JP2014062278A - アルミニウム酸化物イオンの定量方法、溶融塩中の水分定量方法、アルミニウム構造体の製造方法 - Google Patents

アルミニウム酸化物イオンの定量方法、溶融塩中の水分定量方法、アルミニウム構造体の製造方法 Download PDF

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【課題】 簡便な方法で溶融塩浴中の水分を定量することを目的とする。
【解決手段】有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩に含まれる水分に由来する酸化アルミニウムイオンの定量方法であって、窓材としてシリコン又はダイヤモンドを用い、2枚の前記窓材を平行から0.3°〜0.7°の角度で傾斜するように対向させたセル内に前記溶融塩を導入し、赤外分光光度計で790cm−1付近のAl−O結合に基づく吸収スペクトルを測定することを特徴とする、アルミニウム酸化物イオンの定量方法。前記アルミニウム酸化物イオンの定量方法によりアルミニウム酸化物イオンを定量するとともに、溶融塩の3360cm−1付近のAl−OH結合に基づく吸収スペクトルを測定して溶融塩に含まれる水分に由来するアルミ水酸化物イオンを定量し、酸化アルミニウムイオンの定量結果とアルミニウム水酸化物イオンの定量結果に基づいて溶融塩に含まれる水分量を定量する、溶融塩中の水分定量方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は溶融塩に含まれるアルミニウム酸化物イオン及び水分の定量方法、特にアルミニウムめっきに用いられる溶融塩浴中の水分定量方法、水分管理方法、および同管理方法を用いるアルミニウム構造体の製造方法に関する。
アルミニウムは導電性、耐腐食性に優れており、また軽量な材料であるから種々の用途に使用されている。例えばリチウムイオン電池にはアルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム等の活物質を塗布したものが正極材料として使用されている。またアルミニウム箔に代えて、アルミニウムの多孔体を正極材料に使用することで電池の大容量化を行うことも検討されている。
アルミニウムのめっきは、アルミニウムの酸素に対する親和力が大きく電位が水素より低いために水溶液系のめっき浴で電気めっきを行うことが困難である。このため従来より、非水溶液系のめっき浴でアルミニウムを電気めっきすることが検討されている。例えば金属の表面の酸化防止などの目的でアルミニウムをめっきする技術として、特許文献1にはオニウムハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物とを混合溶融した低融点組成物(溶融塩)をめっき浴として用い、陰極にアルミニウムを析出させることを特徴とする電気アルミニウムめっき方法が開示されている。
めっき浴中に水分が混入すると化学特性が変化して電気めっき性に悪影響を及ぼす。特許文献1には、赤外分光光度計を用いて3360cm−1付近のO−H伸縮振動波数を測定してめっき浴中の水分量を測定することが記載されている。
特許第3202072号公報
有機塩と塩化アルミニウムの混合塩である溶融塩は吸湿性が高い。溶融塩中に水分が混入すると下記式(1)で示される反応が起こり、アルミニウム水酸化物イオンが生成する。特許文献1ではこのようにして生成したアルミニウム水酸化物イオンに由来するO−H結合に基づく吸収スペクトルを測定して水分量を定量している。
AlCl+HO → Al(OH)Cl +H+Cl・・・(1)
しかし溶融塩中に水分が混入すると式(1)で示される反応だけでなく式(2)で示される反応が起こり、アルミニウム水酸化物イオンだけでなくアルミニウム酸化物イオンが生成する。特に水分が混入した後で時間が経つとアルミニウム酸化物イオン量が増加する。アルミニウム酸化物イオンに由来するAl−O結合に基づく吸収スペクトルは790cm−1付近に現れる。
Al(OH)Cl → AlOCl +H+Cl・・・(2)
溶融塩めっき浴を赤外分光光度計で分析する場合、溶融塩めっき浴は反応性が高いため、溶融塩めっき浴との反応が起こらない耐腐食性の高い窓材を選択する必要がある。このような窓材としてシリコン、ダイヤモンド、フッ化カルシウム等が挙げられるが、フッ化カルシウムは900cm−1以下の波長の赤外光を透過しない。またシリコン及びダイヤモンドは屈折率が高く干渉縞ノイズが出やすい。そこで本発明は、赤外分光光度計を用いた簡便な方法でアルミニウム酸化物イオンを定量し、溶融塩中の水分量を精度良く定量するための分析方法を提供することを課題とする。
本発明は、有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩に含まれる水分に由来するアルミニウム酸化物イオンの定量方法であって、窓材としてシリコン又はダイヤモンドを用い、2枚の前記窓材を平行から0.3°〜0.7°の角度で傾斜するように対向させたセル内に前記溶融塩を導入し、赤外分光光度計で790cm−1付近のAl−O結合に基づく吸収スペクトルを測定して定量することを特徴とする、アルミニウム酸化物イオンの定量方法である。
シリコン、ダイヤモンドは900cm−1以下の波数でも赤外光を透過し、また溶融塩に対する耐腐食性が高いため窓材として適している。しかしシリコン、ダイヤモンドは屈折率が高く赤外光が反射しやすいため光の干渉による干渉縞ノイズが高いという問題がある。そこで2枚の窓材を平行から0.3°〜0.7°の角度で傾斜するように対向させて測定することで干渉縞を低減し、Al−O結合に基づく790cm−1付近の吸収スペクトルを精度良く測定できることを見出した。これにより溶融塩に含まれるアルミニウム酸化物イオンを定量できる。なおアルミニウム酸化物イオンとはAlOCl 等、Al、O、Clを含むイオンを指すものとする。
また本発明は、有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩に含まれる水分を定量する水分定量方法であって、上記の定量方法によってアルミニウム酸化物イオンを定量すると共に、溶融塩の3360cm−1付近のAl−OH結合(アルミニウムに配位したO−H結合)に基づく吸収スペクトルを測定して溶融塩に含まれる水分に由来するアルミニウム水酸化物イオンを定量し、前記アルミニウム酸化物イオンの定量結果と前記アルミニウム水酸化物イオンの定量結果に基づいて前記溶融塩に含まれる水分量を定量する、溶融塩中の水分定量方法を提供する。アルミニウム酸化物イオン、アルミニウム水酸化物イオンを赤外分光光度計で測定することにより簡便な方法で溶融塩中の水分量を定量できる。なおアルミニウム水酸化物イオンとはAl(OH)Cl 等、Al、(OH)、Clを含むイオンを指すものとする。
さらに、サイクリックボルタンメトリー法(CV法)により溶融塩に含まれる水分量を定量し、CV法により得られた水分量と上記の方法によって得られた水分量とを合計すると好ましい。溶融塩中に混入した水分は上記のアルミニウム酸化物イオン、アルミニウム水酸化物イオンになるとともに、水(HO)そのものの形でも存在する。CV法によりこの水分量を測定することで、さらに精度良く溶融塩中の水分量を定量できる。
本願の別な発明は、有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩浴を用いてアルミニウムをめっきすることによるアルミニウム構造体の製造方法であって、前記溶融塩浴から溶融塩をサンプリングし、上記いずれかの水分定量方法により前記溶融塩に含まれる水分を定量するとともに、前記溶融塩に含まれる水分量が2.7体積%以下となるように水分量を管理することを特徴とするアルミニウム構造体の製造方法である。上記の水分定量方法により溶融塩浴中の水分量を管理することにより、安定してアルミニウムめっきを行うことが可能となる。溶融塩としてはイミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩が好ましく用いられる。
本発明によれば溶融塩中に含まれる水分の量を簡便な方法で精度良く定量することができる。
赤外分光光度計測定に用いるセルの断面模式図である。 CV法による水分測定方法の構成を説明する図である。 溶融塩めっきによるアルミニウム連続めっき工程の一例を説明する図である。 本発明の方法による赤外吸収スペクトルと、窓材にCaFを用いた場合の赤外吸収スペクトル測定結果を示す図である。 窓材にシリコンを用い、窓材を平行に対向させて測定した場合と、窓材を平行から5°傾斜させて測定した場合の赤外吸収スペクトル測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態をウレタン発泡体等の樹脂多孔体表面にアルミニウムをめっきするための溶融塩めっき浴を分析対象として説明する。なお本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
溶融塩としては塩化アルミニウムと有機塩との混合塩(共晶塩)を使用する。比較的低温で溶融する有機溶融塩浴を使用すると基材である樹脂多孔体を分解することなくめっきができ好ましい。有機塩としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が使用できる。なかでも1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましく使用できる。アルミニウムを平滑にめっきするため、この溶融塩中に1,10−フェナントロリンを0.25g/l以上7g/l以下添加することが好ましい。
上記の溶融塩試料を採取し、赤外分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定する。測定セルには2枚の窓材を使用し2枚の窓材の間に溶融塩試料を挟んで測定する。図1は赤外分光光度計に用いる測定セルの断面模式図である。窓材にはシリコン又はダイヤモンドを使用する。2枚の窓材1を対向させる。2枚の窓材1の間にスペーサ2を入れて、2枚の窓材同志の角度が平行から0.3°以上0.7°以下の範囲となるように調整する。スペーサにはセル内を密閉する効果もある。溶融塩試料は吸湿しやすい材料であり測定中に特性が変化する可能性があるため、水分吸収量が少ないと共に、溶融塩試料に腐食されにくい、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素樹脂をスペーサに使用するのが好ましい。2枚の窓材とスペーサに挟まれた空間である試料注入部3に溶融塩試料を入れ、赤外吸収スペクトルを測定する。
Al−O結合に基づく790cm−1付近のピーク高さから溶融塩試料に含まれるアルミニウム酸化物イオンを定量する。また、Al−OH結合(Alに配位したO−H結合)に基づく3360cm−1付近のピーク高さから溶融塩試料に含まれるアルミニウム水酸化物イオンを定量する。アルミニウム酸化物イオンの量とアルミニウム水酸化物イオンの量に基づいて溶融塩試料に含まれる水分を定量する。例えば、あらかじめ水分濃度を適宜変更して作製した標準試料の赤外吸収スペクトルを測定して検量線を作成し、この検量線に基づいて水分量を定量する。溶融塩めっき浴に含まれる水分量が2体積%以下となるように水分量を管理してアルミニウムをめっきする。
さらに、溶融塩試料中にイオン化していない水(HO)として含まれる水分量をサイクリックボルタンメトリー(CV)法で定量することができる。図2はCV法による水分測定方法の構成を説明する図である。ここでは、ポテンショスタットを用いたサイクリックボルタンメトリーについて説明する。水分測定の対象となる溶融塩浴4の中に、作用電極5、参照電極6,対電極7の3本の電極を置く。作用電極または/および対電極は、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム等の貴金属とすることが好ましい。参照電極は対象となる溶融塩浴中のイオン成分と共通する元素で構成されていると電位安定性に優れることから、アルミニウムを用いることが好ましい。それぞれの電極は測定器であるポテンショスタット8に接続される。各電極には作用電極5と参照電極6の電位差が測定者の意図する値になるようにポテンショスタットにより電圧が印加調整され、参照電極6には実質的に電流が流れない。ここで作用電極5と溶融塩浴4との境界面に生じる電圧によって、作用電極5の表面で溶融塩浴4中の遊離水分が電気分解され、対電極には電流が流れる。かかる電流の変化から電気分解の量、すなわち水分量を測定することができる。
具体的には、測定電流値の水分量への換算は次の様に行う。まず、測定対象とする溶融塩浴中に予め既知の水分を加えた試料を準備する。異なる水分量を加えた複数の試料を準備すると良い。かかる試料について実際に用いようとする前述のような測定系を構成し、電極間に電圧を印加して流れる電流値を測定する。この測定は一般的な電気化学測定装置および手法を用いることができる。サイクリックボルタンメトリーは一般に多用されている手法であり、必要な装置等も一般に入手可能なものを利用できる。一般には電圧を掃引した際の電流の変化から特定の電流値を読み出すことが行われる。準備した複数の試料について同様の測定を行い、得られた電流値と既知の水分量との関係をグラフ化、あるいは数式化等することで、検量線を得る。実際の水分測定においては、水分量が未知である測定対象について同様に測定された電流値と、先に求めた検量線から、水分量を算出することができる。赤外吸収スペクトル測定により求めた水分量とCV法により求めた水分量とを合計することにより、溶融塩中の水分をより正確に定量することができる。
次に、この溶融塩めっき浴を用いてアルミニウム構造体を製造する方法について説明する。図3は帯状樹脂に対してアルミニウムめっき処理を連続的に行うための装置の構成を模式的に示す図である。表面が導電化された帯状樹脂22が、図の左から右に送られる構成を示す。第1のめっき槽21aは、円筒状電極24と容器内壁に設けられた正電極25およびめっき浴23から構成される。帯状樹脂22は円筒状電極24に沿ってめっき浴23の中を通過することにより、樹脂全体に均一に電流が流れやすく、均一なめっきを得ることが出来る。めっき槽21bは、さらにめっきを厚く均一に付けるための槽であり複数の槽で繰り返しめっきされるように構成されている。表面に薄く金属層が設けられた帯状樹脂22を送りローラと槽外給電負極を兼ねた電極ローラ26により順次送りながら、めっき浴28に通過させることでめっきを行う。複数の槽内には樹脂の両面にめっき浴28を介して設けられた正電極27があり、樹脂の両面により均一なめっきを付けることができる。
このようなめっき工程において、めっき液である溶融塩を適宜サンプリングして赤外吸収スペクトルを測定する。赤外吸収スペクトル測定により溶融塩中のアルミニウム酸化物イオン量及びアルミニウム水酸化物イオン量を定量でき、この値から溶融塩中の水分量を定量できる。さらに、めっき浴である溶融塩浴中に作用電極12、参照電極13、対電極14をそれぞれ配置し、測定器15によって測定することにより溶融塩浴中の水分を測定することが可能である。このように簡便な測定系によって水分量が管理された製造装置により、低コストで安定した品質のアルミニウムめっきが可能となる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例)
塩化アルミニウム(AlCl)と3−メチルイミダゾリウムクロライドとを67mol%:33mol%の割合で混合した溶融塩を測定対象とする。かかる溶融塩に水分を(A)1.0%、(B)2.0%、(C)2.5%(それぞれ体積%)加えた試料を作成した。さらに、(A)〜(C)の試料を60℃で18時間加熱した液を試料(D)〜(F)とした。
(赤外吸収スペクトル測定による水分量測定:アルミニウム水酸化物イオン(Al−OH)検量線の作成)
塩化アルミニウム(AlCl)と3−メチルイミダゾリウムクロライドとを67mol%:33mol%の割合で混合した溶融塩に対し、水を0%、0.5%、1.0%、1.5%(それぞれ体積%)加えた4種類の試料を作成し、2枚のシリコン板が平行から0.5°傾斜するようにスペーサ(PTFE)で調整したセル内に試料を封入して赤外吸収スペクトルを測定した。3360cm−1付近のピーク強度を読み取り、含有水分に対する吸光度の増加率(近似曲線の傾き)及び初期水分量(近似曲線の切片)を算出してアルミニウム水酸化物イオンの検量線を作成した。
(赤外吸収スペクトル測定による水分量測定:アルミニウム酸化物イオン(Al−O)検量線の作成)
上記の4種類の試料を100℃で2時間加熱した後、アルミニウム水酸化物イオン検量線の作成時と同様に赤外吸収スペクトルを測定した。790cm−1付近のピーク強度を読み取り、含有水分に対する吸光度の増加率(近似曲線の傾き)及び初期水分量(近似曲線の切片)を算出してアルミニウム酸化物イオンの検量線を作成した。
(赤外吸収スペクトル測定による水分量測定)
2枚のシリコン板が平行から0.5°傾斜するようにスペーサ(PTFE)で調整したセル内に(A)〜(F)の試料をそれぞれ封入して赤外吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルチャートから790cm−1付近のピーク強度と3360cm−1付近のピーク強度を読み取り、アルミニウム酸化物イオン検量線及びアルミニウム水酸化物イオン検量線を元にしてアルミニウム酸化物イオン量に基づいた水分量とアルミニウム水酸化物イオン量に基づいた水分量を求めた。
(CV法による水分量測定)
作用電極に白金電極、参照電極にアルミニウム電極、対電極に白金電極を用い、サイクリックボルタンメトリー法により水分量を測定した。測定には、ポテンショスタットとしてプリンストンアプライドリサーチ社製VersaSTAT4、作用電極としてBAS社製白金ディスク電極(φ3.0mm)、参照電極および対電極としてニラコ社製純金属(線)を使用した。電圧を+1.1Vから低電位側に、掃引速度10mV/秒となるように作用電極の電位を変化させ、その際に流れる反応電流を計測した。水の電気分解反応が1.0V〜0.5Vの範囲で電流ピークを示すことから、この反応が起こらず、かつ無駄な測定電位範囲が最小となるように、反応が起こるより0.1V高い電位として初期電位の1.1Vを設定した。掃引速度は100mV/秒とすると電位の変化に電気分解反応速度が追従できず、測定誤差が大きくなること、1mV/秒とすると測定時間が長時間化するほか、液の流れや温度変化など外乱による測定誤差の増大に繋がることが確認できたため、10mV/秒と設定した。
(アルミニウム構造体の製造:導電化)
樹脂多孔体として厚み1mm、気孔率95%、気孔径300μmのウレタン発泡体を準備し、80mm×50mm角に切断した。ウレタン発泡体をカーボン懸濁液に浸漬し乾燥することで、表面全体にカーボン粒子が付着した導電層を形成した。懸濁液の成分は、黒鉛+カーボンブラック25%を含み、樹脂バインダー、浸透剤、消泡剤を含む。カーボンブラックの粒径は0.5μmとした。
(アルミニウム構造体の製造:溶融塩めっき)
表面に導電層を形成したウレタン発泡体をワークとして、給電機能を有する治具にセットした後、アルゴン雰囲気かつ低水分(露点−30℃以下)としたグローブボックス内に入れ、上記(A)〜(F)の溶融塩浴(33mol%EMIC−67mol%AlCl)に浸漬した。ワークをセットした治具を整流器の陰極側に接続し、対極のアルミニウム板(純度99.99%)を陽極側に接続し、直流電流を印加してアルミニウムをめっきした。電流密度は10ASD、めっき浴の温度は45℃とした。得られた多孔質アルミニウム構造体を顕微鏡で観察し、表面が平滑で良好にめっきできているものは○、表面に凹凸があったり変色が生じたものを×とした。以上の結果を表1に示す。
水分量合計が2.9体積%である試料(C)と、水分量合計が3.0体積%である試料(F)はめっき状態が悪い。これに対し、水分量合計が2.7体積%以下である試料(A)(B)(D)(F)は良好にめっき可能であり、溶融塩中の水分量を2.7体積%以下に管理しながらめっきを行うことで良好にアルミニウムめっきできることがわかる。
試料(C)、試料(F)は、Al−OHに基づく水分量はそれぞれ2.67%、1.56%であり、2.7体積%以下であり、実際に添加した水分量に比べて低い値となっている。特に加熱処理をした試料(F)ではその差が顕著であり、Al−OHの吸収スペクトルのみから推定した水分量は実際の水分量と差がある。本発明の方法によりアルミニウム酸化物イオンのAl−Oに基づく水分量が測定可能となり、従来のよりも精度良く溶融塩に含まれる水分量を定量できることがわかる。
(比較例1)
窓材としてフッ化カルシウム(CaF)を用い、2枚の窓材を平行に対向させたセルを用いて上記の溶融塩試料(A)の赤外吸収スペクトルを測定した。実施例で測定した赤外吸収スペクトルと比較例1の赤外吸収スペクトルとを、図4に示す。
(比較例2)
窓材としてシリコンを用い、2枚の窓材を平行に対向させたセルを用いて上記の溶融塩試料(A)の赤外吸収スペクトルを測定した。実施例で測定した赤外吸収スペクトルと比較例2の赤外吸収スペクトルとを図5に示す。
窓材としてフッ化カルシウム(CaF)を用いた比較例1の赤外吸収スペクトルは1000cm−1以下の領域ではノイズが大きく790cm−1付近のピークを観察することができない。これに対し、実施例の赤外吸収スペクトルは1000cm−1以下でも良好に測定でき、790cm−1付近のピークを観察できる。また2枚のシリコン窓材を平行に対向させたセルを用いた比較例2では全体にノイズが大きい。これは干渉縞の影響によると思われる。
1 窓材
2 スペーサ
3 試料注入部
4 溶融塩浴
5,12 作用電極
6,13 参照電極
7,14 対電極
8,15 測定器
21a,21b めっき槽
22 帯状樹脂
23,28 めっき浴
24 円筒状電極
25,27 正電極
26 電極ローラ

Claims (5)

  1. 有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩に含まれる水分に由来するアルミニウム酸化物イオンの定量方法であって、
    窓材としてシリコン又はダイヤモンドを用い、2枚の前記窓材を平行から0.3°〜0.7°の角度で傾斜するように対向させたセル内に前記溶融塩を導入し、赤外分光光度計で790cm−1付近のAl−O結合に基づく吸収スペクトルを測定して定量することを特徴とする、アルミニウム酸化物イオンの定量方法。
  2. 有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩に含まれる水分を定量する水分定量方法であって、
    請求項1に記載の方法によってアルミニウム酸化物イオンを定量すると共に、
    前記溶融塩の3360cm−1付近のAl−OH結合に基づく吸収スペクトルを測定して溶融塩に含まれる水分に由来するアルミニウム水酸化物イオンを定量し、
    前記アルミニウム酸化物イオンの定量結果と前記アルミニウム水酸化物イオンの定量結果に基づいて前記溶融塩に含まれる水分を定量する、溶融塩中の水分定量方法。
  3. さらに、サイクリックボルタンメトリー法(CV法)により溶融塩に含まれる水分量を定量し、CV法により得られた水分量と請求項2の方法によって得られた水分量とを合計することを特徴とする、溶融塩中の水分定量方法。
  4. 有機塩と塩化アルミニウムとの混合塩である溶融塩浴を用いてアルミニウムをめっきすることによるアルミニウム構造体の製造方法であって、前記溶融塩浴から溶融塩をサンプリングし、請求項2又は請求項3の水分定量方法により前記溶融塩に含まれる水分を定量するとともに、前記溶融塩に含まれる水分量が2.7体積%以下となるように水分量を管理することを特徴とする、アルミニウム構造体の製造方法。
  5. 前記溶融塩はイミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩である、請求項4に記載のアルミニウム構造体の製造方法。
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