次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。なお、本発明の主要な構成や処理は、後述の第2実施例が該当する。
[第1実施例]
図1は本発明の一実施例であるパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2は複数台のパチンコ機10がネットワーク接続されている様子を示す説明図であり、図3は第1実施例のパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図4は第1実施例のパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
[パチンコ機10の全体構成]
第1実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の最上部には遊技の進行に伴って遊技者に遊技状態を報知するためのLEDランプ93a,93bが設けられ、左上部と右上部には遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられている。前面枠11の右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26と、同一島内の他のパチンコ機10(以下、他機とも呼ぶ)との通信を行うための通信ボタン27とが配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
また、図2に示すように、本実施例では、同一島内に設置されている複数台のパチンコ機10が通信ケーブル1を介して接続されており、互いに制御信号やデータのやり取りが可能となっている。なお、複数台のパチンコ機10は、台毎に割り当てられた固有の識別情報(ID)を用いて通信を行う。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図3に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図4参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物50と、センター役物50の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第1始動口スイッチ36a(図4参照)を有する第1始動口36と、センター役物50の左部に形成され遊技球の入賞を検知する第2始動口スイッチ38a(図4参照)を有する第2始動口38と、第2始動口38に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置され遊技球の入賞を検知する大入賞口スイッチ44b(図4参照)を有する大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置された一般入賞口スイッチ45a(図4参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、普通図柄作動ゲート32の下側には風車48が設けられ、上述した各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
普通電動役物39は、第2始動口38に設けられた翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(図4参照)と、を備える。この普通電動役物39では、翼片部39aが直立しているときには第2始動口38への遊技球の入賞の可能性が比較的低い通常状態となり(図3の点線参照)、翼片部39aが左側に開いているときには第2始動口38への遊技球の入賞の可能性が通常状態よりも高い開放状態となる(図3の実線参照)。なお、本実施例では、翼片部39aが直立した通常状態においては、第2始動口38への遊技球の入球が不可能となるように構成されている。
大入賞口44は、通常は遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特別遊技)のときに、大入賞口ソレノイド44a(図4参照)によって遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となるよう駆動される。大入賞口44には、遊技球の入賞を検知すると共にその入賞数をカウントするための大入賞口スイッチ44b(図4参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、大入賞口スイッチ44bが遊技球の入賞を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで大入賞口44の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ大入賞口44を閉状態とする。
図柄表示装置40は、図5の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、大当り遊技の規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す図柄を表示するラウンド表示装置43と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図6に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図示するように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図6の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図6の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図6の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図6の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより普通図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で普通図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された普通図柄の表示態様が特定の表示態様(例えば、図6の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして普通電動役物39を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図5に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38かのいずれかの入賞が検知されたときに、第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bのうち対応する特別図柄表示部の表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、大当りとなる。本実施例では、第1特別図柄表示部42aが第1始動口36への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示させる第1始動口入賞時用の表示部に対応し、第2特別図柄表示部42bが第2始動口38への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示させる第2始動口入賞時用の表示部に対応している。以下、特に、第1始動口入賞時用の第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄とも呼び、第2始動口入賞時用の第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄とも呼ぶ。図7に、大当り時における特別図柄表示装置42の表示態様の一例を示す。図示するように、第1の通常大当りとなる特別図柄(第1の通常大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける中段の横棒セグメントと右上,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様とがある(図7の上から1段目参照)。また、第1の確変大当りとなる特別図柄(第1の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段の横棒セグメントと左上および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図7の上から2段目参照)。第2の通常大当りとなる特別図柄(第2の通常大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右上,左上の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける下段の横棒セグメントと左上,左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図7の上から3段目参照)。第2の確変大当りとなる特別図柄(第2の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段および下段の横棒セグメントと左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図7の上から4段目参照)。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入賞したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
ここで、第1の通常大当りは、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示されたときに普通電動役物39の開放時間が延長される状態(いわゆる時短状態)となる大当り態様である。なお、第1の通常大当りに係る大当り遊技の終了後には、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低い低確率状態(低確率モードとも呼ぶ)となる。第1の確変大当りは、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低確率状態よりも高くなる確変状態(高確率モードとも呼ぶ)となり且つ時短状態となる大当り態様である。また、第2の通常大当りは、大入賞口44の開放動作が第1の通常大当りよりも少ないラウンド数(例えば、2ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、低確率状態となり且つ所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで時短状態となる大当り態様である。第2の確変大当りは、大入賞口44の開放動作が第2の通常大当りと同様のラウンド数に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、確変状態となり且つ第1の通常大当りと同様の所定回数の特別図柄の変動表示が行われるまで時短状態となる大当り態様である。本実施例では、第2の通常大当りまたは第2の確変大当りに当選すると、大当り遊技の終了後の演出状態を互いに同一に(または酷似)するものとし、大当り遊技の終了後の遊技状態が低確率状態なのか確変状態なのかを遊技者に直接に報知しないものとしている。このため、第2の確変大当りは、遊技者にとって大当り遊技の終了後の遊技状態が確変状態であるか否かを認識することが困難であるから、潜伏確変大当りとも呼ぶ。もっとも、特別図柄表示装置42では通常大当り図柄と確変大当り図柄とをそれぞれ区別して停止表示するから、遊技者は、予め調査された判別表などを参照して今回の大当りに係る特別図柄表示装置42の表示態様を確認することで、大当りが潜伏確変大当りであるか否かを判別することは可能である。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の演出表示装置34は、図8に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。この演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入賞したときと、遊技球が第2始動口38に入賞したときに、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。図9に、演出表示装置34の演出図柄の変動表示および停止表示の一例を示す。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり(図9(a)参照)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり(図9(b)参照)、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる(図9(c)参照)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と一致する。
また、演出表示装置34は、本実施例では、表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される。第2保留図柄35bも、第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される。
こうして構成された第1実施例のパチンコ機10では、第1始動口36は演出表示装置34(センター役物50)の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38は演出表示装置34の左側に配置されており、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32を通過させることができ、普通図柄が当りとなって普通電動役物39が第2始動口38を開放すると、遊技者は左打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。さらに、大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて大入賞口44に入球させることができる。
[制御回路の構成]
次に、第1実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図4を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図4に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図4では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。また、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図10に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図4に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入賞信号や第2始動口スイッチ38aからの入賞信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や大入賞口スイッチ44bからの入賞信号,一般入賞口スイッチ45aからの入賞信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や普通電動役物ソレノイド39bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44aへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図4に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図10に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90c、通信ポート90dなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93a,93bを駆動したりセンター役物50の可動式の装飾部材を作動させるための装飾モータ93cを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26からの操作信号を入力する演出ボタン基板94、通信ボタン27からの操作信号を入力する通信ボタン基板95などが接続されている。また、サブ制御基板90は、通信ポート90dに通信ケーブル1が接続されており、通信ケーブル1を介して他のパチンコ機との通信を行う。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信している。
[主制御処理]
次に、こうして構成された第1実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図11は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、遊技開始処理(S110)と、普通図柄遊技処理(S120)と、普通図柄当り遊技処理(S130)と、特別図柄遊技処理(S140)と、大当り遊技処理(S150)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S110〜S150の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[遊技開始処理]
S110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44b,一般入賞口スイッチ45aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種乱数値(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44b,一般入賞口スイッチ45aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入賞が検知されて主制御基板70から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
S120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行なうと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(図6参照)を決定する。普通図柄の当否判定は、時短状態にないときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われ、時短状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動表示時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動表示時間が経過するのを待つ。変動表示時間の設定は、時短状態にないときには長時間(例えば、30秒)に設定され、時短状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動表示時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、普通電動役物39の開放時間を設定し、普通電動役物39の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。普通電動役物39の開放時間は、時短状態にないときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、時短状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、普通電動役物39の開放は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することによって、翼片部39aを左に開くことにより行なう。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄当り遊技処理に進む。このように、時短状態においては、普通図柄の変動時間を短縮する変動時間機能を作動させると共に普通図柄の当選確率を向上させる確率変動機能を作動させ、且つ、普通電動役物39の開放時間を延長する開放延長機能を作動させる。このため、本実施例の時短状態を、開放延長機能作動状態または確変状態ともいう。また、これら3つの機能を同時に作動させる形態のみを例示したが、いずれか1つの機能またはいずれか2つの機能を作動させる形態とすることもできる。
[普通図柄当り遊技処理]
S130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、普通電動役物39が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が第2始動口38に入賞しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入賞してもいないと判定すると、普通電動役物39の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入賞していると判定すると、普通電動役物39の駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
S140の特別図柄遊技処理は、図12〜図14に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1始動口36に遊技球が入賞したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納し(S206)、第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S208)。S206で取得される判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞により行われる当り判定の際に用いられる当り判定用乱数や、当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。また、第1特別図柄保留発生時コマンドには、判定用乱数を示すコマンドや保留数を示すコマンドが含まれている。これらのコマンドは、共通のコマンドとして送信するものとしてもよいし、別個のコマンドとして送信するものとしてもよい。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入賞していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S208の処理をスキップして次の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入賞したか否かを判定する(S210)。第2始動口38に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定されたときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S214)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納し(S216)、第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S218)。ここで、S216で取得される判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞時と同様に、大当り判定用乱数や第2特別図柄表示部42bに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数などが挙げられる。また、S218で送信する第2特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を第2保留図柄35bで表示するための保留数指定コマンドが含まれる。なお、S210で第2始動口38に遊技球が入賞していないと判定されたり、S212で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S214〜S218の処理をスキップして次の処理に進む。
次に、大当り遊技中であるか否か(S220)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S222)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S224)をそれぞれ判定する。大当り遊技中と判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の大当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S226)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S228)、図15に示す変動表示関連処理を実行して(S230)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S232)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S234)、変動表示関連処理を実行して(S236)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S226〜S236では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される。以下、変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(図15のフローチャート)を用いて説明する。
変動表示関連処理では、まず、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が高確率モードおよび低確率モードのいずれの状態であるかを判定する(S300)。確変フラグがオフのとき、即ち現在の遊技状態が低確率モードのときにはS228またはS234で読み出した大当り判定用乱数と低確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行い(S302)、確変フラグがオンのとき、即ち現在の遊技状態が高確率モードのときには読み出した大当り判定用乱数と高確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行って(S304)、その判定結果が大当りか否かを判定する(S306)。大当り判定テーブルの一例を図16に示す。なお、図16(a)に低確率用大当り判定テーブルを示し、図16(b)に高確率用大当り判定テーブルを示す。図示するように、本実施例では、第1特別図柄と第2特別図柄とで同一の大当り判定テーブルを用いるものとし、低確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61のときに大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率用大当り判定テーブルでは当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79のときに大当りとするものとした(1/39.85の大当り確率)。
S306で大当り判定の結果が大当りと判定されたときには、判定用乱数記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(S308)、読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて停止表示させる大当り図柄を選択して設定する(S310)。ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、図17に例示する第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられ、第2特別図柄の大当り図柄の決定には、図18に例示する第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられる。第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図17に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図7の左側の1段目の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜203のときに図7の左側の2段目の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値204〜230のときに図7の左側の3段目の図柄が選択されて「第2の通常大当り」となり(約10%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値231〜255のときに図7の左側の4段目の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約10%の大当り振り分け確率)。また、第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図18に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図7の右側の1段目の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜229のときに図7の右側の2段目の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約50%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値230〜242のときに図7の右側の3段目の図柄が選択されて「第2の通常大当り」となり(約5%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値243〜255のときに図7の右側の4段目の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約5%の大当り振り分け確率)。大当り図柄を決定すると、大当り時の特別図柄の変動パターンを決定するための大当り用変動パターンテーブルを振り分ける図19の大当り用変動パターンテーブル振分処理を実行する(S312)。
大当り用変動パターンテーブル振分処理は、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が高確率モードか否か(S330)、変動短縮フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が時短状態か否か(S332)をそれぞれ判定し、確変フラグがオンのときには高確率時大当り用変動パターンテーブルを設定し(S334)、確変フラグがオフで変動短縮フラグがオンのときには低確率時短時大当り用変動パターンテーブルを設定し(S336)、確変フラグがオフで変動短縮フラグがオフのときには低確率非時短時大当り用変動パターンテーブルを設定することにより行われる(S338)。図20に高確率モード時における大当り用変動パターンテーブルの一例を示し、図21に低確率モード時における大当り用変動パターンテーブルの一例を示す。なお、図21(a)に低確率時短時大当り用変動パターンテーブルを示し、図21(b)に低確率非時短時大当り用変動パターンテーブルを示す。なお、図20および図21には、便宜上、少数のパターンを記憶したテーブルを示しているが、実際には、より多数のパターン(例えば、20種類以上のパターン)を記憶したテーブルが用いられる。
大当り用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出し(S314)、読み出した変動パターン決定用乱数と設定した大当り用変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定する(S316)。
一方、S306で大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れ図柄を設定し(S318)、外れ時の特別図柄の変動パターンを決定するための外れ用変動パターンテーブルを振り分ける図22の外れ用変動パターンテーブル振分処理を実行する(S320)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。
外れ用変動パターンテーブル振分処理は、確変フラグがオンか否か(S340)、変動短縮フラグがオンか否か(S342)をそれぞれ判定し、確変フラグがオンのときには高確率時外れ用変動パターンテーブルを設定し(S344)、確変フラグがオフで変動短縮フラグがオンのときには低確率時短時外れ用変動パターンテーブルを設定し(S346)、確変フラグがオフで変動短縮フラグがオフのときには低確率非時短時外れ用変動パターンテーブルを設定することにより行われる(S348)。図23に高確率モード時における外れ用変動パターンテーブルの一例を示し、図24に低確率モード時における外れ用変動パターンテーブルの一例を示す。なお、図24(a)に低確率時短時外れ用変動パターンテーブルを示し、図24(b)に低確率非時短時外れ用変動パターンテーブルを示す。図23および図24には、便宜上、少数のパターンを記憶したテーブルを示しているが、実際には、より多数のパターン(例えば、20種類以上のパターン)を記憶したテーブルが用いられる。また、図示するように、外れ用変動パターンテーブルでは、リーチ表示があるときのリーチ用の変動パターンテーブルとリーチ表示がないときの非リーチ用の変動パターンテーブルとが用意されている。
外れ用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数とリーチ用乱数とを読み出し(S322)、読み出した変動パターン決定用乱数およびリーチ用乱数とセットした外れ用変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定する(S324)。
こうして大当り図柄とその変動パターンあるいは外れ図柄とその変動パターンを設定すると、特別図柄の変動表示を開始すると共に(S326)、図柄変動開始時コマンドをサブ制御基板90に送信して(S328)、変動表示関連処理を終了する。ここで、図柄変動開始時コマンドには、大当り判定の結果が大当りのときには大当り変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれ、大当り判定の結果が外れのときには外れ変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と外れ停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれている。図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90は、コマンドを解析し、その解析結果に基づいて演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、その決定に応じた制御信号(演出コマンド)を演出表示制御基板91に出力して演出表示装置34の制御を行う。
図12〜図14の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S222で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(S238)。変動表示時間は特別図柄の変動パターンを決定する際に変動パターンに応じて決定されているから、変動表示時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と決定されている変動表示時間とを比較することにより行うことができる。変動表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間が経過していると判定すると、変動中の特別図柄の変動表示を停止し(S240)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S242)。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(S244)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S246)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S224で停止表示時間中と判定するため、再びS246で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S248)。
S248で大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S250)、大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御基板90に送信する(S252)。これにより、後述する大当り遊技処理によって大当り遊技が開始されることになる。また、大当り遊技中には確変機能や時短機能,開放延長機能を停止させるために、確変フラグがオンのときには確変フラグをオフとし(S254,S256)、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとする(S258〜S262)。さらに、潜伏確変フラグがオンのときには潜伏確変フラグをオフとして(S264,S266)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の大当り遊技処理に進む。
一方、S248で大当り図柄でないと判定すると、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S268)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S270)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S272)。ここで、変動短縮カウンタは、時短(特別図柄および普通図柄の変動短縮)状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際して大当り態様に応じた値がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、時短状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S274)、開放延長フラグをオフとし(S276)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S278)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、時短状態から非時短状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す変動短縮フラグや開放延長フラグの設定状況などが含まれる。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を時短用の背景から非時短用の背景に変更する等の処理を行う。なお、S272の判定は低確率モードか高確率モードかに拘わらず実行されるが、第1の確変大当りや第2の確変大当りでは、大当り終了後に、変動短縮カウンタに10,000回が設定されるため、これらの確変大当りの場合に、変動短縮カウンタが値0となることは通常あり得ず、次回に大当りを引くまで時短状態が終了することはない。
[大当り遊技処理]
S150の大当り遊技処理は、図25に示すフローチャートに従って実行される。図25の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンであるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(ステップ400)。大当り遊技フラグがオフであると判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオフであると判定すると、大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S402)、大入賞口44が開放中でない、即ち閉鎖中であると判定すると、大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(S404)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御して(S406)、大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の開放タイミングでないと判定すると、大入賞口44を閉鎖したまま大当り遊技処理を一旦終了する。
S402で大入賞口44が開放中であると判定すると、大入賞口44の閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S408)。この判定は、規定の開放時間が経過したか、大入賞口44に入賞した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。なお、開放時間は、本実施例では、25秒に設定されている。大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御し(S410)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S412)。大当り遊技の終了条件は、大入賞口44の開放と閉鎖の繰り返し回数(ラウンド数)が規定数(本実施例では、第1の通常大当りまたは第1の確変大当りの場合には15回で第2の通常大当りまたは第2の確変大当りの場合には2回)に達したときに成立するものとした。大当り遊技の終了条件が成立していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技の終了条件が成立したと判定すると、図26に示す大当り遊技終了時処理を実行して(S414)、大当り遊技処理を終了する。
図26の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグをオンからオフとし(S450)、今回の大当りが確変大当り、即ち「第1の確変大当り」および「第2の確変大当り」のいずれかであるかを判定する(S452)。今回の大当りが確変大当りでない、即ち通常大当り(「第1の通常大当り」または「第2の通常大当り」)であると判定すると、変動短縮カウンタを100回に設定する(S454)。一方、今回の大当りが確変大当りと判定すると、確変フラグをオンとし(S456)、更に、確変大当りが「第1の確変大当り」であるか否かを判定する(S458)。確変大当りが「第1の確変大当り」と判定すると、変動短縮カウンタを10,000回に設定する(S458)。上述したように、変動短縮カウンタが10,000回に設定されると、実質的には、次回の大当りを引くまで時短状態が継続される。一方、確変大当りが「第2の確変大当り(潜伏確変大当り)」と判定すると、潜伏確変フラグをオンとし(S462)、変動短縮カウンタを100回に設定する(S454)。こうして変動短縮カウンタをセットすると、変動短縮フラグをオンとすると共に(S464)、開放延長フラグをオンとし(S466)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S468)、大当り遊技終了時処理を終了する。ここで、S468の処理は、確変フラグがオンで且つ潜伏確変フラグがオフの場合には確変時用の遊技状態指定コマンドを送信し、確変フラグがオンでない場合や確変フラグがオンであっても潜伏確変フラグがオンの場合には時短時用(通常時用)の遊技状態指定コマンドを送信する。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、受信したコマンドが確変時用のコマンドであれば演出表示制御基板91に確変時用の演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を確変用の背景に設定する処理等を行い、受信したコマンドが時短時用のコマンドであれば演出表示制御基板91に時短時用の演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を時短用の背景に設定する処理等を行う。したがって、第2の確変大当り(潜伏確変大当り)を引くと、大当り遊技の終了後には確変状態となるものの、演出表示装置34の画面表示は通常状態と変わらないため、遊技者は演出表示装置34の画面表示から確変状態であるか通常状態であるかを区別することは困難である。
[演出制御処理]
次に、サブ制御基板90により実行される動作について説明する。図27は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、通信依頼送信処理(S500)と、通信可否設定処理(S510)と、保留発生時演出処理(S520)と、図柄変動演出処理(S530)と、他機大当り発生報知処理(S540)と、ボタン演出処理(S550)と、ボタン協力操作演出処理(S560)と、大当り遊技演出処理(S570)と、潜伏確変報知指示処理(S580)と、潜伏確変報知処理(S590)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、保留発生時演出処理は、図12の特別図柄遊技処理のS208で主制御基板70からの第1特別図柄保留発生時コマンドが受信されたときには第1特別図柄の保留数カウンタを値1だけインクリメントすると共に保留図柄35aの表示を一つ追加し、S218で主制御基板70からの第2特別図柄保留発生時コマンドが受信されたときには第2特別図柄の保留数カウンタを値1だけインクリメントすると共に保留図柄35bの表示を一つ追加することにより行われる。また、大当り遊技演出処理は、大当り遊技の際に主制御基板70からの送信されるコマンドに対応して各種演出を実行することにより行われる。例えば、図14の特別図柄遊技処理のS252で主制御基板70から送信された大当り遊技開始指定コマンドを受信したときには、大当り遊技開始演出(ファンファーレ演出)を実行し、図26の大当り遊技終了時処理のS466で主制御基板70から送信された大当り遊技終了指定コマンドを受信したときには、大当り遊技終了演出(エンディング演出)を実行する。なお、各演出は、実行する演出に応じた画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLEDランプ93a,93bが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。以下、S500の通信依頼送信処理と、S510の通信可否設定処理と、S530の図柄変動演出処理と、S540の他機大当り発生報知処理と、S550のボタン演出処理と、S560のボタン協力操作演出処理と、S580の潜伏確変報知指示処理と、S590の潜伏確変報知処理を順に説明する。
[通信依頼送信処理]
通信依頼送信処理は、図28のフローチャートに従って実行される。図28の通信依頼送信処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、通信ボタン27が操作されたか否か(S600)、通信ケーブル1に接続された他のパチンコ機10と通信が可能な状態であるか否か(S602)をそれぞれ判定し、通信ボタン27が操作されたと判定すると共に他のパチンコ機10との通信が可能と判定すると、通信が可能な全てのパチンコ機10に対して通信依頼を送信して(S604)、通信依頼送信処理を終了する。ここで、S602の判定は、本実施例では、他のパチンコ機10から通信依頼を受信していない状態か否かを判定することにより行う。
[通信可否設定処理]
通信可否設定処理は、図29のフローチャートに従って実行される。図29の通信可否設定処理は、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、他のパチンコ機10から送信された通信依頼を受信したか否かを判定する(S650)。通信依頼を受信したと判定すると、演出表示制御基板91に制御信号を出力することにより、通信可否選択画面を演出表示装置34に表示させる(S652)。図30に、通信可否選択画面の一例を示す。通信可否選択画面は、図30に示すように、「通信依頼が届いています。許可する場合は通信ボタンを押して下さい。」などのメッセージを表示することにより、遊技者に対して通信の可否を選択するための通信ボタン27の操作を促す。通信依頼に対して所定時間内に通信ボタン27を操作すると、通信を許可し、通信ボタン27が操作されないまま所定時間が経過すると、通信を拒否する。なお、通信依頼のメッセージは、演出図柄の変動表示の視認を妨げない位置に表示される。そして、通信が許可されたか否かを判定し(S654)、通信が許可されたと判定すると、通信許可フラグをオンとし(S656)、通信が許可されていないと判定すると、通信許可フラグをオフとする(S658)。ここで、通信許可フラグのオンオフ状態は、通信依頼を送信したパチンコ機10の識別情報(ID)に関連付けて記憶され、各パチンコ機10毎に管理される。なお、S650で通信依頼を受信していないと判定すると、S652〜S658の処理をスキップして次のS660の処理に進む。次に、通信許可フラグがオンであるか否かを判定する(S660)。通信許可フラグがオンであると判定すると、通信許可フラグがオンされてから所定時間(例えば1時間)が経過したか否かを判定し(S662)、所定時間が経過したと判定すると、通信許可フラグをオフとして(S664)、通信可否設定処理を終了する。一方、S660で通信許可フラグがオンでないと判定したり、通信許可フラグがオンであってもS662で所定時間が経過していないと判定すると、そのまま通信可否設定処理を終了する。このように、あるパチンコ機10において遊技者が通信ボタン27を操作すると、通信可能な全てのパチンコ機10に対して通信依頼が送信され、通信依頼を受信した各パチンコ機10において遊技者が通信依頼に応じて通信ボタン27を操作すると、通信依頼を送信したパチンコ機10との間で通信を使った特殊な演出が可能な状態となる。なお、この特殊な演出についての詳細は後述する。
[図柄変動演出処理]
図柄変動演出処理は、図31に例示するフローチャートに従って実行される。図31の図柄変動演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、図15の変動表示関連処理のS328の処理で主制御基板70により送信される図柄変動開始時コマンドを受信したか否かを判定する(S700)。図柄変動開始時コマンドを受信したと判定すると、その受信したコマンドに基づき今回の大当り判定の結果が大当りか否かを判定し(S702)、大当りのときには、大当り演出パターンを設定すると共に(S704)、演出図柄の大当り図柄を設定して(S706)、図柄変動演出を開始する(S708)。前述したように、大当りのときの図柄変動開始時コマンドには、大当り変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれているから、演出表示装置34に表示される大当り演出パターンや大当り図柄の選択は、ROM90bに予め記憶されている大当り演出パターンや大当り図柄のうち、受信した変動パターン指定コマンドに対応する演出パターンと受信した特別図柄停止情報指定コマンドに対応する停止図柄とを読み出すことにより行うことができる。図柄変動演出を開始すると、通信が可能な他のパチンコ機10に図柄変動演出開始指示を送信する(S710)。ここで、図柄変動演出開始指示には、S704で設定された大当り演出パターンやS706で設定した大当り図柄が含まれる。図柄変動演出開始指示を受信した他のパチンコ機10は、所定の条件の下、別のパチンコ機10に大当りが発生したことを遊技者に報知するための図柄変動演出を行う。この演出についての詳細は後述する。一方、S702で今回の大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れ演出パターンを設定すると共に(S712)、演出図柄の外れ図柄を設定して(ステップS714)、図柄変動演出を開始する(ステップS716)。大当り判定の結果が大当りでないとき(外れのとき)の図柄変動開始時コマンドには、外れ変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と外れ停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれているから、外れ演出パターンや外れ図柄の設定は、ROM90bに予め記憶されている外れ演出パターンや外れ図柄のうち、受信した変動パターン指定コマンドに対応する演出パターンと受信した特別図柄停止情報指定コマンドに対応する停止図柄とを読み出すことにより行うことができる。なお、S708,S716の処理は、S704あるいはS712で設定された演出パターンと、S706あるいはS714で設定された演出図柄の停止図柄とに基づく図柄変動演出の開始を指示する演出コマンド(図柄変動演出開始コマンド)を演出表示制御基板91に送信することにより行われ、その演出コマンドを受信した演出表示制御基板91が演出表示装置34の表示画面上で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始されるよう表示制御を行う。
S700で図柄変動開始時コマンドを受信していないと判定した場合またはS710で大当り図柄および演出パターンを送信した場合あるいはS716で図柄変動演出を開始した場合には、図13の特別図柄遊技処理のS242の処理で主制御基板70により送信される図柄停止コマンドを受信したか否かを判定する(S718)。図柄停止コマンドを受信していないと判定すると、これで図柄変動演出処理を終了する。一方、図柄停止コマンドを受信していると判定すると、図柄変動演出を終了する(S720)。なお、S718の処理は、図柄変動演出の終了を指示する演出コマンド(図柄変動演出終了コマンド)を演出表示制御基板91に送信することにより行われ、その演出コマンドを受信した演出表示制御基板91が演出表示装置34で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が終了しS706あるいはS714で設定された演出図柄の停止図柄が停止表示されるよう表示制御を行う。そして、今回の大当り判定の結果が大当りか否かを判定し(S722)、大当りでないと判定すると、これで図柄変動演出処理を終了する。一方、大当りと判定すると、他のパチンコ機10に対して図柄変動演出開始指示を送信しているから、その図柄変動演出を終了させるための図柄変動演出終了指示を送信して(S724)、図柄変動演出処理を終了する。
[他機大当り発生報知処理]
他機大当り発生報知処理は、図32のフローチャートに従って実行される。図32の他機大当り発生報知処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、図29の通信可否設定処理で設定された通信許可フラグがオンの他のパチンコ機10が存在するか否かを判定する(S750)。ここで、S750の処理は、通信許可フラグがパチンコ機10の識別情報(ID)に基づいてパチンコ機10毎に管理されているため、通信が許可されているか否かをパチンコ機10毎に判定するものとなる。通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在しないと判定すると、そのまま他機大当り発生報知処理を終了する。一方、通信許可フラグがオンの他のパチンコ機10が存在すると判定すると、通信が許可されている他のパチンコ機10から図柄変動演出開始指示を受信したか否かを判定する(S752)。図柄変動演出開始指示を受信したと判定すると、所定の予告演出を実行すると共に(S754)、他機図柄変動演出を開始する(S756)。ここで、予告演出は、他機図柄変動演出が実行されることを予告するための演出であり、本実施例では、予告演出を指示する演出コマンドをアンプ基板92や装飾駆動基板93に送信することで、演出コマンドを受信したアンプ基板92が予告演出用の音声が出力されるようスピーカ28a,28bを駆動制御し、演出コマンドを受信した装飾駆動基板93がLEDランプ93a,93bを点灯させると共に装飾部材(可動役物)が作動するよう装飾モータ93cを駆動制御することにより行われる。なお、予告演出としては、可動役物の作動と音声出力と発光の3つの態様を実行するものに限られず、一部の態様を省略するものとしてもよいし、予告演出そのものを省略するものとしてもよい。また、他機図柄変動演出の開始は、本実施例では、受信した図柄変動演出開始指示に含まれている大当り演出パターンに従って図柄変動演出の開始を指示する演出コマンドを演出表示制御基板91に送信することにより行われる。S752で大当り発生報知指示を受信していないと判定した場合またはS756で他機図柄変動演出を開始した場合には、他機図柄変動演出が実行中であるか否かを判定し(S758)、他機図柄変動演出が実行中であると判定すると、通信が許可されている他のパチンコ機10から図柄変動演出終了指示を受信したか否かを判定し(S760)、図柄変動演出終了指示を受信していると判定すると、他機図柄変動演出を終了して(S762)、他機大当り発生報知処理を終了する。他機図柄変動演出の終了は、図柄変動演出を終了して大当り図柄での停止表示を指示する演出コマンドを演出表示制御基板91に送信することにより行われる。図33に、他機図柄変動演出の様子を示す。他機図柄変動演出は、図33に示すように、演出表示装置34に自己のパチンコ機10(以下、自機とも呼ぶ)用演出図柄の変動表示の視認を妨げない位置に他機用演出図柄の変動表示の表示枠34aを設定し、その表示枠34a内で演出図柄の変動表示を開始する(図33(a)参照)。続いて、受信した大当り演出パターンに従ってリーチ演出を行なった後(図33(b)参照)、受信した大当り図柄で停止表示させる(図33(c)参照)。そして、停止表示された大当り図柄を大当りが発生したパチンコ機10の方向に向かってスライドアウトさせる(図33(d)参照)。なお、S758で他機図柄変動演出が実行中でないと判定したり、S760で他機図柄変動演出終了指示を受信していないと判定すると、一旦他機大当り発生報知処理を終了する。
[ボタン演出処理]
ボタン演出処理は、図34のフローチャートに従って実行される。図34のボタン演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、ボタン演出が実行中であるか否かを判定する(S800)。ボタン演出が実行中でないと判定すると、演出ボタン26の操作タイミングが到来したか否かを判定する(S802)。演出ボタン26の操作タイミングは、実行する演出パターン毎に予め定められている。このため、操作タイミングが到来したか否かの判定は、演出図柄の変動表示が開始されてからの経過時間が実行中の演出パターンに対応する操作タイミングに至ったか否かを判定することにより行うことができる。演出ボタン26の操作タイミングが到来したと判定すると、演出ボタン26の操作を有効化すると共に(S804)、演出ボタン26の操作を遊技者に促すための操作促進演出を行う(S806)。ここで、操作促進演出は、演出ボタン26の外観を模した画像(ボタン画像)の表示を指示する演出コマンドを演出表示制御基板91に送信し、この演出コマンドを受信した演出表示制御基板91がボタン画像を演出表示装置34に表示することにより行う。操作促進演出を行うと、他のパチンコ機10の遊技者に対して演出ボタン26の協力操作を要求するボタン協力操作要求を送信する(S808)。
次に、自機の演出ボタン26の操作がなされたか否かを判定し(S810)、自機の演出ボタン26が操作されたと判定すると、ボタン操作回数Nを値1だけインクリメントし(S812)、自機の演出ボタン26の操作がなれていないと判定すると、S812の処理をスキップして次のS814の処理に進む。そして、ボタン協力操作要求に対する応答として他機の演出ボタン26が操作されたことを示すボタン協力操作情報を受信したか否かを判定し(S814)、ボタン協力操作情報を受信したと判定すると、ボタン操作回数Nを値1だけインクリメントし(S816)、ボタン協力操作情報を受信していないと判定すると、S816の処理をスキップして次のS818の処理に進む。
次に、ボタン操作回数Nが所定回数以上か否かを判定し(S818)、ボタン操作回数Nが所定回数以上と判定すると、操作成功時演出を実行し(S820)、演出ボタン26の操作を無効化して(S822)、ボタン演出処理を終了する。一方、ボタン操作回数が所定回数未満と判定すると、演出ボタン26の操作有効期間が経過したか否かを判定する(S824)。演出ボタン26の操作有効期間が経過していないと判定すると、一旦、ボタン演出処理を終了し、演出ボタン26の操作有効期間が経過したと判定すると、操作失敗時演出を実行し(S826)、演出ボタン26の操作を無効化して(S822)、ボタン演出処理を終了する。
図35は、ボタン演出の様子を示す説明図である。ボタン演出は、図35に示すように、リーチが発生した後の所定のタイミングで開始され、「連打!」の文字と演出ボタン26の外観を模したボタン画像と連打ゲージとからなる操作促進画面を表示する(図35(a)参照)。演出ボタン26が操作されると、その操作回数に応じて連打ゲージが上昇する(図35(b)参照)。連打ゲージは、自機の演出ボタン26の操作回数と他機の演出ボタン26の操作回数の総和が予め定められた必要操作回数に至ったときに最大限(MAX)まで上昇する。演出ボタン26の操作有効期間内に連打ゲージが最大限まで上昇すると、演出ボタン26の操作(連打)が成功であることを示す画像(例えば、「成功」の文字)を表示し(図35(c)参照)、演出ボタン26の操作に対応する演出としてスペシャルリーチ(SP)に発展させる(図35(d)参照)。一方、演出ボタン26の操作有効期間内に演出ボタン26の操作回数が必要操作回数に至らなかった場合には、演出ボタン26の操作(連打)が失敗であることを示す画像(例えば、「失敗」の文字)を表示し(図35(e)参照)、SPリーチを発展させずに単純なロングリーチとなる(図35(f)参照)。
[ボタン協力操作演出処理]
ボタン協力操作演出処理は、図36のフローチャートに従って実行される。図36のボタン協力操作演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、ボタン協力操作演出が実行可能か否かを判定する(S850)。この判定は、例えば、図34のボタン演出処理でボタン演出が実行中でないこと等を判定することにより行う。ボタン協力操作演出が実行可能でないと判定すると、そのままボタン協力操作演出処理を終了する。一方、ボタン協力操作演出が実行可能と判定すると、次に、ボタン協力操作演出が実行中であるか否かを判定する(S852)。ボタン協力操作演出が実行中でないと判定すると、前述したボタン協力操作要求を他のパチンコ機10から受信したか否かを判定する(S854)。ボタン操作要求を受信していないと判定すると、そのままボタン協力操作演出処理を終了する。一方、ボタン協力操作要求を受信したと判定すると、演出ボタン26の操作を有効化し(S856)、演出ボタン26の協力操作を促すためのボタン協力操作促進演出を開始する(S858)。S858でボタン協力操作促進演出を実行した後や、S852でボタン協力操作演出が実行中と判定した場合には、演出ボタン26が操作されたか否かを判定する(S860)。演出ボタン26が操作されたと判定すると、ボタン協力操作情報を、S854で受信したボタン操作要求の送信元のパチンコ機10に送信すると共に(S862)、演出ボタン26の協力操作に対する謝礼としてポイントを付与する(S864)。ここで、S864の処理は、演出ボタン26の操作回数に応じた数のポイントを付与するものとしてもよいし、演出ボタン26の操作回数に拘わらず一定数のポイントを付与するものとしてもよい。ポイントの付与は、今回獲得したポイント数をRAM90cに累積記憶させることにより行われる。なお、付与されたポイントの利用方法については後述する。S864でポイントを付与した後や、S860で演出ボタン26が操作されていないと判定すると、演出ボタン26の操作有効期間が経過したか否かを判定し(S866)、操作有効期間が経過していないと判定すると、一旦ボタン協力操作演出処理を終了し、操作有効期間が経過したと判定すると、演出ボタン26の操作を無効化して(S868)、ボタン協力操作演出処理を終了する。なお、ボタン協力操作演出は、本実施例では、ボタン協力操作要求をいずれの他のパチンコ機10から受信した場合でも実行するものとしたが、通信許可フラグがオンにセットされている他のパチンコ機10、即ち通信が許可されている他のパチンコ機10からのボタン協力操作要求を受信した場合にのみ実行するものとしてもよい。
図37は、ボタン協力操作促進演出の様子を示す説明図である。ボタン協力操作促進演出は、図37に示すように、他のパチンコ機10からボタン操作要求を受信すると、「協力依頼あり!演出ボタンを連打して友人に協力しよう。」等のメッセージを表示し(図37(a)参照)、その後、「連打!」の文字と演出ボタン26の外観を模したボタン画像を表示する(図37(b)参照)。演出ボタン26が操作されると、ボタン協力操作情報をボタン操作要求を送信した送信元のパチンコ機10に送信し、「ポイントゲット!」の文字と共に獲得したポイント数を表示する(図37(c)参照)。
[潜伏確変報知指示処理]
潜伏確変報知指示処理は、図38のフローチャートに従って実行される。図38の潜伏確変報知指示処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、図36のボタン協力操作演出処理のS866で付与されたポイント数Pの合計が所定数(必要ポイント数)以上か否かを判定する(S900)。ポイント数Pが所定数未満と判定すると、保有しているポイント数Pが不足していると判断し、そのまま潜伏確変報知指示処理を終了する。一方、ポイント数Pが所定数以上と判定すると、潜伏確変報知指示(ソナーチャンス)の実行が可能であるか否かを判定する(S902)。この判定は、本実施例では、図34のボタン演出処理でボタン演出が実行中でないことや、図36のボタン協力操作演出処理でボタン協力操作演出が実行中でないことを判定することにより行われる。潜伏確変報知指示の実行が可能でないと判定すると、演出ボタン26の操作を無効化して(S916)、潜伏確変報知指示処理を終了する。一方、潜伏確変報知指示の実行が可能であると判定すると、潜伏確変報知指示の実行の契機となる演出ボタン26の操作を促す操作促進演出を実行し(S904)、演出ボタン26の操作を有効化する(S906)。図39に、潜伏確変報知指示に係る演出ボタン26の操作促進演出の様子を示す。ここで、潜伏確変報知指示(ソナーチャンス)は、互いに通信が可能な複数台のパチンコ機10(本実施例では、同一島内の複数台のパチンコ機10)の中で潜伏確変状態にあるパチンコ機10を探索するよう指示するものであり、演出ボタン26の操作を契機として実行される。この潜伏確変報知指示に係る演出ボタン26の操作促進演出は、本実施例では、図39に示すように、特別図柄の変動表示の視認を妨げない位置に「ソナーチャンス!演出ボタンを押せ」のメッセージを表示することにより行うものとした。演出ボタン26が操作されていないと判定すると、そのまま潜伏確変報知指示処理を終了し、演出ボタン26が操作されたと判定すると、両隣のパチンコ機10に対して潜伏確変報知指示を送信すると共に(S910)、潜伏確変報知指示が送信されたことを示す演出である報知指示送信時演出を実行する(S912)。そして、ポイント数Pを値0にリセットすると共に(S914)、演出ボタン26の操作を無効化して(S916)、潜伏確変報知指示処理を終了する。ここで、潜伏確変報知指示(所定の情報)は、単一の信号(情報)により構成してもよいし、複数の信号(情報)によって構成するものとしてもよい。なお、本実施例では、潜伏確変報知指示が開始されると、保有しているポイント数Pに拘わらずポイント数Pを値0にリセットするものとしたが、保有しているポイント数Pから潜伏確変報知指示に必要な必要ポイント数だけ減算するものとしてもよい。
[潜伏確変報知処理]
潜伏確変報知処理は、図40のフローチャートに従って実行される。図40の潜伏確変報知処理では、サブ制御基板90のCPU090aは、まず、両隣に配置されたパチンコ機10のいずれかから図38の潜伏確変報知処理のS910で送信された潜伏確変報知指示を受信したか否かを判定する(S950)。潜伏確変報知指示を受信していないと判定すると、そのまま潜伏確変報知処理を終了する。一方、潜伏確変報知指示を受信したと判定すると、潜伏確変報知指示を受信したことを演出によって示す報知指示受信時演出を実行すると共に(S952)、潜伏確変報知処理の送信元のパチンコ機10とは反対側の隣接するパチンコ機10に対して潜伏確変報知指示を転送する(S954)。そして、潜伏確変中であるか否かを判定する(S956)。ここで、潜伏確変中であるか否かの判定は、図26の大当り遊技終了時処理のS462で設定される潜伏確変フラグの状態を調べることにより行うことができる。潜伏確変中でないと判定すると、そのまま潜伏確変報知処理を終了し、潜伏確変中であると判定すると、潜伏確変報知指示の送信元のパチンコ機10の遊技者に対して潜伏確変中であることを報知するための潜伏確変報知処理を実行して(S958)、潜伏確変報知処理を終了する。
図41は、潜伏確変を報知する様子を示す説明図である。なお、図41では、互いに通信が可能な5台のパチンコ機A〜Eのうちパチンコ機Bが潜伏確変中であるときに、パチンコ機Dから潜伏確変報知指示を送信する場合を示す。図示するように、ポイント数Pが必要ポイント数以上のパチンコ機Dで演出ボタン26が操作されると、潜伏確変中の台を探索する潜伏確変報知指示演出(ソナーチャンス)が開始され、左隣のパチンコ機Cおよび右隣のパチンコ機Eに対して潜伏確変報知指示が送信される(図41(a)参照)。図41の例では、潜伏確変報知指示演出が開始されると、図38の潜伏確変報知指示処理のS912の報知指示送信時演出として、演出表示装置34の背景画面に2つの魚の群れ(魚群)が出現し、一方の魚群がパチンコ機Cに向かって左方向に移動し、他方の魚群がパチンコ機Eに向かって右方向に移動する演出が実行される。潜伏確変報知指示を受信したパチンコ機C,Eは、図40の潜伏確変報知処理のS952で報知指示受信時演出を実行する。図41の例では、報知指示受信時演出として、魚群が潜伏確変報知指示の送信方向と同方向(左方向)に移動する演出が実行される(図41(b)参照)。なお、潜伏確変報知指示を受信したパチンコ機C,Eは潜伏確変中でないから、潜伏確変報知処理は行われない。また、潜伏確変報知指示を受信したパチンコ機Cは、受信した潜伏確変報知指示を左隣のパチンコ機Bに転送する。一方、パチンコ機Eの右隣には他のパチンコ機は存在しないから、潜伏確変報知指示を受信したパチンコ機Eは、潜伏確変報知指示の転送は行わない。パチンコ機Cから転送された潜伏確変報知指示をパチンコ機Bで受信すると、パチンコ機Cの報知指示受信時演出と同様の報知指示受信時演出、即ち、魚群が潜伏確変報知指示の送信方向(左方向)に移動する演出を実行すると共に(図41(c)参照)、受信した潜伏確変報知指示を左隣のパチンコ機Aに転送する。ここで、パチンコ機Bは、潜伏確変中であるから、潜伏確変報知指示を受信すると、図40の潜伏確変報知処理のS958で潜伏確変報知演出を行う。図41の例では、上部に配置された2つのLEDランプ93a,93bを点灯させることにより潜伏確変報知演出を行う(図41(d)参照)。2つのLEDランプ93a,93bはパチンコ機Bの上部に配置されているから、パチンコ機Bで遊技に集中している遊技者(例えば、中央の演出表示装置34を注視している遊技者)にとっては上部のLEDランプ93a,93bの点灯を認識することが困難である。一方、パチンコ機Bから離れたパチンコ機Dで遊技をしている遊技者にとってはパチンコ機BのLEDランプ93a,93bの点灯を認識することは容易である。また、潜伏確変報知指示は遊技者が演出ボタン26を操作することにより任意のタイミングで行うことができるから、他の遊技者に気付かれ難いタイミングで、潜伏確変中のパチンコ機を探索することが可能となる。
以上説明した第1実施例のパチンコ機10によれば、大当り遊技の終了後の遊技状態が低確率状態なのか確変状態なのかを遊技者に直接に報知しない潜伏確変を有するものにおいて、他の複数台のパチンコ機10と通信可能に接続し、遊技者が認識できる態様で他のパチンコ機10に対して潜伏確変報知指示を送信する。一方、他のパチンコ機10から潜伏確変報知指示を受信すると、潜伏確変中か否かを判定し、潜伏確変中の場合には潜伏確変中であることを報知する潜伏確変報知演出を実行する。これにより、遊技者は複数台のパチンコ機10の中から潜伏確変中のパチンコ機を容易に探索することができる。また、他のパチンコ機10から潜伏確変報知指示を受信すると、更に別のパチンコ機に対して潜伏確変報知指示を送信(転送)するから、遊技店(ホール)に設置されたパチンコ機群(複数のパチンコ機)に、潜伏確変状態の有無を確認することができる。しかも、潜伏確変報知演出はパチンコ機10の上部に設けられたLEDランプ93a,93bを点灯させることで行うから、潜伏確変中のパチンコ機10で遊技に集中している遊技者にとってはLEDランプ93a,93bの点灯を認識することが困難である一方、潜伏確変中のパチンコ機10から離れたパチンコ機10で遊技をしている遊技者にとってはそのLEDランプ93a,93bの点灯を認識することは容易となる。したがって、潜伏確変中のパチンコ機10を遊技している遊技者に気付かれずに、潜伏確変中のパチンコ機10を探索することができる。さらに、潜伏確変報知指示は演出ボタン26の操作を契機として行われるから、潜伏確変報知指示を遊技者自らが任意のタイミングで行うことができる。この結果、潜伏確変報知指示が送信されるタイミングで他のパチンコ機10を確認することにより、潜伏確変中のパチンコ機10をより確実に把握することができたり、他の遊技者に気付かれ難いタイミングで潜伏確変中のパチンコ機10を探索したりする(自分だけが潜伏確変中のパチンコ機10の有無を知る)ことができる。また、潜伏確変報知指示はポイント数Pが必要ポイント数(所定数)以上の場合に限って行うから、ポイントを獲得するための遊技に遊技者を積極的に参加させることができ、遊技興趣を向上させることができる。ここで、従来、当り遊技の終了後に当否判定の結果が当りとなる確率を高確率とする確変状態が発生していることを遊技者に認識困難とするもの(潜伏確変状態)としては、電源投入後の所定のタイミングで複数の遊技機において一斉に所定演出(共通演出)を開始するものが提案されている(例えば特開2012−65948号公報)。かかる遊技機では、共通演出を開始した複数の遊技機のうち潜伏確変状態にない遊技機においては所定時間が経過する度に所定確率で共通演出を終了させ、潜伏確変状態にある遊技機においては共通演出を演出実行期間の最後まで継続させることにより、共通演出が継続するほど潜伏確変状態の可能性が高い遊技機であることを遊技者に報知している。しかしながら、遊技者は共通演出の様子を視認することで潜伏確変状態の可能性が高い遊技機を把握することができるものの、共通演出の開始は電源投入後の所定タイミングとされているから、そのタイミングに居合わせていない遊技者は潜伏確変状態の報知による利益を享受することができない。一方、その場に居合わせている全ての遊技者が潜伏確変状態の可能性が高い遊技機を把握できるようにすると、潜伏確変状態の遊技機だけに多くの遊技者が殺到するから、遊技者が実際に潜伏確変状態の遊技機で遊技を行うのは困難である。これに対して、第1実施例のパチンコ機10によれば、上述した構成を採用することで、こうした問題を解決し、潜伏確変状態か否かを遊技者がより適切に把握できるようになるのである。
また、第1実施例のパチンコ機10によれば、演出ボタン26を用いたボタン演出処理が実行される際には、通信が可能な他のパチンコ機10(他機)に対して演出ボタン26の協力操作を要求するボタン協力操作要求を送信し、自機の演出ボタン26が操作されたときには操作回数Nをインクリメントし、他機から演出ボタン26が操作されたことを示すボタン協力操作情報を受信したときにも操作回数Nをインクリメントし、これら合計の操作回数Nが所定回数に達すると、成功時演出を実行し、操作回数Nが所定回数に達することなく操作有効期間が経過すると、失敗時演出を実行する。演出ボタン26の協力操作は、他機から送信されたボタン操作要求を受信すると、演出ボタン26の協力操作を促す協力操作促進演出を行い、演出ボタン26が操作されると、ボタン操作要求の送信元のパチンコ機10に対してボタン協力操作情報を送信することにより行う。これにより、複数人が協力してそれぞれの演出ボタン26を操作することにより、これらの演出ボタン26の操作に対応する操作演出を実行することができるから、複数人参加型の新規な遊技性を提供することができ、遊技興趣を向上させることができる。また、操作回数Nは自身の操作(自己操作)に加えて他のパチンコ機10で遊技する遊技者の操作(協力操作)も加算されるから、複数人の協力によって操作演出(成功時演出)を円滑に行うことができる。他方、所定回数を、自身の操作だけでは操作有効期間(所定時間)内にこなすことができない回数とする、即ち、協力操作がなければ達成困難な回数に定めておくことにより、所定回数を達成したときの達成感を複数人の遊技者で共有させることができる。しかも、演出ボタン26の協力操作を行うと、これに応じてポイントを付与し、付与されたポイントは前述した潜伏確変報知演出の実行に使用することができるから、演出ボタン26の協力操作を積極的に促すことができる。ここで、従来、遊技者によって操作が可能な演出ボタンを設け、遊技の進行の過程で演出ボタンが操作されると、演出ボタンの操作に応じて所定の演出を実行させるものが提案されている(例えば特開2012−115483号公報)。しかしながら、こうした遊技機では、一人で遊技を行うものを前提としているから、演出ボタンの操作に対応して実行される演出の態様を多様化させたりするものとしても、遊技者に飽きられやすく、遊技興趣を向上させるのは限界がある。これに対して、第1実施例のパチンコ機10によれば、上述した構成を採用することで、こうした問題を解決し、複数人で協力して遊技が可能という斬新な遊技性を提供して興趣の向上を図ることができるようになるのである。
さらに、第1実施例のパチンコ機10によれば、大当り判定の結果が大当りとなった場合、演出図柄の変動表示の開始を指示する図柄変動演出開始指示と、演出図柄の変動表示を終了して大当り図柄で停止表示させる図柄変動演出終了指示とを通信が可能な他機に送信する。一方、他機では、図柄変動演出開始指示を受信すると、他機図柄変動演出を開始し、図柄変動演出終了指示を受信すると、他機図柄変動演出を終了する。これにより、遊技者は遊技を行いながら、他の遊技者の遊技状況も把握することができる。しかも、予め通信が許可されたパチンコ機同士について他機大当り発生報知演出を実行するから、全く関係のない遊技者同士で遊技状況が報知されるのを回避することができる。ここで、従来、管理サーバを介して複数の遊技機間で所定の情報を通信するものが提案されている(例えば特開2003−159468号公報)。かかる遊技機では、報知発生抽選が当選した場合に、報知当選データを管理サーバに出力する。そして、報知当選データを入力した管理サーバが高報知期間発生命令を他の遊技機に出力することにより、他の遊技機における報知発生抽選の当選確率を上昇させている。この結果、パチンコ店の遊技島のうち1つの遊技機で遊技者が報知発生抽選で当選すると、その遊技島の他の遊技機に連鎖的に報知発生抽選で当選が発生するという遊技性を遊技者に提供することができるとしている。しかしながら、こうした遊技機では、一の遊技機の遊技状況を他の遊技機で把握することはできない。一方、遊技者は、自分の遊技機の遊技状況だけでなく他人の遊技機の遊技状況も気になることがあり、これは友人同士など親しい間柄で顕著に現れる。第1実施例のパチンコ機10によれば、上述した構成を採用することで、こうした問題を解決し、他の遊技者の遊技状況を容易に把握できるようになるのである。
本実施例のパチンコ機10では、他のパチンコ機から潜伏確変報知指示(所定の情報)を受信すると、更に別のパチンコ機に対して潜伏確変報知指示を送信(転送)するものとしたが、これに限定されるものではなく、更に別のパチンコ機に対して潜伏確変報知指示を送信するか否かを抽選(例えば、抽選用乱数を取得し、取得した乱数値が当り乱数値であるか否かを判定)により決定するものとしてもよい。
本実施例のパチンコ機10では、潜伏確変報知演出を、潜伏確変中のパチンコ機10の上部に設けられたLEDランプ93a,93bを点灯させることにより行うものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、潜伏確変報知指示を出力したパチンコ機10のLEDランプ93a,93bを点灯したり、潜伏確変報知指示を出力したパチンコ機10のスピーカ28a,28bから潜伏確変報知用の効果音や音声を出力したり、潜伏確変報知指示を出力したパチンコ機10の演出表示装置34の表示画面上に潜伏確変中のパチンコ機10を示したり、潜伏確変中のパチンコ機10または潜伏確変報知指示を出力したパチンコ機10の可動役物を作動させたりするなど、潜伏確変の報知が可能な態様であれば、如何なる態様を採用するものとしてもよい。ここで、潜伏確変報知演出を遊技者が視覚により認知できる装置(例えば表示装置)によって実行する場合、潜伏確変中のパチンコ機10で演出表示装置34に注目しながら遊技を行っている遊技者が当該装置で実行される潜伏確変報知演出を認識困難な程度まで当該装置と演出表示装置34とを分離配置することができる。
本実施例のパチンコ機10では、潜伏確変報知指示を演出ボタン26が操作されたことを契機として行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、演出ボタン26とは異なる他の操作部材(例えば通信ボタン27など)が操作されたことを契機として行うものとしてもよい。即ち、遊技者自らが潜伏確変報知指示(所定の情報)の送信を指示するものであればよい。また、遊技者の送信指示によることなく、所定の送信タイミングで潜伏確変報知指示(所定の情報)を送信するものとし、その送信の様子を演出表示装置34の表示画面上などで報知するものとしてもよい。さらに、潜伏確変報知指示の送信のための条件が成立すると(ポイント数Pが所定数以上となると)、その旨を演出表示装置34の表示画面上などで報知するものとしてもよい。このように、潜伏確変報知指示を送信する処理(情報送信処理)を遊技者が認識できる態様で実行するものであれば、如何なる態様としても構わないのである。
本実施例のパチンコ機10では、演出ボタン26の協力操作がなされたことを条件としてポイントを付与するものとしたが、これに限定されるものではなく、他のパチンコ機10との通信を利用した他の如何なる演出に参加したことを条件としてポイントを付与するものとしてもよいし、遊技の開始から所定時間が経過したこと(所定時間の継続遊技)を条件としてポイントを付与するものとしてもよいし、所定のタイミング、例えば始動入球(第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球)に基づく所定のタイミングや変動表示中(特別図柄の変動表示中)に行われる遊技者参加型のゲーム等で抽選によりポイントを付与するものとしてもよい。また、本実施例では、ポイント数Pが所定数(必要ポイント数)以上の場合に潜伏確変報知指示の実行を許可するものとしたが、ポイント数Pによることなく、上記条件が成立したときに直接に潜伏確変報知指示の実行を許可するものとしてもよい。
本実施例のパチンコ機10では、ボタン演出処理で、操作演出の進行具合として、操作指令の達成具合(操作促進画面における連打ゲージ)や、操作指令を達成したか否かの結果(成功時演出や失敗時演出)を演出発生の起点となるパチンコ機10で表示するものとしたが、協力操作が要求された他のパチンコ機10においても、操作指令の達成具合と操作指令を達成したか否かの結果のいずれか一方または両方を表示するものとしてもよい。これにより、操作演出が実行されるパチンコ機の遊技者だけでなく、それに協力する他のパチンコ機の遊技者も所定回数の操作が達成された場合の達成感を共有することができる。
本実施例のパチンコ機10では、ボタン演出において、自機の演出ボタン26の操作回数と他機の演出ボタン26の操作回数の合計が所定回数以上の場合に、操作成功時演出を実行するものとしたが、これに限られず、自機の演出ボタン26の操作の有無に拘わらず、他機の演出ボタン26の操作回数が所定回数以上の場合に、操作成功時演出を実行するものとしてもよいし、通信が可能な複数台のパチンコ機10のうち演出ボタン26が操作されたパチンコ機10の台数が所定台数以上の場合に、操作成功時演出を実行するものとしてもよい。この場合、成功時演出を実行(操作演出を進行)させるには、協力操作が必須となるから、自身の操作だけでは、操作演出を進行させることができない。こうした新たな遊技性を持たせることで、協力操作を通じて遊技興趣の向上を図ることができる。ここで、後者の場合、例えば、図34のボタン演出処理に代えて図42のボタン演出処理を実行し、図36のボタン協力操作演出処理に代えて図43のボタン協力操作演出処理を実行するものとすればよい。なお、図42のボタン演出処理および図43のボタン協力操作演出処理の各ステップのうち図34のボタン演出処理および図36のボタン協力操作演出処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その説明は重複するから省略する。図42のボタン演出処理では、S810で演出ボタン26が操作されたと判定すると、演出ボタン26の操作が初回であるか否かを判定し(S811)、初回と判定すると、ボタン操作台数Nを値1だけインクリメントし(S812a)、初回でないと判定すると、S812aをスキップして次のS814の処理に進む。そして、続くS814で他のパチンコ機10からボタン協力操作情報を受信したと判定すると、ボタン操作台数Nを値1だけインクリメントし(S816a)、ボタン協力操作情報を受信していないと判定すると、S816aをスキップして次のS820aに進む。そして、操作台数Nが所定台数以上か否かを判定し(S820a)、操作台数Nが所定台数以上と判定すると、S822で操作成功時演出を実行する。図43のボタン協力操作演出処理では、S860で演出ボタン26が操作されたと判定すると、S862でボタン協力操作情報を送信し、S864でポイントを付与した後に、直ちに演出ボタン26の操作を無効化する(S868)。これにより、演出ボタン26の協力操作がなされると、1台につき1回だけボタン協力操作情報が送信されるから、図42のボタン演出処理のS816aの処理で同一のパチンコ機10につきボタン操作台数Nが重複してインクリメントされることはない。
本実施例のパチンコ機10では、当否判定の結果が大当りの場合に、大当りにかかる図柄変動演出(図柄変動遊技)の実行指示(指示情報)を他のパチンコ機10に送信するものとしたが、これに限定されるものではなく、当否判定の結果が外れの場合にも、外れにかかる図柄変動演出の実行指示(指示情報)を他のパチンコ機10に送信するものとしてもよい。この場合、全ての外れについて図柄変動演出の実行指示を送信するものとしてもよいし、特定の外れ(例えば、外れリーチが発生する場合)についてのみ図柄変動演出の実行指示を送信するものとしてもよい。なお、前者の場合には、全ての図柄変動演出が他のパチンコ機でも実行されることとなり、遊技者によっては煩わしいと感じる場合があるため、後者の場合を採用することが望ましい。
本実施例のパチンコ機10では、予め許可された特定のパチンコ機10(通信許可フラグがオンのパチンコ機10)間で図柄変動演出(図柄変動遊技)により当否判定の結果を報知するものとしたが、これに限定されるものではなく、通信が可能なすべてのパチンコ機10間で図柄変動演出により当否判定の結果を報知するものとしてもよい。
本実施例のパチンコ機10では、他のパチンコ機10から指示される図柄変動演出(図柄変動遊技)の実行を許可するか否かを選択(通信許可フラグをセット)し、その実行が許可されている状態(通信許可フラグがオンの状態)で図柄変動演出の実行指示(指示情報)を受信すると、図柄変動演出を実行するものとしたが、これに限られず、他のパチンコ機10に対して図柄変動演出(図柄変動遊技)の実行指示(所定の指示情報)の送信を許可するか否かを選択し、送信が許可されているときに図柄変動演出の実行指示を送信するものとしてもよい。この場合、図28の通信依頼処理および図29の通信可否設定処理に代えて、図44の通信依頼処理および図45の通信可否選択処理を実行し、図31の図柄変動演出処理に代えて図46の図柄変動演出処理を実行するものとすればよい。図44の通信依頼処理では、図28の通信依頼処理のS600〜S604と同一の処理により通信ボタン27が操作されたことを契機として他の全てのパチンコ機10に対して通信依頼を送信した後、通信許可情報を受信したか否かを判定する(S606)。そして、通信許可情報を受信したと判定すると、通信許可フラグをオンとし(S608)、通信許可情報を受信していない、即ち通信拒否情報を受信したと判定すると、通信許可フラグをオフとする(S610)。ここで、通信許可フラグは、本実施例の通信許可フラグと同様に、各パチンコ機10の識別情報(ID)に関連付けて記憶され、各パチンコ機10毎に管理される。また、図45の通信可否選択処理では、図29の通信可否設定処理のS650〜S654と同一の処理により他のパチンコ機10から通信依頼を受信したときに通信可否選択画面を表示して通信を許可するか否かの選択を受け付ける。そして、通信を許可することが選択されると、通信許可情報を通信依頼の送信元のパチンコ機10に送信し(S656a)、通信を許可しないことが選択されると、通信許否情報を通信依頼の送信元のパチンコ機10に送信する(S658a)。また、図46の図柄変動演出処理では、図柄変動開始時コマンドを受信したときに大当りと判定すると(S700,S702)、大当り演出パターンおよび大当り図柄を設定して図柄変動演出を開始する一方(S704〜S708)、通信許可フラグがオンであるパチンコ機10が存在するか否かを判定する(S709)。通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在すると判定すると、そのパチンコ機10に対して図柄変動演出開始指示を送信し(S710)、通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在しないと判定すると、S710の処理をスキップする。また、図柄停止コマンドを受信して図柄変動演出を終了したときに(S718,S720)、今回の図柄変動演出が大当りと判定すると共に通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在するか否かを判定し(S722,S723)、通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在すると判定すると、そのパチンコ機10に対して図柄変動演出終了指示を送信し(S724)、大当りでないと判定したり、通信許可フラグがオンのパチンコ機10が存在しないと判定すると、S724の処理をスキップする。
本実施例のパチンコ機10では、同一島内にある複数台のパチンコ機10で互いに有線により通信するものとしたが、これに限定されるものではなく、無線による通信を行うものとしてもよい。また、同一島内にあるパチンコ機10だけに限られず、他の島のパチンコ機とも通信するものとしてもよいし、他のホール(パチンコ店)のパチンコ機ともインターネットなどの通信回線を介して通信するものとしても構わない。また、複数台のパチンコ機10同士で直接通信するものに限られず、ホールコンピュータやサーバ等を介して間接的に通信するものとしてもよい。
[第2実施例]
上述したように、第1実施例では複数台のパチンコ機10がネットワーク接続されて有線により通信を行うものとしたが、通信の態様としては、これに限られず、無線により行うものなど、種々の態様で行うことができる。以下の第2実施例では、別の通信態様により、複数台のパチンコ機が通信する場合について説明する。図47は第2実施例のパチンコ機10B(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図48は第2実施例の通信態様により通信可能な複数台のパチンコ機10Bが隣接して配置された遊技システムの一例を示す説明図である。なお、第2実施例では、自己のパチンコ機10Bを自機といい、他のパチンコ機10Bを他機という。
[パチンコ機10Bの構成]
第2実施例のパチンコ機10Bは、図47に示すように、第1実施例のパチンコ機10と前面枠11Bに設けられる一部の構成が相違することを除いて、同様に構成されるため、第1実施例のパチンコ機10と同じ構成については同じ符号を付して、その説明を省略する。以下、一部の構成の相違について説明する。第2実施例のパチンコ機10Bの前面枠11Bには、右端の上段に、右側に隣接する他のパチンコ機10B(以下、右側他機)に向かって押し出すことができる可動式の演出部材を有する作動演出部51Rが設けられ、左端の中段に、左側に隣接するパチンコ機10B(以下、左側他機)に向かって押し出すことができる可動式の演出部材を有する作動演出部51Lが設けられている。また、パチンコ機10Bが隣接して配置されたときに(図48参照)、左側他機の作動演出部51Rと対向し、左側他機の作動演出部51Rの作動を検知可能な作動検知部61Lが前面枠11Bの左端の上段に設けられ、右側他機の作動演出部51Lと対向し、右側他機の作動演出部51Lの作動を検知可能な作動検知部61Rが前面枠11Bの右端の中段に設けられている。ここで、作動演出部51R,51Lは、演出部材を押し出す方向が異なるよう左右反対に設けられるものの構成は同一であり、作動検知部61R,61Lは、作動を検知する方向が異なるよう左右反対に設けられるものの構成は同一である。このため、作動演出部51R,51Lを区別する必要がある場合を除いて、まとめて作動演出部51と称し、作動検知部61R,61Lを区別する必要がある場合を除いて、まとめて作動検知部61と称する。図49に作動演出部51の構成の概略を示し、図50に作動検知部61の構成の概略を示す。
作動演出部51(51R)は、図49に示すように、略半円筒状の中空のケース52と、ケース52内に配置され図示しない装飾が施された二つの可動式の演出部材53,54とを備える。演出部材53は、図示しない第1ソレノイド53aにより駆動され、演出部材54は、図示しない第2ソレノイド54aにより駆動される。演出部材53,54は、それぞれ、第1および第2ソレノイド53a,54aがオフで、ケース52内に引き込まれる初期状態(図49(a)参照)となり、第1および第2ソレノイド53a,54aがオンで、ケース52から右側(右側他機の作動検知部61L)に向かって押し出される作動状態(図49(b)参照)となる。なお、作動状態で、演出部材53,54は、右側他機との境界を越えて、先端が右側他機内に到達することになる。また、作動演出部51Lは、図示は省略するが、同様に、二つの可動式の演出部材58,59がケース52内に配置され、演出部材58は、第3ソレノイド58aにより駆動され、演出部材59は、第4ソレノイド59aにより駆動される。なお、このような演出部材53,54,58,59の作動は、遊技者が視認可能であるから、作動演出部51は、遊技者が認識可能な演出を実行するものといえる。
作動演出部51の各演出部材は、各ソレノイド(第1および第2ソレノイド53a,54aまたは第3および第4ソレノイド58a,59a)のオンオフを個別に切り替えることにより、それぞれ個別に作動することができる。即ち、各演出部材を、それぞれ個別に押し出したり引き込んだりすることができる。また、各ソレノイドのオンオフを個別に切り替える際の、オン時間を変化させることにより、複数の作動態様で作動させることができる。本実施例では、作動演出部51は、オン時間の短いものから長いものまで、順に態様A〜Gの7種類の態様を有するものとした。これらの態様A〜Gでは、第1および第2ソレノイド53a,54a(第3および第4ソレノイド58a,59a)を予め定められたオン時間に従って交互にオンオフを切り替えるものとした。即ち、作動演出部51Rであれば、予め定められたオン時間が経過するまで、第1ソレノイド53aをオンで保持すると共に第2ソレノイド54aをオフとし、オン時間が経過すると次にオン時間が経過するまで、第2ソレノイド54aをオンで保持すると共に第1ソレノイド53aをオフとし、以後、これを繰り返す。なお、作動演出部51Lも、同様である。また、態様A〜Gのうち態様A〜Cを除く態様D〜Gは、アルファベットの並びと同じ順で順序付けられている。即ち、態様Dの一つ後には態様E、態様Eの一つ後には態様F、態様Fの一つ後には態様Gが、それぞれ順序付けられている。
作動検知部61(61L)は、図50(a)に示すように、左側に開口62aが形成された略半円筒状の中空のケース62を備える。開口62aは、作動演出部51の演出部材53,54よりも若干大きなサイズに形成されている。また、上述したように、作動検知部61は、左側他機の作動演出部51と対向して配置されている。このため、左側他機の作動演出部51が作動して、演出部材53,54が押し出されると、演出部材53,54の先端が作動検知部61(ケース62)内に挿入される(図49(b)参照)。また、作動検知部61のケース62には、演出部材53が挿入される位置に第1検知センサ63が設けられ、演出部材54が挿入される位置に第2検知センサ64が設けられている。これらの第1および第2検知センサ63,64は、それぞれ、透過型の光センサとして構成され、ケース62内の上面(前面枠11Bよりも手前側)からケース62内の下面(前面枠11B側)に向かって発光する発光部63a,64aと、ケース62内の下面で発光部63a,64aからの光を受光する受光部63b,64bとを有する(図50(b)参照)。このため、第1検知センサ63は、左側他機の演出部材53がケース52内に引き込まれる初期状態では、発光部63aからの光を受光部63bで受光可能となり、左側他機の演出部材53がケース52から押し出されると、発光部63aからの光が演出部材53に遮られて受光部63bで受光不能となる。また、第2検知センサ64は、左側他機の演出部材54がケース52内に引き込まれる初期状態では、発光部64aからの光を受光部64bで受光可能となり、左側他機の演出部材54がケース52から押し出されると、発光部64aからの光が演出部材54に遮られて受光部64bで受光不能となる。このように、第1検知センサ63の出力により、左側他機の作動演出部51Rの演出部材53の作動を検知することができ、第2検知センサ64の出力により、左側他機の作動演出部51Rの演出部材54の作動を検知することができる。なお、作動検知部61Rは、図示は省略するが、ケース62の開口62aが右側に向かって開口し、第3検知センサ68の出力により、右側他機の作動演出部51Lの演出部材67の作動を検知することができ、第4検知センサ69の出力により、右側他機の作動演出部51の演出部材68の作動を検知することができる。
図51に、作動検知部61により作動演出部51の作動を検知する様子を示す。図51(a)〜(g)は、それぞれ、作動検知部61Lで作動演出部51Rの態様A〜Gを検知する様子を示す。上述したように、態様A〜Gは、態様Aから態様Gになるに連れて第1および第2ソレノイド53a,54aのオン時間(突出部材53,54の押し出しを保持する時間)が長くなって、第1および第2ソレノイド53a,54aのオンオフが切り替わるまでの時間が長いものとなる。このため、第1検知センサ63の受光部63b(第2検知センサ64の受光部64b)が発光部63a(発光部64a)からの発光が遮断される時間も変化して、図示するように、態様Aから態様Gになるに連れて、受光部63bや受光部64bのオンオフ(受光なしと受光あり)が切り替わるまでの時間も長いものとなる。このように、態様A〜Gに応じて、各検知センサのオンオフの時間が異なるから、各検知センサの検知態様も異なるものとなるのである。なお、図示は省略するが、作動検知部61Rで作動演出部51Lの作動を検知する様子も同様である。
[制御回路の構成]
第2実施例のパチンコ機10Bの制御回路の構成は、サブ制御基板90Bの一部の構成が第1実施例のサブ制御基板90と異なったり、サブ制御基板90Bには第1実施例の通信ボタン基板95が接続されていなかったりする点が異なる以外は、第1実施例のパチンコ機10と同様に構成される。このため、第1実施例のパチンコ機10と同じ構成については同じ符号を付して、その説明を省略する。ここで、第2実施例のサブ制御基板90Bの構成の概略を示すブロック図を図52に示す。
サブ制御基板90Bは、図52に示すように、通信ポート90dを備えない以外は、第1実施例と同様に構成されている。また、第1実施例と同様に、演出表示制御基板91やアンプ基板92,装飾駆動基板93B,演出ボタン基板94Bなどが接続されている。
装飾駆動基板93Bは、第1実施例と同様に各種LEDランプ93a,93bを駆動したりセンター役物50の装飾部材を作動させる装飾モータ93bを駆動したりする他、作動演出部51の演出部材53,54,58,59の押し出しおよび引き込みを行うための各ソレノイド(第1ないし第4ソレノイド53a,54a,58a,59a)を駆動したりする。装飾駆動基板93Bは、態様A〜Gに応じた駆動パターン(オンオフの切り替え時間のパターン)を図示しないROMに記憶している。そして、サブ制御基板90Bから態様A〜Gのいずれかの指定を伴って作動演出部51の作動が指示されると、指定された態様に応じた駆動パターンを読み出し、読み出した駆動パターンに従ったオンオフの切り替え時間をもって、必要なソレノイドのオンオフを切り替える。これにより、作動演出部51のいずれか一方(作動演出部51Rまたは作動演出部51L)あるいは両方が、態様A〜Gのいずれかの態様で作動することになる。
演出ボタン基板94Bは、第1実施例と同様に演出ボタン26からの操作信号を入力したりする他、作動検知部61の各センサ(第1ないし第4検知センサ63,64,68,69)からの検知信号を入力したりする。演出ボタン基板94Bは、図51に示した各センサの検知態様と、上述した態様A〜Gとを対応付けて図示しないROMに記憶している。そして、作動検知部61の各センサから入力される検知信号のオンオフの時間に基づいてROMに記憶された検知態様と一致するものを判定し、一致すると判定した検知態様(態様A〜Gのいずれか)で、作動演出部51が作動したことを検知する。このように、本実施例では、作動検知部61の各センサから入力される検知信号に基づいて、隣接する他機の作動演出部51の作動を、態様A〜Gの識別が可能に検知するのである。こうして作動演出部51の作動を検知すると、右側他機または左側他機のどちらの作動演出部51の作動を検知したかの情報と、態様A〜Gのうちいずれの態様で作動したかの情報とを、作動検知情報としてサブ制御基板90Bに送信する。
[演出制御処理]
次に、こうして構成された第2実施例のパチンコ機10Bの動作について説明する。第2実施例のパチンコ機10Bでは、主制御基板70により実行される主制御処理は第1実施例と同様に行うため、説明を省略し、サブ制御基板90Bにより実行される演出制御処理について説明する。図53は、サブ制御基板90BのCPU90aにより実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、保留表示演出処理(S1000)と、図柄変動演出処理(S1010)と、大当り遊技演出処理(S1020)と、通信演出処理(S1030)とを繰り返し実行することにより行われる。S1000の保留発生時演出処理やS1020の大当り遊技演出処理は、それぞれ、第1実施例の図27の演出制御処理におけるS520の保留発生時演出処理やS570の大当り遊技演出処理と同じ処理が行われる。
[図柄変動演出処理]
S1010の図柄変動演出処理は、図54に例示するフローチャートに従って実行される。この図柄変動演出処理は、第1実施例の図31の図柄変動演出処理における一部の処理(S710やS722、S724の処理)が省略される以外は、同じ処理が行われる。このため、各処理については、同じ符号を付して、説明を省略する。なお、S706で設定される大当り用の演出図柄としては、例えば、「333」や「777」などが確変大当り用の図柄(確変図柄)として定められ、「222」や「666」などが通常大当り用の図柄として定められている。
[通信演出処理]
通信演出処理は、図55に例示するフローチャートに従って実行される。図55の通信演出処理では、サブ制御基板90BのCPU90aは、まず、上述した図柄変動演出処理において演出パターンが設定されたか否かを判定する(S1100)。S1100では、同一周期の図柄変動演出処理におけるS704の処理で大当り演出パターンが設定されたりS712の処理で外れ演出パターンが設定されたりしたときに、演出パターンが設定されたと判定する。演出パターンが設定されたと判定すると、図56に示すパターン設定時の通信演出処理を実行して(S1102)、通信演出処理を終了する。また、S1100で演出パターンが設定されていないと判定すると、作動検知部61により隣接する他機の作動演出部51の作動を検知したか否かを判定する(S1104)。この判定は、演出ボタン基板94から入力される作動検知情報に基づいて行われる。上述したように、作動検知情報には、右側他機または左側他機のどちらの作動演出部51の作動を検知したかの情報と、態様A〜Gのうちいずれの態様で作動したかの情報とが含まれている。このため、S1104の判定では、隣接する他機のうち右側他機または左側他機のどちらの作動演出部51が、どの態様で作動したかについても判定することができる。S1104で他機の作動演出部51の作動を検知したと判定すると、図57に示す作動検知時の通信演出処理を実行して(S1106)、通信演出処理を終了する。また、S1104で他機の作動演出部51の作動を検知していないと判定したときには、そのまま通信演出処理を終了する。以下、パターン設定時の通信演出処理と、作動検知時の通信演出処理について、順に説明する。
図56のパターン設定時の通信演出処理では、サブ制御基板90BのCPU90aは、まず、設定された演出パターンが大当り用のパターン(大当り演出パターン)であるか否かを判定する(S1120)。大当り用のパターンが設定されたと判定したときには、さらに、今回の大当りが確変大当りであるか否かを判定する(S1122)。この判定は、大当り確定時の疑似図柄(演出図柄)が確変図柄であるか否かを判定することにより行われ、例えば、「333」や「777」などであれば、確変図柄であるために確変大当りと判定し、「222」や「666」などであれば、確変図柄でないために確変大当りではない(通常大当りである)と判定する。なお、これらの図柄は、S1010の図柄変動演出処理において、図柄変動開始時コマンドに含まれる大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)に基づいて定められるため、S1122では、間接的に、図柄変動開始時コマンド(大当り停止図柄)を用いて判定することになる。
S1122で確変大当りであると判定すると、左右両側の作動演出部51を態様Aで作動させると共に(S1124)、第1の特定演出を実行して(S1126)、パターン設定時の通信演出処理を終了する。S1124の処理は、態様Aの指定を伴って装飾駆動基板93Bに作動演出部51(51R,51L)の作動を指示することにより行われる。装飾駆動基板93Bでは、指定された態様Aに応じた駆動パターンを読み出し、読み出した駆動パターンに従ったオンオフの切り替え時間をもって、第1ないし第4ソレノイド53a,54a,58a,59aのオンオフを切り替えることにより、作動演出部51(作動演出部51R,51Lの各演出部材53,54,58,59)を作動させる。なお、以下の処理で、作動演出部51を各態様で作動させるときも、同様の処理が行われる。また、S1126で実行される第1の特定演出は、特定の文字や特定のキャラクタなどを示す表示画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93a,93bが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。この第1の特定演出は、確変大当りの可能性が高いことを示唆するために行われる。なお、図柄変動演出中には、演出表示装置34の画面では、図柄の変動演出画面の表示に重ねて(レイヤー表示して)、特定の文字やキャラクタなどが表示される。このように、本実施例では、確変大当りが発生したパチンコ機10Bが、左右両側の作動演出部51を態様Aで作動させると共に第1の特定演出を実行するのである。
一方、S1122で確変大当りではないと判定したとき(通常大当りであると判定したとき)には、左右両側の作動演出部51を態様Bで作動させると共に(S1128)、第2の特定演出を実行して(S1130)、パターン設定時の通信演出処理を終了する。このように、本実施例では、通常大当りが発生したパチンコ機10が、左右両側の作動演出部51(51R,51L)を態様Bで作動させると共に第2の特定演出を実行するのである。ここで、第2の特定演出は、特定の文字や特定のキャラクタなどを示す表示画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93a,93bが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。この第2の特定演出は、第1の特定演出と異なり、確変大当りの可能性が低いこと(通常大当りの可能性が高いこと)を示唆するために行われる。このため、第1の特定演出と第2の特定演出とは、演出内容の一部が異なるものとなっている。例えば、第1の特定演出では、第2の特定演出にはない特定のキャラクタが登場したり、第2の特定演出とはキャラクタのセリフや表示される文言(特定の文字)が遊技者の期待感をより高めるようなものとなっていたり、第2の特定演出とは異なる色で背景が表示されたりする。
また、S1120で大当り用のパターンが設定されていない、即ち外れ用のパターン(外れ用演出パターン)が設定されたと判定したときには、作動演出部51を作動させるか否かを抽選により決定する作動演出部の作動有無の抽選を行って(S1132)、抽選結果が作動ありか否かを判定する(S1134)。S1132の作動有無の抽選は、抽選用の乱数値として、例えば値0〜255のうちいずれかの乱数値を取得し、取得した乱数値が、値0〜255のうち値60,61であれば作動ありと判定し(1/128の確率)、それ以外の値であれば作動なしと判定する。S1134で作動ありと判定したときには、両側の作動演出部51を態様Cで作動させると共に(S1136)、第2の特定演出を実行して(S1130)、パターン設定時の通信演出処理を終了する。また、S1134で抽選結果が作動なしと判定したときには、そのままパターン設定時の通信演出処理を終了する。このように、本実施例では、外れ用のパターンが設定された場合でも、抽選結果が作動ありであれば、左右両側の作動演出部51(51R,51L)を態様Cで作動させると共に第2の特定演出を実行するのである。尚、本実施例では、当否判定の結果が外れの場合には、作動演出部の作動有無を抽選によって決定するものとしたが、外れの場合の一部の変動パターンに作動演出部の作動を組み込んでもよい。
図57の作動検知時の通信演出処理では、サブ制御基板90BのCPU90aは、まず、他機の作動演出部51の作動態様として態様Aを検知したか否かを判定する(S1140)。この判定は、上述したように、演出ボタン基板94から入力される作動検知情報に基づいて行うことができる。態様Aを検知したと判定したときには、隣接する他機の作動演出部51の作動を検知した側と反対側の自機の作動演出部51(51Rまたは51Lのいずれか)を態様Aで作動させ(S1142)、第1の特定演出を実行して(S1144)、作動検知時の通信演出処理を終了する。S1142では、左側他機の作動演出部51Rの作動を検知していれば、自機の右側の作動演出部51Rを態様Aで作動させる。また、右側他機の作動演出部51Lの作動を検知していれば、自機の左側の作動演出部51Lを態様Aで作動させる。即ち、隣接する他機の作動演出部51の態様Aでの作動を検知していれば、その他機の作動演出部51と同じ側の自機の作動演出部51を態様Aで作動させるのである。また、S1144では、パターン設定時の通信演出処理におけるS1126で実行される第1の特定演出と同じ演出が実行される。このように、第2実施例のパチンコ機10Bでは、隣接する他機の作動演出部51の態様Aでの作動を検知すると、自機の作動演出部51を同じ態様Aで作動させると共に第1の特定演出を実行するのである。このため、作動演出部51を態様Aで作動させることは、隣接する他機に対して、作動演出部51の態様Aでの作動と第1の特定演出の実行とを指示する指示情報(所定の情報)の送信に該当し、隣接する他機の作動演出部51の態様Aでの作動を検知することは、その指示情報(所定の情報)の受信に該当するものということができる。以上のことから、第2実施例のパチンコ機10Bでは、作動演出部51と作動検知部61とにより隣接する他機と通信を行うことができるため、作動演出部51の作動を、通信と演出とに兼用することができるものとなる。したがって、各パチンコ機10Bにおいて作動検知時の通信演出処理が行われると、同じ側にある作動演出部51が態様Aで次々に作動すると共に第1の特定演出が次々に実行されることになる。このため、各パチンコ機10Bで、一体的な演出を実行することができ、遊技の興趣を高めることができる。
S1140で態様Aを検知していないと判定すると、態様Bを検知したか否かを判定する(S1146)。態様Bを検知したと判定すると、自機の作動演出部51を作動させるか否かを抽選により決定する作動演出部の作動有無の抽選を行って(S1148)、抽選結果が作動ありか否かを判定する(S1150)。S1148の作動検知時の作動有無の抽選は、抽選用の乱数値として、例えば値0〜255のうちいずれかの乱数値を取得し、取得した乱数値が、値0〜255のうち値0〜191であれば作動ありと判定し(3/4の確率)、値192〜255であれば作動なしと判定する。このように、作動検知時の作動有無の抽選は、パターン設定時の作動有無の抽選における作動ありの確率(1/128)に比して、高い確率で作動ありと判定するものとなっている。これは、上述したように、作動演出部51の作動は、隣接する他機への通信として機能することから、なるべく多くのパチンコ機10Bで一体的な演出が行われるようにするためである。S1150で作動ありと判定すると、隣接する他機の作動演出部51の作動を検知した側と反対側の自機の作動演出部51(51Rまたは51Lのいずれか)を態様Bで作動させ(S1152)、第2の特定演出を実行して(S1154)、作動検知時の通信演出処理を終了する。これにより、隣接する他機の作動演出部51の態様Bでの作動を検知したパチンコ機10Bでは、自機の作動演出部51を態様Bで作動させると共に第2の特定演出を実行することになる。即ち、作動演出部51を態様Bで作動させることは、隣接する他機に対して、作動演出部51の態様Bでの作動と第2の特定演出の実行とを指示する指示情報(所定の情報)の送信に該当し、隣接する他機の作動演出部51の態様Bでの作動を検知することは、その指示情報(所定の情報)の受信に該当するのである。これにより、作動演出部51の態様Aでの作動と同様に、作動演出部51の態様Bでの作動を通信と演出とに兼用し、各パチンコ機10Bにおいて作動演出部51の態様Bでの演出(作動)と第2の特定演出とを共通の演出とする、一体的な演出が実行されることになる。
S1150で抽選結果が作動なしと判定すると、作動演出部51を作動させることなく、第2の特定演出を実行して(S1154)、作動検知時の通信演出処理を終了する。このように、作動演出部51の態様Bでの作動を検知しても、抽選結果によっては作動演出部51を作動させないのである。このため、作動を検知した側と反対側に隣接する他機に対して、作動演出部51の態様Bでの作動と第2の特定演出の実行とを指示する指示情報の送信は、なされないことになる。即ち、作動演出部51を用いた通信が、それ以上行われずに、終了することになる。
また、S1146で態様Bを検知していないと判定すると、作動演出部51を作動させることなく、第2の特定演出を実行して(S1154)、作動検知時の通信演出処理を終了する。このように、他機の作動演出部51の作動(この場合は、態様Cでの作動)を検知しているものの、態様A,Bのいずれにも該当しないときには、作動演出部51を作動させないのである。このため、作動演出部51を態様Cで作動させることは、隣接する他機に対して、作動演出部51の作動を指示することなく、第2の特定演出の実行だけを指示する指示情報の送信に該当するのである。
図58に、通信演出処理の様子を示す。図58では、パチンコ機10B(a)が図56のパターン設定時の通信演出処理で作動演出部51の作動を開始させた場合を示す。なお、以下では、パチンコ機10B(a)の右側のパチンコ機10B(b)〜(e)との通信を説明するが、パチンコ機10B(a)の左側との通信も同様に行われる。
図58(a)に示すように、パチンコ機10B(a)で確変大当りが発生したときに態様Aで両側の作動演出部51を作動すると、右隣のパチンコ機10B(b)では、左側の作動検知部61Lで態様Aでの作動を検知して、反対側の作動演出部51Rを態様Aで作動する。以下、同様に、パチンコ機10B(c)〜(e)では、作動演出部51Rの態様Aでの作動が順次行われる。また、パチンコ機10B(a)〜(e)では、第1の特定演出も実行される。このため、パチンコ機10B(a)〜(e)の5台全てで一体的な通信演出を行うことにより、確変大当りが発生したことを遊技者に報知することができる。
また、図58(b)に示すように、パチンコ機10B(a)で通常大当りが発生したときに態様Bで両側の作動演出部51を作動すると、右隣のパチンコ機10B(b)では、左側の作動検知部61Lで態様Bでの作動を検知して、作動有無の抽選を行う。抽選の結果、作動ありと判定すると、反対側の作動演出部51Rを態様Bで作動する。その右隣のパチンコ機10B(c)では、この例では、抽選の結果、作動なしと判定し、作動演出部51を作動させないものとした。なお、この場合でも、パチンコ機10B(c)で第2の特定演出は実行される。このため、パチンコ機10B(a)〜(c)の3台で一体的な演出が行われることになる。なお、図示は省略したが、各パチンコ機10Bで抽選の結果、それぞれ作動ありと判定すれば、図58(a)と同様に、パチンコ機10B(e)までで一体的な通信演出が行われることになる。即ち、抽選の結果に応じて、最少の場合にはパチンコ機10B(a),(b)の2台で一体的な演出が行われ、最多の場合にはパチンコ機10B(a)〜(e)の5台全てで一体的な演出が行われるのである。ただし、5台全てで一体的な演出が行われる確率は、図58(a)よりも低いものとなる。
また、図58(c)に示すように、パチンコ機10B(a)で外れで且つ作動ありと判定したときに態様Cで両側の作動演出部51を作動すると、右隣のパチンコ機10B(b)では、左側の作動検知部61Lで態様Cでの作動を検知する。このため、パチンコ機10B(b)では、作動演出部51の作動は行わずに、第2の特定演出を実行する。このため、パチンコ機10B(a),(b)の2台で一体的な演出(第2の特定演出)を行うことになる。これは、図58(b)の最少の場合と同じ台数である。これらの図58(a)〜(c)から、一体演出を行うパチンコ機10Bの台数が多いほど、大当りが発生した可能性が高いことを遊技者に示唆することができるものとなる。この例では、3台以上のパチンコ機10Bで通信演出が行われれば、当りが発生したことを遊技者に示唆することができ、全てのパチンコ機10Bで通信演出が行われれば、確変大当りの可能性が高いことを示唆することができる。このように、第2実施例では、作動演出部51を通信と演出とに兼用することにより、遊技者に視認できる態様で通信演出を行うのである。また、通信演出がなされるパチンコ機10Bの台数で大当りの可能性を示唆することができる。この結果、新たな通信方法を提供することができる。
以上説明した第2実施例のパチンコ機10Bによれば、遊技者が認識可能な所定の演出を実行する作動演出部51と、他機の作動演出部51が実行する所定の演出を検出する作動検知部61と、所定の演出を実行するよう作動演出部51を制御することにより他機に所定の情報を送信する送信制御処理(図56のパターン設定時の通信演出処理)を実行し、作動検知部61によって他機の所定の演出を検出することにより他機から所定の情報を受信する受信制御処理(図57の作動検知時の通信演出処理)を実行するサブ制御基板90Bとを備える。即ち、自機の作動演出部51を作動させることにより隣接する他機に情報を送信し、作動検知部61で隣接する他機の作動演出部51の作動を検知することにより、隣接する他機からの情報を受信する。これにより、作動演出部51により所定の演出を実行することで、他機との間で情報の送受信を行うことができるから、作動演出部51による所定の演出を、通信に兼用することができる。この結果、パチンコ機10B間における新たな通信方法を提供することができる。また、受信制御処理では、他機の作動演出部51の態様Aでの作動の検知により態様Aでの作動を指示する指示情報(所定の情報)を受信すると、自機の作動演出部51を態様Aで作動させる。これにより、隣接する各パチンコ機10Bで所定の演出が次々に実行されることになり、パチンコ機群(複数のパチンコ機10B)での装飾効果を高めると共に、各パチンコ機10Bに次々に情報を伝達することができる。さらに、受信制御処理では、他機の作動演出部51の態様Bでの作動の検知により態様Bでの作動を指示する指示情報(所定の情報)を受信すると、作動演出部51を作動するか否かを抽選し、抽選結果が作動ありのときに作動演出部51を態様Bで作動させる。これにより、所定の情報を受信した場合に、所定の情報をさらに送信するために所定の演出を実行する場合と、所定の情報を送信しないために所定の演出を実行しない場合とに分かれるから、通信態様と演出態様に変化を与えることができる。そして、図15の変動表示関連処理で大当り判定用乱数を用いて大当り判定を行う主制御基板70を備え、送信制御処理では、大当り判定の結果が大当りであれば作動演出部51を作動させる。また、大当り判定の結果が外れであっても、作動演出部51を作動するか否かを抽選して抽選結果が作動ありのときに作動演出部51を作動させる。これにより、所定の演出が実行されることで、大当りの可能性を遊技者に示唆することができ、遊技の興趣を高めることができる。また、受信制御処理では、他機の作動演出部51の態様Aや態様Bでの作動を検知すると、第1の特定演出や第2の特定演出(所定の演出)の実行を指示する指示情報を受信したとして、演出表示装置34など(LEDランプ93a,93b、各種スピーカー28a,28bを含む)を用いた所定の演出を実行する。これにより、他機から受信した所定の情報を、演出表示装置34などに対する演出実行指示情報として受けて所定の演出を実行することができる。演出表示装置34などが行う所定の演出は、作動演出部51が行う所定の演出とは異なり、通信するための演出とする必要がないから、演出の態様を様々なものとすることができる。また、作動演出部51を、所定の動作態様で作動可能な演出部材と、演出部材を駆動するソレノイドとから構成し、受信制御処理では、作動検知部61が他機の演出部材の作動を検知した場合に、演出部材が作動するよう必要なソレノイドを制御する。これにより、遊技者が演出を認識しやすいものとして、作動演出部51に、通信と演出とを兼用させる場合において、演出効果を高めることができる。
ここで、従来、複数台の遊技機を、インターネット回線を介してサーバと無線通信可能に接続するものが提案されている(例えば、特開2003−62290号公報)。この公報では、遊技機がサーバに対して、遊技中の当選判定の結果を示す当選判定データなどの遊技データを遊技機の識別データと共に送信し、サーバでは受信した当選判定データに基づく払い出しを累積していく。そして、サーバは、特定の当選を示す当選判定データを受信すると、その特定の当選を示す当選判定データを送信した遊技機に対して、それまでに蓄積された払い出しを指示する払い出しデータを送信するものとしている。また、隣接する複数台の遊技機を、いわゆる島とよばれる一群を対象として、有線通信可能に接続するものも提案されている(例えば、特開2004−298414号公報)。この公報では、複数台の遊技機が、それぞれ、抽選により送信対象イベントが発生した場合に、複数台の遊技機で共通の演出を行うためのデータを作成して他機との間でデータの送受信を行うことにより、そのデータに基づく共通演出画像を他機の演出表示部に表示させる。これにより、複数台の遊技機が、通信を利用して共通演出処理を行うことができるとしている。このように、無線通信や有線通信などを用いて、複数台の遊技機間で通信するものがある。しかしながら、これらの遊技機では、通信自体は単にデータをやり取りするための専用の態様で行われている。ここで、このような遊技機では、一般に、遊技興趣を向上させることを重要な課題の一つとしていることから、遊技興趣を向上させるために、通信自体についても、なお改良の余地がある。これに対して、第2実施例のパチンコ機10Bによれば、上述した構成を採用することで、遊技機間における新たな通信方法を提供することができるようになるのである。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、図56のパターン設定時の通信演出処理で、大当り判定の結果が大当りの場合だけでなく外れの場合にも抽選の結果に応じて作動演出部51を作動(所定の演出を実行)させるものとしたが、これに限られず、外れの場合には作動演出部51を作動させず、大当りの場合にのみ作動演出部51を作動させるものとしてもよい。この場合、S1132〜S1136の処理を省略すればよい。また、大当り判定の結果が外れの場合にのみ抽選により作動演出部51の作動の有無を判定するものとしたが、これに限られず、大当りの場合にも抽選により作動演出部51の作動の有無を判定するものとしてもよい。この場合、大当りであれば作動有りと判定する抽選確率を高くし、外れであれば作動有りと判定する抽選確率を低くするものとすることもできる。さらに、大当りの種類に応じて抽選有無や抽選確率を異なるものとしてもよい。例えば、確変大当りの場合には、作動有無の抽選を行うことなく作動演出部51を作動させ、通常大当りの場合には、作動有無の抽選を行うことにより作動演出部51を作動させるものとしてもよい。また、確変大当りの場合には、通常大当りや外れの場合に比して作動有りと判定する抽選確率を高くしてもよいし、通常大当りの場合には、外れの場合に比して作動有りと判定する抽選確率を高くしてもよい。
また、第2実施例のパチンコ機10Bでは、図57の作動検知時の通信演出処理において態様Bでの作動を検知した場合にS1148,S1150の処理で作動有無の抽選を行うことにより作動演出部51の作動の有無を決定するものとしたが、これに限られず、態様Aや態様Cの作動を検知した場合にも作動有無の抽選を行うものとしてもよい。この場合、作動有無の抽選において作動ありと判定する確率を、態様Aを検知した場合には態様Bを検知した場合よりも高くするものとしたり、態様Cを検知した場合には態様Bを検知した場合よりも低くするものとしたりしてもよい。あるいは、作動検知時の通信演出処理において、作動有無の抽選を省略するもの、即ち隣接する他機の作動演出部51の作動を検知したら、自機の作動演出部51を常に作動するものとしてもよい。
このように、パターン設定時の通信演出処理や作動検知時の通信演出処理において、作動演出部51の作動の態様を様々な方法で選択するものとすることができる。ここで、上述したように、第2実施例のパチンコ機10Bでは、作動演出部51の作動の態様として、7種類の態様A〜Gを有しており、そのうちの態様A〜Cを用いた処理を既に説明したが、残りの態様D〜Gを用いて次のように処理するものとしてもよい。この場合の変形例のパターン設定時の通信演出処理を図59に示し、作動検知時の通信演出処理を図60に示す。なお、図59のパターン設定時の通信演出処理および図60の作動検知時の通信演出処理の各ステップのうち図56のパターン設定時の通信演出処理および図57の作動検知時の通信演出処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その説明は重複するから省略する。
図59のパターン設定時の通信演出処理では、S1120で大当り用のパターン(大当り演出パターン)が設定されたと判定すると、作動演出部51を作動させて通信を実行すると決定して、その通信演出範囲を設定する(S1160)。通信演出範囲の設定は、確変大当りであれば、通信演出範囲を全台または3台先までの2種類の範囲のいずれかに設定する。また、通常大当りであれば、通信演出範囲を3台先までか2台先までか1台先までか自機だけの4種類の範囲のいずれかに設定する。ここで、通信演出範囲がN台先(Nは、値1,2,3)までとは、自機の右側の他機N台分と、自機の左側の他機N台分との範囲(自機を含めて計(2N+1)台分)である。また、確変大当りの場合、2種類の範囲を同じ確率で選択する抽選により設定してもよいし、広い範囲(全台)を高い確率で選択する抽選により設定してもよい。通常大当りの場合、4種類の範囲を同じ確率で選択する抽選により設定してもよいし、狭い範囲になるほど高い確率で選択する抽選により設定してもよい。通信演出範囲を設定すると、設定した範囲は全台か(S1162)、3台先までか(S1164)、2台先までか(S1166)、1台先までか(S1168)をそれぞれ判定する。S1162で全台の範囲と判定すると、S1124で両側の作動演出部51を態様Aで作動させS1126で第1の特定演出を実行して、パターン設定時の通信演出処理を終了する。また、S1164で3台先までの範囲と判定すると、両側の作動演出部51を態様Dで作動させ(S1170)、S1166で2台先までの範囲と判定すると、両側の作動演出部51を態様Eで作動させ(S1172)、S1168で1台先までの範囲と判定すると、両側の作動演出部51を態様Fで作動させ(S1174)、S1162〜S1168のいずれの範囲でもない(自機だけの範囲)と判定すると、両側の作動演出部51を態様Gで作動させる(S1176)。なお、態様D〜Gは、上述したように、アルファベットの並びと同じ順で、態様Dの後に態様E、態様Eの後に態様F、態様Fの後に態様Gが、それぞれ順序付けられている。こうして、設定した通信演出範囲に応じて作動演出部51を態様D〜Gのいずれかで作動させると、S1130で第2の特定演出を実行して、パターン設定時の通信演出処理を終了する。
図60の作動検知時の通信演出処理では、S1140で態様Aを検知したと判定したときには、S1142,S1144で検知した側と反対側の作動演出部51を態様Aで作動させて第1の特定演出を実行して、作動検知時の通信演出処理を終了する。これにより、上述した第2実施例と同様に、パチンコ機10Bの作動演出部51が次々に態様Aで作動すると共に第1の特定演出を実行することになる。このため、パターン設定時の通信演出処理で作動演出部51を態様Aで作動することにより、全てのパチンコ機10B、即ち全台を通信演出範囲として一体的な演出が実行されるものとなる。一方、S1140で態様Aを検知していないと判定すると、態様Dを検知したか(S1180)、態様Eを検知したか(S1182)、態様Fを検知したか(S1184)をそれぞれ判定する。S1180で態様Dを検知したと判定すると、検知した側と反対側の作動演出部51を、態様Dの後に順序付けられた態様Eで作動させる(S1186)。また、S1182で態様Eを検知したと判定すると、検知した側と反対側の作動演出部51を、態様Eの後に順序付けられた態様Fで作動させる(S1180)。そして、S1184で態様Fを検知したと判定すると、検知した側と反対側の作動演出部51を、態様Fの後に順序付けられた態様Gで作動させる(S1190)。このように、検知した態様の一つ後(次)に順序付けられた態様で作動演出部51を作動し、順序に従った処理(制御)であるため、順序演出制御という。S1186〜S1190のいずれかの処理を行うと、S1154で第2の特定演出を実行して、作動検知時の通信演出処理を終了する。一方、S1180〜S1184のいずれの態様でもない(態様D〜Fではなく態様Gである)と判定すると、作動演出部51を作動させることなく、S1154で第2の特定演出を実行して、作動検知時の通信演出処理を終了する。即ち、最後尾の態様Gでの演出を検知すると、作動演出部51を作動しないのである。これにより、隣接する他機に対し、それ以上通信がなされることはないため、順序演出制御が終了することになる。
この場合の通信演出処理の様子を図61に示す。なお、通信範囲が全台の場合は、図58(a)と同じであるため、図示および説明を省略する。図61(a)に示すように、パチンコ機10B(a)において、通信演出範囲が3台先までに設定されて作動演出部51を態様Dで作動させる(順序演出制御を態様Dで開始させる)と、右隣のパチンコ機10B(b)では、左側の作動検知部61Lで態様Dでの作動を検知して、右側の作動演出部51Rを態様Eで作動させる。その右隣のパチンコ機10B(c)では、態様Eでの作動を検知して、右側の作動演出部51Rを態様Fで作動させる。また、その右隣のパチンコ機10B(d)では、態様Fでの作動を検知して、右側の作動演出部51Rを態様Gで作動させ、さらにその右隣のパチンコ機10B(e)では、態様Gでの作動を検知して、作動演出部51を作動させないことになる。このとき、パチンコ機10B(e)では、第2の特定演出も実行しないものとなる。このため、パチンコ機10B(a)の作動演出部51から開始された通信演出(順序演出制御)は、パチンコ機10B(b),(c),(d)まで、即ち3台先までの範囲で実行されることになる。なお、図61では、パチンコ機10B(a)の右側のパチンコ機10Bのみを図示しているが、左側のパチンコ機10Bがあれば、同様に、3台先までの範囲で通信演出が実行される。また、図61(b)に示すように、パチンコ機10B(a)において、通信演出範囲が2台先に設定されて作動演出部51を態様Eで作動させると、右隣のパチンコ機10B(b),(c)では、それぞれ、態様F,Gで作動演出部51を作動させる。このため、パチンコ機10B(a)の作動演出部51から開始された通信演出は、パチンコ機10B(b),(c)まで、即ち2台先までの範囲で実行されることになる。また、図61(c)に示すように、パチンコ機10B(a)において、通信演出範囲が1台先に設定されて作動演出部51を態様Fで作動を開始させると、その右隣のパチンコ機10B(b)では、態様Gで作動演出部51を作動させる。このため、パチンコ機10B(a)の作動演出部51から開始された通信演出は、パチンコ機10B(b)まで、即ち1台先までの範囲で実行されることになる。また、図61(d)に示すように、通信演出範囲が自機だけに設定されて作動演出部51を態様Gで作動を開始させると、パチンコ機10B(b)の作動演出部51は作動せず、パチンコ機10B(a)だけで演出が行われるものとなる。このように、作動演出部51の態様D〜Gが先頭の態様Dから最後尾の態様Gまで順序付けられており、態様D〜Fのいずれかを検知すると、その一つ後に順序付けられている態様を選択して作動演出部51を作動させることで、通信演出の範囲を可変とすることができるのである。
このように、変形例のパチンコ機10Bによれば、遊技者が認識可能な所定の演出を実行する作動演出部51と、大当りが発生した場合(所定の条件が成立した場合)に態様A,D〜F(第1の態様)または態様G(第2の態様)を選択し、選択した態様で演出を実行するよう作動演出部51を制御する(図59のパターン設定時の通信演出処理を実行する)サブ制御基板90Bと、他機の作動演出部51が実行する演出を検出する作動検知部61と、を備え、作動検知部61により隣接する他機の作動演出部51の態様A,D〜Fでの作動を検知すると自機の作動演出部51を作動させる。即ち、複数の態様A,D〜Gのうちいずれかを選択して自機の作動演出部51を作動させ、作動検知部61により他機の作動演出部51の態様A,D〜Fでの作動を検知すると自機の作動演出部51を作動させる。これにより、作動演出部51が態様A,D〜Fで演出を実行することで、他機との間で情報の送受信を行うことができるし、態様Gで演出を実行するなど態様A,D〜Fでの演出を他機に検知させないことで、他機に情報を送信することなく自機の遊技者に向けて演出を行うことができる。即ち、作動演出部51による演出の態様として、通信兼用の態様と演出専用の態様とを有するものとなる。また、態様A,D〜Fでの演出の実行が検知された場合に、作動演出部51に演出を実行させ、態様Gでの演出の実行が検知された場合に、作動演出部51に演出を実行させないから、演出態様を多様化することができる。さらに、第1の態様として、態様Dと、態様E(第1の順序態様)と、態様F(第2の順序態様)とを有し、第2の態様として、態様G(第3の順序態様)を有し、順序演出制御として、態様Dの演出を検知した場合に作動演出部51に態様Eで演出を実行させ、態様Eの演出を検知した場合に作動演出部51に態様Fで演出を実行させ、態様Fの演出を検知した場合に作動演出部51に態様Gで演出を実行させて、順序演出制御を終了する。これにより、順序演出制御において、順序付けられた複数の態様D〜Gの演出を、順次実行することができるから、通信態様と演出態様とに変化を与えることができる。また、自機が何れの順序態様の演出を実行するかによって、何台のパチンコ機10Bで連動演出を実行するかを変えることができる。そして、図15の変動表示関連処理で大当り判定用乱数を用いて大当り判定を行う主制御基板70を備え、順序演出制御を開始するときには、当否判定結果に基づいて決定された態様で作動演出部51を作動させる。これにより、当否判定の結果に基づいて、いずれかの態様で順序演出制御を開始することができる。このため、通信と演出とが行われる遊技機の台数を可変とすることができ、通信態様と演出態様とにさらに変化を与えることができる。変形例では、遊技者に有利な確変大当りであれば、通常大当りよりも多くのパチンコ機10Bで順序演出制御が行われるものとするから、順序演出制御が行われるパチンコ機10Bの台数によって、確変大当りの発生や通常大当りの発生を遊技者に示唆することができ、遊技の興趣の向上に繋げることができる。このように、第2実施例の変形例のパチンコ機10Bにおいても、上述した構成を採用することで、パチンコ機10B間における新たな通信方法を提供することができるのである。
変形例のパチンコ機10Bでは、第1の態様として態様D〜Fの3つの順序態様を有するものとしたが、これに限られず、少なくとも2種類の順序態様として第1の順序態様(態様E)と第2の順序態様(態様F)とを有していればよい。また、態様G(第3の順序態様)での演出を検知した場合には、作動演出部51の演出を実行しないものとしたが、これに限られず、第3の順序態様の演出は、作動検知部61に対して情報を送信しない態様(検知できない態様)であるものとしてもよい。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、パターン設定時の通信演出処理や作動検知時の通信演出処理で第1の特定演出や第2の特定演出とを実行するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、パターン設定時の通信演出処理では、これらの特定演出を実行しないものとし、作動検知時の通信演出処理のみで特定演出を実行するものとしてもよい。即ち、作動演出部51の作動を検知した場合のみ、特定演出を実行するものとしてもよい。また、2種類の特定演出に限られず、作動演出部51の7種類の態様A〜Gに応じて7種類の異なる特定演出を有し、検知した態様A〜Gに応じて異なる特定演出を選択して実行するものとしてもよい。あるいは、第1の特定演出と第2の特定演出とを同一の特定演出として、作動演出部51の作動を検知したときには、検知した態様に拘わらず同一の特定演出を実行するものなどとしてもよい。また、態様A〜Gのうち、態様A,D〜Fの作動を検知したときには特定演出を実行し、態様Gの作動を検知したときには特定演出を実行しないものなどとしてもよい。また、リーチ演出を実行中など、特定演出を実行する際の自機の状態によっては、特定演出の実行を省略するものとしてもよい。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、特定演出の態様として、特定の文字や特定のキャラクタなどを示す表示画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93a,93bが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行うものとした。即ち、特定演出を実行する演出手段を、演出画像などが表示される画像表示手段や効果音や音声などの音を出力する音出力手段、点灯や点滅などで光を発光する発光手段などとしたが、これに限られるものではない。例えば、これらの画像表示と音声出力と点灯態様とのうち、いずれか1つまたは2つを行うものとしてもよい。また、発射ハンドル18を用いて特定演出を行うもの、即ち振動などの特定の動作を操作手段に付与する演出などとしてもよく、この場合、発射ハンドル18内に設けたモータの回転軸に偏心部材を取り付けておき、モータを回転させることで発射ハンドル18を振動させることにより、特定演出を行うものなどとしてもよい。あるいは、作動演出部51(演出手段)と、演出表示装置34やLEDランプ93a,93b、各種スピーカー28a,28b(第2の演出手段)とが異なる演出を実行するものとしたが、同じ所定の演出を実行するものとしてもよい。その場合、演出手段と、第2の演出手段とを、同じ演出手段として構成するものとすればよい。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、作動演出部51の作動とその検知とによりやり取りされる所定の情報として、所定の演出の実行を指示する演出実行指示情報を例示したが、所定の情報は複数種類あってもよいし、単数であってもよい。複数種類あれば、複数種類の情報(異なる内容の指令)を送受信することができる。また、他機に情報を送信する態様の演出と、他機に情報を送信しない態様の演出とを含めることもできる。また、所定の情報を受信した場合に、自機の作動演出部51に所定の演出を実行させるか否かは、本実施例のように抽選によって決定してもよいし、受信した情報によって決定してもよい(演出の実行を指示する情報と、演出の実行を指示しない情報とを有する)。こうすれば、作動演出部51に所定の演出を実行させた場合に、必ずしも隣接する他機の作動演出部51が作動しないので、自機の作動演出部51のみで演出を実行したい場合(複数の遊技機で連携演出をしない場合)にも、作動演出部51に所定の演出を実行させることができる。これにより、作動演出部51の使用機会を増やすと共に、演出にメリハリを持たせることができる。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、作動演出部51と作動検知部61とを用いて通信演出処理を行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、セリフなどの音声や効果音などの音を発するスピーカー(例えば、スピーカー28a,28b)と音を検出する音認識センサとを用いて通信演出処理を行うものとしてもよい。この場合、音声や効果音などの態様と、その態様が示す指示情報とを対応付けておくことにより、通信と演出とを行うものとすればよい。あるいは、点灯や点滅などにより光を発光するランプ(例えば、LEDランプ93a,93b)と光を検出する光センサとを用いて通信演出処理を行うものとしてもよい。この場合、点灯や点滅などの態様と、その態様が示す指示情報とを対応付けておくことにより、通信と演出とを行うものとすればよい。また、通信演出処理を行う可動物、音、光等の演出態様において、遊技者が認識できない態様で通信してもよい。また、遊技者が認識できる態様と、遊技者が認識できない態様(認識困難な態様を含む)との複数の演出態様を含めて実行可能なものとしてもよい。これにより、順々に隣接するパチンコ機10Bで共通演出を実行することもできるし、1又は複数のパチンコ機10Bを飛ばして特定演出(共通演出、関連演出)を実行させることもできる。これにより、大当り中のパチンコ機10Bや、リーチ中のパチンコ機10B等を特定演出(共通演出、関連演出)の対象から外し、遊技者が混乱することを防止することもできる。
第2実施例のパチンコ機10では、作動演出部51の作動を作動検知部61の光センサ(第1ないし第4検知センサ63,64,68,69)により非接触で検知するものとしたが、これに限られず、接触式のセンサで検知するものとしてもよい。この場合、例えば、作動検知部61をプッシュ式のタッチセンサとして構成しておき、作動演出部51が作動すると、押し出された演出部材53,54,58,59が作動検知部61に当接することにより、検知するものなどとすればよい。
第2実施例のパチンコ機10では、作動演出部51が隣接する他機との境界を越えて作動するものとしたが、これに限られず、自機内で作動するものとしてもよい。この場合、作動演出部51を光を反射可能な部材で構成し、作動検知部61をいわゆる反射型の光センサなどで構成して、光センサの光路が作動演出部51の作動範囲と交わるように設けておくものとすればよい。即ち、作動演出部51の作動の有無により、光センサからの発光の作動演出部51による反射の有無が変化するものとすればよい。このため、他機の作動演出部51が作動していないとき(非作動位置にあるとき)には、光センサから発光された光が作動演出部51で反射されずに光センサは受光しないことにより作動を検知しないものとし、他機の作動演出部51が作動したとき(作動位置にあるとき)には、光センサから発光された光が作動演出部51で反射されて光センサが受光することにより作動を検知するものとすることができる。あるいは、逆に、他機の作動演出部51が作動していないとき(非作動位置にあるとき)には、光センサから発光された光が作動演出部51で反射されて光センサが受光することにより作動を検知しないものとし、他機の作動演出部51が作動したとき(作動位置にあるとき)には、光センサから発光された光が作動演出部51で反射されずに光センサは受光しないことにより作動を検知するものとすることができる。
第2実施例のパチンコ機10では、作動演出部51の作動の態様として作動検知部61で検知可能な態様のみを説明したが、これに限られず、作動検知部61で検知できない態様(検知不可態様)で作動演出部51を作動させるものとしてもよい。この場合、隣接する他機では、作動検知部61で作動演出部51の作動を検知することはない。このため、作動演出部51を検知不可態様で作動させたときに、それを契機として隣接する他機で作動演出部51が作動することはない。
第2実施例のパチンコ機10では、作動演出部51の作動の態様として7種類の態様A〜Gを例示したが、7種類に限られるものではなく、より多くの種類であってもよいし、より少ない種類であってもよい。例えば、順序付けられた態様D〜Gを有さないものとしてもよいし、態様A,Bのいずれか一つの態様だけを有するものとしてもよい。あるいは、態様A,Bのいずれか一つの態様と、態様Gとを有するものとしてもよく、その場合、作動検知部61で作動を検知すると、態様A,Bのいずれかを検知して次々に同じ態様で作動演出部51を作動させるか、態様Gを検知して作動演出部51を作動させないかのいずれかとすることができる。また、作動演出部51の作動の態様としては、オン時間を変化させることにより異なる態様を実現するものに限られず、第1および第2ソレノイド53a,54a(第3および第4ソレノイド58a,59a)のうち、いずれか一方をオン(またはオフ)し続けたまま、他方のオンオフを切り替える態様などとしてもよい。
第2実施例のパチンコ機10Bでは、大当り判定の結果(大当りの種類や外れ)に応じて異なる態様で作動演出部51を作動させるものとしたが、これに限られず、時短状態の開始の有無など、遊技の状態に応じて異なる態様で作動演出部51を作動させるものなどとしてもよい。
第2実施例のパチンコ機10では、パターン設定時の通信演出処理において左右の作動演出部51R,51Lを共に同じ態様で作動させるものとしたが、これに限られず、異なる態様で作動させるものとしてもよい。こうすれば、あるパチンコ機10Bがパターン設定時の通信演出処理を実行して作動演出部51の作動を開始させたときに、そのパチンコ機10Bの左側と右側とにおいて、通信演出範囲を異なるものとすることができる。このため、通信態様と演出態様とにさらに変化を与えて多様性のあるものとすることができるから、遊技の興趣をさらに効果的に高めることができる。
第2実施例のパチンコ機10では、本発明をパチンコ機10Bに適用して説明するものとしたが、これに限られず、パチンコ機10B以外の遊技機、例えばスロットマシンやスロットマシンとパチンコ機との融合機、その他の遊技機に本発明を適用してもよい。
また、第1実施例や第2実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
第2実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10Bが「遊技機」に相当し、作動演出部51が「演出手段」に相当し、図55の通信演出処理(図59のパターン設定時の通信演出処理と図60の作動検知時の通信演出処理)を実行するサブ制御基板90Bが「演出制御手段」に相当し、作動検知部61と演出ボタン基板94Bとが「演出検知手段」に相当する。また、演出表示装置34やLEDランプ93a,93b、各種スピーカー28a,28bが「第2の演出手段」に相当する。さらに、作動演出部51の演出部材53,54,66,67が「可動部」に相当し、第1ないし第4ソレノイド53a,54a,58a,59aが「駆動部」に相当する。また、この第2実施例では、複数台のパチンコ機10Bの作動を説明することにより、本発明の遊技システムの作動を明らかにしている。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。