JP2014040159A - ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明では、リザーバ室内をストロークするピストンのピストンストローク量積算値が、リザーバ寿命を考慮して設定された所定ストローク量になったときに、リザーバ内へブレーキ液が流れ込む液圧制御を中止することとした。
【選択図】 図3
Description
本発明の目的は、予め想定した耐久性を越えたリザーバの作動を回避可能なブレーキ装置を提供することにある。
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は実施例1のブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。液圧回路は、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの間に設けられた液圧制御ユニット30内に形成されている。
このブレーキ液圧制御装置は、ブレーキコントローラBCUからのVehicle Dynamics Control(以下VDC)、Anti-lock Brake System(以下ABS)の要求液圧に加え、車両全体の走行状態を制御する統合コントローラCUの回生協調制御に伴う要求液圧に応じて液圧制御を行う。
ポンプユニットPの吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、液路11P,11Sによって接続されている。この各液路11上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧バルブ3FL,3RR,3FR,3RL(総称して増圧バルブ3とも記載する。)が設けられている。また各液路11上であって、各増圧バルブ3とポンプユニットPとの間にはチェックバルブ6P,6Sが設けられている。各チェックバルブ6は、ポンプユニットPから増圧バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
マスタシリンダM/Cと液路11とは液路12P,12Sによって接続されており、液路11と液路12とはポンプユニットPと増圧バルブ3との間において合流している。この各液路12上には、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2P,2S(総称してゲートアウトバルブ2とも記載する。)が設けられている。また各液路12には、各ゲートアウトバルブ2を迂回する液路17P,17Sが設けられており、この液路17には、チェックバルブ8P,8Sが設けられている。この各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ホイルシリンダW/Cと液路14とは液路13P,13Sによって接続されており、液路13と液路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各液路13にそれぞれ、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RL(総称して減圧バルブ4とも記載する。)が設けられている。
ステップS1では、マスタシリンダ圧力Pm、ユニット温度Tm、リザーバストローク規定値Rsxを読み込む。リザーバストローク規定値Rsxとは、リザーバ15が安定した性能を発揮可能な耐久性の上限であり、予めユニットに設定された値である。図4は実施例1のリザーバストローク規定値と耐久性との関係を表す特性図である。図4に示すように、リザーバ15のピストンに設けられたゴムシールは、シール性を確保するために所定のつぶし量を持って圧入された状態で摺動している。このとき、リザーバストローク量が増大すると、摩耗や経年変化等によりつぶし量(弾性変形可能な量)が低下していく。その低下傾向は、製品によるばらつきがあるが、上限実力と下限実力の範囲内で概ね量産される。このとき、必要なゴムシールのつぶし量(以下、規定つぶし量)を確保した際、下限実力の製品であっても、規定つぶし量を確保する必要があり、この規定つぶし量を確保可能なリザーバストローク量合計値がリザーバストローク規定値Rsxとして設定される。
ステップS2では、減圧バルブ4の開弁時間Tsolを読み込む。
ステップS4では、リザーバストローク量Rs0を相関係数αと開弁時間Tsolに基づいて下記式より算出する。
Rs0=α×Tsol
図5は実施例1の開弁時間とリザーバストローク量との関係を表す特性図である。図5に示すように、開弁時間Tsolが長いほどリザーバストローク量Rs0が長くなるように設定されており、また、相関係数αは、例えばPmが高く、Tmも高い場合は大きな相関係数α1が設定され、僅かの開弁時間Tsolでも多くのブレーキ液が流出してリザーバ15内に流れ込むことでリザーバストローク量が生じると判断する。
Rs=Rs0+Re
ここで、Reは記憶されたリザーバストローク量合計値であり、前回の制御周期までに演算されたリザーバストローク量合計値として記憶された値である。
ステップS6では、リザーバストローク量合計値Rsを記憶値Reとして記憶し、次回の制御周期においてステップS5におけるリザーバストローク量合計値Rsの演算に使用する。
ステップS7では、リザーバストローク量合計値Rsがリザーバストローク規定値Rsx未満か否かを判断し、Rsx未満の場合は耐久性の上限に到達していないと判断してステップS8に進み、減圧バルブ4を用いた制御を実行する。一方、Rsxに到達した場合は耐久性の上限に到達したと判断してステップS9に進み、減圧バルブ4を用いた制御を停止する。
ここで、減圧バルブ4を用いた制御の停止とは、回生協調制御による液圧制御に加えて、ABSやVDCといったブレーキ液圧制御も含む。これらの作動を停止する場合には、運転者に作動停止を表すランプの点灯等を行う。これにより、運転者は修理工場等に速やかに車両を持ち込むことができる。
(1)ホイルシリンダ圧を自動的に液圧制御するブレーキコントローラBCU(液圧制御部)と、リザーバ室151内をストロークするピストン155により液密に画成され、液圧制御によりブレーキ回路内のブレーキ液が流れ込む第1室152と、ピストン155を第1室152側に付勢する弾性部材154を有する第2室153と、を有するリザーバ15と、ピストン155のストローク量を算出するステップS2〜S4(ピストンストローク量算出部)と、算出されたピストンストローク量の積算値であるピストンストローク量合計値Rs(ピストンストローク量積算値)を算出するステップS5(ピストンストローク量積算値算出部)と、ピストンストローク量合計値Rsがリザーバ寿命を考慮して設定されたリザーバストローク規定値Rsx(所定ストローク量)になったときに、第1室152へブレーキ液が流れ込む液圧制御を中止するステップS8,S9(制御中止部)と、を備えた。
よって、予め想定した耐久性を越えたリザーバ15の作動を回避することができ、安定したブレーキ装置の作動を確保できる。尚、一般にリザーバ15のゴムシール156は、ユニット内の構成部品のうち、最も耐久性が低い部品である。このような最弱部品に着目して耐久性を監視することで、ユニット全体の性能を確保できる。
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図6は実施例2のブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。実施例1ではポンプ吸入側にゲートインバルブ1を備えた例を示したが、実施例2では、ゲートインバルブ1に代えて、チェックバルブ機能付きのリザーバ15aを設けた点が異なる。リザーバ15aは、図6の部分拡大図に示すように、リザーバ室内をストロークするピストン155aにより液密に画成され、液圧制御によりブレーキ回路内のブレーキ液が流れ込む第1室152aと、ピストン155aを第1室152a側に付勢する弾性部材154aを有する第2室153aと、を有する。ピストン155aの外周にはゴムシール156aが取り付けられ、リザーバ室の内壁との間で摺動接触し、これにより第1室152aと第2室153aとを液密に画成する。尚、第2室153a内は大気圧とされている。
ステップS1では、マスタシリンダ圧力Pm、マスタシリンダ圧発生回数の規定値Pmxを読み込む。ここで、規定値Pmxとは、マスタシリンダ圧力の発生に伴うピストンストローク量の合計値が性能を確保可能な限界値に到達するときより所定タイミングとなる値であり、実験等によって予め設定された値である。
ステップS22では、マスタシリンダ圧力発生回数のカウントアップを行う。具体的には、マスタシリンダ圧力Pmが低い状態から所定値以上まで上昇した場合を一回としてカウントアップする。ピストンストロークに対応する圧力変化が重要だからである。
ステップS23では、マスタシリンダ圧力発生回数合計値Pmnを演算する。
Pmn=Pm0+Pe
ここで、Pm0は今回の制御周期においてカウントされた発生回数であり、Peは前回の制御周期までに記憶された発生回数合計値である。
ステップS25では、マスタシリンダ圧力発生回数合計値Pmnが規定値Pmx未満か否かを判断し、規定値Pmx未満の場合は耐久性の上限に到達していないと判断してステップS26に進み、減圧バルブ4を用いた制御を実行する。一方、Pmxに到達した場合は耐久性の上限に到達したと判断してステップS27に進み、減圧バルブ4を用いた制御を停止する。
ここで、減圧バルブ4を用いた制御の停止とは、回生協調制御による液圧制御に加えて、ABSやVDCといったブレーキ液圧制御も含む。これらの作動を停止する場合には、運転者に作動停止を表すランプの点灯等を行う。これにより、運転者は修理工場等に速やかに車両を持ち込むことができる。
(2)運転者のブレーキ操作によってマスタシリンダM/Cから流出したブレーキ液をリザーバ15a内に流入させるブレーキコントローラBCU(液圧制御部)と、運転者のブレーキ操作によって発生したマスタシリンダ圧発生回数Pmnを算出するステップS23(マスタシリンダ圧発生回数算出部)と、発生したマスタシリンダ圧発生回数Pmnが規定値Pmx(リザーバ寿命を考慮して設定された所定の発生回数)に到達したときは、リザーバ15a内へブレーキ液が流れ込む液圧制御を中止するステップS25,S27(制御中止部)と、を備えた。
よって、予め想定した耐久性を越えたリザーバ15aの作動を回避することができ、安定したブレーキ装置の作動を確保できる。
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例2と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例2ではマスタシリンダ圧の発生回数とリザーバストロークとには因果関係が強いことから、マスタシリンダ圧発生回数にのみ着目して判断した。これに対し、実施例3では、マスタシリンダ圧に対して実際にピストン155aがストロークする量を算出し、この量の合計値に基づいて判断する点が異なる。図8は実施例3のブレーキコントローラ内において実施される減圧制御中止処理を表すフローチャートである。
ステップS32では、リザーバストローク量Rs0を下記式より演算する。
Rs0=β×Pm
ここで、βについて説明する。図9は実施例3におけるマスタシリンダ圧とリザーバストローク量との関係を表す特性図である。ピストン155aは、マスタシリンダ圧力によってボール155cが押し下げられることに伴ってストロークする。しかし、ボール155cがシート面155dに当接した後は、ストロークが終了する。よって、マスタシリンダ圧力がチェックバルブが閉じる前の値の場合はマスタシリンダ圧力Pmに図9に示す特性の勾配βを掛けた値を使用する。一方、マスタシリンダ圧力がチェックバルブが閉じた後の値の場合はマスタシリンダ圧力Pmに関係なく一定値であることから、その値をリザーバストローク量Rs0として出力する。
Rs=Rs0+Re
ここで、Reは記憶されたリザーバストローク量合計値であり、前回の制御周期までに演算されたリザーバストローク量合計値として記憶された値である。
ステップS34では、リザーバストローク量合計値Rsを記憶値Reとして記憶し、次回の制御周期においてステップS5におけるリザーバストローク量合計値Rsの演算に使用する。
ステップS35では、リザーバストローク量合計値Rsがリザーバストローク規定値Rsx未満か否かを判断し、Rsx未満の場合は耐久性の上限に到達していないと判断してステップS36に進み、減圧バルブ4を用いた制御を実行する。一方、Rsxに到達した場合は耐久性の上限に到達したと判断してステップS37に進み、減圧バルブ4を用いた制御を停止する。
ここで、減圧バルブ4を用いた制御の停止とは、回生協調制御による液圧制御に加えて、ABSやVDCといったブレーキ液圧制御も含む。これらの作動を停止する場合には、運転者に作動停止を表すランプの点灯等を行う。これにより、運転者は修理工場等に速やかに車両を持ち込むことができる。
また、実施例2では、マスタシリンダ圧力の発生回数のみに着目したが、他のブレーキ制御の作動時にリザーバ15a内にブレーキ液が貯留されたと判断される場面を検出し、その場面の発生回数を更にカウントに加算してもよい。また、実施例3でも、マスタシリンダ圧力の発生に伴うストローク量に限らず、他のブレーキ制御に伴うピストンストローク量を算出し、ピストンストローク量合計値に加算することで判断してもよい。
25 温度センサ
30 液圧制御ユニット
50 目標液圧演算部
51 リザーバストローク量演算部
52 リザーバ寿命判断部
M/C マスタシリンダ
P ギヤポンプ
Claims (2)
- ホイルシリンダ圧を自動的に液圧制御する液圧制御部と、
リザーバ室内をストロークするピストンにより液密に画成され、前記液圧制御によりブレーキ回路内のブレーキ液が流れ込む第1室と、前記ピストンを前記1室側に付勢する弾性部材を有する第2室と、を有するリザーバと、
前記ピストンのストローク量を算出するピストンストローク量算出部と、
前記算出されたピストンストローク量の積算値を算出するピストンストローク量積算値算出部と、
前記ピストンストローク量積算値がリザーバ寿命を考慮して設定された所定ストローク量になったときに、前記第1室へブレーキ液が流れ込む液圧制御を中止する制御中止部と、
を備えたことを特徴とするブレーキ装置。 - 運転者のブレーキ操作によってマスタシリンダから流出したブレーキ液をリザーバ内に流入させる液圧制御部と、
運転者のブレーキ操作によって発生したマスタシリンダ圧発生回数を算出するマスタシリンダ圧発生回数算出部と、
前記発生したマスタシリンダ圧発生回数が前記リザーバ寿命を考慮して設定された所定の発生回数に到達したときは、前記リザーバ内へブレーキ液が流れ込む液圧制御を中止する制御中止部と、
を備えたことを特徴とするブレーキ装置。
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