JP2014058421A - プロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法 - Google Patents
プロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014058421A JP2014058421A JP2012204308A JP2012204308A JP2014058421A JP 2014058421 A JP2014058421 A JP 2014058421A JP 2012204308 A JP2012204308 A JP 2012204308A JP 2012204308 A JP2012204308 A JP 2012204308A JP 2014058421 A JP2014058421 A JP 2014058421A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- surface layer
- sample
- conductive ceramic
- proton conductive
- added
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】表面層を所望する位置、大きさ、形に形成することができ、CO2雰囲気下でも高い電気伝導率を有するプロトン導電性セラミックス接合体を提供する。
【解決手段】プロトン導電性セラミックス接合体は、2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3系の母体10と、この母体10の表面側に位置し、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷することによって形成した表面層20とを有している。
【選択図】図1
【解決手段】プロトン導電性セラミックス接合体は、2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3系の母体10と、この母体10の表面側に位置し、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷することによって形成した表面層20とを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、天然ガス改質に用いることが可能で、且つ、材料としての化学的安定性に優れるプロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法に関する。
特許文献1は従来のプロトン導電性セラミックス接合体を開示している。このプロトン導電性セラミックス接合体は、SrCeO3系の母体と、母体に接合した金属(Pd)膜とから形成されている。このプロトン導電性セラミックス接合体は、金属(Pd)膜を通過したプロトンのみがSrCeO3系の母体に到達するため、SrCeO3のCO2に対する脆弱性が克服でき、CO2を含むガス環境下で使用することができる。特許文献1は、SrCeO3系の母体に金属(Pd)膜を製膜する方法として、スラリーコート法、スピンコーティング法、ディップ法等、各種方法を挙げている。また、特許文献1は、Pd膜に代えて、ジルコニウム(Zr)の酸化物(例えば、SrZrO3、BaZrO3)の膜を適用できることを開示している。
しかし、特許文献1の導電接合体は、スラリーコート法、スピンコーティング法、ディップ法で金属(Pd)膜を形成するため、SrCeO3系の母体の少なくとも一面の全体に金属(Pd)膜を形成することになり、所望する部分、大きさ、形に金属(Pd)膜を形成することができない。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、表面層を所望する位置、大きさ、形に形成することができ、CO2雰囲気下でも高い電気伝導率を有するプロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のプロトン導電性セラミックス接合体は、2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3系の母体と、
この母体の表面側に位置し、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層とを有していることを特徴とする。
この母体の表面側に位置し、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層とを有していることを特徴とする。
このプロトン導電性セラミックス接合体は、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3によって表面層を形成しているため、電気伝導率は母体となるSrCeO3系と同程度であり、CO2雰囲気下での電気伝導率の低下を抑制することができる。また、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷することによって表面層を形成するため、所望する部分、大きさ、形に表面層を形成することができる。
本発明のプロトン導電性セラミックス接合体の製造方法は、2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3の粉末を成形して母体を形成する母体形成工程と、
2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷する表面層形成工程とを備えていることを特徴とする。
2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷する表面層形成工程とを備えていることを特徴とする。
このプロトン導電性セラミックス接合体の製造方法は、表面層を所望する部分、大きさ、形に容易に形成することができ、電気伝導特性はSrCeO3系と同程度であり、CO2雰囲気下での電気伝導率の低下が少ないプロトン導電性セラミックス接合体を製造することができる。
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
前記陽イオンはインジウム(In)であり、前記SrZrO3にインジウム(In)を10mol%〜45mol%を添加し得る。この場合、インジウム(In)の添加率が10mol%未満であると電気伝導率が低い。また、50mol%以上であると不純物相が析出し、SrZrO3にインジウム(In)が固溶せず、電気伝導率が低くなる。このようにインジウム(In)を10mol%〜45mol%を添加して形成した粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層は高温においてもプロトン導電性を良好に維持することができる。
本発明のプロトン導電性セラミックス接合体は、前記母体と前記表面層との間にSrCeO3とSrZrO3とを混合した中間層を有し得る。この場合、表面層と中間層、及び中間層と母体との接合性を良好にすることができる。つまり、中間層を介して表面層と母体との接合性が良好になるため、電気伝導率を良好にすることができ、かつ、CO2との反応も抑制できる。
プロトン導電性セラミックス接合体の製造方法において、前記母体形成工程後に前記母体の表面にSrCeO3とSrZrO3とを混合した粉末を成形して中間層を形成する中間層形成工程と、この中間層形成工程後に前記中間層の表面に前記表面層形成工程によって表面層を形成し得る。この場合、表面層と母体との接合性を良好にするための中間層を容易に形成することができる。
次に、本発明のプロトン導電性セラミックス接合体を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
<実施例>
実施例のプロトン導電性セラミックス接合体は、図1(A)、(B)に示すように、インジウム(In)を添加したSrCeO3(以下、「SCO」という。)で形成した母体10と、母体10の表面側に位置し、インジウム(In)を添加したSrZrO3(以下、「SZO」という。)の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層20とを有している。
実施例のプロトン導電性セラミックス接合体は、図1(A)、(B)に示すように、インジウム(In)を添加したSrCeO3(以下、「SCO」という。)で形成した母体10と、母体10の表面側に位置し、インジウム(In)を添加したSrZrO3(以下、「SZO」という。)の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層20とを有している。
試料1はSCOで形成した円盤状の母体10の両表面に、SZO粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層20を有するプロトン導電性セラミックス接合体である。試料2は、SCOで形成した母体10の両表面に、SCOとSZOとの組成比が1:1である中間層30を形成し、各中間層30の表面側にSZO粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層20を有するプロトン導電性セラミックス接合体である。
SrCeO3は、高温において高い電気伝導率を示し、CO2により劣化する特徴を有する。一方、SrZrO3は、セレート系に比べて電気伝導率が低く、化学的安定性及び機械的強度に優れている。SrCeO3、及びSrZrO3の結晶構造はいずれもペロブスカイト型構造を有する。
SZOは、表1に示すように、インジウム(In)の添加量が多いと、温度の上昇に伴い、酸素イオン輸率も増大し、800℃では40%の酸素イオンが電気伝導に寄与するようになる。このため、試料1及び試料2におけるSZOはインジウム(In)を20mol%含有するように調合している。このようにすれば、SZOの主たる導電種をプロトンにすることができ、表面層20が高温においてもプロトン導電性を良好に維持することができる。
次に、プロトン導電性セラミックス接合体である試料1の製造方法を図2に基づいて説明する。
<SCO粉末の製造工程>
SrCO3、CeO2、In2O3の各原料をSrCe0.95In0.05O3-αとなるように秤量する。そして、遊星型ボールミルを利用して、200rpmで1時間、これら各原料を粉砕・混合する(S1)。これによって、得られた粉末を大気中1,200℃で5時間、仮焼成する(S2)。その後、遊星型ボールミルを利用して、250rpmで3時間、仮焼成したものを粉砕・混合する(S3)。このようにして、インジウム(In)を5mol%含有したSCO粉末を得ることができる。
SrCO3、CeO2、In2O3の各原料をSrCe0.95In0.05O3-αとなるように秤量する。そして、遊星型ボールミルを利用して、200rpmで1時間、これら各原料を粉砕・混合する(S1)。これによって、得られた粉末を大気中1,200℃で5時間、仮焼成する(S2)。その後、遊星型ボールミルを利用して、250rpmで3時間、仮焼成したものを粉砕・混合する(S3)。このようにして、インジウム(In)を5mol%含有したSCO粉末を得ることができる。
<SZO粉末の製造工程>
SrCO3、ZrO2、In2O3の各原料をSrZr0.8In0.2O3-αとなるように秤量する。そして、遊星型ボールミルを利用して、200rpmで1時間、これら各原料を粉砕・混合する(S1)。これによって、得られた粉末を大気中1,200℃で5時間、仮焼成する(S2)。その後、遊星型ボールミルを利用して、250rpmで3時間、仮焼成したものを粉砕・混合する(S3)。このようにして、インジウム(In)を20mol%含有したSZO粉末を得ることができる。
SrCO3、ZrO2、In2O3の各原料をSrZr0.8In0.2O3-αとなるように秤量する。そして、遊星型ボールミルを利用して、200rpmで1時間、これら各原料を粉砕・混合する(S1)。これによって、得られた粉末を大気中1,200℃で5時間、仮焼成する(S2)。その後、遊星型ボールミルを利用して、250rpmで3時間、仮焼成したものを粉砕・混合する(S3)。このようにして、インジウム(In)を20mol%含有したSZO粉末を得ることができる。
<母体形成工程>
SCO粉末をプレス成型し(φ20mm、静水圧プレス20MPa)、母体10を形成する(S4)。
SCO粉末をプレス成型し(φ20mm、静水圧プレス20MPa)、母体10を形成する(S4)。
<表面層形成工程>
SZO粉末と有機溶剤とを混練してインクを作製する(S5)。そして、母体10上にスクリーン印刷する(S6)。スクリーン印刷後、自然乾燥10分間、及びオーブン120℃で10分間、乾燥させる(S7)。さらに、このスクリーン印刷及び乾燥を繰り返し、2度塗りを行って表面層を形成する。
SZO粉末と有機溶剤とを混練してインクを作製する(S5)。そして、母体10上にスクリーン印刷する(S6)。スクリーン印刷後、自然乾燥10分間、及びオーブン120℃で10分間、乾燥させる(S7)。さらに、このスクリーン印刷及び乾燥を繰り返し、2度塗りを行って表面層を形成する。
このように、表面層20をスクリーン印刷によって形成することができるため、母体10上に表面層20を所望する位置、大きさ、形に形成することができる。
<プロトン導電性セラミックス接合体の完成工程>
表面層形成工程を終了した後、再度、静水圧プレスを行う(20MPa)(S8)。その後、大気中1,500℃で5時間、本焼成を行う(S9)。このようにして、プロトン導電性セラミックス接合体である試料1を製造することができる。
表面層形成工程を終了した後、再度、静水圧プレスを行う(20MPa)(S8)。その後、大気中1,500℃で5時間、本焼成を行う(S9)。このようにして、プロトン導電性セラミックス接合体である試料1を製造することができる。
次に、プロトン導電性セラミックス接合体である試料2の製造方法を図3に基づいて説明する。
SCO粉末の製造工程、及びSZO粉末の製造工程は、試料1で説明した工程と同じであるため説明を省略する。
<母体及び中間層形成工程>
先ず、組成比がSCO:SZO=1:1となるように混合したSCOとSZOとの混合粉末をプレス成型し(φ20mm、静水圧プレス20MPa)、中間層30の一方を形成する。そして、成形型内の中間層30上にSCO粉末を充填してプレス成型し(静水圧プレス20MPa)、母体10を形成する。さらに、成形型内の母体10上に上述したSCOとSZOとの混合粉末を充填してプレス成型し(静水圧プレス20MPa)、中間層30の他方を形成する(S10)。
先ず、組成比がSCO:SZO=1:1となるように混合したSCOとSZOとの混合粉末をプレス成型し(φ20mm、静水圧プレス20MPa)、中間層30の一方を形成する。そして、成形型内の中間層30上にSCO粉末を充填してプレス成型し(静水圧プレス20MPa)、母体10を形成する。さらに、成形型内の母体10上に上述したSCOとSZOとの混合粉末を充填してプレス成型し(静水圧プレス20MPa)、中間層30の他方を形成する(S10)。
<表面層形成工程>
SZO粉末と有機溶剤とを混練してインクを作製する(S5)。そして、中間層30上にスクリーン印刷する(S11)。スクリーン印刷後、自然乾燥10分間、及びオーブン120℃で10分間、乾燥させる(S7)。さらに、このスクリーン印刷及び乾燥を繰り返し、2度塗りを行って表面層を形成する。
SZO粉末と有機溶剤とを混練してインクを作製する(S5)。そして、中間層30上にスクリーン印刷する(S11)。スクリーン印刷後、自然乾燥10分間、及びオーブン120℃で10分間、乾燥させる(S7)。さらに、このスクリーン印刷及び乾燥を繰り返し、2度塗りを行って表面層を形成する。
このように、表面層20をスクリーン印刷によって形成することができるため、中間層30上に表面層20を所望する位置、大きさ、形に形成することができる。
<プロトン導電性セラミックス接合体の完成工程>
表面層形成工程を終了した後、再度、静水圧プレスを行う(20MPa)(S8)。その後、大気中1,500℃で5時間、本焼成を行う(S9)。このようにして、プロトン導電性セラミックス接合体である試料2を完成することができる。
表面層形成工程を終了した後、再度、静水圧プレスを行う(20MPa)(S8)。その後、大気中1,500℃で5時間、本焼成を行う(S9)。このようにして、プロトン導電性セラミックス接合体である試料2を完成することができる。
次に試料1及び試料2の焼結性、電気伝導率、及び化学的安定性について説明する。
<焼結性の評価1>
試料1及び試料2の表面X線回析を行った。その表面X線回析パターンを図4に示す。この結果から、試料1及び試料2は何れも表面層20がSZO単相であることが解る。
試料1及び試料2の表面X線回析を行った。その表面X線回析パターンを図4に示す。この結果から、試料1及び試料2は何れも表面層20がSZO単相であることが解る。
<焼結性の評価2>
試料1及び試料2の破断面のSEM観察を行った。SEM観察をした画像を図5に示す。この結果から、試料1は表面層20と母体10との接合面に空隙Cが存在する。試料2は表面層20と母体10との接合面に空隙が少なく、接合性が良いことが解る。つまり、表面層20と中間層30、及び中間層30と母体10との接合性を良好にすることができ、中間層30を介して表面層20と母体10との接合性が良好になるため、電気伝導率を良好にすることができる。
試料1及び試料2の破断面のSEM観察を行った。SEM観察をした画像を図5に示す。この結果から、試料1は表面層20と母体10との接合面に空隙Cが存在する。試料2は表面層20と母体10との接合面に空隙が少なく、接合性が良いことが解る。つまり、表面層20と中間層30、及び中間層30と母体10との接合性を良好にすることができ、中間層30を介して表面層20と母体10との接合性が良好になるため、電気伝導率を良好にすることができる。
<電気伝導率の評価>
試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体、SZO単体、について、湿潤1%水素雰囲気中における電気伝導率を測定した。その結果を図6に示す。また、表2に、湿潤1%水素雰囲気中、900℃における電気伝導率を示す。この結果から、試料1及び試料2の電気伝導率はSZO単体より高く、SCO単体と同程度であることが解る。
試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体、SZO単体、について、湿潤1%水素雰囲気中における電気伝導率を測定した。その結果を図6に示す。また、表2に、湿潤1%水素雰囲気中、900℃における電気伝導率を示す。この結果から、試料1及び試料2の電気伝導率はSZO単体より高く、SCO単体と同程度であることが解る。
<化学的安定性の評価1>
CO2アニール処理(800℃で100%CO2雰囲気中に放置)を25時間した後の試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体の表面X線回析を行った。その表面X線回析パターンを図7に示す。この結果から、試料1及び試料2はいずれも表面層20がCO2の影響を受けずSZO単相のままであることが解る。
CO2アニール処理(800℃で100%CO2雰囲気中に放置)を25時間した後の試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体の表面X線回析を行った。その表面X線回析パターンを図7に示す。この結果から、試料1及び試料2はいずれも表面層20がCO2の影響を受けずSZO単相のままであることが解る。
<化学的安定性の評価2>
試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体について、CO2アニール処理(800℃で100%CO2雰囲気中に放置)する前後の電気伝導率を測定した。電気伝導率の変化割合を示すグラフを図8に示す。また、アニール処理する前とアニール処理を25時間した後との電気伝導率及びその変化の割合を表3に示す。この結果から、SCO単体の電気伝導率は著しく低下するが、試料1及び試料2は電気伝導率の大きな低下は見られないことが解る。
試料1、試料2、及び比較例としてSCO単体について、CO2アニール処理(800℃で100%CO2雰囲気中に放置)する前後の電気伝導率を測定した。電気伝導率の変化割合を示すグラフを図8に示す。また、アニール処理する前とアニール処理を25時間した後との電気伝導率及びその変化の割合を表3に示す。この結果から、SCO単体の電気伝導率は著しく低下するが、試料1及び試料2は電気伝導率の大きな低下は見られないことが解る。
以上説明したように、実施例のプロトン導電性セラミックス接合体(試料1及び試料2)は、表面層20を所望する位置、大きさ、形に形成することができ、CO2雰囲気下でも高い電気伝導率を有する。
また、このプロトン伝導性セラミックス接合体は、メタンガス水蒸気改質に利用することができる。数1に示す式(1)及び式(2)のメタンガス水蒸気改質を行うためには、800℃〜850℃の温度が必要である。この熱は工場から出る排熱を利用することができ、1molのメタン(CH4)から4molの水素(H2)を生成することができる。ただし、有害な一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)も同時に生成するため、水素だけを分離し、高純度化することが必要である。CO2雰囲気下でSCO単体は直ぐ劣化してしまうが、このプロトン伝導性セラミックス接合体はCO2に対する化学的安定性が大きく向上しており、劣化の少ないセルとしてメタンガス水蒸気改質に利用が可能である。また、熱力学的なエネルギー収支も排熱を利用することでエネルギー的に有利である。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、試料2の中間層をSCOとSZOとの組成比が1:1になるように形成したが、比率を変更してもよい。
(2)実施例では、インジウム(In)を5mol%添加したSrCeO3(以下、「SCO」という。)で母体を形成したが、インジウム(In)の添加量を2mol%〜10mol%の範囲で加減してもよい。また、添加する元素はインジウム(In)に限定するものではなく、Ce4価イオンサイトに置換するY、Sc、Yb、Caなど、価数が2価もしくは3価の陽イオンを添加し、電気的中性を形成するための酸素欠損を有するものであれば良い。
(3)実施例では、表面層を形成するSZOにインジウム(In)を20mol%含有させたが、SZOはインジウム(In)を10mol%〜45mol%の間で含有するようにすればよい。また、添加する元素はインジウム(In)に限定するものではなく、Ce4価イオンサイトに置換するY、Sc、Yb、Caなど、価数が2価もしくは3価の陽イオンを添加し、電気的中性を形成するための酸素欠損を有するものであれば良い。
(4)実施例では、表面層形成工程において、SZO粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクを2度塗りしたが、1度塗りでも、3度塗り以上であってもよい。この場合、母体に対して表面層が厚くなりすぎないようにする必要がある。
(1)実施例では、試料2の中間層をSCOとSZOとの組成比が1:1になるように形成したが、比率を変更してもよい。
(2)実施例では、インジウム(In)を5mol%添加したSrCeO3(以下、「SCO」という。)で母体を形成したが、インジウム(In)の添加量を2mol%〜10mol%の範囲で加減してもよい。また、添加する元素はインジウム(In)に限定するものではなく、Ce4価イオンサイトに置換するY、Sc、Yb、Caなど、価数が2価もしくは3価の陽イオンを添加し、電気的中性を形成するための酸素欠損を有するものであれば良い。
(3)実施例では、表面層を形成するSZOにインジウム(In)を20mol%含有させたが、SZOはインジウム(In)を10mol%〜45mol%の間で含有するようにすればよい。また、添加する元素はインジウム(In)に限定するものではなく、Ce4価イオンサイトに置換するY、Sc、Yb、Caなど、価数が2価もしくは3価の陽イオンを添加し、電気的中性を形成するための酸素欠損を有するものであれば良い。
(4)実施例では、表面層形成工程において、SZO粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクを2度塗りしたが、1度塗りでも、3度塗り以上であってもよい。この場合、母体に対して表面層が厚くなりすぎないようにする必要がある。
本発明は燃料電池の電解質、水素の製造及び精製に利用可能である。
10…母体
20…表面層
30…中間層
20…表面層
30…中間層
Claims (5)
- 2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3系の母体と、
この母体の表面側に位置し、2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷して形成した表面層とを有していることを特徴とするプロトン導電性セラミックス接合体。 - 前記陽イオンはインジウム(In)であり、前記SrZrO3にインジウム(In)を10mol%〜45mol%添加することを特徴とする請求項1記載のプロトン導電性セラミックス接合体。
- 前記母体と前記表面層との間にSrCeO3とSrZrO3とを混合した中間層を有していることを特徴とする請求項1又は2記載のプロトン導電性セラミックス接合体。
- 2価又は3価の陽イオンを添加したSrCeO3の粉末を成形して母体を形成する母体形成工程と、
2価又は3価の陽イオンを添加したSrZrO3の粉末と有機溶剤とを混練して作製したインクをスクリーン印刷する表面層形成工程とを備えていることを特徴とするプロトン導電性セラミックス接合体の製造方法。 - 前記母体形成工程後に前記母体の表面にSrCeO3とSrZrO3とを混合した粉末を成形して中間層を形成する中間層形成工程と、
この中間層形成工程後に前記中間層の表面に前記表面層形成工程によって表面層を形成することを特徴とする請求項4記載のプロトン導電性セラミックス接合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012204308A JP2014058421A (ja) | 2012-09-18 | 2012-09-18 | プロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012204308A JP2014058421A (ja) | 2012-09-18 | 2012-09-18 | プロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014058421A true JP2014058421A (ja) | 2014-04-03 |
Family
ID=50615267
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012204308A Pending JP2014058421A (ja) | 2012-09-18 | 2012-09-18 | プロトン導電性セラミックス接合体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014058421A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018073757A (ja) * | 2016-11-04 | 2018-05-10 | 東邦瓦斯株式会社 | プロトン伝導性固体電解質およびプロトン伝導燃料電池 |
JP2019175733A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 東邦瓦斯株式会社 | プロトン伝導性固体電解質およびプロトン伝導燃料電池 |
-
2012
- 2012-09-18 JP JP2012204308A patent/JP2014058421A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018073757A (ja) * | 2016-11-04 | 2018-05-10 | 東邦瓦斯株式会社 | プロトン伝導性固体電解質およびプロトン伝導燃料電池 |
JP2019175733A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 東邦瓦斯株式会社 | プロトン伝導性固体電解質およびプロトン伝導燃料電池 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Gilardi et al. | Effect of dopant–host ionic radii mismatch on acceptor-doped barium zirconate microstructure and proton conductivity | |
Shi et al. | Samarium and yttrium codoped BaCeO3 proton conductor with improved sinterability and higher electrical conductivity | |
Lu et al. | High-figure-of-merit thermoelectric La-doped A-site-deficient SrTiO3 ceramics | |
JP6441531B1 (ja) | 配向性アパタイト型酸化物イオン伝導体及びその製造方法 | |
Liu et al. | Improving the performance of the Ba0. 5Sr0. 5Co0. 8Fe0. 2O3-δ cathode for proton-conducting SOFCs by microwave sintering | |
Hou et al. | The effect of oxygen transfer mechanism on the cathode performance based on proton-conducting solid oxide fuel cells | |
Li et al. | Stable and easily sintered BaCe0. 5Zr0. 3Y0. 2O3− δ electrolytes using ZnO and Na2CO3 additives for protonic oxide fuel cells | |
KR101987299B1 (ko) | 구조체 | |
Kumar et al. | Oxygen‐ion conduction in scandia‐stabilized zirconia‐ceria solid electrolyte (xSc2O3–1CeO2–(99− x) ZrO2, 5≤ x≤ 11) | |
Filonova et al. | The structural and electrical properties of Sr2Ni0. 75Mg0. 25MoO6 and its compatibility with solid state electrolytes | |
Courtin et al. | Optimized sol–gel routes to synthesize yttria-stabilized zirconia thin films as solid electrolytes for solid oxide fuel cells | |
Wang et al. | Spark-plasma-sintered barium zirconate based proton conductors for solid oxide fuel cell and hydrogen separation applications | |
Kim et al. | High-performance protonic ceramic electrochemical cells | |
Zhang et al. | Materials design for ceramic oxygen permeation membranes: Single perovskite vs. single/double perovskite composite, a case study of tungsten-doped barium strontium cobalt ferrite | |
Zhao et al. | Hydrothermal Synthesis and Oxygen Ionic Conductivity of Codoped Nanocrystalline Ce1-x M x Bi0. 4O2. 6-x, M= Ca, Sr, and Ba | |
Khan et al. | Wet chemical synthesis and characterisation of Ba0. 5Sr0. 5Ce0. 6Zr0. 2Gd0. 1Y0. 1O3− δ proton conductor | |
JP2014172812A (ja) | リチウムイオン伝導性酸化物の製造方法 | |
Kumar et al. | Codoped ceria Ce0. 8M0. 1Gd0. 1O2− δ (M= Sm3+, Sr2+, Ca2+) and codoped ceria–Na2CO3 nanocomposite electrolytes for solid oxide fuel cells | |
Bu et al. | Sintering behaviour of the protonic conductors BaZrxCe0. 8-xLn0. 2O3-δ (x= 0.8, 0.5, 0.1; Ln= Y, Sm, Gd, Dy) during the solid-state reactive-sintering process | |
Shukla et al. | Effect of Thermal Aging on the Phase Stability of 1Yb2O3–x Sc2O3–(99–x) ZrO2 (x= 7, 8 mol%) | |
Radenahmad et al. | A new high‐performance proton‐conducting electrolyte for next‐generation solid oxide fuel cells | |
Ge et al. | A facile method to fabricate proton-conducting BaZr0· 85Y0· 15O3-δ electrolyte with a large grain size and high conductivity | |
Zvonareva et al. | Enhanced transport properties of Sn‐substituted proton‐conducting BaZr0. 8Sc0. 2O3–δ ceramic materials | |
Jaiswal et al. | Effect of Ba-deficiency on the phase and structural stability of (BaSr)(CeZr) O3-based proton conducting oxides | |
Zhu et al. | Microstructural, electrical and thermal characterization of Dy3+, Sm3+, Er3+, Y3+ and Gd3+ multi-doped cerium dioxide as SOFCs solid electrolytes |