を密着させた。油層に用いたのはひまし油である。音響検出器の受信素子には、受信部の直径が2mm、中心周波数1MHzで帯域80%のPZTを用いた。このような受信素子を、平面方向に18x18個並べて音響検出器を構成した。また、音響検出器はXYステージに接続されており、音響検出器の面と同じ面方向に走査可能とした。
本発明の特徴たる光遮蔽体として、本実施例では、アルミニウム箔を用いた。このアルミニウム箔を被検体の形状に合わせて切り取り、音響検出器が接していない方の保持板に密着させた。
被検体の設置が完了したら、Nd:YAGレーザーを光源として、音響検出器と逆の面の光照射装置を経由して、波長1064nmのナノ秒オーダーのパルス光を被検体に照射した。そしてパルス光の照射、音響波信号の収集、走査を繰り返し、全信号データを得た。この時用いられたアナログデジタルコンバータは、サンプリング周波数20MHz、分解能12bitであった。音響波信号に対してバックプロジェクションによる画像再構成を行い、三次元画像データを得た。また、比較のために光遮蔽体を設置せずに、同様の測定を行った。
図9(a)に光遮蔽体を設置した場合の、図9(b)に光遮蔽体を設置しなかった場合の、再構成画像を示す。画像の形式は三次元画像データのMaximum Intensity Projection図である。
図9(b)のように光遮蔽体を設置しない場合は、ファントム内部に設置されている三本の光吸収体は見えているものの、被検体の外形を示す輪郭線の外側に大きなノイズが発生し、被検体内部の方まで浸食されている。
一方、図9(a)のように光遮蔽体を設置した場合は、被検体輪郭の外側のノイズは発生せず、光吸収体が浮かび上がっている。また、光吸収体の部分のシグナルノイズ比は、光遮蔽体がない場合は2.8だったのに対し、光遮蔽体がある場合は4.2となり、画質の改善がみられた。
以上のように、本発明によって、ノイズの発生を抑え、高画質の画像が得られることが示された。
1:光源,2:光照射装置,4:光遮蔽体,5:音響検出器,7:データ処理装置,12:保持板
Claims (13)
- 被検体に光を照射する照射部と、
前記被検体から発生した音響波を受信する音響検出器と、
前記音響波に基づき前記被検体内の情報を取得する処理部と、
前記音響検出器を前記照射部から照射された光から遮蔽する光遮蔽体と、
を有し、
前記光遮蔽体は、前記音響検出器と音響的に絶縁されている
ことを特徴とする被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体と前記音響検出器の間が気層となっている
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体と前記音響検出器の間に音響反射材が配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体と前記音響検出器の間に音響吸収材が配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記音響検出器から見て、前記光遮蔽体は前記被検体より音響的に遠方に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記音響検出器、前記被検体および前記光遮蔽体は、
前記音響検出器に含まれる受信素子の一つである注目素子の受信可能領域内において、光遮蔽体で音響波が発生する箇所のうち最も前記注目素子に近い箇所と、前記注目素子との距離をAとし、被検体で音響波が発生する箇所のうち最も前記注目素子から遠い箇所と、前記注目素子との距離をBとしたとき、前記音響検出器に含まれる全ての受信素子において、A>Bが成立するように配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体と前記音響検出器の間に、前記被検体より音響伝播速度の遅い媒体が配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得装置。 - 前記音響検出器、前記被検体および前記被検体に照射される光の配置を画像データとして取得するカメラと、
前記画像データに基づき前記光が前記音響検出器に直接照射される照射領域を抽出する抽出部と、
前記領域に合わせて前記光遮蔽体の形状を調整する駆動部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体の材質は金属である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体は樹脂板である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光遮蔽体はカーテンである
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記被検体を保持する保持板をさらに有し、
前記光遮蔽体は、前記保持板の前記被検体と接する面に塗布されるゲル状光遮蔽体である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記音響検出器と前記照射部を前記被検体に対して走査する装置をさらに有する
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
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JP2012220119A JP2014069032A (ja) | 2012-10-02 | 2012-10-02 | 被検体情報取得装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11172830B2 (en) | 2015-08-31 | 2021-11-16 | Canon Kabushiki Kaisha | Object information obtaining apparatus, display apparatus, and display method |
-
2012
- 2012-10-02 JP JP2012220119A patent/JP2014069032A/ja active Pending
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