JP2014049179A - 有機el装置、有機el装置の製造方法、電子機器 - Google Patents

有機el装置、有機el装置の製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の色の画素を選択的または支配的に発光させ、発光色が変化し難い有機EL素子を備えた有機EL装置、有機EL装置の製造方法、該有機EL装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置100は、異なる色が発せられるべきサブ画素10R及びサブ画素10Bを備え、サブ画素10Rは、陽極3Rと共通陰極8との間に液相プロセスで形成され、第1の色を発光する機能を有する第1発光層としての赤色発光層5Rと、赤色発光層5Rと共通陰極8との間に気相プロセスで形成され、第2の色を発光する機能を有する第2発光層としての青色発光層5Bとを有し、サブ画素10Bは、陽極3Bと共通陰極8との間に青色発光層5Bを有し、赤色発光層5Rと青色発光層5Bとの間に形成され、電子注入材料を含む中間層44と、中間層44を挟んで、上記電子注入材料の拡散を抑制する第1拡散抑制層43と第2拡散抑制層45と、を備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、画素に有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備えた有機EL装置、有機EL装置の製造方法、有機EL装置を備えた電子機器に関する。
上記有機EL装置として、各色に発光する有機EL素子が備える赤色発光層と緑色発光層とが塗布法で形成され、青色発光層が蒸着法で形成された表示装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
このように、発光層の形成において塗布法と蒸着法とを併用する考え方は、有機EL素子の発光寿命(輝度寿命)や発光効率(電流効率または外部量子効率)において、塗布法で形成された赤色発光層や緑色発光層を備える有機EL素子は実用レベルに達しているものの、塗布法で形成された青色発光層を備える有機EL素子を実用レベルにすることが難しく、蒸着法で形成された青色発光層を備える有機EL素子が実用レベルに達していることが多いという技術的な背景がある。
上記特許文献1及び特許文献2の表示装置において、赤色に発光する有機EL素子と緑色に発光する有機EL素子とでは、塗布法で形成された赤色発光層及び緑色発光層に蒸着法で形成された青色発光層が積層形成されている。そのため、該表示装置の製造方法は、蒸着用マスクを用いて、青色の有機EL素子(青色画素)のみに選択的に青色発光層を成膜する必要がないことから、大型の表示装置の製造に適している。
特開2007−73532号公報 特開2011−108462号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2の表示装置において、赤色発光層と緑色発光層とにそれぞれ青色発光層が接して形成されていることから、陰極側に位置する青色発光層から電子が赤色発光層と緑色発光層とに十分に注入されないおそれがあった。そのため、赤色の有機EL素子(赤色画素)と緑色の有機EL素子(緑色画素)において、キャリア(正孔と電子)の注入におけるバランスが崩れて意図しない青色発光層が発光し、赤色画素と、緑色画素における発光の色純度が低下することがあった。
すなわち、所望の色の画素を選択的または支配的に発光させることができないという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、互いに異なる色が発せられるべき第1サブピクセル及び第2サブピクセルと、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘って形成された共通陰極と、前記第1サブピクセルは、第1陽極と、前記第1陽極と前記共通陰極との間に液相プロセスで形成され、第1の色を発光する機能を有する第1発光層と、前記第1発光層と前記共通陰極との間に気相プロセスで形成され、第2の色を発光する機能を有する第2発光層とを備え、前記第2サブピクセルは、第2陽極と、前記第2陽極と前記共通陰極との間に気相プロセスで形成された前記第2発光層とを備え、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘り、前記第1発光層と前記第2発光層との間及び前記第2陽極と前記第2発光層との間に形成され、電子注入材料を含む中間層と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘り、前記中間層と前記第1発光層との間及び前記中間層と前記第2発光層との間のうち少なくとも一方の間に形成され、前記電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、中間層が電子注入材料を含んでいるので、第1サブピクセルでは、第2発光層を有していても第1発光層に十分に電子を注入することができる。したがって、第1サブピクセルにおいて第2発光層が発光することを抑制し、第1発光層からの第1の色の発光に第2発光層からの第2の色の発光が混ざる混色を抑制することができる。加えて、拡散抑制層により中間層に含まれる電子注入材料が第1発光層側あるいは第2発光層側に拡散することが抑制される。つまり、中間層の機能が失われ難く、第1発光層を選択的または支配的に発光させることが可能な状態を持続することができ、長い発光寿命を有する有機EL装置を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置において、前記中間層は気相プロセスで形成され、前記拡散抑制層は液相プロセスで形成されていることが好ましい。
これによれば、中間層を気相プロセスで形成することにより、中間層を液相プロセスで形成する場合と比べて、中間層の形成過程で含まれている電子注入材料が他の層へ拡散し難い。一方で拡散抑制層は液相プロセスで形成することにより、中間層の電子注入材料の拡散をより確実に抑制することができる。
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置において、前記中間層の前記電子注入材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物であることを特徴とする。
この構成によれば、中間層による第1発光層への優れた電子注入性を確保できる。
[適用例4]上記適用例に係る有機EL装置において、前記拡散抑制層が正孔輸送性を有する高分子有機材料を含むことを特徴とする。
この構成によれば、電子注入材料が他の層へ拡散することを効果的に抑制することができる。
[適用例5]上記適用例に係る有機EL装置において、第3サブピクセルをさらに有し、前記第3サブピクセルは、第3陽極と、前記第3陽極と前記共通陰極との間に液相プロセスで形成され、第3の色を発光する機能を有する第3発光層とを備え、前記中間層は前記第3発光層と前記共通陰極との間に形成され、前記拡散抑制層は、前記中間層に対して前記第3陽極側と前記共通陰極側とのうち少なくとも一方側に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1サブピクセルの第1発光層に加えて、第3サブピクセルの第3発光層に対しても十分に電子を注入して、第3発光層を選択的または支配的に発光させることができる。
[適用例6]上記適用例に係る有機EL装置において、前記第1サブピクセルの前記第1陽極と前記第1発光層との間、及び前記第3サブピクセルの前記第3陽極と前記第3発光層との間に、液相プロセスで形成された第1正孔輸送層を有し、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層と前記第2発光層との間に、前記第2発光層に接して気相プロセスで形成された第2正孔輸送層を備えることが好ましい。
この構成によれば、第1陽極や第3陽極に対して液相プロセスで形成された第1発光層側や第3発光層側に同じく塗布で形成された第1正孔輸送層が存在し、中間層に対して気相プロセスで形成された第2発光層側に同じく気相プロセスで形成された第2正孔輸送層が存在する。したがって、第1正孔輸送層と第1発光層及び第3発光層との間での正孔輸送性及び第2正孔輸送層と第2発光層との間での正孔輸送性を高めることができる。つまり、第1発光層、第2発光層、第3発光層のそれぞれにおける発光効率を高めることができる。
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置において、前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色であり、前記第3の色が緑色であることを特徴とする。
この構成によれば、長い発光寿命を有すると共に、フルカラー表示が可能な有機EL装置を提供することができる。
[適用例8]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記拡散抑制層上に、前記電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、第1発光層及び第3発光層と第2発光層との間に、電子注入材料を含む中間層が気相プロセスで形成されるので、第1発光層及び第3発光層に電子が十分に注入され、第1発光層及び第3発光層をそれぞれ選択的または支配的に発光させることができる。加えて、第1発光層及び第3発光層と中間層との間に拡散抑制層が液相プロセスで形成されるので、電子注入材料が第1発光層及び第3発光層に拡散することに起因する中間層の機能の低下が抑制される。したがって、第1サブピクセルにおける第1発光層の第1の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色や、第3サブピクセルにおける第3発光層の第3の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色が抑制される。ゆえに、第1発光層や第3発光層を選択的または支配的に発光させることができると共に、長い発光寿命と優れた表示品質を有する有機EL装置を製造することができる。
[適用例9]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、前記電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記拡散抑制層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、第1発光層及び第3発光層と第2発光層との間に、電子注入材料を含む中間層が気相プロセスで形成されるので、第1発光層及び第3発光層に電子が十分に注入され、第1発光層及び第3発光層をそれぞれ選択的または支配的に発光させることができる。加えて、中間層と第2発光層との間に拡散抑制層が液相プロセスで形成されるので、電子注入材料が第2発光層に拡散することに起因する中間層の機能の低下が抑制される。したがって、第1サブピクセルにおける第1発光層の第1の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色や、第3サブピクセルにおける第3発光層の第3の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色が抑制される。ゆえに、第1発光層や第3発光層を選択的または支配的に発光させることができると共に、長い発光寿命と優れた表示品質とを有する有機EL装置を製造することができる。
[適用例10]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料の拡散を抑制する第1拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1拡散抑制層上に、前記電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、前記電子注入材料の拡散を抑制する第2拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2拡散抑制層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、第1発光層及び第3発光層と第2発光層との間に、電子注入材料を含む中間層が気相プロセスで形成されるので、第1発光層及び第3発光層に電子が十分に注入され、第1発光層及び第3発光層をそれぞれ選択的または支配的に発光させることができる。加えて、第1発光層及び第3発光層と中間層との間には第1拡散抑制層が液相プロセスで形成され、中間層と第2発光層との間に第2拡散抑制層が液相プロセスで形成されるので、電子注入材料が第1発光層、第2発光層、第3発光層に拡散することに起因する中間層の機能の低下が抑制される。したがって、第1サブピクセルにおける第1発光層の第1の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色や、第3サブピクセルにおける第3発光層の第3の色の発光に第2発光層の第2の色の発光が混ざる混色が抑制される。ゆえに、第1発光層や第3発光層を選択的または支配的に発光させることができると共に、より長い発光寿命と優れた表示品質とを有する有機EL装置を製造することができる。
[適用例11]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法において、前記中間層の前記電子注入材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物であることを特徴とする。
この方法によれば、中間層による第1発光層や第3発光層への優れた電子注入性を実現した有機EL装置を製造することができる。
[適用例12]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法において、正孔輸送性を有する高分子有機材料を用いて前記拡散抑制層または前記第1拡散抑制層あるいは前記第2拡散抑制層を形成することを特徴とする。
この方法によれば、電子注入材料が他の層へ拡散することを効果的に抑制可能な拡散抑制層を備えた有機EL装置を製造することができる。
[適用例13]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法において、前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色であり、前記第3の色が緑色であることを特徴とする。
この方法によれば、長い発光寿命を有すると共に、フルカラー表示が可能な有機EL装置を製造することができる。
[適用例14]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、長い発光寿命と優れた表示品質とを兼ね備えた電子機器を提供することができる。
第1実施形態の有機EL装置の構成を示す概略平面図。 第1実施形態の有機EL装置の構造を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図。 第2実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図。 第3実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図。 比較例1の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図。 比較例2の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図。 実施例1〜実施例3、比較例1及び比較例2の発光効率、発光寿命、色の変化を評価した結果を示す表。 電子機器の一例としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターを示す斜視図。 電子機器の一例としての携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図。 電子機器の一例としてのディジタルスチルカメラを示す斜視図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
(第1実施形態)
<有機EL装置>
本実施形態の有機EL装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は第1実施形態の有機EL装置の構成を示す概略平面図、図2は第1実施形態の有機EL装置の構造を示す概略断面図、図3は第1実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置100は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光(発光色)が得られるサブ画素(サブピクセル)10R,10G,10Bを有している。各サブ画素10R,10G,10Bは略矩形状であり、表示領域Eにおいてマトリックス状に配置されている。同色の発光が得られるサブ画素(サブピクセル)が図面上において垂直方向(列方向あるいは発光画素の長手方向)に配列し、異なる発光色のサブ画素が図面上において水平方向(行方向あるいは発光画素の短手方向)にR,G,Bの順で配列している。すなわち、異なる発光色のサブ画素10R,10G,10Bが所謂ストライプ方式で配置されている。なお、異なる発光色のサブ画素10R,10G,10Bの平面形状と配置は、これに限定されるものではない。
このような有機EL装置100を表示装置として用いるならば、異なる発光色が得られる3つのサブ画素10R,10G,10Bを1つの表示画素単位として、それぞれのサブ画素10R,10G,10Bは電気的に制御される。これによりフルカラー表示が可能となる。
図2に示すように、有機EL装置100は、基板21と、基板21上において、サブ画素10R,10G,10Bに対応して設けられた複数の発光素子としての有機EL素子1R,1G,1Bと、各有機EL素子1R,1G,1Bをそれぞれ駆動するための複数の駆動用トランジスター24とを有している。
なお、本実施形態において、有機EL装置100は、各有機EL素子1R,1G,1Bからの光R,G,Bを基板21側から射出させるボトムエミッション構造のディスプレイパネルである。
基板21上には、複数の駆動用トランジスター24が設けられ、これらの駆動用トランジスター24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスター24は、シリコン等の半導体材料からなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
また、平坦化層22上には、各駆動用トランジスター24に対応して、有機EL素子1R,1G,1Bが設けられている。
有機EL素子1R,1G,1Bは、陽極3R,3G,3Bと、共通陰極8と、これらの電極の間に、異なる色(R,G,B)の発光が得られる発光層5R,5G,5Bを有している。以降、それぞれの発光色に対応させて、赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bと呼ぶ。
本実施形態では、陽極3Rが第1陽極に相当し、陽極3Bが第2陽極に相当し、陽極3Gが第3陽極に相当する。また、赤色発光層5Rが第1発光層に相当し、緑色発光層5Gが第3発光層に相当する。赤色発光層5R及び緑色発光層5Gは、例えばインクジェット法などの液相プロセス(塗布法)を用いて形成されている。青色発光層5Bが第2発光層に相当し、例えば真空蒸着法などの気相プロセスを用いて、3つの有機EL素子1R,1G,1B(サブ画素10R,10G,10B)に亘って形成されている。具体的には、有機EL素子1Rでは、赤色発光層5Rと共通陰極8との間に青色発光層5Bが形成されている。有機EL素子1Gでは、緑色発光層5Gと共通陰極8との間に青色発光層5Bが形成されている。有機EL素子1Bでは、陽極3Bと共通陰極8との間に青色発光層5Bが形成されている。
また、有機EL素子1R,1G,1Bは、それぞれの陽極3R,3G,3Bと青色発光層5Bとの間にキャリア選択層46を有している。キャリア選択層46とは、キャリア選択層46が陽極3R,3G,3B側において接する機能層の機能によってキャリア(電子や正孔を指す)の流れが選択される機能を有する層である。詳しくは後述するが、キャリア選択層46は、電子注入材料を含む中間層と、中間層に接して形成され、中間層に含まれる上記電子注入材料が他の機能層に拡散することを抑制する拡散抑制層とを含むものである。
有機EL素子1Rにおいては、赤色発光層5Rと青色発光層5Bとの間にキャリア選択層46が設けられている。有機EL素子1Gにおいては、緑色発光層5Gと青色発光層5Bとの間にキャリア選択層46が設けられている。また、有機EL素子1Bにおいては、正孔注入層41Bと青色発光層5Bとの間にキャリア選択層46が設けられている。
なお、後述する第2実施形態、第3実施形態と区別するため、以降、第1実施形態のキャリア選択層46を「キャリア選択層46A」として説明する。
本実施形態では、これらの有機EL素子1R,1G,1B上を覆うように、エポキシ樹脂で構成された接着層35が形成されている。そして、接着層35を介して封止基板20が設けられている。これにより、有機EL素子1R,1G,1Bの気密性が確保され、酸素や水分の浸入を防止できることから、有機EL素子1R,1G,1Bの信頼性の向上を図ることができる。なお、さらに酸素や水分の浸入を確実に防止するために、接着層35を形成する前に、有機EL素子1R,1G,1Bを覆って、例えば無機材料を用いた封止層を形成してもよい。
次に、有機EL素子1R,1G,1Bのより具体的な構成について図3を参照して説明する。図3に示すように、有機EL素子1Rは、平坦化層22上に、陽極3Rと、正孔注入層41(41R)と、第1正孔輸送層42(42R)と、第1発光層としての赤色発光層5Rと、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
また、有機EL素子1Gは、平坦化層22上に、陽極3Gと、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、第3発光層としての緑色発光層5Gと、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
さらに、有機EL素子1Bは、平坦化層22上に、陽極3Bと、正孔注入層41(41B)と、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
係る構成の有機EL素子1R,1G,1Bの隣接するもの同士の間には、隔壁31(図2参照)が設けられ、これにより有機EL素子1R,1G,1Bが個別に区分されている。
有機EL素子1R,1G,1Bに共通するキャリア選択層46Aは、陽極3R,3G,3B側から順に積層された、第1拡散抑制層43、中間層44、第2拡散抑制層45により構成されている。第1拡散抑制層43及び第2拡散抑制層45は、前述したように中間層44に含まれる電子注入材料が他の機能層に拡散して、中間層44の機能が低下することを抑制するために設けられている。
本実施形態では、有機EL素子1R,1G,1Bにおいて、各陽極3R,3G,3B、各正孔注入層41R,41G,41B、各第1正孔輸送層42R,42G及び各発光層5R、5Gが、隔壁31で区画されることにより個別に設けられ、第1拡散抑制層43、中間層44、第2拡散抑制層45、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、及び共通陰極8が、一体的に設けられている。係る構成とすることで、各有機EL素子1R,1G,1Bの各陽極3R,3G,3Bは、画素電極(個別電極)を構成し、さらに、各有機EL素子1R,1G,1Bの共通陰極8は、共通電極を構成する。また、各有機EL素子1R,1G,1Bの各陽極3R,3G,3Bは、各駆動用トランジスター24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている(図2参照)。
以上説明したような有機EL装置100は、各有機EL素子1R,1G,1Bを選択的に発光させることで単色表示が可能であり、各有機EL素子1R,1G,1Bを組み合わせて発光させることでフルカラー表示も可能となる。
以下、各有機EL素子1R,1G,1Bについて、順次説明する。
(有機EL素子1R)
有機EL素子1Rは、正孔注入層41Rと、第1正孔輸送層42Rと、赤色(R)の発光が得られる赤色発光層5Rと、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63とが、陽極3R側からこの順に積層された積層体が、陽極3Rと共通陰極8との間に介挿されてなるものである。
陽極3R及び共通陰極8は、それぞれ、個別電極及び共通電極を構成し、陽極3Rは正孔注入層41Rに正孔を注入する電極として機能し、共通陰極8は電子注入層63に電子を注入する電極として機能する。
以下、有機EL素子1Rを構成する各部について順次説明する。
[陽極3R]
陽極3Rは、正孔注入層41(41R)に正孔を注入する電極である。
この陽極3Rの構成材料としては、特に限定されないが、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料が好適に用いられる。
陽極3Rの構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In23、SnO2、フッ素添加SnO2、Sb添加SnO2、ZnO、Al添加ZnO、Ga添加ZnO等の金属酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極3Rの平均厚さは、特に限定されないが、10nm以上、200nm以下程度であるのが好ましく、30nm以上、150nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、有機EL装置100を、ボトムエミッション構造のディスプレイパネルとする場合、陽極3Rには光透過性が求められるため、上述した構成材料のうち、光透過性を有する金属酸化物が好適に用いられる。
[正孔注入層41]
正孔注入層41(41R)は、陽極3Rからの正孔注入を容易にする機能を有するものである。
この正孔注入層41(41R)の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、後述する、正孔注入層41(41R)の形成工程において、液相プロセスを用いて形成し得るように、導電性高分子材料(または導電性オリゴマー材料)に電子受容性ドーパントを添加したイオン伝導性正孔注入材料が好適に用いられる。
このようなイオン伝導性正孔注入材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)を用いることができる。また、これらの物質をエチレングリコールやジエチレングリコールなどのグリコール系溶媒に溶解させた溶液として用いる。好適例としては、エーテル系溶媒にPEDOT/PSSを溶解させたものが挙げられる。
また、正孔注入材料として、銅フタロシアニン(TAPC)、1,1−ビス[4−(ジ−p−トリル)アミニフェニル]シクロヘキサン(TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(1−ナフチル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、m−MTDATA、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(TCTA)、トリス−(4−カルバゾール−9−イル−フェニル)−アミン(スピローTAD)、DPPD(DTP)、HTM1、トリス−p−トリルアミン(HTM2)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TPT1)、1,3,5−トリス(4−ピリジル)−2,4,6−トリアジン(TPTE)、トリフェニルアミン−テトラマーなども用いることができる。
このような正孔注入層41(41R)の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、150nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、100nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、正孔注入層41Rは、有機EL素子1Rを構成する、陽極3R、第1正孔輸送層42R及び赤色発光層5Rの構成材料の種類及びその膜厚等の組み合わせによっては省略することもできる。
[第1正孔輸送層42]
第1正孔輸送層42(42R)は、正孔注入層41(41R)から注入された正孔を赤色発光層5Rまで輸送する機能を有する。また、第1正孔輸送層42は、赤色発光層5Rから第1正孔輸送層42へ通過しようとする電子をブロックする機能を有する場合もある。
この第1正孔輸送層42の構成材料としては、特に限定されないが、後述する、第1正孔輸送層42の形成工程において、液相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、下記化学式(1)で表わされるトリフェニルアミン系ポリマー等のアミン系化合物が好適に用いられる。
Figure 2014049179
この他にも、正孔輸送材料として、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニルビニレン誘導体(PPV)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)を含むポリシラン系などの高分子有機材料を用いることができる。
このような第1正孔輸送層42の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、50nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、第1正孔輸送層42は、有機EL素子1Rを構成する、陽極3R、正孔注入層41、赤色発光層5R、第1拡散抑制層43、中間層44、第2拡散抑制層45、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、及び共通陰極8の構成材料の種類及びその膜厚等の組み合わせによっては省略することもできる。
[赤色発光層5R]
赤色発光層5Rは、赤色に発光する赤色発光材料を含んで構成される。
有機EL素子1Rでは、この赤色発光層5Rが、陽極3Rとキャリア選択層46Aとの間に設けられた第1発光層を構成し、この赤色発光層5Rが有機EL素子1Rにおける第1の色(赤色)を発光する機能を有する。
このような赤色発光層5Rの構成材料は、特に限定されないが、後述する、赤色発光層5Rの形成工程において、液相プロセス(塗布法)を用いて形成し得るように、溶液化または分散液化できることが望ましい。そこで、赤色発光層5Rの構成材料としては、溶媒または分散媒に、溶解または分散することができる、高分子赤色発光材料及び低分子赤色発光材料が好適に用いられ、例えば、下記化学式(2)及び下記化学式(3)で表わされるフルオレン誘導体の高分子赤色発光材料が挙げられる。
Figure 2014049179
Figure 2014049179
なお、このような液相プロセスを経て形成される赤色発光層5Rを備える有機EL素子1Rは、実用レベルの発光寿命特性を十分に備えるものである。
このような赤色発光層5Rの平均厚さは、特に限定されないが、10nm以上、150nm以下程度であるのが好ましく、20nm以上、100nm以下程度であるのがより好ましい。
[キャリア選択層46]
第1拡散抑制層43と、中間層44と、第2拡散抑制層45とが、陽極3R側からこの順に積層された積層体により、キャリア選択層46Aが構成される。
有機EL素子1Rにおいて、キャリア選択層46Aは、青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子を赤色発光層5Rに円滑に注入するというキャリア注入動作を行う。このため、有機EL素子1Rにおいて、青色発光層5Bの発光は大幅に抑制され、赤色発光層5Rが選択的もしくは支配的に発光する。
[第1拡散抑制層43]
第1拡散抑制層43は、正孔輸送性の高分子有機材料を用いて液相プロセス(塗布法)で形成されている。具体的な液相プロセス(塗布法)としては、スピンコート法、スプレイコート法、インクジェット法(液滴吐出法)などが挙げられる。
正孔輸送性の高分子有機材料としては、先に説明した第1正孔輸送層42と同じ、トリフェニルアミン系ポリマーなどのアミン系化合物、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニルビニレン誘導体(PPV)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)を含むポリシラン系などの高分子有機材料を用いることができる。
このような第1拡散抑制層43の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、50nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、上記した正孔輸送性の高分子有機材料は、導電性を有しており、キャリア(正孔や電子)の授受が容易なため、赤色発光層5Rと中間層44との間に第1拡散抑制層43を形成しても発光効率が著しく低下するおそれがない。
また、第1拡散抑制層43を構成する高分子有機材料は、キャリア(正孔や電子)の授受に支障が生じない程度の膜厚(例えば5nm以下)で形成すれば、正孔輸送性を有しない、例えばポリスチレンやPMMAなどの高分子有機材料を用いることもできる。
[中間層44]
中間層44は、キャリア選択層46Aを構成する1つの層であり、電子注入材料を用いて第1拡散抑制層43に接して気相プロセスで形成されている。
中間層44を構成する電子注入材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中間層44をこのような電子注入材料が分散された有機物を用いて形成することで、キャリア選択層46Aを介して、青色発光層5Bから赤色発光層5Rへの電子の注入効率をより向上させることができる。
アルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Csが挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。
アルカリ金属の化合物としては、例えば、LiF、Li2CO3、LiCl、NaF、Na2CO3、NaCl、CsF、Cs2CO3、CsClなどのアルカリ金属塩が挙げられる。また、アルカリ土類金属の化合物としては、例えば、CaF2、CaCO3、SrF2、SrCO3、BaF2、BaCO3などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
中間層44の平均厚さは、特に限定されないが、0.01nm以上、10nm以下程度であるのが好ましく、0.1nm以上、5nm以下程度であるのがより好ましい。中間層44の平均厚さを係る範囲内に設定することにより、キャリア選択層46Aの有機EL素子1Rにおけるキャリア注入動作が確実に行われる。
[第2拡散抑制層45]
第2拡散抑制層45は、第1拡散抑制層43と同様に、正孔輸送性の高分子有機材料を用いて液相プロセス(塗布法)で形成されている。
このような第2拡散抑制層45の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、50nm以下程度であるのがより好ましい。
また、第2拡散抑制層45も第1拡散抑制層43と同様に、キャリア(正孔や電子)の授受に支障が生じない程度の膜厚(例えば5nm以下)で形成すれば、正孔輸送性を有しない、例えばポリスチレンやPMMAなどの高分子有機材料を用いて形成してもよい。
[第2正孔輸送層47]
第2正孔輸送層47は、第2拡散抑制層45に接して気相プロセスで形成されている。
この第2正孔輸送層47の構成材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)、下記化学式(4)で表わされるビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)、下記化学式(5)で表わされる化合物のようなベンジジン誘導体等のアミン系化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2014049179
Figure 2014049179
このような第2正孔輸送層47の平均厚さは、特に限定されないが、1nm以上、50nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上、30nm以下程度であるのがより好ましい。第2正孔輸送層47の平均厚さを係る範囲内に設定することにより、第2正孔輸送層47に接するキャリア選択層46Aの有機EL素子1Rにおけるキャリア注入動作が確実に行われる。
[青色発光層5B]
青色発光層5Bは、青色に発光する青色発光材料を含んで構成されている。
本実施形態では、この青色発光層5Bが、陽極(3R,3G,3B)と共通陰極8との間に設けられた第2発光層を構成し、この青色発光層5Bが第2の色(青色)を発光する機能を有する。
この青色発光層5Bの構成材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るものが好適に用いられ、例えば、下記化学式(6)で表わされるスチリル誘導体の青色発光材料が挙げられる。
Figure 2014049179
また、その他に青色発光層5Bの構成材料としては、青色発光材料をゲスト材料としてホスト材料にドープしたものが用いられる。ホスト材料は、正孔と電子とを再結合させて励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを青色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させる機能を有する。このホスト材料の機能により、ゲスト材料である青色発光材料が効率よく励起され、発光する。
ここで、ホスト材料としては、例えば、下記化学式(7)、下記化学式(8)及び下記化学式(9)で表わされるアントラセン誘導体が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、ゲスト材料としての青色発光材料としては、例えば、下記化学式(10)、下記化学式(11)及び下記化学式(12)で表わされるスチリル誘導体が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 2014049179
Figure 2014049179
Figure 2014049179
Figure 2014049179
Figure 2014049179
Figure 2014049179
なお、このような気相プロセスを経て形成される青色発光層5Bを備える有機EL素子1Rは、実用レベルの発光寿命特性を十分に備えるものである。
さらに、このようなゲスト材料及びホスト材料を用いる場合、青色発光層5B中におけるゲスト材料の含有量(ドープ量)は、ホスト材料に対して重量比で0.1%以上、20%以下程度であるのが好ましく、0.5%以上、10%以下程度であるのがより好ましい。ゲスト材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
このような青色発光層5Bの平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、50nm以下程度であるのがより好ましい。
[電子輸送層62]
電子輸送層62は、共通陰極8から電子輸送層62に注入された電子を青色発光層5Bに輸送する機能を有するものである。また、電子輸送層62は、青色発光層5Bから電子輸送層62へ通過しようとする正孔をブロックする機能を有する場合もある。
電子輸送層62の構成する電子輸送材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、BALq、1,3,5−トリ(5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(OXD−1)、BCP(Bathocuproine)、(2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、4,4’−ビス(1,1−ビスージフェニルエテニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)、4,4’−ビス(1,1−ビス(4−メチルフェニル)エテニル)ビフェニル(DTVBi)、2,5−ビス(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(BBD)などを挙げることができる。
また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、フェナンソロリン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン誘導体、フルオレン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ヒドロキシキノリン誘導体などを挙げることができる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層62の平均厚さは、特に限定されないが、1nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上、50nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、共通陰極8から注入された電子を好適に青色発光層5Bに輸送することができる。
なお、この電子輸送層62は、有機EL素子1Rを構成する赤色発光層5R、キャリア選択層46A、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子注入層63、及び共通陰極8の構成材料の種類及びその膜厚等の組み合わせによっては省略することもできる。
[電子注入層63]
電子注入層63は、共通陰極8から電子輸送層62への電子の注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層63の構成材料(電子注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、前述の中間層44を構成する電子注入材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。
なお、電子注入層63および中間層44の構成材料(電子注入材料)は、それぞれ、これらを挟持する2つの層の構成材料の組み合わせに応じて、最適な注入効率が得られるものが選択されるため、電子注入層63の構成材料と中間層44の構成材料とは、同一であっても異なっていてもよい。
電子注入層63の平均厚さは、特に限定されないが、0.01nm以上、100nm以下程度であるのが好ましく、0.1nm以上、10nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、電子注入層63は、電子輸送層62と共通陰極8の構成材料の種類およびその膜厚等の組み合わせによっては省略することもできる。
[共通陰極8]
共通陰極8は、電子注入層63に電子を注入する電極である。
この共通陰極8の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。共通陰極8の構成材料としては、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb、Auまたはこれらを含む合金等が用いられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、本実施形態のように、ボトムエミッション構造の有機EL装置100とする場合、共通陰極8には光透過性が求められず、共通陰極8の構成材料としては、例えば、Al、Ag、AlAg、AlNd等の金属または合金が好ましく用いられる。このような金属または合金を共通陰極8の構成材料として用いることにより、共通陰極8の電子注入効率及び安定性の向上を図ることができる。
ボトムエミッション構造における共通陰極8の平均厚さは、特に限定されないが、50nm以上、1000nm以下程度であるのが好ましく、100nm以上、500nm以下程度であるのがより好ましい。
有機EL装置100がトップエミッション構造の表示装置である場合、共通陰極8の構成材料としては、MgAg、MgAl、MgAu、AlAg等の金属または合金を用いるのが好ましい。このような金属または合金を共通陰極8の構成材料として用いることにより、共通陰極8の光透過性を維持しつつ、共通陰極8の電子注入効率及び安定性の向上を図ることができる。
トップエミッション構造における共通陰極8の平均厚さは、特に限定されないが、1nm以上、50nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上、20nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、上記有機EL素子1Rの陽極3R、正孔注入層41R、第1正孔輸送層42R、赤色発光層5R、キャリア選択層46A、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8の各層の間には、キャリアの移動を制御するための任意の層が設けられていてもよい。
(有機EL素子1G)
有機EL素子1Gは、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、緑色(G)の発光が得られる緑色発光層5Gと、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63とが、陽極3G側からこの順に積層された積層体が、陽極3Gと共通陰極8との間に介挿されてなるものである。
有機EL素子1Gにおいて、陽極3G及び共通陰極8は、それぞれ、個別電極及び共通電極を構成し、陽極3Gは正孔注入層41Gに正孔を注入する電極として機能し、共通陰極8は電子注入層63に電子を注入する電極として機能する。
以下、有機EL素子1Gについて説明するが、前述した有機EL素子1Rとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
有機EL素子1Gは、赤色発光層5Rに代えて緑色発光層5Gを備えること以外は、前述の有機EL素子1Rと同様の構成のものである。
[緑色発光層5G]
緑色発光層5Gは、緑色に発光する緑色発光材料を含んで構成される。
有機EL素子1Gでは、この緑色発光層5Gが、陽極3Gとキャリア選択層46Aとの間に設けられた第3発光層を構成し、この緑色発光層5Gが有機EL素子1Gにおける第3の色(緑色)を発光する機能を有する。
このような緑色発光層5Gの構成材料は、特に限定されないが、液相プロセス(塗布法)を用いて形成し得るように、溶液化または分散液化できることが望ましい。そこで、緑色発光層5Gの構成材料としては、溶媒または分散媒に、溶解または分散することができる、高分子緑色発光材料及び低分子緑色発光材料が好適に用いられ、例えば、下記化学式(13)及び下記化学式(14)で表わされるフェニレンビニレン誘導体の高分子緑色発光材料が挙げられる。
Figure 2014049179
Figure 2014049179
なお、このような液相プロセスを経て形成される緑色発光層5Gを備える有機EL素子1Gは、実用レベルの発光寿命特性を十分に備えるものである。
このような緑色発光層5Gの平均厚さは、特に限定されないが、10nm以上、150nm以下程度であるのが好ましく、20nm以上、100nm以下程度であるのがより好ましい。
なお、上記有機EL素子1Gの陽極3G、正孔注入層41G、第1正孔輸送層42G、緑色発光層5G、キャリア選択層46A、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8の各層の間には、キャリアの移動を制御するための任意の層が設けられていてもよい。
(有機EL素子1B)
有機EL素子1Bは、正孔注入層41(41B)と、キャリア選択層46Aと、第2正孔輸送層47と、青色(B)の発光が得られる青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63とが、陽極3B側からこの順に積層された積層体が、陽極3Bと共通陰極8との間に介挿されてなるものである。
有機EL素子1Bにおいて、陽極3B及び共通陰極8は、それぞれ、個別電極及び共通電極を構成し、陽極3Bは正孔注入層41Bに正孔を注入する電極として機能し、共通陰極8は電子注入層63に電子を注入する電極として機能する。
以下、有機EL素子1Bについて説明するが、前述した有機EL素子1Rとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
有機EL素子1Bは、第1正孔輸送層42及び赤色発光層5Rの形成を省略して、正孔注入層41(41B)とキャリア選択層46Aとが互いに接する構成としたこと以外は、上記有機EL素子1Rと同様の構成のものである。但し、正孔注入層41Bとキャリア選択層46Aとが互いに接する構成としたことに起因して、有機EL素子1Bにおけるキャリア選択層46Aの機能は、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gにおけるキャリア選択層46Aの機能とは大きく異なる。また、正孔注入層41Bに求められる機能も異なる場合がある。
[正孔注入層41]
正孔注入層41(41B)は、陽極3Bからの正孔注入を容易にする機能を有するものである。
この正孔注入層41を構成する正孔注入材料としては、特に限定されないが、液相プロセス(塗布法)を用いて形成し得るように、導電性高分子材料(または導電性オリゴマー材料)に電子受容性ドーパントを添加したイオン伝導性正孔注入材料が好適に用いられる。
また、正孔注入層41の構成材料(正孔注入材料)としては、中間層44を構成する電子注入材料が、拡散もしくは吸着しやすい材料を選択することが望ましい。これによって、キャリア選択層46Aの有機EL素子1Bにおけるキャリアブロック動作が確実に行われる。中間層44を構成する電子注入材料が、拡散もしくは吸着しやすい正孔注入材料としては、例えば、イオン伝導性正孔注入材料が挙げられる。
このようなイオン伝導性正孔注入材料としては、前述したPEDOT/PSSなどを用いることができる。
[キャリア選択層46A]
有機EL素子1Bにおいて、キャリア選択層46Aは、青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子をブロックし、これら電子を青色発光層5Bに留めるというキャリアブロック動作を行う。このため、有機EL素子1Bにおいて、青色発光層5Bは効率よく発光する。このキャリアブロック動作を確実に行うためには、有機EL素子1Bの第2拡散抑制層45には、キャリアブロック機能を有するものを用いることが望ましい。例えば、前述の有機EL素子1Rの第2正孔輸送層47の構成材料として挙げたアミン系化合物を用いることにより、第2拡散抑制層45は電子ブロック機能を有するものとなる。
なお、上記有機EL素子1Bの陽極3B、正孔注入層41B、キャリア選択層46A、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8の各層の間には、キャリアの移動を制御するための任意の層が設けられていてもよい。
以下、有機EL素子1R,1G,1Bにおける作用・効果について、キャリア選択層46Aの機能を中心に説明する。
本実施形態では、キャリア選択層46Aは、第1拡散抑制層43と、中間層44と、第2拡散抑制層45とが、陽極(3R,3G,3B)側からこの順に積層された積層体により構成される。
キャリア選択層46Aは、青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに注入される電子の量を、キャリア選択層46Aの陽極(3R,3G,3B)側に接する層に応じて、制御する機能を有する層である。
具体的には、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gのように、キャリア選択層46Aの陽極(3R、3G)側に接する層が、それぞれ、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gの場合、キャリア選択層46Aは青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子を赤色発光層5R及び緑色発光層5Gに円滑に注入する(キャリア注入動作)。このため、有機EL素子1Rの青色発光層5Bでは、正孔と電子との再結合が確実に抑制または防止されるため、有機EL素子1Rの青色発光層5Bは、青色発光しないか、青色発光したとしてもその発光は抑制される。
これに対して、赤色発光層5Rには、共通陰極8側から青色発光層5Bを介して電子が供給(注入)されるとともに、陽極3R側から正孔が供給(注入)される。そして、赤色発光層5Rでは、正孔と電子とが再結合し、この再結合によって励起子(エキシトン)が生成し、励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを蛍光やりん光として放出するため、赤色発光層5Rが赤色に発光する。その結果、有機EL素子1Rは赤色に発光する。同様に、有機EL素子1Gにおいても、青色発光層5Bの発光は大幅に抑制され、緑色発光層5Gが選択的もしくは支配的に発光する。その結果、有機EL素子1Gは緑色に発光する。
一方、有機EL素子1Bのように、キャリア選択層46Aの陽極3B側に接する層が正孔注入層41Bの場合、すなわち、キャリア選択層46Aの陽極側界面に正孔注入層41Bが接触する場合、キャリア選択層46Aは青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子をブロックし、これら電子を青色発光層5Bに留める(キャリアブロック動作)。このため、青色発光層5Bにおいて、陽極3B側から供給(注入)された正孔と、共通陰極8側から供給(注入)された電子とが、再結合しやすくなる。この再結合によって励起子(エキシトン)が生成し、励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを蛍光やりん光として放出するため、青色発光層5Bは効率良く発光する。その結果、有機EL素子1Bは高効率で青色に発光する。
このように、キャリア選択層46Aは、キャリア選択層46Aに接する層の種類によって、キャリア注入動作を行ったり、キャリアブロック動作を行ったりする。
有機EL素子1Rと有機EL素子1Gにおけるキャリア選択層46Aの電子に対する挙動と、有機EL素子1Bにおけるキャリア選択層46Aの電子に対する挙動が異なる理由について、正孔注入層41がイオン伝導性の正孔注入材料だった場合を例に説明を行う。
まず、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gのように、キャリア選択層46Aの陽極(3R、3G)側に接する層が、それぞれ、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gの場合、キャリア選択層46Aの中間層44を構成している電子注入材料が、それぞれ、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gの第1拡散抑制層43内と第2拡散抑制層45内とに拡散する。これによって正孔輸送性の高分子有機材料で形成された第1拡散抑制層43と第2拡散抑制層45とに備わっている電子ブロック機能が低下する。この結果、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gでは、青色発光層5Bから第2拡散抑制層45へ電子が円滑に注入される。さらに、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gと、第2拡散抑制層45との間に存在する中間層44の機能により、青色発光層5Bから、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gへの電子の注入も円滑に行われる。
以上により、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gのように、キャリア選択層46Aの陽極(3R、3G)側に接する層が、それぞれ、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gの場合、青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子は、それぞれ、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gに円滑に注入される(キャリア注入動作)。
一方、有機EL素子1Bのように、キャリア選択層46Aの陽極3B側に接する層が正孔注入層41Bで、且つ、その正孔注入層41Bがイオン伝導性の正孔注入材料によって構成されている場合、キャリア選択層46Aの中間層44を構成している電子注入材料が、第1拡散抑制層43を通過して正孔注入層41内に激しく拡散、もしくは正孔注入層41の第1拡散抑制層43側界面に吸着するため、該電子注入材料が有機EL素子1Bの第2拡散抑制層45や第2正孔輸送層47には拡散せず、有機EL素子1Bの第2拡散抑制層45及び第2正孔輸送層47に備わっている電子ブロック機能が低下することはない。この結果、有機EL素子1Bでは、青色発光層5Bから第2拡散抑制層45へ流れてくる電子が、第2拡散抑制層45によってブロックされ、青色発光層5B内に留まる。以上より、キャリア選択層46Aの陽極3B側に接する層が正孔注入層41の場合、青色発光層5Bからキャリア選択層46Aに流れてくる電子はブロックされ、当該電子を青色発光層5Bに留める(キャリアブロック動作)。すなわち、キャリア選択層46Aは、青色発光層5Bから流れてくる電子(キャリア)の流れを抑制する動作を行う。
本実施形態では、キャリア選択層46Aを構成する中間層44は気相プロセスによって形成される。電子注入材料を液相プロセスで成膜すると、一般的には電子注入材料が凝集して不安定な状態となりやすいが、本実施形態では、液相プロセス(塗布法)で形成された第1拡散抑制層43に接して中間層44が形成されるので、電子注入材料の凝集が起こり難い。すなわち、電子注入材料の凝集を抑制し、安定してキャリア制御が可能な中間層44を形成することができる。
中間層44に含まれる電子注入材料として、上述したアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を用いる場合、これらの電子注入材料は、中間層44に接する他の機能層に拡散し易い。電子注入材料の拡散が進んで行くと、上述した中間層44の電子注入機能が低下することになる。本実施形態のキャリア選択層46Aでは、第1拡散抑制層43と第2拡散抑制層45との間に中間層44を挟む構成としている。第1拡散抑制層43及び第2拡散抑制層45は、正孔輸送性の高分子有機材料を用いて液相プロセス(塗布法)で形成されており、中間層44の電子注入材料が第1拡散抑制層43及び第2拡散抑制層45を越えて他の機能層に拡散することを抑制することができる。これによってキャリア選択層46Aにおける上述したキャリア注入機能とキャリアブロック機能とを長期間に亘って維持することができる。すなわち、長い発光寿命を有する有機EL装置100を実現できる。
<有機EL装置の製造方法>
本実施形態の有機EL装置100の製造方法をまとめる次のようになる。なお、基板21上に駆動用トランジスター24を含む駆動回路を形成する方法や、陽極3R,3G,3Bを形成する方法は、公知の方法を用いることができるので、ここでは、本実施形態における特徴部分について述べる。
有機EL装置100の製造方法は、
サブ画素10R,10G,10Bの陽極3R,3G,3Bに接して、正孔注入層41(41R,41G,41B)を液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10Rとサブ画素10Gとにおいて、正孔注入層41R,41Gに接して、第1正孔輸送層42(42R,42G)を液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10Rの第1正孔輸送層42Rに接して、第1の色を発光する機能を有する第1発光層としての赤色発光層5Rを液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10Gの第1正孔輸送層42Gに接して、第3の色を発光する機能を有する第3発光層としての緑色発光層5Gを液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、赤色発光層5R及び緑色発光層5G並びにサブ画素10Bの正孔注入層41Bに接して、正孔輸送性の高分子有機材料を用いて第1拡散抑制層43を液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、第1拡散抑制層43に接して、電子注入材料を含む中間層44を気相プロセスで形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、中間層44に接して、正孔輸送性の高分子有機材料を用いて第2拡散抑制層45を液相プロセス(塗布法)で形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、第2拡散抑制層45に接して、第2正孔輸送層47を気相プロセスで形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、第2正孔輸送層47に接して、第2の色を発光する機能を有する第2発光層としての青色発光層5Bを気相プロセスで形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、青色発光層5Bに接して、電子輸送層62を気相プロセスで形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、電子輸送層62に接して、電子注入層63を気相プロセスで形成する工程と、
サブ画素10R,10G,10Bに亘り、電子注入層63に接して、共通陰極8を気相プロセスで形成する工程と、を備える。
なお、正孔注入層41、第1正孔輸送層42、第1拡散抑制層43、中間層44、第2拡散抑制層45、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8の各層の間に、キャリアの移動を制御するための任意の層を形成する工程を有していてもよい。
また、正孔注入層41は、有機EL素子1R,1G,1B(サブ画素10R,10G,10B)に共通して同じ材料で形成されることに限定されず、その後に形成される第1正孔輸送層42、赤色発光層5R、緑色発光層5Gなどの機能層の構成に応じて、3つの有機EL素子1R,1G,1B(サブ画素10R,10G,10B)のうち少なくとも1つについて正孔注入層41の材料構成を異ならせてもよい。これにより、有機EL素子1R,1G,1Bごとにおけるエネルギーダイヤグラムを適正化してより高い発光効率を実現することが可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の有機EL装置とその製造方法について、図4を参照して説明する。図4は第2実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図である。第2実施形態の有機EL装置は、第1実施形態の有機EL装置100に対してキャリア選択層の構成を異ならせたものである。したがって、第1実施形態の有機EL装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態の有機EL装置200は、サブ画素10Rに有機EL素子201Rを有し、サブ画素10Gに有機EL素子201Gを有し、サブ画素10Bに有機EL素子201Bを有している。以下、各有機EL素子201R,201G,201Bの具体的な構成について説明する。
有機EL素子201Rは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Rと、正孔注入層41(41R)と、第1正孔輸送層42(42R)と、第1発光層としての赤色発光層5Rと、キャリア選択層46Bと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子201Gは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Gと、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、第3発光層としての緑色発光層5Gと、キャリア選択層46Bと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子201Bは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Bと、正孔注入層41(41B)と、キャリア選択層46Bと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子201R,201G,201Bにおいて、正孔注入層41は、液相プロセス(塗布法)を用いて、サブ画素10R,10G,10Bのそれぞれに形成されている。第1正孔輸送層42、赤色発光層5R、緑色発光層5Gは、それぞれ液相プロセス(塗布法)を用いて、サブ画素10R,10Gに対応して選択的に形成されている。一方で、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8は、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて、サブ画素10R,10G,10Bに亘って共通に形成されている。
有機EL素子201R,201G,201Bにおいて、キャリア選択層46Bは、陽極3R,3G,3B側に形成された第1拡散抑制層43と、第1拡散抑制層43に接して形成された中間層44とを有している。第1拡散抑制層43は液相プロセス(塗布法)を用いて形成され、中間層44は真空蒸着などの気相プロセスを用いて形成され、共にサブ画素10R,10G,10Bに亘って共通に形成されている。
液相プロセス(塗布法)を用いて形成された、赤色発光層5R、緑色発光層5G、正孔注入層41(41B)に接するように、同じく液相プロセス(塗布法)を用いて第1拡散抑制層43が形成されている。そして、真空蒸着などの気相プロセスを用いて形成された中間層44に接するように、同じく真空蒸着などの気相プロセスを用いて第2正孔輸送層47が形成されている。つまり、本実施形態のキャリア選択層46Bは、第1実施形態のキャリア選択層46Aから第2拡散抑制層45を除いた構成となっている。
第2拡散抑制層45を除いて、キャリア選択層46Bを第1拡散抑制層43と中間層44との積層体としても、有機EL素子201R,201G(サブ画素10R,10G)では、中間層44から第1拡散抑制層43に電子注入材料が拡散して、第1拡散抑制層43の電子ブロック機能が低下し、青色発光層5Bから赤色発光層5R、緑色発光層5Gへの電子注入機能(キャリア注入機能)を確保することができる。
一方、有機EL素子201B(サブ画素10B)では、第2拡散抑制層45が除かれているので、中間層44に接した第2正孔輸送層47に中間層44に含まれる電子注入材料が拡散し易いが、第1実施形態で説明したように、正孔注入層41がイオン導電性の正孔注入材料で構成されており、中間層44の電子注入材料は正孔注入層41に向かって激しく拡散あるいは吸着される。したがって、第2正孔輸送層47側には拡散し難いので、第2正孔輸送層47の電子ブロック機能がある程度維持される。ゆえに、有機EL素子201B(サブ画素10B)では、電子輸送層62から青色発光層5Bに注入された電子を漏らさずに留め置く電子ブロック機能(キャリアブロック機能)が働く。つまり、有機EL素子201R,201G,201Bにおいて、赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bを選択的または支配的に発光させることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の有機EL装置とその製造方法について、図5を参照して説明する。図5は第3実施形態の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図である。第3実施形態の有機EL装置は、第1実施形態の有機EL装置100に対してキャリア選択層の構成を異ならせたものである。したがって、第1実施形態の有機EL装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の有機EL装置300は、サブ画素10Rに有機EL素子301Rを有し、サブ画素10Gに有機EL素子301Gを有し、サブ画素10Bに有機EL素子301Bを有している。以下、各有機EL素子301R,301G,301Bの具体的な構成について説明する。
有機EL素子301Rは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Rと、正孔注入層41(41R)と、第1正孔輸送層42(42R)と、第1発光層としての赤色発光層5Rと、キャリア選択層46Cと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子301Gは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Gと、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、第3発光層としての緑色発光層5Gと、キャリア選択層46Cと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子301Bは、平坦化層22上に順に積層された、陽極3Bと、正孔注入層41(41B)と、キャリア選択層46Cと、第2正孔輸送層47と、第2発光層としての青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とを有している。
有機EL素子301R,301G,301Bにおいて、正孔注入層41は、液相プロセス(塗布法)を用いて、サブ画素10R,10G,10Bのそれぞれに形成されている。第1正孔輸送層42、赤色発光層5R、緑色発光層5Gは、それぞれ液相プロセス(塗布法)を用いて、サブ画素10R,10Gに対応して選択的に形成されている。一方で、第2正孔輸送層47、青色発光層5B、電子輸送層62、電子注入層63、共通陰極8は、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて、サブ画素10R,10G,10Bに亘って共通に形成されている。
有機EL素子301R,301G,301Bにおいて、キャリア選択層46Cは、陽極3R,3G,3B側に形成された中間層44と、中間層44に接して形成された第2拡散抑制層45とを有している。中間層44は真空蒸着などの気相プロセスを用いて形成され、第2拡散抑制層45は液相プロセス(塗布法)を用いて形成され、共にサブ画素10R,10G,10Bに亘って共通に形成されている。
つまり、本実施形態のキャリア選択層46Cは、第1実施形態のキャリア選択層46Aから第1拡散抑制層43を除いた構成となっている。
有機EL素子301R,301G(サブ画素10R,10G)では、第1拡散抑制層43が除かれているので、中間層44から赤色発光層5R、緑色発光層5Gに電子注入材料が拡散して、青色発光層5Bから赤色発光層5R、緑色発光層5Gへの電子注入機能(キャリア注入機能)を維持することができる。
一方、有機EL素子301B(サブ画素10B)では、第1実施形態で説明したように、正孔注入層41がイオン導電性の正孔注入材料で構成されており、中間層44の電子注入材料は正孔注入層41に向かって激しく拡散あるいは吸着される。また、中間層44の第2正孔輸送層47側には第2拡散抑制層45が形成されており電子注入材料が拡散し難いので、第2拡散抑制層45及び第2正孔輸送層47の電子ブロック機能が維持される。ゆえに、有機EL素子301B(サブ画素10B)では、電子輸送層62から青色発光層5Bに注入された電子を漏らさずに留め置く電子ブロック機能(キャリアブロック機能)が働く。つまり、有機EL素子301R,301G,301Bにおいて、赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bを選択的または支配的に発光させることができる。
なお、上記第1実施形態から第3実施形態の説明において使用した、図3〜図5において、正孔注入層41は、サブ画素10R,10G,10B(異なる色の3つの有機EL素子)に跨るように図示したが、実際には隔壁31で区画された膜形成領域にそれぞれ液相プロセスで形成される。また、第1正孔輸送層42は、サブ画素10R,10G(赤と緑の有機EL素子)に跨るように図示したが、同じく実際には隔壁31で区画された膜形成領域にそれぞれ液相プロセスで形成される。つまり、図3〜図5では、同じ構成材料を用いて液相プロセスで正孔注入層41と第1正孔輸送層42とが対応するサブ画素に形成されていることを示すものである。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態並びに上記第3実施形態に共通する、赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bについて、さらに詳しく説明する。
発光層は、発光材料であるドーパント(ゲスト材料)をホスト材料に加えることによって効率的に発光が得られる構成となっている。ホスト材料は、正孔と電子とを再結合させて励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させる機能を有している。正孔と電子とを再結合させて得られるエネルギーによって導かれる発光は、発光材料によって蛍光と燐光とのうちいずれかとなる。以降、赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bのそれぞれにおいて、好ましいホスト材料及びドーパント材料(ゲスト材料)の例を挙げる。
[ホスト材料]
赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bに共通するホスト材料としては、CBP(4,4'-bis(9-dicarbazolyl)-2,2'-biphenyl)、BAlq(Bis-(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolate)aluminium)、mCP(N,N-dicarbazolyl-3,5-benzene:CBP誘導体)、CDBP(4,4'-bis(9-carbazolyl)-2,2'-dimethyl-biphenyl)、
DCB(N,N’-Dicarbazolyl-1,4-dimethene-benzene)、P06(2,7-bis(diphenylphosphine oxide)-9,9-dimethylfluorene)、SimCP(3,5-bis(9-carbazolyl)tetraphenylsilane)、UGH3(W-bis(triphenylsilyl)benzene)などが挙げられる。特に、真空蒸着法を用いて形成される青色発光層5Bのホスト材料としては、前述したように、アントラセン誘導体を用いることが好ましい。
[赤色発光材料(ドーパント)]
赤色発光層5Rに用いられるドーパント(ゲスト材料)としては、Bt2Ir(acac)(Bis(2-phenylbenxothiozolato-N,C2’)iridium(III)(acetylacetonate))、
Btp2Ir(acac)(Bis(2-2'-benzothienyl)-pyridinato-N,C3)Iridium(acetylacetonate)などのイリジウム錯体、PtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18-Octaethyl-21H,23H-porphine,platinum(II)などの白金錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで赤色の燐光を得ることができる。
[緑色発光材料(ドーパント)]
緑色発光層5Gに用いられるドーパント(ゲスト材料)としては、Ir(ppy)3(Fac-tris(2-phenypyridine)iridium)、Ppy2Ir(acac)(Bis(2-phenyl-pyridinato-N,C2)iridium(acetylacetone)などのイリジウム錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで緑色の燐光を得ることができる。
[青色発光材料(ドーパント)]
青色発光層5Bに用いられるドーパント(ゲスト材料)としては、FIrpic(Iridium-bis(4,6difluorophenyl-pyridinato-N,C.2.)-picolinate)、Ir(pmb)3(Iridium-tris(1-phenyl-3-methylbenzimidazolin-2-ylidene-C,C(2)')、FIrN4(((Iridium (III)bis(4,6-difluorophenylpyridinato)(5-(pyridin-2-yl)-tetrazolate)、Firtaz((Iridium(III)bis(4,6-difluorophenylpyridinato)(5-(pyridine-2-yl)-1,2,4-triazo-late)などのイリジウム錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで青色の燐光を得ることができる。
また、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、などのスチリルベンゼン誘導体をドーパントとして用い、前述したホスト材料に添加することで青色の蛍光を得ることができる。
次に、上記第1実施形態及び上記第2実施形態並びに上記第3実施形態に対応したより具体的な実施例と比較例とを挙げて、その具体的な効果を説明する。
(実施例1)
実施例1は、図3に示した上記第1実施形態の有機EL装置100における有機EL素子1R,1G,1Bの構成及びその製造方法の一例を具体的に示すものである。
<1> まず、平均厚さ1.0mmの透明なガラス基板を基板21として用意した。次に、この基板21上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO膜を形成した後、このITO膜をフォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることでITO電極(陽極3R,3G,3B/個別電極)を形成した。
そして、陽極3R,3G,3Bが形成された基板21をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、陽極3R,3G,3Bが形成された基板21上に、スピンコート法により、感光性アクリル系樹脂で構成される絶縁層を形成した後、この絶縁層をフォトリソグラフィー法を用いてITO電極を露出するようにパターニングすることで隔壁(バンク)31を形成した(図2参照)。さらに、隔壁31が形成された基板21の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより陽極3R,3G,3Bの表面と隔壁31の表面(壁面を含む)が活性化され親液化する。続いて、隔壁31が形成された基板21の表面を、CF4ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより、アクリル系樹脂からなる隔壁31の表面のみにCF4ガスが反応して撥液化される。
なお、表面が撥液性を有する隔壁31の形成方法は、これに限定されず、例えば、感光性アクリル系樹脂自体がフッ素系の撥液性材料を予め含んでいてもよい。
<3−1> 次に、有機EL素子1Rを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、1.0wt%PEDOT/PSS水分散液を塗布した。
<3−2> 次に、有機EL素子1Gを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、1.0wt%PEDOT/PSS水分散液を塗布した。
<3−3> 次に、有機EL素子1Bを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、1.0wt%PEDOT/PSS水分散液を塗布した。
<3−4> 次に、上記各工程で塗布したPEDOT/PSS水分散液を乾燥した後、大気中にて基板21を加熱し、各陽極3R,3G,3B上に、それぞれ、PEDOT/PSSで構成される平均厚さ50nmのイオン伝導性の正孔注入層41を形成した。
<4−1> 次に、有機EL素子1Rを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)の1.5wt%テトラメチルベンゼン溶液を塗布した。
<4−2> 次に、有機EL素子1Gを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)の1.5wt%テトラメチルベンゼン溶液を塗布した。
<4−3> 次に、上記各工程で塗布した上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)のテトラメチルベンゼン溶液を乾燥した後、窒素雰囲気中にて基板21を加熱した。さらに、基板21の、有機EL素子1R及び有機EL素子1Gを形成すべき領域をキシレンによってリンスした。これにより、各正孔注入層41上に、それぞれ、上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)で構成される平均厚さ20nmの第1正孔輸送層42を形成した。
<5−1> 次に、有機EL素子1Rを形成すべき領域に位置する隔壁31の内側に、インクジェット法を用いて、上記化学式(2)で表わされる化合物(フルオレン誘導体)の1.2wt%テトラメチルベンゼン溶液を塗布した。
<5−2> 次に、有機EL素子1Gを形成すべき領域に位置する隔壁の内側に、インクジェット法を用いて、上記化学式(13)で表わされる化合物(フェニルビニレン誘導体)の1.2wt%テトラメチルベンゼン溶液を塗布した。
<5−3> 次に、上記各工程で塗布した、上記化学式(2)で表わされる化合物(フルオレン誘導体)のテトラメチルベンゼン溶液と、上記化学式(13)で表わされる化合物(フェニレンビニレン誘導体)のテトラメチルベンゼン溶液とを乾燥した後、窒素雰囲気中にて基板21を加熱する。これにより、各第1正孔輸送層42上に、それぞれ、上記化学式(2)で表わされる化合物(フルオレン誘導体)で構成される平均厚さ60nmの赤色発光層5Rと、上記化学式(13)で表わされる化合物(フェニレンビニレン誘導体)で構成される平均厚さ60nmの緑色発光層5Gとを形成した。
<6> 次に、有機EL素子1R,1G,1Bを形成すべき各領域に亘って、上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)を0.5wt%〜1.0wt%の濃度で含有するテトラメチルベンゼン溶液をスピンコート法で塗布した。そして、窒素雰囲気中で基板21を加熱して平均厚さ50nmの第1拡散抑制層43を形成した。
<7> 次に、第1拡散抑制層43上に、炭酸セシウム(Cs2CO3)を真空蒸着して、平均厚さ5nmの膜を形成し、中間層44とした。
<8> 次に、中間層44上に、上記化学式(1)で表わされる化合物(TFB)を0.5wt%〜1.0wt%の濃度で含有するテトラメチルベンゼン溶液をスピンコート法で塗布した。そして、窒素雰囲気中で基板21を加熱して平均厚さ50nmの第2拡散抑制層45を形成した。
<9> 次に、第2拡散抑制層45上に、真空蒸着法を用いて、上記化学式(4)で表される化合物(α−NPD)で構成される平均厚さ10nmの第2正孔輸送層47を形成した。
<10> 次に、第2正孔輸送層47上に、真空蒸着法を用いて以下に示す青色発光層形成材料で構成される平均厚さ20nmの青色発光層5Bを形成した。
ここで、青色発光層5Bの形成材料としては、ホスト材料として上記化学式(7)で表わされる化合物(アントラセン誘導体)を用い、ゲスト材料として上記化学式(10)で表わされる化合物(スチリル誘導体)を用いた。また、青色発光層5B中のゲスト材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、ホスト材料に対して重量比で5.0%とした。
<11> 次に、青色発光層5B上に、真空蒸着法を用いて、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)で構成される平均厚さ20nmの電子輸送層62を形成した。
<12> 次に、電子輸送層62上に、真空蒸着法を用いて、フッ化リチウム(LiF)で構成される、平均厚さ1nmの電子注入層63を形成した。
<13> 次に、電子注入層63上に、真空蒸着法を用いてAlで構成される、平均厚さ100nmの共通陰極8を形成した。
<14> 次に、形成した有機EL素子1R,1G,1Bを覆うように、エポキシ樹脂の接着層35を形成して、ガラス製の封止基板20を被せ、固定、封止した。
以上の工程により、図2に示すようなボトムエミッション構造の有機EL装置100を製造した。
なお、上記機能層の形成における液相プロセスで用いられる溶媒または分散媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素水、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイトなどの各種無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリンなどアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(カルビトール)などのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、テトラリンなどの脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、などの芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ヒドラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドンなどの芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N―ジメチルアセトアミド(DMA)、などのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロメタンなどのハロゲン化合物系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどの硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピニオニトリル、アクロニトリルなどのニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸系溶媒、のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶液を挙げることができる。
(実施例2)
実施例2は、上記第2実施形態の有機EL装置200における有機EL素子201R,201G,201Bの構成及びその製造方法の一例を示すものである。
具体的には、上記実施例1における上記工程<1>〜<14>のうち<8>を省いて、図4に示した有機EL装置200を製造した。
(実施例3)
実施例3は、上記第3実施形態の有機EL装置300における有機EL素子301R,301G,301Bの構成及びその製造方法の一例を示すものである。
具体的には、上記実施例1における上記工程<1>〜<14>のうち<6>を省いて、図5に示した有機EL装置300を製造した。
(比較例1)
図6は比較例1の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図である。図6に示すように、比較例1の有機EL装置400は、(基板21の)平坦化層22上に赤色に対応した有機EL素子401Rと、緑色に対応した有機EL素子401Gと、青色に対応した有機EL素子401Bとを有している。
具体的には、有機EL素子401Rは、平坦化層22上に、陽極3Rと、正孔注入層41(41R)と、第1正孔輸送層42(42R)と、赤色発光層5Rと、中間層44と、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
有機EL素子401Gは、平坦化層22上に、陽極3Gと、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、緑色発光層5Gと、中間層44と、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
有機EL素子401Bは、平坦化層22上に、陽極3Bと、正孔注入層41(41B)と、中間層44と、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
各機能層の構成及びその製造方法は、上記実施例1と同じである。つまり、比較例1の有機EL装置400における各有機EL素子401R,401G,401Bの構成は、上記実施例1の各有機EL素子1R,1G,1Bの構成から第1拡散抑制層43と第2拡散抑制層45とを除いた構成となっている。
(比較例2)
図7は比較例2の有機EL装置のサブピクセルにおける有機EL素子の構成を示す模式図である。図7に示すように、比較例2の有機EL装置500は、基板21上に赤色に対応した有機EL素子501Rと、緑色に対応した有機EL素子501Gと、青色に対応した有機EL素子501Bとを有している。
具体的には、有機EL素子501Rは、平坦化層22上に、陽極3Rと、正孔注入層41(41R)と、第1正孔輸送層42(42R)と、赤色発光層5Rと、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
有機EL素子501Gは、平坦化層22上に、陽極3Gと、正孔注入層41(41G)と、第1正孔輸送層42(42G)と、緑色発光層5Gと、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
有機EL素子501Bは、平坦化層22上に、陽極3Bと、正孔注入層41(41B)と、第2正孔輸送層47と、青色発光層5Bと、電子輸送層62と、電子注入層63と、共通陰極8とが、この順に積層されている。
各機能層の形成方法は、上記実施例1と同じである。つまり、比較例2の有機EL装置500における各有機EL素子501R,501G,501Bの構成は、上記実施例1の各有機EL素子1R,1G,1Bおけるキャリア選択層46A(第1拡散抑制層43、中間層44、第2拡散抑制層45)を除いた構成となっている。
図8は実施例1〜実施例3、比較例1及び比較例2の発光効率、発光寿命、色の変化を評価した結果を示す表である。図8において、発光効率は所定の電流を流したときの輝度を比較例1を基準として数値化し、発光寿命は所定の電流を流し続けて輝度が初期に対して半減するまでの時間を比較例1を基準として数値化したものである。色の変化(発光色の変化)は目視の評価である。発光効率、発光寿命、色の変化を総合的に判断して、実用レベルに到達している場合を「○」あるいは「◎」とし、実用レベルに到達していない場合を「×」とした。
図8に示すように、比較例1の有機EL装置400における赤色発光層5R及び緑色発光層5G並びに青色発光層5Bは、初期的には適正な色の発光が得られるものの、中間層44に接する他の層に中間層44に含まれる電子注入材料が拡散してゆくことで、キャリアバランスが次第に崩れ、発光寿命において輝度が半減したときには、明らかな色の変化が認められるので総合評価は「×」とした。
比較例2の有機EL装置500における赤色発光層5R及び緑色発光層5Gは、青色発光層5Bから赤色発光層5R及び緑色発光層5Gへの電子注入が適正に行われないため、比較例1に比べても発光効率や発光寿命が劣っている。また、赤色発光層5R及び緑色発光層5Gにおけるキャリアバランスが崩れており、赤色発光層5Rや緑色発光層5Gの発光に青色発光層5Bの発光が混ざって色の変化が発生したので「×」とした。一方、比較例2の有機EL素子501Bにおける青色発光層5Bはキャリア(正孔、電子)の注入が行われるものの、比較例1に比べて、青色発光層5Bにキャリア(正孔、電子)を留めることができず、発光効率、発光寿命ともに劣っている。キャリア(正孔、電子)を充分に青色発光層5Bに留めることはできないものの、キャリアバランスとしては比較例1よりもよいので、色の変化は認められるが、比較例1よりも軽度であり「△」とした。総合評価としては、比較例1と同様に「×」とした。
このような比較例1,2に対して、実施例1,2,3は、いずれも赤色発光層5R、緑色発光層5G、青色発光層5Bが選択的または支配的に発光する。実施例1,2,3では、キャリア選択層46A,46B,46Cを設けることに起因して特にサブ画素10Bでは比較例1よりも発光効率の数値がやや下回った結果になったが、サブ画素10R,10Gでは比較例1よりも優れた発光効率及び発光寿命の結果が得られている。とりわけ、キャリア選択層46Aとして第1拡散抑制層43と第2拡散抑制層45との間に中間層44を有する実施例1は、色の変化が発生しないことはもちろんのこと、サブ画素10R,10Gでは、実施例2,3よりも発光効率と発光寿命とにおいて優れた評価結果が得られたので、総合評価を「◎」とした。
第1拡散抑制層43が赤色発光層5R及び緑色発光層5Gと中間層44との間に設けられた実施例2は、第1拡散抑制層43を有していない実施例3よりもサブ画素10R,10Gにおいて発光寿命が劣っている。その理由は、実施例3に比べて実施例2の第1拡散抑制層43が赤色発光層5R及び緑色発光層5Gへの電子注入の障壁になり得るからである。
(第4実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について図9〜図11を参照して説明する。
上記実施形態の有機EL装置100,200,300は、各種の電子機器に組み込むことができる。
図9は、電子機器の一例としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図9に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述の有機EL装置100(あるいは有機EL装置200または有機EL装置300)で構成されている。
図10は、電子機器の一例としての携帯電話機を示す斜視図である。
図10に示すように、電子機器としての携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述の有機EL装置100(あるいは有機EL装置200または有機EL装置300)で構成されている。
図11は、電子機器の一例としてのディジタルスチルカメラを示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
電子機器としてのディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
図11に示すように、ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述の有機EL装置100(あるいは有機EL装置200または有機EL装置300)で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはLCDなどのモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、モニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
なお、上記実施形態の有機EL装置100(あるいは有機EL装置200または有機EL装置300)が適用される電子機器は、上記パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)1100、携帯電話機1200、ディジタルスチルカメラ1300の他にも、例えば、テレビや、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の有機EL装置とその製造方法及び電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記実施形態の有機EL装置100,200,300は、青色よりも長波長の光を発光する発光素子として、有機EL素子1R(201R,301R)及び有機EL素子1G(201G,301G)を備える構成としたが、これに限定されず、黄色有機EL素子や橙色有機EL素子のような青色よりも長波長の光を発光する発光素子を備えるものであってもよい。この場合、これら黄色有機EL素子及び橙色有機EL素子に本発明の有機EL装置におけるキャリア選択層46(46A,46B,46C)の構成が適用される。
(変形例2)本発明のキャリア選択層46(46A,46B,46C)の構成を適用可能な有機EL装置は、ボトムエミッション型に限定されず、トップエミッション型の有機EL装置にも適用可能である。
1R,1G,1B…有機EL素子、3R…第1陽極としての陽極、3G…第3陽極としての陽極、3B…第2陽極としての陽極、5R…第1発光層としての発光層または赤色発光層、5G…第3発光層としての発光層または緑色発光層、5B…第2発光層としての発光層または青色発光層、8…共通陰極、10R…第1サブピクセルとしての赤のサブ画素、10G…第3サブピクセルとしての緑のサブ画素、10B…第2サブピクセルとしての青のサブ画素、41,41R,41G,41B…正孔注入層、42,42R,42G…第1正孔輸送層、43…第1拡散抑制層、44…中間層、45…第2拡散抑制層、46,46A,46B,46C…キャリア選択層、47…第2正孔輸送層、62…電子輸送層、100,200,300…有機EL装置、1100…電子機器としてのパーソナルコンピューター、1200…電子機器としての携帯電話機、1300…電子機器としてのディジタルスチルカメラ。

Claims (14)

  1. 互いに異なる色が発せられるべき第1サブピクセル及び第2サブピクセルと、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘って形成された共通陰極と、
    前記第1サブピクセルは、第1陽極と、前記第1陽極と前記共通陰極との間に液相プロセスで形成され、第1の色を発光する機能を有する第1発光層と、前記第1発光層と前記共通陰極との間に気相プロセスで形成され、第2の色を発光する機能を有する第2発光層とを備え、
    前記第2サブピクセルは、第2陽極と、前記第2陽極と前記共通陰極との間に気相プロセスで形成された前記第2発光層とを備え、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘り、前記第1発光層と前記第2発光層との間及び前記第2陽極と前記第2発光層との間に形成され、電子注入材料を含む中間層と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルとに亘り、前記中間層と前記第1発光層との間及び前記中間層と前記第2発光層との間のうち少なくとも一方の間に形成され、前記電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層と、を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記中間層は気相プロセスで形成され、前記拡散抑制層は液相プロセスで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 前記中間層の前記電子注入材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
  4. 前記拡散抑制層が正孔輸送性を有する高分子有機材料を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  5. 第3サブピクセルをさらに有し、
    前記第3サブピクセルは、第3陽極と、前記第3陽極と前記共通陰極との間に液相プロセスで形成され、第3の色を発光する機能を有する第3発光層とを備え、
    前記中間層は前記第3発光層と前記共通陰極との間に形成され、
    前記拡散抑制層は、前記中間層に対して前記第3陽極側と前記共通陰極側とのうち少なくとも一方側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  6. 前記第1サブピクセルの前記第1陽極と前記第1発光層との間、及び前記第3サブピクセルの前記第3陽極と前記第3発光層との間に、液相プロセスで形成された第1正孔輸送層を有し、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層と前記第2発光層との間に、前記第2発光層に接して気相プロセスで形成された第2正孔輸送層を備えたことを特徴とする請求項5に記載の有機EL装置。
  7. 前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色であり、前記第3の色が緑色であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機EL装置。
  8. 互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、
    前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記拡散抑制層上に、前記電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  9. 互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、
    前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、前記電子注入材料の拡散を抑制する拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記拡散抑制層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  10. 互いに異なる色の光が発せられるべき第1サブピクセルと第2サブピクセルと第3サブピクセルとを備えた有機EL装置の製造方法であって、
    前記第1サブピクセルの第1陽極上と前記第3サブピクセルの第3陽極上とに、第1正孔輸送層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第1の色を発光する機能を有する第1発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第3サブピクセルの前記第1正孔輸送層上に、第3の色を発光する機能を有する第3発光層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1発光層上及び前記第3発光層上並びに前記第2サブピクセルの第2陽極上に、電子注入材料の拡散を抑制する第1拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第1拡散抑制層上に、前記電子注入材料を含む中間層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記中間層上に、前記電子注入材料の拡散を抑制する第2拡散抑制層を液相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2拡散抑制層上に、第2正孔輸送層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、前記第2正孔輸送層上に、第2の色を発光する機能を有する第2発光層を気相プロセスで形成する工程と、
    前記第1サブピクセルと前記第2サブピクセルと前記第3サブピクセルとに亘り、共通陰極を形成する工程と、を備えることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  11. 前記中間層の前記電子注入材料が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  12. 正孔輸送性を有する高分子有機材料を用いて前記拡散抑制層または前記第1拡散抑制層あるいは前記第2拡散抑制層を形成することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  13. 前記第1の色が赤色であり、前記第2の色が青色であり、前記第3の色が緑色であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  14. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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