JP2014044186A - 落下衝撃試験機 - Google Patents

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好美 千葉
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Abstract

【課題】ショックアブソーバの落下衝撃荷重緩和特性のわずかな違いも忠実にデータ化できる試験装置が必要であった。
【解決手段】ロードセル荷重軸の直下鉛直方向への重錘落下と、落下距離調整用部品としてワイヤーロープ等の弾性伸びの少ない線状体と、金属製重錘とを組み合わせることで、試験装置の剛性特性を高め、落下衝撃荷重の水平分力を排除して、繰り返し試験に伴う誤差を限りなく抑えた精密な落下衝撃荷重試験装置を提供した。
【選択図】図1

Description

本発明は、高所作業時の墜落防止用安全ロープに使用されるショックアブソーバの落下衝撃荷重測定用試験機に関する。
作業員が高所作業中に墜落した場合、安全ロープで地上等への墜落を阻止できたとしても、その落下距離が長い場合は衝撃荷重が大きく人体への影響が懸念されるため、衝撃荷重を一定値以下に抑えられるショックアブソーバが開発され市販されている。
ショックアブソーバの性能は、落下衝撃試験により確認されているが、衝撃荷重が一定値以下であることの確認に重点が置かれており、その試験装置は安全ロープが実際に使用されている状態を模擬するように工夫している。落下衝撃試験方法の詳細は非特許文献1に記載されている。
一方、[特許文献1][特許文献2]等には、供試体自体の落下/衝突に関わる衝撃試験装置の吊下げ保持/開放装置についての記載があるが、ショックアブソーバの精密データの取得には適用できない。
独立行政法人産業安全研究所 産業安全研究所技術指針 安全帯構造指針 NIIS−TR−No.35(1999)
特開2002−372486号公報 特開2012−42347号公報
高所作業員用安全ロープに採用されているショックアブソーバの落下衝撃荷重に対する精密なデータ取得を可能とした試験装置を開発したものである。
本発明は、ショックアブソーバの落下衝撃荷重試験において、作業実態を模擬する従来の試験方法では把握できなかった微細な衝撃荷重緩和特性を正確に把握できる方法を提供するものである。
落下衝撃荷重緩和特性を正確に把握するためには、試験ごとの試験条件が変化しない試験装置が求められ、荷重載荷状況や装置全体の弾性特性の不変性が重要な要素となる。
請求項1では、荷重載荷状況を一定に保つために、ロードセルの荷重軸に鉛直方向以外の力を加えないように、落下衝撃荷重を発生させる重錘の重心をロードセル荷重軸の鉛直下方に合わせ、更に、その状態のまま落下させる方法を提供している。
一般的な落下衝撃荷重試験装置では、安全ロープの実使用状態に近づけるため、ロードセル荷重軸から水平方向に数10cm離れた位置に重錘の重心が来るようにセットする。このために落下した重錘はロードセル鉛直下方に移動するための水平方向の力が発生し、振り子となって振動するので、ロードセルには若干の遠心力が発生する。この力は、重錘のセット位置やショックアブソーバ作動後のロードセルから重錘までの距離などにより変化する。
本発明で提供した方法で試験すると、ロードセルには鉛直下方への荷重のみが載荷され、試験条件が一定に保たれる。
請求項2では、繰り返し試験においても装置の剛性特性を変化させない装置として、ロードセル荷重軸から重錘までの供試体連結系の部品構成の条件を提供している。
ショックアブソーバの試験では所要の重錘重量と重錘落下距離が必要である。
一般的な落下衝撃荷重試験装置では、使用実態を模擬する必要から、重錘として砂のう等を、また落下距離の確保には該当の安全ロープ等を用いているが、砂のうは乾湿による重量の変化や重心の移動が、安全ロープは繰返し荷重による弾性特性の変化が現れることから、衝撃荷重値も変動するものと考えられる。
このため本発明では、次に示す重錘と供試体連結系を提供している。
先ず、重錘は重心や重量が変化しない金属の塊りを提供している。試験ごとに重量調整が必要な場合は複数個を組み合わせ所要の重量になる様に調整する方式が良い。
次に、供試体連結系は金具とワイヤーロープの組合せを提供している。所要の落下距離はワイヤーロープの長さで調整し、これらの連結には金具を用いることで、供試体連結系の繰り返し試験による弾性特性の変化を防ぐとともに剛性も確保し、ショックアブソーバの衝撃緩和特性のわずかな変化も把握でき様にしている。
請求項3と請求項4で、重錘をロードセル荷重軸鉛直下方にセットするための方法と、所定のタイミングで重錘を解放し落下させるための装置を提供している。
重錘は、重錘ベースに複数の金属塊を連結することで重量を調節する。また、重錘ベースは、重錘昇降時の重錘支持アームに搭載するための受け金具となり、更に重錘をロードセル下方で落下させるまでの一時的に保持する時の懸垂保持/解放装置の受け金具としての機能も具備してる。
重錘の昇降には、重錘をロードセル荷重軸鉛直下方を同軸上を移動する昇降装置を使用する。昇降装置には、重錘ベースを受け金具として搭載するための支持アームが具備されており、重錘を試験機上部の保持/解放装置に保持させた後は試験機下端に移動して支持アームを折りたたみ、落下してきた重錘との接触を防止する。
昇降装置の昇降には、ピンラックレールやワイヤーロープ等を用いた機構とし、電動モーター等の動力、または人力の使用が考えられる。
さらに、昇降装置で試験機上部に上昇させた重錘を、落下させるまで一時的に保持させ、必要な時に解放させる装置として、2個の電磁石と鋼鉄製の受け金具でもある重錘ベースの組合せを提供している。
請求項5では、重錘ベースの上面に2個の電磁石を吸着させるための浅い陥没穴を提供している。作業員はこの穴に電磁石を合わせて保持動作スイッチを作動させれば、2個の電磁石と重錘重心とが最適な位置関係の状態で吸着される。電磁石が陥没穴底部と吸着し、陥没穴壁部で電磁石の滑り移動を阻止されることで、2個の電磁石と重錘重心の最適な位置関係は維持される。
すなわち、電気回路のスイッチ操作で2個の電磁石の解放のタイミングは完全に一致することと、重錘の重心をロードセルの荷重軸真下に維持できる重錘ベースを利用することで、常に重垂はロードセルの荷重軸真下を偏心せずに鉛直に落下する。
請求項6では、重錘ベースと各重錘片の連結方法を、各重錘片の重心軸と同軸上に配置したオネジ/メネジの組合せとすることを提供している。これにより着脱組立てが容易に実施できるほか、重錘片の個数に関わらず重心が一定な重垂が構築できる。
請求項7では、重錘の落下距離を測定できる装置を併設することを提供している。ショックアブソーバは伸長しながら落下衝撃エネルギーを消費するので、落下衝撃荷重試験にともなうショックアブソーバの伸び量は重要なデータとなる。具体的な測定方法としては計尺用の物差しを並立させておき直角定規等を併用する方法や、赤外線距離計などの非接触距離計で測定する方法などが考えられる。
本発明によれば、一定の条件のもとで行われる繰り返し試験に伴う誤差を極力抑えたショックアブソーバ特性試験が可能になり、ショックアブソーバの改良や劣化程度把握技術が進展する可能性がある。
精度の高いショックアブソーバ落下衝撃荷重測定用試験機の実施例を示した説明図である。 重錘ベースの上面の詳細図であり、電磁石を吸着するための浅い陥没穴を表示した図面である。 重錘の断面図であり、重錘片連結用のメネジ/オネジを説明した図面である。
図1において、支持架台10は考えられる衝撃荷重に対して充分な剛性を有し、左右両側の支持鉄骨などで所定の高さに堅固に固定されている。支持架台10には、1個のロードセル21と2個の懸垂保持/解放装置40とが所定の金具で懸垂状態に吊り下げられている。ロードセル20の下部には、所定の金具を付属した連結ワイヤー2と、供試体であるショックアブソーバ1と、連結金具3と、重錘30とが直列に連結される。
ロードセル20は、データ変換装置21を経由してデータ表示/格納装置22と接続される。データ表示/格納装置22には一般的にパソコンが利用される。
重錘30は、重錘ベース31に1個以上の重錘片32を図3に示す重錘片連結装置(メネジ/オネジ)34で連結して全体で所定の重量になるように調整する。重錘30は、重錘ベース31が重錘昇降レール50に沿って昇降する重錘昇降装置51に設けられた2個の重錘支持アーム52に支持されて試験機の下端から上部まで移動し、支持架台10から懸垂状態に吊り下げられている懸垂保持/解放装置(電磁石)40を図2に示す重錘ベース31上面の懸垂保持/解放装置位置決め穴33に合わせ保持/解放スイッチ41を保持に操作することで試験開始位置に保持される。試験時は、保持/解放スイッチ41を解放に操作して2個の電磁石の磁力を消失させ重錘ベース31を解放する。
なお、落下試験を開始する前に、重錘昇降装置51は下端に移動させ重錘支持アーム52は折りたたんで重錘昇降レール50に平行近接させ重錘が落下した時に接触しないようにする。
試験を開始するには、先ず重錘を所定の重量になる様に重錘ベース31に重錘片を組合せて連結し、昇降装置51の重錘支持アーム52にセットする。次に、昇降装置51を操作して重錘30を上部に移動させ、ロードセル21の下部に連結ワイヤー2、ショックアブソーバ1、連結金具3、重錘30を確実に連結させる。さらに、重錘ベース31の上面の懸垂保持/解放装置位置決め穴33に懸垂保持/解放装置40を合わせて保持/解放スイッチ41を保持操作し、重錘30を懸垂保持/解放装置40に保持させる。次に重錘昇降装置51を下端に移動させ重錘支持アーム52を退避させ、データ表示/格納装置22を測定待機状態にセットして試験開始準備が完了する。
周囲の安全を確認した後、保持/解放スイッチ41を解放操作して重錘30を解放すると、その落下エネルギーに応じてショックアブソーバ1が作動し、緩和された衝撃荷重をロードセルが検知し、必要なデータが採取される。
1 ショックアブソーバ(供試体)
2 連結ワイヤーと付属金具
3 連結金具
10 支持架台
20 ロードセル
21 データ変換装置
22 データ表示/格納装置(パソコン)
30 重錘
31 重錘ベース
32 重錘片(複数)
33 懸垂保持/解放装置位置決め穴
34−1重錘片連結装置(メネジ)
34−2重錘片連結装置(オネジ)
40 懸垂保持/解放装置
41 保持/解放スイッチ
50 重錘昇降レール
51 重錘昇降装置
52 重錘支持アーム
60 落下距離測定装置

Claims (7)

  1. 堅固な支持体に固定されたロードセルまたは同等の機能を有する装置の加重軸直下鉛直方向に重錘の重心を合わせ、かつ、同方向に重錘を落下させることを特徴とした落下衝撃荷重試験装置
  2. 請求項1に記載の落下衝撃荷重試験装置で、重錘として必要な重量に組合せ変更可能な複数個の金属塊を用い、落下距離調整部品としてワイヤーロープまたは同等の機能を有する線状体を用い、これらの連結には金具を用いたことを特徴とした落下衝撃荷重試験装置
  3. 請求項1に記載の落下衝撃荷重試験装置で、重錘を昇降させることが可能な装置と、落下試験開始直前に一時的に重錘を保持し、解放可能な装置を有することを特徴とする落下衝撃荷重試験装置
  4. 請求項3に記載の落下試験開始直前に一時的に重錘を保持し解放可能な装置として、重錘ベースを鋼鉄製とし、保持/解放する装置として2個の電磁石を用いていることを特徴とする落下衝撃荷重試験装置
  5. 請求項4に記載の重錘ベースの上面に電磁石を吸着するための浅い陥没穴を設けて、重錘の重心と2個の電磁石の位置関係を最適な状態に保つとともに、電磁石が重垂固定金具上面を滑って移動することを防止できる事を特徴とした一時的に重錘を保持し解放可能な装置
  6. 重錘を形成する複数の重錘片の連結装置として、各重錘片の重心軸と同軸上のメネジ/オネジを設けたことを特徴とする重錘
  7. 請求項1に記載の落下衝撃荷重試験装置で、重錘の落下距離を測定できる装置を具備したことを特徴とする落下衝撃荷重試験装置
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