JP2014062110A - 改善された生物学的利用能をもつイトラコナゾール組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた生物学的利用能をもつイトラコナゾールの剤型を提供する。
【解決手段】 式
0.35>ΔHtr (1)
(式中、ΔHtrは、約240℃での転移を伴う吸熱量(J/g)を示す)を満たすイトラコナゾールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む固体分散体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、イトラコナゾールの新規薬剤組成物ならびにその調製のためのプロセスに関する。
水性媒体にほとんど不溶の化合物であるイトラコナゾールの良好な生物学的利用能を持つ薬品組成物の開発は、本化合物の薬品開発の主要な挑戦の一つである。
イトラコナゾールすなわち(+)−シス−4−[4−[4−[4−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]−1−ピペラジニル]フェニル]−2,4−ジヒドロ−2−(1−メチルプロピル)−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンは、経口、非経口および局所使用のために開発された広域性抗真菌化合物であって、特許文献1に開示されている。
特許文献2は、イトラコナゾールとヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適当な水溶性高分子とを含む混合物を溶融−押出し、続いて該溶融物を粉砕することによって得られる粒子を含んだイトラコナゾール組成物を開示している。これらの組成物は、その時点で知られていたイトラコナゾールの経口剤型を超えた、イトラコナゾールの改善された生物学的利用能を示すものであった。
米国特許第4267179号明細書 国際公開第97/44014号明細書
それでもなお、より優れた生物学的利用能をもつイトラコナゾールの剤型を提供することが望ましい。
この目的は、式
0.35>ΔHtr
(式中、ΔHtrは、約240℃〜約250℃の範囲にある吸熱ピーク温度での転移を伴う吸熱量(J/g)を表す)を満足する、イトラコナゾールとヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む固体分散体によって実現される。
好ましくは、固体分散体は、式
0.20>ΔHtr
を満たす。
さらに好ましくは、固体分散体は、式
0.15>ΔHtr
を満たす。
本発明の錠剤は、先行技術であるSporanox(登録商標)カプセルより著しく低い食物効果を示したことが確認された。これは、食事の後に薬物を飲むことと空腹時に薬物を飲むことの間の差が、Sporanox(登録商標)カプセルが投与されるときより、本発明の錠剤が投与されるときの方が、著しく小さいことを意味する。薬物が1日の間のいつでも飲むことができて、食事の摂取にももはや依存しないので、もちろん、このことは大きな利点である。
さらに、吐き気を感じている、または、食べることができない患者でも本発明の錠剤を服用することができる。
異なるエネルギー導入量で製造した、3種の異なる固体分散体のDSC温度曲線(サーモグラム)である。
ΔHtrは示差走査熱量(DSC)測定によって求められる。より具体的には、溶融吸熱カーブは、まず示差走査熱量計を使用する以下の方法によって作成される。分散体の微細に磨砕された試料が示差走査熱量計の開放されたアルミニウムパンの中に置かれる。−20℃と300℃の間の吸熱量が、10℃/分の昇温速度で試料を加熱することによって得られる。最大のピークは、約240℃〜約250℃の範囲の、このように作成された溶融吸熱曲線の中に観測され(以下“約240℃での吸熱量”とも称する)、そして、それに関して観測されるエンタルピーの変化率(固体分散体の1gあたりのジュールによる)が、吸熱量ΔHtrであると判断される。エンタルピーの変化率は、ピークと補間されたベースラインの間で囲まれた領域に相当する。
本発明はさらに、イトラコナゾールとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体を含む医薬剤型に関しており、該剤型は、イトラコナゾール200mgの単回投与量の経口投与後に、400ng/mL以上、望ましくは450ng/mL以上というCmaxによって特性づけられるイトラコナゾールと(混合された)ヒドロキシイトラコナゾールの生体内血漿濃度を提供する。“Cmax”は、ヒトへの経口投与後に観測された最大血漿濃度を指す。血漿中のイトラコナゾールとヒドロキシイトラコナゾール濃度は、当該技術で認められたあらゆる方法で評価されることが可能である。
用語“固体分散”は、少なくとも2種の成分を含む(液体または気体状態とは対照的である)固体状態における一つのシステム(そこでは、一つの成分が、他の単数成分あるいは他の複数成分全体におおよそ均一に分散している)を規定する。前記の成分の分散が、該システムが一貫して化学的かつ物理的に一様あるいは均一である場合、または(熱力学で定義されているような)一つの相からなっている場合には、そのような分散は“固溶体”と呼ばれる。固溶体は、その中の成分が胃液のような液状媒体と接触するとき容易に溶液を形成するので、好ましい物理システムである。この増大した溶解傾向は、固溶体から成分を溶解させるために必要なエネルギーが、結晶性または微結晶性固相から成分を溶解させるために必要なエネルギーより小さいという事実に少なくとも一部は起因するのであろう。
用語“固体分散体”は、固溶体より一貫して均一さの劣る分散系をも含む。そのような分散は、化学的および物理的に一貫して一様ではないか、あるいは、一つ以上の相を含む。これらは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのマトリックスに分散された主として直径1μm未満のイトラコナゾールの微粒子を有するシステム、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース中のイトラコナゾールの固溶体のマトリックスに分散されたイトラコナゾール微粒子を有するシステムを含む。好ましいシステムは、該イトラコナゾールが基本的に非結晶相の中にあるシステムである。その理由は、それが、イトラコナゾールの一部または全体が微結晶性または結晶性の形態であるシステムよりも本来速い溶解速度を持っているからである。微結晶性または結晶性イトラコナゾール形態の不在は、熱分析(DSC)またはX線回折解析(WAXS)によって確認される。
理論に縛られることを望むことなく、我々は、結晶状態からネマティックな“液体”状態へのポリマー“溶融”は、ほとんどの場合において中間(結晶性液体)段階を経る変化を含む経路を使っている、と考える。出発するヒドロキシプロピルメチルセルロースが不完全に“溶融”しているならば、いくらかの中間的な領域は高分子マトリックス中に保持される。この中間的な領域は、それを溶融物と結晶の中間に配置させる熱力学的性質を持ち、したがって、約240℃で観測された吸熱量は、転移の潜熱、すなわち中間領域の溶融に起因する、と我々は考える。エンタルピーの変化率が小さくなればなるほど、製剤中の中間領域比率は小さくなり、かつ高分子マトリックスはより均一になる。高い生物学的利用能は、非常に均一なマトリックスと関連があると思われる。
イトラコナゾールの4種のジアステレオ異性体が存在し、その調製および有用性が国際公開第93/19061号明細書に開示されている。好ましいイトラコナゾール化合物は、(±)−(2R,4S)、すなわち遊離塩基のシス型であり、Chemical Abstracts Registry Number [84625-61-6] を持つ。ここで用いられる用語“イトラコナゾール”は、その立体異性体のいずれも、またはその立体異性体の2種または3種または4種の混合物を含む。
イトラコナゾール遊離塩基の代わりに、それの酸付加塩が使用される可能性もある。酸付加塩は、遊離塩基を適当な酸と反応させることによって得られる。適当な酸は、例えば、塩化水素酸または臭化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸;硝酸;リン酸などのような無機酸や、あるいは、例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)−ブタン二酸、(E)−ブタン二酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などのような有機酸を含む。
本発明を遂行する際に使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、当該化合物を水溶性にするのに十分な数のヒドロキシプロピル基およびメトキシ基を含む。
メトキシ基とヒドロキシプロピル基のトータル含量は、好ましくは23〜42重量%の範囲である。より好ましくは、メトキシ基とヒドロキシプロピル基のトータル含量は30〜42重量%の範囲である。好ましくは、メトキシ基含量は19〜30重量%(特に28〜30重量%)の範囲であり、ヒドロキシプロピル基含量は4〜12重量%(特に7〜12重量%)の範囲である。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒプロメローズ(hypromellose)としても知られている(マーチンデール(Martindale),The Extra Pharmacopoeia,第29版 (Pharmaceutical Press,1989)、1435頁を参照)。HPMCに関しては、3種のタイプが市販されている;メトキシおよびヒドロキシプロピル基の含量次第であり、HPMC2208、HPMC2906およびHPMC2910の3種。マ−チンデールによって記述されているように、HPMCに付随する4桁の数字において、最初の2桁はメトキシ基のおよそのパーセンテージを表し、3番目と4番目の桁はヒドロキシプロピル基のおよそのパーセンテージを表す。ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208は、トータル23〜36重量%中、メトキシ基19〜24重量%およびヒドロキシプロピル基4〜12重量%を含む;ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906は、トータル31〜37.5重量%中、メトキシ基27〜30重量%およびヒドロキシプロピル基4〜7.5重量%を含み、そしてヒドロキシプロピルメチルセルロース2910は、トータル35〜42重量%中、メトキシ基28〜30重量%およびヒドロキシプロピル基7〜12重量%を含む、ことが規定されている。これらのセルロースのいずれも本発明の実施において使用される可能性があり、HPMC2910が特に好ましい。
HPMCの分子量は、通常、粉砕された押出物の放出特性(release profile)ならびにその物理的性状の両方に影響する。こうして、適切な分子量のHPMCを選択することによって、望ましい放出特性を設計することが可能である。粒子からの活性成分の即時放出のためには、低分子量のポリマーが好ましい。高分子量HPMCは、徐放性薬剤形態を生産するのに向いている。HPMCのような水溶性セルロースエーテルの分子量は、通常、前記セルロースエーテル2重量パーセントを含む水溶液の20℃における見掛け粘度によって表現される。適切なHPMC類は、約1〜約100mPa・s、より好ましくは約3〜約15mPa・s、最も好ましくは、約5mPa・sの粘度を有するHPMCを含む。5mPa・sの粘度を有する最も好ましいタイプのHPMCは、市販のHPMC2910 5 mPa・sである。
HPMC出発原料の粒径分布は固体分散体の性質に対して二次的な影響があると考えられているが、HPMC出発原料は、好ましくは、d0.5が125μmより大きくない、より好ましくは100より大きくない粒度分布(レーザー光回折;マルベルン・マスターサイザー(Malvern Mastersizer)を使用して測定される)を有する。好ましくは、d0.9は300μmより大きくなく、より好ましくは245μmより大きくない。
好ましくは、イトラコナゾール:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比は、1:1〜1:17、より好ましくは、1:1〜1:1.5の範囲である。(イトラコナゾール):(HPMC2910 5mPa・s)の場合、この比率は、約1:1〜約1:2の範囲で変動し、最適は、約1:1.5(すなわち2:3)である。下限は、実際的な考慮事項によって決定される。実際に、イトラコナゾールの治療上有効量が1日につき約50mg〜約400mg、好ましくは1日につき200mgであるとすると、低限界比率は、実際のサイズの一つの剤型に加工することができる混合物の最大量によって決定される。水溶性高分子の相対量が上の許容可能な範囲を超えるとき、治療レベルに達成するために必要とされる混合物の絶対量があまりに大きすぎて、一個のカプセルまたは錠剤に加工することができない。錠剤は、たとえば、約1グラムの最大重量を持つことができ、それの最高90%(w/w)が押出物であることができる。この場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと比較したイトラコナゾールの量の下限は、約1:17(すなわちイトラコナゾール50mgおよびポリマー50mg)である。
イトラコナゾール:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比が増す(すなわちイトラコナゾールの量がポリマーの量に比して大きくなる)と、イトラコナゾールがポリマーに十分溶解せず、したがって求められる生物学的利用能が得られない、という危険性が存在する。化合物が水溶性高分子に溶解される度合いは、しばしば視覚的にチェックすることができる。押出物が透明であるならば、化合物は水溶性高分子に完全に溶解したと考えられる。1:1イトラコナゾール:ヒドロキシプロピルメチルセルロース上限値は、この比率で、HPMC2910 5 mPa・sとともにイトラコナゾールを押し出すことにより得られる押出物が、おそらくイトラコナゾールの全てがHPMCに溶解しなかったという事実が原因のせいで“澄んで”いないことが確認されたという事実によって決定される。1:1という上限値は他のタイプのHPMCにとっては過少評価である可能性があるということが認識されるであろう。
本発明の固体分散体は、溶融−押出プロセスによって調製される。
溶融−押し出しプロセスは、通常、以下の工程を含む:
a)イトラコナゾールとヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合すること;
b)均一な溶融物を得るために混合物を加熱すること、
c)こうして得られた溶融物を1個以上のノズルに強制的に通過させること;および
d)固体分散体を得るために該溶融物を固化させること。
具体的には、該方法は以下の工程を含む:
a)イトラコナゾールと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは2個以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物を混合すること;
b)均一な溶融物を得るために、予め設定された温度条件、剪断および処理速度の下で、該混合物を加熱すること;
c)こうして得られた溶融物を1個以上のノズルに強制的に通過させること;
d)固体分散体を得るために溶融物を固化させること;
e)得られた固体分散体の代表的な試料を示差走査熱量測定にかけること;そして、必要ならば、
f)固体分散体が式
0.35 >ΔHtr
好ましくは、0.20>ΔHtr
より好ましくは、0.15>ΔHtr
(式中、ΔHtrは、約240℃〜約250℃の範囲にある吸熱ピーク温度での転移を伴う吸熱量(J/g)を表す)を満たすように、工程b)において使用される温度条件、剪断および処理速度を調節すること。
用語“溶融物”および“溶融”は、広く解釈されるべきである。我々の目的のためには、これらの用語は、固体状態から液体状態への変化を意味するだけでなく、ガラス状態またはゴム状態への転移をも指すことができ、そこにおいては、混合物の一成分が他の成分中におおよそ均一に組み込まれることが可能である。特別な場合には、一つの成分が溶融し、他の成分(類)がその溶融物に溶解して溶液を形成し、それが、冷却する際、有利な溶解特性を有する固溶体を形成することがある。
溶融および/または混合は、この目的のために通例使用される装置内で行われる。押出機または混練機が特に適している。適切な押出機は、一軸スクリュー押出機、噛合いスクリュー押出機あるいは多軸スクリュー押出機を含み、好ましくは、共回転あるいは逆回転が可能であるとともに任意に混練ディスクを具備した二軸スクリュー押出機である。あらゆる二軸スクリュー配合押出機の中心はそのスクリューである。通常、スクリューは、原料を運ぶために、前方送り用素子(forward-flighted elements)を含む;さらに、それらは、圧力場を創るために後方送り用素子(reverse-flighted elements)を、そして溶融物に混練作用を与えるために混練機および剪断素子を含む。スクリューは、スクリュープログラムに組み込まれた剪断素子の数およびタイプに基づいて、剪断を強力にしたり、弱めたりすることができる。
溶融物は、糊状から粘り気のある状態まで変動する。溶融物が固化される前に、溶融物は実質的にあらゆる望ましい形に成形される。押出物の成型は、それらの表面に相互に適合する窪みをもつ2個の逆回転ローラーを有する圧延カレンダーによって都合よく遂行される。幅広い範囲の錠剤形態が、窪みが異なる形状のローラーを使用することによって達成することができる。あるいは、押出物は、固化の前(ホットカット)またはその後(コールドカット)のいずれかで、粉々に切断される。
一つの態様では、溶融物は、フィルムを得るためにスロットダイを通して押し出される。このようにして得られたフィルムは、任意に、軸方向または二軸方向に延伸される。フィルムは、望ましいサイズに切断することができる。
溶融−押出製造の間のエネルギー導入量が良好な生物学的利用能にとって重要であることが分かっている。あとに続く実施例の結果に基づいて、押出プロセスにおけるエネルギー導入量が高くなればなるほど、マトリックス中のイトラコナゾールの分散は良くなることが想定される。240℃での低い吸熱量は、より良好な分散を示唆する。
溶融−押出プロセスの間のエネルギー導入量を支配する最も重要なパラメータの一つは、溶融−押出機が作動している温度および溶融物を強制的に押し出すノズルが保持する温度である。温度は、押出機バレルの端から端までで異なることがある。本明細書における目的にとって、“操作温度”とは、混合物が押出機を通るその通過の間で接する最高温度である。操作温度は約195℃と約300℃との間の範囲にあるべきであると判った。195℃より低い温度では、押出物は、必要とされる生物学的利用能を持たない。そのうえ、該プロセスは、混合物の高い粘度のために困難である。300℃以上の温度では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが許容外のレベルまで分解する可能性がある。300℃までの温度ではイトラコナゾールの分解を恐れる必要はないことに注目すべきである。この活性成分が熱的に非常に安定であるからである。作業温度はまた、押出機の種類および使用される押出機の中の構造によって決定される。
処理速度もまた重要である。混合物が発熱素子とより長く接触したままであるほど、エネルギー導入量は高くなる。
押出機中で成分を溶融し、混合し、溶解するために必要とされるエネルギーの大部分は、普通発熱素子によって供給されるが、押出機中での原料の摩擦もまたエネルギーのかなりの量を混合物に供給し、成分の均一な溶融物の生成を助ける。こうして、押出機のスクリュー回転数の変化は、エネルギー導入量に影響を与える。我々は、通常、毎分80回転以上、好ましくは、毎分100回転以上毎分350回転までのスクリュー回転数が、十分な混合および剪断をもたらすために必要であることを発見した。
本発明の方法では、溶融物は、押出機の混練セクションにおいて混練作用にかけられることが好ましい。混練セクションは、混練ディスクまたは回転羽根を備えている。
上記の説明およびあとに続く実施例に基けば、ΔHtrに関係する上記の式を満たす押出物を作成するために、当業者が溶融物押出プロセスにおける適切なパラメータを選択することができることが理解されるであろう。
固体分散体は、1種以上の薬学的に許容される、例えば、可塑剤、界面活性剤、香料、着色剤、防腐剤などの賦形剤をさらに含むことがある。前記賦形剤は熱に過敏であってはならない、言い換えると、それらは、溶融−押出機の作業温度において、確認されるいかなる劣化または分解も示してはならない。
可塑剤の量は、好ましくは少なく、0%〜15%(W/W)、好ましくは5%(W/W)未満のオーダーである。特に、可塑剤は固体分散体の中には存在しない。以下に言及される可塑剤は、イトラコナゾール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび可塑剤の溶融物が形成される温度を降下させる;この融点の降下は、時には好都合である。適切な可塑剤は薬学的に許容されたものであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコールのような低分子量多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのようなポリエチレングリコール;1,000g/モルより低い分子量を有する他のポリエチレングリコール;200g/mol未満の分子量を有するポリプロピレングリコール;モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルのようなグリコールエーテル;プロピレングリコールモノエチルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ソルビトールラクテート(sorbitol lactate)、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、グリコール酸アリルのようなエステル型可塑剤;および、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンのようなアミン;トリエチレンテトラアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどを含む。これらの中で、低分子量ポリエチレングリコール、エチレングリコール、低分子量ポリプロピレングリコールおよび特にプロピレングリコールが好ましい。
用語“薬学的に許容される界面活性剤”とは、薬学的に許容される非イオン性界面活性剤を指す。界面活性剤は、剤型から放出された活性成分の即座の乳化に影響し、消化管の水性流体の中での活性成分の沈殿を防止する可能性がある。好ましい界面活性剤は、以下から選択される:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えば、PEG−200モノラウレート、PEG−200ジラウレート、PEG−300ジラウレート、PEG−400ジラウレート、PEG−300ジステアリン酸またはPEG−300ジオレイン酸;アルキレングリコール脂肪酸モノエステル、例えば、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol(登録商標));ショ糖脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロースまたはジラウリン酸スクロース;ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20)、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標)40)またはソルビタンステアレートのようなソルビタン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えばポリオキシエチレングリセロールトリリシノレートまたはポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL;BASF社)、またはポリエチレングリコール40水素添加ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH40)またはポリエチレングリコール60水素添加ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH60)のようなポリオキシエチレングリセロールオキシステレート;あるいは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーまたはポリオキシエチレンポリプロピレングリコールとして知られるエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであって、例えばPoloxamer(登録商標)124,Poloxamer(登録商標)188,Poloxamer(登録商標)237,Poloxamer(登録商標)388またはPoloxamer(登録商標)407(BASFワイアンドット社);あるいは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)またはそれらの1個以上の混合物)。
固体分散体は、好ましくは、600μm未満、好ましくは400μm未満、最も好ましくは125μm未満の粒子サイズを持つ粒子に粉砕されるか、または磨砕される。粒径は、十分な硬度を持つ錠剤が大規模に製造されうる速度を決定することにおいて重要な要素であることが判っている;粒子が小さければ小さいほど、その品質に関して有害な影響なく、錠剤成形速度をより高くすることができる。粒径分布は、粒子(重量で測定された)の70%以上が約50μm〜約500μm、約50μm〜約200μm、特に約50μm〜約125μmの範囲にある直径を持っているようなものである。ここに記載された大きさをもつ粒子は、CRC ハンドブック,第64版.,F−114頁に記載された、公称標準試験ふるいを通してふるい別することによって得ることができる。公称標準ふるいは、メッシュ/孔幅(μm)、DIN 4188(mm)、ASTM E 11−70(番号)、Tyler(登録商標)(メッシュ)値、あるいはBS 410(メッシュ)値によって特性づけられる。本明細書全般にわたって、粒径は、μmでのメッシュ/孔幅およびASTM E11−70基準における対応のふるい番号を参照することによって示される。
一旦押出物が得られると、それは、粉砕され、ふるい別され、そして“標準”成分として製薬剤型を作るために使用される。
固体分散体の粒子は、粒子を治療効果が発現する有効量で含む製薬剤型に形作られることができる。主に、錠剤およびカプセルのような内服投与のための製薬剤型が構想されるが、本発明の粒子は、たとえば直腸内投与のための製薬剤型を調製するためにも使用することができる。好ましい剤型は、錠剤として形づくられた経口投与に適したものである。それらは、従来の成分または賦形剤と従来の成形機械とを用いた従来の成形技術によって生産することができる。そのうえ、それらはフィルムコートされたコアよりも実質的に低いコストで生産することができる。イトラコナゾールの有効抗真菌1日量は、約50mg〜約300mg(o.d.)の範囲であり、好ましくは約200mg(o.d.)である。好ましくは、(粉砕された)固体分散体は、最終剤型の重さの少なくとも40重量%を、特に45〜90重量%を占める。
そのような剤型の哺乳類による嚥下を容易にするために、剤型、特に錠剤を適切な形状にすることは好都合である。そこで、気持ちよく飲み込むことができる錠剤は、好ましくは、丸いよりはむしろ細長い形状である。特に両凸面の扁平な錠剤が好ましい。以下にさらに詳細に記すように、錠剤上のフィルムコートはさらに、それが飲み込まれる容易さに貢献する。
経口摂取の際にイトラコナゾールの即時放出を生じ、そして良好な生物学的利用能をもつ錠剤は、該錠剤が胃の中で速く崩壊し(即時放出)、その間、そのプロセスで遊離した複数の粒子がお互いから離れていて、それらが合体せず、イトラコナゾールの局所高濃度を生み、そして薬剤が沈降する機会(生物学的利用能)を増すような風に設計される。所期の効果は、崩壊剤と希釈剤の混合物の全体にわたって前記の粒子を均一に分散させることによって得られる。
適切な崩壊剤は、大きな膨張係数を持っているものである。その例は、親水性の、不溶性または僅水溶性の架橋ポリマーであって、例えばクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)およびクロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)である。本発明における即時放出錠剤の中の崩壊剤の量は、約3〜約15%(W/W)の範囲であることが都合よく、好ましくは約7〜9%、特に約8.5%(W/W)である。この量は、摂取の際、粒子が大量の胃内容物の至る所に拡散することを確実とするために、錠剤ではさらに大きくなる傾向がある。崩壊剤は、本来、大量に使用されると、徐放性薬剤を生じるので、希釈剤または充填剤と呼ばれる不活性物質でそれらを希釈することは有益である。
いろいろな材料が希釈剤または充填剤として使用される。実例は、噴霧乾燥のあるいは無水の、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マニトール、ソルビトール、澱粉、セルロース(たとえば微結晶性セルロース Avicel(登録商標))、二水和物化のあるいは無水の第二リン酸カルシウム、および本技術において知られている他のもの、ならびにそれらの混合物である。Microcelac(登録商標)として市販されている、微結晶性セルロース(25%)とラクトース一水和物(75%)との市販噴霧乾燥混合物が好ましい。錠剤の中の希釈剤または充填剤の量は、約20%〜約40%(W/W)の範囲であることが都合よく、好ましくは、約25%〜約32%(W/W)の範囲である。
錠剤は、バインダー、緩衝剤、潤滑剤、流動促進剤、糊料、甘味剤、香料および着色剤のような、1種以上の他の慣用賦形剤を含むことがある。賦形剤には、複数の目的を果たすものがある。
潤滑剤および流動促進剤は、特定の剤型の製造において使用することができ、通常、錠剤を作るときに使用される。潤滑剤および流動促進剤の例としては、水素添加植物油であって例えば水素添加綿実油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイダルシリカ、タルク、それらの混合物、および本技術において知られている他のものである。興味深い潤滑剤および流動促進剤は、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカとステアリン酸マグネシウムとの混合物である。好ましい潤滑剤は、水素添加植物油I型、最も好ましくは水素添加消臭綿実油(Akofine NF(登録商標)(以前は、Sterotex(登録商標)と呼ばれていた)としてカールシャム(Karlshamns)から商業的に入手可能)である。潤滑剤および流動促進剤は、一般に総錠剤重量の0.2〜7.0%を占める。
着色剤および顔料のような他の賦形剤もまた、本発明の錠剤に添加されることがある。
着色剤および顔料は、二酸化チタンおよび食品に適した染料を含む。着色剤は、本発明の錠剤の中の任意成分であるが、使用される場合、着色剤は、総錠剤重量に基づいて3.5%の量まで存在させることができる。
香料は、組成物中で任意であり、合成香料油および香味芳香剤または天然油、植物の葉、花、果実などからの抽出物、およびそれらの組合せから選択される。これらは、ケイ皮油、ウィンターグリーン油、ハッカ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、サイム油を含む。また、バニラや、レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘油、ならびにリンゴ、バナナ、西洋ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実エッセンスが香料として有用である。香料の量は、望まれる感覚刺激効果を含む多くの要因に依存する。通常、香料は約0%〜約3%(W/W)の量で存在する。
本技術において知られているように、錠剤混合体は、成形の前に乾式粒状化または湿式粒状化される。成形プロセスそのものは、他の点では標準的であり、通常の錠剤プレスを使用して、希求する成分のブレンドまたは混合物から適切な形に錠剤を成形することによって、容易に実行される。
本発明の錠剤は、味覚を改善するため、または嚥下の容易さおよび上品な外観を提供するために、さらにフィルムコートされることもある。多くの適切な高分子フィルムコート材料が、本技術において知られている。好ましいフィルムコート材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMCであり、特にHPMC2910 5mPa・sである。他の適切なフィルム形成性ポリマーもまた使用されることがあり、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアクリル酸エステル−メタクリル酸エステルコポリマーが含まれる。フィルム形成性ポリマーの他に、フィルムコートは、さらに可塑剤(例えばプロピレングリコール)および、任意に、顔料(例えば二酸化チタン)を含むことがある。フィルムコート懸濁液はまた、抗粘着剤としてタルクを含むことがある。本発明における即時放出錠剤においては、フィルムコートは少量であり、重量の観点ではトータル錠剤重量の約3%(W/W)未満を占める。
好ましい剤型は、粒子の重さが総剤型の総重量の少なくとも40%であり、希釈剤の重さが20〜40%の範囲であり、そして、崩壊剤の重さが3〜10%の範囲であって、残りは上述の賦形剤の1種以上によって占められた剤型である。
本発明における好ましい剤型は、イトラコナゾール200mgに相当する剤型が以下のような厳しい条件:900mlのリン酸緩衝液、pH6.0、37℃、100rpmで回転するパドル付き:の下、USP−2溶解装置中でUSP試験<711>に記載されたように試験される時、剤型からの利用可能なイトラコナゾールの少なくとも85%が60分以内に溶解する剤型である。前述の定義に適合する錠剤は、Q>85%(60分)を持つと言うことができる。好ましくは、本発明における錠剤は、もっと速く溶解し、Q>85%(15分)、より好ましくはQ>85%(5分)を持つ。
さらに、本発明は、真菌感染症を患っている哺乳類への経口投与のための製薬剤型を調製するための、先述したような固体分散体に関する。好ましくは、単独のそのような剤型は、前記哺乳類に1日1回投与することができる。好ましくは、前記の剤型は、前記の哺乳類によって摂取される食物に関係なく、1日のいつでも投与することができる。
本発明はまた、真菌感染症を患っている哺乳類への経口投与のための製薬剤型の調製のための先述したような固体分散体の使用に関し、単独のそのような剤型は、前記哺乳類に1日1回投与することが可能である。
本発明はまた、真菌感染症を患っている哺乳類への経口投与のための製薬剤型の調製のための先述した固体分散体の使用に関し、前記哺乳類によって摂取される食物に関係なく、前記剤型は1日のいつでも投与することが可能である。
ここに記述される剤型で治療される真菌感染症にかかっている対象は、ヒト対象と動物対象(特に、犬、猫およびウサギのような哺乳類の対象)の両方を含む。そのような対象がかかっている病気は、(肺または肺臓外)分芽菌症、ヒストプラスマ症(慢性空洞性肺疾患および播種性、非髄膜性ヒストプラスマ症)、(肺または肺臓外)アスペルギルス症、(足指の爪および/または手指の爪の)爪甲真菌症、足部白癬、皮膚糸状菌症(白癬)、マラセジア/イースト皮膚炎、クリプトコッカス症(“ウインドウ・ワッシャー病”)、カンジダ症、コクシジオイデス症(“渓谷熱”)、色素酵母菌症、真菌性髄膜炎および口腔粘膜炎を含む。イトラコナゾールの投薬量は、対象者の病気およびその重症度、年齢、体重および条件、等々のような要因によって異なるが、しかし、一般に1日につき50〜100ミリグラムと1日につき800〜1000ミリグラムまでとの間である。
付随している図および以下の実施例は、本発明を、それを制限することなく、説明するものである。
図1は、異なるエネルギー導入量で製造した、3種の異なる固体分散体のDSC温度曲線(サーモグラム)を示す。一番上のグラフが最も高いエネルギー導入量で調製された試料に関し、一番下のグラフが最も低いエネルギー導入量で調製された試料に関する。製造の間のエネルギー導入量が高ければ高いほど、240℃〜250℃の範囲にある吸熱ピークに伴う吸熱量(J/g)は低くなる。
実施例1
イトラコナゾール(21.74kg)とヒドロキシプロピルメチルセルロース29105mPa・s(ヤンセン(Janssen)によって供給され、ダウケミカルによって、そのMidland工場において生産されたものであり;レーザー光回折(マルベルン・マスタサイザー)を使用して測定される時、d0.1=38μm、d0.5=119μm、d0.9=256μmである粒度分布を有する)との40/60(W/W)混合物を、該混合物が均一になるまで、ふるい、遊星型ミキサー中で混合した。
このイトラコナゾールとHPMCとの物理的混合物を、以下の操作パラメータを持つZSK40型の二軸スクリュー溶融押出機(ワーナーフライダー社(Werner & Pfleiderer))に供給した:第1、第2、および第3のコンパートメントの温度は、それぞれ20℃、190℃および190℃であり、転移セクションの温度は190℃であり、型の温度は197℃であった;二軸スクリューは、それぞれ、200または250回転/分の速度を持っていた。処理量は、22kg/hであった。
押出物を、0.51mmのふるい目をもつ4736rpmのフィッツミル(Fitzmill)型のハンマーミルに入れた。大きさ<125μmの粒子のフラクションを、さらにNo.120ふるい(ASTM E 11−70)を通すふるい別によって分離した;収率<10%。
ラクトース一水和物(75%)と微結晶性セルロース(25%)の噴霧乾燥混合物(2.824kg、30.57%(W/W))、クロスポビドン(784g、8.49%(W/W))、タルク(258g、2.79%(W/W))、アエロジル(Aerosil)(26g、0.28%(W/W))、ステアリン酸マグネシウム(22g、0.24%(W/W))およびステロテックス(Sterotex)(86g、0.093%(W/W))を、遊星型ミキサーを使用して、粉砕した押出物(5kg、54.13%(W/W))と共に、均質の混合物が得られるまで(15分)ふるい、且つ、混合した。すべてのパーセンテージ(W/W)は、フィルムコート錠剤の総重量に基づいている。
得られた混合物を、錠剤10,800個/時間の速度および1500〜1950kg/cm(147〜191.1Mpa)の圧縮圧力で作動されたコルシュ(Korsch)錠剤成形機で圧縮した。型の長さは19mmであり、幅は9.5mmであり、曲率半径は9.57mmであった。錠剤は、以下の特性を持っていた:見かけ重量:906.9mg;最大高さ:5.88mm;硬度:11daN;崩壊時間:2分15秒;脆砕性:0%。
錠剤は、脱塩水(85%)に、重量で、HPMC2910 5 mPa・s(8.5%)、プロピレングリコール(2.1%)、タルク(1.7%)および二酸化チタン(2.6%)を含む懸濁液を使用して、フィルムコートした。純水にHPMC2910 5 mPa・sを添加し、完全に分散するまで混合した。その溶液を、澄明になるまで放置した。プロピレングリコールを添加し、均一になるまで混合した。タルクおよび二酸化チタンを、該溶液に添加し、均一になるまで混合した。錠剤を糖衣器に入れ、そのコアの上に着色塗料溶液を噴霧した。
実施例2
複数のバッチのイトラコナゾール粒子を、以下の例外事項を適用して、実施例1(二軸スクリュー速度250回転/分)に述べたように調製した。HPMCは、カラコン(Colorcon)から入手し、ダウのPlaquemine工場で生産された(d0.1=32μm、d0.5=92μm、d0.9=235μm)。この出所からのHPMCは、著しく低い流動性を持っていた。比較的低い流動性を考慮して、処理速度を下げなければならなかった。これが押出機内での溶融押出物の輸送時間が長引く結果となり、高いエネルギー導入量をもたらしたようである。処理量は、わずか18±3kg/hであった。より円滑な押出を得て且つ目詰まりを避けるために、押出用金型の温度を上げた。第1、第2、および第3のコンパートメントの温度は、それぞれ20℃、190℃および190℃であり、転移セクションの温度は205℃であり、金型の温度は205℃であった。
実施例1および2の磨砕された押出物のサンプルを、個々、DSC分析にかけ、−20℃と300℃の間のサーモグラムを、10℃/分の昇温速度で試料を加熱することによって得た。約240℃での吸熱量(J/g)を測定した。
錠剤の生物学的利用能は、以下のプロトコルに従って測定した:
方法:標準化された朝食の後の56人の健康な被験者における14日間の洗い出し期間の付いた、開放、ランダム化、双方向クロスオーバー、単回の経口投与試験。
被験者の数:56人の被験者(男性28人、女性28人)を、編入し、管理し、安全のために分析した。52人は、生物学的等価性評価に入れた。編入のための診断および主な基準:健康な男女の被験者、18〜55歳を含む。
試験品、用量および投与の方法:200mgのイトラコナゾール溶融−押出錠剤。
標準化された朝食の後、室温の非炭酸水240mLで、1個の錠剤の単回経口服用。
対照試験品、用量および投与の方法:Sporanox(登録商標)100mgイトラコナゾールカプセル(ヤンセン・オルト(Janssen Ortho)有限会社)。標準化された朝食の後、室温の非炭酸水240mLで、2個のカプセルの単回経口服用。
処置の持続:クリニックセンター内での36時間滞在(−12時間投与後24時間まで)に、投与後の36時間、48時間、72時間および96時間における血液試料のためにクリニカルセンターへ戻ることが付いた試験期間を2回、14日の洗い出し期間によって分けられる。但し、各期間の間に単回の薬剤投与。
統計的方法:各処置の後に得られたイトラコナゾールおよびヒドロキシ−イトラコナゾールの薬物動力学的パラメータの比較:対数変換後のANOVA(モデル:配合処方、被験者、性、投与の順序および期間)。
ヒト血漿中のイトラコナゾールおよびヒドロキシイトラコナゾールの分析は、HPLC−UVによって行った。使用した抽出法は、Woestenborghs等 (Journal of Chromatography, 413 (1987) 332−337)によって記述された方法から得た。成分は、263nmのUV吸収によって検出した。データ収集は、ウォーターズ(Waters)のミレンニアム(Millennium)ソフトウェアを使用して行った。10ポイントの較正曲線は、重み係数として1/Xを使用してモデルY=A+BXに適合させた。式中、Yはイトラコナゾールまたはヒドロキシイトラコナゾールと内部標準とのピーク高さ比、Xはng/mLでの見掛け較正濃度、Aは切片であり、Bは勾配である。未知数は、式:X=(Y−A)/Bを使用して計算した。
結果は次の表に要約する。表中、CmaxおよびAUCは、対照試験品を基準とするパーセンテージ(%)での推定値として与えられたものである:
上表が示すように、溶融押出製造の間の高いエネルギー導入量が改善された生物学的利用能に導く。

Claims (16)


  1. 0.29≧ΔHtr
    (式中、ΔHtrは240℃〜250℃の範囲にある吸熱のピーク温度での転移を伴う吸熱量(J/g)を表す)を満たす、溶融−押出プロセスによって調製される、イトラコナゾールおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む固体分散体であって、
    イトラコナゾール:ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比が1:1〜1:17の範囲にある固体分散体。
  2. 600μm未満の重量平均粒径を有する、請求項1の固体分散体。
  3. ヒドロキシプロピルメチルセルロース中のメトキシおよびヒドロキシプロピル基の総含量が23〜42重量%の範囲である、請求項1または2の固体分散体。
  4. メトキシ基含量が19〜30重量%の範囲であり、ヒドロキシプロピル基含量が4〜12重量%の範囲である、請求項3の固体分散体。
  5. 20℃で2重量%の水溶液として測定するとき、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが3〜15mPa・sの見掛け粘度を有する、請求項4の固体分散体。
  6. さらに、可塑剤、界面活性剤、香料、着色剤および防腐剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項の固体分散体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の固体分散体の粒子、ならびに希釈剤と崩壊剤から選択される少なくとも1種の添加物を含む製薬剤型。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項の固体分散体を含む製薬剤型であって、該剤型が、単回用量のイトラコナゾール200mgの経口投与の後に、400ng/mL以上というCmaxによって特性づけられるイトラコナゾールとヒドロキシイトラコナゾールの生体内血漿濃度を与える製薬剤型。
  9. a)イトラコナゾールと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを混合すること;
    b)均質の溶融物を得るために該混合物を加熱すること;後方送り用素子、剪断素子、混練ディスクおよび回転羽根の少なくとも1つを備えた二軸スクリュー押出機または多軸スクリュー押出機において、該溶融物に剪断および/または混練作用を与えること;
    c)このようにして得られた溶融物を1個以上のノズルに強制的に通過させること;
    d)固体分散体を得るために該溶融物を固化させること;および
    e)任意に固体分散体を磨砕すること、
    を含む、請求項1〜6のいずれか1項の固体分散体を調製する方法。
  10. 押出成形が195〜300℃の温度で遂行される、請求項9の方法。
  11. 請求項9または10の方法であって、さらに磨砕された固体分散体をふるい別することを含む方法。
  12. 請求項10または11の方法であって、さらに磨砕された固体分散体を圧縮して錠剤にすることを含む方法。
  13. 請求項9の方法によって得られる固体分散体。
  14. 真菌感染症を患っている哺乳類への経口投与のための薬剤形態を調製するのに用いられる請求項1〜6のいずれか1項の固体分散体。
  15. 真菌感染症を患っている哺乳類への経口服用のための薬剤形態の調製における、請求項1〜6のいずれか1項の固体分散体の使用。
  16. 真菌感染症が分芽菌症、ヒストプラスマ症、アスペルギルス症、爪甲真菌症、足部白癬、皮膚糸状菌症、マラセジア/イースト皮膚炎、クリプトコッカス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌髄膜炎および口の粘膜炎から選択される、請求項15の使用。
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