JP2014034552A - バイオフィルム形成抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品用途や食品加工設備での使用に好適なバイオフィルム形成抑制剤、及びそれを含有するエタノール製剤を提供する。
【解決手段】キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有するバイオフィルム形成抑制剤。また、それを含有するエタノール製剤。
【選択図】なし
【解決手段】キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有するバイオフィルム形成抑制剤。また、それを含有するエタノール製剤。
【選択図】なし
Description
本発明はバイオフィルム形成抑制剤、及びそれを含有するエタノール製剤に関する。より詳細には、食品および食品加工設備への使用に好適なバイオフィルム形成抑制剤、及びそれを含有するエタノール製剤に関する。
近年、広く微生物がバイオフィルムを形成して存在していることが明らかになってきた。バイオフィルムは生物膜やスライムとも言われ、一般に微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して構造体を形成したものを指す。バイオフィルムによって微生物は守られ、殺菌、除菌剤が効きにくくなっている。
バイオフィルムが形成されると、微生物を原因とする危害が発生して様々な産業分野で問題を引き起こす。例えば、食品プラントの配管内にバイオフィルムが形成されると、このバイオフィルムが剥がれ落ち、製品内への異物混入につながるだけでなく、微生物由来の毒素で食中毒の原因となることがある。更に、金属表面へのバイオフィルム形成は金属腐食の原因となり設備の老朽化を促進する。
レストランや厨房、スーパーのバックヤードで使用される包丁やまな板、ざる等の調理器具類や食品工場等で使用される製造・加工機器、設備、充填機類、食品と直接接触する器具類は衛生度を保つため、日々、使用後に殺菌剤を用いた洗浄作業が行われる。しかし、これらの対象物の硬質表面形状は様々で、小さな隙間やキズ、手の届かない複雑な形状など、機械力の届かない部分では、しばしば微生物や汚れが残留する危険性がある。このような残留微生物は、増殖する段階で多糖やタンパク質、核酸などの高分子物質を細胞内から産生し、微生物及び微生物産生物質からなる構造体、即ち、バイオフィルムを形成する可能性がある。
レストランや厨房、スーパーのバックヤードで使用される包丁やまな板、ざる等の調理器具類や食品工場等で使用される製造・加工機器、設備、充填機類、食品と直接接触する器具類は衛生度を保つため、日々、使用後に殺菌剤を用いた洗浄作業が行われる。しかし、これらの対象物の硬質表面形状は様々で、小さな隙間やキズ、手の届かない複雑な形状など、機械力の届かない部分では、しばしば微生物や汚れが残留する危険性がある。このような残留微生物は、増殖する段階で多糖やタンパク質、核酸などの高分子物質を細胞内から産生し、微生物及び微生物産生物質からなる構造体、即ち、バイオフィルムを形成する可能性がある。
バイオフィルム形成抑制剤としては、例えば、特許文献1に炭素数8〜14のアルコール又は炭素数8〜14のアルコールにエチレンオキサイドを付加した化合物と界面活性剤を特定の比率で含有する組成物が開示されている。
特許文献2にはユッカフォーム抽出物を配合した除菌洗浄剤が開示されている。
特許文献3にはステロイドサポニンを含有する食品保存剤として、ユッカ抽出物10部に対し、エタノールを400部含有する食品保存剤が開示されている。
特許文献4にはキラヤサポニンを含有する乳化組成物が開示されている。
これまでバイオフィルム形成を抑制するためには、微生物、特に細菌に対しては殺菌作用または静菌作用を与えることによって菌を増殖させない考え方が一般的に検討されてきた。
特許文献1の組成物はそのような考え方を変えて、菌の増殖は許しても、バイオフィルム形成を抑制する方法が開示されている。しかし、食品用途や食品加工設備での使用においてより効果の高い剤が望まれている。
特許文献2のユッカフォーム抽出物を配合した除菌洗浄剤や、特許文献3のユッカ抽出物を含有する食品保存剤はバイオフィルム形成抑制効果に課題があった。特許文献4はキラヤサポニンを含有する乳化組成物を開示するが、油溶性物質の乳化が課題であり、キラヤサポニンは使用する乳化剤の一つとして用いられているにすぎない。
本発明は、人に対して安全に使用でき、低い濃度においてもバイオフィルム形成抑制効果を十分に発現する、食品用途や食品加工設備での使用に好適なバイオフィルム形成抑制剤、及びそれを含有するエタノール製剤を提供する。
本出願人は鋭意研究を重ね、特定の植物由来のサポニンが、人に対して安全で、効率的にバイオフィルム形成を抑制することを見出し、本発明に至った。
本発明は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有するバイオフィルム形成抑制剤に関する。
また、本発明は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物を含有するバイオフィルム形成抑制剤に関する。
また、本発明は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物を0.01g/100mL以上、1g/100mL以下、並びに、エタノールを10体積%以上、99体積%以下含有するエタノール製剤に関する。
また、本発明は、上記本発明のバイオフィルム形成抑制剤を対象物に適用するバイオフィルム形成抑制方法に関する。
また、本発明は、上記本発明のエタノール製剤を対象物に適用するバイオフィルム形成抑制方法に関する。
本発明によると、人に対して安全に使用でき、低い濃度においてもバイオフィルム形成抑制効果を十分に発現する、食品用途や食品加工設備での使用に好適なバイオフィルム形成抑制剤、及びそれを含有するエタノール製剤が提供される。
<バイオフィルム形成抑制剤>
バイオフィルムとは、微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して形成した構造体である。バイオフィルムの形成に要する時間は、環境により、例えば、6時間以上、12時間以上、18時間以上、或いは、24時間以上などと変動する。
バイオフィルムとは、微生物が物質の表面に付着・増殖することによって微生物細胞内から多糖やタンパク質などの高分子物質を産生して形成した構造体である。バイオフィルムの形成に要する時間は、環境により、例えば、6時間以上、12時間以上、18時間以上、或いは、24時間以上などと変動する。
本発明におけるバイオフィルム形成抑制とは、バイオフィルムの形成を阻止若しくは抑制することにより、本来、微生物が物質の表面に形成するバイオフィルムの形成量と比べて、その形成量が低減することをいう。
バイオフィルム形成に関わる微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、例えば、アシネトバクター属菌、セラチア、クリセオバクテリウム属菌、及び黄色ブドウ球菌から選ばれる菌が1種類以上含まれているバイオフィルムである。これらの菌はいずれも湿潤環境でバイオフィルムを形成することが知られている。バイオフィルム形成により殺菌不良を引き起こし、衛生上の問題や健康上の問題に結びつくことが懸念される。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有する。
微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、例えば、アシネトバクター属のバイオフィルム形成抑制の観点から、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンが好ましく、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンがより好ましく、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、マロニエ、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、知母、三七人参、朝鮮人参、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンが更に好ましい。また、食品添加物指定の観点から、キラヤ、及び大豆からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンが好ましい。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物を含有する。
微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、例えば、アシネトバクター属のバイオフィルム形成抑制の観点から、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物が好ましく、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物がより好ましく、アシネトバクター属のバイオフィルム形成抑制の観点から、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、マロニエ、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、知母、三七人参、朝鮮人参、及び、続断からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物が更に好ましい。また、食品添加物指定の観点から、キラヤ、及び大豆からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物が好ましい。サポニンを含有する植物抽出物は、1種又は2種以上を使用することができる。
キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出された植物抽出物にはサポニンが含まれていることが知られている。(例えば、「パートナー天然物化学」(南江堂、2007年発行)を参照)
前記植物抽出物にサポニンが含まれる程度は、該物抽出物を重メタノール等の溶媒に溶かし、1H−NMR測定や13C−NMR測定を行い、サポニンのアグリコン及び糖鎖に由来するピークを検出することにより確認することができる。
植物からサポニンを含有する植物抽出物を調製する方法としては、一例として次の調製方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、「天然有機化合物実験法-生理活性物質の抽出と分離」(講談社サイエンティフィク、1977年発行)に記載の方法も採用できる。
[サポニンを含有する植物抽出物の調製方法の例]
各植物試料(植物の溶媒抽出物)を減圧下、溶媒を留去して固形物を得る。これに水:水飽和n−ブタノール=1:1(25℃における体積比)を加え、分液ロートで振り混ぜた後、分層させる。上層をとり、減圧下、溶媒を留去して粗サポニン画分を得る。これにアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌した後これをろ過し、ろ紙に残った固形物を回収して乾燥させ、サポニンを含有する植物抽出物を得る。
各植物試料(植物の溶媒抽出物)を減圧下、溶媒を留去して固形物を得る。これに水:水飽和n−ブタノール=1:1(25℃における体積比)を加え、分液ロートで振り混ぜた後、分層させる。上層をとり、減圧下、溶媒を留去して粗サポニン画分を得る。これにアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌した後これをろ過し、ろ紙に残った固形物を回収して乾燥させ、サポニンを含有する植物抽出物を得る。
本発明に用いられるサポニンを含有する植物抽出物は、抽出する植物によるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、テルペノイド、単糖類、二糖類、三糖類、フラボノイド、植物ステロール、及びリン脂質などから選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有することができる。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤中、サポニンを含有する植物抽出物に含まれる油溶性物質を除く油溶性物質の含有量は、調理器具の洗浄性低下や食品加工設備の劣化防止の観点から、0.5質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。即ち、サポニンを含有する植物抽出物に含まれる油溶性物質を除く油溶性物質は含有しないことが好ましい。
本発明のサポニンを含有するバイオフィルム形成抑制剤、又はサポニンを含有する植物抽出物を含有するバイオフィルム形成抑制剤を適用する対象物としては、特に制限されるものではないが、安全性の観点から、食品、食品加工設備、食器又は調理器具に適用することが好適であり有効である。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤の形態としては、サポニンと水とを含有する組成物、例えば、水を主な溶媒とするゲル、水溶液、水分散体などのサポニンを含有する組成物、サポニンとアルコールとを含有する組成物、サポニンと水とアルコールとを含有する組成物が挙げられる。サポニンと水とエタノールを含有する組成物が好ましい。
また、本発明のバイオフィルム形成抑制剤の形態としては、サポニンを含有する植物抽出物と水とを含有する組成物、例えば、水を主な溶媒とするゲル、水溶液、水分散体などのサポニンを含有する植物抽出物を含有する組成物、サポニンを含有する植物抽出物とアルコール(好ましくはエタノール)とを含有する組成物、サポニンを含有する植物抽出物と水とアルコール(好ましくはエタノール)とを含有する組成物が挙げられる。サポニンを含有する植物抽出物と水とエタノールを含有する組成物が好ましい。
対象物が広範にわたる場合には、利便性の観点から、水を主な溶媒とする水溶液、水分散体などの組成物やアルコール製剤等の有機溶媒を主成分とする組成物に含有させて、対象物に噴霧、滴下して適用することが好ましい。また、はけ等により塗布することも好ましい。その他、布等に含浸させて、対象物に接触させたり、対象物を拭いたりすることも好ましい。
また、殺菌性の観点から、サポニンとアルコール(好ましくはエタノール)とを含有するアルコール製剤(好ましくはエタノール製剤)を、対象物に、噴霧、滴下等により接触させて適用することが好ましい。
また、殺菌性の観点から、サポニンを含有する植物抽出物とアルコール(好ましくはエタノール)とを含有するアルコール製剤(好ましくはエタノール製剤)を、対象物に、噴霧、滴下等により接触させて適用することが好ましい。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤は微生物との接触をしている間作用するものと考えられる。本発明のバイオフィルム形成抑制剤と対象物との接触は、バイオフィルムの形成時間によるが、例えば、6時間以上連続して、又は繰り返し適用することにより接触を断続的に継続して行うのが好ましい。ここで連続して行うとは、上記のように対象物上に本発明のバイオフィルム形成抑制剤が残存するように適用し、本発明のバイオフィルム形成抑制剤と微生物とが長期間接触するようにすることをいう。すなわち、本発明のバイオフィルム形成抑制剤を対象物に適用後、洗い流すなどの方法で除去しないのが好ましい。また、断続的に継続して行うとは、洗い流すなどの方法で除去した後、更に本発明のバイオフィルム形成抑制剤を再度対象物に適用して、残留させることをいう。
さらに、対象物が組成物を残存させにくい形状にある場合には、組成物を残存させやすくするため、水を主な溶媒とするゲルに含有させて、対象物に塗布することが好ましい。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、バイオフィルム形成に関わる微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、アシネトバクター属に代表されるグラム陰性菌が形成するバイオフィルムの形成抑制に好適にである。アシネトバクター属に代表されるグラム陰性菌は食品加工現場等の湿潤環境においてバイオフィルムを形成し、バイオフィルム形成により殺菌不良を引き起こし、衛生上の問題や健康上の問題に結びつくことが懸念される。
<エタノール製剤>
本発明のエタノール製剤は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物〔以下、(A)成分という〕を含有する。(A)成分の含有量は、本発明のエタノール製剤中、0.01g/100mL以上であり、更に0.02g/100mL以上、更に0.05g/100mL以上が好ましく、そして、1g/100mL以下であり、更に0.5g/100mL以下、更に0.2g/100mL以下が好ましい。また、(A)成分の含有量は、本発明のエタノール製剤中、0.01〜1g/100mL、更に0.02〜0.5g/100mL、更に0.05〜0.2g/100mLが好ましい。
本発明のエタノール製剤は、キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物〔以下、(A)成分という〕を含有する。(A)成分の含有量は、本発明のエタノール製剤中、0.01g/100mL以上であり、更に0.02g/100mL以上、更に0.05g/100mL以上が好ましく、そして、1g/100mL以下であり、更に0.5g/100mL以下、更に0.2g/100mL以下が好ましい。また、(A)成分の含有量は、本発明のエタノール製剤中、0.01〜1g/100mL、更に0.02〜0.5g/100mL、更に0.05〜0.2g/100mLが好ましい。
本発明のエタノール製剤は、エタノールを10体積%以上、99体積%以下含有する。
エタノールは微生物に対して高い殺菌性と増殖抑制性を有し、食品分野では幅広く使用されてきた。エタノールの殺菌力は70体積%前後の濃度で最大となる。
本発明のエタノール製剤のエタノール含有量は、殺菌性の観点から、30体積%以上であることが好ましく、45体積%以上であることがより好ましく、60体積%以上であることが更に好ましい。また、本発明のエタノール製剤のエタノール含有量は、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましい。
本発明のエタノール製剤は、殺菌性の観点から、炭素数8以上、12以下の脂肪酸鎖長を有する脂肪酸モノグリセリド〔以下、(B)成分という〕を含有することが好ましい。
脂肪酸モノグリセリドは、グリセリンと脂肪酸からなるモノエステルで、工業用及び食品用乳化剤として幅広く用いられている。本発明では、グリセリンと炭素数8〜12の脂肪酸からなるモノエステルを用いる。
(B)成分の脂肪酸の炭素数(脂肪酸鎖長)は、殺菌性の観点から、10〜12が好ましく、水もしくは水とエタノールの混合溶媒への溶解性の観点から、10がより好ましい。脂肪酸は直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖であり、飽和であっても不飽和であってもよい。
(B)成分としては、カプリル酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド等が挙げられる。 殺菌性の観点から、カプリル酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、及びラウリン酸モノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カプリン酸モノグリセリド、及びラウリン酸モノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。また、殺菌性および水もしくは水とエタノールの混合溶媒への溶解性の観点から、カプリン酸モノグリセリドが好ましい。
本発明のエタノール製剤中の(B)成分の含有量は、殺菌性の観点から、0.01g/100mL以上であることが好ましく、0.02g/100mL以上であることがより好ましく、0.03g/100mL以上であることが更に好ましく、0.05g/100mL以上であることがより更に好ましい。また、対象物の美観維持の観点から、1g/100mL以下であることが好ましく、0.7g/100mL以下であることが好ましく、0.5g/100mL以下であることがより好ましく、0.3g/100mL以下であることが更に好ましい。また、同様の理由により、本発明のエタノール製剤中の(B)成分の含有量は、0.01〜1g/100mL、更に0.02〜0.7g/100mL、更に0.03〜0.5g/100mL、更に0.05〜0.3g/100mLが好ましい。
本発明のエタノール製剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、従来アルコール製剤に用いられてきた有機酸、有機酸塩、植物抽出物〔(A)成分以外のもの〕等を含有してもよい。また、本発明のエタノール製剤は水を含有することが好ましい。水はエタノール製剤の残部であってよい。
有機酸としては、フマル酸、乳酸、酢酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、こはく酸、フィチン酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。中でも乳酸、クエン酸、リンゴ酸が、安定した原料供給、及び経済性の観点から好ましく用いられる。
有機酸塩としては前記有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、又はカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられ、その中でもナトリウム塩が好ましく用いられる。
本発明のエタノール製剤は人に対して安全に使用でき、低い濃度においてもバイオフィルム形成抑制効果を十分に発現することことができる。この効果は、食品関連の分野では有用である。本発明のエタノール製剤を適用する対象物としては、特に制限されるものではないが、安全性の観点から食品、食品加工設備、食器又は調理器具に適用することが好適であり、有効である。
本発明のエタノール製剤は、バイオフィルム形成に関わる微生物の種類やその種類数は特に限定されるものではないが、アシネトバクター属に代表されるグラム陰性菌が形成するバイオフィルムの形成抑制に好適にである。アシネトバクター属に代表されるグラム陰性菌は食品加工現場等の湿潤環境においてバイオフィルムを形成し、バイオフィルム形成により殺菌不良を引き起こし、衛生上の問題や健康上の問題に結びつくことが懸念される。
本発明のエタノール製剤の対象物への適用方法は、常温(25℃)で、スプレー、塗布、浸漬等により対象物に接触させることが好ましい。また、接触後洗い流さず滞留させることが好ましい。
<実施例1及び比較例1>
表1に記載のサポニンを含有する植物抽出物について、下記の方法でバイオフィルム形成抑制率を求めた。
表1に記載のサポニンを含有する植物抽出物について、下記の方法でバイオフィルム形成抑制率を求めた。
・実験方法
96ウェルプレート(ファルコン社製)に、培地、ジメチルスルホキシド、及びサポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤を、培地混合物中(ウェルプレート中の混合物中の意味である、以下同様)のサポニンを含有する植物抽出物の濃度が表1に記載の数値になるように添加した。ここで、培地は、Mueller Hinton Broth(Becton Dickinson社製)とTryptic Soy Broth(Becton Dickinson社製)を1:1の体積比で混合し、2mM CaCl2を添加したものを用いた。また、ジメチルスルホキシドは、ウェル中の濃度が5体積%となるように添加した。また、エタノール製剤は、エタノールと水の体積比が1:1である混合溶媒に、表1の植物由来のサポニンを、サポニンの濃度が1.0g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。その後、ウェルプレートに分配した培地とエタノール製剤の合計量150μL(1ウェルあたりの合計量)に対して、アシネトバクターバウマニ(Acinetobactor baumannii)を108Cell播種し、20時間37℃で培養を行った。培養液を取り除き、イオン交換水で洗浄した後、0.1%クリスタルバイオレット(和光純薬工業株式会社)で染色を行い、再度イオン交換水で洗浄した後、エタノールで色素を抽出し、570nmでの吸光度を測定し、バイオフィルム量とした。下記の式に従いバイオフィルム形成抑制率を算出した。結果を表1に示す。
96ウェルプレート(ファルコン社製)に、培地、ジメチルスルホキシド、及びサポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤を、培地混合物中(ウェルプレート中の混合物中の意味である、以下同様)のサポニンを含有する植物抽出物の濃度が表1に記載の数値になるように添加した。ここで、培地は、Mueller Hinton Broth(Becton Dickinson社製)とTryptic Soy Broth(Becton Dickinson社製)を1:1の体積比で混合し、2mM CaCl2を添加したものを用いた。また、ジメチルスルホキシドは、ウェル中の濃度が5体積%となるように添加した。また、エタノール製剤は、エタノールと水の体積比が1:1である混合溶媒に、表1の植物由来のサポニンを、サポニンの濃度が1.0g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。その後、ウェルプレートに分配した培地とエタノール製剤の合計量150μL(1ウェルあたりの合計量)に対して、アシネトバクターバウマニ(Acinetobactor baumannii)を108Cell播種し、20時間37℃で培養を行った。培養液を取り除き、イオン交換水で洗浄した後、0.1%クリスタルバイオレット(和光純薬工業株式会社)で染色を行い、再度イオン交換水で洗浄した後、エタノールで色素を抽出し、570nmでの吸光度を測定し、バイオフィルム量とした。下記の式に従いバイオフィルム形成抑制率を算出した。結果を表1に示す。
バイオフィルム形成抑制率(%)=100×(An−As)/An
式中、
As:サンプル吸光度
An:ネガティブコントロール*吸光度
*ネガティブコントロールは、対応する実施例又は比較例において、サポニンを含有する植物抽出物の代わりに同量の水を用いて測定したものである。
式中、
As:サンプル吸光度
An:ネガティブコントロール*吸光度
*ネガティブコントロールは、対応する実施例又は比較例において、サポニンを含有する植物抽出物の代わりに同量の水を用いて測定したものである。
以下に、実施例1及び比較例1で使用したサポニンを含有する植物抽出物についての説明を記載する。尚、ある植物X(Xは植物名)から抽出したサポニンを含有する植物抽出物をXサポニン(Xは植物名)と呼ぶ。即ち、例えば、キラヤから抽出したサポニンを含有する植物抽出物のことをキラヤサポニンと呼ぶ。また、植物抽出物中のサポニン含有程度を1H−NMR及び13C−NMRにより分析した結果を下記の様に記載する。
[サポニンの含有程度]
A:サポニンのアグリコン及び糖鎖に由来するピークを主に観測したことから、サポニンが主たる構成成分であると判断した。
B:サポニンのアグリコン及び糖鎖に由来するピークを他の成分由来のピークと共に検出したので、サポニンが構成成分として含まれていると判断した。
A:サポニンのアグリコン及び糖鎖に由来するピークを主に観測したことから、サポニンが主たる構成成分であると判断した。
B:サポニンのアグリコン及び糖鎖に由来するピークを他の成分由来のピークと共に検出したので、サポニンが構成成分として含まれていると判断した。
・実施例で用いたサポニンを含有する植物抽出物
キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、甘草からそれぞれ抽出されたサポニンを含有する植物抽出物
キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、甘草からそれぞれ抽出されたサポニンを含有する植物抽出物
・比較例で用いたサポニンを含有する植物抽出物
キノア、ショウマ、ユッカ葉、サルサパリラ、赤小豆、扁豆、ナツメからそれぞれ抽出されたサポニンを含有する植物抽出物
キノア、ショウマ、ユッカ葉、サルサパリラ、赤小豆、扁豆、ナツメからそれぞれ抽出されたサポニンを含有する植物抽出物
(実施例)
・キラヤ:次の方法により抽出したキラヤサポニン
キラヤニンS-100(丸善製薬株式会社製、バラ科キラヤ科のキラヤQuillaja saponaria Molより調製したサポニンを含有)10.5gをとり、減圧下、溶媒を留去、乾燥させて抽出固形物を得た。得られた抽出固形物に水500mLおよび水飽和n-ブタノール500mLを加え、分液ロートで振り混ぜた後静置し、分層させた。このうち上層をとり、減圧下、溶媒を留去した。得られた粗サポニンに対し、固形分量1gあたり100mLのアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌してろ過した。ろ紙に残った固形物を乾燥させ、キラヤサポニン0.5gを得た。
サポニン含有程度:A
・キラヤ:次の方法により抽出したキラヤサポニン
キラヤニンS-100(丸善製薬株式会社製、バラ科キラヤ科のキラヤQuillaja saponaria Molより調製したサポニンを含有)10.5gをとり、減圧下、溶媒を留去、乾燥させて抽出固形物を得た。得られた抽出固形物に水500mLおよび水飽和n-ブタノール500mLを加え、分液ロートで振り混ぜた後静置し、分層させた。このうち上層をとり、減圧下、溶媒を留去した。得られた粗サポニンに対し、固形分量1gあたり100mLのアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌してろ過した。ろ紙に残った固形物を乾燥させ、キラヤサポニン0.5gを得た。
サポニン含有程度:A
・茶種子:茶種子サポニン(上海地源食品有限公司製) サポニン含有量 75質量%以上(メーカー報告値) サポニン含有程度:A
・大豆:大豆サポニン(ソイヘルスSA 不二製油製) サポニン含有量 52質量%(メーカー報告値) サポニン含有程度:A
キラヤ、茶種子、大豆以外のサポニンを含有する植物抽出物は、新和物産株式会社より購入した原料生薬から次の抽出方法により得た。それぞれのサポニンを含有する植物抽出物について、原料生薬と抽出されたサポニンを含有する植物抽出物の量を下記に記載する。
(サポニンを含有する植物抽出物の調製方法)
乾燥した原料生薬100gをとり、これを粉砕または細断した後、80%エタノール1Lを加え、25℃にて10日間抽出を行った後ろ過した。減圧下、溶媒を留去、乾燥させて抽出固形物を得た。得られた抽出固形物に水500mLおよび水飽和n-ブタノール500mLを加え、分液ロートで振り混ぜた後静置し、分層させた。このうち上層をとり、減圧下、溶媒を留去した。得られた粗サポニンに対し、固形分量1gあたり100mLのアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌してろ過した。ろ紙に残った固形物を乾燥させ、それぞれのサポニンを含有する植物抽出物を得た。
乾燥した原料生薬100gをとり、これを粉砕または細断した後、80%エタノール1Lを加え、25℃にて10日間抽出を行った後ろ過した。減圧下、溶媒を留去、乾燥させて抽出固形物を得た。得られた抽出固形物に水500mLおよび水飽和n-ブタノール500mLを加え、分液ロートで振り混ぜた後静置し、分層させた。このうち上層をとり、減圧下、溶媒を留去した。得られた粗サポニンに対し、固形分量1gあたり100mLのアセトンを加え、25℃にて30分間撹拌してろ過した。ろ紙に残った固形物を乾燥させ、それぞれのサポニンを含有する植物抽出物を得た。
・ザボンソウ:
原料生薬:ナデシコ科ザボンソウ属のSaponaria officinalis(ザボンソウ)の根
得られたザボンソウサポニンの量: 0.6g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ナデシコ科ザボンソウ属のSaponaria officinalis(ザボンソウ)の根
得られたザボンソウサポニンの量: 0.6g
サポニン含有程度:A
・ソウキョウ:
原料生薬:マメ科サイカチ属のGleditsia sinensis Lam.(シナサイカチ)の奇形果実
得られたソウキョウサポニンの量: 4.3g
サポニン含有程度:A
原料生薬:マメ科サイカチ属のGleditsia sinensis Lam.(シナサイカチ)の奇形果実
得られたソウキョウサポニンの量: 4.3g
サポニン含有程度:A
・セネガ:
原料生薬:ヒメハギ科ヒメハギ属のPolygala senega(セネガ)の根
得られたセネガサポニンの量: 1.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ヒメハギ科ヒメハギ属のPolygala senega(セネガ)の根
得られたセネガサポニンの量: 1.0g
サポニン含有程度:A
・オンジ:
原料生薬:ヒメハギ科ヒメハギ属のPolygala tenuifolia(イトヒメハギ)の根
得られたオンジサポニンの量: 0.6g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ヒメハギ科ヒメハギ属のPolygala tenuifolia(イトヒメハギ)の根
得られたオンジサポニンの量: 0.6g
サポニン含有程度:A
・威霊仙:
原料生薬:キンポウゲ科センニンソウ属のClematis chinensis(センニンソウ)の根
得られた威霊仙サポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
原料生薬:キンポウゲ科センニンソウ属のClematis chinensis(センニンソウ)の根
得られた威霊仙サポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
・白頭翁:
原料生薬:キンポウゲ科オキナグサ属のPulsatilla chinensis(オキナグサ)の根
得られた白頭翁サポニンの量: 4.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:キンポウゲ科オキナグサ属のPulsatilla chinensis(オキナグサ)の根
得られた白頭翁サポニンの量: 4.0g
サポニン含有程度:A
・キキョウ:
原料生薬:キキョウ科キキョウ属のPlatycodon grandiflorum(キキョウ)の根
得られたキキョウサポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
原料生薬:キキョウ科キキョウ属のPlatycodon grandiflorum(キキョウ)の根
得られたキキョウサポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
・ラカンカ:
原料生薬:ウリ科ラカンカ属のMomordica grosvenori(ラカンカ)の果実
得られたラカンカサポニンの量: 1.2g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ウリ科ラカンカ属のMomordica grosvenori(ラカンカ)の果実
得られたラカンカサポニンの量: 1.2g
サポニン含有程度:A
・ウチワドコロ:
原料生薬:ヤマノイモ科ヤマノイモ属のDioscorea nipponica Makino(ウチワドコロ)の地下茎
得られたウチワドコロサポニンの量: 2.9g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ヤマノイモ科ヤマノイモ属のDioscorea nipponica Makino(ウチワドコロ)の地下茎
得られたウチワドコロサポニンの量: 2.9g
サポニン含有程度:A
・シャタバリ:
原料生薬:ユリ科クサスギカヅラ属のAsparagus racemosus(シャタバリ)の根
得られたシャタバリサポニンの量: 2.7g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ユリ科クサスギカヅラ属のAsparagus racemosus(シャタバリ)の根
得られたシャタバリサポニンの量: 2.7g
サポニン含有程度:A
・コロハ:
原料生薬:マメ科フェヌグリーク属のTrigonella foenum-graecum L.(コロハ)の種子
得られたコロハサポニンの量: 3.7g
サポニン含有程度:A
原料生薬:マメ科フェヌグリーク属のTrigonella foenum-graecum L.(コロハ)の種子
得られたコロハサポニンの量: 3.7g
サポニン含有程度:A
・マロニエ:
原料生薬:トチノキ科トチノキ属のAesculus hippocastanum L.(セイヨウトチノキ)の種子
得られたマロニエサポニンの量: 6.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:トチノキ科トチノキ属のAesculus hippocastanum L.(セイヨウトチノキ)の種子
得られたマロニエサポニンの量: 6.0g
サポニン含有程度:A
・セイヨウウマノミツバ:
原料生薬:セリ科ウマノミツバ属のSanicula europaea(セイヨウウマノミツバ)の葉
得られたセイヨウウマノミツバサポニンの量: 3.1g
サポニン含有程度:A
原料生薬:セリ科ウマノミツバ属のSanicula europaea(セイヨウウマノミツバ)の葉
得られたセイヨウウマノミツバサポニンの量: 3.1g
サポニン含有程度:A
・ツボクサ:
原料生薬:セリ科ツボクサ属のCentella asiatica(ツボクサ)の全草
得られたツボクササポニンの量: 3.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:セリ科ツボクサ属のCentella asiatica(ツボクサ)の全草
得られたツボクササポニンの量: 3.0g
サポニン含有程度:A
・サンキライ:
原料生薬:サルトリイバラ科シオデ属のSmilax china(サンキライ)の根
得られたサンキライサポニンの量: 1.3g
サポニン含有程度:A
原料生薬:サルトリイバラ科シオデ属のSmilax china(サンキライ)の根
得られたサンキライサポニンの量: 1.3g
サポニン含有程度:A
・天門冬:
原料生薬:ユリ科クサスギカヅラ属のAsparagus cochinchinensis(クサスギカヅラ)の根
得られた天門冬サポニンの量: 0.2g
サポニン含有程度:B
原料生薬:ユリ科クサスギカヅラ属のAsparagus cochinchinensis(クサスギカヅラ)の根
得られた天門冬サポニンの量: 0.2g
サポニン含有程度:B
・マドンナリリー:
原料生薬:ユリ科ユリ属のLilium candidum(マドンナリリー)の根茎
得られたマドンナリリーサポニンの量: 0.4g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ユリ科ユリ属のLilium candidum(マドンナリリー)の根茎
得られたマドンナリリーサポニンの量: 0.4g
サポニン含有程度:A
・ブッチャーブルーム:
原料生薬:ユリ科ナギイカダ属のRuscus aculeatus L.(ブッチャーブルーム)の根茎
得られたブッチャーブルームサポニンの量: 1.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ユリ科ナギイカダ属のRuscus aculeatus L.(ブッチャーブルーム)の根茎
得られたブッチャーブルームサポニンの量: 1.0g
サポニン含有程度:A
・ムクロジ:
原料生薬:ムクロジ科ムクロジ属の無患子(ムクロジ)Sapindus mukurossiの果実
得られたムクロジサポニンの量: 3.4g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ムクロジ科ムクロジ属の無患子(ムクロジ)Sapindus mukurossiの果実
得られたムクロジサポニンの量: 3.4g
サポニン含有程度:A
・シカカイ:
原料生薬:マメ科アカシア属のAcacia concinna(シカカイ)の根
得られたシカカイサポニンの量: 4.7g
サポニン含有程度:A
原料生薬:マメ科アカシア属のAcacia concinna(シカカイ)の根
得られたシカカイサポニンの量: 4.7g
サポニン含有程度:A
・ゴシツ:
原料生薬:ヒユ科イノコヅチ属のAchyranthes bidentata(トウイノコヅチ)の根
得られたゴシツサポニンの量: 2.5g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ヒユ科イノコヅチ属のAchyranthes bidentata(トウイノコヅチ)の根
得られたゴシツサポニンの量: 2.5g
サポニン含有程度:A
・サイコ:
原料生薬:セリ科ミシマサイコ属のBupleurum falcatum L.(ミシマサイコ)の根
得られたサイコサポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
原料生薬:セリ科ミシマサイコ属のBupleurum falcatum L.(ミシマサイコ)の根
得られたサイコサポニンの量: 1.1g
サポニン含有程度:A
・ギムネマ:
原料生薬:ガガイモ科ホウライアオカヅラ属のGymnema sylvestra(ギムネマ)の葉
得られたギムネマサポニンの量: 5.2g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ガガイモ科ホウライアオカヅラ属のGymnema sylvestra(ギムネマ)の葉
得られたギムネマサポニンの量: 5.2g
サポニン含有程度:A
・トンブリ:
原料生薬:アカザ科ホウキギ属のKochia scoparia(トンブリ)の実
得られたトンブリサポニンの量: 0.7g
サポニン含有程度:A
原料生薬:アカザ科ホウキギ属のKochia scoparia(トンブリ)の実
得られたトンブリサポニンの量: 0.7g
サポニン含有程度:A
・オウギ:
原料生薬:マメ科ゲンゲ属のAstragalus membranaceus(オウギ)の根
得られたオウギサポニンの量: 0.3g
サポニン含有程度:A
原料生薬:マメ科ゲンゲ属のAstragalus membranaceus(オウギ)の根
得られたオウギサポニンの量: 0.3g
サポニン含有程度:A
・ツキヌキサイコ:
原料生薬:セリ科ミシマサイコ属のBupleurum rotundifolium(ツキヌキサイコ)の根
得られたツキヌキサイコサポニンの量: 1.4g
サポニン含有程度:A
原料生薬:セリ科ミシマサイコ属のBupleurum rotundifolium(ツキヌキサイコ)の根
得られたツキヌキサイコサポニンの量: 1.4g
サポニン含有程度:A
・知母:
原料生薬:ユリ科ハナスゲ属のAnemarrhena asphodeloides(ハナスゲ)の根
得られた知母サポニンの量: 1.5g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ユリ科ハナスゲ属のAnemarrhena asphodeloides(ハナスゲ)の根
得られた知母サポニンの量: 1.5g
サポニン含有程度:A
・三七人参:
原料生薬:ウコギ科トチバニンジン属のPanax notoginseng(三七人参)の根
得られた三七人参サポニンの量: 2.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ウコギ科トチバニンジン属のPanax notoginseng(三七人参)の根
得られた三七人参サポニンの量: 2.0g
サポニン含有程度:A
・朝鮮人参:
原料生薬:ウコギ科トチバニンジン属のPanax ginseng(オタネニンジン)の根
得られた朝鮮人参サポニンの量: 2.0g
サポニン含有程度:A
原料生薬:ウコギ科トチバニンジン属のPanax ginseng(オタネニンジン)の根
得られた朝鮮人参サポニンの量: 2.0g
サポニン含有程度:A
・木通:
原料生薬:アケビ科アケビ属のAkebia quinata(アケビ)の根
得られた木通サポニンの量: 0.57g
サポニン含有程度:A
原料生薬:アケビ科アケビ属のAkebia quinata(アケビ)の根
得られた木通サポニンの量: 0.57g
サポニン含有程度:A
・続断:
原料生薬:マツムシソウ科ナベナ属のDipsacus asper(トウナベナ)の根
得られた続断サポニンの量: 5.7g
サポニン含有程度:A
原料生薬:マツムシソウ科ナベナ属のDipsacus asper(トウナベナ)の根
得られた続断サポニンの量: 5.7g
サポニン含有程度:A
・甘草:
原料生薬:マメ科カンゾウ属のGlycyrrhiza uralensis(カンゾウ)の根
得られた甘草サポニンの量: 2.3g
サポニン含有程度:B
原料生薬:マメ科カンゾウ属のGlycyrrhiza uralensis(カンゾウ)の根
得られた甘草サポニンの量: 2.3g
サポニン含有程度:B
(比較例)
・キノア:
原料生薬:アカザ科アカザ属のChenopodium quinoa(キノア)の種子
得られたキノアサポニンの量: 0.7g
サポニン含有程度:A
・キノア:
原料生薬:アカザ科アカザ属のChenopodium quinoa(キノア)の種子
得られたキノアサポニンの量: 0.7g
サポニン含有程度:A
・ショウマ:
原料生薬:キンポウゲ科ショウマ属の升麻(ショウマ)Cimicifuga foetidaの根茎
得られたショウマサポニンの量: 6.1g
サポニン含有程度:A
原料生薬:キンポウゲ科ショウマ属の升麻(ショウマ)Cimicifuga foetidaの根茎
得られたショウマサポニンの量: 6.1g
サポニン含有程度:A
・ユッカ葉:
原料生薬:リュウゼツラン科ユッカ属のYucca filamentosa(ユッカ)の葉
得られたユッカ葉サポニンの量: 2.5g
サポニン含有程度:A
原料生薬:リュウゼツラン科ユッカ属のYucca filamentosa(ユッカ)の葉
得られたユッカ葉サポニンの量: 2.5g
サポニン含有程度:A
・サルサパリラ:
原料生薬:サルトリイバラ科シオデ属のSmilax offinaris(サルサパリラ)の根
得られたサルサパリラサポニンの量: 0.29g
サポニン含有程度:B
原料生薬:サルトリイバラ科シオデ属のSmilax offinaris(サルサパリラ)の根
得られたサルサパリラサポニンの量: 0.29g
サポニン含有程度:B
・赤小豆:
原料生薬:マメ科インゲンマメ属のVigra angularis(アズキ)の種子
得られた赤小豆サポニンの量: 1.6g
サポニン含有程度:B
原料生薬:マメ科インゲンマメ属のVigra angularis(アズキ)の種子
得られた赤小豆サポニンの量: 1.6g
サポニン含有程度:B
・扁豆:
原料生薬:マメ科フジマメ属のDolichos lablab L.(フジマメ)の種子
得られた扁豆サポニンの量: 1.2g
サポニン含有程度:B
原料生薬:マメ科フジマメ属のDolichos lablab L.(フジマメ)の種子
得られた扁豆サポニンの量: 1.2g
サポニン含有程度:B
・ナツメ:
原料生薬:クロウメモドキ科ナツメ属のZizyphus jujuba Mill. var. spinosa(ナツメ)の種子
得られたナツメサポニンの量: 1.3g
サポニン含有程度:A
原料生薬:クロウメモドキ科ナツメ属のZizyphus jujuba Mill. var. spinosa(ナツメ)の種子
得られたナツメサポニンの量: 1.3g
サポニン含有程度:A
<実施例2>
表2に記載のサポニンを含有する植物抽出物、カプリン酸モノグリセリド及びエタノールを用いて、下記の方法でバイオフィルム形成抑制率を求めた。
表2に記載のサポニンを含有する植物抽出物、カプリン酸モノグリセリド及びエタノールを用いて、下記の方法でバイオフィルム形成抑制率を求めた。
・実験方法
96ウェルプレート(ファルコン社製)に、培地と、サポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤と、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液とを、培地混合物中のサポニンを含有する植物抽出物の濃度、カプリン酸モノグリセリドの濃度、エタノールの濃度が表2に記載の数値になるように添加した。エタノールの体積%は、前記エタノール製剤と前記エタノール溶液とから取り込まれるエタノールの量に基づく。ここで、培地は、Mueller Hinton Broth(Becton Dickinson社製)とTryptic Soy Broth(Becton Dickinson社製)を1:1の体積比で混合し、2mM CaCl2を添加したものを用いた。また、エタノール製剤は、エタノールと水の体積比が1:1である混合溶媒に、表2のサポニンを含有する植物抽出物を、その濃度が1.0g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。また、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液は、エタノール:水の体積比が30:70である混合溶媒に、カプリン酸モノグリセリドを、その濃度が0.005g/100mL又は0.05g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。培地混合物150μLは、サポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤7.5μLと、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液30μLと、残部(112.5μL)の培地とを混合して調製された。
96ウェルプレート(ファルコン社製)に、培地と、サポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤と、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液とを、培地混合物中のサポニンを含有する植物抽出物の濃度、カプリン酸モノグリセリドの濃度、エタノールの濃度が表2に記載の数値になるように添加した。エタノールの体積%は、前記エタノール製剤と前記エタノール溶液とから取り込まれるエタノールの量に基づく。ここで、培地は、Mueller Hinton Broth(Becton Dickinson社製)とTryptic Soy Broth(Becton Dickinson社製)を1:1の体積比で混合し、2mM CaCl2を添加したものを用いた。また、エタノール製剤は、エタノールと水の体積比が1:1である混合溶媒に、表2のサポニンを含有する植物抽出物を、その濃度が1.0g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。また、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液は、エタノール:水の体積比が30:70である混合溶媒に、カプリン酸モノグリセリドを、その濃度が0.005g/100mL又は0.05g/100mLとなるように添加して得たものを用いた。培地混合物150μLは、サポニンを含有する植物抽出物を含有するエタノール製剤7.5μLと、カプリン酸モノグリセリドを含有するエタノール溶液30μLと、残部(112.5μL)の培地とを混合して調製された。
ウェルプレートに分配した培地混合物の合計量150μL(1ウェルあたりの合計量)に対して、アシネトバクターバウマニを108Cell播種し、20時間30℃で培養を行った。培養液を取り除き、イオン交換水で洗浄した後、0.1%クリスタルバイオレット(和光純薬工業株式会社)で染色を行い、再度イオン交換水で洗浄した後、エタノールで色素を抽出し、570nmでの吸光度を測定し、バイオフィルム量とした。下記の式に従いバイオフィルム形成抑制率を算出した。結果を表2に示す。
バイオフィルム形成抑制率(%)=100×(An−As)/An
式中、
As:サンプル吸光度
An:ネガティブコントロール*吸光度
*ネガティブコントロールは、対応する実施例又は比較例において、サポニンを含有する植物抽出物の代わりに同量の水を、また、カプリン酸モノグリセリドの代わりに同量の水を用いて測定したものである。
式中、
As:サンプル吸光度
An:ネガティブコントロール*吸光度
*ネガティブコントロールは、対応する実施例又は比較例において、サポニンを含有する植物抽出物の代わりに同量の水を、また、カプリン酸モノグリセリドの代わりに同量の水を用いて測定したものである。
なお、実施例2、比較例2は、実際の食品加工又は調理の場面での使用方法を想定して、水で濡れた表面にエタノール製剤を適用する方法をモデル化して行ったものである。上記の実験方法は、アシネトバクターバウマニと接触させた培地混合物中のエタノール濃度が8.5体積%であり、これは、エタノールを60体積%含有するエタノール製剤が約7倍に希釈される場合に相当する。
以下に、実施例2及び比較例2で使用した薬剤についての説明を記載する。
・キラヤサポニン(実施例1のキラヤの項記載のキラヤサポニンに同じ)
・ソウキョウサポニン(実施例1のソウキョウの項記載のソウキョウサポニンに同じ)
・大豆サポニン:ソイヘルスSA(不二製油製) サポニン含有量 52質量%(メーカー報告値) サポニン含有程度:A
・ムクロジサポニン(実施例1のムクロジの項記載のムクロジサポニンに同じ)
・ユッカ葉サポニン(比較例1のユッカ葉の項記載のユッカ葉サポニンに同じ)
・エタノール:試薬
・カプリン酸モノグリセリド:モノカプリン(東京化成工業株式会社製)
・キラヤサポニン(実施例1のキラヤの項記載のキラヤサポニンに同じ)
・ソウキョウサポニン(実施例1のソウキョウの項記載のソウキョウサポニンに同じ)
・大豆サポニン:ソイヘルスSA(不二製油製) サポニン含有量 52質量%(メーカー報告値) サポニン含有程度:A
・ムクロジサポニン(実施例1のムクロジの項記載のムクロジサポニンに同じ)
・ユッカ葉サポニン(比較例1のユッカ葉の項記載のユッカ葉サポニンに同じ)
・エタノール:試薬
・カプリン酸モノグリセリド:モノカプリン(東京化成工業株式会社製)
Claims (6)
- キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出される1種又は2種以上のサポニンを含有するバイオフィルム形成抑制剤。
- キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物を含有するバイオフィルム形成抑制剤。
- キラヤ、ザボンソウ、ソウキョウ、セネガ、オンジ、茶種子、威霊仙、白頭翁、キキョウ、ラカンカ、ウチワドコロ、シャタバリ、コロハ、大豆、マロニエ、セイヨウウマノミツバ、ツボクサ、サンキライ、天門冬、マドンナリリー、ブッチャーブルーム、ムクロジ、シカカイ、ゴシツ、サイコ、ギムネマ、トンブリ、オウギ、ツキヌキサイコ、知母、三七人参、朝鮮人参、木通、続断、及び、甘草からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物から抽出され、1種又は2種以上のサポニンを含有する植物抽出物を0.01g/100mL以上、1g/100mL以下、並びに、エタノールを10体積%以上、99体積%以下含有するエタノール製剤。
- 更に、炭素数8以上、12以下の脂肪酸鎖長を有する脂肪酸モノグリセリドを0.01g/100mL以上、1g/100mL以下含有する、請求項3記載のエタノール製剤。
- 請求項1又は2記載のバイオフィルム形成抑制剤を対象物に適用するバイオフィルム形成抑制方法。
- 請求項3又は4記載のエタノール製剤を対象物に適用するバイオフィルム形成抑制方法。
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