JP2014035064A - 自動変速装置およびそれを備えた鞍乗型車両 - Google Patents

自動変速装置およびそれを備えた鞍乗型車両 Download PDF

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Abstract

【課題】ドグクラッチを有する多段式の変速機構をアクチュエータによって駆動する自動変速装置において、変速動作の長時間化を抑えつつドグクラッチの衝突音をより効果的に抑制する。
【解決手段】本発明の自動変速装置50は、ドグクラッチを介して係合する複数の変速ギアがシフトドラム421の回転に伴って変更される変速機構43と、シフトアクチュエータ70と、電圧を印加することによってシフトアクチュエータ70を制御する制御装置90と、を備えている。制御装置90は、一対の変速ギア同士の係合を解除して他の一対の変速ギア同士を係合させる変速動作の際に、正および負のいずれか一方の電圧を印加することによって上記一対の変速ギア同士の係合を解除した後、上記他の一対の変速ギア同士の係合が完了する前に他方の電圧を印加する制御を実行する制動制御部94を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動変速装置およびそれを備えた鞍乗型車両に関する。
従来から、ドグクラッチを有する有段式変速機構を備えた鞍乗型車両が知られている。また、近年、電動モータ等のアクチュエータを用いて変速機構の変速を行うようにした鞍乗型車両も知られている。このような鞍乗型車両によれば、乗員によるシフト操作を省略することができ、乗員の操作負担を軽減することができる。
ドグクラッチを有する有段式変速機構は、シフトフォークによってメイン軸の軸方向に移動される移動ギアと、メイン軸の軸方向に移動不能な固定ギアとを備えている。移動ギアおよび固定ギアのそれぞれには、突起または孔等からなる係合部が形成されている。移動ギアの係合部と固定ギアの係合部とが係合すると、移動ギアと固定ギアとが噛み合い、移動ギアおよび固定ギアは一体となって回転する。変速の際には、移動ギアがメイン軸の軸方向の一方に移動する。この移動に伴い、移動ギアの係合部は係合していた固定ギアの係合部から離れ、移動ギアの他の係合部が他の固定ギアの係合部に係合する。すなわち、いわゆるドグ抜きとドグ入りとが行われる。以下の説明では、移動ギアの係合部(例えば突起)が固定ギアの係合部(例えば孔)から離れることを「ドグ抜き」といい、移動ギアの係合部が固定ギアの係合部に係合することを「ドグ入り」ということとする。
ドグ入りのときには、衝突音が発生するおそれがある。例えば、移動ギアの係合部の先端が固定ギアの係合部の奥部に衝突することで、衝突音が発生する。この衝突音は、移動ギアの移動速度が大きいほど大きくなる傾向にある。上記衝突音を低減するために、移動ギアの移動速度を小さくするようにアクチュエータを制御することが考えられる。しかし、単に移動ギアの移動速度を小さくしただけでは、変速動作に要する時間が長くなってしまう。
特許文献1には、シフトドラムを回転させる電動モータを備えた変速制御装置において、上記衝突音を抑制するための技術が記載されている。特許文献1に記載された変速制御装置では、電動モータをデューティ制御することによってシフトドラムを回転させ、ドグ抜きおよびドグ入りを行う。上記変速制御装置では、ドグ入りの完了前に、デューティ比を0%とし(すなわち、モータ出力を零とし)、シフトドラムの回転慣性力のみを用いてドグ入りを完了することとしている。
特開2010−78117号公報
変速前では移動ギアの係合部と固定ギアの係合部とが係合しており、両係合部間には係合力が生じている。ドグ抜きのときには、アクチュエータにより、上記係合力に打ち勝って移動ギアを移動させなければならない。上記係合力が大きい場合には、移動ギアには大きな力が加えられる。ところが、いったん両係合部の係合が解除されると、移動ギアは勢いよく移動することになり、大きな慣性力を有することになる。そのため、上記従来の変速制御装置のように、ドグ入り完了前にモータ出力を零にしただけでは、移動ギアの速度を十分に低下させることは困難であり、衝突音を効果的に低減することは難しかった。また、上記従来の変速制御装置は、回転慣性力が大きいという特性を有する変速機構に対しては、衝突音を十分に低減することは困難であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドグクラッチを有する多段式の変速機構をアクチュエータによって駆動する自動変速装置において、変速動作の長時間化を抑えつつドグクラッチの衝突音をより効果的に抑制することである。
本発明に係る自動変速装置は、ドグクラッチを介して係合する複数の変速ギアを有し、係合する変速ギアの組み合わせがシフトドラムの回転に伴って変更される多段式の変速機構と、前記シフトドラムを回転させる電動のアクチュエータと、電圧を印加することによって前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、一対の変速ギア同士の係合を解除して他の一対の変速ギア同士を係合させる変速動作の際に、正および負のいずれか一方の電圧を印加することによって前記一対の変速ギア同士の係合を解除した後、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了する前に他方の電圧を印加する制御を実行する制動制御部を備えている。
このことによって、ドグ入り完了直前にそれまでとは逆の電圧(例えば、ドグ抜き時に正の電圧を印加していた場合は、負の電圧)をアクチュエータに印加することによって、シフトドラムに対して短時間で大きな減速効果を得ることができる。したがって、減速による変速時間の長時間化を抑えつつ、ドグ入り時の衝突音を低減することができる。また、ドグ入り時に変速ギアが大きな慣性力をもって移動してきた場合、変速ギアに十分な制動力を与えることができる。その結果、ドグ入り時の衝突音を低減することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記自動変速装置は、前記変速ギアの移動速度を直接または間接的に検出する速度検出装置を備えている。前記制動制御部は、前記変速ギアの移動速度に基づいて、前記他方の電圧の印加時間または電圧値を決定する。
このように、変速ギアの移動速度に応じて電圧の印加時間または電圧値を決定することで、制動力を調整することができる。また、ドグ入り完了直前に上記制動力をかけることで、アクチュエータに対して素早く制動をかけることができるため、減速による変速時間の長時間化の抑制と、ドグ入り時の衝突音の低減と、を高度に両立させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記速度検出装置は、前記アクチュエータの動作速度を検出する検出部を有している。前記速度検出装置は、前記アクチュエータの動作速度から前記変速ギアの移動速度を間接的に検出する。
変速ギアの移動速度を直接検出するよりも、アクチュエータの動作速度から変速ギアの移動速度を間接的に検出する方が容易である。そのため、変速ギアの移動速度を容易に検出することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記速度検出装置は、前記シフトドラムの回転速度を検出する検出部を有している。前記速度検出装置は、前記シフトドラムの回転速度から前記変速ギアの移動速度を間接的に検出する。
変速ギアの移動速度を直接検出するよりも、シフトドラムの回転速度から変速ギアの移動速度を間接的に検出する方が容易である。そのため、変速ギアの移動速度を容易に検出することができる。また、アクチュエータよりもシフトドラムの方が変速ギアの近傍にあるため、アクチュエータの動作速度を検出するよりも、シフトドラムの回転速度を検出する方が、変速ギアの移動速度をより精度よく検出することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記変速ギアは、メイン軸に取り付けられている。前記変速ギアは、前記メイン軸の軸方向に突出する突起または前記軸方向に凹む孔からなる係合部を備えている。前記変速ギア同士は、前記係合部同士が前記軸方向に関して重なることによって係合する。前記自動変速装置は、前記係合部同士の前記軸方向に関する重なりを直接または間接的に検出する検出装置を備えている。前記制動制御部は、前記検出装置が前記重なりを検出すると前記他方の電圧を印加する。
このような構成によって、変速ギアの係合部同士が重なってから(ドグ入り中に)制動をかけることができる。これにより、制動開始時期が早くなり過ぎることを防止することができる。その結果、変速時間の長時間化を防止することができると共に、より好適にドグ入り時の衝突音を低減することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出装置は、前記アクチュエータの動作位置を検出する検出部を有している。前記検出装置は、前記アクチュエータの動作位置から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する。
係合部同士の重なりを直接検出するよりも、アクチュエータの動作位置によって係合部同士の重なりを間接的に検出する方が容易である。そのため、係合部同士の重なりを容易に検出することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出装置は、前記シフトドラムの回転位置を検出する検出部を有している。前記検出装置は、前記シフトドラムの回転位置から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する。
係合部同士の重なりを直接検出するよりも、シフトドラムの回転位置によって係合部同士の重なりを間接的に検出する方が容易である。そのため、係合部同士の重なりを容易に検出することができる。また、アクチュエータよりもシフトドラムの方が変速ギアの近傍にあるため、アクチュエータの動作位置を検出するよりも、シフトドラムの回転位置を検出する方が、変速ギアの係合部同士の重なりをより精度よく検出することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出装置は、前記アクチュエータの動作開始からの経過時間を検出する検出部を有している。前記検出装置は、前記経過時間から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する。
係合部同士の重なりを直接検出するよりも、アクチュエータの動作開始からの経過時間によって係合部同士の重なりを間接的に検出する方が容易である。そのため、係合部同士の重なりを容易に検出することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記自動変速装置は、前記変速ギアの移動速度を直接または間接的に検出する速度検出装置を備えている。前記制御装置は、正および負のいずれか一方の電圧を印加することによって前記一対の変速ギア同士の係合を解除した後、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了するまで前記一方の電圧を印加する制御を実行する通常制御部を備えている。前記制御装置は、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了する前の前記変速ギアの移動速度が所定値以上のときには、前記制動制御部による制御を実行し、前記移動速度が所定値未満のときには、前記通常制御部による制御を実行する。
このような構成によって、変速ギアの移動速度に応じて制動の有無を使い分けることができる。変速ギアの移動速度が速いときには、変速ギア同士の係合が完了する前に変速ギアを十分に制動することができる。そのことによって、変速時間の長時間化を抑制すると共にドグ入り時の衝突音を低減することができる。一方、変速ギアの移動速度が遅いときには、ドグ入り時の大きな衝突音は発生しない。よって、変速ギアの制動を省略することによって、変速時間の長時間化を避けることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、上述した構成の自動変速装置を備えた鞍乗型車両が提供される。
このことによって、変速動作の長時間化を抑えつつドグ入り時の衝突音をより効果的に抑制する自動変速装置を備えた鞍乗型車両を提供することができる。
本発明によれば、ドグクラッチを有する多段式の変速機構をアクチュエータによって駆動する自動変速装置において、変速動作の長時間化を抑えつつドグクラッチの衝突音をより効果的に抑制することができる。
第1実施形態に係る自動二輪車の側面図である。 第1実施形態に係るパワーユニットの内部構成を示す断面図である。 第1実施形態に係る自動二輪車の主要要素のブロック図である。 シフトアクチュエータの回転角度の変化と、シフトドラムの回転角度の変化と、変速ギアのドグ抜きおよびドグ入りを模式的に示した図である。 変速ギアのドグ入り開始の位置、ドグ入り中の位置、およびドグ入り完了直前の位置を模式的に示した図である。 第1実施形態に係る自動変速装置の制御を示したフローチャートである。 第1実施形態に係る自動変速装置の一例におけるクラッチ位置、シフトアクチュエータの回転位置、変速ギアの位置、およびデューティ比の時間変化を表した図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る自動変速装置を備えた自動二輪車について説明する。図1は自動二輪車1を示す側面図である。なお、本明細書では、前、後、左、右とは、後述するシート14に着座した乗員から見た前、後、左、右をそれぞれ意味するものとする。また、図面に付した符号F、Reは、それぞれ前、後を表すものとする。
自動二輪車1は、本実施形態に係る鞍乗型車両の一例であり、所謂オンロードタイプの自動二輪車である。なお、本発明に係る鞍乗型車両は、自動二輪車1に限定されるものではなく、例えば、オフロードタイプ、モータサイクルタイプ、スクータータイプ、および所謂モペットタイプの自動二輪車等であってもよい。また、本発明に係る鞍乗型車両は、ATV、四輪バギー等であってもよい。
図1に示すように、自動二輪車1は、ヘッドパイプ3と車体フレーム6とを備えている。車体フレーム6は、ヘッドパイプ3から後方に延びる左右一対の2本のフレーム部6aを有している。なお、図1では、1本のフレーム部6aのみが図示されている。フレーム部6aの後部は下方に延びている。フレーム部6aの後部には、リヤアームブラケット5が接続されている。リヤアームブラケット5には、ピボット軸22を介してリヤアーム21の前端部が接続されている。リヤアーム21は、ピボット軸22に上下方向に揺動可能に支持されている。リヤアーム21の後端部には、後輪23が支持されている。
フレーム部6aの上部には、燃料タンク13が配置されている。燃料タンク13の後方には、乗員が着座するためのシート14が配置されている。
ヘッドパイプ3には、フロントフォーク10が回転自在に支持されている。フロントフォーク10の上端には、ハンドル4が設けられている。ハンドル4には、図示しないシフトスイッチが設けられている。シフトスイッチは、シフトアップスイッチとシフトダウンスイッチとからなり、手動操作によりシフトポジションをニュートラルから最高ギア段(例えば6速ギア段)までの間で増加または減少させることができる。フロントフォーク10の下端には、前輪12が回転自在に設けられている。
フレーム部6aとリヤアームブラケット5とには、パワーユニット20が懸架されている。図2は、パワーユニット20の内部構成を示す断面図である。図2に示すように、パワーユニット20は、少なくとも、エンジン45と、クラッチ44と、変速機構43とを有している。エンジン45と、クラッチ44と、変速機構43とは、クランクケース26に一体に組み付けられている。
本実施形態に係るエンジン45は、燃料にガソリンを用いた内燃機関である。ただし、エンジン45は、ガソリンエンジン等の内燃機関に限定されず、モータエンジン等であってもよい。また、エンジン45は、ガソリンエンジンとモータエンジンとを組み合わせたものであってもよい。エンジン45は、クランク軸25を備えている。
クランク軸25は、クラッチ44を介してメイン軸41に連結されている。メイン軸41は、クランク軸25と平行に配設されている。また、メイン軸41は、ドライブ軸42と平行に配設されている。
本実施形態に係るクラッチ44は、例えば、多板摩擦クラッチである。クラッチ44は、クラッチハウジング443と、クラッチボス447とを備えている。クラッチハウジング443の内側には、複数のフリクションプレート445が設けられている。クラッチボス447の外側には、複数のクラッチプレート449が設けられている。各フリクションプレート445は、メイン軸41の回転方向に関して、クラッチハウジング443に対して固定されている。そのため、複数のフリクションプレート445は、クラッチハウジング443と共に回転する。なお、複数のフリクションプレート445は、メイン軸41の軸方向に関して変位可能である。複数のフリクションプレート445は、メイン軸41の軸方向に配列されている。
各クラッチプレート449は、隣接する各フリクションプレート445に対向している。各クラッチプレート449は、メイン軸41の回転方向に関して、クラッチボス447に対して固定されている。これにより、複数のクラッチプレート449は、クラッチボス447と共に回転する。なお、複数のクラッチプレート449は、メイン軸41の軸方向に関して変位可能である。本実施形態では、これら複数のフリクションプレート445と複数のクラッチプレート449とによってプレート群442が構成されている。
図2に示すように、メイン軸41よりも車幅方向の外方(図2の右方)には、プレッシャプレート451が配置されている。プレッシャプレート451は、略円盤形状に形成されている。プレッシャプレート451の半径方向外側の部分には、プレート群442の方に突出する押圧部451Bが形成されている。押圧部451Bは、プレート群442における最も右方に位置するフリクションプレート445に対向している。
クラッチ44には、バネ450が設けられている。バネ450は、プレッシャプレート451を車幅方向の内方(図2の左方)に向かって付勢している。すなわち、バネ450は、押圧部451Bがプレート群442を押圧する方向に、プレッシャプレート451を付勢している。
プレッシャプレート451の中心部は、軸受457を介してプッシュロッド455の一端部(図2の右端部)と係合している。これにより、プレッシャプレート451は、プッシュロッド455に対して回転自在である。ところで、メイン軸41は、筒形状を有している。プッシュロッド455の他端部(左端部)は、メイン軸41の内部に収容されている。メイン軸41の内側には、プッシュロッド455の他端部(左端部)に隣接した球状のボール459が設けられている。さらに、メイン軸41の内側には、ボール459に隣接したプッシュロッド461が設けられている。プッシュロッド461の左端部は、メイン軸41より突出している。プッシュロッド461の左端部には、ピストン463が一体的に設けられている。ピストン463は、シリンダ本体465によってガイドされ、メイン軸41の軸方向に摺動自在である。
クラッチ44は、クラッチアクチュエータ60(図3参照)によって駆動される。本実施形態では、クラッチアクチュエータ60は電動モータであるが、クラッチアクチュエータ60は電動モータに限定されない。クラッチアクチュエータ60が駆動することにより、クラッチ44を断続することができる。クラッチアクチュエータ60が駆動すると、ピストン463とシリンダ本体465とで囲まれている空間467に圧縮流体としての作動油が供給される。空間467に作動油が供給されると、ピストン463は、図2の右方向に押されて移動する。これにより、ピストン463は、プッシュロッド461、ボール459、プッシュロッド455および軸受457を介して、プレッシャプレート451を図2の右方向に押す。プレッシャプレート451が図2の右方向に押されると、プレッシャプレート451の押圧部451Bがフリクションプレート445から離反し、クラッチ44は切断状態になる。
クラッチ44が接続される際には、プレッシャプレート451は、バネ450によって図2の左方に移動する。プレッシャプレート451が図2の左方に移動すると、押圧部451Bがプレート群442を左向きに押圧する。その結果、プレート群442のフリクションプレート445とクラッチプレート449とが、圧接される。これにより、クラッチ44が接続状態となる。
一方、クラッチ44の切断状態では、プッシュロッド455によって、プレッシャプレート451が図2の右方に移動する。そして、プレッシャプレート451の押圧部451Bが、プレート群442と離反する。押圧部451Bがプレート群442と離反した状態では、各フリクションプレート445と各クラッチプレート449とは圧接されておらず、各フリクションプレート445と各クラッチプレート449との間には、僅かな隙間が形成されている。そのため、各フリクションプレート445と各クラッチプレート449との間には、駆動力を伝達できる摩擦力は発生しない。
このように、クラッチアクチュエータ60の駆動力とバネ450の付勢力との大小によって、プレッシャプレート451はメイン軸41の軸方向の一方または他方の方向に移動する。前記移動に応じて、クラッチ44が接続または切断状態になる。
エンジン45のクランク軸25には、ギア310が一体的に支持されている。メイン軸41には、ギア310と噛み合うギア441が支持されている。ギア441は、メイン軸41に対して回転自在である。また、ギア441は、例えばクラッチハウジング443に一体式に設けられている。これにより、エンジン45のトルクは、クランク軸25からギア441を介し、クラッチハウジング443に伝達される。また、エンジン45のトルクは、複数のフリクションプレート445と複数のクラッチプレート449との間に生じる摩擦力によって、クラッチハウジング443からクラッチボス447に伝達される。クラッチボス447とメイン軸41とは、一体式に回転する。つまり、クラッチボス447とメイン軸41との間には、相対回転がない。そのため、クラッチ44が接続されているとき、エンジン45のトルクは、メイン軸41に伝達される。
ところで、プッシュロッド455は、メイン軸41の内部を挿通した機構によってプレッシャプレート451を図2の右方に押すものに限定されない。プッシュロッド455は、プレッシャプレート451の車幅方向の外方(図2の右方)に設けられた機構により、プレッシャプレート451を図2の右方に引っ張るものであってもよい。
なお、クラッチ44は、多板式クラッチでなく、単板式クラッチであってもよい。また、クラッチ44は、遠心ウエイトを備えていてもよい。この場合、クラッチ44は、クラッチアクチュエータ60の駆動と、遠心ウエイトの遠心力とに基づいて断続される。
次に、変速機構43の構成について詳細に説明する。本実施形態に係る変速機構43は、所謂ドグクラッチ式の変速機構であり、かつ、多段式の変速機構である。変速機構43は、後述する変速ギア49および420と、シフトドラム421と、シフトフォーク422と、を備えている。
メイン軸41には、複数の変速ギア49が取り付けられている。一方、ドライブ軸42には、上記複数の変速ギア49に対応する複数の変速ギア420が取り付けられている。各変速ギア49および各変速ギア420は、メイン軸41の軸方向に突出する突起、または、メイン軸41の軸方向に凹む孔からなる係合部を備えている。複数の変速ギア49および複数の変速ギア420のうち、選択された1または2以上の変速ギア49、420同士のみが相互に係合している。変速ギア49および変速ギア420は、それぞれの係合部同士がメイン軸41の軸方向に関して重なることによって係合している。複数の変速ギア49のうち選択された変速ギア49以外の変速ギア49と、複数の変速ギア420のうち選択された変速ギア420以外の変速ギア420とのうちの少なくとも一方は、メイン軸41またはドライブ軸42に対して相対回転可能となっている。つまり、選択されていない変速ギア49と選択されていない変速ギア420とのうちの少なくとも一方は、メイン軸41またはドライブ軸42に対して空転するようになっている。すなわち、メイン軸41とドライブ軸42との間の回転伝達は、相互に噛合する選択された変速ギア49および選択された変速ギア420のみを介して行われる。
変速ギア49および変速ギア420の選択は、シフトドラム421によって行われる。シフトドラム421の回転に伴って、係合する変速ギア49、420の組み合わせが変更される。シフトドラム421の外周面には、複数のカム溝421aが形成されている。各カム溝421aには、シフトフォーク422が取り付けられている。各シフトフォーク422は、それぞれメイン軸41およびドライブ軸42の所定の変速ギア49および変速ギア420に係合している。シフトドラム421が回転することにより、複数のシフトフォーク422のそれぞれは、カム溝421aに案内されてメイン軸41の軸方向に移動する。これにより、変速ギア49および変速ギア420のうちの相互に噛合するギアが選択される。具体的には、複数の変速ギア49および複数の変速ギア420のうち、シフトドラム421の回転角度に応じた位置の一対のギアのみが、メイン軸41およびドライブ軸42に対して、それぞれスプラインによる固定状態となる。これにより、変速機構43におけるギアポジションが決定される。その結果、メイン軸41とドライブ軸42との間では、変速ギア49および変速ギア420を介して、所定の変速比で回転伝達が行われる。シフトドラム421は、シフトロッド75が往復移動することによって、所定の角度だけ回転する。
変速機構43の変速ギアの切り換え、すなわち、変速機構43のギアポジションの変更は、シフトアクチュエータ70(図3参照)が駆動することにより行われる。本実施形態では、シフトアクチュエータ70は電動モータであるが、シフトアクチュエータ70は電動モータに限定されない。シフトアクチュエータ70は、シフトロッド75を介してシフトドラム421に接続されている。シフトアクチュエータ70は、シフトドラム421を回転させることによって、係合する変速ギア49、420の組み合わせを変更する。シフトロッド75は、シフトアクチュエータ70が駆動することによって往復移動する。
以上のような構成により、それぞれメイン軸41およびドライブ軸42に所定の一対の変速ギア49と変速ギア420を固定し、クラッチ44を接続状態とした上でエンジン45が駆動すると、エンジン45のトルクがクラッチ44を介してメイン軸41に伝達される。また、所定の一対の変速ギア49および変速ギア420を介して、メイン軸41とドライブ軸42との間で所定の変速比で回転伝達が行われ、ドライブ軸42が回転する。ドライブ軸42が回転すると、ドライブ軸42と後輪23(図1参照)とを接続する動力伝達機構47(図1参照)によってトルクが伝達され、後輪23が回転する。
図3は、自動二輪車1の主要要素のブロック図である。前述のように、自動二輪車1は、エンジン45、クラッチ44、および変速機構43を備えている。図3に示すように、エンジン45には吸気管61および排気管62が接続されている。また、エンジン45には点火装置67が設けられている。吸気管61の内部にはスロットル弁65が配置されている。スロットル弁65は、吸気管61を流れる空気の量や速度を調整する弁である。自動二輪車1の右ハンドルには、スロットル弁65を駆動するアクセル63が設けられている。また、吸気管61には、燃料を供給する燃料供給装置66が設けられている。燃料供給装置66の種類は特に限定されず、燃料噴射装置または気化器などを好適に用いることができる。
次に、本実施形態に係る自動変速装置50について説明する。図3に示すように、本実施形態に係る自動変速装置50は、クラッチ44と、変速機構43と、クラッチアクチュエータ60と、シフトアクチュエータ70と、を備えている。また、自動変速装置50は、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70を制御する制御装置として、ECU(Electric Control Unit)90を備えている。ECU90は、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70の制御だけでなく、エンジン45の制御も実行する。
自動変速装置50は、クラッチアクチュエータ60の駆動量を検出するクラッチアクチュエータセンサS60と、シフトアクチュエータ70の駆動量を検出するシフトアクチュエータセンサS70とを備えている。本実施形態では、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70はそれぞれ電動モータによって構成されている。クラッチアクチュエータセンサS60は、電動モータであるクラッチアクチュエータ60の回転角度を検出するように構成されている。シフトアクチュエータセンサS70は、電動モータであるシフトアクチュエータ70の回転角度を検出するように構成されている。以下、回転角度のことを適宜回転位置または動作位置ともいう。クラッチアクチュエータセンサS60およびシフトアクチュエータセンサS70として、例えば、ポテンショメータを好適に用いることができる。なお、シフトアクチュエータセンサS70はシフトアクチュエータ70と別体であってもよく、一体化されていてもよい。一体化されたシフトアクチュエータ70およびシフトアクチュエータセンサS70の一例として、回転角度の検出が可能なサーボモータを挙げることができる。同様に、クラッチアクチュエータセンサS60はクラッチアクチュエータ60と別体であってもよく、一体化されていてもよい。一体化されたクラッチアクチュエータ60およびクラッチアクチュエータセンサS60として、サーボモータを用いることも可能である。
なお、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70を別々に備える代わりに、クラッチ44および変速機構43を駆動する単一のアクチュエータを備える場合には、クラッチアクチュエータセンサS60およびシフトアクチュエータセンサS70の代わりに、上記単一のアクチュエータの駆動量を検出する単一のセンサを備えていてもよい。
さらに、自動変速装置50は、シフトドラム回転速度センサS421a、シフトドラム回転位置センサS421b、エンジン回転速度センサS45、スロットル開度センサS65、変速段センサS43、および車速センサS23を備えている。シフトドラム回転速度センサS421aおよびシフトドラム回転位置センサS421bは、それぞれシフトドラム421に設けられており、シフトドラム421の回転速度およびシフトドラム421の回転位置を検出する。なお、シフトドラム回転速度センサS421aとシフトドラム回転位置センサS421bとは別々のセンサであるが、シフトドラム421の回転速度および回転位置の両方を検出できるセンサであってもよい。エンジン回転速度センサS45は、エンジン45の回転速度(詳しくは、エンジン45のクランク軸25の回転速度)を検出する。スロットル開度センサS65は、スロットル弁65の開度を検出する。変速段センサS43は、変速機構43の変速段を検出する。車速センサS23は自動二輪車1の車速を検出する。本実施形態では、車速センサS23は後輪23の回転速度を検出するように構成されている。車速は、後輪23の回転速度に基づいて検出される。ただし、車速の検出方法は特に限定されない。
クラッチアクチュエータセンサS60およびシフトアクチュエータセンサS70は、それぞれECU90と接続されている。また、シフトドラム回転速度センサS421a、シフトドラム回転位置センサS421b、エンジン回転速度センサS45、スロットル開度センサS65、変速段センサS43、および車速センサS23は、それぞれECU90と接続されている。ECU90には、クラッチアクチュエータセンサS60、シフトアクチュエータセンサS70、シフトドラム回転速度センサS421a、シフトドラム回転位置センサS421b、エンジン回転速度センサS45、スロットル開度センサS65、変速段センサS43、および車速センサS23からの信号が入力される。また、ECU90は、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70に接続されている。ECU90は、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70に対して制御信号を出力する。
ところで、ドグクラッチを有する多段式の変速機構43をシフトアクチュエータ70によって駆動の際の変速ギア49、420同士が係合するときに衝突音が発生するときがある。例えば、変速ギア49、420同士が衝突することで衝突音が発生する。本実施形態に係る自動変速装置50は、ドグクラッチを有する多段式の変速機構43をシフトアクチュエータ70によって駆動するときに、変速ギア49、420同士が係合するときに発生する不快な騒音を抑制するものである。図4は、シフトアクチュエータ70の回転角度の変化と、シフトドラム421の回転角度の変化と、変速ギアのドグ抜きおよびドグ入りとを模式的に示した図である。図5は、変速ギアのドグ入り開始、ドグ入り中、ドグ入り完了直前の位置について模式的に示した図である。図5(a)はドグ入り開始の位置、図5(b)はドグ入り中の位置、図5(c)はドグ入り完了直前の位置をそれぞれ示す図である。以下の説明では、変速ギア49は移動せず、変速ギア420が移動するものとする。変速ギア49のうち、変速前に変速ギア420と係合している方のギアを変速ギア491とし、変速後に変速ギア420と係合する方のギアを変速ギア492とする。ただし、変速前に係合する変速ギア491の移動する側の変速ギアと、変速後に係合する変速ギア492の移動する側の変速ギアとは、同一の変速ギア(この場合では、変速ギア420)であってもよいし、異なる変速ギアであってもよい。本実施形態は、変速前後に係合する移動する側の変速ギアは、同一の変速ギアであるとして説明する。なお、図5(c)の位置d0〜位置d4のそれぞれの間隔は等間隔であり、位置d0は変速ギア492の係合部492Bの先端492aの位置であり、位置d4は変速ギア492の底面492bの位置である。
図4に示すように、シフトアクチュエータ70を駆動させると、シフトドラム421が回転する。シフトドラム421の回転に伴い、変速ギア420はA方向へ移動する。すなわち、変速ギア420は、変速前に係合していた変速ギア491から離れ、変速後に係合すべき変速ギア492に近づくように移動する。そして、シフトドラム421の回転途中(時間t11参照)において、係合部491Aの側面上を滑っていた係合部420Aが係合部491Aの側面から離れる。すなわち、変速ギア420が変速ギア491から離れる。このように、変速前に係合していた変速ギア420の係合部420Aと変速ギア491の係合部491Aとが離れることを、「ドグ抜き」という。
時間t11のドグ抜き完了後、変速ギア420はA方向に更に移動する。その後、変速ギア420と変速ギア492とが係合する。すなわち、変速ギア420の係合部420Bと変速ギア492の係合部492Bとが重なりあう。さらに言い換えると、変速ギア420の係合部420Bの先端420aが変速ギア492の係合部492Bの先端492aよりも右方に移動する。このことを「ドグ入り」という。典型的には、係合部420Bの側面420cと係合部492Bの側面492cとが接触する。ドグ入りが行われると、衝突音が発生することがある。例えば、変速ギア420の係合部420Bの先端420aと、変速ギア492の底面492bと、が衝突することで、衝突音が発生する。この衝突音は、変速ギア420の移動速度が大きいほど大きくなる傾向がある。図5(a)に示すように、本実施形態では、係合部420Bの先端420aの端面と係合部492Bの先端492aの端面とが平面e上に位置するときを「ドグ入り開始」という。図4に示すように、係合部420Bの先端420aと変速ギア492の底面492bとが接触する位置のときを「ドグ入り完了」という。ただし、ECU90は、シフトアクチュエータ70によって、係合部420Bの先端420aと変速ギア492の底面492bとが接触しないように制御することがある。このときは、シフトアクチュエータ70によるドグ入りの制御が終了したときを「ドグ入り完了」という。また、図5(b)に示すようなドグ入り開始からドグ入り完了までの間の変速ギア492と変速ギア420との位置関係のときを「ドグ入り中」という。また、ドグ入り開始からドグ入り完了までの間の予め設定された位置からドグ入り完了の位置までの間を「ドグ入り完了直前」という。図5(c)に示すように、上記予め設定された位置とは、好ましくは変速ギア420の係合部420Bの先端420aが位置d2よりも変速ギア492の方の位置であり、かつ、位置d4よりも変速ギア420の方の位置である。また、上記予め設定された位置とは、より好ましくは係合部420Bの先端420aが位置d3よりも変速ギア492の方の位置であり、かつ、位置d4よりも変速ギア420の方の位置である。ただし、ドグ入り完了直前には、ドグ入り完了の位置、すなわち、係合部420Bの先端420aが位置d4にあるときは含めない。
本実施形態に係る自動変速装置50は、上記衝突音を軽減することができるものである。図3に示すように、ECU90は、変速ギア49、420の移動速度を検出する速度検出部92と、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを検出する位置検出部97と、位置検出部97がドグ入り完了直前の位置を検出した後に、どの制御を行うかを判定する制御判定部98と、ドグ入り完了直前に制動制御を行う制動制御部94と、ドグ入り完了直前に通常制御を行う通常制御部96と、を有している。
次に、図6のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る自動変速装置50の制御について説明する。先ず、ステップS100では、乗員が図示しないシフトアップスイッチまたはシフトダウンスイッチを押すことにより、ECU90は変速指令信号を受信する。
次に、ステップS110では、ECU90は、クラッチアクチュエータ60を駆動させることでクラッチ44の切断を開始する。そして、クラッチ44の切断完了を待たずに、ECU90は、変速制御を行う。ステップS120では、ECU90は、シフトアクチュエータ70に電圧を印加することでシフトドラム421を回転させ、係合している変速ギア49、420同士のドグ抜きを行う。変速前の変速ギア49、420のドグ抜きが完了後、選択された変速ギア49、420の係合部同士が重なりあう。すなわち、変速ギア49、420のドグ入りが行われる。なお、本実施形態では、クラッチ44の切断完了を待たずにシフトアクチュエータ70を駆動させたが、クラッチ44の切断完了後にシフトアクチュエータ70を駆動させてもよい。
次に、ステップS130において、ECU90は、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを判定する。ECU90は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の動作位置を検出する。そして、シフトアクチュエータ70の動作位置から変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを間接的に検出する。ECU90には、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを判定するための所定位置が予め設定されている。例えば、上記所定位置はECU90内のメモリ(図示せず)に保存されている。ECU90は、シフトアクチュエータセンサS70によって検出されたシフトアクチュエータ70の動作位置と上記所定位置とを比較することによって、ドグ入り完了直前か否かを判定する。シフトアクチュエータ70の動作位置が上記所定位置以上の場合、ECU90はドグ入り完了直前の位置と判定し、シフトアクチュエータ70の動作位置が上記所定位置未満の場合、ECU90はドグ入り完了直前よりも前の位置と判定する。ステップS130の判定の結果、ドグ入り完了直前と判定されるとステップS140に進み、ドグ入り完了直前よりも前と判定されると、再度ステップS130を行う。
変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置のとき、変速ギア49、420の移動速度が速いと大きな衝突音が発生するため、変速ギア49、420に対して制動をかける。そこで、先ず、ステップS140において、ECU90は変速ギア49、420の移動速度を検出する。ECU90は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の動作速度を検出する。そして、ECU90は、シフトアクチュエータ70の動作速度から変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出する。その後、ステップS150において、ECU90は、変速ギア49、420に対して制動制御を実行するか通常制御を実行するかを判定する。具体的に、ECU90には、制動制御を行うか通常制御を行うかを判定するための変速ギア49、420の移動速度の所定値が予め設定されている。例えば、上記所定値はECU90内のメモリ(図示せず)に保存されている。そして、ECU90は、ステップS140において検出した変速ギア49、420の移動速度と上記所定値とを比較する。変速ギア49、420の移動速度が上記所定値以上のときには、変速ギア49、420の移動速度が速く、大きな衝突音が発生する。そのため、ECU90は次に制動制御を行うと判定する。一方、変速ギア49、420の移動速度が上記所定値未満のときには、変速ギア49、420の移動速度が遅く、上記移動速度が速い場合と比べて衝突音は小さい。そのため、ECU90は次に通常制御を行うと判定する。ステップS150の判定の結果、制動制御を行うと判定されるとステップS160に進み、通常制御を行うと判定されるとステップS170に進む。
ステップS160では、ECU90は、ドグ入り時の衝突音を抑制するために、制動制御を行う。すなわち、ECU90は、シフトアクチュエータ70に対して電圧を印加してシフトドラム421を回転させることで、ドグ入りの変速ギア49、420の移動速度を制御する。詳述すると、選択されている変速前の一対の変速ギア49、420同士の係合を解除(ドグ抜き)して、次に選択される他の一対の変速ギア49、420同士を係合(ドグ入り)させる変速動作の際に、ECU90が正および負のいずれか一方の電圧を印加することでドグ抜きを行った場合、ECU90は、他方の電圧を印加することでドグ入り完了直前の制御を行う。すなわち、ECU90は、シフトアクチュエータ70に対してドグ抜き時とは逆符号の電圧(例えば、ドグ抜き時に正の電圧を印加した場合は、負の電圧)を印加することで、ドグ入り完了直前の変速ギア49、420の移動速度を制御する。このことによって、ドグ入り時の衝突音が抑制される。
一方、ステップS170では、変速ギア49、420の移動速度が遅く、上記移動速度が速い場合と比べて衝突音は小さいため、ECU90は、通常制御を実行する。すなわち、ECU90は、シフトアクチュエータ70に対して電圧を印加してシフトドラム421を回転させることで、変速ギア49、420の移動速度を制御する。詳述すると、選択されている一対の変速ギア49、420のドグ抜きを行い、次に選択される他の一対の変速ギア49、420のドグ入りを行う変速動作の際に、ECU90は、正および負のいずれか一方の電圧を印加することでドグ抜きを行った場合、ECU90は、上記一方の電圧を印加することでドグ入り完了直前の制御を行う。すなわち、ECU90は、シフトアクチュエータ70に対してドグ抜き時と同符号の電圧(例えば、ドグ抜き時に正の電圧を印加した場合、正の電圧)を印加することで、ドグ入りの変速ギア49、420の移動速度を制御する。このように、制動制御と通常制御とは、ドグ入り完了直前にシフトアクチュエータ70に対して印加する電圧の符号が異なる。
ステップS160の制動制御またはステップS170の通常制御が完了すると、自動変速装置50の制御は終了する。
なお、ECU90は、ステップS130の変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを検出する処理を行う際に、位置検出部97(図3参照)として機能する。ECU90は、ステップS140の処理を行う際に、速度検出部92(図3参照)として機能する。ECU90は、ステップS150の処理を行う際に、制御判定部98(図3参照)として機能する。また、ECU90は、ステップS160の制動制御を行う際に制動制御部94(図3参照)として機能し、ステップS170の通常制御を行う際に通常制御部96(図3参照)として機能する。ECU90は、変速ギア49、420の移動速度を検出する速度検出部92と、ドグ入り完了直前の位置か否かを検出する位置検出部97と、位置検出部97がドグ入り完了直前の位置を検出した後に、どの制御を行うかを判定する制御判定部98と、ドグ入り完了直前に制動制御を行う制動制御部94と、ドグ入り完了直前に通常制御を行う通常制御部96と、を備えている。シフトアクチュエータセンサS70と速度検出部92とから速度検出装置が構成されている。シフトアクチュエータセンサS70と位置検出部97とから位置検出装置が構成されている。
本実施形態では、位置検出部97は、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置か否かを検出しているが、変速ギア49、420の係合部同士が重なっている、すなわち、ドグ入り中か否かを検出してもよい。この場合、変速ギア49、420の位置がドグ入り中の位置であって、変速ギア49、420の移動速度が速いとき、ECU90は制動制御を実行することで、変速ギア49、420の移動速度を制御する。
次に、自動変速装置(特に制動制御)の一例について詳細に説明する。ECU90は、デューティ制御をすることによって、シフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間を調整することでシフトアクチュエータ70の動作速度を調整する。上記調整によって、シフトドラム421の回転速度を調整する。なお、デューティ制御とは、シフトアクチュエータ70に対するパルス波のデューティ比を変化させる制御であり、デューティ制御はPWM(Pulse Width Modulation)制御と同義である。また、ECU90は、ドグ入り完了直前の変速ギア49、420の移動速度に基づいて、制動制御部94の制動制御におけるシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間を決定する。詳しくは、ECU90は、変速ギア49、420の移動速度が速いほど、シフトアクチュエータ70に印加する負の電圧の印加時間を長くする。これにより、変速ギア49、420の移動速度が速いほど、シフトドラム421により大きな制動がかかる。より詳しくは、ECU90は、変速ギア49、420の移動速度とシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間との関係を、予めマップにて記憶している。そして、ECU90は、速度検出部92によって検出された変速ギア49、420の移動速度と上記マップとを比較する。ECU90は、上記移動速度に該当する上記印加時間を、制動制御におけるシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間とする。なお、変速ギア49、420の移動速度とシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間との関係は、上記マップ以外にも、予めテーブル、関数式等の形式にて、ECU90のメモリ(図示せず)に保存されていてもよい。また、ECU90が実行する制御プログラム中に規定されていてもよい。
図7は、自動変速装置の一例におけるクラッチ位置、シフトアクチュエータの回転位置、変速ギアの位置(変速ギア49および変速ギア420のうち移動する方の変速ギア)、およびデューティ比の時間変化を表した図である。なお、シフトドラム421はシフトアクチュエータ70の回転に伴って回転する。図7における図示は省略するが、シフトドラム421の回転位置はシフトアクチュエータ70の回転位置と同様に変化する。
図7に示すように、ECU90は、時間t0にて変速指令(図6ではステップS100)を受け、直ちにクラッチアクチュエータ60を駆動し(図6ではステップS110)、クラッチ44の切断を開始する。なお、このときのシフトアクチュエータ70に対するデューティ比は0%である。次に、時間t0よりも後の時間t1において、ECU90は、シフトアクチュエータ70の回転位置が位置Pから位置P’へ向かうように。デューティ比D1でシフトアクチュエータ70を駆動させる(図6ではステップS120)。シフトアクチュエータ70を駆動させるとシフトドラム421(図2参照)が回転し、シフトドラム421の回転に伴ってシフトフォーク422(図2参照)が移動する。シフトフォーク422の移動に伴って変速ギアが移動する。ところが、シフトアクチュエータ70から変速ギアに至る機構には遊びが存在するので、変速ギアは直ちには移動を開始せず、時間t1よりも後の時間t2において、移動を開始する。ドグ抜きは時間t2の直後において行われる。本実施形態では、ドグ抜きはクラッチ44の切断中(時間t0〜時間tc)に行われる。ドグ入りは、クラッチ44の切断後(時間tc以降)に行われる。
ECU90は、シフトアクチュエータ70を駆動させた後、図6に示すステップS130のように、位置検出部97によって変速ギアの位置がドグ入り完了直前の位置か否かを検出する。ECU90が変速ギアの位置をドグ入り完了直前の位置としたときが、時間t3となる。
そして、時間t3のときに、ECU90は、図6に示すステップS140のように、速度検出部92によって変速ギアの移動速度を検出する。そして、ステップS150のように、変速ギアの移動速度と、制動制御を行うか通常制御を行うかを判定するための予め設定された変速ギアの移動速度の所定値と、を比較する。上記移動速度が上記所定値以上のときは、図7に示すように、デューティ比をデューティ比D1からデューティ比D2へ切り替える(図6ではステップS160)。なお、時間t3は、変速ギアのドグ入り完了直前の時間である。しかし、時間t3は、ドグ入り開始時の時間でもよいし、ドグ入り中の時間であっても良い。デューティ比D1は正であり、デューティ比D2は負である。このように、デューティ比D1とデューティ比D2との正負を入れ替えることで、シフトドラム421の駆動する方向を反転することができる。その結果、シフトドラム421に制動をかけることができる。なお、デューティ比D1とデューティ比D2とは絶対値が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
そして、時間t4のとき、すなわち、シフトアクチュエータ70の回転位置が位置P’に達したときであり、変速ギアの位置が位置G’に達したとき、ECU90は、シフトアクチュエータ70の変速制御を終了する。ECU90は、時間t4の後、デューティ比D3でシフトアクチュエータ70を駆動させる。図示は省略するが、ECU90は、変速ギアが位置G′に到達した後、クラッチアクチュエータ60を駆動し、クラッチ44を接続させる。これにより、制御が完了する。
なお、本実施形態では、ECU90は、制動制御をする際に、デューティ制御をすることでシフトアクチュエータ70を制御してシフトドラム421の回転速度を調整した。しかし、シフトアクチュエータ70を制御する方法はデューティ制御に限られず、例えば制動制御をする際に、シフトアクチュエータ70に印加する電圧値を適宜変更させることによって、シフトアクチュエータ70を制御してもよい。具体的に、ECU90は、変速ギアの移動速度とシフトアクチュエータ70に印加する電圧値との関係を、予めマップにて記憶している。そして、ECU90は、速度検出部92によって検出された変速ギアの移動速度と上記マップとを比較する。ECU90は、上記移動速度に該当する電圧値を、制動制御におけるシフトアクチュエータ70に印加する電圧値とする。上記移動速度とシフトアクチュエータ70に印加する電圧値との関係は、上記マップ以外にも、予めテーブル、関数式等の形式にて、ECU90のメモリ(図示せず)に保存されていてもよい。また、ECU90が実行する制御プログラム中に規定されていてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、ECU90は、変速前の一対の変速ギア49、420同士の係合を解除(ドグ抜き)して、他の一対の変速ギア49、420同士を係合(ドグ入り)させる変速動作の際に、正の電圧を印加することによって一対の変速ギア49、420同士の係合を解除する。そして、ECU90は、制動制御部94によって、他の一対の変速ギア49、420同士の係合が完了する前(ドグ入り完了直前)に負の電圧を印加する制御を実行する。このことによって、シフトドラム421に対して短時間で大きな減速効果を得ることができる。したがって、減速による変速時間の長時間化を抑えつつ、ドグ入り時の衝突音を低減することができる。また、ドグ入り時に変速ギア49、420が大きな慣性力をもって移動してきても、変速ギア49、420に十分な制動力を与えることができる。その結果、ドグ入り時の衝突音を低減することができる。
本実施形態によると、制動制御部94は、変速ギア49、420の移動速度に基づいて、ドグ入り完了直前のシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間を決定している。このように、変速ギア49、420の移動速度に応じてシフトアクチュエータ70に印加する電圧の印加時間を決定するこで、制動力を調整することができる。その結果、減速による変速時間の長時間化の抑制と、ドグ入り時の衝突音の低減と、を高度に両立させることができる。
本実施形態によると、速度検出部92は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の動作速度を検出することで、変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出している。このように、変速ギア49、420の移動速度を直接検出するよりも、シフトアクチュエータ70の動作速度によって変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出する方が容易である。よって、変速ギア49、420の移動速度を容易に検出することができる。
本実施形態によると、制動制御部94は、位置検出部97によって変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を検出した後、ドグ抜き時とは逆の符号の電圧(本実施形態では、負の電圧)をシフトアクチュエータ70に対して印加する。このような構成によって、変速ギア49、420のドグ入り開始よりも前に制動が開始されることを避けることができる。これにより、制動開始時期が早くなり過ぎることを防止することができ、変速時間の長時間化を防止することができる。また、上記構成によって、変速ギア49、420のドグ入り完了直前に制動することができるため、制動開始時期が遅れることを防止することができる。また、負の電圧をシフトアクチュエータ70に印加することにより、より好適にドグ入り時の衝突音を低減することができる。
本実施形態によると、位置検出部97は、シフトアクチュエータ70の動作位置から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出している。このことによって、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を直接検出するよりも、シフトアクチュエータ70の動作位置によってドグ入り完了直前の位置を間接的に検出する方が容易である。
本実施形態によると、ECU90は、一対の変速ギア49、420のドグ入り完了直前の移動速度が所定値以上のときには、制動制御部94による制御を実行し、上記移動速度が所定値未満のときには、通常制御部96による制御を実行する。このような構成によって、変速ギア49、420の移動速度に応じて制動の有無を使い分けることができる。変速ギア49、420の移動速度が速いときには、変速ギア49,420同士のドグ入りが完了する前に変速ギア49、420を十分に制動することができる。そのことによって、変速時間の長時間化を抑制すると共にドグ入り時の衝突音を低減することができる。一方、変速ギア49、420の移動速度が遅いときには、ドグ入り時の大きな衝突音は発生しない。よって、変速ギア49、420の制動を省略することによって、変速時間の長時間化を避けることができる。
以上、第1実施形態に係る自動二輪車1について説明した。なお、本発明に係る鞍乗型車両は、本実施形態の自動二輪車1に限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。
<第2実施形態>
第1実施形態では、速度検出部92は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の動作速度を検出し、上記動作速度から変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出した。位置検出部97は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の動作位置を検出し、上記動作位置から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出した。しかし、速度検出部92および位置検出部97は、上記構成に限定されない。下記に示すような第2実施形態に係る速度検出部92および位置検出部97であってもよい。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成の箇所は同じ符号を使用し、その説明は省略する。本実施形態に係る自動変速装置50は、第1実施形態と同様に、シフトドラム回転速度センサS421aおよびシフトドラム回転位置センサS421bを備えている。シフトドラム回転速度センサS421aおよびシフトドラム回転位置センサS421bは、それぞれシフトドラム421に設けられており、それぞれシフトドラム421の回転速度および回転位置を検出する。速度検出部92は、シフトアクチュエータ70によって駆動されるシフトドラム421の回転速度を検出することで、変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出する。速度検出部92は、シフトドラム回転速度センサS421aによってシフトドラム421の回転速度を検出する。そして、速度検出部92は、シフトドラム421の回転速度から変速ギア49、420の移動速度を検出する。なお、本実施形態では、シフトドラム回転速度センサS421aと速度検出部92とから速度検出装置が構成されている。
本実施形態に係る位置検出部97は、シフトアクチュエータ70によって駆動されるシフトドラム421の回転位置を検出することで、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出する。位置検出部97は、シフトドラム回転位置センサS421bによってシフトドラム421の回転位置を検出する。位置検出部97は、シフトドラム421の回転位置から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出する。また、位置検出部97には、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を判定するための、シフトドラム421の回転位置と比較する所定位置が予め設定されている。例えば、上記所定位置はECU90内のメモリ(図示せず)に保存されている。そして、位置検出部97は、シフトドラム回転位置センサS421bによって検出されたシフトドラム421の回転位置と上記所定位置とを比較することによって、ドグ入り完了直前の位置か否かを検出する。位置検出部97は、シフトドラム421の回転位置が上記所定位置以上のとき、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置とする。本実施形態では、位置検出部97は、ドグ入り完了直前の位置を検出しているが、ドグ入り開始位置またはドグ入り中の位置を検出してもよい。これにより、ECU90は、ドグ入り開始位置またはドグ入り中の位置であって、変速ギア49、420の移動速度が速いときに、制動をかけることができる。なお、シフトドラム回転位置センサS421bと位置検出部97とから位置検出装置が構成されている。
本実施形態では、以上のような構成の速度検出部92および位置検出部97がECU90に備えられている。なお、ECU90の速度検出部92および位置検出部97以外の制御については、第1実施形態と同様のため、その説明は省略する。
以上のように、本実施形態によれば、速度検出部92は、シフトドラム421の回転速度から変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出している。このことによって、変速ギア49、420の移動速度を直接検出するよりも、シフトドラム421の回転速度によって変速ギア49、420の移動速度を間接的に検出する方が容易である。よって、変速ギア49、420の移動速度を容易に検出することができる。また、シフトアクチュエータ70よりもシフトドラム421の方が変速ギア49、420の近傍にあるため、シフトアクチュエータ70の動作速度を検出するよりも、シフトドラム421の回転速度を検出する方が、変速ギア49、420の移動速度をより精度よく検出することができる。
本実施形態によれば、位置検出部97は、シフトドラム421の回転位置から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出している。このことによって、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を直接検出するよりも、シフトドラム421の回転位置によって変速ギア49、420のドグ入り位置を間接的に検出する方が容易である。その結果、変速ギア49、420のドグ入り位置を容易に検出することができる。また、シフトアクチュエータ70よりもシフトドラム421の方が変速ギア49、420の近傍にあるため、シフトアクチュエータ70の動作位置を検出するよりも、シフトドラム421の回転位置を検出する方が、変速ギア49、420の係合部同士の重なりをより精度よく検出することができる。
<第3実施形態>
第1実施形態および第2実施形態では、位置検出部97は、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を、シフトアクチュエータ70の動作位置またはシフトドラム421の回転位置を検出することで間接的に検出していた。しかし、位置判定部97は、上記構成に限定されない。下記に示すような第3実施形態に係る位置判定部97であってもよい。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、第1実施形態または第2実施形態と同じ構成の箇所は同じ符号を使用し、その説明は省略する。本実施形態に係る位置検出部97は、シフトアクチュエータ70の動作開始からの経過時間を検出することで、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を検出する。ECU90の位置検出部97には、シフトアクチュエータ70の動作開始から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置の基準となる時間の所定時間が予め設定されている。例えば、上記所定時間はECU90内のメモリ(図示せず)に保存されている。位置検出部97は、シフトアクチュエータ70の動作開始時間を記憶する。シフトアクチュエータ70の動作開始後、位置検出部97は、シフトアクチュエータ70の動作開始からの経過時間と上記所定時間とを比較する。そして、位置検出部97は、上記経過時間が上記所定時間以上となったとき、変速ギア49、420の位置がドグ入り完了直前の位置とする。なお、上記所定時間は、定数であってもよいし、シフトアクチュエータ70の動作速度に応じて変更する変数であってもよいが、上記変数のほうがより好適に変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を検出することができる。上記所定時間を上記変数にする場合、位置検出部97は、シフトアクチュエータセンサS70によってシフトアクチュエータ70の回転速度を検出し、上記回転速度に応じた上記所定時間を設定するとよい。上記回転速度と上記所定時間との関係は、予めマップ、テーブル、関数式等の形式にて、ECU90のメモリ(図示せず)に保存されていてもよい。また、ECU90が実行する制御プログラム中に規定されていてもよい。本実施形態では、位置検出部97は、ドグ入り完了直前の位置を検出しているが、ドグ入り開始位置またはドグ入り中の位置を検出してもよい。
本実施形態では、以上のような構成の位置検出部97がECU90に備えられている。なお、位置検出部97以外のECU90の制御については、第1実施形態と同様のため、その説明は省略する。
以上のように、本実施形態によると、位置検出部97は、シフトアクチュエータ70の動作開始からの経過時間を検出し、上記経過時間から変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を間接的に検出している。このことによって、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を直接検出するよりも、シフトアクチュエータ70の動作開始からの経過時間によってドグ入り完了直前の位置を間接的に検出する方が容易である。
<他の実施形態>
上記各実施形態では、速度検出装置の速度検出部92は、変速ギア49、420の移動速度を、シフトアクチュエータ70の動作速度またはシフトドラム421の回転速度を検出することによって、間接的に検出していた。しかし、速度検出部92は、変速ギア49、420の移動速度を直接検出するようにして、速度検出装置を構成してもよい。
上記各実施形態では、位置検出装置の位置検出部97は、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を、シフトアクチュエータ70の動作位置、シフトドラム421の回転位置、またはシフトアクチュエータ70の動作開始からの経過時間によって、間接的に検出していた。しかし、位置検出部97は、変速ギア49、420のドグ入り完了直前の位置を直接検出するようにして、位置検出装置を構成してもよい。
上記各実施形態では、図7に示すように、ECU90は、変速制御開始(時間t1)から変速ギアのドグ入り完了直前(時間t3)までの間、一定の速度でシフトアクチュエータ70を動作させていた。しかし、ECU90は、変速制御開始(時間t1)から変速ギアのドグ入り完了直前(時間t3)までの間、シフトアクチュエータ70の回転速度を段階的に変更するように駆動させてもよい。
上記各実施形態では、変速ギア49、420のドグ入り中(典型的には、ドグ入り完了直前)の移動速度が速いときに、ECU90はシフトアクチュエータ70に制動をかけていた。しかし、変速ギア49、420のドグ入り前、すなわち変速ギア49、420の係合部同士が重なる前に、ECU90はシフトアクチュエータ70に制動をかけるようにしてもよい。
上記各実施形態では、乗員が図示しないシフトスイッチを手動操作することによって、シフトポジションの変更指令をECU90に送ることで、ECU90がクラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70を駆動させるようにしていた。しかし、本発明では、ECU90が自動でシフトポジションの変更指令をすることによって、クラッチアクチュエータ60およびシフトアクチュエータ70を駆動させるようにしてもよい。
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
43 変速機構
49 変速ギア
50 自動変速装置
70 シフトアクチュエータ
90 ECU(制御装置)
92 速度検出部
94 制動制御部
96 通常制御部
97 位置検出部
420 変速ギア
421 シフトドラム

Claims (10)

  1. ドグクラッチを介して係合する複数の変速ギアを有し、係合する変速ギアの組み合わせがシフトドラムの回転に伴って変更される多段式の変速機構と、
    前記シフトドラムを回転させる電動のアクチュエータと、
    電圧を印加することによって前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、一対の変速ギア同士の係合を解除して他の一対の変速ギア同士を係合させる変速動作の際に、正および負のいずれか一方の電圧を印加することによって前記一対の変速ギア同士の係合を解除した後、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了する前に他方の電圧を印加する制御を実行する制動制御部を備えている、自動変速装置。
  2. 前記変速ギアの移動速度を直接または間接的に検出する速度検出装置を備え、
    前記制動制御部は、前記変速ギアの移動速度に基づいて、前記他方の電圧の印加時間または電圧値を決定する、請求項1に記載の自動変速装置。
  3. 前記速度検出装置は、前記アクチュエータの動作速度を検出する検出部を有し、前記アクチュエータの動作速度から前記変速ギアの移動速度を間接的に検出する、請求項2に記載の自動変速装置。
  4. 前記速度検出装置は、前記シフトドラムの回転速度を検出する検出部を有し、前記シフトドラムの回転速度から前記変速ギアの移動速度を間接的に検出する、請求項2に記載の自動変速装置。
  5. 前記変速ギアは、メイン軸に取り付けられ、
    前記変速ギアは、前記メイン軸の軸方向に突出する突起または前記軸方向に凹む孔からなる係合部を備え、
    前記変速ギア同士は、前記係合部同士が前記軸方向に関して重なることによって係合し、
    前記係合部同士の前記軸方向に関する重なりを直接または間接的に検出する検出装置を備え、
    前記制動制御部は、前記検出装置が前記重なりを検出すると前記他方の電圧を印加する、請求項1に記載の自動変速装置。
  6. 前記検出装置は、前記アクチュエータの動作位置を検出する検出部を有し、前記アクチュエータの動作位置から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する、請求項5に記載の自動変速装置。
  7. 前記検出装置は、前記シフトドラムの回転位置を検出する検出部を有し、前記シフトドラムの回転位置から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する、請求項5に記載の自動変速装置。
  8. 前記検出装置は、前記アクチュエータの動作開始からの経過時間を検出する検出部を有し、前記経過時間から前記係合部同士の前記重なりを間接的に検出する、請求項5に記載の自動変速装置。
  9. 前記変速ギアの移動速度を直接または間接的に検出する速度検出装置を備え、
    前記制御装置は、正および負のいずれか一方の電圧を印加することによって前記一対の変速ギア同士の係合を解除した後、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了するまで前記一方の電圧を印加する制御を実行する通常制御部を備え、
    前記制御装置は、前記他の一対の変速ギア同士の係合が完了する前の前記変速ギアの移動速度が所定値以上のときには、前記制動制御部による制御を実行し、前記移動速度が所定値未満のときには、前記通常制御部による制御を実行する、請求項1に記載の自動変速装置。
  10. 請求項1に記載の自動変速装置を備えた鞍乗型車両。
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