JP2014036637A - 癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法 - Google Patents

癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法 Download PDF

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浩 井筒
Taihei Odagiri
大平 小田切
Katsuya Endo
勝也 遠藤
Masaki Umihori
昌樹 海堀
Masanori Gon
雅憲 權
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Abstract

【課題】癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、正確且つ簡便に判定することが可能な、データ分析方法を提供すること。
【解決手段】癌患者から採取された癌組織試料におけるRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、上記癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、上記RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量で除した発現量比を算出する工程と、所定の基準値より低いと上記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、上記発現量比とを、比較する工程と、を備える、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法に関する。
癌の治療法として、外科的手段により癌組織(以下、単に癌という場合がある)を臓器から切除し摘出することが一般に行われている。しかしながら、癌の切除手術が成功した場合であっても、数多くの事例において、その後、癌が再発又は転移を起こすことが知られている。したがって、癌の切除手術による治療後の最大の関心事は、癌の再発又は転移の有無である。このため、治療後においても化学療法、及び、癌の再発又は転移のモニタリングを実施することが必須である。この場合に癌の再発又は転移が起こる可能性等の癌の切除手術後の予後を簡易に予測できれば治療方針を決定する上で極めて有用である。
特表2008−504018号公報 特表2009−511935号公報 特表2010−500577号公報
現在、癌の進行とともに血中に出現する腫瘍マーカーを用いて、癌の診断をすることが行われている。具体的には、腫瘍マーカーによって癌の有無の判定、癌が発生した臓器の特定、又は、癌の切除手術後の再発若しくは転移の判別が行われている。しかしながら、多くの腫瘍マーカーは、癌の有無に関係なく発現の数値が高値を示したり、癌であるのに発現の数値が低いままである等不確実なところがあり、確実な検査方法とはなっていない。
最近、mTOR(mammalian Target of Rapamycin)というセリン・スレオニンリン酸化酵素が、細胞の栄養状態又は増殖因子からのシグナルを介して、細胞の増殖を調節していることが分かってきた(Oncogene、23:3151−3171,2004、Eur.J.Biochem.269:5338−5349,2002)。mTORは、2つの異なる複合体の状態で働いていることも分かっている(Nat.Cell Biol.6:1122−1128,2004、Curr.Biol.14:1296−1302,2004)。その複合体の一つは、mTORC1と呼ばれ、mTOR、RPTOR(regulatory−associated protein of mTOR)、GβL(G protein βsubunit−like protein)等を構成タンパク質として含んでいる。mTORC1は、免疫抑制剤であるラパマイシンによって阻害を受け、p70 ribosomal protein S6 kinase−1(S6K1)又はeukaryotic initiation factor−4E(eIF4E) binding protein−1(4EBP1)のリン酸化を介してタンパク質合成又は細胞増殖を調節している(Cell 110:177−189,2002、Cell 110:163−175,2002、Mol.Cell 11:895−904,2003)。もう一つの複合体は、mTORC2と呼ばれ、mTOR、RICTOR(rapamycin insensitive companion of mTOR)、GβL等を構成タンパク質として含んでいる。mTORC2は、PKC−α又はactin cytoskeletonのリン酸化を介して細胞骨格の動きを調節している。(Curr.Biol.14:1296−1302,2004)。
これらmTORを含む複合体が調節しているシグナル伝達の異常は、癌、心血管系疾患及び代謝障害等の多くの病態に関与していることも知られており、mTOR阻害剤が抗癌剤として開発されている(Cancer Res.64(1),252,2004、Lancet 372(9637),449,2008)。RICTOR遺伝子のDNAコピー数の増大が、肝臓癌の再発と関連していることも、報告されている(Gastroenterology135:1972−1984,2008)。
mTORのシグナル伝達系は、細胞増殖及び癌に深く関係していることから、癌を発症する素因の指標として利用可能であることが、特許文献1に開示されている。癌組織中のmTORのシグナル伝達系の構成成分のリン酸化状態を抗体アレイ法で測定することで、その癌の予後を予測できる可能性が、特許文献2に開示されている。mTORを含むタンパク質を抗体アレイ法で分析することで、癌の治療法の指標として利用できる可能性が、特許文献3に開示されている。
mTORのシグナル伝達系は、RPTOR、RICTORという二つの異なるタンパク質のうちのいずれかがmTORに結合して複合体を形成することによって、細胞増殖に異なる影響を与えているものと考えられている。その結果、mTORのシグナル伝達系は、癌の予後にも異なる影響を及ぼすものと思われる。しかし、RPTOR及びRICTORそれぞれの発現量又は両者の関係が、癌の増殖又は癌の切除手術後の予後にどのような影響を与えているかといった知見はなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、正確且つ簡便に判定することが可能な、データ分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、癌組織中のRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量、又は、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量とRAPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量との比が、癌の再発又は転移と有意に相関し、これを用いて癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後の判定が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、癌患者から採取された癌組織試料におけるRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
上記癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、上記RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量で除した発現量比を算出する工程と、
所定の基準値より低いと上記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、上記発現量比とを、比較する工程と、
を備える、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法を提供する。
本発明は、このような構成を備えることによって、癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、正確且つ簡便に判定することが可能になる。
上記データ分析方法において、上記基準値は0.2〜0.8の範囲から選択される数値であることが好ましい。癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、更に正確に判定することが可能になる。
本発明は、癌患者から採取された癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
所定の基準値より低いと上記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量とを、比較する工程と、
を備える、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法を提供する。
本発明は、このような構成を備えることによって、癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、正確且つ簡便に判定することが可能になる。
上記データ分析方法において、上記発現量を上記癌組織試料中のβ−アクチンのmRNA転写産物の発現量に対する比で表したとき、上記基準値が0.2〜0.8‰の範囲から選択される数値であることが好ましい。癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、更に正確に判定することが可能になる。
上記癌組織試料は、固定化されパラフィンに包埋された癌組織試料であることが好ましい。
上記癌組織試料は、上記癌の切除手術によって切除された癌組織又は癌の生体組織診断によって採取された組織に由来することが好ましい。
上記発現量の測定は、リアルタイムPCRによって行われることが好ましい。
本発明は、上記癌が、肝臓癌であるときに好ましく適用される。
本発明によれば、癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、正確且つ簡便に判定することが可能な、データ分析方法を提供することが可能になる。
本実施形態に係る第1のデータ分析方法を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る第2のデータ分析方法を説明するフローチャートである。 短期再発群及び長期無再発群における、RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を示すグラフである。 短期再発群及び長期無再発群における、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を示すグラフである。 短期再発群及び長期無再発群における、RICTOR遺伝子とRPTOR遺伝子とのmRNA転写産物の発現量比を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る第1のデータ分析方法を説明するフローチャートである。本実施形態に係る第1の癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法は、癌患者から採取された癌組織試料におけるRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
上記癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、上記RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量で除した発現量比を算出する工程と、
所定の基準値より低いと上記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、上記発現量比とを、比較する工程と、を備える。
図2は、本実施形態に係る第2のデータ分析方法を説明するフローチャートである。本実施形態に係る第2の癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法は、癌患者から採取された癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
所定の基準値より低いと上記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量とを、比較する工程と、を備える。
本実施形態に係る癌は、悪性腫瘍を意味する。上記癌が発生した臓器に限定はなく、固形癌であればどのような癌でもよい。そのような癌としては、例えば、胃癌、大腸癌、食道癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、乳癌、皮膚癌、胆嚢癌、前立腺癌、頭頸部癌、咽頭癌、口腔癌、唾液腺癌、甲状腺癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、卵巣癌、精巣癌、陰茎癌及び子宮癌が挙げられる。これらのうち、膵臓癌、乳癌、食道癌、肝臓癌等は、再発を起こしやすい癌であるので、本実施形態に係るデータ分析方法を適用するのに好適であり、特に肝臓癌に好適である。
本実施形態において、癌組織試料とは、癌患者に由来する癌細胞を含む試料であって、癌の切除手術によって切除された癌組織に由来する試料、生体組織診断(バイオプシー)によって採取された組織に由来する試料等が挙げられる。また、血液中に流れ出て循環している癌細胞を、癌組織試料として用いることもできる。上記癌組織試料は、採取直後の生の試料、凍結保存した試料、ホルマリン等によって固定化を施した試料、さらに、上記固定化を施した試料を、パラフィンで包埋した試料等を含む。
本実施形態に係るデータ分析方法によって癌の切除手術後の予後を正確に判定するためには、癌組織試料に含まれる癌細胞の割合は、癌組織試料中に含まれる全細胞数又は細胞容積を基準として、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。但し、壊死している癌細胞は、上記癌細胞の割合には含まれない。
上記癌細胞の割合を所定の範囲内にするために、癌組織試料から、正常組織と思われる部位を取り除いてもよい。例えば以下のような方法が挙げられる。まず、ホルマリン固定しパラフィン包埋した癌組織試料を、厚さ5〜15μmの薄切片にした後、スライドに貼り付け、癌細胞と正常細胞との区別が容易となるような染色を施す。その後、顕微鏡観察下で上記薄切片の癌組織試料を観察して、癌細胞のみを切り出して後工程に用いる。癌細胞と正常細胞との区別が容易となるような染色方法としては、例えば、ヌクレアファストレッド染色法が挙げられるが、後工程で行われるRNA抽出又はPCR反応に影響を及ぼさない染色法であれば、どのような染色方法であってもよい。
本実施形態に係る癌組織試料の量としては、特に制限はないが、厚さ10μmの薄切片にしてスライドに貼り付けたパラフィン包埋癌組織試料の場合、0.5mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることが更に好ましい。このような範囲とすることで、癌に侵された臓器又は組織の切除手術を行った癌患者の予後を、更に正確且つ簡便に判定することが可能になる。
本実施形態に係るRPTOR遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列を有するヒト由来のRPTOR遺伝子(NCBIのアクセス番号:NM_020761.2)及びこれの遺伝子多型を含むが、これらに限られず、公知となっている他の動物由来のホモログ及びそれらの遺伝子多型も含まれる。
本実施形態に係るRICTOR遺伝子は、配列番号2に記載の塩基配列を有するヒト由来のRICTOR遺伝子(NCBIのアクセス番号:NM_152756.3)及びこれの遺伝子多型を含むが、これらに限られず、公知となっている他の動物由来のホモログ及びそれらの遺伝子多型も含まれる。
本実施形態に係る癌組織試料中のRPTOR遺伝子又はRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程において、癌組織試料からのRNA抽出を行わずにin situで目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定することも可能であるが、上記癌組織試料からRNAを抽出した後に目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定することが好ましい。mRNAの抽出方法としては、例えば、Analytical Biochemistry,162:156−159(1987)に開示されている方法、RNeasy(商品名、QIAGEN社制)等の市販されているRNA抽出キットを用いた方法が挙げられる。ホルマリン固定した試料からのmRNAの抽出は、特表2003−525033号公報に開示されている方法で行うことができる。また、ホルマリン固定した試料からのRNA抽出に向けたキットも市販されており、これを用いてもよい。抽出したRNA中に混入しているDNAを除くため、RNA分解酵素活性をもたないDNA分解酵素で処理してもよい。
抽出したRNA中の、目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する方法としては、例えば、ノーザンブロット法、目的遺伝子のmRNAの特異的な増幅反応による方法が挙げられ、目的遺伝子のmRNAの特異的な増幅反応による方法が好ましく用いられる。目的遺伝子のmRNAの特異的な増幅反応による方法としては、NASBA法及びTRC法等のRNAを鋳型として用いる方法、並びに、PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP法、ICAN法及びSMAP法等のDNAを鋳型として用いる方法が挙げられる。DNAを鋳型として用いる方法においては、逆転写反応によって、RNAからcDNAを作製した後に、cDNAを鋳型として特異的に目的遺伝子を増幅し、mRNAを測定してもよい。これらの方法の中で、測定の正確性、測定範囲の広さ等の観点から、リアルタイムPCR法で目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定するのが好ましい。
リアルタイムPCRを行う場合、目的遺伝子の増幅領域の5’側と3’側に特異的にアニールするプライマーを合成し、用いる必要がある。本実施形態で測定するRPTOR遺伝子(配列番号1)及びRICTOR遺伝子(配列番号2)は、ともにその遺伝子配列が公知であるので、当業者であれば、この配列情報を基に、プライマーの設計を行うことが可能である。また、これらの遺伝子のリアルタイムPCR用のプライマーは、市販もされているので、それを用いることもできる。市販されているプライマーとしては、例えば、RPTOR遺伝子の測定用プライマーとしてABI Assay ID Hs00375332_m1(商品名、Life technologies社製)、RICTOR遺伝子の測定用プライマーとして、ABI Assay ID Hs00380903_m1(商品名、Life technologies社製)が挙げられる。
リアルタイムPCRを行う場合、反応サイクルごとに増幅されたヌクレオチドの量をモニタリングする必要がある。モニタリングする方法としては、インターカレータ法、モレキュラビーコン法、タックマンプローブ法等が挙げられる。反応の特異性の観点から、タックマンプローブ法を用いることが好ましい。上述の市販品には、タックマンプローブも含まれている。
プライマー及びタックマンプローブを設計するに当たっては、ゲノムDNAからの増幅が起こらないこと、特異性が高いこと、多型に依存しないこと等の注意が必要であるが、当業者であれば係る注意点に留意して、当然に設計が可能である。また、増幅効率の点などから、増幅産物の鎖長は、500bp以下であることが好ましく、200bp以下であることがより好ましく、100bp以下であることが更に好ましく、そのようにプライマーを設計することも、当業者であれば当然に実施可能である。
リアルタイムPCR法によって得られる目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量の測定値を、どのような細胞にも一定量発現していると考えられている遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)のmRNA転写産物の発現量の測定値で標準化して用いてもよい。標準化は、例えば、以下の式によって行われる。ここで、Ct値とは、増幅産物の量が一定となるサイクル数を意味する。
目的遺伝子のmRNA転写産物の発現量(ハウスキーピング遺伝子‰)=1000×2^{(ハウスキーピング遺伝子のCt値)−(目的遺伝子のCt値)}
ハウスキーピング遺伝子としては、β−アクチン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、β2−ミクログロブリン、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)等が挙げられる。
本実施形態に係る第1のデータ分析方法においては、上述の測定によって得られたRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、上述の測定によって得られたRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量で除することで発現量比を算出する。得られた発現量比を、所定の基準値より低いと癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と比較することによって、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析を行う。
上記発現量比と比較するための基準値は、0.2〜0.8の範囲から選択される数値であることが好ましく、0.3〜0.7の範囲から選択される数値であることがより好ましく、0.4〜0.6の範囲から選択される数値であることが更に好ましい。このような数値とすることによって、癌の切除手術後の予後をより正確に判定することが可能になる。
本実施形態に係る第2のデータ分析方法においては、上述の測定によって得られたRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、所定の基準値より低いと癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と比較することによって、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析を行う。
上記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を癌組織試料中のβ−アクチンのmRNA転写産物の発現量に対する比で表したとき、上記基準値は0.2〜0.8‰の範囲から選択される数値であることが好ましく、0.3〜0.7‰の範囲から選択される数値であることがより好ましく、0.4〜0.6‰の範囲から選択される数値であることが更に好ましい。このような数値とすることによって、癌の切除手術後の予後をより正確に判定することが可能になる。
以下に、実施例を示し、本発明の実施様態の詳細を記載する。
実施例において用いた検体は、29例の肝臓癌患者由来の癌であった。そのうち13例は、癌切除手術後1年以内に再発を起こした例(短期再発群;n=13)であり、残りの16例は、癌切除手術後長期(5年間)に無再発で生存した例(長期無再発群;n=16)である。
癌組織試料として、癌切除手術によって切除された肝臓癌組織に由来する薄切片を用いた。上記薄切片は、ホルマリンで固定化され、パラフィンに包埋された後、スライドに貼付することで薄切片試料とした。厚さ5μmの上記薄切片試料は、ヘマトキシリン・エオジンで染色し、封入剤(商品名:オイキット液、O.Kindler社製)を滴下した後、カバーガラスを上において封入した。その後、顕微鏡で、ヘマトキシリン・エオジンで染色した上記薄切片試料を観察し、癌部位を特定してマーキングした。上記マーキングした部分に基づいて、癌部位の面積を概算した。癌部位の面積から、合計で100平方ミリメートル以上の面積とするのに必要な、薄切片試料の枚数を計算した。
厚さ10μmの薄切片試料は、上述した計算で求めた枚数を用意し、ヌクレアファストレッドで染色した。実体顕微鏡観察下、薄切片試料の癌細胞に相当する部分(ヌクレアファストレッドで染色した部分)を、メス刃を用いて削りとった。
削り取った癌細胞からのRNA抽出は、QIAGEN社のRNeasyを用いて行った。抽出RNA溶液として、各検体に由来する癌組織試料からそれぞれ100μLを得た。
抽出したRNA溶液(50μL)、5×1st Strand Buffer(250mM Tris−HCl(pH8.3)、375mM KCl、15mM MgCl、20μL)、0.1M DTT水溶液(10μL)、10mM dNTP水溶液(10μL)、3μg/μL Bovine Serum Albumin水溶液(2.5μL)、0.10U/μL pd(N)6 random hexamers水溶液(1.0μL)、40U/μL RNA Guard(20mM Tris−HCl(pH8.0)、50mM KCl、0.5mM EDTA、8mM DTT、50%(v/v)グリセロール、2.5μL)、200U/μL M−MLV逆転写酵素溶液(5.0μL)を混合した。得られた混合液を26℃で8分間に続いて、42℃で45分間インキュベートしてcDNA合成を行った。その後、上記混合液を95℃で5分間加熱し、逆転写酵素を失活させ、cDNA溶液とした。
240容のリアルタイムPCR試薬A(100mM KCl、20mM Tris−HCl、0.02mM EDTA、1.65mM dNTP、7.23mM MgCl、0.04U/μL AmpliTaq Gold DNA polymerase)、3容の200μM 5’側プライマー、3容の200μM 3’側プライマー、1容の100μM プローブを混合して、2倍濃度のリアルタイムPCR試薬とした。試験に用いたプライマー、プローブは、以下のとおりである。
RPTOR測定用プライマー:ABI Assay ID Hs00375332_m1(商品名、Life technologies社製)
RICTOR測定用プライマー:ABI Assay ID Hs00380903_m1(商品名、Life technologies社製)
βActin測定用プライマー:5’側プライマー:5’−GAGCGCGGCTACAGCTT−3’(配列番号3)
3’側プライマー:5’−TCCTTAATGTCACGCACGATTT−3’(配列番号4)
プローブ:5’−ACCACCACGGCCGAGCGG−3’(配列番号5)
プローブの5’末端には、蛍光物質のカルボキシフルオレセイン(FAM)を、3’末端には、消蛍光物質のカルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)又は非蛍光クエンチャー‐マイナーグルーブ結合剤(Nonfluorescent quencher−Minor Groove Binder、NFQ‐MGB)を結合させた。
384ウエルPCRプレートのウエルに、2倍濃度のリアルタイムPCR試薬(10μL)と、β−アクチンのCt値が22〜30になるように5mM Tris−HCl(pH8.0)緩衝液で希釈したcDNA溶液(10μL)とを加えて混合した。その後、上記PCRプレートをプレートシールでシールした後、リアルタイムPCR装置(商品名、ABI 7900型、Life technologies社製)でPCR反応を行った。PCR反応は、n=3で行った。PCR反応の温度サイクルプロファイルは、次のとおりである。
50℃ 10秒
95℃ 10分
(95℃ 15秒→60℃ 1分)×46回
RPTOR遺伝子又はRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量は、β−アクチンのmRNA転写産物の発現量で標準化した。その計算方法は、以下のとおりである。
RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量(β−アクチン‰)=1000×2^{(β−アクチンのCt値)−(RPTORのCt値)}
RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量(β−アクチン‰)=1000×2^{(β−アクチンのCt値)−(RICTORのCt値)}
短期再発群と長期無再発群とでRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量に差があるかどうか、Mann−Whitneyの検定を行った。しかしながら、短期再発群と長期無再発群とで有意な差は無かった(図3)。一方、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量は、長期無再発群よりも短期再発群で有意に高かった(図4)。RICTOR遺伝子とRPTOR遺伝子とのmRNA転写産物の発現量比(RICTOR/RPTOR発現量比)は、長期無再発群よりも短期再発群で有意に高かった(図5)。
図4において、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、0.5(β−アクチン‰)以上と、0.5(β−アクチン‰)未満とに分類した結果を表1に示す。
Figure 2014036637
短期再発群における、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0.5(β−アクチン‰)以上である割合は、69%であった(9例/13例)。長期無再発群における、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0.5(β−アクチン‰)未満である割合は、88%であった(14例/16例)。この結果は、「RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0.5(β−アクチン‰)より低いと癌患者の癌が再発又は転移しにくい」という基準によって、癌の切除手術後の予後を有意に判定できることを示唆している。上記基準による判定の一致率(全体一致率)は、79%(23例/29例)であった。
図5において、RICTOR/RPTOR発現量比を、0.5以上と、0.5未満とに分類した結果を表2に示す。RPTOR及びRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0(検出感度以下)であるときは、不定としてデータを除外した。RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0であり、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0超であるときは、RICTOR/RPTOR発現量比が2.0とみなして分析した(1例)。RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0超であり、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量が0であるときは、RICTOR/RPTOR発現量比が0.0であるとみなして分析した。(7例)。
Figure 2014036637
短期再発群における、RICTOR/RPTOR発現量比が0.5以上である割合は、73%であった(8例/11例)。長期無再発群における、RICTOR/RPTOR発現量比が0.5未満である割合は、90%であった(9例/10例)。この結果は、「RICTOR/RPTOR発現量比が0.5より低いと癌患者の癌が再発又は転移しにくい」という基準によって、癌の切除手術後の予後を有意に判定できることを示唆している。上記基準による判定の一致率(全体一致率)は、81%(17例/21例)であった。RICTOR/RPTOR発現量比を用いて判定した方が、RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を用いて判定するよりも正確であることがわかった。
以上説明した本発明の癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法により、癌切除手術後の癌の再発の予後の判定が可能となる。この結果は、癌の切除手術を行った患者の、その後の抗癌剤による治療の方針決定及び癌の再発を監視するための方針の決定等に有用である。

Claims (8)

  1. 癌患者から採取された癌組織試料におけるRPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
    前記癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
    前記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を、前記RPTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量で除した発現量比を算出する工程と、
    所定の基準値より低いと前記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、前記発現量比とを、比較する工程と、
    を備える、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法。
  2. 前記基準値が0.2〜0.8の範囲から選択される数値である、請求項1に記載のデータ分析方法。
  3. 癌患者から採取された癌組織試料におけるRICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量を測定する工程と、
    所定の基準値より低いと前記癌患者の癌が再発又は転移しにくいという基準と、前記RICTOR遺伝子のmRNA転写産物の発現量とを、比較する工程と、
    を備える、癌の切除手術後の予後を判定するためのデータ分析方法。
  4. 前記発現量を前記癌組織試料中のβ−アクチンのmRNA転写産物の発現量に対する比で表したとき、前記基準値が0.2〜0.8‰の範囲から選択される数値である、請求項3に記載のデータ分析方法。
  5. 前記癌組織試料が、固定化されパラフィンに包埋された癌組織試料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデータ分析方法。
  6. 前記癌組織試料が、前記癌の切除手術によって切除された癌組織又は癌の生体組織診断によって採取された組織に由来する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデータ分析方法。
  7. 前記発現量の測定が、リアルタイムPCRによって行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデータ分析方法。
  8. 前記癌が、肝臓癌である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデータ分析方法。
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