JP2014052186A - 2次電池の容量維持率推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2次電池の容量維持率を高精度で推定することができる推定方法を提供する。
【解決手段】2次電池1の容量維持率の時間的変化率である劣化速度y’を時間間隔をおいて次式(A)により逐次推定する第1ステップ(STEP1〜4)と、劣化速度y’の推定値を用いて2次電池1の容量維持率yを推定する第2ステップ(STEP5)とを備える。
y’=(c/(1−y)(1/c)-1)・(a・b+z) ……(A)
【選択図】図5

Description

本発明は、2次電池の容量維持率を推定する方法に関する
2次電池の容量劣化(2次電池が満充電状態で貯蔵し得る電気量の低下)の度合いを示す指標としての容量維持率を推定する手法としては、所謂、ルート則(1/2乗則)を用いる手法が一般に知られている。また、例えば特許文献1、2に見られる手法も提案されている。
特開2011−220900号公報 特開2011−38857号公報
リチウムイオン電池等の2次電池の容量劣化の要因の1つは、内部の電極表面に界面被膜が生成されることである。この界面被膜の生成速度は経過時間の平方根にほぼ比例し、これを利用して、2次電池の容量維持率を推定する手法がルート則である。
この手法では、任意の時点における2次電池の容量維持率の時間的変化率(単位時間当たりの容量維持率の低下量。以降、「劣化速度」又は「容量維持率の低下速度」ということがある)は、2次電池の使用条件(温度、充電率(SOC:State of Charge)等)と、当該時点での容量維持率とに応じて規定されるものとなる。
一方、2次電池の劣化速度は、界面被膜の生成の他の要因の影響も受ける。特に、本願発明者の各種実験、検討によって、2次電池の内部状態の劣化の程度が劣化速度に大きな影響を及ぼすことが判明した。
従って、2次電池の容量維持率を高精度に推定するためには、2次電池の内部状態の劣化の程度を適切に反映させて劣化速度を推定し、この劣化速度の推定値を用いて容量維持率を推定することが望ましいと考えられる。
しかしながら、従来のルート則を用いる手法、あるいは、特許文献1に見られ手法では、2次電池の内部状態の劣化の程度に起因する劣化速度の変化の影響が配慮されていないため、容量維持率の推定精度をより一層高めることが困難なものとなっていた。
また、特許文献2に見られる手法では、容量維持率の推定を行なう時点で、2次電池のインピーダンスの周波数特性を計測し、その計測データを利用して容量維持率の推定を行なうことは行なわれている。
しかるに、この特許文献2の手法では、劣化速度を推定することなく、上記計測データに基づき決定した単一の特徴周波数に応じて直接的に容量維持率を推定するようにしている。このため、2次電池の仕様や使用条件等によって、2次電池の内部状態の劣化の程度に起因する劣化速度の変化の影響が、容量維持率の推定値に適切に反映されずに、該推定値の精度が低下する虞がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、2次電池の容量維持率を高精度で推定することができる推定方法を提供することを目的とする。
本発明の2次電池の容量維持率推定方法は、2次電池の容量維持率を推定する方法であって、前記2次電池の容量維持率の時間的変化率である劣化速度y’を時間間隔をおいて次式(A)により逐次推定する第1ステップと、該劣化速度y’の推定値を用いて前記2次電池の容量維持率を推定する第2ステップとを備えることを特徴とする(第1発明)。

y’=(c/(1−y)(1/c)-1)・(a・b+z) ……(A)
ただし、
c:あらかじめ定めた所定値
y:劣化速度y’の今回の推定時点での容量維持率の推定値
a,z:劣化速度y’の今回の推定時点又はその直前における2次電池の使用条件に応じて値が決定される変数
b:2次電池の初期状態からの経過時間tの増加に伴い、値が増加していくように決定される変数

なお、本発明において、「今回の推定時点」というのは、前記劣化速度y’を新たに推定しようとしている時点を意味する。
また、2次電池の「初期状態」は、2次電池の容量劣化が未だ生じていない(2次電池が新品である)とみなせる状態を意味し、例えば2次電池の製造直後、工場出荷時等の状態である。
また、2次電池の「使用条件」というのは、2次電池の容量劣化に影響を及ぼす1つ又は複数種類の状態量(例えば、2次電池の温度、SOC、通電電流等)が、どのような状態であるか(例えば各種類の状態量の実際の値がどのような範囲内の値であるか等)を示す条件を意味する。この場合、「使用条件」に関する「状態量」の種別は、2次電池の容量劣化への影響度合いが高いものを、実験等に基づいてあらかじめ選定しておけばよい。
本願発明者の各種実験、検討によって、前記式(A)の変数c,a,z,bを、前記式(A)のただし書きで規定する如く決定するようにすることで、前記劣化速度y’(容量維持率の低下速度)を、式(A)の演算によって精度よく推定できることが見出された。
ここで、式(A)の導出について説明しておく。
従来のルート則によれば、2次電池の初期状態からの経過時間がtであるときの容量維持率yは、次式(1)により与えられる。

y=1−k・t0.5 ……(1)

本願発明者は、まず、2次電池の容量劣化に対する界面被膜以外の各種要因を容量維持率yに反映させるために、式(1)をより一般化して、容量維持率yが、式(1)のtの指数「0.5」を一般変数「c」に置き換えて得られる次式(2)の形で与えられるものとみなした。なお、「c」の値は、2次電池に固有の所定の定数値である。

y=1−k・tc ……(2)

この式(2)を時間微分することによって、次式(3)が得られる。また、式(2)を変形することで、次式(4)が得られる、。

y’=−k・c・tc-1 ……(3)
t=((1−y)/k)1/c ……(4)

上記式(4)を式(3)に代入して整理することで、次式(5)が得られる。

y’=−(c/(1−y)(1/c)-1)・k1/c ……(5)

本願発明者は、この式(5)に、2次電池の内部状態の劣化の程度の影響と、2次電池の使用条件の影響とを反映させるために、式(5)のk1/cが、当該内部状態の劣化の程度と使用条件とに依存するものとみなして、k1/cを次式(6)により置き換えた。

1/c=a・b+z ……(6)

この場合、変数a,zは、2次電池の使用条件に依存する値を有する変数であり、変数bは2次電池の内部状態の劣化の程度に依存する値を有する変数である。
この式(6)を前記式(5)に代入することで、前記式(A)が得られる。この式(A)を下記に改めて示す。

y’=(c/(1−y)(1/c)-1)・(a・b+z) ……(A)

この式(A)により、任意の時点での劣化速度y’は、その時点での容量維持率と、変数a,b,zの値とから推定できることとなる。
この場合、a,b,zのうち、a,zの値を、2次電池の使用条件に適切に依存させるように設定し、また、bの値を、2次電池の内部状態の劣化の程度に適切に依存させるように設定することで、式(A)に基づいて、高精度に劣化速度y’を推定することができることが本願発明者の各種実験、検討により確認された。
さらに、bの値を、2次電池の内部状態の劣化の程度に適切に依存させるように設定した場合、結果的には、bの値は、2次電池の初期状態からの経過時間tの増加に伴い、増加していく傾向があることも本願発明者の各種実験、検討により確認された。
そこで、第1発明では、前記式(A)により劣化速度y’を推定することとした。
かかる第1発明によれば、前記第1ステップにおいて、式(A)により劣化速度y’を推定することで、その推定値を高精度に実際の劣化速度に合致させることができる。そして、前記第2ステップでは、この劣化速度y’の推定値を用いて容量維持率を推定することで、すなわち、容量維持率の推定値が、劣化速度y’の推定値に一致する低下速度で低下していくように該容量維持率を推定することで、該容量維持率を高精度に推定することができる。
前記第1発明では、前記変数bの値は、より具体的には、例えば次のような手法によって適切に決定できる。
その1つの手法では、前記劣化速度y’の各推定時点において、前記2次電池に単一又は複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測するステップと、該インピーダンスの計測データに基づいて前記変数bの値を決定するステップとをさらに備える(第2発明)。
すなわち、変数bの値は、一般に、ある単一又は複数の周波数(交流周波数)における2次電池のインピーダンスと密接に関連する。そこで、第2発明では、前記インピーダンスを計測して、このインピーダンスの計測データに基づいて前記変数bの値を決定する。
これにより、劣化速度を精度よく推定する上で適切な変数bの値を高い信頼性で決定できる。
なお、第2発明において、2次電池に通電する「交流電流」は、正弦波の交流電流でよいことはもちろん、複数の周波数成分を含む交流電流(例えば矩形波電流、三角波電流等)であってもよい。
上記第2発明では、前記変数bは、前記2次電池に複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測する実験を事前に実施しておくことによりあらかじめ得られた前記2次電池のインピーダンスの周波数特性の計測データに基づいて、前記劣化速度y’との相関性を有するものとして選出された所定種類の特徴量であり、且つ、該所定種類の特徴量は、その値が、1つ以上の特定の周波数における前記2次電池のインピーダンスにより規定される特徴量であり、前記劣化速度y’の各推定時点において、前記2次電池に通電する交流電流は、前記特定の周波数の成分を少なくとも含む交流電流であることが好ましい(第3発明)。
かかる第3発明によれば、前記変数bは、事前の実験により得られた2次電池のインピーンダンスの周波数特性の計測データに基づいて、上記の如く選出された所定種類の特徴量であるので、劣化速度y’と相関性が極力高いものとなるような当該変数bの種別を適切に選出できる。
この場合、該所定種類の特徴量は、その値が、1つ以上の特定の周波数における前記2次電池のインピーダンスにより規定される特徴量であるので、前記劣化速度y’の各推定時点での変数bの値は、その推定時点での上記特定の周波数におけるインピーダンスの計測データに応じて規定されるものとなる。
従って、前記劣化速度y’の各推定時点において、前記2次電池に通電する交流電流の周波数を、前記特定の周波数とすることで、該推定時点でのインピーダンスの計測データに基づいて、劣化速度y’を推定するために好適な変数bの値を適切に決定することができる。
上記第3発明では、前記2次電池のインピーダンスの実数成分、虚数成分、絶対値、及び位相のそれぞれを基本パラメータと定義したとき、前記変数bは、単一の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータにより値が規定される特徴量と、2つの周波数の一方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータ及び他方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータから成る2つの基本パラメータの値の和、差、積及び比のいずれかによって値が規定される特徴量とのうちから選出されたいずれかの特徴量であることが好ましい(第4発明)。
なお、この第4発明において、前記一方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータと、前記他方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータとは、互いに異なる種類の基本パラメータであってもよい。
この第4発明によれば、種々様々な仕様の2次電池に関して、劣化速度y’との相関性が高い好適な種類の特徴量を、前記変数bとして選出することができる。
前記第1発明では、前記変数bの値を決定する手法として、前記第2〜第4発明の手法以外に、例えば次のような手法を採用することもできる。
すなわち、前記劣化速度y’の各推定時点において、前記変数bの値の経時変化を近似する次式(B1)又は(B2)に基づいて、当該推定時点における前記変数bの値を推定するステップをさらに備える(第5発明)。
b(t)=exp(u(t))−p ……(B1)
b(t)=(u(t))1/q−p ……(B2)
ただし、
t:2次電池の初期状態からの経過時間
b(t):経過時間がtである時刻での変数bの値
u(t):u(t)=α・t+βにより表される線形関数
exp( ):自然対数の底の指数関数
α:経過時間がtである時刻又はその直前での2次電池の使用条件に応じて値が決定される変数
β:2次電池の初期状態での使用条件に応じて値が決定される変数
p,q:あらかじめ定められた所定値

ここで、本願発明者による実験、検討によれば、前記式(A)における変数bの値は、2次電池の使用条件が一定に維持される場合、経過時間tの増加に伴い、指数関数又はべき乗関数に近似する形態で増加していく。
従って、変数bの値の経時変化を、前記式(B1)又は(B2)により精度よく近似することができる。この場合、前記式(B1)における変数p、あるいは、前記式(B2)における変数p,qを所定値とすると共に、線形関数u(t)に関する変数α,βの値を2次電池の使用条件に適切に依存させるように設定することで、式(B1)又は(B2)に基づいて、劣化速度y’を精度よく推定することを可能とする好適な変数bの値を決定できる。
このため、第5発明によれば、劣化速度y’の各推定時点での2次電池のインピーダンスを計測せずとも、変数bの値を適切に決定して、精度よく劣化速度y’を推定できる。
補足すると、前記変数αは、前記線形関数u(t)の値の単位時間当たりの変化量を意味し、この変数αの値に応じて変数bの値の単位時間当たりの増加量が規定されるものとなる。また、前記変数βは、2次電池の初期状態、すなわち、t=0の時刻での状態における線形関数u(t)の値を意味し、このβの値に応じて2次電池の初期状態での変数bの値が規定されるものとなる。
従って、2次電池の初期状態の時刻(t=0の時刻)においては、該初期状態での2次電池の使用条件に応じて変数βの値を決定することで、そのβの値が、該初期状態での線形関数u(t)の値として得られることとなる。そして、その線形関数u(t)の値から、前記式(B1)又は(B2)により該初期状態での変数bの値を決定できる。
また、2次電池の初期状態の時刻以降の各推定時点においては、該推定時点又はその直前における2次電池の使用条件に応じて変数αの値を決定することで、そのαの値が、該推定時点での線形関数u(t)の単に時間当たりの変化量(変化速度)として得られることとなる。
このため、決定したαの値に、今回の推定時点とその1つ前の推定時点(前回の推定時点)との間の時間間隔を乗じることで、その時間間隔での線形関数u(t)の値の変化量を決定でき、さらにその変化量を、前回の推定時点でのu(t)の値に加算することで、今回の推定時点での線形関数u(t)の値を決定できる。そして、その線形関数u(t)の値から、前記式(B1)又は(B2)により該初期状態での変数bの値を決定できる。
また、本発明の2次電池の容量維持率推定方法は、2次電池の容量維持率を推定する方法であって、前記2次電池に複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測する実験を事前に実施することにより得られた該インピーダンスの周波数特性の計測データに基づいて、前記容量維持率の時間的変化率である劣化速度と相関性を有する特徴量をあらかじめ選出しておき、前記2次電池の容量維持率を推定するとき、前記特徴量の値に基づいて前記劣化速度を推定し、該劣化速度の推定値を用いて前記容量維持率を推定することを特徴とする(第6発明)。
この第6発明によれば、事前の実験により得られた2次電池のインピーンダンスの周波数特性の計測データに基づいて、前記特徴量を選出するので、劣化速度と相関性が極力高いものとなるような種類の特徴量を選出できる。そして、2次電池の容量維持率を推定するにあたっては、この特徴量の値に基づいて前記劣化速度を推定するので、該劣化速度を精度よく推定することができる。
さらに、この劣化速度の推定値を用いて容量維持率を推定することで、すなわち、容量維持率の推定値が、劣化速度y’の推定値に一致する低下速度で低下していくように該容量維持率を推定することで、該容量維持率を高精度に推定することができる。
本発明の第1実施形態において、2次電池の容量維持率を推定するためのシステムの構成を示す図。 2次電池のインピーダンスの周波数特性の例を示す図。 変数bの値を規定する特徴量の候補の例を示す図。 2次電池の容量維持率の経時変化とインピーダンスの周波数特性との関係を例示する図。 図1に示す測定器の劣化速度推定部及び容量維持率推定部による処理を示すフローチャート。 第1実施形態の実施例における2次電池のインピーダンスの周波数特性の例を示す図。 第1実施形態の実施例における容量維持率の推定値の経時変化を示す図。 本発明の第2実施形態において、2次電池の容量維持率を推定するためのシステムの構成を示す図。 変数bの値の経時変化の例を示す図。 変数bの値から得られらる線形関数uの値の経時変化を示す図。 図8に示す測定器の劣化速度推定部及び容量維持率推定部による処理を示すフローチャート。 図11のSTEP13の処理を説明するための図。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。
図1を参照して、本実施形態において、2次電池1(以下、バッテリ1という)の容量維持率を推定するためのシステム(以下、容量維持率推定システム)は、バッテリ1の一対の出力端子(正極及び負極)間の電圧(以降、バッテリ電圧という)を検出する電圧センサ2と、バッテリ1に流れる電流(充電電流又は放電電流。以降、バッテリ電流という)を検出する電流センサ3と、バッテリ1の温度(以降、バッテリ温度という)を検出する温度センサ4と、これらのセンサ2〜4による検出データを用いてバッテリ1の容量維持率等の推定処理を行う測定器5とを備える。
また、バッテリ1の出力端子間には、スイッチ6を介して交流電源7が接続され、該交流電源7からバッテリ1に、適宜、交流電流を通電することが可能となっている。
さらに、バッテリ1の出力端子間には、スイッチ8,10をそれぞれ介して充電器9、負荷11が接続され、充電器9によりバッテリ1を適宜、充電することと、バッテリ1から適宜、負荷11に放電することとが可能となっている。
測定器5は、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニット、あるいは、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにより構成される。この測定器5は、実装されるプログラムを実行することにより実現される主な機能として、バッテリ1のSOC(State of Charge)を推定するSOC推定部21と、バッテリ1の劣化速度を推定する劣化速度推定部22と、バッテリ1の容量維持率を推定する容量維持率推定部23とを備える。
SOC推定部21は、例えば電流センサ3によるバッテリ電流の検出データ(検出値)を逐次積算した値(詳しくは、バッテリ1の満充電状態等、SOCが既知の値となっている状態からのバッテリ電流の積算値)を基に、SOCを逐次推定する。なお、バッテリ1のSOCの推定手法は、公知の任意の手法を採用することができる。
劣化速度推定部22は、本発明を適用した手法によって、後述の如く劣化速度を推定する。
容量維持率推定部23は、劣化速度推定部22により決定された劣化速度の推定値を用いて、バッテリ1の容量維持率を推定する。
<<事前の準備処理>>
本実施形態の容量維持率推定システムによりバッテリ1の容量維持率の推定を行なうにあたって、以下のように、事前に準備処理が実行される。
その準備処理では、バッテリ1の初期状態から任意に設定した時間間隔で、バッテリ1の容量維持率を実測することと、バッテリ1に交流電流を通電して該バッテリ1のインピーダンスを実測することを含む測定処理が行なわれる。また、この測定処理は、バッテリ温度、バッテリ電流、SOC等の種々様々の使用条件の基で行なわれる。
容量維持率及びインピーダンスの実測を行なう各時点(以降、当該時点をバッテリ状態測定時という)におけるバッテリ1の容量維持率の実測は次のように行なわれる。すなわち、バッテリ1の放電及び充電を既定の仕方で行うことで、バッテリ1の容量(満充電容量)を計測し、その計測値の、初期状態での容量値に対する比率を求めることで、当該比率が容量維持率として実測される。なお、バッテリ1の初期状態は、バッテリ1の新品状態(バッテリ1の製造直後や工場出荷時の状態等、バッテリ1の劣化が生じていないとみなし得る状態)である。
バッテリ1の容量劣化は、少なくとも初期状態からの経過時間の増加に伴い進行するので、実測される容量維持率は、経過時間の増加に伴い低下していく。
また、各バッテリ状態測定時におけるバッテリ1のインピーダンスの実測は次のように行なわれる。すなわち、あらかじめ定めた複数の周波数のそれぞれの周波数で、交流電源からバッテリ1に交流電流を通電した状態で、バッテリ電圧及びバッテリ電流が測定される。
そして、該バッテリ電圧及びバッテリ電流の振幅値の測定値と、該バッテリ電圧及びバッテリ電流の間の位相差の測定値とから、実数成分(抵抗成分)と虚数成分(リアクタンス成分)とから成るインピーダンス(複素インピーダンス)が測定される。以降、各バッテリ状態測定時における複数の周波数のそれぞれに対応するインピーダンスの測定値の全体をインピーダンスの周波数特性の測定データという。
なお、バッテリ1に通電する交流電流は、正弦波に限らず、矩形波の交流電流等、複数の周波数成分を含む交流電流であってもよい。
図2は、上記測定により得られるインピーダンスの周波数特性の測定データを、Cole-Coleプロットの形式で例示した図である。図2の実軸(横軸)は、インピーダンスの実数成分の値を示す軸であり、虚軸(縦軸)は、インピーダンスの虚数成分の値を示す軸である。図2中の白丸もしくは黒丸の各丸点が、各周波数でのインピーダンスの測定点を示している。
ここで、バッテリ1の容量維持率の推移と、インピーダンスの周波数特性との関係等に関して図4を参照して説明しておく。
図4中の4Aの図は、同一仕様の2つのバッテリ1,1についての容量維持率の実測値の経時的な推移を例示したものである。黒点が一方のバッテリ1の容量維持率の実測値、白点が他方のバッテリ1の容量維持率の実測値である。この図示例では、バッテリ1の初期状態からの経過時間tがt=txとなる時刻以前では、2つのバッテリ1,1の使用条件を互いに異らせ、t=txの時刻以後では、2つのバッテリ1,1の使用条件を同じにしている。
また、図4中の4Bの図は、バッテリ1の初期状態の時刻である初期時刻(t=0の時刻)でのインピーダンスの周波数特性の測定データを示し、4Cの図はt=txの時刻(例えば3000時間程度の経過時間の時刻)でのインピーダンスの周波数特性の測定データを示している。この場合、4B、4Cのそれぞれの図中の実線が、4Aの図の黒点の実測値に対応するバッテリ1のインピーダンスの周波数特性の測定データを示し、4B、4Cのそれぞれの図中の破線が、4Aの図の白点の実測値に対応するバッテリ1のインピーダンスの周波数特性の測定データを示している。
なお、4B、4Cの図では、インピーダンスの周波数特性の測定データを、インピーダンスの測定点を連結した状態で示している。
4Aの図を参照して判るように、2つのバッテリ1,1のいずれについても、容量維持率は、経過時間tの増加に伴い、低下していく。すなわち、経過時間tの増加に伴い、バッテリ1の容量劣化が進行していく。
この場合、図4に示す例では、t=txの時刻以前での2つのバッテリ1,1の使用条件は互いに異なるものの、t=txの時刻での容量維持率が2つのバッテリ1,1で互いにほぼ同一となっている。また、t=txの時刻以後は、バッテリ1,1の使用条件は互いに同じであるものの、容量維持率の時間的変化率(低下速度)が2つのバッテリ1,1で互いに異なるものとなっている。
このように、ある時刻でのバッテリ1,1の容量維持率が同じであっても、バッテリ1,1のその後の容量維持率の低下速度が異なるものとなる場合がある。
一方、インピーダンスの周波数特性は、初期時刻(t=0の時刻)では、2つのバッテリ1,1で互いにほぼ一致する。また、いずれのバッテリ1,1についても、t=txの時刻でのインピーダンスの周波数特性は、初期状態から変化している。
このように、バッテリ1の内部状態を示すインピーダンスは、経過時間tの増加に伴い(バッテリ1の容量劣化の進行に伴い)変化する。
この場合、図4に示す例では、t=txの時刻でのバッテリ1,1のインピーダンスの周波数特性は互いに顕著に異なるものとなっている。これは、時刻tx以前でのバッテリ1,1の使用条件が互いに異なることに起因するものと考えられる。
そして、t=txの時刻以後の2つのバッテリ1,1の使用条件は互いに同じであるものの、t=txの時刻以後の容量維持率の低下速度は、2つのバッテリ1,1で互いに異なっている。
このことから、任意の経過時間の時点でのバッテリ1のインピーダンスの周波数特性は、その後のバッテリ1の容量維持率の低下速度、すなわち、劣化速度y’と高い相関性を有すると考えられる。
事前の準備処理では、以上の事項を踏まえて、各バッテリ状態測定時におけるバッテリ1の容量維持率の推移の測定データと、インピーダンスの周波数特性の測定データとに基づいて、バッテリ1の容量維持率の低下速度(劣化速度)と高い相関性を有する所定種類の特徴量(インピーダンスの周波数特性に係わる特徴量)を、前記式(A)の変数bとして選出することが行なわれる。
ここで、インピーダンスの実数成分、虚数成分、絶対値(=実数成分の2乗値と虚数成分の2乗値との和の平方根)、及び位相をそれぞれ、x、y、I、θと表記し、これらを基本パラメータと呼ぶ。そして、図2に示す如く、任意の経過時間tの時刻でのインピーダンスの周波数特性の測定データにおいて、任意の1つの周波数に対応するインピーダンスの測定値(例えば図2の測定点Pのインピーダンス)の各基本パラメータx、y、I、θの値をそれぞれx(t)、y(t)、I(t)、θ(t)と表記する。
また、任意の2つの周波数にそれぞれ対応するインピーダンスの測定値のうちの一方の測定値(例えば図2の測定点P1のインピーダンス)の各基本パラメータx、y、I、θの値をそれぞれx1(t)、y1(t)、I1(t)、θ1(t)と表記し、他方の測定値(例えば図2の測定点P2のインピーダンス)の各基本パラメータx、y、I、θの値をそれぞれx2(t)、y2(t)、I2(t)、θ2(t)と表記する。
本実施形態では、任意の経過時間tにおいて、1つの周波数でのインピーダンスについてのx(t)、y(t)、I(t)、θ(t)のいずれかにより値が規定されると特徴量と、2つの周波数でのインピーダンスについてのx1(t),y1(t)、I1(t)、θ1(t)のいずれかと、x2(t),y2(t)、I2(t)、θ2(t)のいずれかとの組から、和、差、積及び比のいずれかの演算(四則演算)により値が規定される特徴量とのそれぞれが、変数bの値を規定する所定種類の特徴量の候補とされる。すなわち、変数bの値は、上記候補のうちのいずれかの特徴量の値の関数値として決定されるものとされる。
そして、上記候補のうち、ある1つの特定周波数に対応する当該特徴量、又は、ある2つの特定周波数に対応する当該特徴量が、変数bの値を規定する所定種類の特徴量として選出される。
具体的には、本実施形態では、例えば図3に示すように、インピーダンスの各基本パラメータx、y、I、θのうちの任意の1つを代表的にSと表記したとき、単一の周波数でのインピーダンスのSの値S(t)の初期状態からの変化量(=S(t)−S(0)。以降、特徴量候補1という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)の和の初期状態からの変化量(=(S1(t)+S2(t))−(S1(0)+S2(0))。以降、特徴量候補2という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)の差の初期状態からの変化量(=(S1(t)−S2(t))−(S1(0)−S2(0))。以降、特徴量候補3という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)の積の初期状態からの変化量(=S1(t)・S2(t)−S1(0)・S2(0)。以降、特徴量候補4という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)のそれぞれの初期状態の変化量の積(=(S1(t)−S1(0))・(S2(t)−S2(0))。以降、特徴量候補5という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)のそれぞれの初期状態からの変化量の比(=(S1(t)−S1(0))/(S2(t)−S2(0))。以降、特徴量候補6という)と、2つの周波数でのSの値S1(t),S2(t)のそれぞれの初期状態に対する比率の差(=(S1(t)/S1(0))−(S2(t)/S2(0)。以降、特徴量候補7という)とが、変数bの値を規定する所定種類の特徴量の候補とされる。
ただし、この場合において、2つの周波数に関しては、S1とS2とが、互いに異なる種類の基本パラメータであってもよい。例えば、S1がx1、S2がy2であってもよい。
なお、単一の周波数に対応する特徴量候補1の種類数は、基本パラメータの種類数(4個)と、バッテリ1に通電する交流電流の周波数(インピーダンスの測定に用いる周波数)の種類数との積なる。また、2つの周波数に対応する特徴量候補2〜7のそれぞれの種類数は、S1、S2のそれぞれの種類の組み合せの総数と、バッテリ1に通電する交流電流の周波数(インピーダンスの測定に用いる周波数)のうちの2つの周波数の組合せの総数との積となる。
そして、種々様々な使用条件の基で得られたインピーダンスの周波数特性の全ての測定データに基づいて、上記の各候補(特徴量候補1〜7)の値と、容量維持率の低下速度(劣化速度)との相関性が解析される。
さらにその解析結果に基づいて、容量維持率の低下速度(劣化速度)に対して最も相関性の高い候補(特徴量候補1〜7のいずれか)が、変数bの値を規定する所定種類の特徴量として選出される。そして、該所定種類の特徴量の値から変数bの値を決定するための変換関数(変換の規則)が決定される。
該変換関数は、例えば、所定種類の特徴量の値を、そのまま変数bの値とするように決定される。あるいは、該変換関数は、変数bの値を既定の範囲内の値に制限する(例えば0から1の範囲内の値に正規化する)ために、当該所定種類の特徴量の値に、所定値のゲインを乗じたもの、あるいは、所定のオフセット値を加算したもの、あるいは、該ゲインの乗算及びオフセット値の加算の両方を施したものを変数bの値とするように決定される。
事前の準備処理では、以上のようにして前記式(A)の変数bの値を規定する所定種類の特徴量が選出される。そして、このように選出した特徴量の値を算出するために必要な1つ又は2つの特定周波数の値と、該算出の演算式と、該特徴量の値を変数bの値に対応付ける変換関数とが前記測定器5のメモリに記憶保持される。
準備処理ではさらに、前記式(A)の変数cの値(固定値)が決定されると共に、任意の経過時間tの時点での前記式(A)の変数a、zのそれぞれの値を、当該時点(又はその直前)のバッテリ1の使用条件に応じて決定するためのマップが作成される。該マップは、変数a,zのそれぞれ毎に各別のマップであり、a,zのそれぞれの値が、バッテリ温度、SOC、バッテリ電流等の使用条件の関数となるように作成される。
この場合、変数cの値と、上記マップとは、任意の経過時間tの時点において、当該cの値の設定値と、前記マップにより決定されるa,zの値と、当該時点でのインピーダンスの周波数特性の測定データから特定されるbの値とを用いて前記式(A)により劣化速度y’を算出したときに、その算出値が実際の劣化速度(容量維持率の推移の測定データにより示される劣化速度)にできるだけ精度よく合致するように決定される。そして、これらのcの値の設定値と、マップとが前記測定器5のメモリに記憶保持される。
以上が、事前の準備処理である。
<<容量維持率の推定>>
次に、本実施形態の容量維持率推定システムによるバッテリ1の容量維持率の推定処理を説明する。
測定器5は、バッテリ1の初期状態での時刻(t=0の初期時刻)から電圧センサ2、電流センサ3及び温度センサ4の各センサによるバッテリ電圧、バッテリ電流、バッテリ温度の検出データを逐次取得すると共に、取得したバッテリ電流の検出データ(バッテリ電流の検出値)を逐次積算した値に基づいて、SOC推定部21によりSOCの推定値を逐次算出する。
また、充電器9によるバッテリ1の充電、あるいは、負荷11によるバッテリ1の放電が適宜行なわれる。
このような状況において、測定器5は、初期時刻から所定の時間間隔で、劣化速度推定部22及び容量維持率推定部23の処理を図5のフローチャートで示す如く実行することで、バッテリ1の劣化速度及び容量維持率を、上記時間間隔で逐次推定する。なお、バッテリ1の劣化速度及び容量維持率の推定を行なう時間間隔は一定でなくてもよい。
バッテリ1の劣化速度及び容量維持率の各推定時点(図5のフローチャートの処理が実行される各時点)において、まず、STEP1〜5の処理が劣化速度推定部22により実行される。
STEP1では、劣化速度推定部22は、前記式(A)の変数a,zの値を、今回の推定時点(又はその直前)でのバッテリ電流及びバッテリ温度の検出データと、SOCの推定値とから、前記準備処理であらかじめ作成されたマップに基づいて決定する。
次いで、STEP2において、劣化速度推定部22は、交流電源7及びスイッチ6を制御して、交流電源7からバッテリ1に交流電流を一時的に通電させる。その交流電流は、前記準備処理によって決定された特定周波数(1つ又は2つの特定周波数)の正弦波交流、又は、該特定周波数の成分を少なくとも含む交流電流である。
そして、劣化速度推定部22は、バッテリ1に交流電流を通電した状態でのバッテリ電圧及びバッテリ電流の検出データに基づいて、上記特定周波数でのバッテリ1のインピーダンスを計測する。
次いで、STEP3において、劣化速度推定部22は、特定周波数でのインピーダンスの計測値から、前記準備処理により選出された特徴量の値を算出し、さらにその算出値を変数bの値に変換することで、今回の推定時点での変数bの値を決定する。なお、前記準備処理で、特徴量の値をそのまま変数bの値とするようにした場合には、特徴量の算出値を変数bの値に変換する必要なない。
次いで、STEP4において、劣化速度推定部22は、STEP1で決定した変数a,zの値と、STEP3で決定した変数bの値と、前記準備処理であらかじめ決定されたcの値と、今回の推定時点でのバッテリ1の容量維持率yの値と用いて、前記式(A)の右辺の演算を行なうことで、今回の推定時点での劣化速度y’の推定値を算出する。
この場合、式(A)の右辺の演算に用いる容量維持率yの値は、前回の推定時点(今回の推定時点の1つ前の推定時点)で決定された容量維持率yの推定値である。
なお、劣化速度y’の推定値は、負の値である。また、t=0の時点(初期時刻)での劣化速度y’の推定値は、例えば、初期時刻でのSOCの推定値、バッテリ温度の検出データ、バッテリ電流の検出データ等から、あらかじめ作成されたマップ(前記準備処理であらかじめ作成されたマップ)により決定される。
次いで、STEP5において、容量維持率推定部23により、今回の推定時点での容量維持率yの推定値が算出される。
この場合、次式(7)で示す如く、前回の推定時点で決定された劣化速度y’の推定値y'_preに、前回の推定時点と今回の推定時点との間の時間間隔Δtを乗算してなる値(これは前回の推定時点と今回の推定時点との間の期間での容量維持率の変化量を意味する)を、前回の推定時点での容量維持率y_preに加算することで、今回の推定時点での容量維持率yの推定値が算出される。

y=y_pre+y'_pre・Δt ……(7)

これにより、各推定時点での容量維持率yの推定値は、初期時刻(t=0の時刻)での容量維持率y(0)に、該推定時点までの劣化速度y’の推定値を積算(積分)した値を加えた値として算出される。なお、初期時刻(t=0の時刻)での容量維持率y(0)は、“1”(100%)である。
以上の処理により、各推定時点において、バッテリ1の劣化速度y’と容量維持率yとが推定される。
なお、本実施形態では、STEP1〜4の処理が、本発明における第1ステップに相当し、STEP5の処理が、本発明における第2ステップに相当する。
以上説明した本実施形態によれば、各推定時点でのインピーダンスの計測データに基づいて決定した変数bの値を用いて前記式(A)により劣化速度y’が推定されるので、高精度に劣化速度y’を推定できる。そして、この劣化速度y’の推定値を用いて上記式(7)の演算により容量維持率yを推定するので、精度よく容量維持率yを推定できる。
ここで、本実施形態による容量維持率の推定精度の検証結果について図6及び図7を参照して説明する。本願発明者は、本発明の一実施例として、例えば三元正極と、ハードカーボンの負極を有するバッテリセルについて、前記実施形態の手法によって、劣化速度及び容量維持率の推定を行なった。
この場合、前記実施形態で説明した如く、事前の準備処理において、式(A)の変数bの値を規定する特徴量の選出と、変数cの値の設定と、変数a,zの値を決定するためのマップの作成とを行なった。
この実施例における変数bの値を規定する特徴量として、図3に示した特徴量候補のうち、インピーダンスの実数成分を基本パラメータとして用いる特徴量候補3を選出した。すなわち、図6に示す如く、2つの特定周波数f1,f2におけるインピーダンスの実数成分x1,x2の差Δxの初期状態からの変化量を、実施例のバッテリセルに関して、変数bの値を規定する所定種類の特徴量として選出した。なお、図6は、実施例のバッテリセルのインピーダンスの周波数特性の測定データの一例を示している。
また、実施例における式(A)の変数cの値は、0.7に設定した。
そして、バッテリセルの初期状態から所定の時間間隔で図5のフローチャートに示す処理を実行することで、劣化速度y’の推定を行い、さらに、この劣化速度y’の推定値を用いて容量維持率yの推定を行なった。
図7は、当該実施例における容量維持率の推定値のデータと、該容量維持率の実測値のデータとをそれぞれ、実線、破線で示している。なお、図7には、比較のために、従来のルート則によって推定した容量維持率のデータを一点鎖線で併記した。
図7に見られるように、実施例における容量維持率の推定値は、ルート則による推定値に比して、高精度に実測値に一致することが判る。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図8〜図12を参照して説明する。
まず、本実施形態の概略を説明する。前記第1実施形態では、劣化速度y’及び容量維持率yの各推定時点において、特定周波数でのバッテリ1のインピーダンスを計測し、その計測データを用いて式(A)の変数bの値を決定するようにした。
これに対して本実施形態では、バッテリ1のインピーダンスを計測せずに、式(A)の変数bの値を推定し、その推定値を用いて劣化速度y’(容量維持率yの低下速度)を推定する。
ここで、変数bの値は、バッテリ1の使用条件を一定に維持した場合、一般に、バッテリ1の初期状態からの経過時間tの増加に伴い、図9のグラフで示すように、単調に増加していく。その増加の形態は、指数関数又はべき乗関数の形態に近似する。
ただし、変数bの値の増加率(単位時間当たりのbの値の増加量)は、一般にバッテリ1の使用条件に応じて変化するので、それを加味して変数bの値を推定する必要がある。
そこで、本願発明者は、変数bの推移を線形化することを試みた。具体的には、任意の経過時間tの時刻での変数bの値b(t)に対して、次式(8a)又は(8b)の関係を有する関数u(t)を想定する。

u(t)=log((b(t)+p) ……(8a)
u(t)=(b(t)+p)q ……(8b)

なお、log( )は、自然対数である。また、p,qは、ある適当な所定値(固定値)である。
このとき、式(8a)のp、あるいは、式(8b)のp,qの値を適切な所定値(固定値)に設定することで、変数bの値b(t)が図9に示すような形態で経過時間tの増加に伴い増加すると、関数u(t)は、近似的に、図10に示すような線形関数(一次関数)、すなわち、次式(9)の形の線形関数として表される。従って、変数bは、式(8a)又は式(8b)によって、線形関数u(t)に変換される。

u(t)=α・t+β ……(9)

そして、式(9)を式(8a),(8b)に代入して変形することで、前記式(B1)、(B2)が得られる。これらの式(B1),(B2)を下記に改めて示す。

b(t)=exp(u(t))−p=exp(α・t+β)−p ……(B1)
b(t)=(u(t))1/q−p=(α・t+β)1/q−p ……(B2)

この場合、式(9)のα、βを、その値がバッテリ1の使用条件に依存する変数として、該変数α、βの値を用いて関数u(t)=α・t+βの値を決定し、そのu(t)の値から、式(B1)又は(B2)によりb(t)を決定することで、バッテリ1の使用条件に応じた変数bの増加率の変化を適切に加味して、該変数bの値を決定できる。
そこで、本実施形態では、変数bの値を、式(B1)及び(B2)の一方、例えば(B1)に基づき推定することとした。
以上を踏まえて、本実施形態を以下に具体的に説明する。なお、本実施形態の説明では、第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を用いる。
図8を参照して、本実施形態における容量維持率推定システムは、劣化速度y’(容量維持率の低下速度)や容量維持率の推定を行なうための検出データを取得するセンサとして、バッテリ電流を検出する電流センサ3とバッテリ温度を検出する温度センサ4とを備えると共に、第1実施形態と同様にバッテリ1の出力端子間にスイッチ8,10をそれぞれ介して接続された充電器9、負荷11とを備える。
さらに、本実施形態の容量維持率推定システムは、電流センサ3及び温度センサ4による検出データを用いて劣化速度y’及び容量維持率の推定処理を行う測定器15とを備える。
この測定器15は、第1実施形態の測定器5と同様に、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニット、あるいは、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにより構成される。そして、測定器15は、実装されるプログラムを実行することにより実現される主な機能として、第1実施形態と同様に、バッテリ1のSOCを推定するSOC推定部21と、バッテリ1の劣化速度を推定する劣化速度推定部24と、バッテリ1の容量維持率を推定する容量維持率推定部23とを備える。
この場合、SOC推定部21及び容量維持率推定部23の処理は、第1実施形態と同じである。一方、本実施形態における劣化速度推定部24は、その一部の処理(式(A)の変数bの値を決定する処理)が第1実施形態と相違する。
<<事前の準備処理>>
本実施形態においても、バッテリ1の容量維持率の推定を行なうにあたって、事前に準備処理が実行される。
この準備処理では、まず、第1実施形態と同様に、バッテリ温度、バッテリ電流、SOC等の種々様々の使用条件の基で、バッテリ1の初期状態から任意に設定した時間間隔をおいて、バッテリ1の容量維持率を実測することと、バッテリ1に交流電流を通電して該バッテリ1のインピーダンスの周波数特性を実測することとが行なわれる。
そして、バッテリ1の容量維持率の推移の測定データと、インピーダンスの周波数特性の測定データとに基づいて、バッテリ1の容量維持率の低下速度(劣化速度)と高い相関性を有する所定種類の特徴量を前記式(A)の変数bの値を規定する特徴量として選出することと、式(A)の変数cの値を決定することと、式(A)の変数a,zの値をバッテリ1の使用条件に応じて決定するためのマップを作成することとが第1実施形態と同様に行なわれる。
なお、変数cの値と、変数a,zにそれぞれ対応するマップとは、第1実施形態と同じでよい。
加えて、本実施形態における準備処理では、前記式(B1)の変数pの値(固定値)が決定されると共に、前記式(B1)の変数α、βのそれぞれの値を、バッテリ1の使用条件に応じて決定するためのマップが作成される。該マップは、変数α、βのそれぞれ毎に各別のマップであり、α、βのそれぞれの値が、バッテリ温度、SOC、バッテリ電流等の使用条件の関数となるように作成される。
この場合、変数pの値と、変数α,βにそれぞれ対応するマップとは、バッテリ1の使用条件が一定に維持された状態で、当該pの値の設定値と、当該マップにより決定されるα,βの値とを用いて、前記式(B1)により任意の経過時間tの時刻での変数bの値b(t)を算出したときに、その算出値が、バッテリ1のインピーダンス(特定周波数でのインピーダンス)の測定データから特定される変数bの値にできるだけ精度よく合致するように決定される。
なお、変数βの値は、t=0の初期時刻での線形関数u(t)の値u(0)に一致し、該初期時刻での変数bの値b(0)を規定するものである。従って、βに対応するマップは、t=0の初期時刻でのβの値(=u(0))を決定するために用いるマップである。
また、変数αの値は、任意の経過時間tの時刻での線形関数u(t)の値の時間的変化率(増加速度)、ひいては、変数bの増加率を規定するものである。従って、αに対応するマップは、任意の経過時間tの時刻でのαの値(=u(t)の増加速度)決定するために用いるマップである。
本実施形態における事前の準備処理では、以上の如く決定した変数c、pの値の設定値と、変数a,zにそれぞれ対応するマップと、変数α,βにそれぞれ対応するマップとが、前記測定器15のメモリに記憶保持される。
以上が、本実施形態での事前の準備処理である。
<<容量維持率の推定>>
次に、本実施形態の容量維持率推定システムによるバッテリ1の容量維持率の推定処理を説明する。
測定器15は、バッテリ1の初期状態での時刻(t=0の初期時刻)から電流センサ3及び温度センサ4の各センサによるバッテリ電流、バッテリ温度の検出データを逐次取得すると共に、SOC推定部21により第1実施形態と同様に、SOCの推定値を逐次算出する。
また、充電器9によるバッテリ1の充電、あるいは、負荷11によるバッテリ1の放電が適宜行なわれる。
このような状況において、測定器15は、初期時刻から所定の時間間隔で、劣化速度推定部24及び容量維持率推定部23の処理を図11のフローチャートで示す如く実行することで、バッテリ1の劣化速度及び容量維持率を、上記時間間隔で逐次推定する。なお、第1実施形態の場合と同様に、バッテリ1の劣化速度及び容量維持率の推定を行なう時間間隔は一定でなくてもよい。
バッテリ1の劣化速度及び容量維持率の各推定時点(図11のフローチャートの処理が実行される各時点)において、まず、STEP11〜15の処理が劣化速度推定部24により実行される。
STEP11では、劣化速度推定部24は、前記式(A)の変数a,zの値を、今回の推定時点(又はその直前)でのバッテリ電流及びバッテリ温度の検出データと、SOCの推定値とから、前記準備処理であらかじめ作成されたマップに基づいて決定する。このSTEP11の処理は、第1実施形態のSTEP1の処理と同じである。
次いで、STEP12において、劣化速度推定部24は、前記式(B1)の変数α,βの値を、バッテリ電流及びバッテリ温度の検出データと、SOCの推定値とから、前記準備処理であらかじめ作成されたマップに基づいて決定する。
この場合、変数αの値は、今回の推定時点(又はその直前)でのバッテリ電流及びバッテリ温度の検出データと、SOCの推定値とから、前記準備処理であらかじめ作成されたマップに基づいて決定される。
一方、変数βの値(=u(0))は、t=0の初期時刻でのバッテリ電流及びバッテリ温度の検出データと、SOCの推定値とから、前記準備処理であらかじめ作成されたマップに基づいて決定される。
なお、初期時刻以外の推定時点での変数βの値(=u(0))は、マップを使用せずに、初期時刻での変数βの値と同じ値に決定してもよい。
また、t=0の初期時刻では、変数αの値によらずに、α・t=0であるから、初期時刻でのαの値は、任意の値(例えばあらかじめ定めた固定値等)でもよい。
次いで、STEP13において、劣化速度推定部24は、STEP12で決定した変数α、βの値を用いて線形関数u(t)の値を決定する。
具体的には、劣化速度推定部24は、今回の推定時点が初期時刻である場合には、βの値を今回の推定時点でのu(t)の値(=u(0))として決定する。
また、今回の推定時点が初期時刻でない場合には、劣化速度推定部24は、今回の推定時点でのSTEP12で決定した変数αの値に、前回の推定時点と今回の推定時点との間の時間間隔Δtを乗算してなる値(=α・Δt)を、前回の推定時点と今回の推定時点との間での線形関数uの値の変化量として算出する。そして、劣化速度推定部24は、この変化量の算出値を、前回の推定時点で決定した線形関数uの値u(t−Δt)に加算することにより、今回の推定時点での線形関数u(t)の値を決定する。
このようにu(t)の値を決定することで、バッテリ1の使用条件が一定に維持されている場合(各推定時点(又はその直前)での使用条件が同じである場合)には、u(t)の値は、図12のいずれかの破線ラインで示す如く、一定の増加率(=α)で増加していくこととなる。
一方、バッテリ1の使用条件がある推定時点(又はその直前)で切替わった場合には、図12に示すように、その切替わり時点でのu(t)の値を保持したまま、変数αの値(u(t)の増加率)が切替わり後の使用条件に応じた値に変更され、その変更後のαの値により示される増加率で、u(t)の値が増加していくこととなる。
次いで、STEP14において、劣化速度推定部24は、STEP13で決定した線形関数u(t)の値から、前記式(B1)により変数bの値を算出する。なお、式(B1)の変数pの値は、事前の準備処理で決定された設定値である。
次いで、STEP15において、劣化速度推定部24は、STEP11で決定した変数a,zの値と、STEP14で決定した変数bの値と、前記準備処理であらかじめ決定されたcの値と、今回の推定時点でのバッテリ1の容量維持率yの値と用いて、前記式(A)の右辺の演算を行なうことで、今回の推定時点での劣化速度y’の推定値(<0)を算出する。
この場合、第1実施形態におけるSTEP4の処理と同様に、式(A)の右辺の演算に用いる容量維持率yの値は、前回の推定時点で求められた容量維持率yの推定値である。
また、t=0の時点(初期時刻)での劣化速度y’の推定値は、該初期時刻でのSOCの推定値、バッテリ温度の検出データ、バッテリ電流の検出データ等からあらかじめ作成されたマップにより決定された値とされる。
次いで、STEP16において、容量維持率推定部23により、今回の推定時点での容量維持率yの推定値が算出される。この処理は、第1実施形態におけるSTEP5の処理と同様に行なわれる。
以上の処理により、各推定時点において、バッテリ1の劣化速度y’と容量維持率yとが推定される。
なお、本実施形態では、STEP11〜15の処理が、本発明における第1ステップに相当し、STEP16の処理が、本発明における第2ステップに相当する。
以上説明した本実施形態によれば、前記式(B1)に基づき、各推定時点での変数bの値を推定することで、各推定時点で、インピーダンスの計測を行なうことなく、前記式(A)により劣化速度y’を精度よく推定することができる。そして、この劣化速度y’の推定値を用いて上記式(7)の演算により容量維持率yを推定するので、精度よく容量維持率yを推定できる。
なお、第2実施形態では、前記式(B1)に基づいて、変数bの値を推定するようにしたが、図11のSTEP14に括弧書きで示すように、前記式(B2)により変数bの値を算出するようにしてもよい。なお、この場合においては、式(B2)の変数p,qの値は、事前の準備処理において、式(B1)の変数pと同様に所定値(固定値)に決定される。
また、前記第2実施形態では、事前の準備処理において、バッテリ1のインピーダンスの計測を行い、その計測データに基づいて、変数bの値を規定する特徴量を選出した上で、前記式(B1)の変数pの値(又は式(B2)の変数p,qの値)と、式(9)の変数α,βの値を決定するためのマップとを決定するようにしたが、インピーダンスの計測データを用いずに、式(B1)の変数pの値(又は式(B2)の変数p,qの値)と、変数α,βの値を決定するためのマップとを決定するようにしてもよい。
この場合には、式(B1)(又は式(B2))に基づき推定される変数bの値を用いて前記式(A)により劣化速度y’を推定したときに、その推定値が、容量維持率の推移の計測データにより示される実際の劣化速度にできるだけ合致するように、式(B1)の変数pの値(又は式(B2)の変数p,qの値)と、式(9)の変数α,βの値を決定するためのマップと、式(A)の変数cの値と、式(A)の変数a,zを決定するためのマップとの全体を決定するようにすればよい。
また、前記各実施形態では、式(A)の変数a,z、あるいは、式(9)の変数α,βの値をバッテリ温度、バッテリ電流及びSOCの3種類の状態量の値に関する使用条件に応じて決定するようにしたが、これらの状態量のうちの1つ又は2つの状態量に関する使用条件に応じて式(A)の変数a,z、あるいは、式(9)の変数α,βの値を決定するようにしてもよい。
1…バッテリ(2次電池)、22,24…劣化速度推定部、23…容量維持率推定部、STEP1〜4,STEP11〜15…第1ステップ、STEP5,STEP16…第2ステップ。
しかしながら、従来のルート則を用いる手法、あるいは、特許文献1に見られ手法では、2次電池の内部状態の劣化の程度に起因する劣化速度の変化の影響が配慮されていないため、容量維持率の推定精度をより一層高めることが困難なものとなっていた。
次いで、STEP3において、劣化速度推定部22は、特定周波数でのインピーダンスの計測値から、前記準備処理により選出された特徴量の値を算出し、さらにその算出値を変数bの値に変換することで、今回の推定時点での変数bの値を決定する。なお、前記準備処理で、特徴量の値をそのまま変数bの値とするようにした場合には、特徴量の算出値を変数bの値に変換する必要ない。

Claims (6)

  1. 2次電池の容量維持率を推定する方法であって、
    前記2次電池の容量維持率の時間的変化率である劣化速度y’を時間間隔をおいて次式(A)により逐次推定する第1ステップと、該劣化速度y’の推定値を用いて前記2次電池の容量維持率を推定する第2ステップとを備えることを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。
    y’=(c/(1−y)(1/c)-1)・(a・b+z) ……(A)
    ただし、
    c:あらかじめ定めた所定値
    y:劣化速度y’の今回の推定時点での容量維持率の推定値
    a,z:劣化速度y’の今回の推定時点又はその直前における2次電池の使用条件に応じて値が決定される変数
    b:2次電池の初期状態からの経過時間tの増加に伴い、値が増加していくように決定される変数
  2. 請求項1記載の2次電池の容量維持率推定方法において、
    前記劣化速度y’の各推定時点において、前記2次電池に単一又は複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測するステップと、該インピーダンスの計測データに基づいて前記変数bの値を決定するステップとをさらに備えることを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。
  3. 請求項2記載の2次電池の容量維持率推定方法において、
    前記変数bは、前記2次電池に複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測する実験を事前に実施しておくことによりあらかじめ得られた前記2次電池のインピーダンスの周波数特性の計測データに基づいて、前記劣化速度y’との相関性を有するものとして選出された所定種類の特徴量であり、且つ、該所定種類の特徴量は、その値が、1つ以上の特定の周波数における前記2次電池のインピーダンスにより規定される特徴量であり、
    前記劣化速度y’の各推定時点において、前記2次電池に通電する交流電流は、前記特定の周波数の成分を少なくとも含む交流電流であることを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。。
  4. 請求項3記載の2次電池の容量維持率推定方法において、
    前記2次電池のインピーダンスの実数成分、虚数成分、絶対値、及び位相のそれぞれを基本パラメータと定義したとき、前記変数bは、単一の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータにより値が規定される特徴量と、2つの周波数の一方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータ及び他方の周波数におけるいずれかの前記基本パラメータから成る2つの基本パラメータの値の和、差、積及び比のいずれかによって値が規定される特徴量とのうちから選出されたいずれかの特徴量であることを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。
  5. 請求項1記載の2次電池の容量維持率推定方法において、
    前記劣化速度y’の各推定時点において、前記変数bの値の経時変化を近似する次式(B1)又は(B2)に基づいて、当該推定時点における前記変数bの値を推定するステップをさらに備えることを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。
    b(t)=exp(u(t))−p ……(B1)
    b(t)=(u(t))1/q−p ……(B2)
    ただし、
    t:2次電池の初期状態からの経過時間
    b(t):経過時間がtである時刻での変数bの値
    u(t):u(t)=α・t+βにより表される線形関数
    exp( ):自然対数の底の指数関数
    α:経過時間がtである時刻又はその直前での2次電池の使用条件に応じて値が決定される変数
    β:2次電池の初期状態での使用条件に応じて値が決定される変数
    p,q:あらかじめ定められた所定値
  6. 2次電池の容量維持率を推定する方法であって、
    前記2次電池に複数の周波数の交流電流を通電し、該交流電流の各周波数における前記2次電池のインピーダンスを計測する実験を事前に実施することにより得られた該インピーダンスの周波数特性の計測データに基づいて、前記容量維持率の時間的変化率である劣化速度と相関性を有する特徴量をあらかじめ選出しておき、前記2次電池の容量維持率を推定するとき、前記特徴量の値に基づいて前記劣化速度を推定し、該劣化速度の推定値を用いて前記容量維持率を推定することを特徴とする2次電池の容量維持率推定方法。
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