JP2014055793A - クラス判別方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズをマッピング測定して得られるレンズの光学性能データと眼鏡レンズの注文度数データをそれぞれ第1及び第2の変量データとし教師データとして2つの異なる特性のレンズ群について、各レンズの教師データに基づいてそれぞれ各クラスに属する確率を表す関数(確率関数)を求める。そしていずれかのクラスに属するある新たなレンズについてその確率関数を適用してそれらクラスに属する確率値を算出し、どちらのクラスに含まれるのかを判別する。
【選択図】図1
Description
例えばAという薬品とBという薬品があり、それぞれを構成するある2つの成分xとyの配合比がAではx:y=60:40、Bではx:y=40:60であるとする。ここで、属性としてBにおいて「xを多めにする処方」というものがあるとBに属しているある薬品がAに近いものとなってしまうことがある。
また、例えば、眼鏡レンズにおける累進屈折力レンズを例に取ると、2つの異なる設計思想(例えば、一方は遠用視した場合に広い視界を確保することを主眼におき、他方は遠用から近用に視線を移す際に違和感を感じにくいことを主眼におくようなケース)の累進屈折力レンズをそれぞれクラス1とクラス2と考える。レンズはそれら設計思想の違いによって収差分布傾向の異なる2つの異なるレンズ群となるはずであり、クラス1又はクラス2のいずれかにクラス分けされる。一方、レンズは装用者の眼に合わせてレンズ度数としてS度数、C度数、乱視軸方向、加入度数が設定される。これらレンズ度数が属性であり、人によって異なるレンズ度数がレンズの形状データに影響を与える結果として、具体的にあるレンズがクラス1とクラス2いずれともいえないほど収差分布傾向が近くなる可能性がある。
これらのように、属性に多様性がある場合においては対象物に明確な差が出にくくなってより正確な判別方法を用いないと判別の誤差が大きくなってしまう。
ここで、上記に挙げたようなクラス判別方法を適用することを考える。
k−ニアレストネイバー法は、尺度空間内において判別対象データに最も近いk個の教師データを調べ、そのk個のうち最も多くの教師データが属するクラスを判定結果とする判別方法である。近さの評価は尺度の値にもとづくが、典型的にはマハラノビス距離を用いる。k個は数個ないし数十個といった数で、効果的な判別が行えるような数を試行により決定する。
教師データの分布が尺度空間全体にわたって均一的であるような場合にk−ニアレストネイバー法は有効であるが、実際はそうならないケースが多い。例えば眼鏡用累進屈折力レンズにおいてA商品は遠用プラス度数の注文が多く、B商品は遠用マイナス度数の注文が多いとする。マッピング測定データを主成分分析した結果として得られた主成分のうち2つを座標軸として、両商品の分布が図6の様になったとする。
この様な場合、k−ニアレストネイバー法では誤判別が発生しやすい。図6においてはA商品における遠用マイナス度数の注文や、B商品における遠用プラス度数の注文がそうである。本発明の様に属性をもとにした変量データを用い、例えば遠用度数の軸を加えて尺度空間の次元を増やしても、この問題は解決しない。
ところで図6において、データがある直線のどちら側に位置するかによって判定すれば、商品ABを完全に判別することができる。正準判別分析は、多次元の尺度空間(2次元、3次元に限らず、より高次の空間であることもある)で、2クラスを最も良く分離する超平面を決定する考え方で、群間変動/群内変動の比を最大にする方向をもとに分離超平面を決定する。2つのクラスを完全に分離できる場合もあれば、できない場合もある。図7のように、クラスのデータが混ざった領域があると、クラス判別の根拠とするための確率値を適切に算出することができない。
(3)サポートベクトルマシン
サポートベクトルマシン(SVM)も分離超平面を決定する方法である。SVMは正準判別分析と違い、図8のマージンを最大化することを目的としている。これは非線形関数の最適化であり、動的計画法によって分離超平面を最適化する方法が提案されている。動的計画法によれば局所解に陥ることなく、必ず最適解を得られることが保証されるが、計算の手順が複雑であり問題の規模によっては解を得るまでの計算量が膨大になる。
マージンの境界線上にあるデータをサポートベクトルと呼ぶ。SVMにおいて分離超平面の決定に直接的に影響しているのは、サポートベクトルのみである。これでは教師データの情報を有効に活用していることにならない。判別方法を最適化するためには、すべての教師データをもとに確率関数を最適化することが望ましい。
カーネル法をSVMと併用する方法が知られている。カーネル法はデータを適当な関数によって特徴空間に写像する。2クラスの分布がいかに入り組んで混ざっていても、変数を十分多くとれば、特徴空間内で2クラスを分離超平面によって完全に分けることができる。考え方はやや複雑だが、簡単に概要を説明する。
直線上の2つのデータを1つの点で分けることができる。平面上の3つのデータを(3つが直線上に並んでいなければ)1つの直線で2つのクラスに分けることができる。同様に、3次元空間内では特殊な条件を除いて3対1または2対2の4点を平面で分けることができる。したがって、2つのクラスのデータがいかに入り混じっていても、次元の数が多ければ超平面によって2つのクラスに分けることができる。尺度1つにつき1つの次元を想定すると、尺度の数以上に次元を増やすことはできないが、尺度の値の2乗・3乗や、複数の尺度の値を掛け合わせた値を新しい次元として利用し、高次の特徴空間を作ることができる。これがカーネル法の考え方である。
カーネル法によれば加工誤差のバラツキなどに起因する2クラス混合も強引に分離できる。そのため、かえって新規のデータ(教師データとは別のデータ)に対しては判別能力が悪くなることがある。これを過学習と呼ぶ。過学習を避けつつ判別能力を大きくするには、特徴空間への写像方法を適当に調整する必要があり、そこにトライアンドエラーの手間を要する。調整の方法としては、判別能力の指標となる関数にペナルティ項を付加し、ペナルティ項は判別関数の複雑さに応じて増加するようにして、そのペナルティ項の係数を大小変化させて最適値を選択する方法が知られている。
SVMにおいて既に、1)計算量が膨大であること、2)教師データの情報を有効に活用していないという問題があるが、カーネル法を併用すると、3)さらに計算量が増すこと、4)過学習を避けるために分析者の判断を要するという問題が加わる。これはSVMとカーネル法が「対象がどの程度の確率でどのクラスに属するか」という柔軟な視点を持たず、個々の教師データを正しくクラス分けできるかできないかのみを主眼に置いていることに起因する。
出願人は特開2012−132689において、マッピングデータをもとにした主成分分析を応用する方法を開示している。これは、多くのサンプル測定結果を元にして、測定対象レンズの処方値に対応する予測値を算出し、その予測値を測定結果と比較することによってサンプルレンズを評価するものである。この方法では、予測値と測定結果の差異がどれほどであれば合格にするか、不合格にするかという判定基準を合理的に決定することが難しい。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、正確でかつ計算方法の決定または最適化が容易なクラス判別方法を提供することである。
また、請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記確率関数は前記第1の変量データ等をパラメータとする第1の関数と前記第2の変量データ等をパラメータとする第2の関数の和によって得られることをその要旨とする。
また、請求項3の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記確率関数を表す式は前記第1の変量データ等をパラメータとする第1の関数と前記第2の変量データ等をパラメータとする第2の関数の和の関数であることをその要旨とする。
また、請求項4の発明では請求項3に記載の発明の構成に加え、前記教師データに基づいて計算して得られる尤度が最大となるように前記第1の関数及び前記第2の関数を決定することをその要旨とする。
また、請求項6の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、対象物とは光学レンズであることをその要旨とする。
また、請求項7の発明では請求項6に記載の発明の構成に加え、前前記第1の変量データはレンズをマッピング測定して得られるレンズの光学性能データであることをその要旨とする。
また、請求項8の発明では請求項6又は7に記載の発明の構成に加え、前記属性とは眼鏡レンズの注文度数を含むことをその要旨とする
また、請求項9の発明では請求項6〜8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記光学レンズは累進屈折力眼鏡レンズであることをその要旨とする。
また、請求項10の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、 前記複数のクラスとは製造規格に定める基準にある対象物とそうではない不合格となる対象物が属する2つのクラスであり、製造規格に定める基準に対して不合格となるものを判別することをその要旨とする。
また、請求項11の発明では請求項6〜9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記複数のクラスとは製造規格に定める基準にあるレンズとそうではない不合格となるレンズが属する2つのクラスであり、製造規格に定める基準に対して不合格となるものを判別することをその要旨とする。
これによって、ある新規対象物がどのクラスに振り分けられるかが正確にかつ客観的にわかるため、製造時の誤差(例えば、加工誤差や成分の配合誤差)や製造データ(例えば、加工データや配合データ)の取違いや加工装置の誤動作等で他のクラスに振り分けるべき対象物があるクラスに混ざってしまうような間違いを排除することが容易に可能となる。また、判定作業は単に教師データに基づいて決定された確率関数に新規対象物の第1の変量データ等と第2の変量データ等を適用するだけであるため、極めて容易に行うことができる。
「属性」とは、非計量的(測定するものではない)なデータである。そのため測定データのような誤差を含まないデータである。例えば、眼鏡レンズを例に取ると眼鏡レンズの注文度数、つまりS度数、C度数、乱視軸方向(Ax)等の各条件がそれぞれ属性に相当することとなる。属性は一般的に数値データであるが非数値データであっても数値に置き換えできれば本発明における属性として取り扱うことが可能である。ここでは属性という条件によって第1の変量データと相関関係にある第2の変量データを数値データとして設定するものとする。上記S度数、C度数、乱視軸方向(Ax)等は注文に応じて変位する性質のデータであって、数値で得られるデータである。ここに「第1の変量データと相関関係にある」というのは、例えばS度数が−2D(ディオプター)であれば第1の変量データとしてはこれを反映した数値(必ずしも両者間の相関は線形的ではなく、高次関数や非線形の関係であることもある)が測定されることとなる。第2の変量データはそのまま確率関数のパラメータとしてもよいが、上記と同様に2次的変量データを得るようにしてこの2次的変量データを第2の変量データの代わりに使用してもよい。
確率関数を決定するためには、クラス判別の妥当性が極大となるように第1の変量データ等と第2の変量データの関数(第1の関数と第2の関数)を決定することがよい。そのために、第1の関数と第2の関数の値に基づいてクラス判別の妥当性を数値として得るための妥当性評価関数を作り、その妥当性評価関数の値が極大となるように第1の関数と第2の関数の形式を決定する。妥当性評価関数の具体的な例として、尤度を表す関数を用いることが考えられる。例えば第1の変量データ等をパラメータとする第1の関数及び第2の変量データ等をパラメータとする第2の関数を多項式で示した場合、尤度が最大となるようにそれらの多項式の係数と定数項を設定する(最適化する)ことが考えられる。
尤度が最大となるように第1の関数と第2の関数の形式を決定し、確率関数に新規対象物の第1の変量データ等と第2の変量データ等を適用することで、新規対象物があるクラスに属する確率が算出される。より具体的には次のように計算が行われる。
(1)確率関数の関数形式を何らかの理論にもとづくモデルに基づいて設定する。その理論は仮説であっても良い。確率関数は第1の関数と第2の関数の和の値の関数とする。実施例ではロジスティック回帰式で表される関数において、exp関数の引数(eの乗数)部分に第1の関数と第2の関数の和の値に−1を乗じて代入する形式とした。
(2)各教師データについての確率関数の値を求める。
(3)上記(2)で求めた値をすべて掛け合わせて得られた値が尤度である。
(4)尤度が最大となるように、第1の関数と第2の関数を最適化する。これは非線形関数を最適化する計算である。具体的な計算方法としてニュートン法や共役勾配法などが知られている。
ここに、確率関数を決定する際には、第1の変量データ等をパラメータとする第1の関数と第2の変量データ等をパラメータとする第2の関数をそれぞれ得るようにし、これら関数を足したものを用いることがよい。これは第1に確率関数が過度に複雑になって過学習が起きることを防止するメリットがあり、同時に計算が簡略化されて計算量の増加を防ぐメリットがある。第2に多重共線性の問題を防ぐメリットがある。属性における第2の変量データ等は第1の変量データ等に反映されることがあるので、第1の関数と第2の関数を分離せずに最適化すると、多重共線性の問題が起こり、その結果として判別しにくくなる。なお、多重共線性の問題に関しては後述する。また、例えば製造誤差や測定誤差が正規分布に近い分布であるような場合には、第1の関数を2次の多項式とすることがよい。3次またはさらに高次の多項式であると過学習となるケースがあり、1次式ではクラス判別を十分にできない場合が多いからである。なお、第1の変量データ等と第2の変量データ等には相関があるので、このような場合は第2の関数も2次の多項式とすることがよいこともある。
ロジスティック回帰式に基づいた確率関数p(x)=1/(1+exp(−x))
x→−∞ のとき p→0、x→∞ のとき p→1 となる。
上記式の「−x」の部分には、例えば第1の関数と第2の関数の和をxとして代入することとなる。
重回帰分析において説明変数相互の相関が高い場合に、多重共線性の問題が発生することが知られている。ある特定の説明変数と目的変数の相関係数の符号は、重回帰分析の結果として得られた偏回帰係数の符号と一致するはずであるが、それが不一致になることがある。この場合、重回帰分析の結果は不安定で信頼性が低くなる。
例えば、自治体ごとの医師と看護師の人口に対する比率を説明変数、平均寿命を目的変数として、医師の比率と平均寿命、看護師の比率と平均寿命それぞれが正の相関を示したとする。しかし重回帰分析を行うと「医師の比率が多いほど平均寿命が高くなり、看護師の比率が多いほど平均寿命は低くなる」という結果が得られることがある。これは、医師の比率と看護師の比率に高い相関があることが原因である。
多重共線性の問題を回避する方法として、1)変数を選択する方法、2)各説明変数と目的変数の単回帰式を作り、その重み付き平均を回帰式として、重みを残差最小自乗法または最尤法により最適化する方法、3)正規方程式の対角要素に定数を加えて正則化する方法、4)主成分分析により前処理を行う方法などが知られている。
1)は変数を選択し、例えば医師と平均寿命の相関のみを求めるようにするが、この場合は看護師のデータを無視するので、与えられた情報を十分に活用しないという問題がある。2)と3)は規模が大きく非線形要素が必要な問題、すなわち実施例に示したような問題には不向きである。4)の主成分分析によれば教師データの情報を十分活用しつつ多重共線性の問題を確実に回避することができる。
例えば、累進屈折力レンズについて、仮に注文度数から計算した等価球面値(平均度数:mdp)、J00、J45を主成分分析の対象にするとしたら、それらの数値がある仮想的な点(962番目の点)における測定結果であるかのように扱うことが考えられる。そうすると、その点の測定結果(実際は注文データ)が多少変わっても、全体への影響が小さくなってしまう。すなわち、主成分得点に属性が及ぼす影響が小さくなり、そのデータが存在しないも同然となってしまう。
この問題を避けるには、属性にもとづく仮想的な点のデータの重みを特別に大きくすれば良い。しかし、どれほど大きくすればクラス判別の効率が良くなるかは、何度も試行しなくてはわからない。すなわち、重みをいろいろに変えては主成分分析を繰り返すことになり、計算量が膨大になる。また、得られる主成分の性質が複雑になるので、判別計算に使用する主成分の数が増えることになり、計算量を増大させる要因となる。
第1の関数と第2の関数を別々に扱えばこのような問題を回避して、効率よくクラス判別を行うことができる。また、主成分分析は教師データの分散を最大にする主成分ベクトルの方向を求めることを目的としており、クラス判別を直接の目的としていない。そのため、属性にもとづく変量を直接的にクラス判別のみに利用するほうが良い。
また、属性にもとづく変量を第1の変量データと共にまとめて主成分分析を行うと、下記の実施例に示したような「属性データを変更して各種検査判定を能率良く行う」といった応用ができない。仮に行うとしたら「属性データを少しずつ変更しては、主成分分析を繰り返す」といった手間が必要となる。
また、多重共線性の問題を回避するための配慮として、第1の関数(実施例ではf1)と第2の関数(実施例ではf2)の最適化を同時に行うと、第1の変量等と第2の変量等に相関があることから、多重共線性の問題が発生する可能性がある。それを避けるには、f1→f2→f1→f2という具合に反復して最適化すると良い。最適化をある程度行って収束が進んだ後ならば、f1とf2を両方同時に最適化しても計算が安定することもある。
まず、本発明においてクラス判別のための確率値を計算する周辺装置の一例の概略構成について説明する。
図1は本発明の確率値を計算するための装置の概略ブロック図である。算出用コンピュータ1にはレンズの度数分布を測定する度数分布測定装置(マッピング測定装置)2が接続されている。本実施例ではすべてのレンズについてそのマッピングポイントにおいて屈折力データ(S度数データ、C度数データ、乱視軸データ)が測定されることとなる。屈折力データは第1の変量データとされる。ここに「すべてのレンズ」とは、クラスが明確な確率関数を決定するために使用する多数の累進屈折力レンズ(以下判定基準レンズとする)と、これからクラス判別を行う新規の累進屈折力レンズ(以下新規レンズとする)である。
また、算出用コンピュータ1にはモニター3とキーボード4が接続されている。キーボード4は注文度数(第2の変量データ)やレンズの作成条件を決定するレンズの基本的なレンズデータを入力するための入力手段とされる。
尚、出力手段としてはモニター3以外にプリンタや他の装置へデータを転送する出力手段等が挙げられる。また、入力手段としてはキーボード4以外にバーコードのような2次元コードやLAN接続された他のコンピュータやデータ記憶装置等の他の装置から転送されたデータを入力する手段等が挙げられる。度数分布測定装置2から算出用コンピュータ1へのデータ出力は直接的でなく他のメディア(例えばフレキシブルディスク等のメモリ)を介して間接的に行うことも可能である。
また、CPUは新規レンズについても同様に第1の変量データを主成分分析し、主成分得点を2次的変量データとする。注文度数(第2の変量データ)についても等価球面値(平均度数)とJ00、J45への変換計算を実行し、第1の変量データ由来の2次的変量データと第2の変量データ由来の2次的変量データを上記の確率関数に対して適用して確率値の計算を実行する。
度数分布測定装置2は図2に示すように光源10、ビームスプリッタ11、スクリーン12、CCDカメラ13とを備えている。CCDカメラ13には解析装置14が接続されている。対象レンズ5は光源10とビームスプリッタ11の間に配置される。光源10は平行な光線をビームスプリッタ11方向に向かって照射する。ビームスプリッタ11には整然と等間隔に縦横に配置された多数の透孔が形成され透孔を通過した光線(光束)はスクリーン12上に投影される。この投影された光点がマッピングポイントとされる。CCDカメラ13はスクリーン12上に投影されたマッピングポイントの映像を取り込む。
解析装置14は各透孔位置に対するCCDカメラ13によって取り込まれた光線に対応する透孔との位置変位に基づいてすべてのマッピングポイントに対して屈折力を算出する。つまり、対象レンズ5上にマッピングされたすべての位置について対象レンズ5の屈折力データ(S度数データ、C度数データ、乱視軸データ)を得ることができる。
(実施例1)
実施例1では2つの内面累進屈折力レンズ「A製品」と「B製品」をそれぞれクラス1とクラス2とし、判定基準レンズに基づいてこのいずれかに属する確率関数を設定し、その確率関数を用いてクラス1とクラス2のいずれかに属する新規レンズがどちらに属するかその確率値を求めるようにした。ここで、使用したレンズはすべて屈折率1.6、累進帯長13mmとした。
「A製品」と「B製品」の平均度数と収差分布は図3の通りである。図3において各図の中央の+印がレンズの幾何中心で、その上の×印がフィッティングポイントである。確率関数を設定するベースとなるクラス1とクラス2に属する判定基準レンズ(直径50mm)をそれぞれ500ずつ用意し、その後判定基準レンズに基づいて得られた確率関数に適用して確率値を求める新規レンズについてもクラス1とクラス2でそれぞれ500ずつ用意した。
図3において幾何中心から上下左右に15mmずつ離れた位置まで、1mmステップの格子位置についてマッピング測定データSCAを得る。格子位置は31×31=961点となる。累進屈折力レンズの性質の違いを検証するには、より広い領域のデータを元にするほうが有利である。しかし、実際にはプラスとマイナスの強度数や、強いプリズムの強弱によって広い領域の光学性能を安定して測定できないケースが多い。そのため、このように中心寄りの狭い領域のみのデータとした。
マッピングデータは水平座標及び垂直座標で特定される上記961点のS度数、C度数、乱視軸の要素を有するデータである。これらをジャクソンクロスシリンダによるmdpとJ00とJ45へ変換する。
mdp=S度数+0.5×C度数
J00=−0.5×C度数×cos(2×乱視軸×π/180)
J45=−0.5×C度数×sin(2×乱視軸×π/180)
πを乗じて180で割るのは、度からラディアンへの換算である。
1つのデータを構成する要素の数は、961×3=2883個である。判定基準レンズのデータは教師データとされる。
まず、上記2883個の値を有する500×2の判定基準レンズについて主成分分析を行う。これは扱うデータが非常に多いためそれを少なくし、かつデータ間の差(間隔)を明確にするものである。本実施例1では固有値が大きい順に第10主成分ベクトルまで求め、各データの第1〜第10主成分得点を算出する。主成分ベクトルを10個としたのは、判別に使用するのに十分なだけ求めれば良いためである。下記表1は判定基準レンズのS度数、C度数、乱視軸に基づく固有のmdp、J00、J45、add(加入度数)の値(C行〜F行)と第1〜第10主成分得点(G行以下)の一部を表示した表である。
具体的には以下のように計算する。これは出願人の特開2009−025432の計算方法に準じたものである。
(1)各教師データについてmdp、J00、J45それぞれの平均値を求め、961個の点における測定結果から、それら3つの平均値をそれぞれ減じる。この減算は加工のクセをキャンセルするためである。
(2)1つの教師データは2883個の数値を持つが、その一つ一つをデータの1要素とする。各要素について教師データ全部の平均値を求める。次いで、各要素について教師データ全部の標準偏差を求める。その計算によって平均値と標準偏差が各要素について1つずつ得られるので、結果として2883個の平均値と2883個の標準偏差が得られる。
(3)各教師データについて得られた2883個の数値それぞれから、対応する要素の教師データ全部の平均値を引いて、その結果を対応する要素の教師データ全部の標準偏差で割る。この操作を規格化という。1つの教師データについて、2883個の要素それぞれについて引き算と割り算を行うことになるが、その操作を1000個すべての教師データについて行う。このようにして、教師データを規格化する。
(4)以上の手順で規格化したデータ群をもとに共分散行列を作る。そして、共分散行列の固有値と固有ベクトルを求める。共分散行列はの作成手法は例えば特開2009−025432に記載があるように周知である。理論的には最大2883個の固有ベクトルを求めることができるが、ここでは固有値の絶対値が大きい順に10個の対応する固有ベクトルの各要素の値を算出する。こうして求めた固有ベクトルが第1〜10主成分ベクトルである。各主成分ベクトルは2883個の数値の組として表される。
具体的には次のような計算を行う。
(1)新規レンズについてmdp、J00、J45それぞれの平均値を求め、961個の点における測定結果から、それら3つの平均値をそれぞれ減じる。この減算は加工のクセをキャンセルするためであり、上記判定基準レンズについて主成分分析を実行した際にも行っている。
(2)次いで、得られた2883個の数値それぞれから、判定基準レンズの教師データ全部の平均値を引いて、その結果を教師データ全部の標準偏差で割る(規格化)。
(3)上記求めた2883個の数値それぞれに、第1主成分の重みベクトルの各要素(2883個)を乗じて、それらの合計を求める。こうして得られた値が、測定対象レンズの第1主成分得点である。同様に第2〜第10主成分の重みベクトルを用いて、検査対象レンズの第2〜第10主成分得点を求める。
主成分得点に基づいて2次多項式f1を、また、個々の製品の固有の属性であるmdp、J00、J45、add(加入度数)に基づいて2次多項式f2を設定する。これらの式は2次多項式として適宜自由に設定する。そして、f=f1+f2として、確率関数p(f)=1/(1+exp(−f))から確率値pを求める。この式はロジスティック回帰式でありpの値は0〜1の間に収まることとなる。
ここで、f1は下記式1の一般式で表す多項式とし、f2は下記式2の一般式で表す多項式とする。これらの式ではa0が定数項でbi、cij、d1〜d14が係数となる。ここでiは1〜10の値をとるので、係数biは10個、jはそれぞれのiに対してi〜10の値をとるので、係数cijは55個である。確率関数p(f)の妥当性が極大となるように、これら定数項と係数を決定する(つまり確率関数を最適化する)必要がある。
上記のようにf1とf2の2次多項式が決定されることで新規レンズの各数値をf1とf2に代入するとf=f1+f2が算出されるため確率関数p(f)に適用して確率値pを求めることができる。
下記表2に示すように、クラス1データとクラス2データに関して、第1〜10主成分の値の分布を比較したところ、第4主成分と第5主成分が特に製品間の違いを良く反映することがわかる。その次には第3主成分が有効である。その理由は表2からわかるように他の主成分よりもクラス間の平均値の差が大きく、クラス内の標準偏差が小さいからである。そこで、f1を第4主成分得点と第5主成分得点を使用して算出し、f2はそれぞれの新規レンズの固有の属性(S度数、C度数、乱視軸、加入度)を使用して算出した。
f1=1.3250E-01 +第4主成分得点・(-1.8640E-01)+第5主成分得点・(-2.2321E-01)
と表すことができる。また、第4主成分得点と第5主成分得点を使用した場合のf2の係数は表3の通りである。
実施例1では確率値において0.5を閾値とした。閾値は適宜変更可能であるが、本実施例ではクラス1とクラス2に優劣はないため中間の値としている。
この実施例1では係数biのうちb4とb5以外を0とおき、係数cijをすべて0とおいて、a0とb4とb5を最適化することによってf1の形式を最適化し、そのf1にf2を加えることでfとした。係数cijを0とおくことで2つのクラスを分離する境界は、第4主成分得点と第5主成分得点を軸とする二次元平面上で直線として反映される。新規データのクラス判別は、データ点がこの直線のどちらに位置するかによって行うことであると幾何学的に説明される。いっぽう数値計算の手順としては、各新規データに関してfの値が0以上であればクラス1、fの値がマイナスであればクラス2であると判別する。
以上の結果、クラス1の誤判定(クラス1であるのに確率値からクラス2とされてしまう場合)は19枚、逆にクラス2の誤判定は12枚となった。この結果はf1のみで判定した場合(クラス1の誤判定は26枚、クラス2の誤判定は15枚)に比べて非常に改善された。
図4に各新規レンズの第4主成分得点と第5主成分得点をそれぞれ縦軸と横軸として二次元平面上に新規レンズをプロットした散布図を示す。f1のみで判定した図5と比べると図4では2つのクラスがより明確に区分され分離が改善される傾向となっている。上記判定結果と整合する。図5では各新規レンズ位置をプロットした座標はf1のみに基づいているため第4主成分得点と第5主成分得点が示す位置そのままであるが図4では第4主成分得点と第5主成分得点にf2の式7に基づく移動量(変位量)を与えている。図4と図5において2つのクラスを区分する分離直線(確率値が0.5となる境界線)は式6で表される。式7は図5における各プロットの位置を図4のように分離直線に垂直な方向に沿って、水平座標と垂直座標の変位に配分するためのものである。このように図4と図5で図示したのは、f1の値にf2を加えることによってクラス判別能力が改善されることを視覚的に示すためである。
実施例1−2は第4主成分得点と第5主成分得点に加えて第3主成分得点を用いた例である。これによってより判別能力を向上させることができる。f1は式8の通りである。第3〜5主成分得点を使用した場合のf2の係数は表4の通りである。新規レンズのf1とf2を求め確率値pを算出する。
実施例1−2では実施例1−1と異なり、係数cijの値を0とおかず、最尤法によってその値を最適化した。そのため、第3〜5主成分得点を軸とする仮想的な三次元空間内で2つのクラスを分離する分離面(f1=0となる点の集合)は曲面となる。実際にはさらに各データに関して関数f2の値を算出し、その値に基づいて仮想的な三次元空間内のデータ点を移動して分離面との位置関係によってクラス判別するのが幾何学的な説明である。ただし実施例1−1に倣って三次元空間を図示することは難しいので、ここではそのような幾何学的イメージは示さず、計算的な手順によって各新規データに関してfの値が0以上であればクラス1、fの値がマイナスであればクラス2であると判別する。その結果、実施例1−2ではクラス1の誤判定16枚、クラス2の誤判定4枚となった。
ある1つのクラスに属するレンズについて、検査においてある特性が大きすぎて、あるいは小さすぎて不合格と判定されることがある。そのため、新規レンズがある1つのクラスに属するかどうかの判定を「ある特性値が大きすぎる物と合格品の判別」という点から実施例2として応用した。
実施例2ではクラス1(合格品)のデータのコピーを作成し、その属性の遠用度数データを0.50Dだけプラス側にシフトさせてクラス2(不合格品)とした。つまり、実際の注文よりも0.50Dだけ度数がプラス側の注文に基づいてレンズを加工してマッピングデータを測定したものと仮定する。そのためにまず、実際の判定基準レンズの500個のデータを用意し主成分分析を行う。次いで得られたデータに対して各々のデータのmdp属性に0.50Dを加えた。これらのコピーデータは、本来よりも度数が全体に0.50Dだけマイナス側として測定されたデータとして扱う。尚、製品Aは屈折率1.6、累進帯長13mmである。
また、上記実施例1では、各教師データについてmdp、J00、J45それぞれの平均値を求め、961個の点における測定結果から、それら3つの値をそれぞれ減じる。という「加工のクセをキャンセルするための計算」を行っていたが、実施例2では行わない。実施例2では、加工の誤差を判定するためである。
また確率値を求める新規レンズについてもクラス1とクラス2でそれぞれ500ずつ用意した。これも判定基準レンズと同様にクラス1(製品A)のデータのコピーを作成し、その属性の遠用度数データを0.50Dだけプラス側にシフトさせたものを用意した。
それぞれの新規レンズについてfの値を計算し、その値が0以上ならクラス1、マイナスならクラス2と判別した結果、実施例2では正しいデータを不良と判別した枚数42、誤ったデータを合格と判定した枚数22であった。
実施例3は実施例2のバリエーションであって、属性のmdp、J00、J45をより精度を高くした実施例である。実施例2ではmdpの属性に0.50Dの差をつけたが、実施例3では0.25Dの差をつけた。更に各教師データの属性に基づいて決定する第2の変量データであるJCCの3つの値を、それぞれのレンズの遠用度数測定結果をもとに置きかえた。具体的には、レンズをマッピング測定した結果のうち遠用度数測定位置(度数測定用円内)におけるmdp、J00、J45のそれぞれの平均値を求め、その値を第2の変量データとして用いた。これによって、教師データには遠用度数に関しては加工バラツキが無いものとして扱うことができるので、実施例2よりも判別の精度が向上する。実施例2ではmdp属性に0.50Dの差をつけたが、実施例3では0.25Dの差をつけるようにした。f1の係数は表6の通りであり、簡略化されたf2は式10の通りである。実施例3では正しいデータを不良と判別した枚数3、誤ったデータを合格と判定した枚数5であった。尚、確率関数の閾値を0.5より大きくして、さらに厳しい基準で検査を行うこともできる。
実施例4は光学分布が位置ズレを起こした場合の不合格品を判別する場合である。例えば、位置ズレの許容限界が0.5mmであるとする。マッピング測定データをある方向に1mmだけ全体的に移動させた教師データを作る。正常な教師データと、位置を変化した教師データを500個ずつ混合して主成分分析を行い、各データについて得られた主成分得点を第1の変量データ等として使用してf1とし、属性のmdp、J00、J45、addを使用してf2とする。上記実施例1に倣って確率関数を決定して判別し、新規レンズが合格品のクラスに属する確率0.5で位置ズレが約0.5mmであると推定し、確率がこれを下回ったら不合格と判定する。
マッピング測定ポイントが格子状に並んでいる場合は、上下左右のいずれかの方向について、測定ポイント間隔の整数倍だけズレた教師データを容易に作り出すことができる。測定ポイント間隔の非整数倍ズレた教師データや、回転ズレを加えた教師データは、マッピング測定結果をもとにスプライン法などによる数値的な補間計算を行うことで作成可能である。
f1とf2の和であるfの値が0以上ならクラス1、マイナスならクラス2と判別した結果、実施例4では正しいデータを不良と判別した枚数6、誤ったデータを合格と判定した枚数6であった。尚、確率値の閾値を0.5より大きくして、さらに厳しい基準で検査を行うこともできる。
レンズ商品としては単一であっても、眼鏡使用者の使用目的・行動様式・玉型形状などに合わせて設計を変化させるバリエーション商品が発売されている。このバリエーション商品を作り出すため1以上の属性が設定される。実施例5はそれら属性のパラメータの大小や組み合わせによって得られるバリエーション商品について本発明を適用した実施例である。
ここでは、基本となる標準レンズに対して1)玉型形状が標準的な形状によりも天地方向に小さい程度または大きい程度、2)アイポイント(EP)位置が標準的な位置よりも上側または下側に異なる量、3)EP位置が標準的な位置よりも鼻側または耳側に異なる量という3種類の属性を有することとする。各属性について−1〜+1の間で変化の割合を設定し、その数値に対応してレンズの設計を変化させることとする。例えば、天地方向に小さいときは遠用視した場合に広い視界を確保することを主眼におき、天地方向に大きいときは遠用から近用に視線を移す際に違和感を感じにくいことを主眼におくように設計を変化させる。
ここでは例として属性1)について設計通りに正しく加工できているレンズ群をクラス1とし、新規レンズがクラス1に属するかどうかの判定を行うケースを説明する。そのために、500個の通常データを用意してクラス1の教師データとする。次に属性1)について属性の値を0.2だけプラス側にシフトしたデータを用意してクラス2の教師データとする。レンズの加工は正しく行われているものとするが、クラス2については属性1)で指定された値よりも0.2マイナス側にシフトしたレンズを製作した形になる。これら1000個の教師データに対して主成分分析を行う。そして、第1〜第5主成分得点をパラメータとした多項式の関数f1と、属性1)の値をパラメータとした多項式の関数f2を作る。さらにf=f1+f2として、これをロジスティック回帰式に代入したものを確率関数とする。上記実施例4までと同様に、1000個の教師データについて、確率関数に基づく尤度を極大にする条件によって関数f1とf2の定数項と係数を最適化する。そして、新規レンズについてfの値が0以上であるか否かによって、新規レンズがクラス1に属するかどうかの合否を判定する。クラス1に属すると判定された場合、この新規レンズの加工は属性1)に関して、マイナス過ぎることはないと判定される。プラス過ぎないかどうかの判定も同様に行うことができる。
玉型形状が標準的な形状によりも天地方向に小さい程度または大きい程度を表す属性の値をxとする。
・実施例1〜5においては透過光を使用してレンズの光学性能データを取得して第1の変量データを得るようにしていたが、レンズに光を反射させその反射光による測定データを併用するようにしてもよい。これによって判別の精度が上がることとなる。
・実施例3において、属性のJCC値を、遠用度数測定位置(度数測定用円内)におけるmdp、J00、J45の平均値に置き換えるようにしたが、マッピング測定とは別途に行う遠用度数検査結果に置き換えるようにしてもよい。
・実施例3において、mdpのズレを検出する実施例を示したが、J00、J45、加入度、水平・垂直プリズムが目標値からズレた不良品の検出に応用することも可能である。
・加工バラツキをキャンセルするために、実施例3のように属性の値を変更するだけではなく、マッピングデータを修正するようにしてもよい。
・実施例4においては教師データには位置ズレが生じていないことを前提とした。しかし、実際には教師データが位置ズレを含むこともありえる。そのような場合は、個々のマッピング測定データに対して位置の補正を行ってから主成分分析を行うとよい。あるいは、位置の補正を行わずに、どれだけズレているか(水平方向・垂直方向・回転方向)を評価し、その評価値を属性の値として設定するとよい。
・基本的に同じ設計である累進屈折力レンズにおいて、製品のバリエーションとして素材屈折率や累進帯長さが複数あるような場合、これらを属性とみなすことができる。ただし素材屈折率に関しては、第2の変量データとして素材屈折率の値をそのまま用いることは必ずしも適当ではない。例えば、素材屈折率が1.5、1.55、1.6、1.65、1.7という5種類があったとき、素材の違いが加工の違いに与える影響は屈折率の値と単純な相関関係にあるとは限らないため、素材屈折率の値を確率関数に反映させようとすると関数の形式が複雑になりがちだからである。このような場合は、素材ごとに定数やmdpの値に乗じる係数をそれぞれ設定すると良い。すなわち、素材屈折率の違いを数値的に扱うのではなく、材料の区別を表す非数値データとして扱うと良い。
・不合格品を判別する場合として実施例4ではレンズを例に挙げたがレンズ以外の製造品について不合格品を判別するために本発明の方法を使用するようにしてもよい。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
Claims (11)
- 測定することで得られる第1の変量データ又は前記第1の変量データに基づいて算出される2次的変量データ(以下、第1の変量データ等)を有するとともに、任意に設定される1以上の属性の存在を前提として、いずれか1つの属性において前記第1の変量データ等と相関関係にある1以上の第2の変量データ又は前記第2の変量データに基づいて算出される2次的変量データ(以下、第2の変量データ等)を有するような対象物を所定の特性によって分類された複数のクラスのいずれかに振り分けるためのクラス判別方法であって、
クラスが明確なある1つの対象物の前記第1の変量データ等と前記第2の変量データ等との総体を1つの教師データとし、各クラスごとにそれぞれ複数の対象物の教師データを用意し、ある対象物が各クラスに属する確率を表す関数(以下、確率関数とする)をそれら複数の教師データに基づいて決定するとともに、新たに振り分け対象とする対象物(以下、新規対象物)の前記第1の変量データ等と前記第2の変量データ等について前記確率関数を適用して前記新規対象物の各クラスに属する確率値を算出し、得られた確率値によって前記新規対象物がどのクラスに属するかを判定するようにしたことを特徴とするクラス判別方法。 - 前記確率関数はクラス判別の妥当性が極大となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のクラス判別方法。
- 前記確率関数を表す式は前記第1の変量データ等をパラメータとする第1の関数と前記第2の変量データ等をパラメータとする第2の関数の和を要素の一部又は全部として含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のクラス判別方法。
- 前記教師データに基づいて計算して得られる尤度が最大となるように前記第1の関数及び前記第2の関数を決定することを特徴とする請求項3に記載のクラス判別方法。
- 前記確率関数に適用して得られる前記確率値は0〜1で示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクラス判別方法。
- 対象物とは光学レンズであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクラス判別方法。
- 前記第1の変量データはレンズをマッピング測定して得られるレンズの光学性能データであることを特徴とする請求項6に記載のクラス判別方法。
- 前記属性とは眼鏡レンズの注文度数を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のクラス判別方法。
- 前記光学レンズは累進屈折力眼鏡レンズであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のクラス判別方法。
- 前記複数のクラスとは製造規格に定める基準にある対象物とそうではない不合格となる対象物が属する2つのクラスであり、製造規格に定める基準に対して不合格となるものを判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクラス判別方法。
- 前記複数のクラスとは製造規格に定める基準にあるレンズとそうではない不合格となるレンズが属する2つのクラスであり、製造規格に定める基準に対して不合格となるものを判別することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のクラス判別方法。
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