JP2014042674A - 骨再生材料 - Google Patents

骨再生材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2014042674A
JP2014042674A JP2012186995A JP2012186995A JP2014042674A JP 2014042674 A JP2014042674 A JP 2014042674A JP 2012186995 A JP2012186995 A JP 2012186995A JP 2012186995 A JP2012186995 A JP 2012186995A JP 2014042674 A JP2014042674 A JP 2014042674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cap
bone regeneration
ocp
regeneration material
bone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012186995A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6044949B2 (ja
JP2014042674A5 (ja
Inventor
Osamu Suzuki
治 鈴木
Takahisa Anada
貴久 穴田
Yukari Shiwaku
由香利 塩飽
Yoshitomo Honda
義知 本田
Keiichi Sasaki
啓一 佐々木
Shinji Morimoto
慎二 森元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Nipro Corp
Original Assignee
Tohoku University NUC
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Nipro Corp filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2012186995A priority Critical patent/JP6044949B2/ja
Publication of JP2014042674A publication Critical patent/JP2014042674A/ja
Publication of JP2014042674A5 publication Critical patent/JP2014042674A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6044949B2 publication Critical patent/JP6044949B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

【課題】高い骨再生能を有する骨再生材料を提供すること。
【解決手段】本発明の骨再生材料は第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を含む。本発明の骨再生材料の製造方法は、例えば、フッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液にカルシウムイオンを含む水溶液を添加して、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を形成する工程、および該共沈物を乾燥する工程を含み、該添加する速度は、7mL/分〜130mL/分であり、該添加は、50℃〜80℃にて行われる。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨再生材料に関する。
骨腫瘍の手術、唇顎口蓋裂、粉砕骨折などに伴う骨欠損を有する患者に対しては、通常、骨移植が行われる。骨移植は、脳外科、整形外科、歯科などの領域における手術に伴って生じる骨欠損を修復するために行われる場合もある。
骨移植には、自家骨を用いることが好ましい。しかし、自家骨を用いるには量的な制限があり、自家骨を取り出した後に残る障害などの問題もある。このため、骨移植に用いる骨として、自家骨に代わり得る人工骨の開発が行われている。
人工骨材としては、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH):以下、「HA」と記載する場合がある)セラミックス、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)セラミックスなどが提案されている。
HAの前駆体である第8リン酸カルシウム(Ca(PO・5HO:以下、「OCP」と記載する場合がある)は、HAよりも優れた多くの機能を有する(特許文献1)。例えば、骨伝導能(非特許文献1)、破骨細胞による吸収性(非特許文献2)、用量依存的な骨芽細胞の分化促進(非特許文献3)に優れている。また、HAの前駆体である非晶質リン酸カルシウム(Ca(PO・nHO)(非特許文献4)や第2リン酸カルシウム(第2リン酸カルシウム無水物(CaHPO)あるいは第2リン酸カルシウム2水和物(CaHPO・2HO))(特許文献1および非特許文献5)についてもOCPと同様の性質を有することが報告されている。したがって、人工骨材としては、HAよりはむしろ、OCPなどのHA前駆体に対する期待が大きい。また、フッ化物イオンでドープされたHAやOCPも公知である(特許文献3)。
しかし、完全に自家骨に代わり得る高い骨再生能を有する人工骨材はまだ確立されていない。
特許第2788721号公報 特開2006−167445号公報 特開2002−35107号公報
Suzuki O.ら、Tohoku J. Eng. Med.、1991年、第164巻、p.37-50 Imaizumi H.ら、Calcif. Tissue Int.、2006年、第78巻、p.45-54 Anada T.ら、Tissue Eng.、2008年、第14巻、p.965-978 Meyer J.L.ら、Calcif. Tissue Int.、1978年、第25巻、p.59-68 Eidelman N.ら、Calcif. Tissue Int.、1987年、第41巻、p.18-26
本発明の目的は、高い骨再生能を有する骨再生材料を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、第8リン酸カルシウム微粉末とフッ素との共沈物を含む骨再生材料が高い骨再生能を有することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を含む骨再生材料を提供する。
1つの実施態様では、上記フッ素は、上記共沈物の質量に対して2質量%〜3.8質量%である。
本発明はまた、骨再生材料の製造方法を提供し、該方法は、フッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液にカルシウムイオンを含む水溶液を添加して、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を形成する工程、ならびに該共沈物を乾燥する工程を含む。
本発明はまた、骨再生材料の製造方法を提供し、該方法は、フッ化物イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液にリン酸イオンを含む水溶液を添加して、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を形成する工程、ならびに該共沈物を乾燥する工程を含む。
1つの実施態様では、上記添加する速度は、7mL/分〜130mL/分である。
1つの実施態様では、上記添加は、50℃〜80℃にて行われる。
本発明はさらに、上記製造方法により得られる骨再生材料を提供する。
本発明の骨再生材料は、高い骨再生能を有する。このため、機能障害を伴う骨欠損への適応のみならず、機能障害が顕在化せず看過されることが多かった手術に伴って形成される骨欠損の修復(脳外科、整形外科、歯科領域など)、骨吸収を伴う歯周病、義歯の保持を不安定化させる顎堤の低下などの障害にも適用され得、患者の生活の質(QOL)の向上に寄与し得る。
CF−CaP、HF−CaPまたはOCPのX線回折パターンを示すチャートである。(図中、●印を付したピークはOCPに特徴的なピークを示し、○印を付したピークはフッ化ハイドロキシアパタイト(以下、「FHA」と記載する場合がある)に特徴的なピークを示す。) CF−CaP、HF−CaPまたはOCPのF−CaPのFTIRの解析結果を示すチャートである。 CF−CaP、HF−CaPまたはOCPのF−CaPの結晶構造を示す走査型電子顕微鏡(FE−SEM)写真である((a)はOCP、(b)はHF0.09−CaP、(c)はCF0.09−CaP、(d)はHF1.80−CaP、(e)はCF1.28−CaP、(f)はHF3.33−CaP、そして(g)はCF3.20−CaPの結晶構造をそれぞれ示す)。(各写真中、右下に表示されている水平方向に延びる線分の長さは1μmを表す。) CF−CaP、HF−CaPまたはOCPのコーティングがコーティング表面の細胞接着に及ぼす影響を示すグラフである。 CF−CaP、HF−CaPまたはOCPのコーティングがコーティング表面の細胞増殖に及ぼす影響を示すグラフである。
本発明の骨再生材料は、第8リン酸カルシウム(OCP)とフッ素との共沈物(以下、「CF−CaP」と記載する場合がある)を含む。ここで、共沈物とは、混合物を含有する溶液中で形成される物理的な凝集物(沈殿)をいう。
本発明のCF−CaPは共沈法によって得られる。例えば、フッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液にカルシウムイオンを含む水溶液を添加(例えば、滴下または注加)する方法、フッ化物イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液にリン酸イオンを含む水溶液を添加(例えば、滴下または注加)する方法によって得られる。例えば、フッ化物イオン存在下のOCP共沈法(非特許文献1)によって得られる。例えば、フッ化ナトリウムを含むリン酸水素ナトリウム溶液2000mLに酢酸カルシウム溶液2000mLを70℃にて15分間〜303分間添加する。このようにして形成した共沈物を回収し、本発明のCF−CaPとする。
ここで、「滴下」とは、一方の溶液の液滴を他方の溶液表面に落下させて加えることをいう。「注加」とは、一方の溶液を他方の溶液に少量ずつ加えることをいい、例えば、チューブなどの中空管を用いて加えることをいう。「注加」とは、一方の溶液を他方の溶液に少量ずつ加えることをいい、例えば、チューブなどの中空管を用いて加えることをいう。
添加(例えば、滴下または注加)の速度は、特に限定されず、例えば、好ましくは7mL/分〜130mL/分、または、好ましくは57mL/分〜83mL/分である。7mL/分未満の場合または130mL/分を超えると、CF−CaPが生成しにくい場合がある
水溶液中でリン酸イオン(PO 3−)を生じる化合物としては、特に限定されず、例えば、正リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、これらの混合物が挙げられる。
水溶液中でカルシウムイオン(Ca2+)を生じる化合物としては、特に限定されず、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、これらの混合物が挙げられる。
水溶液中でフッ化物イオン(F)を生じるフッ素化合物としては、特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウムなどの無機フッ化物、これらの混合物が挙げられる。上記共沈法の工程でフッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液中、またはフッ化物イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液中のフッ化物イオンの初期濃度は、特に限定されないが、好ましくは100ppm〜300ppm、より好ましくは200ppm〜230ppmである。
フッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液にカルシウムイオンを含む水溶液の添加、あるいはフッ化物イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液にリン酸イオンを含む水溶液の添加は、好ましくは50℃〜80℃、より好ましくは60℃〜75℃で行われる。50℃未満の場合または80℃を超えると、CF−CaPが生成しにくい場合がある。
回収されたCF−CaPは、好ましくは、蒸留水で数回洗浄した後、空気乾燥する。乾燥温度としては、特に限定されず、例えば、100℃〜150℃である。乾燥時間としては、特に限定されず、例えば、12時間〜24時間である。
本発明のCF−CaPは、本発明の効果が阻害されない範囲内で、一般的に骨再生材料に含まれる成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、生体吸収性高分子(ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体など)、生体吸収性リン酸カルシウム(β−TCPなど)、生体非吸収性材料(HAセラミックスなど)が挙げられる。このような成分は、上記共沈法の工程で共存させることができる。
本発明のCF−CaP中のリン酸とカルシウムとのモル比(Ca/Pモル比)は、特に限定されないが、好ましくは、リン酸1に対してカルシウムが1.5〜1.8、より好ましくは、1.5〜1.6である。Ca/Pモル比の測定方法としては、特に限定されず、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いる方法が挙げられる。
本発明のCF−CaP中のフッ素含量は、特に限定されず、例えば、2質量%〜3.8質量%、好ましくは、3質量%〜3.8質量%である。フッ素含量の測定方法としては、特に限定されず、例えば、ICP−AESにフッ素電極を用いる方法が挙げられる。
本発明のCF−CaPの比表面積は、特に限定されず、例えば、5m/g〜16m/g、好ましくは、5m/g〜10m/gである。比表面積の測定方法としては、特に限定されず、例えば、BET法が挙げられる。
本発明のCF−CaPは、X線回折パターンで、好ましくは、2θ=10.9°、32.0°、32.4°および34.3°のピークを示す。
本発明のCF−CaPは、機械的に粉砕してもよい。粉砕する手段としては、特に限定されず、例えば、硬組織破砕装置(ビーズショッカー)、ボールミル、解砕機を用いる手段が挙げられる。
本発明のCF−CaPは、粒径を均一に(整粒)しておくことが好ましい。整粒して得られるOCP顆粒の粒径は、好ましくは100nm〜1000μm、より好ましくは500μm〜500μmである。
本発明のCF−CaPは、さらに熱架橋処理に供してもよい。熱架橋処理により、本発明のCF−CaPの安定性を高めることができる。熱架橋条件としては、特に限定されない。熱架橋処理温度としては、例えば、100℃〜200℃が挙げられ、処理時間としては、通常6時間〜48時間が挙げられる。
本発明の骨再生材料は、骨再生に重要な役割を果たす骨髄由来幹細胞、ストローマ細胞など、骨芽細胞の前駆細胞または成熟骨芽細胞の接着、増殖、分化を調節し、結果として骨再生の促進に寄与する。
本発明の骨再生材料は、適宜成形して使用される。成形手段としては、特に限定されない。例えば、骨再生材料を適当な型に入れて固める方法、固める際に圧力を加える方法が挙げられる。成形体の形状としては、特に限定されない。例えば、ディスク、ブロック、シートが挙げられる。ディスクの大きさとしては、特に限定されない。例えば、直径は、通常3mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmである。例えば、厚みは、通常0.5mm〜5mm、好ましく1mm〜2mmである。ブロックの大きさとしては、特に限定されない。例えば、長さ5mm〜15mm、幅5mm〜50mm、高さ5mm〜100mm、好ましくは、長さ8mm〜12mm、幅10mm〜30mm、高さ10mm〜50mmである。
成形体は、骨欠損部の形状に応じて適宜整形され、放射線滅菌、高圧蒸気滅菌などにより滅菌処理後、骨欠損部に埋入される。ただし、高圧蒸気滅菌は、OCPの結晶相に影響を及ぼすので、その場合は骨欠損の適用部位を考慮する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1:CF3.20−CaPの調製)
非特許文献1に記載の合成方法に従い、以下の表1に記載のように、230ppmのF(NaF)を含有するリン酸水素ナトリウム溶液(NaF,NaHPO・2HO)2Lに70℃にて30分間、酢酸カルシウム溶液(CCaO・HO)2Lを注加した。析出した沈殿物を回収し、蒸留水で数回洗浄した後、105℃にて一晩乾燥させて、CF3.20−CaP(F含量3.2質量%のCF−CaP)を調製した。
(比較調製例2および3)
以下の表1に記載のように、230ppmのFに代えて12ppmのFまたは96ppmのFにしたこと以外は調製例1と同様にして、それぞれCF0.09−CaP(比較調製例2:F含量0.09質量%のCF−CaP)またはCF1.28−CaP(比較調製例3:F含量1.28質量%のCF−CaP)を調製した。
(比較調製例4〜6:HF−CaPの調製)
以下の表1に記載のように、OCP(非特許文献1に記載の合成方法に従い調製)の微粉末を、50ppmのNaFを含有する150mMのTris緩衝液(pH7.1〜9.9)中で37℃にて10〜60分間インキュベートした。固形物(以下、「HF−CaP」と記載する場合がある)を回収し、蒸留水で数回洗浄した後、105℃にて一晩乾燥させた。HF0.09−CaP、HF1.80−CaPおよびHF3.33−CaPは、それぞれF含量0.09質量%、1.80質量%および3.33質量%のHF−CaPである。
(試験例1:CF−CaPおよびHF−CaPの物理化学的特性解析1)
調製例1ならびに比較調製例2および3で得られたCF−CaP、比較調製例4〜6で得られたHF−CaPならびにOCP(以下、「試料」と記載する場合がある)の各種物性を以下のように解析した。
Ca/Pモル比およびF含量を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)(株式会社島津製作所製ICPS−8000)およびフッ素電極(サーモエレクトロン社製Orion9609BN)を用いて測定した。比表面積をBET法により測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014042674
表1より明らかなように、F含量が上昇するとCa/Pモル比が上昇した。HF3.33−CaPおよびCF3.20−CaPのCa/Pモル比は化学量論的HAのCa/Pモル比と等しく1.67であった。OCPの比表面積である8.13(m/g)がCF−CaPではほぼ維持されたのに対し、HF−CaPではOCPよりも3〜5倍高い比表面積であった。
(試験例2:CF−CaPおよびHF−CaPの物理化学的特性解析2)
X線回折パターンを、X線回折装置(株式会社リガク製Miniflex)を用いて、3.0°〜60.0°の範囲で0.05°間隔のステップスキャニングにより記録した。結果を図1に示す。
図1より明らかなように、HF0.09−CaPおよびCF0.09−CaPはOCPに特徴的なピーク(2θ=4.9°、9.6°、9.9°、31.7°および33.7°、もう1つピークの位置をご教示ください)を維持していた。F含量が上昇すると、HF−CaPおよびCF−CaPはHA様パターンを示した。CF1.28−CaPは上記のOCPに特徴的なピークに加えて、フッ化ハイドロキシアパタイト(以下、「FHA」と記載する場合がある)に特徴的なピーク(2θ=10.9°、32.0°、32.4°および34.3°)も有していた。一方、CF3.20−CaPはOCPに特徴的なピークを有さず、低結晶性のFHAを示すのみであった。
(試験例3:CF−CaPおよびHF−CaPの物理化学的特性解析3)
試料を臭化カリウムで希釈し、フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、FTIR分光光度計(日本分光株式会社製FT/IR−6300)を用いて、1300〜500cm−1の範囲で4cm−1間隔にて取得した。結果を図2に示す。
図2より明らかなように、560〜600cm−1の2つのシャープなPOの吸収バンドがリン酸カルシウムの結晶であることを示す。HF0.09−CaPおよびCF0.09−CaPのスペクトルにOCP構造に特徴的な1122、1076、1038および1023cm−1の4つのシャープなPOバンドが観察された。F含量が上昇すると、1038cm−1および1024cm−1の2つのバンドが1033cm−1の1つのバンドになった。
(試験例4:CF−CaPおよびHF−CaPの物理化学的特性解析4)
結晶の形態を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM;株式会社日立ハイテクノロジーズ製S−4300E)を用いて観察した。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、OCPは1辺が約5μmの板状の形態を示したが、HF−CaPは、F含量が上昇すると小さな結晶サイズを示した。HF3.33−CaPでは、不規則な縁を有するFHAの小さな結晶が観察された。一方、CF−CaPはF含量が1.28質量%までは、OCPの板状構造を維持した。CF3.20−CaPでは、OCPの形態に替わり、長さ約2μmの棒状のFHAが表れた。
(試験例5:CF−CaPおよびHF−CaPによるコーティング)
試料粉末を粉砕し、65メッシュの篩で整粒し、粒径212μm未満の整粒した顆粒を、安井器械株式会社製マルチビーズショッカーを用いて、2500rpmにて60秒間さらに細粒に粉砕した。次いで、篩にかけた細粒を水に懸濁し、96ウェルプレート(Corning社製)の各ウェルにピペットを用いて、1.0mg/ウェルとなるように滴下した。プレートを60℃のオーブンに一晩静置して乾燥させた。次いで、プレートをUVリンカー(フナコシ株式会社製FS−1500)中にて2時間照射により滅菌した。
次いで、コーティングしたプレートの各ウェルにαMEM培地(Invitrogen−Gibco社)を入れ、プレートを37℃にて3日間インキュベートした。αMEM中のOCP、HAおよびリン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)に関する過飽和度を計算し、CF−CaPおよびHF−CaPの溶解度特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2014042674
表2より明らかなように、すべての上清の過飽和度はHAに関して過飽和(HAの結晶が成長する余地がある状態)であったが、DCPDに関して不飽和(DCPDの結晶が溶解し易い状態)であった。一方、HF−CaPとCF−CaPとの間に過飽和度の顕著な差異があった。HF−CaPでは、F含量が上昇すると過飽和度が低下したが、CF−CaPのすべてはOCPに関して飽和に近い状態(OCPの結晶が成長も溶解もしない状態)であった。すなわち、OCPと同等の溶解度を示した。
(試験例6:CF−CaPおよびHF−CaPの細胞接着に及ぼす影響)
試料のマウス骨髄ストローマ細胞ST−2の接着に及ぼす影響を調べた。マウス骨髄ストローマ細胞ST−2(理研細胞バンク)を5%CO環境下、37℃にて、10%FBSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するα−MEM培地(Invitrogen−Gibco社)中に維持した。
ST−2細胞を10%FBSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するα−MEM培地中に調製し、試験例4で調製したコーティングプレートに1×10細胞/ウェル(100μL)の細胞密度で播種した。5時間のインキュベートの後、新鮮な培地と交換した。コーティング上およびポリスチレン培養プレート(コーティングなし)上の細胞数を、WST−8アッセイ(株式会社同仁化学研究所)を用いて測定した。結果を図4に示す。
図4より明らかなように、HF−CaPコーティング表面に接着した細胞数は、OCPコーティング表面に接着した細胞数よりも少なかった。特に、HF1.80−CaP上の細胞接着は最も少なく、OCPコーティングの78%であった。逆に、CF3.20−CaPはすべてのコーティング中で最も高い細胞接着性を示した。CF0.09−CaPおよびCF1.28−CaP上の細胞数はOCP上の細胞数とほとんど同じであった。
(試験例7:CF−CaPおよびHF−CaPの細胞増殖に及ぼす影響)
試料のマウス骨髄ストローマ細胞ST−2の増殖に及ぼす影響を調べた。マウス骨髄ストローマ細胞ST−2(理研細胞バンク)を5%CO環境下、37℃にて、10%FBSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するα−MEM培地中に維持した。
1×10細胞/ウェル(100μL)に代えて2×10細胞/ウェル(100μL)としたこと以外は試験例6と同様にして細胞を播種し、3日毎に新鮮な培地と交換し、7日後および14日後にWST−8アッセイ(株式会社同仁化学研究所)を行った。結果を図5に示す。
図5より明らかなように、CF3.20−CaPは7日間のインキュベートでコーティングなしよりも細胞増殖を促進した。対照的に、HF1.80−CaP上の細胞数は、最も少なかった。14日までに細胞増殖はコンフルエントに達し、すべてのコーティングで同じ増殖になった。
本発明の骨再生材料は、高い骨再生能を有する。このため、機能障害を伴う骨欠損への適応のみならず、機能障害が顕在化せず看過されることが多かった手術に伴って形成される骨欠損の修復(脳外科、整形外科、歯科領域など)、骨吸収を伴う歯周病、義歯の保持を不安定化させる顎堤の低下などの障害にも適用され得、患者の生活の質(QOL)の向上に寄与し得る。

Claims (7)

  1. 第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を含む、骨再生材料。
  2. 前記フッ素が、前記共沈物の質量に対して2質量%〜3.8質量%である、請求項1に記載の骨再生材料。
  3. 骨再生材料の製造方法であって、フッ化物イオンおよびリン酸イオンを含む水溶液にカルシウムイオンを含む水溶液を添加して、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を形成する工程、ならびに
    該共沈物を乾燥する工程
    を含む、方法。
  4. 骨再生材料の製造方法であって、フッ化物イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液にリン酸イオンを含む水溶液を添加して、第8リン酸カルシウムとフッ素との共沈物を形成する工程、ならびに
    該共沈物を乾燥する工程
    を含む、方法。
  5. 前記添加する速度が、7mL/分〜130mL/分である、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記添加が、50℃〜80℃にて行われる、請求項3から5のいずれかの項に記載の方法。
  7. 請求項3から6のいずれかの項に記載の方法により得られる骨再生材料。
JP2012186995A 2012-08-27 2012-08-27 骨再生材料 Active JP6044949B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012186995A JP6044949B2 (ja) 2012-08-27 2012-08-27 骨再生材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012186995A JP6044949B2 (ja) 2012-08-27 2012-08-27 骨再生材料

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014042674A true JP2014042674A (ja) 2014-03-13
JP2014042674A5 JP2014042674A5 (ja) 2015-10-08
JP6044949B2 JP6044949B2 (ja) 2016-12-14

Family

ID=50394407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012186995A Active JP6044949B2 (ja) 2012-08-27 2012-08-27 骨再生材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6044949B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01264915A (ja) * 1988-04-15 1989-10-23 Asahi Optical Co Ltd フッ素アパタイトの製造方法
JP2009057228A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Hoya Corp フッ素アパタイトの製造方法、フッ素アパタイトおよび吸着装置
JP2010110404A (ja) * 2008-11-05 2010-05-20 Tohoku Univ 人工骨材

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01264915A (ja) * 1988-04-15 1989-10-23 Asahi Optical Co Ltd フッ素アパタイトの製造方法
JP2009057228A (ja) * 2007-08-30 2009-03-19 Hoya Corp フッ素アパタイトの製造方法、フッ素アパタイトおよび吸着装置
JP2010110404A (ja) * 2008-11-05 2010-05-20 Tohoku Univ 人工骨材

Also Published As

Publication number Publication date
JP6044949B2 (ja) 2016-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Singh Hydroxyapatite, a biomaterial: its chemical synthesis, characterization and study of biocompatibility prepared from shell of garden snail, Helix aspersa
Combes et al. Amorphous calcium phosphates: synthesis, properties and uses in biomaterials
Balamurugan et al. Development and in vitro characterization of sol–gel derived CaO–P2O5–SiO2–ZnO bioglass
Rey et al. 1.11 Bioactive calcium phosphate compounds: physical chemistry
Ismail et al. Characterization of nanostructured hydroxyapatite prepared by Nd: YAG laser deposition
He et al. Effects of strontium substitution on the phase transformation and crystal structure of calcium phosphate derived by chemical precipitation
Suganthi et al. Fibrous growth of strontium substituted hydroxyapatite and its drug release
Ansari et al. Synthesis and characterisation of hydroxyapatite-calcium hydroxide for dental composites
Boudemagh et al. Elaboration of hydroxyapatite nanoparticles and chitosan/hydroxyapatite composites: a present status
Park et al. Bioactive calcium phosphate coating prepared on H2O2-treated titanium substrate by electrodeposition
Gyorgy et al. Bioactive glass and hydroxyapatite thin films obtained by pulsed laser deposition
Chen et al. Hydrothermal synthesis of hydroxyapatite coatings with oriented nanorod arrays
Wan et al. Preparation and in vitro bioactivities of calcium silicate nanophase materials
Mohamed et al. Fabrication of nano structural biphasic materials from phosphogypsum waste and their in vitro applications
Szurkowska et al. Novel hybrid material based on Mg2+ and SiO44-co-substituted nano-hydroxyapatite, alginate and chondroitin sulphate for potential use in biomaterials engineering
Li et al. In vitro biocompatibility study of calcium phosphate glass ceramic scaffolds with different trace element doping
Wang et al. Ordered HAp nanoarchitecture formed on HAp–TCP bioceramics by “nanocarving” and mineralization deposition and its potential use for guiding cell behaviors
Vidhya et al. Comparative study of hydroxyapatite prepared from eggshells and synthetic precursors by microwave irradiation method for medical applications
Honda et al. Effect of Zn2+ on the physicochemical characteristics of octacalcium phosphate and its hydrolysis into apatitic phases
Iafisco et al. Silica gel template for calcium phosphates crystallization
Mihailescu et al. Advanced biomimetic implants based on nanostructured coatings synthesized by pulsed laser technologies
JP6044949B2 (ja) 骨再生材料
WO2017048155A1 (ru) Способ получения керамики на основе октакальциевого фосфата
Medvecky et al. Nanohydroxyapatite prepared from non-toxic organic Ca2+ compounds by precipitation in aqueous solution
Hafezi et al. Preparation and characterization of whitlockite-merwinite nanocomposite

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150825

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160524

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160721

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6044949

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250