JP2014050630A - 流体バランサ及びそれを備えた洗濯機 - Google Patents

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童 陳
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Abstract

【課題】洗濯槽20の二次共振振動近くの振動を有効に抑制する。
【解決手段】高速回転する洗濯槽20開口部の流体バランサ30は、円環状リング31内に水33封入の円環状可撓性袋32を設け、その袋は水を円環全長に亘って移動可能な内容積を有して空気抜きされている。洗濯槽の高速回転に伴って洗濯槽の不釣り合いAが生じると、袋内の水が回転軸心に対し不釣り合いの反対方向に移動してその不釣り合いを打ち消し安定した回転を担保する。この状態の水が移動した反対部分の袋は縮小した扁平状態となる。二次共振振動領域に近づくと、水が不釣り合い方向に移動しようとするが、不釣り合い方向の袋部分は扁平状態のため、その移動はその扁平状態を押し広げ、その押し広げ作用は壁面を押して行われるため、水の不釣り合い方向への移動は抑制される。このため、二次共振振動領域及びその近辺においても、アンバランス補正が行なわれて二次共振振動の騒音が抑制される。
【選択図】図3

Description

この発明は、流体バランサとそれを備えた洗濯機に関する。
例えば、全自動洗濯機の洗濯槽は、洗濯物が偏って洗濯槽とその駆動部とを合わせた系の一次共振振動数で回転すると、洗濯槽の振動の振幅が極めて大きくなって騒音が発生する。さらに、一次共振振動数よりも振動数が高い二次共振振動数で回転すると、一次共振振動数で回転する場合に比べてさらに振動の振幅が大きくなり、騒音も大きくなる。
このため、洗濯機の洗濯槽等の回転体には、それらの振動や騒音を防止するため、流体バランサが付設されている。この流体バランサは、液体や粒体等の流体を円環筒状リング内に部分的に満たし、そのリングを洗濯槽等の回転体とその回転軸心を中心にして共に回転する構成とし、回転体が不釣り合いを生じて回転すると、前記リング内の流体が回転軸心に対し不釣り合いの反対方向に移動し、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保するものである。
例えば、流体バランサの洗濯機への採用を、この発明の一実施形態を示す図1、図2を参照して説明すると、洗濯槽20の上面開口部に円環筒状リング31を取付け、脱水時、洗濯槽20内の洗濯物が偏って洗濯槽20に不釣り合いが生じると、リング31内の流体が回転軸心Rに対し洗濯物の反対方向に移動し、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保する。
しかし、回転体は、上記のように、一次共振領域を超えると、やがて二次共振領域が到来し、洗濯機の場合は脱水時の回転数に近いその二次共振領域近くでは、円環状リング内の流体が不釣り合い方向(例えば、洗濯物方向)に移動して、その流体移動に伴い二次共振振動を助長して振動と騒音を大きくする現象が生じる。
このため、従来から、その振動と騒音を解消すべく、流体バランサに種々の工夫がなされており、例えば、上記円環状リング31の内面外周に緩衝部材を設け、その緩衝部材によって、上記共振振動時の流体の移動を抑制して、共振を防止した技術がある(特許文献1請求項1)。
また、上記円環状リング31内をその全周に亘って内外の中空部に弾性薄膜によって区画し、その内側中空部に流体を内蔵した技術がある。この技術は、洗濯槽の高速回転時、弾性薄膜が外周方向に弾性変形し、流体がその外周側に偏って、アンバランス補正力が向上するとしている(特許文献2請求項1、段落0007、図9)。
さらに、上記円環状リングを流体入りチューブで構成し、そのチューブをリンク機構及び押え板を介して調芯ウエートによって押圧自在とし、回転体の回転に伴う前記調芯ウエートの移動によって前記チューブを押してその中の流体を移動させ、その流体移動によって回転体のバランスをとる技術もある(特許文献3、請求項1、段落0005、図1、2)。
特開2011−30953号公報 特開2010−17217号公報 特開2001−786号公報
上記特許文献1、2に記載の技術は、それなりに、二次共振振動近くの振動を抑制する効果は認められたが、その抑制効果は十分ではなく、洗濯機においては、十分な回転数で脱水作用を行なうことができず、脱水性能のさらなる向上が望まれている。
また、特許文献3に記載の技術は、リンク等を有するため、洗濯機等の回転機器に組み込むことは困難である。
この発明は、上記の実状の下、従来とは異なる構成でもって上記二次共振振動近くの振動を有効に抑制することを課題とする。
上記課題を達成するために、この発明は、回転体の回転数上昇時、上記円環状リング内の流体が移動するのは、その流体表面の波打ち現象によるものであることから、その波打ち現象を抑制することとしたのである。
その波打ち現象は、図5に示すように、流体(水)33表面に波wが生じ、その波wが矢印方向に移動することにより障害物を乗り越えたりして流体全体が移動するものである。このため、その波wが生じないようにすれば、流体の移動は抑制されると考える。
この考えに基づき、この発明は、回転体の回転軸線の周りにその軸線と同心で設けられた前記回転体と一体に回転する円環状容器と、その容器内にその全周に亘って装填された円環状可撓性袋と、その可撓性袋内に封入された流体とからなり、前記円環状容器は、その回転によって変形しないものであり、前記可撓性袋は、前記流体を円環全長に亘って移動可能とする内容積を有するとともに空気抜きがなされたものである構成を採用したのである。
この構成の流体バランサは、回転体の不釣り合いが生じると、可撓性袋の流体が回転軸心に対し不釣り合いの反対方向に移動し、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保する。この流体が不釣り合いの反対方向に移動した可撓性袋の状態は、空気抜きがなされているため、その流体が移動した反対部分は縮んだ扁平状態となる(図3、図4(b)参照)。
この状態において、二次共振振動領域に近づくと、流体が不釣り合い方向に移動しようとするが、その不釣り合い方向の可撓性袋部分は縮んだ扁平状態であるため、その移動はその扁平状態を押し広げて行うこととなるとともに、その押し広げ作用は壁面を押して行われるため、上記波打ち現象も生じにくい。このため、流体の不釣り合い方向への移動は抑制される。
したがって、二次共振振動領域及びその近辺においては、二次共振振動による騒音の抑制が行われ、安定した回転を担保する(図8参照)。
この構成の流体バランサは、種々の回転体のバランサとして採用することができ、例えば、全自動洗濯機、遠心分離機、連続焼却炉の冷却ロールや流体継手等の回転体に採用することができるが、全自動洗濯機においては、例えば、洗濯槽と、その洗濯槽を回転軸心を中心として回転させる駆動部と、上記構成の流体バランサとからなり、その流体バランサは、前記回転軸心を中心にして前記洗濯槽と共に回転するようになっている構成とすることができる。遠心分離機には、種々の物の分離機に使用でき、例えば、血液の分離にも使用し得る。
なお、上記可撓性袋は、伸縮(膨縮)性を有しない樹脂フィルムやシート、又は皮革、繊維製が好ましいが、上記作用効果を担保し得る限りにおいて、ゴム等の弾性体製も採用することができる。また、その「可撓性袋の空気抜きがなされたものである」とは、完全な真空状態である必要はなく、上記の扁平状態における流体の移動を抑制して振動抑制の作用効果を担保できる限りにおける空気抜き状態をいう。
因みに、特許文献3の技術は、回転体が不釣り合いを生じて回転すると、チューブ内の流体が回転軸心に対し不釣り合いの反対方向に移動し、その不釣り合いを打ち消すものであるが、その流体の移動の多くは、調芯ウエートによって行なわれ、流体の自立的な移動ではない。これに対し、この発明の流体バランサは、その円環状容器がその回転によって変形しないものであるため(可撓性でないため)、流体の移動はその自立的な移動によって行なわれる。すなわち、この発明の流体バランサは特許文献3の技術とはその流体の移動メカニズムが明確に異なるものである。
この発明は、以上のように、流体の封入された可撓性袋をその流体を円環全長に亘って移動可能とする内容積を有するとともに空気抜きがなされたものとしたので、二次共振振動領域及びその近辺においても、一次共振振動領域を通過後のまま、流体は不釣り合いの反対方向に移動して集まっており、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保する。このため、従来、二次共振振動領域を超えて回転させることができなかった回転体をその二次共振振動領域を超えた回転数まで上げることができる。例えば、洗濯機においては、従来に比べて脱水時の洗濯槽(脱水槽)の回転数を上げることができて、脱水効率の向上を図ることができる。
この発明の流体バランサを採用し得る全自動洗濯機の概略縦断面図 同流体バランサの外観斜視図 同流体バランサの一実施形態の作用説明用切断平面図 同実施形態の作用説明図であり、(a)は図3のa−a線断面図、(b)は同b−b線断面図 流体の移動説明図 この発明に係る流体バランサの作用効果確認用実験装置の概略斜視図 同実験装置の制御ブロック図 同実験装置における流体バランサの回転数と振動(偏位荷重)の大きさとの関係図
この発明の一実施形態を図1〜図4に示し、この実施形態は縦型の自動洗濯機1であり、外箱10の内部に、洗濯槽(脱水槽)20、流体バランサ30、水槽40、駆動ユニット50、給水部60、排水部70及び制御部80を備える。
外箱10の上面板11に洗濯物投入口12が形成され、洗濯物投入口12は蓋13によって上方から覆われる。洗濯槽20と水槽40は、円筒形のカップ形状を有して上面が開口しており、洗濯槽20の外周面を水槽40が覆い、軸線Rがほぼ鉛直方向に延びて同心状に配置されている。水槽40は、サスペンション部材14によって外箱10内に吊り下げられている。サスペンション部材14は、外箱10の内面の4箇所の角部のそれぞれを水槽40の外周面の下部と連結して4箇所に配置されている。サスペンション部材14によって吊り下げられた水槽40は、外箱10内に支持されて水平面内で揺動することが可能となっている。
洗濯槽20は、下部から上部の開口に向かうにつれて内壁面の径が大きくなるように形成されて、上方に向かうにつれて緩やかに広がるテーパ形状の傾斜した内周壁面を有する。洗濯槽20の周壁には複数の脱水孔21が形成されている。その脱水孔21の数、位置は任意である。
洗濯槽20の上部に給水部60が配置され、この給水部60は、洗濯機1の外部から水道水などの上水を供給する接続管61と、電磁的に開閉する給水弁62と、給水口63とからなる。その給水口63は洗濯槽20の開口に対向して配置されている。
洗濯槽20の上部開口の縁に、この発明に係わる円環状の流体バランサ30が装着され、洗濯槽20の内部底面には、洗濯槽20内で洗濯水、または、すすぎ水の流動を生じさせるためのパルセータ22が配置されている。
水槽40の外周下面には駆動ユニット50が装着されており、この駆動ユニット50は、駆動用モータ51と、クラッチ機構52と、ブレーキ機構53とからなる。クラッチ機構52とブレーキ機構53の中心部から脱水軸54とパルセータ軸55とがほぼ鉛直方向に上向きに突出しており、脱水軸54とパルセータ軸55とは、脱水軸54を外側、パルセータ軸55を内側とする二重軸構造を有する。脱水軸54は、水槽40の下面から水槽40の内部に入り込み、洗濯槽20に連結されて洗濯槽20を支持する。脱水軸54は、洗濯槽20の回転軸であり、脱水軸54に沿って洗濯槽20の回転軸線Rが延びている。パルセータ軸55は、さらに洗濯槽20の内部に入り込み、パルセータ22に連結されてパルセータ22を支持する。脱水軸54と水槽40との間と、脱水軸54とパルセータ軸55との間には、それぞれ、水もれを防ぐためのシール部材(図示せず)が配置されている。
水槽40の底部には、水槽40と洗濯槽20の内部の水を外箱10の外に排出するための排水ホース71が取り付けられており、この排水ホース71には、相対的に水槽40の中心部側において水槽40に接続される中心側排水管72と、相対的に水槽40の周壁面側において水槽40に接続される外側排水管74とが接続されている。中心側排水管72には排水弁73が取り付けられている。
外箱10の上面において洗濯機1の正面側には、操作/表示部15が配置され、その下方に制御部80が配置されている。使用者が操作/表示部15を操作すると、制御部80に動作指令が送信され、制御部80は、操作/表示部15から受信した動作指令に基づいて、駆動ユニット50と、給水弁62と、排水弁73に制御信号を送信する。また、制御部80は操作/表示部15に表示指令を送信し、その指令は表示部15に表示される。
上記流体バランサ30は、図2〜図4に示すように、円環状の容器(リング)31によって構成され、容器31の外径は、洗濯槽20(図1)の最上部の内径と同じ大きさである。流体バランサ30は、洗濯槽20の回転軸線Rが容器31の中心Cを通るように洗濯機1(図1)に配置される。
容器31は、例えば合成樹脂等の変形しない材料によって形成されており、外側壁部31aと内側壁部31bとを有した断面四角筒状をしており、その両壁31a、31bの間にナイロン製の可撓性袋(筒状チューブ)32が装填されている。その可撓性袋32内には流体として水33が収容されている。水33は、例えば、容器31の容積の3分の1から半分程度の量、例えば150g収容されて、その収容状態において、可撓性袋32内は空気抜きされている。
可撓性袋32の断面(図4の形状)は、水33が集まった状態(図4(a)の状態)において、容器31の内周に沿う形状が好ましく、例えば、容器31の断面が正方形であれば、袋32の断面も正方形、同円形ならば同円形等と同一形状とすることが好ましい。このとき、可撓性袋32の断面は容器31の内周全面ピッタリ沿う形状がより好ましい。しかし、下記作用を発揮する限りにおいて、両者は相違していてもよく、その断面形状は、四角に限らず、円形、楕円形、多角形等と任意である。また、容器31の断面形状は、必ずしもリング状である必要はなく、一部切り欠きのある形状、例えば上向きコの字形状でもよい。
この洗濯機1の構成は以上の通りであり、使用者は、従来と同様にして、洗濯物を洗濯槽20に投入した後、操作/表示部15の操作ボタン群を操作し、所要の洗濯の条件を選んで洗濯・脱水を行う。
この洗濯・脱水時、洗濯物がすすがれた後、パルセータ22が小刻みに反転して洗濯物をほぐし、洗濯槽20の中において洗濯物がバランスよく配分された後、脱水工程に移行する。
脱水工程は、例えば、洗い工程とすすぎ工程の間と、すすぎ工程との後の排水開始前、又は排水と同時に行われ、まず、低速脱水が行われる。低速脱水は、モータ51が脱水軸54を回転することによって行われる。モータ51が脱水軸54を回転させると、洗濯槽20が脱水回転する。洗濯槽20とともに、パルセータ22も回転する。
つづいて、高速脱水が行われ、その高速脱水は、モータ51による脱水軸54の回転速度を高めることによって行われる。洗濯槽20が高速で回転すると、洗濯物は遠心力で洗濯槽20の内周壁に押しつけられ、同時に、洗濯物に含まれていた洗濯水も遠心力によって洗濯槽20の周壁内面に集まる。洗濯槽20はテーパ状に上方に広がっているので、遠心力を受けた洗濯水は洗濯槽20の内周壁面に沿って上昇する。洗濯水は、洗濯槽20の上端にたどりついたところで脱水孔21から放出される。脱水孔21を離れた洗濯水は水槽40の内面にたたきつけられ、水槽40の内面を伝って水槽40の底部に流れ落ちる。そして、外側排水管74と、それに続く排水ホース71を通って外箱10の外に排出される。
以上の脱水工程において、洗濯物をほぐしても、洗濯槽20内の洗濯物Aに偏りが残り、洗濯物Aを収容する洗濯槽20と水槽40とモータ51と流体バランサ30とから構成される系が偏心荷重を有することがある(図3参照)。この偏心荷重により、洗濯物Aが偏って洗濯槽20とその駆動部とを合わせた系の一次共振振動数で高速回転したり、さらに、その一次共振振動数よりも振動数が高い二次共振振動数で回転したりすると、それに伴って振動が大きくなって騒音も発生する。
しかし、この洗濯機1においては、その脱水工程時、流体バランサ30も洗濯槽20とともに、回転軸線Rを中心に回転して、流体バランサ30の容器31の可撓性袋32内の水33に遠心力が付与される。このため、洗濯槽20内の洗濯物Aに偏よりが生じると、1次共振振動数の回転数では水33は洗濯物Aの偏りと同じ方向に移動するが、1次共振振動数を超えると、図3、図4(a)に示すように、可撓性袋32内の水33が回転軸心Rに対し不釣り合い(偏った洗濯物A)の反対方向に移動し、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保する。
この流体(水)33が不釣り合いの反対方向に移動した可撓性袋32の状態は、空気抜きがなされているため、その流体33が移動した反対部分は容積が縮小し皺状の扁平状態(ナイロン製筒状チューブ内の空気が抜かれて壁31aにへばりついた状態)となる(図3、図4(b)参照)。この流体33の移動によって、一次共振振動数を超えた高速回転時の振動と騒音は抑制される。
なお、可撓性袋32に折目線を入れる等の畳み癖を付けておけば、図4(b)に示すように、皺状とならずに安定した畳まれ状態(扁平状態)となる。
この状態において、さらに、高速脱水が行われて、洗濯槽20の回転数が上昇すると、その回転数が洗濯槽20と水槽40と駆動ユニット50と流体バランサ30とからなる系の二次共振振動数に近づくこととなる。このようになると、可撓性袋32内の水33は不釣り合い方向(偏よった洗濯物Aの位置する方向)に移動しようとする。
しかし、その不釣り合い方向の可撓性袋部分は扁平状態であるため(図3、図4(b)参照)、その移動はその扁平状態を押し広げて行うこととなるとともに、その押し広げ作用は壁面(外側壁部31aの内面)を押して行われるため、波打ち現象も生じにくく、流体33の不釣り合い方向(洗濯物Aの方向)への移動は抑制される。このため、二次共振振動領域及びその近辺においても、流体バランサ30はそのバランス機能を発揮し、二次共振振動による騒音の抑制が行われ、二次共振振動領域を超えると、再び、流体は不釣り合いの反対方向に移動して集まり、その不釣り合いを打ち消して安定した回転を担保する。
したがって、この流体バランサ30によれば、この洗濯槽20等からなる系の回転数が二次共振振動数の近辺にあるとき、及びその振動数に達したときも振動の振幅が増大することを抑え、騒音を低減させることができる。
脱水工程を開始してから設定された所定時間が経過すれば、制御部80はモータ51への通電を断ち、停止処理を行う。
なお、この実施の形態においては、洗濯機1としては「穴なし」槽を備える、いわゆる縦型洗濯機を用いて説明したが、洗濯機1は、横型洗濯機や斜め型など、他の洗濯機であってもよい。また、流体バランサ30内の流体は水33の他、ホウ酸水や他の液体であったり、砂、鉄粒等の粒状物であったりしてもよく、要は、流動性が有ればよい。
実験例
この発明の流体バランサ30の効果を検証するために、図6に示す実験装置2を作成した。この装置2は、流体バランサ300と、流体バランサ300を下方向から支持する円板210と、円板210の中心Cにおいて円板210を支持する回転軸220と、回転軸220を中心に流体バランサ300と円板210とを回転させるモータ230と、モータ支持台240と、荷重計測装置250と、台座260と、バネ270とによって構成されている。流体バランサ300は円板210上に固着され、その円板210には、中心Cから150mm離れた位置に1組のボルトとナットとを取り付けて偏心荷重280とし、そのボルトとナットは合計で170gとした。
この装置2の制御ブロックとして、図7に示すように、パルス計測装置291と、AD変換器292と、荷重計測装置250と、処理部(パソコン)290と、モータ230とを備える構成とし、その処理部290は、モータ230に制御信号を送信して、円板210と円板210の上に固着された流体バランサ300とを回転させるようにした。
荷重計測装置250は、モータ支持台240の反力を計測する反力計251と、動歪計252と、AD変換器253とからなり、その反力計251は図6に示す支柱250内に付設され、パルス計測装置291はモータ230に付設されている。そのパルス計測装置291によって計測されたパルスの情報は、AD変換器292を通して処理部290に送信される。反力計251によって計測されたモータ支持台240の反力は、動歪計252とAD変換器253とを通して、処理部(パソコン)290に送信される。処理部290では、パルス計測装置291と荷重計測装置250とから送信された情報に基づいて、それぞれの回転数における荷重の大きさを求める。
したがって、円板210の回転に伴って、偏心荷重280に対し、流体バランサ300がその偏心を打ち消すように作用し、その作用が円滑であれば、例えば、偏心荷重280に対し回転中心Cの反対側に流体(水)33が移動して不釣り合いを解消し、振動振幅が小さくなることから、荷重計測装置250からの荷重は小さくなり、逆に、その作用が円滑になされなければ、同荷重は大きくなる。すなわち、回転数に対するこの荷重の大小によって、流体バランサ300のバランス作用度合を確認できる。
この装置2の流体バランサ300は、図2〜図4に示した構成であって、流体バランサ300の径(円板210の外径)は500mm、外側壁部と内側壁部の間の溝幅は20mm、同溝深さは30mmとした。
以上のように構成された装置2によって、流体バランサ300を回転させた。流体バランサ300の回転数は、100rpmから10rpmごとに、1050rpm付近まで上昇させた。その回転数と荷重の関係を図8に示す。
この図8から、この装置2においては、回転数:220rpm付近で、一次共振振動領域となり、同:470rpm付近から、二次共振振動領域となり、その領域からさらに回転数が上昇すると、徐々に、荷重が減少し、同760rpm以上ではその増加は認められなかった。
以上から、この発明の流体バランサ300(30)を用いれば、一次共振振動領域における荷重より、二次共振振動領域の場合の方がその荷重が低くなっており、可撓性袋32内に封入された流体(水)33の移動抑制によって、二次共振振動領域及びその近くにおけるアンバランス補正効果が優れていることが理解できる。
なお、特許文献1の流体バランサにおいては、同文献1段落0093に記載のように、500rpm以上の回転を行わなかったが、この発明に係る流体バランサ300においては、500rpmを超えて1050rpmに至る回転を行い、570rpm近傍の二次共振振動数領域においても、激しい振動が生じることなく、それを超える回転数において、有効なバランス作用を行っていることが理解できる。
また、図6の実験例において、流体が上記の水33(150g)である場合、アンバランス補正時に移動する位置は、偏心荷重280に対してほぼ180度の位相差(ほぼ点対称位置)であったが、水33に代えて砂(160g)で行なったところ、偏心荷重280に対してほぼ270度の位相差であった。また、ビー玉(165g)の場合は同225度の位相位置であった。その一次共振振動回転数付近における荷重は、前者:90N前後、後者:110N前後であり、両者の場合も、水33と同様に、二次共振振動領域及びその近くにおけるアンバランス補正効果が優れたものであった。
上記実施形態においては、流体バランサ30は回転体に対して同心で一つを設けたが、同心で、2つ、3つと複数を設けることができる。
また、特許文献1に記載の緩衝部材等の突起物を円環状リング(容器)31の内壁や可撓性袋32の内壁に設けて、流体33の移動抑制作用を付加することもできる。
このように、上記開示された実施の形態と実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。この発明の範囲は、以上の実施の形態と実験例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
1 洗濯機
20、210 洗濯槽(回転体)
30、300 流体バランサ
31 円環状容器(リング)
32 可撓性袋(チューブ)
33 水(流体)
280 偏心荷重
A 洗濯物

Claims (2)

  1. 回転体(20、210)の回転軸線(R)の周りにその軸線(R)と同心で設けられた前記回転体と一体に回転する円環状容器(31)と、その容器(31)内にその全周に亘って装填された円環状可撓性袋(32)と、その可撓性袋(32)内に封入された流体(33)とからなり、前記円環状容器(31)はその回転によって変形しないものであり、前記可撓性袋(32)は、前記流体(33)を円環全長に亘って移動可能とする内容積を有するとともに空気抜きがなされたものであることを特徴とする流体バランサ。
  2. 洗濯槽(20)と、その洗濯槽(20)を回転軸心(R)を中心として回転させる駆動部(51)と、請求項1記載の流体バランサ(30)とからなり、その流体バランサ(30)は、前記回転軸心(R)を中心にして前記洗濯槽(20)と共に回転するようになっていることを特徴とする洗濯機。
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