以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
図1は、本発明に係る無線通信システムの概略図である。この無線通信システムは、マクロ基地局(マクロeNodeB(evolved Node B))100と、ピコ基地局(ピコeNodeB)200とを備える。
マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ端末300は所定の無線アクセス技術(Radio Access Technology)、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)におけるLTE(Long Term Evolution)に従って無線通信を行う。本実施の形態では、無線通信システムがLTEに従って動作するが、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、必要な設計上の変更を施した上で、他の無線アクセス技術(例えば、IEEE 802.16に規定されるWiMAX)にも適用可能である。
マクロ基地局(大電力無線基地局)100とピコ基地局(小電力無線基地局)200とは有線または無線にて相互に接続される。マクロ基地局100はマクロセル(第1のセル)Cmを形成し、各ピコ基地局200はピコセル(第2のセル)Cpを形成する。ピコセルCpは、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200に接続されたマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されるセルである。1つのマクロセルCm内には、複数のピコセルCpが形成され得る。
各無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)は、その基地局自身のセルに在圏するユーザ端末(UE、User Equipment)300と無線通信が可能である。逆に言うと、ユーザ端末300は、ユーザ端末300自身が在圏するセル(マクロセルCm,ピコセルCp)に対応する基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信が可能である。
マクロ基地局100はピコ基地局200と比較して無線送信能力(最大送信電力,平均送信電力等)が高いので、より遠くに位置するユーザ端末300と無線通信可能である。したがって、マクロセルCmはピコセルCpよりも面積が大きい。例えば、マクロセルCmは半径数百メートルから数十キロメートル程度の大きさであり、ピコセルCpは半径数メートルから数十メートル程度の大きさである。
以上の説明から理解されるように、無線通信システム内のマクロ基地局100およびピコ基地局200は、送信電力(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局が重層的に設置されたヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network,HetNet)を構成する。
ピコセルCpがマクロセルCmの内部に重層的に形成される(オーバレイされる)ことを考慮すると、ユーザ端末300がピコセルCp内に在圏する場合、そのユーザ端末300は、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200と、そのピコセルCpを包含するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100との少なくともいずれか一方と無線通信が可能であると理解できる。
各基地局とユーザ端末300との間の無線通信の方式は任意である。例えば、下りリンクではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、上りリンクではSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されてもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るユーザ端末300の構成を示すブロック図である。ユーザ端末300は、少なくとも1つの送受信アンテナ312、無線通信部310、信号分離部320、制御信号復調部330、データ信号復調部332、受信品質測定部334、受信品質補正部336、受信品質報告部338およびSC−FDMA変調部340を備える。図6において、音声・映像等を出力する出力装置およびユーザからの指示を受け付ける入力装置等の図示は省略されている。図6に示すように、ユーザ端末300は複数の送受信アンテナ312を有するが、少なくとも1つの受信専用のアンテナと少なくとも1つの送信専用のアンテナを有していてもよい。
無線通信部310は、無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信を実行するための要素であり、無線基地局から送受信アンテナ312で受信された電波を電気信号に変換する受信回路(図示せず)と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送受信アンテナ312で送信する送信回路(図示せず)とを含む。無線通信部310は、ユーザ端末300が在圏するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100またはピコセルCpを形成するピコ基地局200から、接続先セル情報を受信する。接続先セル情報は、ユーザ端末300が接続すべき無線基地局(マクロ基地局100またはピコ基地局200)を指定する情報である。接続先セル情報に従って、ユーザ端末300はその接続先の無線基地局と通信する。
信号分離部320、制御信号復調部330、データ信号復調部332、受信品質測定部334、受信品質補正部336、受信品質報告部338およびSC−FDMA変調部340は、ユーザ端末300内の図示しないCPU(Central Processing Unit)が、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
信号分離部320は、無線通信部310で処理された信号から当該ユーザ端末300宛の信号を選択し、さらにそれらの信号を制御信号、データ信号および参照信号に分離する。制御信号復調部330は制御信号を復調する。データ信号復調部332は、復調された制御信号を参照して、データ信号の送信に利用されたリソースを識別して、データ信号を復調する。受信品質測定部334は、参照信号に基づいて受信品質測定を行う。受信品質測定部334は、当該ユーザ端末300が接続される所望無線基地局からの参照信号の品質を測定するだけでなく、所望無線基地局の周辺にある周辺無線基地局からの参照信号の品質も測定する。受信品質測定部334、受信品質補正部336および受信品質報告部338の機能の詳細は後述される。
SC−FDMA変調部340は、ユーザ端末300からSC-FDMAで上りリンク信号を送信するために必要な各種の処理を行い、処理された信号を無線送信部72に供給する。無線基地局は、各ユーザ端末300に上りリンクのスケジューリングを制御信号で通知する。制御信号復調部330で復調された制御信号に示された上りリンクのスケジューリングに指示されたリソースによって各種の上りリンクの信号が送信されるように、SC−FDMA変調部340は上りリンクの信号を制御する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。マクロ基地局100は、少なくとも1つの送受信アンテナ112、無線通信部110、基地局間通信部120、および制御部130を備える。図7に示すように、マクロ基地局100は複数の送受信アンテナ112を有するが、少なくとも1つの受信専用のアンテナと少なくとも1つの送信専用のアンテナを有していてもよい。
無線通信部110は、ユーザ端末300と無線通信を実行するための要素であり、ユーザ端末300から送受信アンテナ112で受信された電波を電気信号に変換する受信回路(図示せず)と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送受信アンテナ112で送信する送信回路(図示せず)とを含む。無線通信部110は、マクロ基地局100に在圏する各ユーザ端末300に接続先セル情報を示す無線信号を送信する。
基地局間通信部120は、他の無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と通信を実行するための要素であり、他の無線基地局と電気信号を送受信する。基地局間通信には、有線通信が利用されるが、無線通信を利用してもよい。
制御部130は、接続先選択部134、第1のユーザ端末分類部136、および上りリンクスケジューラ(上りリンクリソース割り当て部、上りリンクリソース通知部)138を要素として内包する。制御部130ならびに制御部130が内包する要素は、マクロ基地局100内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。制御部130の動作の詳細は後述される。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係るピコ基地局200の構成を示すブロック図である。ピコ基地局200は、少なくとも1つの送受信アンテナ212、無線通信部210、基地局間通信部220および制御部230を備える。図8に示すように、ピコ基地局200は複数の送受信アンテナ212を有するが、少なくとも1つの受信専用のアンテナと少なくとも1つの送信専用のアンテナを有していてもよい。
無線通信部210は、ユーザ端末300と無線通信を実行するための要素であり、ユーザ端末300から送受信アンテナ212で受信された電波を電気信号に変換する受信回路(図示せず)と、電気信号を電波に変換して送受信アンテナ212で送信する送信回路(図示せず)とを含む。
基地局間通信部220は、ピコ基地局200自身が接続されるマクロ基地局100および他の無線基地局と通信を実行するための要素であり、マクロ基地局100および他の無線基地局と電気信号を送受信する。基地局間通信には、有線通信が利用されるが、無線通信を利用してもよい。
ピコ基地局200の制御部230は、接続先選択部234、第2のユーザ端末分類部236、および上りリンクスケジューラ(上りリンクリソース割り当て部、上りリンクリソース通知部)238を要素として内包する。ピコ基地局200の制御部230ならびに制御部230が内包する要素は、ピコ基地局200内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。制御部230の動作の詳細は後述される。
この無線通信システムで使用されるセルレンジエクスパンション(CRE)を説明する。ユーザ端末300の各々の受信品質測定部334は、電波の受信品質として、そのユーザ端末300が接続されている所望無線基地局から受信する電波の受信電力(例えば、参照信号受信電力。Reference Signal Received Power,RSRP)と、そのユーザ端末300が接続されていない無線基地局から受信する電波の受信電力(例えば、参照信号受信電力)を測定する。ヘテロジーニアスネットワークにおいては、受信品質測定部334は、マクロ基地局100から受信した電波の受信電力とピコ基地局200から受信した電波の受信電力を測定する。マクロ基地局100が所望無線基地局か否かを問わず、マクロ基地局100からの電波の受信電力値を第1受信電力値R1とし、ピコ基地局200が所望無線基地局か否かを問わず、ピコ基地局200からの電波の受信電力値を第2受信電力値R2とする。
ユーザ端末300の各々の受信品質補正部336は、ピコ基地局200からの電波の第2受信電力値R2を所定のオフセット値(バイアス値)αを用いて増加させる。例えば、R2にαを単純に加算してもよいし、R2にαをデシベルで加算してもよい。いずれにせよ、この処理により、ピコ基地局200からの電波の受信品質が見かけの上で向上させられる。このように補正された第2受信電力値R2を補正された第2受信電力値(R2+α)と呼ぶ。オフセット値αは例えばユーザ端末300の図示しない記憶部に記憶されている。
ユーザ端末300の受信品質報告部338は、第1受信電力値R1と、補正された第2受信電力値(R2+α)とを含む受信電力結果報告を示す信号を、無線通信部310を介して所望無線基地局(マクロ基地局100またはピコ基地局200)に送信する。
ユーザ端末300の所望無線基地局がマクロ基地局100である場合、受信電力結果報告を示す信号は、マクロ基地局100の無線通信部110で受信される。マクロ基地局100の接続先選択部134は、各ユーザ端末300の受信電力結果報告に基づいて、そのユーザ端末300が接続すべき無線基地局を選択する。この時、接続先選択部134は、最も高い受信電力を示す受信電力値(すなわち、最も良好な受信品質を示す受信品質値)に対応する無線基地局をそのユーザ端末300が接続すべき無線基地局として選択する。具体的には、あるユーザ端末300について、第1受信電力値R1が補正された第2受信電力値(R2+α)より大きい場合には、接続先選択部134は、マクロ基地局100をユーザ端末300の接続先として選択する。あるユーザ端末300について、第1受信電力値R1よりも補正された第2受信電力値(R2+α)が大きい場合には、接続先選択部134は、ピコ基地局200をユーザ端末300の接続先として選択する。
接続先選択部134は、選択した無線接続先を示す接続先セル情報をマクロ基地局100に接続されているユーザ端末300に通知する。また、接続先選択部134は、ユーザ端末300の接続先が変更されるべき場合には、基地局間通信部120を介して、関連する無線基地局(例えばピコ基地局200または周辺にある他のマクロ基地局100)にユーザ端末300の接続先が変更されることを通知する。
ユーザ端末300の所望無線基地局がピコ基地局200である場合、受信電力結果報告を示す信号は、ピコ基地局200の無線通信部210で受信される。ピコ基地局200の接続先選択部234は、各ユーザ端末300の受信電力結果報告に基づいて、そのユーザ端末300が接続すべき無線基地局を選択する。この時、接続先選択部234は、最も高い受信電力を示す受信電力値(すなわち、最も良好な受信品質を示す受信品質値)に対応する無線基地局をそのユーザ端末300が接続すべき無線基地局として選択する。その選択の手法は、マクロ基地局100の接続先選択部134が行う手法と同じである。
接続先選択部234は、選択した無線接続先を示す接続先セル情報をピコ基地局200に接続されているユーザ端末300に通知する。また、接続先選択部234は、ユーザ端末300の接続先が変更されるべき場合には、基地局間通信部120を介して、関連する無線基地局(例えばマクロ基地局100または周辺にある他のマクロ基地局100)にユーザ端末300の接続先が変更されることを通知する。
ユーザ端末300の無線通信部310は接続先セル情報を受信する。接続先セル情報が既にユーザ端末300が接続されている無線基地局を示す場合には、ユーザ端末300はその接続を維持する。他方、接続先セル情報が他の無線基地局を示す場合には、ユーザ端末300はその無線基地局への接続動作を実行する。例えば、ユーザ端末300がマクロ基地局100に接続している場合において、ピコ基地局200を接続先として指定する接続先セル情報をユーザ端末300が受信すると、ユーザ端末300は、指定されたピコ基地局200へとユーザ端末300自身を接続(オフロード)させる。
上記のように、ピコ基地局200からの電波の受信電力値R2がオフセット値αで補正される結果、ピコ基地局200からの電波の受信品質が見かけの上で向上させられる。このため、ピコセルCpの半径ひいては範囲が拡張させられ、その分、マクロ基地局100の処理負担が軽減される。
ユーザ端末300の受信品質測定部334が測定する電波の受信特性は参照信号受信電力(RSRP)でなくてもよく、信号対干渉雑音比(Signal-to-Interference and Noise Ratio,SINR)、参照信号受信品質(Reference Signal Received Quality,RSRQ)等が受信特性として採用されても良い。
この実施の形態における上りリンクのリソース割り当てを説明する。リソースは、周波数および時間で特定される。
図9は、マクロセルCm内の様々な領域を示す地図である。図9に示すように、マクロセルCm内にはピコ基地局200のピコセルCpがある。ピコセルCpは、ピコ基地局200の近傍のピコセル中央領域Cpcと、ピコ基地局200の遠隔にあるピコセル端領域Cppに区分することができる。マクロセルCmのピコセルCp以外の領域は、ピコセルCpの近傍の領域Cm1と、ピコセルCpの遠隔の領域Cm2に区分することができる。
マクロ基地局100の第1のユーザ端末分類部136は、マクロ基地局100に接続する複数のユーザ端末300を、ピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末と、ピコセルCpの遠隔の領域Cm2にあると推定されるユーザ端末とに分類する。ピコ基地局200の第2のユーザ端末分類部236は、ピコ基地局200に接続する複数のユーザ端末300を、ピコセル中央領域Cpcにあると推定されるユーザ端末と、ピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末300とに分類する。
各無線基地局でのユーザ端末の分類は、ユーザ端末から報告される下りリンクの電波の受信品質に基づいて行うことができる。上記のように、各無線基地局には、ピコ基地局200からの電波の受信電力値を第2受信電力値R2から得られた補正された第2受信電力値(R2+α)が報告される。マクロ基地局100の第1のユーザ端末分類部136は、マクロ基地局100に接続される各ユーザ端末について、補正された第2受信電力値(R2+α)が第1の閾値より高いか否かを判断する。補正された第2受信電力値(R2+α)が第1の閾値より高い場合には、マクロ基地局100に接続するそのユーザ端末は、ピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定される。補正された第2受信電力値(R2+α)が第1の閾値より低い場合には、マクロ基地局100に接続するそのユーザ端末は、ピコセルCpの遠隔の領域Cm2にあると推定される。
ピコ基地局200の第2のユーザ端末分類部236は、ピコ基地局200に接続される各ユーザ端末について、補正された第2受信電力値(R2+α)が第2の閾値より高いか否かを判断する。第2の閾値は上記の第1の閾値より大きい。補正された第2受信電力値(R2+α)が第2の閾値より高い場合には、ピコ基地局200に接続するそのユーザ端末は、ピコセル中央領域Cpcにあると推定される。補正された第2受信電力値(R2+α)が第2の閾値より低い場合には、ピコ基地局200に接続するそのユーザ端末は、ピコセル端領域Cppにあると推定される。
但し、ピコ基地局200の第2のユーザ端末分類部236は、下りリンクの第2の受信電力値に基づくのではなく、ピコ基地局200で測定される上りリンクの受信電力値に基づいて、ピコ基地局200に接続する複数のユーザ端末300を、ピコセル中央領域Cpcにあると推定されるユーザ端末と、ピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末300とに分類してもよい。上りリンクの受信電力値が閾値より高い場合には、ピコ基地局200に接続するそのユーザ端末は、ピコセル中央領域Cpcにあると推定される。上りリンクの受信電力値がその閾値より低い場合には、ピコ基地局200に接続するそのユーザ端末は、ピコセル端領域Cppにあると推定される。
第1のユーザ端末分類部136または第2のユーザ端末分類部236の分類の基準となる受信特性として、信号対干渉雑音比(Signal-to-Interference and Noise Ratio,SINR)、参照信号受信品質(Reference Signal Received Quality,RSRQ)等が採用されてもよい。受信特性値が閾値より良好か否かにより、第1のユーザ端末分類部136または第2のユーザ端末分類部236は、ユーザ端末を分類することができる。
また、GPS(Global Positioning System)またはその他の衛星航法システムを使用して、各ユーザ端末がユーザ端末自身の位置を測定し、その位置を接続している無線基地局に報告してもよい。第1のユーザ端末分類部136および第2のユーザ端末分類部236は、ユーザ端末の具体的位置に基づいて、ユーザ端末のピコ基地局200からの距離を計算し、ユーザ端末を分類してもよい。
マクロ基地局100において、上りリンクスケジューラ138は、マクロ基地局100に接続するユーザ端末の各々に、使用すべき上りリンクリソースを割り当てる上りリンクリソース割り当て部と、マクロ基地局100に接続するユーザ端末の各々に、マクロ基地局100の上りリンクリソース割り当て部で割り当てられた上りリンクリソースを通知する上りリンクリソース通知部として機能する。他方、ピコ基地局200において、上りリンクスケジューラ238は、ピコ基地局200に接続するユーザ端末の各々に、使用すべき上りリンクリソースを割り当てる上りリンクリソース割り当て部と、ピコ基地局200に接続するユーザ端末の各々に、ピコ基地局200の上りリンクリソース割り当て部で割り当てられた上りリンクリソースを通知する上りリンクリソース通知部として機能する。
第1のユーザ端末分類部136による分類に従って、マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、マクロ基地局100に接続するユーザ端末に上りリンクリソースを割り当てる。第2のユーザ端末分類部236による分類に従って、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、ピコ基地局200に接続するユーザ端末に上りリンクリソースを割り当てる。
図10は、無線通信システムの各ユーザ端末300から送信される無線フレームFのフォーマットを示す図である。無線フレームFは、各通信要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ端末300)が送信する無線信号の送信単位であり、所定の時間長(例えば、10ミリ秒)および所定の帯域幅を占める。無線フレームFが連続的に送信されることにより一連の無線信号が構成される。
無線フレームFは複数のサブフレームSFを含む。サブフレームSFは、無線フレームFよりも短い時間長(例えば、1ミリ秒)を占める送信単位であり、1つの無線フレームF内において0番(#0)から昇順にナンバリングされ得る。
図11は、ユーザ端末から送信される上りリンクの無線フレームのうちの第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンの一例を示す図である。各サブフレームSFは、第1のリソースまたは第2のリソースに分類される。第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンは、図11に示す例には限定されない。
マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300には、上りリンクリソースのうち特定の第1のリソースのみを割り当てる(図12参照)。つまり、ピコ基地局200に近くピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置するが、ピコ基地局200ではなくマクロ基地局100に接続するユーザ端末には、第1のリソースのみが割り当てられる。
他方、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の遠隔にある(ピコセル端領域Cppにある)と推定されるユーザ端末300には、上りリンクリソースのうち第1のリソースとは異なる第2のリソースのみを割り当てる(図12参照)。つまり、ピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しピコ基地局200に接続するユーザ端末には、第2のリソースのみが割り当てられる。
複数のユーザ端末が同じ時間に同じ周波数を使用する場合には、干渉のおそれがあるが、異なるリソースを使用する場合には、干渉のおそれはない。この実施の形態では、干渉の原因となりうるユーザ端末と、干渉を受けやすい上りリンク信号の送信元であるユーザ端末に別々のリソースが割り当てられることによって、ヘテロジーニアスネットワークでの上りリンクの干渉を低減することができる(図5および図12参照)。
この実施の形態の無線通信システムがフラクショナルTPCを使用しないヘテロジーニアスネットワークであれば、主な干渉源であるピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しマクロ基地局100と接続するユーザ端末には、第1のリソースのみが割り当てられ、干渉を受けやすいピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しピコ基地局200と接続するユーザ端末には、第2のリソースのみが割り当てられるので、ピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しピコ基地局200と接続するユーザ端末からの上りリンクの無線信号は干渉を受けにくい。他方、この実施の形態の無線通信システムがフラクショナルTPCを使用するヘテロジーニアスネットワークであれば、干渉を受けやすいピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しマクロ基地局100と接続するユーザ端末には、第1のリソースのみが割り当てられ、主な干渉源であるピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置しピコ基地局200と接続するユーザ端末には、第2のリソースのみが割り当てられるので、第2のセルの境界付近に位置しマクロ基地局100と接続するユーザ端末からの上りリンクの無線信号は干渉を受けにくい。
このように、ピコセルCp(第2のセル)の境界付近に位置するユーザ端末の上りリンクの干渉を低減することができるため、上りリンク送信効率(上りリンクスループット)を高めることが可能であると期待される。送信効率の向上の理由としては、例えば、干渉低減による信号の欠落の低減、高い符号化率の採用の可能性、および大きい変調多値数の変調方式の採用の可能性がある。
図12に示すように、マクロ基地局100に接続しピコセルCp(第2のセル)の遠隔の領域Cm2にあると推定される(ピコ基地局200から遠くピコセルCpの境界付近に位置しない)ユーザ端末には、第1のリソースと第2のリソースのいずれを割り当ててもよい。また、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の近傍にあると推定される(ピコセル中央領域Cpcにあると推定される)ユーザ端末には、第1のリソースと第2のリソースのいずれを割り当ててもよい。これらのユーザ端末は、フラクショナルTPCの使用にかかわらず、主な干渉源ではなくその上りリンクの信号は干渉を与えにくい上、さらにその上りリンクの信号は干渉を受けにくいからである。
あるいは、マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、マクロ基地局100に接続しピコセルCp(第2のセル)の遠隔の領域Cm2にあると推定されるユーザ端末には、第2のリソースのみを割り当ててもよいし、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の近傍にあると推定される(ピコセル中央領域Cpcにあると推定される)ユーザ端末には、第1のリソースのみを割り当ててもよい。
但し、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量をできるだけ公平にすることが好ましい。したがって、マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、ユーザ端末への未割り当ての第2のリソースがある限り、マクロ基地局100に接続しピコセルCp(第2のセル)の遠隔の領域Cm2にあると推定されるユーザ端末には、第2のリソースを割り当てるのが好ましい。換言すれば、上りリンクスケジューラ138は、マクロ基地局100に接続するいずれのユーザ端末にも割り当てられていない第2のリソースがある場合には、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの遠隔にあると推定されるユーザ端末に、第2のリソースを割り当て、すべての第2のリソースがマクロ基地局100に接続するユーザ端末に割り当てられている場合には、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの遠隔にあると推定されるユーザ端末に、第1のリソースを割り当てるのが好ましい。このようにして、第1のリソースが集中的にユーザ端末に割り当てられるのが防止される。つまり、第1のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、第2のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態が防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量をできるだけ公平にすることができる。
ピコ基地局200においては、上りリンクスケジューラ238は、ユーザ端末への未割り当ての第1のリソースがある限り、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の近傍にあると推定される(ピコセル中央領域Cpcにあると推定される)ユーザ端末には、第1のリソースを割り当てるのが好ましい。換言すれば、上りリンクスケジューラ238は、ピコ基地局200に接続するいずれのユーザ端末にも割り当てられていない第1のリソースがある場合には、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の近傍にあると推定されるユーザ端末に、第1のリソースとを割り当て、すべての第1のリソースがピコ基地局200に接続するユーザ端末に割り当てられている場合には、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の近傍にあると推定されるユーザ端末に、第2のリソースを割り当てるのが好ましい。このようにして、第2のリソースが集中的にユーザ端末に割り当てられるのが防止される。つまり、第2のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、第1のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態が防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量をできるだけ公平にすることができる。
この実施の形態においては、第1のリソースと第2のリソースのいずれも、いずれかのユーザ端末に割り当てられる。いずれかのリソースでユーザ端末からの上りリンク送信が禁止されるのではない。このため、システム全体での上りリンク送信効率(上りリンクスループット)を高めることが可能であると期待される。
具体的な上りリンクのリソース割り当てにおいては、例えばプロポーショナルフェアネス(Proportional Fairness)のような公知の手法が使用され、第1のリソースまたは第2のリソースであるサブフレームSFを構成するリソースブロックを、上りリンクスケジューラ138または上りリンクスケジューラ238は、各ユーザ端末に割り当てる。マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、無線通信部110を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知し、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、無線通信部210を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知する。
ユーザ端末の可動性を考慮し、第1のユーザ端末分類部136および第2のユーザ端末分類部236は、ユーザ端末の分類を、例えば周期的に繰り返す。したがって、上りリンクスケジューラ138および上りリンクスケジューラ238は、最新のユーザ端末の位置に応じて、リソースを割り当てることができる。
第2の実施の形態
上りリンクリソースのうちの第1のリソースの数の比率(換言すれば第2のリソースの比率)は、調節可能であってよい。図13は、第2の実施の形態に係るマクロ基地局100の構成を示す。図7の構成に加えて、第2の実施の形態に係るマクロ基地局100は、リソース比率調整部140をさらに備える。第2の実施の形態において、ピコ基地局200およびユーザ端末300の構成は第1の実施の形態と同じでよい。
第2の実施の形態の動作を説明する。マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300は、第1の実施の形態と同様に動作する。さらに加えて、第2の実施の形態では、マクロ基地局100の制御部130は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300の数をカウントするとともに、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると第1のユーザ端末分類部136で推定されるユーザ端末300の数をカウントする。さらに、制御部130は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300の数の割合Xを計算する。
リソース比率調整部140は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300の数の割合Xが大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定する。換言すれば、リソース比率調整部140は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの遠隔の領域Cm2にあると推定されるユーザ端末300の数の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定する。例えば、割合に基づく第1のリソースの数の比率の設定のため、表1に例示するテーブルをリソース比率調整部140は使用することができる。このテーブルは、マクロ基地局100内の図示しない記憶部に記憶することができる。
このテーブルでは、割合Xに応じて、どのサブフレームを第1のリソースとして使用すべきかが定められており、割合Xが大きいほど、第1のリソースとして使用するサブフレームの数が大きい。リソース比率調整部140は、割合Xに相当するサブフレームを第1のリソースとして設定することができる。このテーブルを使用する場合には、割合Xから直接、どのサブフレームを第1のリソースとして使用するかをリソース比率調整部140は決定するが、割合Xから第1のリソースの数の比率を決定し、さらに決定された比率からどのサブフレームを第1のリソースとして使用するかを決定してもよい。
割合Xに応じて第1のリソースとして使用するサブフレームを決定すると、リソース比率調整部140は、上りリンクスケジューラ138に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知し、基地局間通信部120を介して、決定された第1のリソースのサブフレームの番号をピコ基地局200に通知する。ピコ基地局200では、決定されたサブフレームの番号を基地局間通信部220で受信し、制御部230は、上りリンクスケジューラ238に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知する。リソース比率調整部140は、第1のリソースのサブフレームの番号の代わりに、第2のリソースのサブフレームの番号を関連する各要素に伝達してもよい。
マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、リソース比率調整部140から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、マクロ基地局100から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。
このように、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末の数に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末の数の割合Xが大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定することによって、実際には、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末の数がゼロまたは少ないのに、過大な数の第1のリソースを確保するという事態が防止される。つまり、少ない第2のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、多くの第1のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態が防止される。少ない第1のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、多くの第2のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態も防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量をできるだけ公平にすることができる。
ユーザ端末の可動性を考慮し、リソース比率調整部140は、第1のリソース(換言すれば第2のリソース)の調整を、例えば周期的に繰り返す。したがって、リソース比率調整部140は、最新のユーザ端末の位置に応じて、適切なリソース割り当てを行うことができる。
第3の実施の形態
上りリンクリソースのうちの第1のリソースの数の比率(換言すれば第2のリソースの比率)は、他の指標に基づいて調節してもよい。第3の実施の形態では、他の指標に基づいて、マクロ基地局100はリソースの比率を調整する。第3の実施の形態において、マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300の構成は第2の実施の形態と同じでよい。
第3の実施の形態の動作を説明する。マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300は、第1の実施の形態と同様に動作する。さらに加えて、第3の実施の形態では、ピコ基地局200の制御部230は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300の数をカウントするとともに、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると第2のユーザ端末分類部236で推定されるユーザ端末300の数をカウントする。さらに、制御部230は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると推定されるユーザ端末300の数の割合を計算する。
そして、制御部230は、この割合を基地局間通信部220を介して、マクロ基地局100に報告する。マクロ基地局100のリソース比率調整部140は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると推定されるユーザ端末300の数の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定する。換言すれば、リソース比率調整部140は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300の数に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル中央領域Cpc(ピコ基地局200の近傍)にあると推定されるユーザ端末300の数の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定する。例えば、ユーザ端末の割合に基づく第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率の設定のため、表1に例示するテーブルと類似のテーブルをリソース比率調整部140は使用することができる。テーブルを使用する場合には、ユーザ端末の割合から直接、どのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかをリソース比率調整部140は決定するが、ユーザ端末の割合から第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率を決定し、さらに決定された比率からどのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかを決定してもよい。
ユーザ端末の割合に応じて第1のリソースとして使用するサブフレームを決定すると、リソース比率調整部140は、上りリンクスケジューラ138に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知し、基地局間通信部120を介して、決定された第1のリソースのサブフレームの番号をピコ基地局200に通知する。ピコ基地局200では、決定された第1のリソースのサブフレームの番号を基地局間通信部220で受信し、制御部230は、上りリンクスケジューラ238に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知する。リソース比率調整部140は、第1のリソースのサブフレームの番号の代わりに、第2のリソースのサブフレームの番号を関連する各要素に伝達してもよい。
マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、リソース比率調整部140から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、マクロ基地局100から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。
このように、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末の数に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると推定されるユーザ端末300の数の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定することによって、実際には、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末の数がゼロまたは少ないのに、過大な数の第2のリソースを確保するという事態が防止される。つまり、少ない第1のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、多くの第2のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態が防止される。少ない第2のリソースを極めて多くのユーザ端末が使用し、多くの第1のリソースをわずかなユーザ端末が使用する事態も防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量をできるだけ公平にすることができる。
マクロ基地局100のマクロセルCm内に複数のピコ基地局200が配置されている場合には、それらの複数のピコ基地局200から統計量がマクロ基地局100に報告される。この場合、マクロ基地局100のリソース比率調整部140は、複数のピコ基地局200からの統計量の平均値または中間値を求めて、平均値または中間値に基づいて、リソースを調整してよい。あるいは、リソース比率調整部140は、複数のピコ基地局200からの統計量の最大値または最小値を求めて、最大値または最小値に基づいて、リソースを調整してよい。
ユーザ端末の可動性を考慮し、リソース比率調整部140は、第1のリソース(換言すれば第2のリソース)の調整を、例えば周期的に繰り返す。したがって、リソース比率調整部140は、最新のユーザ端末の位置に応じて、適切なリソース割り当てを行うことができる。
第4の実施の形態
上りリンクリソースのうちの第1のリソースの数の比率(換言すれば第2のリソースの比率)は、他の指標に基づいて調節してもよい。第4の実施の形態では、他の指標に基づいて、マクロ基地局100はリソースの比率を調整する。第4の実施の形態において、マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300の構成は第2の実施の形態と同じでよい。
第4の実施の形態の動作を説明する。マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300は、第1の実施の形態と同様に動作する。さらに加えて、第4の実施の形態では、マクロ基地局100の制御部130は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量を計算するとともに、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると第1のユーザ端末分類部136で推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量を計算する。各ユーザ端末の上りリンクのトラヒック量の例としては、ユーザ端末の上りリンクのデータの伝送速度でよく、計算されるトラヒック量は、関連するユーザ端末の上りリンクのデータの伝送速度の合計でよい。あるいは、各ユーザ端末の上りリンクのトラヒック量の例としては、ユーザ端末の上りリンクの呼の数でよく、計算されるトラヒック量は、関連するユーザ端末の上りリンクの呼の数の合計でよい。さらに、制御部130は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量の割合を計算する。
リソース比率調整部140は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定する。換言すれば、リソース比率調整部140は、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの遠隔の領域Cm2にあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定する。例えば、ユーザ端末のトラヒック量の割合に基づく第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率の設定のため、表1に例示するテーブルと類似のテーブルをリソース比率調整部140は使用することができる。テーブルを使用する場合には、ユーザ端末のトラヒック量の割合から直接、どのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかをリソース比率調整部140は決定するが、ユーザ端末のトラヒック量の割合から第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率を決定し、さらに決定された比率からどのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかを決定してもよい。
ユーザ端末のトラヒック量の割合に応じて第1のリソースとして使用するサブフレームを決定すると、リソース比率調整部140は、上りリンクスケジューラ138に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知し、基地局間通信部120を介して、決定された第1のリソースのサブフレームの番号をピコ基地局200に通知する。ピコ基地局200では、決定された第1のリソースのサブフレームの番号を基地局間通信部220で受信し、制御部230は、上りリンクスケジューラ238に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知する。リソース比率調整部140は、第1のリソースのサブフレームの番号の代わりに、第2のリソースのサブフレームの番号を関連する各要素に伝達してもよい。
マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、リソース比率調整部140から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、マクロ基地局100から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。
このように、マクロ基地局100に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定することによって、実際には、マクロ基地局100に接続しピコセルCpの近傍の領域Cm1にあると推定されるユーザ端末の上りリンクのトラヒック量がゼロまたは少ないのに、過大な数の第1のリソースを確保するという事態が防止される。つまり、少ない第2のリソースが極めて多くのトラヒックのために使用され、多くの第1のリソースがわずかなトラヒックのために使用される事態が防止される。少ない第1のリソースが極めて多くのトラヒックのために使用され、多くの第2のリソースがわずかなトラヒックのために使用される事態も防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量を、トラヒック量の観点でできるだけ公平にすることができる。
ユーザ端末の可動性を考慮し、リソース比率調整部140は、第1のリソース(換言すれば第2のリソース)の調整を、例えば周期的に繰り返す。したがって、リソース比率調整部140は、最新のユーザ端末の位置に応じて、適切なリソース割り当てを行うことができる。
第5の実施の形態
上りリンクリソースのうちの第1のリソースの数の比率(換言すれば第2のリソースの比率)は、他の指標に基づいて調節してもよい。第5の実施の形態では、他の指標に基づいて、マクロ基地局100はリソースの比率を調整する。第5の実施の形態において、マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300の構成は第2の実施の形態と同じでよい。
第5の実施の形態の動作を説明する。マクロ基地局100、ピコ基地局200およびユーザ端末300は、第1の実施の形態と同様に動作する。さらに加えて、第5の実施の形態では、ピコ基地局200の制御部230は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量を計算するとともに、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると第2のユーザ端末分類部236で推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量を計算する。各ユーザ端末の上りリンクのトラヒック量の例としては、ユーザ端末の上りリンクのデータの伝送速度でよく、計算されるトラヒック量は、関連するユーザ端末の上りリンクのデータの伝送速度の合計でよい。あるいは、各ユーザ端末の上りリンクのトラヒック量の例としては、ユーザ端末の上りリンクの呼の数でよく、計算されるトラヒック量は、関連するユーザ端末の上りリンクの呼の数の合計でよい。さらに、制御部230は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量の割合を計算する。
そして、制御部230は、この割合を基地局間通信部220を介して、マクロ基地局100に報告する。マクロ基地局100のリソース比率調整部140は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量の割合が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定する。換言すれば、リソース比率調整部140は、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、ピコ基地局200に接続しピコセル中央領域Cpcにあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数の比率を大きく設定する。例えば、ユーザ端末のトラヒック量の割合に基づく第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率の設定のため、表1に例示するテーブルと類似のテーブルをリソース比率調整部140は使用することができる。テーブルを使用する場合には、ユーザ端末のトラヒック量の割合から直接、どのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかをリソース比率調整部140は決定するが、ユーザ端末のトラヒック量の割合から第1のリソース(または第2のリソース)の数の比率を決定し、さらに決定された比率からどのサブフレームを第1のリソース(または第2のリソース)として使用するかを決定してもよい。
ユーザ端末のトラヒック量の割合に応じて第1のリソースとして使用するサブフレームを決定すると、リソース比率調整部140は、上りリンクスケジューラ138に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知し、基地局間通信部120を介して、決定された第1のリソースのサブフレームの番号をピコ基地局200に通知する。ピコ基地局200では、決定された第1のリソースのサブフレームの番号を基地局間通信部220で受信し、制御部230は、上りリンクスケジューラ238に決定された第1のリソースのサブフレームの番号を通知する。リソース比率調整部140は、第1のリソースのサブフレームの番号の代わりに、第2のリソースのサブフレームの番号を関連する各要素に伝達してもよい。
マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、リソース比率調整部140から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、マクロ基地局100から通知された番号に基づいて、第1のリソースと第2のリソースを認識し、この認識に沿って、上りリンクのリソース割り当てを行う。
このように、ピコ基地局200に接続するすべてのユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量に対する、ピコ基地局200に接続しピコ基地局200の遠隔のピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末300からの上りリンクのトラヒック量が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定することによって、実際には、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cppにあると推定されるユーザ端末の上りリンクのトラヒック量がゼロまたは少ないのに、過大な数の第2のリソースを確保するという事態が防止される。つまり、少ない第1のリソースが極めて多くのトラヒックのために使用され、多くの第2のリソースがわずかなトラヒックのために使用される事態が防止される。少ない第2のリソースが極めて多くのトラヒックのために使用され、多くの第1のリソースがわずかなトラヒックのために使用される事態も防止される。したがって、複数のユーザ端末に割り当てられる無線リソースの量を、トラヒック量の観点でできるだけ公平にすることができる。
マクロ基地局100のマクロセルCm内に複数のピコ基地局200が配置されている場合には、それらの複数のピコ基地局200から統計量がマクロ基地局100に報告される。この場合、マクロ基地局100のリソース比率調整部140は、複数のピコ基地局200からの統計量の平均値または中間値を求めて、平均値または中間値に基づいて、リソースを調整してよい。あるいは、リソース比率調整部140は、複数のピコ基地局200からの統計量の最大値または最小値を求めて、最大値または最小値に基づいて、リソースを調整してよい。
ユーザ端末の可動性を考慮し、リソース比率調整部140は、第1のリソース(換言すれば第2のリソース)の調整を、例えば周期的に繰り返す。したがって、リソース比率調整部140は、最新のユーザ端末の位置に応じて、適切なリソース割り当てを行うことができる。
第6の実施の形態
第2〜第5の実施の形態において、リソース比率調整部140は、ユーザ端末の数またはユーザ端末からの上りリンクのトラヒック量に基づいて、上りリンクリソースの数に対する第1のリソースの数(または第2のリソースの数)を調整する。これに加えて、あるいはこれに代えて、リソース比率調整部140は、セルレンジエクスパンションのためにユーザ端末300がピコ基地局200から受信する受信品質R2をより良好に見せかけるために使用するオフセット値αが大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きくしてもよい。つまり、各ユーザ端末がマクロ基地局100とピコ基地局200のいずれと接続するかを決定するために比較される、ユーザ端末がマクロ基地局100から受信する受信品質およびユーザ端末がピコ基地局200から受信する受信品質のうちピコ基地局200から受信する受信品質を調整するオフセット値αに基づいて、オフセット値αが、ユーザ端末がピコ基地局200により接続しやすくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定し、オフセット値αが、ユーザ端末がピコ基地局200に、より接続しにくくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を小さく設定してもよい。
オフセット値αが大きい場合には、ピコ基地局200からの電波の受信品質が見かけの上で顕著に向上させられ、ピコセルCpの半径ひいては範囲が顕著に拡張させられる。したがって、オフセット値αが大きい場合には、ピコ基地局200に接続するユーザ端末の総数に対して、ピコセル端領域Cppに位置するユーザ端末の数の割合が極めて大きいと想定される。他方、マクロセルCmはピコセルCpに比べて著しく広いため、オフセット値αが大きく、ピコセルCpの範囲が顕著に拡張させられても、マクロ基地局100に接続するユーザ端末の総数に対して、ピコセルCpの近傍の領域Cm1に位置するユーザ端末の数の割合はさほど大きくならないと想定される。
したがって、オフセット値αが大きい程、ピコ基地局200に接続しピコセル端領域Cpp(ピコ基地局200の遠隔)にあると推定されるユーザ端末300に割り当てられるべき第2のリソースの数の比率(図12参照)を大きくすることで、第1のリソースの数と第2のリソースの数を適切に設定できると考えられる。
セルレンジエクスパンションのために、ユーザ端末300がピコ基地局200から受信する受信品質をオフセット値によって増加させる代わりに、ユーザ端末300がマクロ基地局100から受信する受信品質をオフセット値によって減少させることが考えられる。この場合には、リソース比率調整部140は、セルレンジエクスパンションのためにユーザ端末300がピコ基地局200から受信する受信品質をより良好に見せかけるためにユーザ端末300がマクロ基地局100から受信する受信品質を減少させるオフセット値の絶対値が大きい程、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きくしてもよい。つまり、各ユーザ端末がマクロ基地局100とピコ基地局200のいずれと接続するかを決定するために比較される、ユーザ端末がマクロ基地局100から受信する受信品質およびユーザ端末がピコ基地局200から受信する受信品質のうちマクロ基地局100から受信する受信品質を調整するオフセット値に基づいて、オフセット値が、ユーザ端末がピコ基地局200により接続しやすくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定し、オフセット値が、ユーザ端末がピコ基地局200により接続しにくくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を小さく設定してもよい。
さらにまた、セルレンジエクスパンションとは逆に、ピコセルCpを縮小するため(つまりピコ基地局200にユーザ端末が接続しにくくするため)、オフセットが使用されてもよい。この場合にも、オフセット値は、各ユーザ端末がマクロ基地局100とピコ基地局200のいずれと接続するかを決定するために比較される、ユーザ端末がマクロ基地局100から受信する受信品質またはユーザ端末がピコ基地局200から受信する受信品質を調整するために使用される。この場合も、リソース比率調整部140は、オフセット値に基づいて、オフセット値が、ユーザ端末がピコ基地局200により接続しやすくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を大きく設定し、オフセット値が、ユーザ端末がピコ基地局200により接続しにくくなる結果を引き起こす場合に、リソース比率調整部140は、上りリンクリソースの数に対する第2のリソースの数の比率を小さく設定する。
他の変形
変形1
以上の実施の形態では、第1のリソースおよび第2のリソースはサブフレームSFである。しかし、第1のリソースおよび第2のリソースは、周波数および時間で特定される他の種類のリソースであってもよい。
図14は、無線通信システムの各ユーザ端末300から送信される無線フレームFのフォーマットを、図10とは別の観点から示す図である。前述の通り、無線フレームFは所定の時間長および所定の帯域幅を占める。無線フレームFは、周波数方向に複数のサブキャリアSCを含む。サブキャリアSCは、無線フレームFよりも狭い周波数帯域(例えば、15 kHz)を占める送信単位である。6つのサブキャリアSCのみが図示されているが、無線フレームFに含まれるサブキャリアSCの数が任意であることは当然に理解される。複数のサブキャリアSCが周波数領域において相互に直交することを示すため、図14ではサブキャリアSC同士が相互に重複しないように図示されている。実際には、サブキャリアSC同士(特に、中心周波数が隣接するサブキャリアSC同士)は、少なくとも一部の帯域において相互に重複し得る。
図14では、図10に示したようなサブフレームSFを明示しないが、無線フレームFがサブフレームSFを有さないことを意図するものではない。図14は、周波数領域の送信単位であるサブキャリアSCに注目した図であるから、サブフレームSFの図示が省略されている。
図15は、この変形におけるユーザ端末から送信される上りリンクの無線フレームのうちの第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンの一例を示す図である。各サブキャリアSCは、第1のリソースまたは第2のリソースに分類される。第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンは、図15に示す例には限定されない。
具体的な上りリンクのリソース割り当てにおいては、例えばプロポーショナルフェアネスのような公知の手法が使用され、第1のリソースまたは第2のリソースであるサブキャリアSCを構成するリソースブロックを、上りリンクスケジューラ138または上りリンクスケジューラ238は、各ユーザ端末に割り当てる。マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、無線通信部110を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知し、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、無線通信部210を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知する。
変形2
図16は、無線通信システムの各ユーザ端末300から送信される無線フレームFのフォーマットを、図10および図14とは別の観点から示す図である。前述の通り、無線フレームFは所定の時間長および所定の帯域幅を占める。無線フレームFは複数のリソースブロックRBを含む。リソースブロックRBは、無線フレームFよりも短い時間長(例えば、1ミリ秒)および無線フレームFよりも狭い周波数帯域(例えば、180 kHz)を占める送信単位である。1無線フレームFあたり96個のリソースブロックRBが図示されているが、無線フレームFに含まれるリソースブロックRBの数が任意であることは当然に理解される。図示しないが、各リソースブロックRBは、さらに小さい送信単位である複数のリソースエレメントを含む。
図16では、図10に示したようなサブフレームSFおよび図14に示したようなサブキャリアSCを明示しないが、無線フレームFがサブフレームSFおよびサブキャリアSCを有さないことを意図するものではない。図16は、所定の時間長および所定の周波数帯域を有する送信単位であるリソースブロックRBに注目した図であるから、サブフレームSFおよびサブキャリアSCの図示が省略されている。
図17は、この変形におけるユーザ端末から送信される上りリンクの無線フレームのうちの第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンの一例を示す図である。各リソースブロックRBは、第1のリソースまたは第2のリソースに分類される。第1のリソースおよび第2のリソースの配分パターンは、図17に示す例には限定されない。
具体的な上りリンクのリソース割り当てにおいては、例えばプロポーショナルフェアネスのような公知の手法が使用され、第1のリソースまたは第2のリソースであるリソースブロックRBを、上りリンクスケジューラ138または上りリンクスケジューラ238は、各ユーザ端末に割り当てる。マクロ基地局100の上りリンクスケジューラ138は、無線通信部110を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知し、ピコ基地局200の上りリンクスケジューラ238は、無線通信部210を介して、各ユーザ端末に割り当てられたリソースブロックを通知する。
変形3
以上の実施の形態において、マクロ基地局100が第1のユーザ端末分類部136およびリソース比率調整部140を有し、ピコ基地局200が第2のユーザ端末分類部236を有する。しかし、第1のユーザ端末分類部136、第2のユーザ端末分類部236およびリソース比率調整部140は、無線ネットワーク内の他の位置に配置されてもよい。
変形4
以上の実施の形態では、CREのためにピコ基地局200からの電波の受信特性がオフセット値(バイアス値)αで補正される。さらに、マクロ基地局100またはピコ基地局200からの電波の受信特性は、他の目的のオフセット値(バイアス値)で補正してもよい。例えば、一旦ハンドオーバされたユーザ端末300が元の無線基地局にすぐにハンドオーバされることを防止するためのヒステリシス用のオフセット値を使用してもよい。
変形5
以上の実施の形態では、ユーザ端末300の受信品質報告部338が複数の無線基地局からの受信品質および補正された受信品質を所望無線基地局に報告し、マクロ基地局100の接続先選択部134およびピコ基地局200の接続先選択部238は、各ユーザ端末300の受信電力結果報告に基づいて、そのユーザ端末300が接続すべき無線基地局を選択する。しかし、ユーザ端末300は、複数の無線基地局からの受信品質および補正された受信品質を比較し、最良の受信品質またはその最良の受信品質に相当する無線基地局を示す信号を所望無線基地局に報告してもよい。マクロ基地局100の接続先選択部134およびピコ基地局200の接続先選択部238は、各ユーザ端末300のその報告に基づいて、最良の受信品質に相当する無線基地局をそのユーザ端末300が接続すべき無線基地局として選択してよい。
変形6
以上の実施の形態では、マクロ基地局100よりも送信能力の低い基地局(小電力無線基地局)としてピコ基地局200が例示されるが、マイクロ基地局、ナノ基地局、フェムト基地局等が送信能力の低い小電力無線基地局として採用されてもよい。相異なる送信能力を有する3種類以上の無線基地局の組合せ(例えば、マクロ基地局、ピコ基地局、およびフェムト基地局の組合せ)により無線ネットワークが構成されてもよい。
変形7
ユーザ端末300は、各無線基地局と無線通信が可能な任意の装置でよい。ユーザ端末300は、例えばフィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
変形8
マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ端末300においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
前記の実施の形態および変形は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。