JP2014043371A - Mse型ゼオライト及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Si/Al比が9未満でありうるMSE型ゼオライトであって、従来のMCM−68の27Al MAS NMR測定による骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト54ppm付近)とは異なる骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト59ppm付近)を有するMSE型ゼオライトを提供する。
【解決手段】FAU型ゼオライトを原料としてゼオライト転換法(ゼオライト,Vol.27,No.3,74-80(2010)等)を利用することにより、Si/Al比が9未満のMSE型ゼオライトを合成する。得られたMSE型ゼオライトの27Al MAS NMRでは、従来のMCM−68の骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト54ppm付近)とこれとは異なる骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト59ppm付近)が観測される。本願のMSE型ゼオライトは、従来には無い活性点を有するため、新規な用途への応用が期待される。
【選択図】なし

Description

この発明は、MSE型ゼオライト及びその製法に関し、より詳細には、新規な活性点を有するMSE型ゼオライト及びその製法に関する。
MSE型ゼオライトであるアルミノシリケートMCM−68は2000年にMobil社により合成された比較的新しいゼオライトである。このゼオライトは、大細孔(12員環細孔)や中細孔(10員環細孔)が三次元的に交わった構造をもつ。このタイプのゼオライトは一般に広い表面積と大きな内部空間を持つので、石油精製や石油化学プロセスにおける触媒として有用であり、比較的嵩高い有機分子を基質とする触媒として有用と期待されている。MCM−68は比較的Al含有量、つまり活性点が多く、さらに安定なため、酸触媒として検討され、中でも、炭化水素の吸着能力が高いため、それが関与する反応、例えば芳香族炭化水素のアルキル化やアルキル芳香族炭化水素のトランスアルキル化、異性化、不均化、脱アルキル化などにおいて高い活性を示すため、炭化水素プロセシング触媒の基盤材料として期待されている。
MCM−68中のアルミニウムサイトは酸性発現の原因となる固体酸点(即ち、活性点)であり、Si/Al比が小さいほどイオン交換容量が大きい(即ち、イオン交換活性が高い)ことが知られている(非特許文献1、2)。
一方、結晶構造の分解が容易に進行するプロトン型のFAU型ゼオライトを原料(シリカアルミナ源)として用い、更に所望の型のゼオライトを種結晶として用いて水熱反応を行うことにより、所望の型のゼオライトを合成することが行われている(特許文献1、2、非特許文献3)。
特開2011-184277 特開2012-116723
冨永博夫「ゼオライトの化学と応用」講談社 1987/03 Angew. Chem. Int. Ed., 47, 1042-1046 (2008) ゼオライト, Vol. 27, No.3, 74-80 (2010)
本願発明は、Si/Al比が9未満でありうるMSE型ゼオライトであって、従来のMCM−68の27Al MAS NMR測定による骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト54ppm付近)とは異なる骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト59ppm付近)を有するMSE型ゼオライト及びその製法を提供する。
従来のアルミノシリケートMCM−68のSi/Al比は9〜12であり、Si/Al比が9未満(即ち、Al含有量が多く、活性点が多い)のものは様々な用途の触媒として期待されるが、Si/Al比が9未満のMCM−68を合成することは、通常の製法では困難であった(非特許文献2)。そのため、当初、発明者らは、Si/Al比が、従来のアルミノシリケートMCM−68のSi/Al比よりも低い、特にSi/Al比が9未満のMSE型ゼオライトを提供することを目的として、原料(シリカアルミナ源)としてFAU型ゼオライトを用いて所望の型のゼオライトに転換する方法(特許文献1、2、非特許文献3)を利用して、Si/Al比が9未満のMSE型ゼオライトを合成することができた。更に、得られたMSE型ゼオライトの27Al MAS NMRを測定したところ、驚くべきことに、従来のMCM−68の骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト54ppm付近)とこれとは異なる骨格内Alに帰属されるピーク(化学シフト59ppm付近)が観測された(後述の実施例1)。このことは、本願のMSE型ゼオライト中の骨格内Alが、従来の配置に加えて、従来なかった位置にも配置されていることを示している。
即ち、本発明は、27Al−MASNMRスペクトルにおいて、下記(1)又は(2)の化学シフトに存在する2つのピークを有するMSE型ゼオライトである。
(1)化学シフト54.5±1ppm及び59.1±1ppmに存在する2つのピーク
(2)化学シフト54.5±5ppmに存在するアルミノシリケートMCM−68のピーク及びこのピークよりも4〜5ppm高い化学シフトに存在するピーク
本願のMSE型ゼオライトは、従来のMCM−68よりも小さいSi/Al比を持つことができる。Si/Al比が小さいほどイオン交換容量が大きいことから(非特許文献1)、本願のMSE型ゼオライトは、従来よりも酸点の量を多くすることができる。
更に、本願のMSE型ゼオライト中のAlは、従来の配置に加えて、従来無かった位置にも配置されている。このことは、本願のMSE型ゼオライトが、従来には無い活性点を有することを示しており、新規な活性を有している可能性があり、用途の拡大が期待される。
実施例1で得たMSE型ゼオライトの粉末X線回折スペクトル図である。(a)は製造例1で合成したMCM-68(製造したまま)、(b)は実施例1で合成したMSE型ゼオライト(製造したまま)、(c)は実施例1で合成したMSE型ゼオライト(焼成後)のものを示す。 実施例1で得たMSE型ゼオライトのSEM写真である。(1)は実施例1で合成したMSE型ゼオライト(焼成後)、(2)は製造例1で合成したMCM-68(焼成後)のものを示す。 実施例1で得たMSE型ゼオライトの27Al MAS NMRスペクトルである。(1)は実施例1で合成したMSE型ゼオライト(焼成後)、(2)は製造例1で合成したMCM-68(焼成後)のものを示す。 実施例1で得たMSE型ゼオライトの29Si MAS NMRスペクトルである。(1)は実施例1で合成したMSE型ゼオライト(焼成後)、(2)は製造例1で合成したMCM-68(焼成後)のものを示す。 実施例2で原料であるFAU型ゼオライトのSi/Al比を変化させて(Si/Al比=2.9, 5.2, 6.7及び14.5)得られたMSE型ゼオライトの粉末X線回折図である。 実施例3でH2O/SiO2比を変化させて(H2O/SiO2=5, 10, 20, 30及び40)得られたMSE型ゼオライトの粉末X線回折図である。図中の星印(*)はLTL型のゼオライトに由来するピークを示す。
MSE型ゼオライトは、International Zeolite Association Structure Commission (IZA-SC)によりMSEの骨格タイプコードが与えられたアルミノシリケートであり、12員環及び10員環のチャンネルが三次元的に交わった構造を持ち、表1に示す原子座標で一義的に決まる骨格トポロジーを持つ。c軸方向にまっすぐな12員環チャンネル(直径0.67 nm)、a軸及びb軸方向に2つのうねった10員環チャンネル(直径0.50-0.55 nm)が存在する。また、10員環を通ることによってのみアクセス可能な空洞(ケージ)(0.65x1.73 nm)を有する(J. Phys. Chem. B, 2006, 110, 2045-2050)。
注)空間群 P42/mnm (International Union of Crystallography (IUCr)の定めるNo. 136の空間群)格子定数 a (=b) = 18.286(1) Å, c = 20.208(2) Å
典型的MSE型ゼオライトであるMCM−68は、以下の組成式で表される。
AlSi112−n224
(式中、nは8〜12を表す。)
Si/Alは9〜13である。
一方、本願のMSE型ゼオライト(以下「AlリッチMSE型ゼオライト」ともいう。)は、以下の組成式で表される。
AlSi112−n224
(式中、nは8〜16を表す。)
Si/Alは6〜13である。特に、従来のMCM−68と比較すると、Si/Alが9未満でありうることに特徴があるといえる。
本願のMSE型ゼオライト及びMCM−68のいずれも上記の基本骨格を有しており、IZA-SCにより定義されるMSE型ゼオライトに含まれる。これらMSE型ゼオライトのX線回折データは以下の値を含む。
2θ=6.56±0.10、6.88±0.10、8.16±0.10、8.80±0.10、9.70±0.10、19.50±0.10、21.76±0.10、22.56±0.10、23.10±0.10
本願のMSE型ゼオライト(焼成後)は、27Al−MASNMRスペクトルにおいて、下記(1)又は(2)の化学シフトに存在する2つのピークを有する。これらのピーク位置は焼成前後で若干変化するもののほぼ同等である(実施例1)が、本願において当該ピーク位置は焼成後のものとする。測定誤差等を見込んで、下記のように幅を設けた。
(1)化学シフト54.5±1ppm及び59.1±1ppmに存在する2つのピーク
(2)化学シフト54.5±5ppmに存在するアルミノシリケートMCM−68のピーク及びこのピークよりも4〜5ppm高い化学シフトに存在するピーク
この2つのピークはいずれも骨格内Alに帰属されるピークであり、一方(化学シフト54ppm付近)のピークは、従来のMCM−68でも観測されるピークである。もう一方(化学シフト59ppm付近)のピークは、従来のMCM−68では観測されていないピークである。
27Al MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)スペクトルは、以下の方法により測定する。
試料管に試料を詰め、プローブ内に導入する。1Hの共鳴周波数600.130 MHzに対応する27Alの共鳴周波数156.388 MHzに応じたチューニングを行うとともに、試料管を外部磁場に対して54.73°(マジック角)傾け、3〜15 kHzで高速回転させる。ラジオ波のパルスを照射し、得られたFID(自由誘導減衰)信号をフーリエ変換してNMRスペクトルを得る。
29Si MAS NMRの場合、1Hの共鳴周波数600.130 MHzに対応する29Siの共鳴周波数119.228 MHzに応じたチューニングを行う以外は上記と同様に測定する。ただし、繰り返し時間と積算時間は適宜設定する(例えば、ゼオライトの系では繰り返し時間は27Al MAS NMRの場合0.5 secと短く、29Si MAS NMRの場合30 secと長い)。
本願のMSE型ゼオライトは、シリカアルミナ源であるFAU型ゼオライト、少なくとも1種の金属水酸化物、MSE型ゼオライト種結晶、及び水を含有する混合物を水熱合成することにより合成することができる。
FAU型ゼオライトとは、天然ゼオライトであるフォージャサイト(faujasite)と同じトポロジーを有する骨格コードを持つゼオライトの総称であり、単位胞組成はNaAlSi192−n384・xHOである。特にnが48〜76のものをY型ゼオライト呼び本願の実施例にて用いている。
FAU型ゼオライトのSi/Alモル比は、5.5〜12、好ましくは5.5〜9、より好ましくは6〜8である。Si/Alモル比が低い場合には、MSE型以外の型のゼオライトも同時に合成され、一方Si/Alモル比が高い場合には、MSE型ゼオライトが生成せず、アモルファスが生成する。
金属水酸化物の金属は、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルミニウム族金属であり、金属水酸化物としては、例えば、Al(OH)、KOH、NaOH、LiOHなどが挙げられる。特にアルカリ水酸化物は、水熱反応において、ゼオライトの結晶化を促進する鉱化剤の役割をすると考えられる。
混合物中の金属水酸化物のFAU型ゼオライトに対するモル比(MOH/SiO)は、好ましくは0.3〜0.5、より好ましくは0.35〜0.4である。
この混合物中のMSE型ゼオライト種結晶の含有量(MSE型ゼオライト種結晶/(MSE型ゼオライト種結晶+FAU型ゼオライト))は、好ましくは3.0〜20.0重量%、より好ましくは5.0〜10.0重量%である。
FAU型ゼオライトに対する水のモル比(HO/SiO)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80である。モル比(HO/SiO)が低い場合には、MSE型以外の型のゼオライトも同時に合成され、一方モル比(HO/SiO)が上限(モル比(HO/SiO)=80〜100)を超えると、溶液濃度が低下し結晶化が起こらなくなる。
上記混合物はMSE型ゼオライト形成のための鋳型(SDA)を含んでもよい。鋳型としては、N,N,N',N'-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム、1,1-ジメチル-1-アゾニア-4-アザ-4-シクロヘキシルシクロヘキサン、ジメチルジプロピルアンモニウム等を使用できる。
水熱反応は以下の条件で行われる。
−温度:通常120〜200℃、好ましくは150〜170℃ この温度範囲よりも低すぎると縮合が進まず、一方高すぎると有機物が分解する。
−圧力:通常2.0〜15.1 atm、好ましくは4.8〜7.9 atm この圧力は蒸気温度と水の蒸気圧で一義的に定まる。
−時間:通常3〜16日 この範囲よりも短いと結晶化が不十分になり、一方長いと別の相(例えば、モルデナイト)が副生することがある。
水熱反応終了後、固液分離、洗浄、乾燥を行うことにより、MSE型ゼオライト(as made)が得られる。
この製造したまま(as-made)のサンプルから有機SDAを除去するため、550〜700℃で6〜12時間加熱焼成する。これを焼成後(calcined)のサンプルと呼ぶ。焼成後のサンプルを硝酸アンモニウム水溶液中で加熱撹拌する(NH4 +イオン交換する)ことにより、NH4 +型のMSEが得られる。NH4 +型のMSEを500〜600℃で焼成するとH+型のMSEが得られる。
一方、焼成後のサンプルを硝酸水溶液で加熱撹拌すると、脱アルミニウムと同時にプロトン化が起こり、脱アルミされたH+型MSEが得られる。
得られたMSE型ゼオライトのAlの全て又は一部を他の金属に置換することにより、様々な活性を有するゼオライトとすることができる(例えば、特開2008-50186に記載の方法を利用することができる。)。
このような金属として、例えば、Ti、Sn、Ge、Cu、Fe、V、Zn、Cr、Zr、Mg等が挙げられる。
このようなMSE型ゼオライトは、以下の組成式で表すことができる。
4n−3y−zxAlSi112−n224
式中、Mは上記の置換金属であり、zはその価数(2,3、又は4)を表す。
xは0〜16、yは0〜1、nは8〜16、但し、x+y≦nである。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
Si/Al比は誘導結合プラズマ原子発光分析計(島津製作所製 ICP-9000E)を用いて検量線法(水溶液モード)により決定した。
X線回折は以下の条件で測定した。
使用装置 : MAC Science社製MX-Labo粉末X線解析装置
X線源 : CuKα = 1.5405Å, 印加電圧 : 40 kV, 管電流: 20 mA
測定範囲 : 2θ = 2.040〜52.000deg
スキャン速度 : 2.000 deg. / min, サンプリング間隔 : 0.040 deg.
発散スリット: 1.00 deg, 散乱スリット: 1.00 deg, 受光スリット: 0.30 mm
縦型ゴニオメータ, モノクロメータ使用
測定方法 連続法, 通常法
27Al MAS NMR及び29Si MAS NMRは以下の条件で測定した。
27 Al MAS NMR
使用装置:Bruker社製 AVANCE III 600
1H共鳴周波数: 600 MHz
ローター回転速度:13 kHz
繰り返し時間:0.5 sec, 積算回数:1024回
29 Si MAS NMR
使用装置:Bruker社製 AVANCE III 600
1H共鳴周波数: 600MHz
ローター回転速度:10kHz
繰り返し時間:30.0 sec, 積算回数:1024回
走査型電子顕微鏡(SEM)写真は以下の条件で測定した。
使用装置:JEOL社製 JSM-7001F
加速電圧:2.00 kV
製造例1
本製造例ではMCM-68を合成した。
90 mL フッ素樹脂(PFA)製容器に、水45 mL、コロイダルシリカ(デュポン社、LUDOX(登録商標)HS-40、SiO2: 40wt%)を6.01 g (40 mmol)入れ、Al(OH)3 312 mg (4.0 mmol)を溶かして10分間攪拌した。次にKOH(8 mol/L、6.05 mmol/g) 2.48g(15 mmol)を加え、30分間攪拌し、最後に鋳型として別途合成したN,N,N',N'-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物2.23 g (4.0 mmol)を加え3時間攪拌した。調製したゲルを125 mLオートクレーブに移し、160℃のオーブン中で16日間静置した。得られた生成物を遠心分離し、その後80℃オーブン中で乾燥して白色粉末2.55 gを得た(as made、製造したまま(以下同様))。得られた結晶(as made)を後記のMSE型ゼオライト合成のための種結晶として使用した。
このうち2.46 gをアルミナ製のシャーレに入れ、マッフル炉を用いて空気雰囲気下室温より2℃/minで600℃まで昇温、600℃で5時間保持した。放冷してMCM-68結晶(白色粉末、2.21 g)を得た(calcined、焼成後(以下同様))。Si/Al=12であった。
実施例1
本実施例ではAlリッチMSE型ゼオライトを合成した。
125 mL フッ素樹脂製容器に、水50mL、KOH(8 mol/l、5.93 mmol/g) を6.32 g(37.5 mmol)入れ、最後に鋳型としてN,N,N',N'-テトラエチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3:5,6-ジピロリジニウム二ヨウ化物5.58 g (10.0 mmol)を加え30分攪拌した。次に種結晶としてMCM-68(as-made)を0.30 g(シリカアルミナ源に対して5wt%)加え、最後にシリカアルミナ源としてFAU型ゼオライト(HSZ-360HUA、東ソー株式会社製、Si/Al=6.7)を6.01 g加え、4時間攪拌した。ゲル組成は(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-30 H2Oとした。調製したゲルをオートクレーブに仕込み、160℃の恒温槽中で5日間静置した。得られた生成物を遠心分離し、その後100℃オーブン中で乾燥して白色粉末6.38 gを得た(as made)。
MCM-68の結晶化には16日間必要であったのに対し(製造例1)、このAlリッチMSE型ゼオライトは5日間で結晶化し、結晶化時間が大幅に短縮された。
このうち5.87 gを、マッフル炉を用いて空気雰囲気下室温より1℃/minで650℃まで昇温、650℃で10時間保持した。放冷してMSE型ゼオライト結晶(白色粉末、5.38 g)を得た(calcined)。Si/Al=6.9であった。
製造例1で得たMCM-68(as made)と実施例1で得たAlリッチMSE型ゼオライト(as made及びcalcined)のX線回折スペクトルを図1に示す。これらが全てMSE型ゼオライトの構造を有していることが分かる。
製造例1で得たMCM-68(calcined)と実施例1で得たAlリッチMSE型ゼオライト(calcined)のSEM写真を図2に示す。製造例1で得たMCM-68は粒径が100nm程度の微粒子であるのに対し、実施例1で得たAlリッチMSE型ゼオライトは、この微粒子が凝集して500nm〜1μmの凝集体となっている。
製造例1で得たMCM-68(calcined)と実施例1で得たAlリッチMSE型ゼオライト(calcined)の27Al MAS NMRスペクトルを図3に示し、29Si MAS NMRスペクトルを図4に示す。
実施例1で得たMSE型ゼオライトの27Al MAS NMRスペクトル(図3(1))においては、Alに帰属するピークは、製造したまま(as-made)のサンプルが58.83 ppm と54.21 ppm、焼成後(calcined)のサンプルが59.19 ppm と54.55 ppmであった。また、製造例1で得たMCM-68の27Al MAS NMRスペクトル(図3(2))においては、Alに帰属するピークは、製造したまま(as-made)のサンプルが53.60 ppm、焼成後(calcined)のサンプルが54.03ppmであった。
実施例1で得たMSE型ゼオライトの27Al MAS NMRスペクトル(図3(1))においては、従来のMCM−68(図3(2))のAlに帰属されるピーク(化学シフト54ppm付近)とこれとは異なるピーク(化学シフト59ppm付近)が観測され、本願のMSE型ゼオライト中に周囲の環境が異なる2種類のAlが存在していることを示している。このことは、Alが、MCM−68における従来の配置に加えて、MCM−68にはなかった位置にも配置されていることを示しており、本願のMSE型ゼオライトが、新規な活性点を有することを示している。
一方、実施例1で得たMSE型ゼオライトの29Si MAS NMRスペクトル(図4(1))においては、Si−0Al(即ち、Siの周囲にAlが無い環境)に帰属されるピークのほかに、Si−1Al(即ち、Siの周囲にAlが1つ有る環境)とSi−2Al(即ち、Siの周囲にAlが2つ有る環境)に帰属されるピークが確認される。一方、製造例1で合成したMCM-68の29Si MAS NMRスペクトル(図4(2))においては、Si−0Alに帰属されるピークのほかに、Si−1Alに帰属されるピークがわずかに確認されたが、Si−2Alに帰属されるピークは確認されない。このことは、実施例1で得たMSE型ゼオライトがMCM-68とは、周囲のAlの存在が異なった環境にあるSiを有していることを示しており、上記27Al MAS NMRスペクトルの結果を裏付けている。
実施例2
原料(シリカアルミナ源)としてSi/Al比が2.9、5.2、6.7、14.5である4種類のFAU型ゼオライト(東ソー株式会社製:HSZ-330HUA(Si/Al=2.9)、HSZ-350HUA(Si/Al=5.2)、HSZ-360HUA(Si/Al=6.7)、HSZ-370HUA(Si/Al=14.35))を用いて、実施例1と同様の操作を行い、MSE型ゼオライトを合成した。X線回折スペクトルを図5に示す。Si/Al=2.9とSi/Al=5.2のFAU型ゼオライトを用いた場合にはMSE型ゼオライトは生成せず、Si/Al=14.5のFAU型ゼオライトを用いた場合にはアモルファス型のみが生成した。Si/Al=6.7のFAU型ゼオライトを用いた場合にMSE型ゼオライトが生成し(Si/Al=6.9)、MSE型ゼオライトを生成するためには、原料(シリカアルミナ源)としてSi/Al比が5.5〜12のFAU型ゼオライトを用いることが必要であることを示している。
実施例3
ゲル組成が(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-5 H2O、(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-10 H2O、(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-20 H2O、(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-30 H2O、及び(SiO2-Al2O3)-0.1 TEBOP2+(I-)2- 0.375 KOH-40 H2O、となるように、水熱処理に用いる水の量を調節して(H2O/SiO2=5, 10, 20, 30及び40)、実施例1と同様の操作を行い、5種類のMSE型ゼオライトを合成した。X線回折スペクトルを図6に示す。H2O/SiO2=5, 10及び20においては、MSE型ゼオライトのほかにLTL型ゼオライトも生成したが、H2O/SiO2=30及び40においては、MSE型ゼオライトのみが生成した(Si/Al=6.9)。

Claims (9)

  1. 27Al−MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)スペクトルにおいて、下記(1)又は(2)の化学シフトに存在する2つのピークを有するMSE型ゼオライト。
    (1)化学シフト54.5±1ppm及び59.1±1ppmに存在する2つのピーク
    (2)化学シフト54.5±5ppmに存在するアルミノシリケートMCM−68のピーク及びこのピークよりも4〜5ppm高い化学シフトに存在するピーク
  2. Si/Alモル比が6〜12である請求項1に記載のMSE型ゼオライト。
  3. Si/Alモル比が6以上9未満である請求項1に記載のMSE型ゼオライト。
  4. Si/Alモル比が5.5〜12のFAU型ゼオライト、少なくとも1種の金属水酸化物、MSE型ゼオライト種結晶、及び水から成る混合物を水熱合成することにより得られた請求項1〜3のいずれか一項に記載のMSE型ゼオライト。
  5. 前記金属水酸化物における金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルミニウム族金属である請求項4に記載のMSE型ゼオライト。
  6. 前記混合物中の、MSE型ゼオライト種結晶の含有量(MSE型ゼオライト種結晶/(MSE型ゼオライト種結晶+FAU型ゼオライト)重量比)が0.03〜0.20であり、FAU型ゼオライトに対する水のモル比(HO/SiO)が20〜100である請求項4又は5に記載のMSE型ゼオライト。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のMSE型ゼオライトを製造するための方法であって、Si/Alモル比が5.5〜12のFAU型ゼオライト、少なくとも1種の金属水酸化物、MSE型ゼオライト種結晶、及び水を含有する混合物を水熱合成することから成るMSE型ゼオライトの製造方法。
  8. 前記金属水酸化物の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルミニウム族金属である請求項7に記載の方法。
  9. 前記混合物中の、MSE型ゼオライト種結晶の含有量(MSE型ゼオライト種結晶/(MSE型ゼオライト種結晶+FAU型ゼオライト)重量比)が0.03〜0.20、FAU型ゼオライトに対する水のモル比(HO/SiO)が20〜100である請求項7又は8に記載の方法。
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