JP2014044038A - ボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステップS13の熱力学平衡計算により、ステップS4の反応流体計算で得ることが可能な化学種のガス濃度と、ステップS4の反応流体計算では得ることができない特定化学種のガス濃度との関係式を求める(ステップS14)。そして、ステップS21で抽出した温度分布およびガス濃度分布と、ステップS14で算出した関係式とを用いて、ステップS4の反応流体計算では得ることができない特定化学種の解析対象領域におけるガス濃度分布を算出する(ステップS22)。
【選択図】図2
Description
本実施形態によるボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法(硫化腐食予測方法)は、ボイラ1に対して行われる。ボイラ1は、図1に示すように、粉砕機5から供給された微粉炭を、バーナ3等で燃焼させて熱を発生させる火炉2と、火炉2の上方から下流にわたって配置され、内部に燃焼ガスを流動させて熱交換を行う伝熱管群6と、を備えており、ボイラ1で発生した燃焼ガスは煙突から排出されるようになっている。また、伝熱管群6は、火炉2の上方に所定の間隔で並列配置された二次過熱器、三次過熱器、最終過熱器、二次再熱器を備える上部伝熱部と、火炉2の後部に配置された一次過熱器、一次再熱器、節炭器を備える後部伝熱部と、を有している。
次に、本実施形態の硫化腐食予測方法について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。本実施形態の硫化腐食予測方法は、微粉炭を燃料とするボイラ1の炉壁管の温度における平衡定数を用いて算出した擬似平衡酸素分圧および擬似平衡硫黄分圧を用いて炉壁管の硫化腐食度合いを予測するものであり、石炭燃焼モデルを組み込んだ反応流体計算を行うステップと、熱力学平衡計算による燃焼排ガス組成計算を行うステップと、温度分布およびガス濃度分布を抽出・算出するステップと、硫化腐食環境評価を行うステップと、を有している。
石炭燃焼モデルを組み込んだ反応流体計算を行うステップ(以下、反応流体計算ステップという。)は、微粉炭の燃焼時に生成される全ての化学種の中から計算対象となる化学種を限定して反応流体計算を行うステップである。
C+1/2O2→CO・・・(8)
CO+1/2O2→CO2・・・(9)
(a)ボイラ幾何情報(ボイラ1の形状、バーナ3の位置、二段燃焼用空気ポート4の位置など)、
(b)燃焼空気条件(全空気比、各二段燃焼用空気ポート4での燃焼空気流量・温度・組成)、
(c)石炭性状(工業分析[水分、灰分、揮発分・固定炭素分]、元素分析[C、H、N、O、S])、
(d)石炭供給量(各バーナ3からの石炭供給量)。
熱力学平衡計算による燃焼排ガス組成計算を行うステップ(以下、燃焼排ガス組成計算ステップという。)は、熱力学平衡計算により、上記の反応流体計算ステップで得ることが可能な化学種のガス濃度と、後述する硫化腐食環境評価ステップで必要であって、上記の反応流体計算ステップでは得ることができない特定化学種のガス濃度との関係式を求めるステップ(関係式導出ステップ)であり、反応流体計算ステップと並行して行われる。
温度分布およびガス濃度分布を抽出・算出するステップ(以下、抽出・算出ステップという。)は、反応流体計算ステップでの結果に基づいて、解析対象領域11における温度分布、および、反応流体計算で得られた化学種の解析対象領域11におけるガス濃度分布を抽出するステップ(抽出ステップ)と、抽出した温度分布およびガス濃度分布と、燃焼排ガス組成計算ステップで求めた関係式とを用いて、解析対象領域11における特定化学種のガス濃度分布を算出するステップ(算出ステップ)と、を有している。
硫化腐食環境評価を行うステップ(以下、硫化腐食環境評価ステップという。)は、抽出・算出ステップで抽出した温度分布およびガス濃度分布と、抽出・算出ステップで算出した特定化学種のガス濃度分布と、炉壁管の温度における平衡定数とを用いて、擬似平衡酸素分圧(PO2)および前記擬似平衡硫黄分圧(PS2)の解析対象領域11における分布を算出するステップ(分圧算出ステップ)と、算出した擬似平衡酸素分圧(PO2)および擬似平衡硫黄分圧(PS2)の分布を用いて、解析対象領域11における炉壁管の硫化腐食度合いの分布を予測するステップ(予測ステップ)と、を有している。
H2+1/2S2→H2S・・・(11)
以上に述べたように、本実施形態に係る硫化腐食予測方法によると、熱力学平衡計算により、反応流体計算で得ることが可能な化学種のガス濃度と、反応流体計算では得ることができない特定化学種のガス濃度との関係式を求めることで、抽出した温度分布およびガス濃度分布と関係式とを用いて、反応流体計算では得ることができない特定化学種の解析対象領域11におけるガス濃度分布を算出することができる。これにより、炉壁管の温度における擬似平衡酸素分圧および擬似平衡硫黄分圧の解析対象領域11における分布を算出することができて、解析対象領域11における炉壁管の硫化腐食度合いの分布を予測することができる。このように、熱力学平衡計算により求めた関係式を用いて、反応流体計算では得ることができない特定化学種のガス濃度を補間してやることにより、反応流体計算を用いて炉壁管の硫化腐食度合いを予測することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
2 火炉
3 バーナ
4 二段燃焼用空気ポート
5 粉砕機
6 伝熱管群
11 解析対象領域
11a ブロック
Claims (3)
- 微粉炭を燃料とするボイラの炉壁管の温度における平衡定数を用いて算出した擬似平衡酸素分圧および擬似平衡硫黄分圧を用いて前記炉壁管の硫化腐食度合いを予測するボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法において、
前記ボイラ内に前記ボイラの炉壁に沿って設けた解析対象領域において、前記微粉炭の燃焼時に生成される全ての化学種の中から計算対象となる化学種を限定して、反応流体計算を行う反応流体計算ステップと、
熱力学平衡計算により、前記反応流体計算で得ることが可能な化学種のガス濃度と、前記擬似平衡酸素分圧および前記擬似平衡硫黄分圧を算出するのに必要であって、前記反応流体計算では得ることができない特定化学種のガス濃度との関係式を求める関係式導出ステップと、
前記反応流体計算の結果に基づいて、前記解析対象領域における温度分布、および、前記反応流体計算で得られた化学種の前記解析対象領域におけるガス濃度分布を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した温度分布およびガス濃度分布と、前記関係式とを用いて、前記解析対象領域における前記特定化学種のガス濃度分布を算出する算出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した温度分布およびガス濃度分布と、前記算出ステップで算出した前記特定化学種のガス濃度分布と、前記炉壁管の温度における平衡定数とを用いて、前記擬似平衡酸素分圧および前記擬似平衡硫黄分圧の前記解析対象領域における分布を算出する分圧算出ステップと、
前記分圧算出ステップで算出した前記擬似平衡酸素分圧および前記擬似平衡硫黄分圧の分布を用いて、前記解析対象領域における前記炉壁管の硫化腐食度合いの分布を予測する予測ステップと、
を有することを特徴とするボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法。 - 前記解析対象領域は前記ボイラの炉壁近傍に設けられて、複数のブロックに区切られており、
前記抽出ステップは、前記ブロック毎に、温度の平均値、および、前記反応流体計算で得られた化学種のガス濃度の平均値を算出することで、前記ボイラの炉壁近傍における温度分布およびガス濃度分布を抽出し、
前記算出ステップは、前記ブロック毎に、前記特定化学種のガス濃度を算出することで、前記ボイラの炉壁近傍における前記特定化学種のガス濃度分布を算出し、
前記分圧算出ステップは、前記ブロック毎に、前記擬似平衡酸素分圧および前記擬似平衡硫黄分圧を算出することで、前記ボイラの炉壁近傍における前記擬似平衡酸素分圧および前記擬似平衡硫黄分圧の分布を算出し、
前記予測ステップは、前記ブロック毎に、前記炉壁管の硫化腐食度合いを予測することで、前記ボイラの炉壁近傍における前記炉壁管の硫化腐食度合いの分布を予測することを特徴とする請求項1に記載のボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法。 - 前記反応流体計算ステップは、前記反応流体計算の結果が実測データに合致するまで、石炭燃焼に関わるパラメータを変えながら前記反応流体計算を繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ炉壁管の硫化腐食予測方法。
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