JP2014043601A - マグネシウム合金圧延材およびその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金圧延材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材および十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材の製造方法を提供する。
【解決手段】50質量%以上のマグネシウムと、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム合金圧延材であって、圧延面法線方向から圧延方向への傾斜角がプラスマイナス75°の範囲で測定した、六方最密充填構造のc軸の極密度分布曲線において、極密度のピークが10°以上または−10°以下にあることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、高強度でかつ優れた成形性を有するマグネシウム合金圧延材およびマグネシウム合金圧延材の製造方法に関し、とりわけ高強度でかつ優れた成形性を有する析出強化型マグネシウム合金圧延材およびその製造方法に関する。
マグネシウムは実用金属中で最も軽量な金属であり、高い比強度を有し、さらに切削性、制振性、電磁遮蔽性、耐くぼみ性、リサイクル性にも優れている。このためマグネシウムを主成分とするマグネシウム合金が、携帯電話、ノート型パソコンの筐体等の電子機器およびタイヤホイール等の自動車部品を含む幅広い用途で用いられている。
しかし、マグネシウム合金の圧延材(展伸材)は成形性(加工性)が低いという問題がある。これは、殆どのマグネシウム合金の結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であること、および圧延加工を行うと底面集合組織を形成することに起因する。底面集合組織とは六方最密充填構造の底面である(0001)面が圧延面に平行に配向した集合組織、言い換えるとc軸(<0001>軸)が圧延面の法線方向に配向した集合組織である。
一般に成形性(加工性)と強度とは、トレードオフの関係にある。マグネシウム合金においても底面集合組織を減少させることで成形性を向上できるが、通常、底面集合組織が減少すると強度は低下する。
マグネシウム合金は、例えばAZ系合金のような主に固溶強化により強度を得ている固溶強化型合金と、例えばZK系合金のような主に析出強化(または析出硬化)により強度を得ている析出強化型合金の2つに大別できる。
特許文献1は、AZ系合金に異周速圧延を適用して、強度と成形性を兼ね備えたマグネシウム合金材を得ることを開示している。
異周速圧延とは、例えば上下に配置されている等の1組のロールにおいて、一方のロールの周速を他方のロールの周速と異ならせ、この2つのロールの間を通過させて圧延を行う圧延方法である。
特許文献2は、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム合金に異周速圧延を適用して、高い強度を有しかつ成形性に優れたマグネシウム合金圧延材を得ることを開示している。
特開2010−202898号公報 特開2011−058054号公報
析出強化型マグネシウム合金(「析出硬化型マグネシウム合金」ともいう)は、析出物により強度を得ることができることから、一般には、固溶強化型マグネシウム合金よりも容易に高い強度を得ることができ、このため、高強度材を得るためには有利な場合が多い。
しかしながら、特許文献1は、固溶強化型のAZ合金を対象にしており、特許文献2は、固溶強化型および析出強化型の両方を含む幅広いマグネシウム合金を対象にしていることから、特許文献1および特許文献2が開示する条件を析出硬化型マグネシウム合金に適用しても、得られた圧延材が所望の強度と所望の成形性とを両立できない場合があった。
そこで、本願は、十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材を提供すること、および十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、50質量%以上のマグネシウムと、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム合金圧延材であって、圧延面法線方向から圧延方向への傾斜角がプラスマイナス75°の範囲で測定した、六方最密充填構造のc軸の極密度分布曲線において、極密度のピークが10°以上または−10°以下にあることを特徴とするマグネシウム合金圧延材である。
本発明の態様2は、前記極密度のピークが15°以上または−15°以下にあることを特徴とする態様1に記載のマグネシウム合金圧延材である。
本発明の態様3は、カルシウムを0.1質量%〜1.5質量%含むことを特徴とする態様1または2に記載のマグネシウム合金圧延材である。
本発明の態様4は、50質量%以上のマグネシウムと、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム部材を準備する工程と、前記マグネシウム合金部材に、圧延温度440℃以上、総圧下率50%以上で異周速圧延を行う工程と、を含むことを特徴とする、マグネシウム合金圧延材の製造方法である。
本発明の態様5は、前記異周速圧延を行った後、380℃〜520℃の間の温度で溶体化処理を行う工程と、該溶体化処理を行った後、120℃〜250℃の間の温度で時効処理を行う工程と、を更に含むことを特徴とする態様4に記載のマグネシウム合金圧延材の製造方法である。
本発明の態様6は、前記溶体化処理と前記時効処理との間にプレス成形を行う工程を更に含むことを特徴とする態様5に記載のマグネシウム合金圧延材の製造方法である。
本発明の態様7は、前記マグネシウム部材が、更に、カルシウムを0.1質量%〜1.5質量%含むことを特徴とする態様4〜6のいずれかに記載のマグネシウム合金圧延材。である。
本願発明では、析出強化型マグネシウム合金を440℃以上温度で総圧下率50%以上の異周速圧延を行って圧延材を得ることを特徴の1つとする。このようにして得られたマグネシウム合金圧延材は、そのc軸の極密度分布曲線において、極密度のピークが10°以上または−10°以下となる。
これにより十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材を提供すること、および十分な強度と十分な成形性とを有する析出硬化型マグネシウム合金の圧延材の製造方法を提供することが可能となる。
図1は異周速圧延を説明する模式断面図である。 図2は実施例1−1サンプルの極点図である。 図3は比較例1−1サンプルの極点図である。 ZK60のスタート材、実施例1−1サンプルおよび比較例1−1サンプルの極密度分布曲線を示す。 ZK60のスタート材、実施例2−1サンプルおよび比較例2−1サンプルの極密度分布曲線を示す。 AZ31のスタート材、比較例5−1サンプルおよび比較例5−3サンプルの極密度分布曲線を示す。 図7はAZ31のスタート材、比較例4−1サンプルおよび比較例4−3サンプルの極密度分布曲線を示す。 ZK60材の組織観察結果を示す。図8(a)はZK60スタート材の光学顕微鏡観察結果であり、図8(b)は実施例1−1サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図8(c)は実施例2−1サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図8(d)は実施例2−1サンプルのSEM観察結果である。 AZ31材の組織観察結果を示す。図9(a)は、AZ31スタート材の光学顕微鏡観察結果であり、図9(b)は比較例5−3サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図9(c)は比較例4−3の光学顕微鏡観察結果である。 ZK60材のSEMによる組織観察結果を示す。図10(a)は実施例2−1サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルのSEM観察結果であり、図10(b)は比較例3サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルのSEM観察結果であり、図10(c)は図10(a)の黒枠部を拡大したSEM観察結果を示す。 引張り試験に用いた試験片の形状および寸法を示す。 引張り試験結果を示すグラフであり、図12(a)は0.2%耐力を示し、図12(b)が伸びを示す。 成形試験機の概略図である。 成形試験後のサンプル評価結果を例示する写真であり、図14(a)は、評価結果が「×」であった、試験片の保持温度を100℃とした成形試験後の実施例2−1サンプルを示し、図14(b)は、評価結果が「△」であった、試験片の保持温度を150℃とした成形試験後の比較例3サンプルを示し、図14(c)は、評価結果が「○」であった、試験片の保持温度を125℃とした成形試験後の実施例2−1サンプルを示す。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
本願発明者は、詳細を後述するように、析出強化型マグネシウム合金を440℃以上の温度で総圧下率50%以上の異周速圧延を行うことにより、六方最密充填構造を有する得られた圧延材のc軸(<0001>軸)の配向を示す、極密度分布曲線のピークが、0°から10°以上シフトし(すなわち、ピークの位置が10°以上または−10°以下であり)、好ましくは、0°から15°以上シフトする(すなわち、ピークの位置が15°以上または−15°以下である)ことを見出した。
このことは、c軸の配向が圧延面の法線方向から圧延方向または圧延逆方向に10°以上、好ましくは15°以上傾いていることを意味する。
そして、本願発明に係る析出強化型マグネシウム合金おいては、極密度分布曲線のピークが、0°から10°以上シフトした(すなわち、ピークの位置が10°以上または−10°以下である)状態は、溶体化処理および時効処理を行っても維持される。
従って、異周速圧延を行った後、溶体化処理を行うことにより、より優れた成形性を実現できる。そして、所望の形状に加工を行った後に時効処理を行うことにより、析出物を析出させ、材料強度を十分に高くすることができる。上述のように、極密度分布曲線のピークが、0°から10°以上シフトしている本願発明のマグネシウム合金圧延材は、時効処理により十分に高い強度に到達しかつ必要な延性(および靱性)を確保することができる。
すなわち、本願発明に係るマグネシウム合金圧延材は、十分な強度と十分な成形性とを両立することができる。
以下に本願発明の詳細を説明するが、最初に本発明を理解するのに不可欠な極密度分布曲線について説明する。
1.極密度分布曲線
極密度分布曲線の求め方を説明する。
まず、X線回折による、集合組織等の結晶配向の評価法として最も一般的なSchulzの反射法を用いて(0002)面の極点図を求める。
反射強度分布の概要が明確に把握できるように、極点図の測定の際のα角は、極点図の外周円から15°〜90°の範囲とするのが望ましい。また測定はα角、β角とも例えば5°毎のように3〜10°毎に行うのが好ましい。10°より大きいと測定精度が低下する恐れがあり、3°より小さいと測定時間を必要以上に要するからである。
図2は、詳細を後述する実施例1−1サンプルの極点図であり、図3は、詳細を後述する比較例1−1サンプルの極点図である。
これらは圧延材の極点図として一般的なステレオ投影の表示方法を用いている。図中に示すように、円形のステレオ投影面の最上部がRD(圧延方向)を示し、最下部が−RD(圧延逆方向)示す。図中に記載していないが、ND(圧延面法線方向)は投影面の中心となる。そして図中に等高線状に現れているのが様々なα角とβ角に対応する方向で観測されたX線の(0002)面の極密度であり、該当する位置での(0002)回折強度を無配向の粉末試料の(0002)回折強度で除した値である。従って、極密度1の値はランダム方位の極密度を示す。
なお、本明細書において、RDと−RDは、圧延の入口側を−RD(圧延逆方向)、圧延の出口側をRD(圧延方向)としている。また、異周速圧延を行ったサンプルについては周速の早いロール側の圧延面と周速が遅いロール側の圧延面ではせん断応力の向きが反対になるため、互いの面から得た極点図は、裏返して上下を入れ替えた関係となる。そこで、本明細書においては周速の速いロール側の圧延面(これを研磨した面)から極点図を得るものとする。
ただし、喩え間違ってあるいはどちらか判らずに周速の遅いロール側の圧延面から極点図を得たとしても、上述の対応関係にあることから、これから説明する極密度分布曲線を得てその特性値であるピークのシフト量(中心値である0°からのずれ)については同等の結果を得ることができる。
次に得られた極点図から極密度分布曲線を得る。極密度分布曲線の測定結果を例示する。図4に示す実施例1−1サンプルの極密度分布曲線は上述の図2に示す極点図のデータを用いて得たものであり、図4中の比較例1−1サンプルの極密度分布曲線は上述の図3に示す極点図のデータを用いて得たものである。
極密度分布曲線を示すグラフの横軸は、ND(圧延面の法線)からの傾斜角であり、極点図(ステレオ面)において、−RDからND(ステレオ面の中心)を経てRDに至る直線上の位置に対応している。そして、傾斜角は−RD側を負で表し、RD側を正で示す。
一方、極密度分布曲線を示すグラフの縦軸は、極点図の該当する位置の極密度である。
このようにして求めた極密度分布は、圧延材の幅方向に垂直であり、かつNDに対する傾斜角がθであるc軸の極密度を示している。
極密度分布曲線は、その全体像を明確にするために、極点図測定範囲の−75°〜+75°(すなわち、ND方向からRD方向に±75°)を表示することが好ましい。そして、これは上述の極点図の測定においてα角を15°〜90°とすることで実現できる。
底面集合組織が発達すると傾斜角が0°の付近に極密度の鋭いピークが観察される。一方、底面集合組織機が減少すると、その減少の形態に応じて、傾斜角が0°から離れた位置へのピークのシフト、ピークのブロードニングおよび/またはダブルピークの出現等が起こる。
従って、極密度分布曲線を得ることにより、底面集合組織の多少等を定量的に把握することが可能となる。
2.異周速圧延
以下に本発明の異周速圧延について、説明する
図1は、異周速圧延を説明する模式断面図である。ロール1とロール2とからなる一組の圧延ロールが配置され、その間をマグネシウム合金材3が通過し圧延される。図1に示す実施形態では、ロール1の直径をロール2の直径よりも大きくし、ロール1とロール2とを同じ回転速度(角速度)で回転させることにより、ロール1の周速をロール2の周速より速くしている。ロール1および2はそれぞれ、図中に白抜き矢印で示す方向に回転する。
ロール1の周速をロール2の周速より速くする方法は、もちろんこれに限定されるものでなく、例えばロール1とロール2を同じ直径にしてロール1の回転速度を高くする等の従来から知られている任意の方法を用いることができる。
異周速圧延を行うことにより圧延材にせん断応力を作用させることができる。より詳細には周速の速いロール1側では図中に黒矢印で示したマグネシウム合金材3の圧延方向(RD)、すなわち図1の右方向にせん断応力を受ける。一方、周速の遅いロール2側では、圧延方向と180°反対方向の圧延逆方向(−RD)、すなわち図1の左方向にせん断応力を受ける。
マグネシウム合金材3中の縦線はこのせん断応力による圧延材への影響を模式的に示すものである。異周速圧延の前にマグネシウム合金材に仮想的に引いた垂直な縦線は、異周速圧延により上述のようにせん断応力が付加されることにより、ロール1側がRD方向にロール2側が−RD方向にシフトした斜めの線となる。
本発明に係る異周速圧延では、圧延温度440℃以上、かつ総圧下率を50%以上とすることを特徴とする。これにより、c軸の極密度分布曲線において、極密度のピークを0°から確実に10°以上シフトさせることが可能となる。
好ましくは、圧延温度は470℃以上である。これにより、より高い強度でより優れた成形性を得ることができる。
また、圧延温度は好ましくは550℃以下である。圧延温度は550℃を超えると固相線を超え、部分溶融する場合があるからである。
なお、加工中の材料の温度、とりわけ圧延中のマグネシウム合金材の温度を測定することは実際上極めて困難なことから、本明細書でいう圧延温度とは、圧延工程において圧延加工直前に加熱し、引き続いて(意図的に遅延させることなく)圧延を行う際の前記加熱時の材料の加熱温度(または到達温度)を意味する。
また、異周速圧延の総圧下率とは、異周速圧延を1パスのみ行った場合は、その1パスの圧下率を意味し、異周速圧延を複数パス行った場合は、複数パス全体の圧下率(すなわち、当該複数パスの異周速圧延を行う前の板厚と当該複数パスの異周速圧延を行った後の板厚から求める圧下率)である。圧延加工性と導入されるせん断ひずみ量を考慮すると、好ましくは、1パスあたりの圧下率を5〜30%として、複数パスにより50%以上の総圧下率を確保するのが好ましい。
このような複数パスの圧延は、1パス圧延する毎に再度所定の圧延温度まで加熱して次のパスを行ってもよい。また所定の圧延温度まで加熱したのち複数パスの連続圧延を行ってもよい。
さらに、等周速圧延と異周速圧延とを連続圧延により実施してもよい。この場合、異周速圧延の総圧下率とは異周速圧延による板厚の変化から求める圧下率を意味する。
また、異周速圧延を行う材料は、鋳造スラブ、通常の圧延材(等周速圧延材)、ダイカスト等の押し出し材等の各種の材料を用いることができる。歪みを除去するために、異周速圧延を行う前に例えば300℃〜450℃の範囲の温度で10分間以上保持するアニーリングを適宜行ってよい。
なお、例えばAZ31合金のような固溶強化型のマグネシウム合金材を440℃以上の圧延温度でかつ総圧下率50%以上の圧延条件で異周速圧延を行っても多くの場合、得られた圧延材の極密度分布曲線のピークのシフトは10°未満である。これはダブルピークの場合に片方のピークが10°未満であることを述べたものであり、もう一方のピークの位置を限定するものではない。
本願発明に係る析出硬化型マグネシウム合金を圧延温度440℃以上、かつ総圧下率を50%以上で異周速圧延することにより、得られた圧延材の極密度分布曲線のピークが、10°以上シフトする理由、およびこのように0°から10°以上シフトしたピークを有する本願発明に係る圧延材が溶体化後に優れた成形性を有し、かつ時効処理後に十分な強度を有する理由については、まだ不明な点も多いが、発明者の考えるメカニズムは以下の通りである。しかし、この予想されるメカニズムは、本発明の技術的範囲を制限することを意図したものではない。
AZ31のような固溶強化型マグネシウム合金の場合、440℃以上のような高温で異周速圧延すると、喩え、圧延の総圧下率が低くても得られた圧延材の極密度分布曲線のピークが第1ピーク(メインピーク)と第2ピーク(サブピーク。通常、メインピークより高さの低いピーク)の2つのピークが現れる。そして、第2のピークは10°以上シフトすることが多い(例えば、詳細を後述する図7の比較例4−3等)がしかし、メインピークは通常10°以上シフトすることはない。
第2ピークが10°以上シフトするのは、異周速圧延中に方位変化の大きな双晶変形が起こりやすいためと考えられる。そして、この双晶変形は低い総圧下率で起こるために、元の底面集合組織(第1ピーク)から容易に第2ピークを形成する。
従ってc軸が傾くが、メインピークが10°以上シフトするということはない。
これに対してZK60合金等の析出強化型マグネシウム合金の場合、高温で異周速圧延を行っても双晶変形は起こりにくい(従って、得られた圧延材の極密度分布曲線のピークが2つに分離することもない)。この結果、底面すべりに加えて底面すべり以外のすべり系、特にc+aすべりが活動するために、圧下率の増加とともに徐々にc軸が傾くと考えられる。そして、総圧下率を50%以上とすることで、ピークが10°以上シフトすると思われる。
hcp構造を有するマグネシウム合金は、通常、溶体化処理中に生じる再結晶によっても、c軸の傾きがそれほど変化しないため、異周速圧延により、ピークが大きくシフトした(c軸が大きく傾いた)集合組織を有する本願発明に係る圧延材は、溶体化後のプレス成形の際でも底面すべりが活動しやすく、その結果として優れた成形性を有すると考えられる。
また、後述する実施例で詳細を示すように、圧延温度440℃以上で異周速圧延を行った本願発明に係る圧延材は、圧延温度300℃程度の通常の等周速圧延を行った圧延材と比べて溶体化処理と時効処理を行った後の材料強度が高くなっている。
これは、圧延温度が高いために圧延中の析出が起こりにくく、圧延後には添加元素をより多く固溶した状態となり、この状態が溶体化処理を行っても維持されるため、溶体化処理後でも添加元素の固溶量が多く、その後の時効処理によって析出する微細析出物の量が多くなるためと考えられる。
以上のような理由で、本願発明においては、析出強化型マグネシウム合金を440℃以上で異周速圧延することで、溶体化状態で成形性に優れ、かつ時効状態で高い強度を有するマグネシウム合金板材が得られると考えられる。
異周速圧延の周速比(1組のロールのうち遅い方の周速を1としたときの速い方の周速の比)は、好ましくは1.4〜2.0である。周速が1.4以上だと圧延時により大きなせん断応力が発生するため、より容易にc軸を圧延方向または圧延方向と反対側に傾斜させる(すなわち、極密度分布曲線のピークがより容易に0°からシフトする)ことができるからである。一方、周速比が2.0を超えると、材料とロールの間の滑りが生じやすくなり安定した圧延を行うことが難しくなるとともに、材料の表面性状が著しく悪くなる場合があるからである。
また、圧延後の冷却は、空冷であってもよく、また水冷等の急速冷却を行ってもよい。好ましくは、急速冷却を行う。室温に冷却されるまでの間に析出物が析出するのを抑制できるからである。
3.溶体化処理
上述の異周速圧延を行った、析出強化型マグネシウム合金の圧延材は、続いて溶体化処理を行うことが好ましい。溶体化処理は、圧延工程までに析出した析出物をマトリクスに固溶させることを主な目的として実施する。
溶体化処理は、好ましくは、380℃〜520℃の間の温度で実施する。溶体化温度が380℃より低いと、析出物がマトリクスに十分に固溶せず析出物が多く残存する場合があり、520℃を越えると結晶粒が粗大化する場合があるからである。
また、溶体化の保持時間(所定の溶体化温度に到達後保持する時間)は、好ましくは1時間〜48時間である。これは、溶質原子を十分に固溶させるために、溶質原子の拡散速度を考慮して溶体化温度に応じて、拡散のための時間が必要であるからである。また、後の成形のために、溶体化処理後の組織が等軸粒の再結晶組織であることが好ましい。
溶体化処理後は、例えば水中に焼き入れる等により急冷することが好ましい。冷却中に析出物が析出するのを防止できるからである。
上述のように、溶体化処理を行っても、上述の異周速圧延により得られた、極密度分布曲線のピーク位置が0°より10°以上シフトしている(すなわち、ピークの位置が10°以上であるか、または−10°以下である)状態が維持される。
すなわち、溶体化後の状態は、析出物が少なく、かつ底面集合組織が低減した状態であることから、溶体化を行わない場合と比べ、成形性により優れている。
4.成形
上述の異周速圧延を行った後(好ましくは、更に上述の溶体化処理を行った後)に、所望の形状に成形する。
成形は、任意の成形方法(または塑性変形方法)を用いてよい。このような成形方法として、プレス成形(絞り成形、曲げ成形および張り出し成形を含む)を例示できる。
成形は、割れが生じなければ冷間で行ってもよいし、温間または熱間で行ってもよい。
5.時効処理
上述の成形を行った後、時効処理を行って析出物を析出させることにより、材料強度を増加させる。
時効処理は、後述する合金組成によるが、好ましくは120℃〜250℃の間の温度(時効温度)、より好ましくは150℃〜210℃の間の温度で行う。時効温度が低すぎると十分な量の析出物を得ることができない場合があり、時効温度が高過ぎると析出物が粗大化しやすく高い強度が得られない場合があるからである。
また、上述の時効温度で保持する保持時間は、好ましくは24時間〜200時間であり、より好ましくは48時間〜150時間である。時効時間が短いと十分な量の析出物を得ることができない場合があり、時効時間が長いと析出物が粗大化し高い強度が得られない場合があるからである。
時効処理により析出する析出物は、合金組成に依ることから、合金組成の項目で詳述する。
なお、本願発明では、上述の異周速圧延を行うことにより、極密度のピークが10°以上または−10°以下にあることを特徴とするマグネシウム合金圧延材を得ている。
そして、極密度のピークが10°以上または−10°以下にある状態は、溶体化処理後、すなわち成形前まで維持されている。さらに、溶体化処理後に成形を行わなければ、この状態は時効処理後も維持される。
従って、本願発明に係るマグネシウム合金圧延材とは、異周速圧延を行った直後の圧延材はもとより、溶体化処理された圧延材、成形された圧延材および時効処理された圧延材を含む概念である。
6.合金組成
以上に説明した本発明にかかるマグネシウム合金圧延材に用いる析出強化型マグネシウム合金は、マグネシウム(Mg)を主成分とし(すなわち、マグネシウムを50質量%以上含有し)、3.0〜10.0質量%の亜鉛(Zn)と、0.3〜3.0質量%のジルコニウム(Zr)とを含むマグネシウム合金である。
本発明にかかるマグネシウム合金圧延材に用いるマグネシウム合金は、このような組成を有し、かつ結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であることを特徴とする。
そして、このような組成と結晶構造を有するマグネシウム合金に上述の異周速圧延を行うことで、圧延面法線方向から圧延方向への傾斜角がプラスマイナス75°の範囲で測定した、c軸の極密度分布曲線において、極密度のピークが10°以上または−10°以下とすることができる。
亜鉛は、強度、耐食性、鋳造性の向上という効果を有し、3.0質量%より少ないとこれらの効果がない場合があり、10.0質量%より多いとMg−Zn系金属間化合物が多量に存在する場合がある。
上記の効果をより確実に得るために、より好ましくは、亜鉛の量は4.0〜7.0質量%であり、更により好ましくは4.8〜6.2質量%である。
なお、本項目「6.合金組成」に示した組成は材料全体の平均組成であって、局所的な組成を意味するものではない。
ジルコニウムは、結晶粒微細化と熱間加工性向上という効果を有し、0.3質量%より少ないとこれらの効果が十分でない場合があり、3.0質量%より多いとZn−Zr系金属間化合物やZr固溶体が過多となる場合がある。なお、上記の効果をより確実に得るために、より好ましくは、ジルコニウムの量は0.4〜2.0質量%であり、更により好ましくは0.5〜1.5質量%である。
なお、このような組成を有する本願発明に係るマグネシウム合金に時効処理を行った場合の析出物として、例えば、MgZn(β’相)およびZnZrを例示できる。
また、このような組成を有するマグネシウム合金として、例えば、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、残部がマグネシウムおよび合計で1.0質量%以下のその他の元素(例えば、不純物)よりなるマグネシウム合金を挙げることができる。
しかし、本願発明に用いるマグネシウム合金は、此に限定されるものではない。50質量%以上のマグネシウム(Mg)と、3.0〜10.0質量%の亜鉛(Zn)と、0.3〜3.0質量%のジルコニウム(Zr)を含有し、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であれば、他の任意の元素を更に含んでいても、異周速圧延により極密度のピークが10°以上または−10°以下とすることで、優れた成形性と高い強度とを両立し得る。
このような他の任意の元素および当該元素の効果的な添加量として、以下を例示できる。
・Ca
Caは、防燃性の効果を有する。この効果は、添加量を0.1質量%〜1.5質量%とすることで確実に得ることができる。
また、本願発明に係るマグネシウム合金の各種の特性の改善のためにCa以外の任意の元素を含んでよい。
1.実施例1
・スタート材
表1は、以下に詳述する実施例および比較例サンプルを得るのに用いた2つの合金、ZK60A(以下、「ZK60」という)およびAZ31B(以下、「AZ31」という)のスタート材の組成を示す。
スタート材として、厚さ3mmの市販の圧延材(等周速圧延材)を用いた。
Figure 2014043601
・圧延
上記のスタート材を用いて圧延材を行った。それぞれのサンプルの圧延条件を表2に示す。
異周速圧延は、図1に示す圧延ロールを用いて行った。ロール1の直径は144mmであり、ロール2の直径は96mmである。ロール1とロール2とを回転させることにより周速比1.5の異周速圧延を行った。
1パスの圧下率は約10%であり、複数パスの異周速圧延を行い表2に示す総圧下率(トータル圧下率)を得た。
等周速圧延は、1組の直径150mmのロールを用いて行った。1パスの圧下率は約10%であり、複数パスの等周速圧延を行い表2に示す70%の総圧下率を得た。
Figure 2014043601
・熱処理
合金種別がZK60であるサンプル(実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1、比較例1−2、実施例2−1、実施例2−2、比較例2−1、比較例2−2および比較例3)は、400℃で24時間の溶体化処理を行った後、180℃で96時間の時効処理を行った。
一方、合金種別がAZ31であるサンプル(比較例4−1〜4−3、比較例5−1〜5−4おおび比較例6)は、300℃で30分間の焼鈍(アニーリング)を行った。
・極密度分布曲線の測定
スタート材および圧延後のサンプルについて、以下に示す方法により極密度分布曲線も求めた。
まず、それぞれのサンプルの(0001)極点図をSchulzの反射法により求めた。それぞれのサンプルから25mm×25mmの試料を切り出し、この試料を耐水エメリー紙で板厚を半分程度まで削った後に#2000で仕上げ研磨した試料を用いて測定した。異周速圧延を行ったサンプルについては、周速の速いロール側の面を削って研磨し測定面とした。
α=15°〜90°の範囲で極点図を作成した。回折角度は理論角付近をスキャンさせ、半値幅中点法により求めた角度を使用した。バックグラウンドの測定角度は回折角度±2°を基本とするが、他の回折線と部分的に重なるために(10−10)の回折角度−2°、(10−11)の回折角度+2°とした。得られた回折強度にバックグランド補正、および純Mg粉末を用いたランダム試料による強度補正を行い、極点図を得た。測定に関する諸条件を表3に示す。
Figure 2014043601
得られた(0001)極点図をもとに、−RDからNDを経てRDに至る、傾斜角±75°の範囲の極密度分布曲線を作成した。
図2および3に測定した極点図を例示する。図2は実施例1−1サンプルの極点図であり、図3は比較例1−1サンプルの極点図である。
図4〜図7に極密度分布曲線を例示する。図4はZK60のスタート材、実施例1−1サンプルおよび比較例1−1サンプルの極密度分布曲線を示す。図5はZK60のスタート材、実施例2−1サンプルおよび比較例2−1サンプルの極密度分布曲線を示す。図6はAZ31のスタート材、比較例5−1サンプルおよび比較例5−3サンプルの極密度分布曲線を示す。図7はAZ31のスタート材、比較例4−1サンプルおよび比較例4−3サンプルの極密度分布曲線を示す。
このようにそれぞれのサンプルの極密度曲線を求め、そのピークの位置を表4に示す。なお、図7の比較例4−1のように、ピークが2つ認められる場合は、高さの高い方のピークの位置を当該サンプルのピーク位置とした。
Figure 2014043601
表4から判るように、実施例サンプルはいずれも、極密度のピークが10°以上または−10°以下にあり、ピークのシフト量(0°からのずれ)が10°以上となっている。これに対して、スタート材および比較例サンプルはいずれも、極密度のピークが−5°〜7.5°の間にあり、ピークのシフト量が10°未満となっている。
・金属組織観察
図8は、ZK60材の組織観察結果を示す。図8(a)はZK60スタート材の光学顕微鏡観察結果であり、図8(b)は実施例1−1サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図8(c)は実施例2−1サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図8(d)は実施例2−1サンプルのSEM観察結果である。
図9は、AZ31材の組織観察結果を示す。図9(a)はAZ31スタート材の光学顕微鏡観察結果であり、図9(b)は比較例5−3サンプルの光学顕微鏡観察結果であり、図9(c)は比較例4−3の光学顕微鏡観察結果である。
図10は、ZK60材のSEMによる組織観察結果を示す。図10(a)は実施例2−1サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルのSEM観察結果であり、図10(b)は比較例3サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルのSEM観察結果であり、図10(c)は図10(a)の黒枠部を拡大したSEM観察結果を示す。
図8〜図10の何れにおいても、写真の左から右に向かう方向が圧延方向(RD)であり、下から上に向かう方向が圧延面法線方向(ND)である。
図8および図9からAZ31の比較例サンプルには多くの双晶が観察されるのに対して、ZK60の実施例サンプルでは双晶はあまり観察されないことがわかる。
また、図10より、実施例2−1サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルおよび比較例3サンプルに溶体化処理と時効処理を施したサンプルのどちらにもZnZr相が多く析出しているのが認められる。一方、実施例2−1には、図10(c)に矢印で示すように細い棒状析出物MgZn(β1’相)が多く認められるが比較例3ではMgZnはほとんど認められなかった。
・引張り試験
実施例2−1、比較例3、比較例4−3および比較例6のサンプルについて、溶体化処理と時効処理を施した後に引張り試験を実施した。
図11は、引張り試験に用いた試験片の形状および寸法を示す。ワイヤ放電加工機(EDM)を用いてそれぞれのサンプルから切り出した。
引張り試験片はその長手方向(引張り方向)が圧延方向(RD方向)、RD方向から45°方向、圧延幅方向(TD方向)となるよう3方向のサンプルを切り出し、放電加工層の影響を取り除くために、耐水エメリー紙#2000で研磨した。
引張り試験の初期ひずみ速度は1.67×10−3−1とし、室温大気中にてそれぞれの方向について試験した。試験は、それぞれの方向について、3本以上行い、この結果から、0.2%耐力の最大値、最小値および平均値と伸びの最大値、最小値および平均値とを求めた。
図12は引張り試験結果を示すグラフであり、図12(a)は0.2%耐力を示し、図12(b)は伸びを示す。
図12から判るように、0.2%耐力については、何れの方向においても実施例2−1が、比較例3、比較例4−3および比較例6のいずれよりも高い値(すなわち、高強度)となっている。
伸び値については、実施例2−1が最も低くなっているが、それでも概ね10%程度の伸びを示していることから、いずれのサンプルも実用上問題のない延性を有することが判る。
・成形試験
厚さ0.9mmの同じ厚さを有する実施例2−1、比較例3および比較例6について、成形試験を実施した。
なお、実施例2−1については、成形性の優れた状態(すなわち、成形加工を行うことを意図した状態)である、溶体化処理後で時効処理を行っていないサンプルを用いた。
図13は成形試験機の概略図である。
ダイス肩半径が4.0mmで中心部に直径17mmの空間を有するダイ12と、中心に直径17mmの空間を有するホルダー14の間に試験片(ブランク)10を配置し、ヒーター16により試験片を100℃から200℃の所定温度に保持した後、ポンチ径15mmのポンチ18を上方から下方に10mm/分(すなわち、成形速度10mm/分)で押し込んだ。
ポンチ18のポンチ肩半径は2.0mmであった。また、試験片10は直径25mm(従って絞り比は1.67一定)、厚さ0.9mmであり、実施例2−1、比較例3および比較例6のサンプルより切り出して作製した。実施例2−1のサンプルについては、絞り成形により生ずるカップの外側が異周速圧延の周速の速い側となるように試験片10を配置した。
また、成形試験時に潤滑剤として二硫化モリブデンを用いた。
表5は成形試験結果を示す。表5は、絞り比1.67で問題なく成形できたサンプルを「○」で示し、成形はできたもののクラックが認められたサンプルを「△」で示し、成形中に破壊したサンプルを「×」で示す。
図14は成形試験後のサンプル評価結果を例示する写真であり、図14(a)は、評価結果が「×」であった、試験片の保持温度を100℃とした成形試験後の実施例2−1サンプルを示し、図14(b)は、評価結果が「△」であった、試験片の保持温度を150℃とした成形試験後の比較例3サンプルを示し、図14(c)は、評価結果が「○」であった、試験片の保持温度を125℃とした成形試験後の実施例2−1サンプルを示す。
Figure 2014043601
○:良好 △:クラックあり ×:破断
比較例3が150℃で既に成形できないサンプルが生じ、また比較例6が150℃でクラックを生じ、125℃では既に成形できなかったのに対し、実施例2−1は温度が125℃でも成形することができた。
従って、実施例2−1は、比較例3および比較例6と比べ、顕著に優れた成形性を示した。
1 高周速圧延ロール、2 低周速圧延ロール、3 マグネシウム合金材、10 試験片(ブランク)、12 ダイ、14 ホルダー、16 ヒーター、18 ポンチ

Claims (7)

  1. 50質量%以上のマグネシウムと、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム合金圧延材であって、
    圧延面法線方向から圧延方向への傾斜角がプラスマイナス75°の範囲で測定した、六方最密充填構造のc軸の極密度分布曲線において、極密度のピークが10°以上または
    −10°以下にあることを特徴とするマグネシウム合金圧延材。
  2. 前記極密度のピークが15°以上または−15°以下にあることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金圧延材。
  3. カルシウムを0.1質量%〜1.5質量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金圧延材。
  4. 50質量%以上のマグネシウムと、3.0〜10.0質量%の亜鉛と、0.3〜3.0質量%のジルコニウムとを含み、結晶構造が六方最密充填構造(hcp)であるマグネシウム部材を準備する工程と、
    前記マグネシウム合金部材に、圧延温度440℃以上、総圧下率50%以上で異周速圧延を行う工程と、
    を含むことを特徴とする、マグネシウム合金圧延材の製造方法。
  5. 前記異周速圧延を行った後、380℃〜520℃の間の温度で溶体化処理を行う工程と、
    該溶体化処理を行った後、120℃〜250℃の間の温度で時効処理を行う工程と、
    を更に含むことを特徴とする請求項4に記載のマグネシウム合金圧延材の製造方法。
  6. 前記溶体化処理と前記時効処理との間にプレス成形を行う工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のマグネシウム合金圧延材の製造方法。
  7. 前記マグネシウム部材が、更に、カルシウムを0.1質量%〜1.5質量%含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のマグネシウム合金圧延材。
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