JP2014039931A - 電解質を含む液体から除去対象イオンを除去する除去方法 - Google Patents

電解質を含む液体から除去対象イオンを除去する除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】除去対象イオンを複数種含む液体から除去対象イオンを除去する除去方法を提供する。
【解決手段】有効イオンと複数種の除去対象イオンとを含む液体から、前記有効イオンよりも優先して前記除去対象イオンを電気透析により除去する除去方法であって、陽極と陰極との間に透析膜である複数のカチオン交換膜および複数のアニオン交換膜を用い、前記カチオン交換膜または前記アニオン交換膜の少なくともいずれかは、それぞれ面積の異なる複数の副イオン交換膜が重なって構成されており、前記複数の副イオン交換膜は、固有イオン移動量がそれぞれ異なっており、前記副イオン交換膜が有する前記除去対象イオンの前記固有イオン移動量は、前記副イオン交換膜が有する前記次亜燐酸イオンの前記固有イオン移動量よりも大きく、前記副イオン交換膜のそれぞれの面積比は、それぞれ異なっている電気透析装置3を用いることを特徴とする除去方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質を含む液体から除去対象イオンを除去する除去方法に関する。
陰イオンおよび陽イオンを含む電解質液、例えば無電解NiやCuメッキ液等では使用により反応を阻害する複数の陰イオンおよび陽イオン種が蓄積する。陰イオンとしては、次亜燐酸、ホルマリン等の還元剤が分解した亜燐酸、蟻酸等と、そして不足した金属イオンの対イオンとしての硫酸や塩素等の複数の陰イオンが存在する。また陽イオンとしては、NiやCu等の補充金属成分の対イオンとしてのNaやK等と、金属不純物としての鉄や鉛等複数の陽イオンが存在する。
上記の蓄積イオンの除去の為に電気透析法が提案されている。電気透析法では目的除外イオンの除去と同時に有効イオンも除去される為に、いかに有効イオンの除去を少なくするかが重要である。そのイオン除去量は、各イオン毎に使用されるイオン交換膜により個別な値を有し、複数種の除去対象イオンが存在する場合は、各除去対象イオンの除去目標量に対して同時に透析が終了することが、有効成分の損失を減少する上で必要である。
例えば、特許文献1では電解質液の陰極側にカチオン膜を配して陽イオンを除去し、陽極側ではアニオン膜を配して陰イオンを除去する提案がある。しかし、同一イオン種の複数種を同時に除去する場合は、各イオンと使用するイオン交換膜の間で除去効率に差があり、除去終了時点ではいずれかのイオンが過剰に又は不足気味に透析が終了する事になる。また、全ての除去対象イオンを目標通りに除去しようとすると、透析時間が長くなり有効成分の除去量が増加し透析効率を妨げることになる。
また、特許文献2では除去対象イオンである亜燐酸を第1段透析により濃縮し、次いで液のpHを6から10に変更することで亜燐酸を2価イオンにし、一価選択性を有する陰イオン交換膜を使用することで有効成分の次亜燐酸イオンとを有効に分離する。
また、特許文献3では2段階の透析を行ない、第2段目に一価選択性の陰イオン交換膜を使用することで亜燐酸と次亜燐酸の分離を行なうことが提案されている。
しかし、基本的には陰イオンおよび陽イオンの少なくともどちらか一方の複数のイオンの除去を対象とする場合、特許文献1と同様に過剰又は不足した透析となる。また、全ての除去対象イオンを目標通りに除去しようとすると、有効成分の除去量が増加し透析効率を妨げることになる。
特開昭63−303078号公報 特開2004−52029号公報 特許第3420570号明細書
以上のように、従来の技術においては、同一イオン種で複数の除去対象イオンを有する電解質液を同時に効率良く除去する提案はなされていない。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、電気透析法を用いて、除去対象イオンである陰又は陽イオン種の少なくともどちらかを複数種含む電解質液中から同時に除去対象イオンを除去し、かつ有効イオン成分の透析時の損失が少ない、除去対象イオンの除去方法を提供することである。
上記の課題を解決する電気透析装置は、除去対象イオンを含む電解質液から、電気透析法により前記除去対象イオンを除去する電気透析装置であって、陽極および陰極間に複数のカチオン交換膜およびアニオン交換膜を備え、前記カチオン交換膜およびアニオン交換膜の少なくともいずれか一方が、電気量1A×H、イオン交換膜面積1dmの条件下で測定された下記式(1)で示される固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)が異なる複数の膜からなることを特徴とする。
固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)=イオン移動量(g)÷電気量(A×H)÷イオン交換膜面積(dm) ・・・・(1)
(但し、イオン交換膜面積は、1個のカチオン交換膜またはアニオン交換膜の面積を示す。)
本発明によれば、電気透析法を用いて、除去対象イオンである陰又は陽イオン種の少なくともどちらかを複数種含む電解質液中から同時に除去対象イオンを除去し、かつ有効イオン成分の透析時の損失が少ない、除去対象イオンの除去方法を提供することができる。
本発明の電気透析装置の一実施態様を示す概念図である。 本発明の電気透析装置の他の実施態様を示す概念図である。 カチオン交換膜の固有イオン移動量を求める装置を示す概念図である。 アニオン交換膜の固有イオン移動量を求める装置を示す概念図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本実施形態に係る電気透析装置は、除去対象イオンを含む電解質液から、電気透析法により前記除去対象イオンを除去する電気透析装置であって、陽極および陰極間に複数のカチオン交換膜およびアニオン交換膜を備え、前記カチオン交換膜およびアニオン交換膜の少なくともいずれか一方が、電気量1A×H、イオン交換膜面積1dmの条件下で測定された下記式(1)で示される固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)が異なる複数の膜からなることを特徴とする。
固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)=イオン移動量(g)÷電気量(A×H)÷イオン交換膜面積(dm) ・・・・(1)
(但し、イオン交換膜面積は、1個のカチオン交換膜またはアニオン交換膜の面積を示す。)
本発明に係る除去対象イオンの除去方法は、
有効イオンと複数種の除去対象イオンとを含む液体から、前記有効イオンよりも優先して前記除去対象イオンを電気透析により除去する除去方法であって、
陽極と陰極との間に透析膜である複数のカチオン交換膜および複数のアニオン交換膜を用い、
前記カチオン交換膜または前記アニオン交換膜の少なくともいずれかは、それぞれ面積の異なる複数の副イオン交換膜が重なって構成されており、
前記複数の副イオン交換膜は、前記除去対象イオンの下記式(1)で示される固有イオン移動量がそれぞれ異なっており、
前記副イオン交換膜が有する前記除去対象イオンの前記固有イオン移動量は、前記副イオン交換膜が有する前記次亜燐酸イオンの前記固有イオン移動量よりも大きく、
前記副イオン交換膜のそれぞれの面積比は、下記式(2)で示される電気透析装置を用いることを特徴とする除去方法である。
固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)=イオン移動量(g)÷電気量(A×H)÷イオン交換膜面積(dm) ・・・・(1)
(式中、イオン交換膜面積は、1個の副イオン交換膜の面積を示す。)
式(2)は以下のように示される。
AMI1=(SA1×ZA×A1I1+・・・・+SAN×ZA×ANI1)×Q
AMI2=(SA1×ZA×A1I2+・・・・+SAN×ZA×ANI2)×Q


AMIn=(SA1×ZA×A1In+・・・・+SAN×ZA×ANIn)×Q
(式中、SA1・・・SANは副イオン交換膜の面積比であり、AMI1・・AMInは除去対象のイオンn種(I1・・・In)の除去目標量(g)であり、A1I1・・A1In〜ANI1・・ANInは使用する副イオン交換膜N種(A1・・・AN)ごとの除去対象イオンn種(I1・・・In)での固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)、Qは透析時の電気量(A×H)、ZAは使用する前記カチオン交換膜または前記アニオン交換膜のいずれか一方の副イオン交換膜の全面積(dm)を示す。)
本実施形態に係る電気透析装置の基本的構成は、脱塩すべく電解質液の陽極側に接する膜としてアニオン交換膜を配し、その陰極側にカチオン交換膜を配する。脱塩すべく電解質液中には除去対象イオンとして、陽イオンに複数種のイオン又は陰イオンに複数種が存在している溶液である。液中に複数の除去対象イオンが存在する電解質液としては、例えばNiや銅や金等の無電解メッキ液がある。
除去対象の陰イオン成分は、還元剤の分解物の亜燐酸もしくは蟻酸や、補充成分の対イオンとして硫酸や塩素等の陰イオン等であり、複数種のイオンが使用に伴って蓄積する。また、除去対象の陽イオン成分は、各種有機酸や還元剤等の対イオンとしてNaやK等、そして不純物イオンとして鉄や銅や鉛等の金属イオン等の複数種が蓄積する。その為各イオンに適するイオン交換膜を1つの透析装置の中に複数種配置した電気透析装置を用いる。
本発明では以下で得られる複数の固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)を持つイオン交換膜を1つの電気透析装置内に組み込むことを特徴とする。
固有イオン移動量は対象イオンに対してイオン交換膜ごとに有する固有の値で、下記式(1)により得ることが出来る。
固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)=イオン移動量(g)÷電気量(A×H)÷イオン交換膜面積(dm) ・・・・(1)
式(1)中のイオン移動量は目的イオンの透析処理により移動した量(g)で与えられ、電気量はイオン交換膜への電流と時間の積で与えられ、またイオン交換膜面積は透析装置の陽極と陰極間に設置されているアニオンまたはカチオン交換膜の総面積で与えられる。
本実施形態においては、前記カチオン交換膜およびアニオン交換膜の少なくともいずれか一方が複数の膜からなり、前記複数の膜は前記固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)から求められた膜の面積比が異なることが好ましい。
また、本実施形態においては、除去対象イオンが陰イオンからなり、前記陰イオンがn種(I1・・・In)で、使用するアニオン交換膜がN種(A1・・・AN)の場合、前記N種のアニオン交換膜の面積比(SA1・・・SAN)は下記の式から求められることが好ましい。
AMI1=(SA1×ZA×A1I1+・・・・+SAN×ZA×ANI1)×Q
AMI2=(SA1×ZA×A1I2+・・・・+SAN×ZA×ANI2)×Q


AMIn=(SA1×ZA×A1In+・・・・+SAN×ZA×ANIn)×Q
(式中、AMI1・・AMInは除去対象の陰イオンn種(I1・・・In)の除去目標量(g)、A1I1・・A1In〜ANI1・・ANInは使用するアニオン交換膜N種(A1・・・AN)ごとの除去対象陰イオンn種(I1・・・In)での固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)、Qは透析時の電気量(A×H)、ZAは使用するアニオン交換膜の全面積(dm)を示す。)
また、本発明においては、除去対象イオンが陽イオンからなり、前記陽イオンがn種(I1・・・In)で、使用するカチオン交換膜がN種(K1・・・KN)の場合、前記N種のカチオン交換膜の面積比(SK1・・・SKN)が下記の式から求められることが好ましい。
KMI1=(SK1×ZK×K1I1+・・・・+SKN×ZK×KNI1)×Q
KMI2=(SK1×ZK×K1I2+・・・・+SKN×ZK×KNI2)×Q


KMIn=(SK1×ZK×K1In+・・・・+SKN×ZK×KnIn)×Q
(式中、KMI1・・KMInは除去対象の陽イオンn種(I1・・・In)の除去目標量(g)、K1I1・・K1In〜KNI1・・KNInは使用するカチオン交換膜N種(K1・・・KN)ごとの除去対象陽イオンn種(I1・・・In)での固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)、Qは透析時の電気量(A×H)、ZKは使用するカチオン交換膜の全面積(dm)を示す。)
本実施形態で用いられるイオン交換膜のアニオン交換膜は、還元剤の分解物の亜燐酸や蟻酸等の除去に優れる膜であり、アストム社製ネオセプタACSや旭硝子エンジニアリング社製のセレミオンASV等が用いられる。補充成分の対イオンとして硫酸/塩素等の除去性に優れる膜としては、アストム社製ネオセプタAM1、AM3や旭硝子エンジニアリング社製のセレミオンAMV膜が除去目的量に応じて用いられる。
また本実施形態で用いられるカチオン交換膜は、対イオンとしてNa/K等を優先的に除去したい場合はセレミオンCMV膜やアストム社製ネオセプタCM1やCM2等が用いられる。鉄や銅や鉛等の金属不純物イオン等を優先的に除去したい場合は、アストム社製ネオセプタCMSや旭硝子エンジニアリング社製のセレミオンCSOやデュポン社製のナフィオン424等が用いられる。
イオン交換膜の面積比率は、アニオン交換膜およびカチオン交換膜の除去目的量に応じて面積比を決定する。
また、本実施形態で用いられる電解条件は特に制限は無いが、通常0.1A/dmから10A/dmが通常用いられる。
以上により、各陽・陰イオン中の複数種の除去対象イオン種が混在する場合、電気透析装置を構成しているイオン交換膜の面積比率を変えることで、複数の除去対象イオンの各目的量が同時に得られ、有効成分の透析時の損失が減少し透析効率が向上する。
本実施形態は、複数イオンの除去を目的とする電気透析において、アニオン交換膜またはカチオン交換膜を、複数種の固有イオン移動量を有するイオン交換膜で構成することで目的濃度に同時に到達するように配置した電気透析装置を用いる。
以下に図面を用いて本実施形態に係る電気透析装置を、無電解Niを例にして詳細に説明する。図1は本発明の電気透析装置の一実施態様を示す概念図である。図1において、電気透析対象とするメッキ液1は、循環ポンプ6により電気透析装置3を経由してメッキ槽2に循環再生される。電気透析装置3で透析された濃縮液4は循環ポンプ7により、電気透析装置3を経由して濃縮槽5に循環再生される。透析時は電源8の直流電源により所定電流が通電される。
図2は本発明の電気透析装置の他の実施態様を示す概念図である。アニオン交換膜とカチオン交換膜が各々N種類のイオン交換膜で構成されている電気透析装置3を示す。メッキ液はメッキ室9に導入され、濃縮室10にはメッキ液に影響を与えない塩例えば硫酸Naや硫酸等の電解質が導入される。ブロック1では除去対象とする陰又は陽イオンの第1番目(例えば陰イオンでは硫酸、陽イオンではNa)を優先する為のイオン交換膜(アニオン膜A1、カチオン膜K1)で構成される。またブロックNでは除去対象とする陰又は陽イオンの第N番目(例えば陰イオンでは亜燐酸、陽イオンでは鉄)を優先する為のイオン交換膜(アニオン膜An、カチオン膜Kn)で構成される。ブロックの配分数は各イオンの固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)に基づいて透析所要時間等により決定される。図2では、N種類のイオン交換膜をブロック毎に配置したが、膜面積比率が維持されていればであればその順序は問わない。
本発明におけるイオンの固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)は、図3および図4で示す装置により測定される。
図3はカチオン交換膜の固有イオン移動量を求める装置を示す概念図である。図3によりカチオン交換膜の固有イオン移動量を求めることが出来る。陽極室側に所定濃度に調整された脱塩液を規定量入れ、評価対象のカチオン交換膜21を設置し、陰極側に硫酸や硫酸Na等の電解質を入れ、一定の電気量を与えイオン移動量を測定し、単位当たりに換算し求めることが出来る。
図4はアニオン交換膜の固有イオン移動量を求める装置を示す概念図である。図4によりアニオン交換膜の固有イオン移動量を求めることが出来る。陰極室側に所定濃度に調整された脱塩液を規定量入れ、評価対象のアニオン交換膜31を設置し、陽極側に硫酸や硫酸Na等の電解質を入れ、一定の電気量を与えイオン移動量を測定し、単位当たりに換算し求めることが出来る。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
実施例1
図4の装置を用い、無電解Ni液(Ni2+:5g/L、硫酸(A):40g/L、亜燐酸(B)2−:60g/L、次亜燐酸:35g/L、ナトリウム:60g/L)1Lを脱塩室に入れ、10g/Lの酢酸ナトリウム溶液1Lを濃縮室に入れた。評価用アニオン膜として膜面積1dmの陰イオン交換膜AMV膜(SI)又はACS膜(SII)を形成し、10A×Hの電気量を与え濃縮室に移動した硫酸2−(A)、亜燐酸2−(B)、次亜燐酸(C)の各イオンをキャピラリー電気泳動装置(横河アナリィティカル社製)を用いて測定し各膜に対応する各イオンの移動量(g)を得た。その結果を表1に示す。
Figure 2014039931
ついで各膜の各イオンの固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)を得た。その結果を表2に示す。
Figure 2014039931
ついで、無電解Niメッキ液として陰イオン不要成分の亜燐酸と硫酸イオンを除去する為に、図1に示す電気透析装置を用いて、上記メッキ液組成100Lの老化した液を再生の為に、硫酸濃度(A)を5g/Lに(除去目標量は3500g)また亜燐酸濃度(B)を10g/Lに(除去目標量は5000g)すべく、アニオン交換膜の膜面積35dmを有する透析ユニットを用意し、電気量をQとした時の、陰イオン交換膜の膜面積比率(AMV/ACS)=(SI/SII)を以下求めた。
(硫酸イオン)
3500=(35×SI×2.2+35×SII×1.3)×Q
(亜燐酸イオン)
5000=(35×SI×0.9+35×SII×2.6)×Q
AMV/ACS=SI/SII=16.3Q/49.3Q
以上により、アニオン交換膜の膜面積35dmでの各膜面積比率は、以下のようにして得られる。
AMV膜面積(dm)=35(dm)×16.3/(16.3+49.3)=8.75
ACS膜面積(dm)=35(dm)×49.3/(16.3+49.3)=26.25
AMV膜は8.75dmで、ACS膜は26.25dmである。
上記比率で構成された電気透析装置を用いて、電流5(A)で透析を13.11時間行うことで硫酸と亜燐酸イオンの各々が以下の様にメッキ液から除去された。
硫酸イオン=(8.75×2.2+26.25×1.3)×5(A)×13.11(H)=3499(g)≒3500(g)
亜燐酸イオン=(8.75×0.9+26.25×2.6)×5(A)×13.11(H)=4996(g)≒5000(g)
以上のように除去目標の硫酸(3500g)と亜燐酸イオン(5000g)は同時に得られた。この場合の有効成分の次亜燐酸の損失量は以下により得られ,1262gであった。
次亜燐酸イオン=(8.75×0.4+26.25×0.6)×5(A)×13.11(H)=1262(g)
比較例1
実施例1に同様な液組成の無電解NIメッキ液量(100L)を実施例1と同様の装置でアニオン交換膜の膜面積(35dm)、電流(5A)で陰イオン交換膜をAMV膜だけで構成した場合の各イオンの必要透析時間を求めた。
硫酸と亜燐酸イオンの目標濃度を得るには実施例1記載のAMV膜の固有イオン移動量から各々
(硫酸の場合)
3500=2.2×35×5(A)×T1(H)
T1=9.09(H)
(亜燐酸の場合)
5000=0.9×35×5(A)×T2(H)
T2=31.7(H)
となり、透析必要時間は大きく異なり、どちらかのイオンが過剰又は不足状態が生ずる。
又、硫酸と亜燐酸イオンを目標量を得ようとするとT2=31.7(H)の透析が必要となり、有効成分の次亜燐酸は以下の式で得られる様に、2219(g)除去され、実施例1よりも1.75倍多く除外された。
次亜燐酸イオン=(35×0.4)×5(A)×31.7(H)=2219(g)
比較例2
実施例1に同様な液組成で液量(100L)、アニオン交換膜の膜面積(35dm)、電流(5A)で陰イオン交換膜をACS膜だけで構成した場合の各イオンの必要透析時間を求めた。
硫酸と亜燐酸イオンの目標濃度を得るには実施例1記載のACS膜の固有イオン移動量から各々
(硫酸の場合)
3500=1.3×35×5(A)×T1(H)
T1=15.38(H)
(亜燐酸の場合)
5000=2.6×35×5(A)×T1(H)
T2=10.99(H)
となり、透析必要時間は大きく異なり、どちらかのイオンが過剰又は不足状態が生ずる。
又、硫酸と亜燐酸イオンを目標量を得ようとするとT2=15.38(H)の透析が必要となり、有効成分の次亜燐酸は以下の式で得られる様に、1615(g)除去され、実施例1よりも1.28倍多く除外された。
次亜燐酸イオン=(35×0.6)×5(A)×15.38(H)=1615(g)
実施例2
図3の装置を用い無電解Ni液(Ni(D):5g/L、Na(A):50g/L、不純物イオンのFe(B):2g/L、鉛(C):0.5g/L、次亜燐酸:20g/L)1Lを脱塩室に入れ、10g/Lの酢酸ナトリウム溶液1Lを濃縮室に入れた。評価用カチオン膜として膜面積1dmの陽イオン交換膜膜ナフィオン424膜(SI)又はセレミオンCMV膜(SII)を形成し、10AHの電気量を与え、濃縮室に移動したNa(A)、鉄(B)、鉛(C)、Ni(D)イオンをキャピラリー電気泳動装置を用いて測定し、各膜に対応する各イオンの移動量(g)を得た。その結果を表3に示す。
Figure 2014039931
ついで各膜での各イオンの固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)以下を得た。その結果を表4に示す。
Figure 2014039931
上記メッキ液(100L)を図1に示す電気透析装置を用いて、無電解Niメッキ液としての不要成分の液再生の為にNa濃度(A)を10g/Lに(除去目標量は4000g)、鉄濃度(B)を0.1g/Lに(除去目標量は190g)、鉛濃度(C)を0.05g/Lに(除去目標量は45g)すべく、カチオン交換膜の膜面積35dmを有する透析装置を用意し、電気量をQとした時の陽イオン交換膜の膜面積比率(CMV/CSO/424)=(SI/SII/SIII)を以下求めた。
(Naイオン)
4000=(35×SI×2.0+35×SII×1.4+35×SIII×1.1)×Q
(鉄イオン)
190=(35×SI×0.05+35×SII×0.12+35×SIII×0.08)×Q
(鉛イオン)
45=(35×SI×0.01+35×SII×0.02+35×SIII×0.05)×Q
(CMV/CSO/424)=(SI/SII/SIII)=35Q/24.7Q/8.8Q
以上によりカチオン交換膜の膜面積35dmでの各膜面積比率は以下得られる。
CMV膜面積(dm)=35(dm)×35/(35+24.7+8.8)=17.8
CSO膜面積(dm)=35(dm)×24.7/(35+24.7+8.8)=12.6
424面積(dm)=35(dm)×8.8/(35+24.7+8.8)=4.6
以上により各膜面積は,CMV膜は17.8dm、CSO膜は12.6dm、ナフィオン膜は4.6dmが得られた。
上記比率において電流5Aで透析を13.7時間行うことでNaと鉄と鉛イオンは以下の除去量(g)が得られた。
Naイオン=(17.8×2.0+12.6×1.4+4.6×1.1)×5(A)×13.7(H)=3995(g)≒4000(g)
鉄イオン=(17.8×0.05+12.6×0.12+4.6×0.08)×5(A)×13.7(H)=190(g)
鉛イオン=(17.8×0.01+12.6×0.02+4.6×0.05)×5(A)×13.7(H)=45(g)
以上のように除去目標のNa(4000g)と鉄(190g)と鉛(45g)イオンは同時に得られた。
この場合の有効成分のNiの損失量は以下式により得られ1973gであった。
Niイオン=(17.8×0.76+12.6×0.9+4.6×0.86)×5(A)×13.7(H)=1973(g)
比較例3
実施例2に同様な液組成で液量(100L)、カチオン交換膜の膜面積(35dm)、電流(5A)で陽イオン交換膜をCMV膜だけで構成した場合の各イオンの必要透析時間を以下に求めた。
NaとFeと鉛イオンの除去目標量を得るには実施例2記載のCMV膜の固有イオン移動量から各々
(Naイオンの場合)
4000=2.0×35×5×T1(H)
T1=11.4(H)
(Feイオンの場合)
190=0.05×35×5×T2(H)
T2=21.7(H)
(鉛イオンの場合)
45=0.01×35×5×T3(H)
T3=25.7(H)
となり、透析必要時間は大きく異なり、どちらかのイオンが過剰又は不足状態が生ずる。
また、Naと鉄と鉛イオンの除去目標量を得ようとするとT3=25.7(時間)の透析が必要となり、有効成分のNiの除去量は以下の式により得られ、3418(g)除去され、実施例1よりも1.73倍多く除外された。
Niイオン=(35×0.76)×5(A)×25.7(H)=3418(g)
本実施形態に係る除去対象イオンの除去方法は、電気透析法を用いて、除去対象イオンである陰又は陽イオン種の少なくともどちらかを複数種含む電解質液中から同時に除去対象イオンを除去し、かつ有効イオン成分の透析時の損失が少ないので、有価成分の回収として利用することができる。
1 メッキ液
2 メッキ槽
3 電気透析装置
4 濃縮液
5 濃縮液槽
6,7 循環ポンプ
8 電源
21 カチオン交換膜
22 脱塩室
23 濃縮室
31 アニオン交換膜
32 脱塩室
33 濃縮室

Claims (1)

  1. 有効イオンと互いに種類の異なる第1および第2の除去対象陰イオンとを含む電解質液から、前記第1および前記第2の除去対象陰イオンを前記有効イオンよりも多く除去する電気透析装置であって、
    陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置されている複数のカチオン交換膜および複数のアニオン交換膜と、を有し、
    前記カチオン交換膜と前記アニオン交換膜とは、前記陽極から前記陰極の方向に交互に配置されており、
    隣接する前記カチオン交換膜と前記アニオン交換膜との間に前記電解質液を導入するための室を有し、
    前記複数のアニオン交換膜は、第1のアニオン交換膜と第2のアニオン交換膜とを含み、
    固有イオン移動量を下記式(1)で表す場合、
    固有イオン移動量(g/(A×H)/dm)=イオン移動量(g)÷電気量(A×H)÷アニオン交換膜面積(dm) ・・・・(1)前記第1のアニオン交換膜における前記第1の除去対象陰イオンの固有イオン移動量は、前記第2のアニオン交換膜における前記第1の除去対象陰イオンの固有イオン移動量よりも大きく、
    前記第1のアニオン交換膜における前記第2の除去対象陰イオンの固有イオン移動量は、前記第2のアニオン交換膜における前記第2の除去対象陰イオンの固有イオン移動量よりも小さいことを特徴とする電気透析装置。
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