JP2014035777A - 情報記録再生方法及び磁気記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報記録再生方法及び磁気記憶装置において、磁気記録媒体の面記録密度と磁気ヘッドのシーク速度を向上することを目的とする。
【解決手段】磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の一方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を、磁気記録媒体の磁性層を形成する上層記録層及び下層記録層のうち、上層記録層より高い保磁力を有すると共に前記記録層より磁気ヘッドからの距離が離れている前記下層記録層から再生し、再生されたサーボ情報から検知された磁気ヘッドの磁気記録媒体上の位置に基づき、ヘッド駆動部により前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の目標位置までシークさせ、磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の前記位置から前記上層記録層にデータを記録または前記データを再生するように構成する。
【選択図】図8
【解決手段】磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の一方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を、磁気記録媒体の磁性層を形成する上層記録層及び下層記録層のうち、上層記録層より高い保磁力を有すると共に前記記録層より磁気ヘッドからの距離が離れている前記下層記録層から再生し、再生されたサーボ情報から検知された磁気ヘッドの磁気記録媒体上の位置に基づき、ヘッド駆動部により前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の目標位置までシークさせ、磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の前記位置から前記上層記録層にデータを記録または前記データを再生するように構成する。
【選択図】図8
Description
本発明は、情報記録再生方法及び磁気記憶装置に関する。
近年、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)などの磁気記憶装置の適用範囲は増大しており、磁気記憶装置の重要性が増している。また、磁気記憶装置が用いる磁気記録媒体の面記録密度(または、単位面積当たりの情報記録容量)を向上する様々な方法も提案されている。特に、MR(Magneto Resistive)ヘッド及びPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術が導入されてから、磁気記録媒体の面記録密度は著しく向上されている。更に、GMR(Giant Magneto Resistive)ヘッド、TMR(Tunneling Magneto Resistive)ヘッドなどが導入され、磁気記録媒体の面記録密度は例えば1年に約50%といったペースで増加を続けており、面記録密度の更なる向上が求められている。線記録密度の増加と同時にトラック密度を増加することで磁気記録媒体の面記録密度を向上する方法も提案されている。
例えばHDDでは、磁気ディスクの面記録密度の向上と共に、磁気ヘッドの磁気ディスク上の目標位置までのシーク速度を高めることが求められている。しかし、従来の磁気ディスクでは、磁気ディスクの表面に対して垂直方向に見た平面視において、サーボ情報が記録されている領域と、情報(以下、データとも言う)が記録再生される領域とは互いに重ならない別々の領域に設けられている。磁気ヘッドは、再生したサーボ情報から自己の磁気ディスク上の位置を検知し、検知した位置に基づきデータが記録再生される目標位置まで磁気ヘッドを移動することで、データの記録再生を行う。このため、従来の磁気ディスクでは、平面視において、サーボ情報が記録されている領域が記録面の比較的大きな部分を占め、磁気ディスクにデータを記録再生する際の面記録密度を向上することは難しい。また、磁気ヘッドは、サーボ情報が記録されている領域からサーボ情報を再生して自己の位置を検知しながら、サーボ情報が記録されている領域とは独立しておりデータが記録再生される領域(即ち、サーボ情報が記録されていない領域)の目標位置までシークを行うため、シーク速度を向上することは難しい。
従来、磁気記録媒体の面記録密度の向上と磁気ヘッドのシーク速度の向上を両立させることは難しい。
そこで、本発明は、磁気記録媒体の面記録密度と磁気ヘッドのシーク速度を向上可能な情報記録再生方法及び磁気記憶装置を提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の互いに略直交する2方向の少なくとも一方の方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を、前記磁気記録媒体の磁性層を形成する上層記録層及び下層記録層のうち、前記上層記録層より高い保磁力を有すると共に前記上層記録層より前記磁気ヘッドからの距離が離れている前記下層記録層から再生し、再生された前記サーボ情報から検知された前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体上の位置に基づき、駆動手段により前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の目標位置までシークさせ、前記磁気ヘッドにより、前記磁気記録媒体上の前記目標位置から前記上層記録層にデータを記録または前記データを再生する情報記録再生方法が提供される。
情報記録再生方法及び磁気記憶装置によれば、磁気記録媒体の面記録密度と磁気ヘッドのシーク速度を向上することが可能となる。
上層部と下層部を有する記録層のうち、保磁力の高い方の下層部のサーボ信号領域にサーボ信号を記録する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、この提案方法では、磁気ディスクの表面に対して垂直方向に見た平面視において、サーボ情報が記録されている下層部の領域と、情報(以下、データとも言う)が記録再生される上層部の領域とは互いに重ならない別々の領域に設けられているので、磁気ディスクにデータを記録再生する際の面記録密度を向上することは難しい。また、磁気ヘッドは、サーボ情報が記録されている領域からサーボ情報を再生して自己の位置を検知しながら、サーボ情報が記録されている領域とは独立しておりデータが記録再生される領域(即ち、サーボ情報が記録されていない領域)の目標位置までシークを行うため、シーク速度を向上することは難しい。
図1は、従来の磁気ディスクの一例を説明する平面図である。図1(a)は、磁気ディスク全体を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)において矩形で示した磁気ディスクの一部の領域のみを拡大して示す拡大模式図である。
図1に示す磁気ディスク40は、円盤状の基板の一方の表面に、データの記録再生を行うデータ領域41と、サーボ情報が記録されたサーボ情報領域42を有する。図1(a)において、磁気ディスク40の中心から放射状に延びる線で示された領域がサーボ情報領域42に相当し、放射状の線と線との間の領域がデータ領域41に相当する。
図1(b)に示すように、データ領域41は、データの記録再生が行われる複数のデータ記録トラック41aを有する。複数のデータ記録トラック41aは、円環状の規則的な形状を有し、例えば同心円状、或いは、螺旋状に形成されていても良い。
図1(b)に示すように、サーボ情報領域42は、バースト情報領域43、アドレス情報領域44、及びプリアンブル情報領域45を有する。図1(b)中、矢印は磁気ヘッド(図示せず)の磁気ディスク40に対する走査方向を示す。
バースト情報領域43には、磁気ヘッドを磁気記録トラック41aの中央に位置付けさせるためのバースト情報の一例であるバーストパターン43aが形成されている。バーストパターン43aは、隣接する磁気記録トラック41a間に設けられた例えば細かなドットパターンである。
アドレス情報領域44には、データ領域41の番地を示すトラック情報及びセクタ情報を含むアドレス情報の一例であるアドレスパターン44aが形成されている。アドレスパターン44aは、例えばデータ記録トラック41aと直交する方向に延在する不規則な線状のパターンである。
プリアンブル情報領域45には、磁気記録トラック41a内でデータ領域41からサーボ情報領域42に移る箇所の識別に用いられるプリアンブル情報の一例であるプリアンブルパターン45aが形成されている。プリアンブルパターン45aは、プリアンブル情報領域45を形成する磁性層で形成されており、例えばデータ記録トラック41aと直交する方向に延在する長さの揃った線状のパターンである。
図1(a)に示す磁気ディスク40では、表面上を円周方向に移動する磁気ヘッドが、プリアンブル情報領域45のプリアンブル情報を再生してアドレス情報を再生する準備をし、サーボ情報領域42において、データ領域41のアドレス情報を再生し、同一円周上に設けられたバースト情報領域43のバースト情報を再生してトラック位置の微調整を可能とし、その後、データ領域41においてデータの記録再生を行うことができる。
これに対し、本発明の一実施形態では、磁気記録媒体の磁性層を、上層記録層と、上層記録層より保磁力の高い下層記録層で形成し、サーボ情報は下層記録層に記録し、データは上層記録層に記録する。サーボ情報は、磁気記録媒体上の互いに略直交する2方向の少なくとも一方の方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されている。磁気ディスクの場合、サーボ情報は磁気ディスクの半径方向及び/または円周方向に沿って、2種類以上の周波数帯域で記録されている。そして、この2種類以上の周波数帯域は、データ領域における情報が記録された周波数帯域と異なるため、磁気記録媒体の表面(記録面)に対して垂直方向に見た平面視において、サーボ情報とデータが重なる領域に記録されていても、サーボ情報とデータを同時に再生する磁気ヘッドが出力する再生信号から分離可能となる。サーボ情報とデータは、例えば異なる周波数帯域のアンプ、フィルタ、信号解析の処理などにより磁気ヘッドが出力する再生信号から分離しても良い。記録再生(または、リード・ライト)時に磁気ヘッドを磁気記録媒体上の目標位置へ移動するシークは、磁気ヘッドの半径方向及び/または円周方向の位置付けを、2種類以上の周波数帯域で下層記録層に記録されたサーボ情報を用いて行う。データを上層記録層の略全面に記録可能であるため、磁気記録媒体の面記録密度を向上することができ、磁気ヘッドのシーク速度の向上を図ることもできる。
図2は、本発明の一実施形態で用いる磁気記録媒体のサーボ情報領域の一例を説明する図である。図2は、磁気記録媒体の一例として磁気ディスク1を示す。本実施形態では、サーボ情報を磁気ディスク1の半径方向に互いに異なる2種類以上の周波数帯域で記録し、磁気ヘッドの半径方向の位置付けをこの2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を用いて行うことができる。図2に示す例では、サーボ情報は磁気ディスク1の半径方向に2種類の周波数帯域で記録されているものとする。
図2(a)は、磁気ディスク1の2種類の周波数帯域A,Bのサーボ情報が記録されているサーボ情報領域11−A,11−Bを示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)の一部を拡大して示す平面図である。サーボ情報領域11−A,11−Bとデータが記録再生される磁気記録トラックとの位置関係を模式的に示す。
図2(a)に示すように、サーボ情報は、磁気ディスク1の半径方向に2種類の周波数帯域A,Bを用いて下層記録層に交互に記録されている。これに対し、磁気ディスク1の上層記録層に対して記録再生されるデータは、図2(b)に示すように、磁気ディスク1の表面に対して垂直方向に見た平面視において、半径方向に記録された2種類の周波数帯域A,Bのサーボ情報の間で記録再生される。なお、磁気ヘッドの再生素子と記録素子はヘッドスライダにおいて分離しているため、磁気ディスク1の平面視で、サーボ情報の位置とデータの位置がずれる場合もある。
上記の如く、サーボ情報は磁気ディスク1の下層記録層に、データは上層記録層に対して記録再生される。従って、データが上層記録層に記録されている場合、下層記録層に記録されたサーボ情報と上層記録層に記録されたデータの両情報は、磁気ディスク1の平面視で重なって記録されているが、サーボ情報とデータは互いに異なる周波数帯域で記録されているため、異なる周波数帯域のアンプ、信号解析の処理などにより磁気ヘッドが出力する再生信号から分離することができる。
例えば、サーボ情報の2種類の周波数帯域は、0〜70MHzの範囲内の重ならない周波数帯域とすることが好ましく、記録再生されるデータの周波数帯域は、50MHz〜150MHzの範囲内のサーボ情報の周波数帯域と重ならない周波数帯域とすることが好ましい。このようなサーボ情報及びデータの周波数帯域の範囲は、サーボ情報に2種類以上の周波数帯域を用いる場合にも利用可能である。なお、サーボ情報及びデータの周波数帯域とは、HDD(または、磁気記憶装置)の磁気ディスク1を走査する磁気ヘッド1から出力される信号の周波数帯域、及び磁気ヘッドを用いて磁気ディスク1にデータを記録する際の信号の周波数帯域を指す。
サーボ情報は、図1と共に説明した従来のサーボ情報と同様に、バースト情報、アドレス情報、プリアンブル情報を含む構成とすることが好ましい。サーボ情報の構成を従来ののサーボ情報と同様の構成とすることで、従来のHDDで採用されているのと同様の方法により、磁気ディスク1上の目標位置に磁気ヘッドを位置付けるシークを行い、目標位置からデータの記録再生を行うことができる。
サーボ情報を用いた磁気ヘッドの半径方向の位置付けは、2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報の信号強度比を用いて行うことができる。図2の例の場合、磁気ディスク1の半径方向に記録された2種類の周波数帯域A,Bのサーボ情報の信号強度が略同じとなるように磁気ヘッドの位置を制御することで、磁気ヘッドを2種類の周波数帯域A,Bで記録されサーボ情報領域11−A,11−Bの中間(または、中央)に位置付けることができる。即ち、図2(b)において、周波数帯域Aのサーボ情報の信号強度に対して周波数帯域Bのサーボ情報の信号強度が強い場合は、磁気ヘッドを半径方向で周波数帯域Aのサーボ情報が記録されたサーボ情報領域11−A側に移動させる。一方、周波数帯域Aのサーボ情報の信号強度に対して周波数帯域Bのサーボ情報の信号強度が弱い場合は、磁気ヘッドを半径方向で周波数帯域Bのサーボ情報が記録されたサーボ情報領域11−B側に移動させる。このようにして、周波数帯域Aのサーボ情報の信号強度及び周波数帯域Bのサーボ情報の信号強度が略同じになるように、磁気ディスク1上の磁気ヘッドの半径方向上の位置を目標位置へ制御する。
次に、本発明の一実施形態で用いる磁気記録媒体のサーボ情報領域の詳細を、図3及び図4と共に説明する。図3は、円周方向で異なる周波数帯域で記録されたサーボ情報の一例を模式的に示す図であり、図4は、磁気記録媒体の一例として磁気ディスクを示す平面図である。本実施形態では、サーボ情報を磁気ディスク1の円周方向に互いに異なる2種類以上の周波数帯域で記録し、磁気ヘッドの円周方向の位置付けをこの2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を用いて行うことができる。図3に示す例では、サーボ情報は磁気ディスク1の円周方向に3種類の周波数帯域で記録されているものとする。
図3は、図4に示す磁気ディスク1における四角で囲った領域400内のサーボ情報のパターンを模式的に示す図である。なお、図3中、矢印は磁気ヘッドの走査方向を示す。図3に示すサーボ情報は、磁気ディスク1の円周方向に沿って互いに異なる周波数帯域A,B,Cで記録されている。このような周波数帯域A,B,Cでのサーボ情報の記録がこの順番で磁気ディスク1の円周方向に沿って繰り返される。
このように、サーボ情報は、磁気ディスク1の円周方向に沿って3種類の周波数帯域A,B,Cを用いて下層記録層に順に記録されている。これに対し、記録再生されるデータは、磁気ディスク1の表面に対して垂直方向に見た平面視において、円周方向に記録された3種類の周波数帯域A,B,Cのサーボ情報と重なる領域で上層記録層に対して記録再生される。
上記の如く、サーボ情報は磁気ディスク1の下層記録層に、データは上層記録層に対して記録再生される。従って、データが上層記録層に記録されている場合、下層記録層に記録されたサーボ情報と上層記録層に記録されたデータの両情報は、磁気ディスク1の平面視で重なって記録されているが、サーボ情報とデータは互いに異なる周波数帯域で記録されているため、異なる周波数帯域のアンプ、信号解析の処理などにより磁気ヘッドが出力する再生信号から分離することができる。
例えば、サーボ情報の3種類の周波数帯域は、0〜70MHzの範囲内の重ならない周波数帯域とすることが好ましく、記録再生されるデータの周波数帯域は、50MHz〜150MHzの範囲内のサーボ情報の周波数帯域と重ならない周波数帯域とすることが好ましい。このようなサーボ情報及びデータの周波数帯域の範囲は、サーボ情報に2種類以上の周波数帯域を用いる場合にも利用可能である。
図3において、各周波数帯域A,B,Cで記録されたサーボ情報は、夫々プリアンブル(Preamble)、サーボアドレスマーク(SAM:Servo Address Mark)部、グレイ(Gray)コード部、及びバースト部(Positioning (Null A), Positioning (Null B))を有する。図3中、矢印は磁気ヘッドの磁気ディスク1に対する走査方向を示す。プリアンブル部には、例えば磁気ディスク1から再生された信号の振幅を安定化する自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)などに用いられる一定の周波数の信号が記録されている。サーボアドレスマーク部には、例えば記録されているサーボ情報を識別する識別用の固有マークが記録されている。グレイコード部には、例えばそのグレイコード部が記録されたサーボフレームに固有のアドレス(例えば、サーボセクタアドレス)及び該当するトラックのアドレス(例えば、トラックコード)がグレイコードで記録されている。バースト部には、例えばグレイコード部に記録されたアドレスが示すトラック内の位置誤差を示すための位置誤差信号がバーストデータとして記録されている。
サーボ情報は、図1と共に説明した従来のサーボ情報と同様に、図3に示すようにプリアンブル情報、アドレス情報、及びバースト情報を含む構成とすることが好ましい。サーボ情報の構成を従来ののサーボ情報と同様の構成とすることで、従来のHDDで採用されているのと同様の方法により、磁気ディスク1上の目標位置に磁気ヘッドを位置付けるシークを行い、目標位置からデータの記録再生を行うことができる。
磁気ヘッドは、磁気ディスク1の円周方向に沿って繰り返される周波数帯域A,B,Cで記録されたサーボ情報を再生することで、再生されたサーボ情報の周波数帯域に基づいて磁気ヘッドの円周方向の位置付けを行うことができる。磁気ディスク1上の磁気ヘッドの円周方向上の位置を目標位置へ制御することで、磁気ディスク1上の目標位置に磁気ヘッドを位置付けるシークを行い、目標位置からデータの記録再生を行うことができる。
図5は、半径方向及び円周方向で異なる周波数帯域で記録されたサーボ情報を説明する図である。図5(a)は、半径方向及び円周方向で異なる周波数帯域で記録されたサーボ情報の一例を拡大して模式的に示す図である。図5(a)は、図4に示す磁気ディスク1における四角で囲った領域400内のサーボ情報のパターンの一部を示す。図5(a)中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。本実施形態では、サーボ情報を磁気ディスク1の円周方向に加え、半径方向にも互いに異なる2種類以上の周波数帯域で記録し、磁気ヘッドの円周方向及び半径方向の位置付けをこの2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を用いて行うことができる。図5(a)に示す例では、周波数帯域A,B,Cでのサーボ情報の記録がこの順番で磁気ディスク1の円周方向に沿って繰り返され、更に半径方向に沿って繰り返されるものとするが、便宜上周波数帯域Aで記録したサーボ情報のみを示す。
図5(a)中、横方向の実線で囲まれた領域はデータが記録再生される上層記録層のデータ領域であり、データ領域の中央の一点鎖線は磁気記録トラックの中央であるトラックセンタを示す。また、図5(a)に示す磁気ヘッド82(または、磁気ヘッド82の再生素子)は、このトラックセンタ上を図5(a)中、左から右方向(図4中、矢印の方向)に走査する。
ここで、図5(a)において梨地で示す領域をN極で記録された領域、白地で示す領域をS極で記録された領域とし、磁気ヘッド82がこれらの領域を横切った場合、N極の領域からは正の信号、S極の領域からは負の信号が再生されるものとする。この場合、図5(a)に示す磁気ヘッド82がバースト部のNull Aの領域を横切ると、図5(b)の左側に示すように一点鎖線の上側のパターンからの再生信号(太い実線)と、一点鎖線の下側のパターンからの再生信号(細い実線)とが打ち消し合い、再生信号はゼロになる。これに対し、バースト部のNull Bの領域では、図5(b)の右側に示すように、このような再生信号の打ち消し合いが生じない。そこで、磁気ヘッド82が走査したバースト部のNull Aの領域及びNull Bの領域からの再生信号の信号強度差(または、レベル差)を用いることで、磁気ディスク1上で磁気ヘッド82の円周方向の位置付けを行うことができる。また、図5(a)において、磁気ヘッド82が一点鎖線上から僅かに上側にずれると、一点鎖線上側のパターンからの再生信号(太い実線)が強くなり、一方で、一点鎖線下側のパターンからの再生信号(細い実線)が弱くなり、磁気ヘッド82が一点鎖線上を走査する場合とは別の周波数域のサーボ情報が表れる。磁気ヘッド82が一点鎖線上から僅かに下側にずれると、一点鎖線上側のパターンからの再生信号(太い実線)が弱くなり、一方で、一点鎖線下側のパターンからの再生信号(細い実線)が強くなり、両者の重ね合わせにより、図5(c)に示すような磁気ヘッド82が一点鎖線上を走査する場合とは別の周波数帯域のサーボ情報が表れる。従って、一点鎖線上側のパターンからの再生信号(太い実線)と、一点鎖線下側のパターンからの再生信号(細い実線)の信号強度が略同じになるように、即ち、再生信号の信号強度差を用いることで、磁気ディスク1上で磁気ヘッド82の半径方向の位置付けを行うことができる。
本実施形態において、サーボ情報は、磁気ディスク1の下層記録層に連続的に記録されることが好ましい。従来、サーボ情報は磁気ディスクの平面視で断続的に記録されているが、本実施形態では、サーボ情報はデータが記録再生される上層記録層とは別の下層記録層に記録されているため、磁気ディスク1の円周方向(または、トラック方向)に連続的に記録することが可能である。サーボ情報が連続的に記録されている場合、従来に比べて磁気ヘッドの位置制御及びシークを高速に行うことが可能であり、また、磁気ヘッドの位置制御が随時行われるため、磁気ヘッドの位置制御が一時的に不能となる不都合が発生しにくく、安定性の高い記録再生が提供可能となる。
(磁気ディスク)
図6は、本発明の一実施例における磁気記録媒体の一例の一部を示す断面図である。図6における各層の膜厚は、実際の寸法に比例した縮尺で図示したものではない。磁気ディスク1は、磁気記録媒体の一例である。
図6は、本発明の一実施例における磁気記録媒体の一例の一部を示す断面図である。図6における各層の膜厚は、実際の寸法に比例した縮尺で図示したものではない。磁気ディスク1は、磁気記録媒体の一例である。
磁気ディスク1は、図6に示すように、例えば非磁性基板11の上に、軟磁性下地層12、第1の配向制御層13、第2の配向制御層14、下層記録層15−1、非磁性層16、上層記録層15−2、保護層17を順次積層し、保護層17上に潤滑膜18を設けた構造を有する。この例では、非磁性層16を挟む上層記録層15−2及び下層記録層15−1が垂直磁性層15を形成する。
非磁性基板11は、CoまたはFeが主成分の軟磁性下地層12と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食する可能性がある。このような腐食を防止する観点からは、非磁性基板11と軟磁性下地層12の間に密着層(図示せず)を設けることが好ましい。なお、密着層は、例えばCr、Cr合金、Ti、Ti合金などで形成可能である。また、密着層の膜厚は、例えば2nm(20Å)以上であることが好ましい。
軟磁性下地層12は、後述する磁気記憶装置の磁気ヘッドから発生する磁束の非磁性基板11の基板面に対する垂直方向成分を大きくし、情報が記録される垂直磁性層15の磁化の方向をより強固に基板面と垂直な方向に固定するために設けられる。このような軟磁性下地層12の作用は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著となる。
軟磁性下地層12は、例えばFe、または、Ni、Coなどを含む軟磁性材料で形成可能である。軟磁性材料は、例えばCoFeTaZr、CoFeZrNbなどのCoFe系合金、FeCo、FeCoVなどのFeCo系合金、FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなどのFeNi系合金、FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなどのFeAl系合金、FeCr、FeCrTi、FeCrCuなどのFeCr系合金、FeTa、FeTaC、FeTaNなどのFeTa系合金、FeMgOなどのFeMg系合金、FeZrNなどのFeZr系合金、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを含む。
軟磁性下地層12は、例えば2層の軟磁性膜(図示せず)から構成されており、2層の軟磁性膜の間にはRu膜(図示せず)を設けることが好ましい。Ru膜の膜厚を0.4〜1.0nm、または、1.6〜2.6nmの範囲で調整することで、2層の軟磁性膜が反強磁性結合(AFC:Anti-Ferromagnetically-Coupled)構造を形成し、所謂スパイクノイズを抑制することができる。
また、第1の配向制御層13と垂直磁性層15の間には、第2の配向制御層14を設けることが好ましい。この場合、第1の配向制御層13の直上にある垂直磁性層15の初期部には、結晶成長の乱れが生じ易く、この結晶成長の乱れがノイズの原因となり得る。この垂直磁性層15の初期部の結晶成長が乱れた部分を第2の配向制御層14で補償することで、ノイズの発生を抑制できる。
第2の配向制御層14を形成する材料は特に限定されないが、六方最密充填(hcp:hexagonal close-packed)構造、面心立方格子(fcc:face-centered cubic)構造、またはアモルファス(amorphous)構造を有するものを用いることが好ましい。第2の配向制御層14は、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金などで形成することが好ましく、RuまたはRuを主成分とする合金で形成することが更に好ましい。また、第2の配向制御層14の膜厚は、例えば5nm以上、且つ、30nm以下とすることが好ましい。
垂直磁性層15を形成する下層記録層15−1及び上層記録層15−2は、例えばCoを主成分とし、酸化物を含む材料で形成可能であり、酸化物は例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどであることが好ましい。酸化物は、TiO2、Cr2O3、SiO2などであることが更に好ましい。また、上層記録層15−2は、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物で形成することが好ましい。上層記録層15−2は、Cr2O3−SiO2、Cr2O3−TiO2、Cr2O3−SiO2−TiO2などで形成することが更に好ましい。
垂直磁性層15の便宜上非磁性層16を含む厚みは、例えば5nm〜20nmの範囲とすることが好ましい。垂直磁性層15の厚みが上記範囲の下限未満であると、十分な再生出力が得られず、熱揺らぎ特性も低下する可能性がある。また、垂直磁性層15の厚さが上記範囲の上限を超えると、垂直磁性層15中の磁性粒子の肥大化が生じ、記録再生時におけるノイズが増大し、信号対雑音比(S/N比(Signal-to-Noise Ratio))や記録特性(OW:Over-Write特性)で表される記録再生特性が悪化する可能性がある。
また、垂直磁性層15の上層記録層15−1及び下層記録層15−2間の非磁性層16は、例えばRu、Re、Cu、CoCrなどで形成可能である。
保護層17は、垂直磁性層15の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気ディスク1と接触したときに媒体表面の損傷または磁気ヘッド自体の損傷を防ぐために設けられ、公知の材料で形成可能である。保護層17は、例えばC、SiO2、ZrO2を含む材料で形成可能である。保護層17の膜厚は、例えば1nm〜10nmとすることが、磁気ヘッドと磁気ディスク1との距離を小さくできるので、高記録密度を実現する観点から好ましい。
潤滑膜18は、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤で形成することが好ましい。
(ハードディスク装置)
図7は、本発明の一実施例における磁気記憶装置の一例の一部を示す斜視図である。図7に示すハードディスク装置(HDD)51は、磁気記憶装置の一例である。この例では、HDD51は磁気ディスク1にデータを記録再生可能な構成を有するが、データを記録する構成を有しても、データを再生する構成を有しても良い。
図7は、本発明の一実施例における磁気記憶装置の一例の一部を示す斜視図である。図7に示すハードディスク装置(HDD)51は、磁気記憶装置の一例である。この例では、HDD51は磁気ディスク1にデータを記録再生可能な構成を有するが、データを記録する構成を有しても、データを再生する構成を有しても良い。
図7に示すHDD51は、ハウジング(または、筐体)52を有する。ハウジング52内には、上記磁気ディスク1、磁気ディスク1を回転駆動させる媒体駆動部81、磁気ディスク1に記録されたサーボ情報及びデータを再生すると共にデータを磁気ディスク1に記録する機能を有する磁気ヘッド82、磁気ヘッド82を磁気ディスク1に対して相対移動させるヘッド駆動部83、及び信号処理系84を有する。磁気ヘッド82が磁気ディスク1を走査する際、下層記録層15−1は、上層記録層15−2より磁気ヘッド82からの距離が離れている。つまり、磁気ヘッド82は、磁気ディスク1の下層記録層15−1よりも上層記録層15−2の方に近い配置を有する。
磁気ヘッド82には、記録素子と、再生素子としてトンネル磁気抵抗(TMR)効果を利用したTMR素子などを有し、高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。ヘッド駆動部83は、磁気ヘッド82を磁気ディスク1の外周と内周間で移動するヘッド駆動用ボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)などのヘッド移動機構と、磁気ヘッド82の磁気ディスク1から浮上量を制御するヘッド浮上量制御機構を含む。このようなヘッド駆動部83自体は周知であるため、ヘッド駆動部83の構造の図示及び説明は省略する。ヘッド浮上量制御機構は、例えばヘッドスライダに設けられた磁気ヘッド部分を熱膨張を用いてヘッド浮上量を可変する機構、電歪素子を用いてヘッド浮上量を可変する機構、ピエゾ素子を用いてヘッド浮上量を可変する機構などを用いることができる。
信号処理系84は、記録信号処理回路と再生信号処理回路を有する。記録信号処理回路は、外部から入力されたデータを磁気ディスク1を記録するのに適した信号に処理した記録信号を磁気ヘッド82に供給する。一方、再生信号処理回路は、磁気ヘッド82が磁気ディスク1から再生した信号(即ち、データ及びサーボ情報)をヘッドアンプ部を介して入力し、データを外部に出力するのに適した信号に処理した再生信号を外部へ出力する。ヘッドアンプ部は、磁気ヘッド82が磁気ディスク1から再生した信号をデータ及びサーボ情報に分離する分離手段の一例である。
図8は、磁気記憶装置の一部を示すブロック図である。図8に示すように、HDD51は、磁気ヘッド82、ヘッドアンプ部183、ヘッド駆動用VCM184、信号処理部84、及び制御回路187を有する。磁気ヘッド82は、磁気ディスク1に記録されたサーボ情報及びデータを再生する再生ヘッド82−1と、データを磁気ディスク1に記録する記録ヘッド82−2を有する。再生ヘッド82−1は再生素子の一例であり、記録ヘッド82−2は記録素子の一例である。ヘッドアンプ部183は、第1のヘッドアンプの一例であるサーボ情報用ヘッドアンプ183−1と、第2のヘッドアンプの一例である記録再生情報用ヘッドアンプ183−2を有する。図7に示すヘッド駆動部83は、ヘッド駆動用VCM184を含む。図7に示す信号処理部84は、再生信号処理回路185及び記録信号処理回路186を有する。ヘッドアンプ部183、再生信号処理回路185、及び制御回路187は、磁気ヘッド82の再生ヘッド82−1からの信号を処理する第1の信号処理系の一例を形成する。一方、記録信号処理回路186は、磁気ヘッド82の記録ヘッド82−2への信号を処理する第2の信号処理系の一例を形成する。
HDDなどに用いられる磁気ディスクでは、サーボ情報の記録は1回限りであり、例えばHDDの製造者が専用のSTWを用いて行うのが一般的である。このようなSTW自体は周知である。この例では、このようなSTWを用いて磁気ディスク1の保磁力の高い方の下層記録層15−1にサーボ情報が記録されているものとする。データは、下層記録層15−1と比べて保磁力の低い方の上層記録層15−2に対して記録され、再生されるものとする。データの上層記録層15−2への記録は、HDDの製造者に加え、HDDのユーザで行える。上層記録層15−2へのデータの記録には、書き込み力が比較的低く、下層記録層15−1にデータを記録することがなく、上層記録層15−2のみにデータを記録可能な記録ヘッド82−2を使用する。このような記録ヘッド82−2は、一般的なHDDに内蔵されている磁気ヘッドと同様である。
下層記録層15−1に記録されたサーボ情報と上層記録層15−2に記録されたデータは、磁気ディスク1の平面図上で重なるので、再生ヘッド82−1は、サーボ情報とデータの両方を同時に再生する。サーボ情報とデータとで記録周波数が互いに異なるように記録を行うことで、再生ヘッド82−1が磁気ディスク1から再生した信号からサーボ情報とデータを分離手段で分離することができる。図8に示す例では、ヘッドアンプ部183が分離手段の一例を形成している。ヘッドアンプ部183は、信号処理を施す周波数帯域が互いに異なるサーボ情報用ヘッドアンプ183−1及びデータ用ヘッドアンプ183−2を有する。従って、再生ヘッド82−1が磁気ディスク1から再生した信号を並行してサーボ情報用ヘッドアンプ183−1及びデータ用ヘッドアンプ183−2で処理することで、サーボ情報とデータの周波数帯域が互いに異なることから再生信号から分離されたサーボ情報をサーボ情報用ヘッドアンプ183−1から出力し、再生信号から分離されたデータをデータ用ヘッドアンプ183−2から出力することができる。
分離手段の一例であるヘッドアンプ部は、再生ヘッド82−1が磁気ディスク1から再生した信号が入力される単一のヘッドアンプと、サーボ情報とデータの互いに異なる周波数帯域を利用して、このヘッドアンプの出力をサーボ情報とデータに分離するフィルタを有する構成を有しても良い。この場合、ヘッドアンプ部は、フィルタが出力するサーボ情報を増幅する第1のアンプと、フィルタが出力するデータを増幅する第2のアンプを更に有する構成を有しても良い。
図8の説明に戻るに、サーボ情報ヘッドアンプ183−1から出力されるサーボ情報は、制御回路187に供給される。制御回路187は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで形成可能である。制御回路187は、外部からの指示と、サーボ情報用ヘッドアンプ183−1からのサーボ情報とに基づいて、磁気ヘッド82の目標アドレスへのシークや磁気ヘッド82のトラッキングを行わせるための制御信号を生成し、ヘッド駆動用VCM184に供給する機能を有する。制御回路187が生成する制御信号には、制御回路187が再生されたサーボ情報から検知した磁気ヘッド82の磁気ディスク1上の位置に基づき生成する、ヘッド駆動用VCM184により磁気ヘッド82を磁気ディスク1上の目標アドレスまでシークさせる制御信号が含まれる。磁気ディスク1上の磁気ヘッド82の半径方向の位置及び/または円周方向の位置は、再生されたサーボ情報から上記の如き方法で検知可能である。ヘッド駆動用VCM184は、制御回路187からの制御信号に基づいて磁気ヘッド82を駆動して移動することで、シーク動作やトラッキング動作を行うヘッド駆動部の一例である。なお、ヘッド駆動部自体は周知であるため、シーク動作やトラッキング動作を実現するために磁気ヘッド82を駆動する個々の機構などの図示及び説明は省略する。
再生信号処理回路185は、データ用ヘッドアンプ183−2から出力されるデータに処理を施して外部へ出力する。再生信号処理回路185がデータに施す処理は、例えば外部のホスト装置(図示せず)での信号処理に適した再生信号に変換する処理を含んでも良い。一方、記録信号処理回路186は、外部から入力された記録するべき信号に処理を施して、磁気ヘッド82の記録ヘッド82−2に供給する。記録信号処理回路186が外部から入力された信号に施す処理は、例えば磁気ディスク1に記録するのに適した記録信号に変換する処理を含んでも良い。
なお、制御回路187は、サーボ情報の信号強度が基準値より高い場合は、磁気ヘッド82の磁気ディスク1からの浮上量を増加する制御信号を生成してヘッド浮上量制御機構に供給することで、浮上量を高くしてデータの記録または再生を行うようにしても良い。上記の如く、サーボ情報はSTWにより記録されるため、記録信号強度は安定している。このため、再生されたサーボ情報の信号強度が基準値より高い場合は、磁気ヘッド82の浮上量が例えば設計値より低くなっていることを意味する。従って、この場合は磁気ヘッド82の浮上量を高くしてデータの記録または再生を行えば、磁気ディスク82の上層記録層15−2に対して安定したデータの記録または再生を行うことができる。
一方、制御回路187は、サーボ情報の信号強度が基準値より低い場合は、磁気ヘッド82の磁気ディスク1からの浮上量を減少する制御信号を生成してヘッド浮上量制御機構に供給することで、浮上量を低くしてデータの記録または再生を行うようにしても良い。再生されたサーボ情報の信号強度が基準値より低い場合は、磁気ヘッド82の浮上量が例えば設計値より高くなっていることを意味する。従って、この場合は磁気ヘッド82の浮上量を低くしてデータの記録または再生を行えば、磁気ディスク82の上層記録層15−2に対して安定したデータの記録または再生を行うことができる。
次に、以下に示す製造方法により磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを作製し、評価した結果について、一実施例を説明する。
(磁気ディスクの製造)
外径65mm、中央孔20mm、厚さ0.80mmの円盤状ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造した。
外径65mm、中央孔20mm、厚さ0.80mmの円盤状ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造した。
まず、円盤状ガラス基板を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、Crターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。
この密着層上に、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20原子%、Zr含有量5原子%、Ta含有量5原子%、残部Co}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚25nmの軟磁性層を成膜し、この軟磁性層上に層厚0.7nmのRu層を成膜した後、更にこのRu層上に層厚25nmのCo−20Fe−5Zr−5Taの軟磁性層を成膜することで、軟磁性下地層を形成した。
次に、軟磁性下地層上に、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲットを用いて、層厚5nmのシード層を成膜した後、このシード層上に、第1の配向制御層として、スパッタ圧力を0.8Paとして層厚10nmのRu層を成膜した。
また、第1の配向制御層を形成するRu層上に、第2の配向制御層として、スパッタ圧力を1.5Paとして層厚10nmのRu層を成膜した。更に、この第2の配向制御層上に、下層記録層として、91(Co15Cr16Pt)−6(SiO2)−3(TiO2){Cr含有量15原子%、Pt含有量16原子%、残部Coの合金を91mol%、SiO2酸化物を6mol%、TiO2酸化物を3mol%}の磁性層を、スパッタ圧力を2Paとして層厚9nmで成膜した。下層記録層の保磁力は、7000(Oe)とした。次に、下層記録層上に、層厚0.3nmの88(Co30Cr)−12(TiO2){Cr含有量30原子%、残部Coの合金を88mol%、TiO2酸化物を12mol%}の非磁性層を成膜した。その後、この非磁性層上に、上層記録層として、92(Co11Cr18Pt)−5(SiO2)−3(TiO2){Cr含有量11原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を92mol%、SiO2酸化物を5mol%、TiO2酸化物を3mol%}の磁性層を、スパッタ圧力を2Paとして層厚6nmで成膜した。上層記録層の保磁力は、5000(Oe)とした。
次に、上層記録層上に、CVD法により層厚3nmの保護層を成膜し、最後に、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルの潤滑膜を保護層上に成膜することにより、上記実施形態における磁気ディスク1を作製した。
(サーボ情報の記録)
次に、作製した磁気ディスク1に、STWを用いてサーボ情報を記録した。サーボ情報の記録は、磁気ディスク1の回転数を7200回転/分として図3に示すサーボパターンを形成した。サーボ情報の記録は、記録周波数を40MHz(周波数帯域±5MHz)とし、下層記録層15−1及び上層記録層15−2の両層に同時に行い、その後、外部磁場を印加して上層記録層15−2のみを消去(イレーズ)した。
次に、作製した磁気ディスク1に、STWを用いてサーボ情報を記録した。サーボ情報の記録は、磁気ディスク1の回転数を7200回転/分として図3に示すサーボパターンを形成した。サーボ情報の記録は、記録周波数を40MHz(周波数帯域±5MHz)とし、下層記録層15−1及び上層記録層15−2の両層に同時に行い、その後、外部磁場を印加して上層記録層15−2のみを消去(イレーズ)した。
(磁気ディスクの評価)
本実施例で製造した磁気ディスク1の評価を行った。具体的には、下層記録層15−1への記録ができない磁気ヘッド82を用いて、磁気ディスク1の上層記録層15−2へのリードライト評価を以下の評価条件で行った。
本実施例で製造した磁気ディスク1の評価を行った。具体的には、下層記録層15−1への記録ができない磁気ヘッド82を用いて、磁気ディスク1の上層記録層15−2へのリードライト評価を以下の評価条件で行った。
磁気ディスク1の回転数:7200回転/分
評価ヘッド:MRヘッド
記録周波数:70MHz(周波数帯域±5MHz)
磁気ディスク1への記録再生は、下層記録層15−1に記録されたサーボ情報に基づいて磁気ヘッド82の位置付けを行いながら行った。その結果、従来の同じトラック密度の磁気ディスクに比べシーク速度が12%高まり、磁気ディスク1枚あたりのリードライト情報の記録量が20%高まることが確認された。
評価ヘッド:MRヘッド
記録周波数:70MHz(周波数帯域±5MHz)
磁気ディスク1への記録再生は、下層記録層15−1に記録されたサーボ情報に基づいて磁気ヘッド82の位置付けを行いながら行った。その結果、従来の同じトラック密度の磁気ディスクに比べシーク速度が12%高まり、磁気ディスク1枚あたりのリードライト情報の記録量が20%高まることが確認された。
これにより、磁気記録媒体の面記録密度と磁気ヘッドのシーク速度を向上することが可能となることが確認された。
以上、情報記録再生方法及び磁気記憶装置を実施形態及び実施例により説明したが、本発明は上記実施形態または上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。
1 磁気ディスク
11 非磁性基板
12 軟磁性下地層
13 第1の配向制御層
14 第2の配向制御層
15 垂直磁性層
15−1 下層記録層
15−2、上層記録層
16 磁性層
17 保護層
18 潤滑膜
51 HDD
82 磁気ヘッド
183−1 サーボ情報用ヘッドアンプ
183−4 データ用ヘッドアンプ
184 ヘッド駆動用VCM
187 制御回路
11 非磁性基板
12 軟磁性下地層
13 第1の配向制御層
14 第2の配向制御層
15 垂直磁性層
15−1 下層記録層
15−2、上層記録層
16 磁性層
17 保護層
18 潤滑膜
51 HDD
82 磁気ヘッド
183−1 サーボ情報用ヘッドアンプ
183−4 データ用ヘッドアンプ
184 ヘッド駆動用VCM
187 制御回路
Claims (10)
- 磁気ヘッドにより、磁気記録媒体上の互いに略直交する2方向の少なくとも一方の方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されたサーボ情報を、前記磁気記録媒体の磁性層を形成する上層記録層及び下層記録層のうち、前記上層記録層より高い保磁力を有すると共に前記上層記録層より前記磁気ヘッドからの距離が離れている前記下層記録層から再生し、
再生された前記サーボ情報から検知された前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体上の位置に基づき、ヘッド駆動部により前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の目標位置までシークさせ、
前記磁気ヘッドにより、前記磁気記録媒体上の前記目標位置から前記上層記録層にデータを記録または前記データを再生する
ことを特徴とする情報記録再生方法。 - 前記データを、前記サーボ情報の前記2種類以上の周波数帯域とは異なる周波数帯域で記録することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生方法。
- 前記サーボ情報は前記下層記録層に連続的に記録され、
前記磁気記録媒体の表面に対して垂直方向に見た平面視において、前記サーボ情報が記録されている前記下層記録層の領域は前記データが記録再生される前記上層記録層の領域と重なっていることを特徴とする請求項1または2記載の情報記録再生方法。 - 前記磁気記録媒体は磁気ディスクであり、
前記略直交する2方向は前記磁気ディスクの半径方向及び円周方向であり、
前記サーボ情報は、前記半径方向に沿って2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されており、
前記シークは、前記磁気ヘッドの前記半径方向の位置付けを、前記2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されたサーボ情報を用いて行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報記録再生方法。 - 前記磁気記録媒体は磁気ディスクであり、
前記略直交する2方向は前記磁気ディスクの半径方向及び円周方向であり、
前記サーボ情報は、前記円周方向に沿って2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されており、
前記シークは、前記磁気ヘッドの前記円周方向の位置付けを、前記2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されたサーボ情報を用いて行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報記録再生方法。 - 磁気記録媒体の磁性層に対する信号の記録及び再生を行う機能を有する磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の互いに略直交する2方向に沿って移動するヘッド駆動部と、
前記磁気ヘッドからの再生信号を周波数帯域に基づきデータとサーボ情報に分離する分離手段と、
再生された前記サーボ情報から検知された前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体上の位置に基づき、前記ヘッド駆動部を制御して前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上の目標位置までシークさせる制御手段
を備え、
前記磁性層は、前記データが記録再生される上層記録層と、前記上層記録層より高い保磁力を有すると共に前記上層記録層より前記磁気ヘッドからの距離が離れており前記2方向の少なくとも一方の方向に沿って2種類以上の周波数帯域で前記サーボ情報が記録されている下層記録層を含み、
前記磁気ヘッドは、前記磁気記録媒体上の前記目標位置から前記上層記録層にデータを記録または前記データを再生する
ことを特徴とする磁気記憶装置。 - 前記サーボ情報の前記2種類以上の周波数帯域とは異なる周波数帯域で記録するデータを前記磁気ヘッドに供給する信号処理系を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶装置。
- 前記サーボ情報は前記下層記録層に連続的に記録され、
前記磁気記録媒体の表面に対して垂直方向に見た平面視において、前記サーボ情報が記録されている前記下層記録層の領域は前記データが記録再生される前記上層記録層の領域と重なっていることを特徴とする請求項6または7記載の磁気記憶装置。 - 前記磁気記録媒体は磁気ディスクであり、
前記略直交する2方向は前記磁気ディスクの半径方向及び円周方向であり、
前記下層記録層には、前記サーボ情報が前記半径方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されており、
前記制御手段は、前記シークにより、前記磁気ヘッドの前記半径方向の位置付けを、前記2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されたサーボ情報を用いて行うように前記ヘッド駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の磁気記憶装置。 - 前記磁気記録媒体は磁気ディスクであり、
前記略直交する2方向は前記磁気ディスクの半径方向及び円周方向であり、
前記下層記録層には、前記サーボ情報が前記円周方向に沿って2種類以上の周波数帯域で記録されており、
前記制御手段は、前記シークにより、前記磁気ヘッドの前記円周方向の位置付けを、前記2種類以上の周波数帯域で前記下層記録層に記録されたサーボ情報を用いて行うように前記ヘッド駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の磁気記憶装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012177195A JP2014035777A (ja) | 2012-08-09 | 2012-08-09 | 情報記録再生方法及び磁気記憶装置 |
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-
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- 2012-08-09 JP JP2012177195A patent/JP2014035777A/ja active Pending
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