JP2014054438A - 線量分布測定システムおよびその線量分布測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の線量分布測定システムは、粒子線ビームbの照射方向に対してファントム12の上流に設置され粒子線ビームbの線量を検出する第1の線量検出器11と、粒子線ビームbの線量を検出する第2の線量検出器13と、第2の線量検出器13を移動させるための駆動機構Kと、第2の線量検出器13の位置を監視する位置監視手段9cと、第1・第2の線量検出器11、13からの各線量情報および第2の線量検出器13の位置を示す位置情報が入力される線量計算手段9dとを備え、線量計算手段9dは、第2の線量検出器13からの線量情報を第1の線量検出器11からの線量情報を基に校正し、第2の線量検出器13の位置情報を用いてファントム12内の位置に対する粒子線ビームbの線量分布データを算出している。
【選択図】図2
Description
体の正常組織の損傷を抑えつつ腫瘍に大きな線量を与えるには、体内の位置ごとに付与される線量を正確に評価することが重要であり、体内に入射した荷電粒子ビームの線量分布を測定する必要がある。
図9(a)では、線量検出器101をビームb101の方向に沿った水ファントム102の水wの深さが深くなる方向に移動させ、線量測定を行った場合を示している。
図1は、粒子線照射装置Tを用いて患者の腫瘍に粒子線を照射している状態を示す概念図である。図1では、粒子線照射装置Tを上方から見た状態を示している。
なお、炭素、シリコン、アルゴンなどの質量が大きな各イオンは重粒子と呼称される。
入射ビーム輸送ライン2Aは、イオン源2aと線形加速器2bと入射セプタム電磁石2cとを有している。
イオン源2aでは、炭素、シリコン、アルゴンなどの原子から電子の一部を除去し、荷電粒子を創成する。
線形加速器2bでは、イオン源2aで電子の一部が取り除かれた荷電粒子を加速し、炭素の薄膜を通して残りの電子を全部除去する。
シンクロトロン1は、環状に構成され、粒子線のビームに付与する加速高周波電場の周期を粒子回転周期に同期させることにより、陽子や重粒子などの荷電粒子を高エネルギまで加速する。そのため、シンクロトロン1は「加速器」に相当する。
静電インフレクタ3は、入射ビーム輸送ライン2Aから送られるビーム(荷電粒子)を、電場によってシンクロトロン1の周回軌道に偏向させる。
高周波加速空洞4は、シンクロトロン1内の荷電粒子を加速または減速するための高周波電場を発生させる。
四極電磁石6は、磁界の強弱により、シンクロトロン1の周回軌道上における粒子線のビームの広がりを収束させたり、当該ビームの狭まりを発散させる。
静電デフレクタ7は、シンクロトロン1を周回する粒子線のビームを、電場によって外側に蹴りだして出射ビーム輸送ライン2Bに向けて出射する。
図1に示すシンクロトロン1内の周回軌道を周回している多数の粒子(荷電粒子)は、水平方向(図1の紙面方向)または鉛直方向(図1の紙面に垂直方向)に振動しながら周回している。この振動をベータトロン振動といい、ベータトロン振動は、四極電磁石6などにより制御している。
出射ビーム輸送ライン2Bには、出射セプタム電磁石2dは、出射輸送ライン2Bに入った粒子線のビーム(荷電粒子)を磁界に起因する力によって出射ビーム輸送ライン2Bに沿った方向に変更する。
本実施形態(本発明)の線量分布測定システムSは、粒子線照射装置Tのビーム照射ポート2B1から出射される粒子線(陽子線や重粒子線)ビームbの線量の分布を測定するシステムである。
図2は、実施形態の線量分布測定システムSの構成を示す斜視図である。図3は、線量分布測定装置10の水ファントム12廻りを拡大して示す拡大斜視図である。
線量分布測定装置10は、ビーム照射ポート2B1から出射される粒子線ビームbの元の線量を検出する校正用の固定される固定式の線量検出器11と、水wの中で駆動機構Kによって移動される移動式の線量検出器13が設けられる水ファントム12とを備えている。水ファントム12は、水が人の生体組織を模したものとして使用できることから、用いられる。
なお、校正用の固定式の線量検出器11は、出射ビーム輸送ライン2B内に設けてもよい。
そこで、水ファントム12内の水wの中を移動式の線量検出器13を移動させるべく、駆動機構Kが水ファントム12の外郭に設けられた支持構造12a、12a(図3参照)に取り付けられている。なお、駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1を水ファントム12の外郭の深さ方向に延在する面に沿って設けられる支持構造12a、12に取り付けることで、直方体状の水ファントム12の外郭の深さ方向に延在する面と、駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1の軸方向とを一致させることができ、水ファントム12の外郭の深さ方向に延在する面に垂直な他の2面と水平・垂直方向駆動機構K2、K3の軸方向とを一致させることができる。
なお、深さ・水平・垂直方向駆動機構K1、K2、K3は、これ以外にコイルを直線方向(X・Y・Z方向)に並べ、流す電流を切り換えることで直線方向(X・Y・Z方向)に移動させるリニアモータを使用して実現してもよい。
水平方向駆動機構K2は、深さ方向駆動機構K1の可動部K12に対して、水平方向(図3のY軸方向)にスライド自在に取り付けられている。
垂直方向駆動機構K3は、水平方向駆動機構K2に対して、垂直方向(図3のZ軸方向)にスライド自在に取り付けられている。
ビーム照射ポート2B1から出射される粒子線ビームbの正確な線量分布を測定するために、ビーム照射ポート2B1からの粒子線ビームbの軸と水ファントム12の深さ方向の軸(図3の駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1の軸(X軸))との位置・角度誤差を小さくするため、以下の調整が行われる。
ビーム照射ポート2B1の軸と水ファントム装置12の深さ方向の軸(図3の駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1の軸(X軸))とは、セオドライトやレーザー水準器などを用いた測量により精密にアライメント(一直線状に)調整される。
さらに、ビーム照射ポート2B1から出射される粒子線ビームbは、ビーム位置モニタでそのビーム重心が測定され、ビーム照射ポート2B1の軸に対してビーム軌道が中心にくるようにステアリング電磁石などで調整される。
これにより、ビーム照射ポート2B1からの粒子線ビームbの軸と水ファントム装置12の軸(駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1の軸(図3のX軸))とは精密に一致させられる。
図4は、線量分布測定制御装置9と、固定式の線量検出器11、移動式の線量検出器13、および駆動機構Kとの信号の授受を示すブロック図である。
線量分布測定制御装置9は、水ファントム12内の水wの中の粒子線ビームbの線量分布を測定するための制御を担う装置である。
アナログ信号処理装置9aは、固定式の線量検出器11からアナログ信号を受信し、粒子線ビームbの原線量(元の線量)を測定するための装置である。
アナログ信号処理装置9aは、線量を表す電流信号を電圧信号に変換するI/V変換回路、A/D・D/A変換器などを有している。
アナログ信号処理装置9a、9bは、それぞれ線量を表す電流を、パルス信号に変換するパルス信号発生回路を有する構成としてもよい。
駆動制御装置9cは、駆動機構Kのモータを稼働するアクチュエータ制御回路、深さ・水平・垂直方向駆動機構K1、K2、K3での移動式の線量検出器13の位置を表す信号を変換するロータリーエンコーダ、A/D・D/A変換器などを有している。
デジタル信号処理計算機9dは、ROM(Read Only Memory)などのメモリに格納されるソフトウェア、つまりC言語などで記述されたプログラムを実行することで、処理が遂行される。
線量分布測定システムSでは、図1に示す粒子線照射装置Tから照射される粒子線ビームbを、水ファントム12内で複数の駆動軸(図3のX、Y、Z軸方向)を有する駆動機構Kにより移動する移動式の線量検出器13を用いて、三次元の水ファントム12の空間での線量分布を、リアルタイムでデジタル処理して測定する。
以下で説明するのは、図5に示すように、移動式の線量検出器13を駆動機構Kの深さ方向駆動機構K1で、水ファントム12内の水w中で深さ方向(X方向)に移動させた場合のビーム照射ポート2B1から出射される粒子線ビームbの水ファントム12内の水wの中での線量分布である。
図6は、実施形態の線量分布測定システムSでの線量分布の測定のシーケンスにおけるデジタル信号処理を示すフロー図である。
デジタル信号処理計算機9dによるデジタル信号処理は、図6のフロー図のようにして行われる。
次に、デジタル信号処理計算機9dは、変数iに“0”を設定する(図6のS102)。
一方、S104で、固定式の線量検出器11の線量Yが閾値Y0以上と判定された場合(S104でNo)、デジタル信号処理計算機9dは、
i=i+1、Di=Y’/Y、Zi=X の演算を行う。
“Di=Y’/Y”は、測定された移動式の線量検出器13の線量Y’を測定された固定式の線量検出器11の線量Yで除算し、水ファントム12内の水wの中の粒子線ビームbの線量を校正している。何故なら、粒子線ビームbの線量は時間変動するので、固定式の線量検出器11の線量Yで、移動式の線量検出器13で測定した線量の校正を行うこととしている。
“Zi=X”は、測定時の移動式の線量検出器13の移動距離Xを後に線量の情報と結びつけるため、i回目の移動式の線量検出器13の移動距離Xを変数Ziに設定している(S105)。
測定したいデータは、移動式の線量検出器13の出力の線量Y’を固定式の線量検出器11の出力の線量Yで規格化した値Dであるが、信号ノイズやアナログ/デジタル変換(A/D変換)分解能の影響をさらに減らすため、Diに直近N個の移動平均化したものを最終的な値Aiとしている。通常、演算処理速度は移動式の線量検出器13の駆動速度に比べて非常に速いため、移動平均化を行っても位置分解能を十分に高く保つことが可能である(図6のS106)。
なお、S107では、移動距離Xが設定した初期位置から距離X0に至ったか否かを判定するので、X=X0を判定してもよいが、処理がループすることがないように、X>=X0 であるか否か判定している。
X>=X0 でない、すなわち移動距離Xが設定した初期位置から距離X0に至っていないと判定された場合(図6のS107でNo)、移動式の線量検出器13が、図6のS101で設定した距離X0まで移動してないので、図6のS103に移行し、線量の測定を継続する。
出力される測定データの配列(Zm,Am)の情報は、不図示の表示装置に表示ファイルを用いて表示されたり、不図示のプリンタにより印刷ファイルを用いて印刷される。或いは、測定データの配列(Zm,Am)のファイルは他システムにファイル転送して、他システムに送る構成としてもよい。或いは、測定データの配列(Zm,Am)の情報は、テキストデータとして、データベースなどの記憶部に記憶する構成としてもよい。
本実施形態(本発明)に係わる線量分布測定システムSは、粒子線照射装置Tから水ファントム12に照射される粒子線ビームbの線量分布を測定するための移動式の線量検出器13、この移動式の線量検出器13を水ファントム12内で移動するための複数の駆動軸(図3のX、Y、Z軸方向)を有する駆動機構K、水ファントム12より上流側に設置された照射線量校正用の固定式の線量検出器11、水ファントム12内の移動式の線量検出器13の駆動装置を制御・監視する駆動制御装置9c、固定式・移動式の線量検出器11、13とアナログ信号処理装置9a、9bを介して送受信するとともに駆動制御装置9cと送受信するデジタル信号処理計算機9dを備えたものである。
また、短時間で位置分解能が高い線量分布データを取得できる。例えば、従来、30cmの距離の線量データをとるのに、10分〜20分かかっていたものが、約1分で測定できる。
なお、前記実施形態では、水ファントム12内の水wの深さ方向(図3のX軸方向)に移動式の線量検出器13を移動しつつ、線量を測定する場合を例示したが、図3のY軸方向または図3のZ軸方向に移動式の線量検出器13を移動しつつ、線量を測定してもよいのは勿論である。或いは、図3のX軸およびY軸方向、または、図3のZ軸およびY軸方向または、図3のX軸およびZ軸方向、または、図3のX軸およびY軸およびZ軸方向に、同時に移動式の線量検出器13を移動しつつ、測定してもよい。
なお、前記実施形態では、水ファントム12内の水wを用いて粒子線ビームbの線量を測定する場合を例示したが、水w以外の生体組織を模した他のファントムを用いて粒子線ビームbの線量を測定してもよい。
9c 駆動制御装置(位置監視手段)
9d デジタル信号処理計算機(線量計算手段)
11 固定式の線量検出器(第1の線量検出器)
12 水ファントム(ファントム)
13 移動式の線量検出器(第2の線量検出器)
b 粒子線ビーム
K 駆動機構
K1 深さ方向駆動機構(駆動機構)
K2 水平方向駆動機構(駆動機構)
K3 垂直方向駆動機構(駆動機構)
S 線量分布測定システム
X(軸の方向) 第1の方向
Y(軸の方向) 第2の方向
Z(軸の方向) 第3の方向
Claims (6)
- 照射された粒子線ビームの生体組織を模したファントム内での線量分布を測定するための線量分布測定システムであって、
前記粒子線ビームの照射方向に対して前記ファントムの上流に設置され前記粒子線ビームの線量を検出する第1の線量検出器と、
前記ファントム内を移動しつつ前記粒子線ビームの線量を検出する第2の線量検出器と、
該第2の線量検出器を移動させるための駆動機構と、
前記第2の線量検出器の位置を監視する位置監視手段と、
前記第1の線量検出器および前記第2の線量検出器からの各線量情報および前記位置監視手段からの前記第2の線量検出器の位置を示す位置情報が入力される線量計算手段とを備え、
前記線量計算手段は、
前記第2の線量検出器からの線量情報を前記第1の線量検出器からの線量情報を基に校正し、前記第2の線量検出器の位置情報を用いて前記ファントム内の位置に対する前記粒子線ビームの線量分布データを算出する
ことを特徴とする線量分布測定システム。 - 照射された粒子線ビームの生体組織を模したファントム内での線量分布を測定するための線量分布測定システムであって、
前記粒子線ビームの照射方向に対して前記ファントムの上流に設置され前記粒子線ビームの線量を検出する第1の線量検出器と、
前記ファントム内を移動しつつ前記粒子線ビームの線量を検出する第2の線量検出器と、
該第2の線量検出器を移動させるための駆動機構と、
前記第2の線量検出器の位置を監視する位置監視手段と、
前記第1の線量検出器および前記第2の線量検出器からの各線量を示す出力信号がアナログ信号処理装置を介してデジタル信号とされ受信されるとともに前記位置監視手段からの前記第2の線量検出器の位置を示す信号が受信されるデジタル信号処理計算機とを備え、
前記デジタル信号処理計算機は、前記第1および前記第2の線量検出器からの各線量を示す信号を用いて、前記第2の線量検出器からの線量情報を前記第1の線量検出器からの線量情報を基に校正し、前記第2の線量検出器の位置を示す信号を用いて前記ファントム内の位置に対する前記粒子線ビームの線量分布データを算出する
ことを特徴とする線量分布測定システム。 - 前記駆動機構は、前記粒子線ビームの進行方向に沿った第1の方向と、前記粒子線ビームの進行方向に垂直な第2の方向と、前記第1の方向および前記第2の方向に垂直な第3の方向との少なくとも何れかの方向に、前記第2の線量検出器を移動させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の線量分布測定システム。 - 粒子線ビームの照射方向に対して前記ファントムの上流に設置される第1の線量検出器と、前記ファントム内を移動する第2の線量検出器と、該第2の線量検出器を移動させるための駆動機構と、前記第2の線量検出器の位置を監視する位置監視手段と、線量計算手段とを備え、照射された前記粒子線ビームの生体組織を模したファントム内での線量分布を測定する線量分布測定システムの線量分布測定方法であって、
前記第1の線量検出器は、前記前記粒子線ビームの線量を検出し、
前記第2の線量検出器は、前記駆動機構により移動されながら前記粒子線ビームの線量を検出し、
前記位置監視手段は、前記第2の線量検出器の位置を示す位置情報を出力し、
前記線量計算手段は、
移動しつつある前記第2の線量検出器の位置情報、および、前記第1および前記第2の線量検出器からのそれぞれの線量情報を取得し、
前記第2の線量検出器からの線量情報を前記第1の線量検出器からの線量情報を基に校正し、前記位置情報により前記ファントム内の位置に対する前記粒子線ビームの線量分布データを算出する
ことを特徴とする線量分布測定システムの線量分布測定方法。 - 粒子線ビームの照射方向に対して前記ファントムの上流に設置される第1の線量検出器と、前記ファントム内を移動する第2の線量検出器と、該第2の線量検出器を移動させるための駆動機構と、前記第2の線量検出器の位置を監視する位置監視手段と、デジタル信号処理計算機とを備え、前記照射された粒子線ビームの生体組織を模したファントム内における線量分布を測定する線量分布測定システムの線量分布測定方法であって、
前記第1の線量検出器は、前記粒子線ビームの線量を検出し、
前記第2の線量検出器は、前記駆動機構により移動されながら前記粒子線ビームの線量を検出し、
前記位置監視手段は、移動しつつある前記第2の線量検出器の位置を示す信号を、前記デジタル信号処理計算機に出力し、
前記アナログ信号処理装置は、前記第1および前記第2の線量検出器からのそれぞれの線量を示す出力信号を、デジタル信号に変換して前記デジタル信号処理計算機に出力し、
前記デジタル信号処理計算機は、前記第2の線量検出器からの線量の情報を前記第1の線量検出器からの線量の情報を基に校正し、前記第2の線量検出器の位置を示す信号を用いて前記ファントム内の位置に対する前記粒子線ビームの線量分布データを算出する
ことを特徴とする線量分布測定システムの線量分布測定方法。 - 前記駆動機構は、前記第2の線量検出器を、前記粒子線ビームの進行方向に沿った第1の方向と、前記粒子線ビームの進行方向に垂直な第2の方向と、前記第1の方向および前記第2の方向に垂直な第3の方向との少なくとも何れかの方向に移動させる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の線量分布測定システムの線量分布測定方法。
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