JP2014066810A - 表示体および表示体の製造プロセス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造深さが200nm以上2μm以下かつアスペクト比が0.5以上2.0以下の第一の凹凸構造がレリーフ形成層に形成された第一領域と、第一の凹凸構造が形成されていない第二領域とを有し、アルミ層とベーマイト層の層厚の比が、第一の凹凸構造により決定されることにより、第一領域と第二領域とで表示体を透過する光の透過率を変化させることが可能となる。
【選択図】図2
Description
1.水洗インキを基材上にネガパターンで印刷しておき、その上から蒸着やスパッタリングを用いて全面に金属反射層を形成し、印刷されてある水洗インキを水で洗い流す際に、その上の金属反射層を取り除くことによりパターンを形成する水洗シーライト加工や、
2.金属反射層上にマスク剤をポジパターンで印刷し、マスク剤で印刷されていない部分を腐食剤で腐食させることによりパターンを形成するエッチング加工や、
3.金属反射層の内、除去したい部分に強いレーザを当てて金属反射層を選択的に破壊することによりパターンを形成するレーザ加工、
などが用いられてきた。
例えば特許文献1には、このホログラム形成シートの製造方法として、レリーフ型ホログラム形成面に所定パターン状に金属蒸着層が設けられ、さらに、金属蒸着層が設けられていない部分のレリーフ型ホログラム形成面に透明蒸着層が設けられて形成されることが記載されている。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、金属反射層として一般的に用いられているアルミ反射層が、部分的に、かつ、高い位置精度で形成され、さらに、透明蒸着層としてベーマイト層を有する表示体および表示体の製造プロセスを提供することである。
上記表示体は、前記第一領域の透過率が70%〜100%であり、前記第二領域の透過率が0%〜30%であってもよい。
こうすれば、第一領域は透明または半透明な領域として認識され、第二領域は不透明反射層が積層された領域として認識される表示体が作製できる。
こうすれば、第一領域で回折光を生じる表示体が作製可能となる。
上記表示体は、前記第一の凹凸構造は、少なくとも散乱構造を有してもよい。
こうすれば、第一領域で回折光を生じない表示体が作製可能となる。
こうすれば、透過率の高い領域において、複数の回折光による表現が可能となる。
上記表示体は、前記第一の凹凸構造の構造深さよりも低い構造深さかつ前記第一の凹凸構造の構造深さのアスペクト比よりも小さいアスペクト比の第二の凹凸構造が、前記第二領域に形成されてもよい。
こうすれば、透過率の低い領域において回折や散乱などの表現が可能となる。
こうすれば、第一領域の透過率が高い場合においても、レリーフ構造による回折や散乱の効果が失われることなく表現できる。
上記表示体は、前記ベーマイト層上に、屈折率1.53以下の材料が積層されていてもよい。
こうすれば、第一領域の透過率が高い場合においても、レリーフ構造による回折や散乱の効果が失われることなく表現できる。
上記表示体の製造プロセスは、前記第一領域の透過率が70%〜100%、前記第二領域の透過率が0%〜30%となる反応条件で前記熱水変性処理を行ってもよい。
こうすれば、第一領域では反射層が不透明反射層として機能し、第二領域では反射層が透明反射層として機能する表示体の製造か可能となる。
なお、本発明の表示体の主なる用途としては、例えば、紙幣、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、乗車券等の有価証券類、住民票、印鑑証明書、パスポート等の各種証明書類などが挙げられる。しかしながら、偽造品の不正利用を防止する用途であれば、特に限定されるものではない。
レリーフ形成層への凹凸構造の形成は、熱と圧力を用いて行う。レリーフ形成層については、特に形成中に紫外線を用い、ポリアクリレートまたはポリウレタン等の成形樹脂を硬化させる方式が好ましい。
レリーフ形成層に形成されるレリーフ形状は、微細な凹凸形状であればよく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものが含まれる。また、レリーフ形成層に形成されるレリーフ形状は、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターン、梨地柄、などでもよい。光回折凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞が凹凸模様で記録されたホログラムや回折格子が適用できる。
このうち、第一の凹凸構造としては、構造深さが200nm以上2μm以下、かつ、アスペクト比が0.5以上2.0以下の構造に限定されるが、構造深さが400nm以上2μm以下、かつ、アスペクト比が1.0以上2.0以下の構造がより好ましい。
さらに、第一領域には、構造深さ、アスペクト比、回折格子の間隔、構造の方向、の少なくとも一つの条件が異なる複数の凹凸構造を形成することが可能である。この場合、異なる凹凸構造を持った領域ごとに反射の特性が変化するため、反射特性の変化を用いて画像表現を行うことが可能となる。
ベーマイト層は、アルミ層を熱水変性処理することで形成される。すなわち、ベーマイト層は、レリーフ形成層とは反対の面のアルミ層上に被覆されるか、第一領域においてはアルミ層の全てが変性するので、レリーフ形成層上に被覆される。本発明に用いられるベーマイト層の厚みは、特に限定されないが、20nm以上の膜厚を有することが好ましい。これにより、ベーマイト層は、透明反射層として機能し、さらにバリア性を確保することができる。
図1は、本発明による表示体の一形態を示す平面図である。表示体は、第一の凹凸構造を有する第一領域1と、第一の凹凸構造を持たない第二領域2,3とからなる。第二領域2,3は、第一の凹凸構造とは異なる凹凸構造、例えばアスペクト比の低い回折格子などの構造を有する第二領域2と、構造の無い第二領域3からなる。図2は、図1に示す点線Aの部分の層構成を示す断面図である。第一領域1は、レリーフ形成層5とベーマイト層7の間のアルミ層6が存在せず、透過率の高い領域となっている。第二領域2,3では、レリーフ形成層5とベーマイト層7との間にアルミ層6が存在し、不透明反射層として機能する。第二領域2,3において、回折構造を有する第二領域2では、アルミ層6の効果により輝度の高い回折光の観察が可能である。一方、構造の無い第二領域3では、アルミ層6の効果により鏡面として観察される。
基材4として、厚み16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名E5102,東洋紡績社製)を用い、コロナ処理が施された面上にレリーフ形成層5をグラビアコーティングにより設けた。基材4をオーブンで乾燥することにより、レリーフ形成層5の膜厚は2μmとなった。
レリーフ形成層5に凹凸構造を形成するには、凹凸構造とは凹凸が逆の構造を持つ原版を用い、ロールエンボス装置にて熱プレスを行う。これにより、レリーフ形成層5に凹凸構造のレリーフ構造が成形された(第1の凹凸構造をレリーフ形成層の第1領域に形成するプロセス)。
レリーフ形成層5上にアルミ蒸着を行い、アルミ層6をレリーフ形成層5の全面に製膜した。構造の無い第二領域3におけるアルミ蒸着の膜厚は、50nmとなった(アルミ層を製膜するプロセス)。
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
2…構造を有する第二領域
3…構造の無い第二領域
4…基材
5…レリーフ形成層
6…アルミ層
7…ベーマイト層
8…接着層
Claims (10)
- 少なくとも、レリーフ形成層、アルミ層、ベーマイト層がこの順に積層された表示体であって、
前記レリーフ形成層は、構造深さが200nm以上2μm以下かつアスペクト比が0.5以上2.0以下の第一の凹凸構造が形成された第一領域と、前記第一の凹凸構造が形成されていない第二領域とを含み、
前記アルミ層は、前記第一領域と前記第二領域とを有する前記レリーフ形成層の全面または一部に積層され、
前記ベーマイト層は、少なくとも、前記アルミ層の全面と、前記アルミ層の被覆がない前記レリーフ形成層の全面または一部と、に積層され、
前記アルミ層の層厚と前記ベーマイト層の層厚との比が、前記第一の凹凸構造により決定されることを特徴とする表示体。 - 前記第一領域の透過率が70%〜100%であり、前記第二領域の透過率が0%〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
- 前記第一の凹凸構造は、少なくとも400nm〜1μmの間隔で回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示体。
- 前記第一の凹凸構造は、少なくとも散乱構造を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示体。
- 前記第一領域は、構造深さ、アスペクト比、回折格子の間隔、構造の方向、の少なくとも一つの条件が前記第一の凹凸構造と異なる複数の凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示体。
- 前記第一の凹凸構造の構造深さよりも低い構造深さかつ前記第一の凹凸構造の構造深さのアスペクト比よりも小さいアスペクト比の第二の凹凸構造が、前記第二領域に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示体。
- 前記レリーフ形成層の屈折率が1.53以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表示体。
- 前記ベーマイト層上に、屈折率1.53以下の材料が積層されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の表示体。
- 構造深さが200nm以上2μm以下かつアスペクト比が0.5以上2.0以下の第一の凹凸構造をレリーフ形成層の第一領域に形成するプロセスと、
前記第一領域と、前記第一の凹凸構造が形成されていない第二領域と、からなる前記レリーフ形成層に、前記レリーフ形成層により規定される平面に対して均一な表面密度でアルミ層を製膜するプロセスと、
前記第一領域に製膜された前記アルミ層のアルミニウムの未反応成分の割合が、前記第二領域に製膜された前記アルミ層のアルミニウムの未反応成分の割合に比べ低くなる反応条件で前記アルミ層を熱水変性処理するプロセスと、
を含む、ことを特徴とする表示体の製造プロセス。 - 前記第一領域の透過率が70%〜100%、前記第二領域の透過率が0%〜30%となる反応条件で前記熱水変性処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の表示体の製造プロセス。
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