JP2014059956A - 発泡同軸ケーブル及び多芯ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】差動−同相間結合が発生した場合であっても伝送特性の悪化を抑制できる発泡同軸ケーブル及び多芯ケーブルを提供する。
【解決手段】一対の中心導体2と、中心導体2の周囲を一括して覆う発泡材料からなる絶縁体3と、絶縁体3の周囲を覆う非発泡のスキン層4と、スキン層4の外周に設けられたシールド導体5と、を備えた発泡同軸ケーブルにおいて、スキン層4の外周あるいはシールド導体5の内周に微細な溝を形成し空隙6を形成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡材料からなる絶縁体を使用した発泡同軸ケーブル及び多芯ケーブルに関するものである。
従来より、発泡材料からなる低誘電率の絶縁体を使用した高速伝送用の発泡同軸ケーブルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような発泡同軸ケーブルとして、図2に示すように、一対の中心導体2と、中心導体2の周囲を一括して覆う発泡材料からなる絶縁体(発泡絶縁体)3と、絶縁体3の周囲を覆う非発泡のスキン層(外層スキン)4と、スキン層4の外周に設けられたシールド導体5と、を備えた発泡同軸ケーブル21が従来より知られている。
特開2003−141944号公報 特開2010−80097号公報 特開2008−293862号公報
ところで、発泡同軸ケーブル21では、一対の中心導体2で差動信号を伝送する差動モードと、一対の中心導体2で同相信号を伝送する同相モードの2つの伝送モードが存在している。
差動モードの信号伝送では、中心導体2付近に電界が集中するため、差動モードの伝播速度は主に中心導体2間に存在する絶縁体3(つまり発泡材料)の比誘電率で決まる。
他方、同相モードの信号伝送では、中心導体2とシールド導体5との間に電界が集中するため、同相モードの伝播速度は中心導体2とシールド導体5の間に存在する絶縁体3とスキン層4の双方の比誘電率で決まる。なお、比誘電率εrでの信号の伝播速度Vは、光速をVcとすると、下式
V=Vc/(εr1/2
で表される。
ここで、スキン層4は非発泡であるため高誘電率である。したがって、従来の発泡同軸ケーブル21では、同相モードの伝播速度の方が差動モードの伝播速度よりも遅くなり、差動モードと同相モードでは伝播速度が異なってしまう。つまり、従来の発泡同軸ケーブル21では、差動・同相モード間でスキューが発生してしまう。
高速伝送では主に差動信号が用いられているため、理想的には、差動・同相モード間のスキューは伝送特性に影響を及ぼさない。しかし、製造上のばらつきなどでケーブル構造の対称性が崩れた場合など、差動モードから同相モード、同相モードから差動モードといった相互の結合(差動−同相間結合(SCD21、SDC21))が発生した場合には、差動・同相モード間のスキューにより伝送特性(差動信号のスキュー特性)が悪化してしまうという問題が生じる。
差動−同相間結合を完全に無くすことは困難であるため、差動−同相間結合が発生した場合であっても伝送特性の悪化を抑制できる発泡同軸ケーブルが望まれる。
なお、スキン層4を省略することにより、差動・同相モード間のスキューを抑制する方法も考えられるが、スキン層4は機械的強度の低い発泡材料からなる絶縁体3を保護する役割や、水の浸入を防止する役割を果たしており、スキン層4を省略すると別の問題が発生してしまう。
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、差動−同相間結合が発生した場合であっても伝送特性の悪化を抑制できる発泡同軸ケーブル及び多芯ケーブルを提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、一対の中心導体と、該中心導体の周囲を一括して覆う発泡材料からなる絶縁体と、該絶縁体の周囲を覆う非発泡のスキン層と、該スキン層の外周に設けられたシールド導体と、を備えた発泡同軸ケーブルにおいて、前記スキン層の外周あるいは前記シールド導体の内周に微細な溝を形成し空隙を形成した発泡同軸ケーブルである。
前記溝は、前記スキン層の外周に溝加工を施すことにより形成されてもよい。
前記溝は、前記スキン層の外周に、周方向に等間隔に、長手方向に沿って形成されてもよい。
前記絶縁体の比誘電率をεr_1、前記スキン層の比誘電率をεr_2としたとき、前記スキン層に対する前記空隙の体積比xが、下式
x=(εr_1−εr_2)/(1−εr_2
を満たしてもよい。
また、本発明は、複数のケーブルを撚り合わせ、その周囲に保護用のジャケットを設けた多芯ケーブルにおいて、前記ケーブルの少なくとも1つに、請求項1〜4いずれかに記載の発泡同軸ケーブルを用いた多芯ケーブルである。
本発明によれば、差動−同相間結合が発生した場合であっても伝送特性の悪化を抑制できる。
本発明の一実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの横断面図である。 従来の発泡同軸ケーブルの横断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの横断面図である。
図1に示すように、発泡同軸ケーブル1は、一対の中心導体2と、中心導体2の周囲を一括して覆う発泡材料からなる絶縁体3と、絶縁体3の周囲を覆う非発泡のスキン層4と、スキン層4の外周に設けられたシールド導体5と、を備えている。
一対の中心導体2は平行に配置され、その一対の中心導体2を一括して覆うように断面視で楕円形状の絶縁体3が設けられている。スキン層4は、機械的強度の低い発泡材料からなる絶縁体3を保護する役割や、水の浸入を防止する役割を果たしている。なお、図示していないが、シールド導体5の外周には、絶縁テープを巻き付けたりシースを被覆したりして絶縁層が形成される。
本実施の形態に係る発泡同軸ケーブル1では、スキン層4の外周あるいはシールド導体5の内周に微細な溝を形成し空隙6を形成している。空隙6は、同相モードにおける実効誘電率を低下させるためのものであり、スキン層4とシールド導体5との間に均一に分布するようコントロールして形成される。
本実施の形態では、スキン層4の外周を削ることで溝(空隙6)を形成している。なお、これに限らず、スキン層4の外周を荒らす処理を行うことで微細な溝を形成してもよい。なお、溝の深さは、伝送する信号の波長に対して十分に小さくする必要があり、また、少なくともスキン層4の厚さ(例えば数100μm程度)よりも小さくする必要がある。
また、本実施の形態では、スキン層4の外周に、周方向に等間隔に、長手方向に沿って溝(空隙6)を形成した。本実施の形態では、製造を容易とする(量産性を向上する)ために、溝(空隙6)をこのような形状としたが、これに限らず、例えば、螺旋状に溝を形成してもよいし、ランダムに溝を形成してもよい。なお、周期的に溝(空隙6)を形成した場合、共振が発生するなどして伝送特性に影響を及ぼす場合も考えられるので、伝送特性を向上させるという観点からは、溝(空隙6)をランダムに形成することが好ましい。
また、空隙6は、絶縁体3の比誘電率をεr_1、スキン層4の比誘電率をεr_2としたとき、スキン層4に対する空隙6の体積比xが、下式
x=(εr_1−εr_2)/(1−εr_2
を満たすように形成される。これにより、差動モードと同相モードの実効比誘電率が一致することとなり、差動・同相モード間のスキューを抑制することが可能になる。なお、スキン層4に対する空隙6の体積比xが上式を満たさない場合であっても、上式を満たす体積比xにできるだけ近づけるよう空隙6を制御することで、差動モードと同相モードの実効比誘電率の差を低減し、差動・同相モード間のスキューを低減することが可能である。
例えば、絶縁体3の比誘電率εr_1が1.8、スキン層4の比誘電率εr_2が2.2である場合、x=1/3となり、(スキン層4の体積):(空隙6の体積)=2:1となるように空隙6を形成すればよい。
本発明の発泡同軸ケーブル1を複数本撚り合わせ、その周囲に保護用のジャケットを設けると、本発明の多芯ケーブルが得られる。なお、多芯ケーブルに含まれる全てのケーブルに本発明の発泡同軸ケーブル1を用いなければならないというわけではなく、多芯ケーブルに含まれるケーブルの少なくとも1つに発泡同軸ケーブル1を用いていれば本発明に含まれる。
以上説明したように、本実施の形態に係る発泡同軸ケーブル1では、スキン層4の外周あるいはシールド導体5の内周に微細な溝を形成し空隙6を形成している。
空隙6を形成することにより、同相モードにおける実効誘電率を低下させること、すなわち、スキン層4の高い誘電率を空隙6の低い誘電率で相殺することが可能となり、差動モードと同相モードの実効誘電率を等しくする(あるいは近づける)ことが可能になる。その結果、差動モードと同相モードの伝播速度を等しくして(あるいは近づけて)、差動・同相モード間のスキューを抑制し、製造上のばらつきなどで差動−同相間結合が発生した場合であっても伝送特性の悪化を抑制することが可能になる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、スキン層4の外周に微細な溝を形成し空隙6を形成する場合を説明したが、シールド導体5の内周面をエンボス加工するなどして、シールド導体5の内周に微細な溝を形成し空隙6を形成するようにしてもよい。
また、スキン層4とシールド導体5との間に空隙6となる溝を形成した介在を挟み込むことも可能である。この場合、介在はスキン層4の一部として扱われることとなるため、スキン層4の外周に空隙6を形成した場合と同じことになる。
1 発泡同軸ケーブル
2 中心導体
3 絶縁体
4 スキン層
5 シールド導体
6 空隙

Claims (5)

  1. 一対の中心導体と、
    該中心導体の周囲を一括して覆う発泡材料からなる絶縁体と、
    該絶縁体の周囲を覆う非発泡のスキン層と、
    該スキン層の外周に設けられたシールド導体と、
    を備えた発泡同軸ケーブルにおいて、
    前記スキン層の外周あるいは前記シールド導体の内周に微細な溝を形成し空隙を形成した
    ことを特徴とする発泡同軸ケーブル。
  2. 前記溝は、前記スキン層の外周に溝加工を施すことにより形成される
    請求項1記載の発泡同軸ケーブル。
  3. 前記溝は、前記スキン層の外周に、周方向に等間隔に、長手方向に沿って形成される
    請求項1または2記載の発泡同軸ケーブル。
  4. 前記絶縁体の比誘電率をεr_1、前記スキン層の比誘電率をεr_2としたとき、前記スキン層に対する前記空隙の体積比xが、下式
    x=(εr_1−εr_2)/(1−εr_2
    を満たす
    請求項1〜3いずれかに記載の発泡同軸ケーブル。
  5. 複数のケーブルを撚り合わせ、その周囲に保護用のジャケットを設けた多芯ケーブルにおいて、
    前記ケーブルの少なくとも1つに、請求項1〜4いずれかに記載の発泡同軸ケーブルを用いた
    ことを特徴とする多芯ケーブル。
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