JP2014033081A - n型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セル - Google Patents

n型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セル Download PDF

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靖 倉田
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明博 織田
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Abstract

【課題】 n型拡散層形成組成物に用いられるガラス粒子の原料の溶融残りを抑制し、半導体基板上に十分に均一な拡散濃度のn型拡散層を形成することができるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルを提供する。
【解決手段】 ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合及び加熱し、さらに粉砕して得られるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末であり、ドナー元素を含む化合物が固体である場合、ドナー元素を含む化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下であり、ガラス形成用化合物が固体である場合、体積平均粒子径(D50)が200μm以下である、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池セルのn型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルに関するものであり、更に詳しくは、半導体基板である結晶シリコンの特定の部分にn型拡散層を形成することを可能とする技術に関するものである。
従来のシリコン太陽電池セルの製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要であった。また、裏面のn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面のn型拡散層の上にアルミニウムペーストを付与して、アルミニウムの拡散によってn型拡散層からp型拡散層に変換させていた。
また、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)等のリン酸塩を含有する溶液の塗布によってn型拡散層を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法でもリン化合物が拡散時に分散するため、ドナー元素の拡散は選択的に行われず、全面にn型拡散層が形成される。
上記に関連して、ドナー元素を含むガラス粉末と分散媒とを含有するn型拡散層形成組成物を半導体基板に塗布し、熱拡散処理を行なうことにより、半導体基板の側面や裏面に不要なn型拡散層を形成させることなく、特定の領域にn型拡散層を形成する太陽電池素子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−75894号公報 国際公開第11/090216号
しかし、特許文献2に記載のn型拡散層形成組成物を用いた場合、半導体基板上に十分に均一な拡散濃度のn型拡散層を形成することは困難であった。n型拡散層が均一に形成されないと、シート抵抗の不均一等の問題が発生する可能性がある。この問題を解決するために、n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含むガラス粉末の体積平均粒子径を細かくする方法も考えられるが、十分に均一な拡散濃度のn型拡散層を形成するには至らなかった。発明者らの検討により、均一な拡散濃度のn型拡散層を形成できない原因は、ドナー元素を含むガラス粉末中に、ガラス粒子の原料が溶融(熔融)せずに残っている(溶融残りがある)ことであることを見出した。
そこで本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、n型拡散層形成組成物に用いられるガラス粒子の原料の溶融残りを抑制し、半導体基板上に十分に均一な拡散濃度のn型拡散層を形成することができる、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルの提供を課題とする。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
<1>ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合及び加熱し、さらに粉砕して得られるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末であり、
ドナー元素を含む化合物が固体である場合、ドナー元素を含む化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下であり、ガラス形成用化合物が固体である場合、ガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下である、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
<2>ドナー元素を含む化合物が、リン(P)を含む化合物である上記<1>に記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
<3>ガラス形成用化合物として、ケイ素(Si)を含む化合物、又はカルシウム(Ca)を含む化合物を含有する、上記<1>又は<2>に記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
<4>n型拡散層形成組成物用ガラス粉末中、ドナー元素を含む化合物の含有量が30〜80質量%である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
<5>n型拡散層形成組成物用ガラス粉末の軟化点が200〜1000℃である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
<6>上記<1>〜<5>のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末と、分散媒とを含有するn型拡散層形成組成物。
<7>さらにバインダー樹脂を含有する、上記<6>に記載のn型拡散層形成組成物。
<8>上記<6>又は<7>に記載のn型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布する工程と、該半導体基板を加熱処理する工程とを含むn型拡散層の製造方法。
<9>上記<8>に記載のn型拡散層の製造方法で得られるn型拡散層を有する太陽電池セル。
本発明によれば、n型拡散層形成組成物に用いられるガラス粒子の原料の溶融残りを抑制した、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルを提供することができる。
また、本発明によれば、結晶シリコン基板を用いた太陽電池セルの製造工程において、不要なn型拡散層を形成させることなく特定の部分にn型拡散層を形成することが可能であり、また、半導体基板上に十分に均一な拡散濃度のn型拡散層を形成することができることからシート抵抗の不均一等の問題が発生することがないn型拡散層形成組成物用ガラス粉末、n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルを提供することができる。
本発明の太陽電池セルの製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 (A)は、太陽電池セルを表面から見た平面図であり、(B)は(A)の一部を拡大して示す斜視図である。
本発明のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末について説明し、次にn型拡散層形成組成物用ガラス粉末を含有するn型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルについて説明する。尚、本明細書において「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。また、本明細書において、「含有率(含有比率)」とは、特に記載がなければ、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末又はn型拡散層形成組成物100質量%に対する、成分の質量%を表す。
[n型拡散層形成組成物用ガラス粉末]
本発明のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末(以下、単にガラス粉末ともいう)は、ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合及び加熱し、さらに粉砕して得られるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末であり、ドナー元素を含む化合物が固体である場合、ドナー元素を含む化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下であり、ガラス形成用化合物が固体である場合、ガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下である、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末である。
以下、本発明に係るガラス粉末について、詳細に説明する。
ドナー元素を含む化合物は、リン(P)をドナー元素として含む化合物であることが好ましい。P(リン)は、シリコン基板中にドーピングさせることによってn型拡散層を形成することが可能な元素(ドナー元素)の一種であり、ドナー元素の中でも、安全性、ガラス化の容易さ等の観点から好適な元素である。
ドナー元素を含む化合物としては、例えば、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、無水亜リン酸(P)、オルトリン酸(PO(OH))、五酸化二リン(P)、リン酸一カルシウム(Ca(HPO)、リン酸二カルシウム(CaHPO)、第三リン酸カルシウム(3Ca(PO・Ca(OH))、ピロリン酸二水素カルシウム(CaH)、ピロリン酸カルシウム(Ca)、第一リン酸マグネシウム(Mg(HPO・4HO)、第二リン酸マグネシウム(MgHPO・3HO)、第三リン酸マグネシウム(Mg(PO・8HO)、ピロリン酸マグネシウム(Mg)、リン酸一ナトリウム(NaHPO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸三ナトリウム(NaPO)、ピロリン酸ナトリウム(Na)、ピロリン酸二水素ナトリウム(Na)、メタリン酸ナトリウム(Na3n+1)、リン酸一カリウム(KHPO)、リン酸二カリウム(KHPO)、リン酸三カリウム(KPO)、ピロリン酸カリウム(K)、メタリン酸カリウム((KPO)が挙げられる。
ガラス形成用化合物は、ドナー元素を含む化合物と混合、及び加熱し、粉砕することで、ガラス粉末を形成する(ガラス状態にする)ために用いられる。
ガラス形成用化合物としては、エッチング特性の観点からケイ素(Si)を含む化合物を用いることが好ましく、耐水性の観点からカルシウム(Ca)を含む化合物を用いることが好ましい。また、ガラス形成用化合物としては、ケイ素(Si)を含む化合物と、カルシウム(Ca)を含む化合物とを併用することが好ましい。
ケイ素(Si)を含む化合物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、ケイ酸エチル(Si(OC)、ケイ酸メチル(Si(OCH)が挙げられる。カルシウム(Ca)を含む化合物としては、炭酸カルシウム(CaCO)、ピロリン酸二水素カルシウム(CaH)、酸化カルシウム(CaO)、リン酸一カルシウム(Ca(HPO)、リン酸二カルシウム(CaHPO)、第三リン酸カルシウム(3Ca(PO・Ca(OH))、ピロリン酸カルシウム(Ca)が挙げられる。
また、耐水性、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を制御する観点から、ガラス形成用化合物として、ケイ素(Si)を含む化合物、及びカルシウム(Ca)を含む化合物以外のガラス形成用化合物を1種以上含有してもよい。このようなガラス形成用化合物としては、例えば、KO、NaO、LiO、BeO、PbO、CdO、SnO、MoO、La、CeO、Nb、Ta、Y、GeO、TeO、Lu、Al、ZnO、ZrO、TiO、MgO、BaO、及びSrOが挙げられる。
本発明のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末は、ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合及び加熱し、さらに粉砕して得られるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末であり、ドナー元素を含む化合物が固体である場合、ドナー元素を含む化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下であり、ガラス形成用化合物が固体である場合、ガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下である、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末である。ドナー元素を含む化合物及びガラス形成用化合物がこのような特定の粒子径であることで、溶融残りの無い均一なガラス粉末が得られる。一方、ドナー元素を含む化合物及びガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)がそれぞれ200μmより大きい場合、ガラスを溶融しても溶融残りが発生してしまう傾向がある。
なお、体積平均粒子径(D50)は、例えば、ベックマンコールター株式会社製、型番:LS13320(レーザ回折散乱法粒度分布測定装置)で、レーザー波長750μmで測定された測定値(体積分布)から体積平均粒子径(D50、又は50%径)として算出される。
ドナー元素を含む化合物、及びガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)は、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。なお、ドナー元素を含む化合物、及びガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)の下限値にとくに制限はないが、取り扱い性の観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。
本発明のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末は、ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合、及び加熱し、さらに粉砕することによって得られる。つまり、本発明のガラス粉末の製造方法は、ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合、及び加熱する工程と、粉砕する工程とを含む。
本発明のガラス粉末は、以下の手順で作製される。
最初にドナー元素を含む化合物、及びガラス形成用化合物を秤量し、混合し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金―ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度(例えば1000〜1700℃)で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて均一になった融液をジルコニア基板、カーボン基板等の基板上に流し出して融液をガラス化する。ここでガラス化とは原料を溶融し、冷却することでガラスを得ることを言う。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
また、プラズマ中に原料を供給することによって、直接ガラス粉末を作製してもよい。プラズマの発生方法としては、直流プラズマトーチ、誘導結合型プラズマトーチが挙げられるが、不純物混入の観点から誘導結合型プラズマトーチが好ましい。プラズマを発生させる気体としてはアルゴン、酸素、窒素あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
ドナー元素を含む化合物と、ガラス形成用化合物を用いて得られるガラス粉末としては、例えば、P−SiO系ガラス、P−CaO系ガラス、P−ZrO系ガラス、P−Al系ガラス、P−TiO系ガラス、P−ZnO系ガラス、P−MgO系ガラス、P−BaO系ガラス、P−CeO系ガラス、及びP−SrO系ガラス、P−CaO−SiO系ガラス、P−CaO−ZnO系ガラス、P−Al−ZnO系ガラス、等が挙げられる。
ガラス粉末(ガラス粒子)中のドナー元素を含む化合物の含有量(比率)は、ガラス粒子粉末(ガラス粒子)100質量%に対して、30質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、35質量%以上、75質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上、70質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以上、65質量%以下であることが特に好ましい。ドナー元素を含む化合物の含有比率が、30質量%以上、80質量%以下であることで、形成されるn型拡散層形成組成物が十分な太陽電池特性を発現できる。
また、ガラス粉末がP−CaO系ガラス、又はP−CaO−SiO系ガラスの場合には、CaOの含有比率は、ガラス粒子100質量%に対して、1質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上、40質量%以下であることがさらに好ましい。また、ガラス粒子中のPの含有比率は、ガラス粉末(粒子)100質量%に対して、30質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、35質量%以上、75質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上、70質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以上、65質量%以下であることが特に好ましい。
ガラス粉末中のガラス成分物質の含有比率は、耐水性、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性を考慮して適宜設定することが望ましく、一般には、ガラス粉末(粒子)100質量%に対して、0.1質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、90質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上、70質量%以下がさらに好ましい。
ガラス粉末の軟化点は、拡散処理時の拡散性、液だれの観点から、200〜1000℃であることが好ましく、300〜900℃であることがより好ましく、500〜900℃であることがさらに好ましい。なお、軟化点は、ガラスが自重で顕著に軟化変形しはじめる温度で、約107.6dPa・sの粘度に相当する温度とみなされており、JIS R 3103-1:2001に規定される方法により測定する。
ガラス粉末の体積平均粒子径は、100μm以下であることが望ましい。100μm以下の平均粒子径を有するガラス粉末を用いた場合には、n型拡散層形成組成物とした際により平滑な塗膜が得られる。ガラス粉末の平均粒子径は50μm以下であることがより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
ここで、前記ガラス粉末の体積平均粒子径(D50)は、例えば、測定装置として粒度分布測定装置(ベックマンコールター株式会社製、型番:LS13320)を用い、ガラス粉末を溶媒(例えば、テルピネオール)に分散させた分散液をレーザー波長750μmで測定して得られる。
[n型拡散層形成組成物]
本発明のn型拡散層形成組成物は、上記n型拡散層形成組成物用ガラス粉末と、分散媒とを含有する。さらに、本発明のn型拡散層形成組成物は、塗布性などを考慮して必要に応じてバインダー樹脂やその他の添加剤を含有してもよい。
ここで、n型拡散層形成組成物とは、ドナー元素を含有し、シリコン基板に塗布した後にこのドナー元素を熱拡散することでn型拡散層を形成することが可能な材料をいい、本発明では上記のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末と、分散媒とを少なくとも含有する。そして本発明のn型拡散層形成組成物を用いることで、所望の部位にのみn型拡散層が形成され、裏面や側面には不要なn型拡散層が形成されない。
したがって、本発明のn型拡散層形成組成物を適用すれば、従来広く採用されている気相反応法では必須のサイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。また、裏面に形成されたn型拡散層をp型拡散層へ変換する工程も不要となる。そのため、裏面のp型拡散層の形成方法や、裏面電極の材質、形状及び厚さが制限されず、適用する製造方法や材質、形状の選択肢が広がる。また詳細は後述するが、裏面電極の厚さに起因したシリコン基板内の内部応力の発生が抑えられ、シリコン基板の反りも抑えられる。
なお、本発明のn型拡散層形成組成物に含有されるガラス粉末は焼成により溶融し、n型拡散層の上にガラス層を形成する。しかし従来の気相反応法やリン酸塩含有の溶液を塗布する方法においてもn型拡散層の上にガラス層が形成されており、よって本発明において生成したガラス層は、従来の方法と同様に、エッチングにより除去することができる。したがって本発明のn型拡散層形成組成物は、従来の方法と比べても不要な生成物を発生させず、工程を増やすこともない。
また、ガラス粉末は、リン酸塩含有の溶液とは異なり、焼成中でもドナー元素の揮散が抑制されるため、ドナー元素を含む揮散ガスの発生によって表面のみでなく裏面や側面にまでn型拡散層が形成されるということが防止される。
本発明のn型拡散層形成組成物中のガラス粉末の含有量は、塗布性、ドナー元素の拡散性等を考慮し決定される。n型拡散層形成組成物中のガラス粉末の含有比率は、0.1質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、80質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、70質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以上、50質量%以下であることが特に好ましく、1質量%以上、20質量%以下であることが極めて好ましい。
本発明のn型拡散層形成組成物は分散媒を含有する。分散媒は、組成物中において上記ガラス粉末を分散させる媒体である。分散媒としては、溶剤又は水が挙げられる。
溶剤としては、例えば、アセトン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、及びプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル等のエーテル系溶剤、酢酸メチル、及び酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート等のエーテルアセテート系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤、メタノール、及びエチレングリコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤、α−テルピネオール(α−ターピネオール)、ジヒドロテルピネオール(ジヒドロターピネオール)等のテルピネオール(ターピネオール)、並びにα−テルピネン、及びミルセン等のテルペン系溶剤などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
溶剤としては、n型拡散層形成用組成物の基板への塗布性の観点から、α−テルピネオール、及びジヒドロターピネオール等のターピネオール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルカルビトール)、又は酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルカルビトールアセテート)を用いることが好ましい。溶剤としては、α−テルピネオール、又はジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを用いることがさらに好ましい。
n型拡散層形成組成物中の分散媒の含有比率は、塗布性、ドナー濃度(P(リン)濃度)を考慮し決定されるが、n型拡散層形成組成物中、5〜99.9質量%であることが好ましく、20〜99質量%であることがより好ましく、30〜95質量%であることがさらに好ましい。分散媒の含有量を5〜99.9質量%とすることで、塗布性が良好となる。
本発明のn型拡散層形成組成物は、必要に応じてバインダー樹脂(樹脂バインダー)を含有することが好ましい。
バインダー樹脂は、有機高分子物質であり、バインダー樹脂を含有することで、粘度特性を制御することができる。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル類、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類、キサンタン、グア、グア誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、及びスチレン樹脂、並びにこれらの樹脂バインダーの共重合体が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でもセルロース誘導体、アクリル樹脂、アルキド樹脂から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの中でも、バインダー樹脂としては、塗布性の観点から、エチルセルロース、ブチラール樹脂、又はアクリル樹脂を用いることが好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート樹脂は、メタクリル酸、アクリル酸又は、それらの混合物、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂又は、それらの混合物を意味する。
バインダー樹脂の含有量は、n型拡散層形成組成物中、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。バインダー樹脂の含有量を0.1〜50質量%とすることで、塗布性が良好となる。
n型拡散層形成組成物の粘度は、塗布性を考慮して、10mPa・s以上、1000000mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上、500000mPa・s以下であることがより好ましい。なお、ここでいう粘度とは、25度の条件における粘度であり、例えば、東京計器株式会社製粘度計を用いて、測定治具としてコーン・プレート型3°(直径14mm)を用いて測定することができる。
[n型拡散層及び太陽電池セルの製造方法]
本発明のn型拡散層の製造方法は、n型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布する工程と、該半導体基板を加熱処理する工程とを含むn型拡散層の製造方法である。また本発明の太陽電池セルは、前記n型拡散層の製造方法で得られるn型拡散層を有する。ここで、本発明のn型拡散層の製造方法、太陽電池セル、及び、太陽電池セルの製造方法について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を概念的に表す模式断面図である。以降の図面においては、共通する構成要素に同じ符号を付す。
図1(1)では、p型半導体基板10である結晶シリコンにアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合水溶液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池セルは、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
図1(2)では、p型半導体基板10の表面すなわち受光面となる面に、上記n型拡散層形成組成物を塗布して、n型拡散層形成組成物層11を形成する。本発明では、塗布方法には制限がないが、例えば、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法などがある。
上記n型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限はないが、例えば、10〜250g/mとすることができ、20〜150g/mであることが好ましい。
なお、n型拡散層形成組成物の組成によっては、必要に応じて、n型拡散層形成組成物の塗布後に、組成物中に含まれる溶剤を揮発させるための乾燥工程を行ってもよい。この場合には、80〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1〜10分、乾燥機などを用いる場合は10〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、n型拡散層形成組成物の溶剤組成に依存しており、本発明では特に上記条件に限定されない。
また、本発明の製造方法を用いる場合には、裏面のp型拡散層(高濃度電界層)14の製造方法はアルミニウムによるn型拡散層からp型拡散層への変換による方法に限定されることなく、従来公知のいずれの方法も採用でき、製造方法の選択肢が広がる。したがって、例えば、B(ボロン)などの第13族の元素を含む組成物13を付与し、高濃度電界層14を形成することができる。
次いで、上記n型拡散層形成組成物層11を形成したp型半導体基板10を、600〜1200℃で熱拡散処理する。この熱拡散処理により、図1(3)に示すように半導体基板中へドナー元素が拡散し、n型拡散層12が形成される。熱拡散処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また、熱拡散処理時の炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等に適宜調整することもできる。
熱拡散処理時間は、n型拡散層形成組成物に含まれるドナー元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1〜60分間とすることができ、2〜30分間であることがより好ましい。
形成されたn型拡散層12の表面には、リン酸ガラスなどのガラス層(不図示)が形成されているため、このリン酸ガラスをエッチングにより除去する。エッチングとしては、ふっ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法など公知の方法が適用できる。
図1(2)及び(3)に示される、本発明のn型拡散層形成組成物を用いてn型拡散層12を形成する本発明のn型拡散層の製造方法では、所望の部位にのみn型拡散層12が形成され、裏面や側面には不要なn型拡散層が形成されない。
したがって、従来広く採用されている気相反応法によりn型拡散層を形成する方法では、側面に形成された不要なn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必須であったが、本発明の製造方法によれば、サイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。
また、従来の製造方法では、裏面に形成された不要なn型拡散層をp型拡散層へ変換する必要があり、この変換方法としては、裏面のn型拡散層に、第13族元素であるアルミニウムのペーストを塗布、焼成し、n型拡散層にアルミニウムを拡散させてp型拡散層へ変換する方法が採用されている。この方法においてp型拡散層への変換を充分なものとし、更にp層の高濃度電界層を形成するためには、ある程度以上のアルミニウム量が必要であることから、アルミニウム層を厚く形成する必要があった。しかしながら、アルミニウムの熱膨張率は、基板として用いるシリコンの熱膨張率と大きく異なることから、焼成及び冷却の過程でシリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、シリコン基板の反りの原因となっていた。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池セルの搬送や、タブ線と呼ばれる導線との接続において、セルを破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
しかし、本発明の製造方法によれば、裏面に不要なn型拡散層が形成されないことから、n型拡散層からp型拡散層への変換を行う必要がなくなり、アルミニウム層を厚くする必然性がなくなる。その結果、シリコン基板内の内部応力の発生や反りを抑えることができる。結果として、電力損失の増大や、セルの破損を抑えることが可能となる。
また、本発明の製造方法を用いる場合には、裏面のp型拡散層(高濃度電界層)14の製造方法はアルミニウムによるn型拡散層からp型拡散層への変換による方法に限定されることなく、従来公知のいずれの方法も採用でき、製造方法の選択肢が広がる。
また後述するように、裏面の表面電極(裏面電極)20に用いる材料は第13族のアルミニウムに限定されず、例えばAg(銀)やCu(銅)などを適用することができ、裏面の表面電極(裏面電極)20の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となる。
図1(4)では、n型拡散層12の上に反射防止膜16を形成する。反射防止膜16は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜16がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHの混合ガスを原料とするプラズマCVD法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、シリコン原子の結合に寄与しない軌道、即ちダングリングボンドと水素が結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH/SiHが0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1〜2Torr、成膜時の温度が300〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
図1(5)では、表面(受光面)の反射防止膜16上に、表面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷塗布乾燥させ、表面電極18を形成する。表面電極用金属ペーストは、(1)金属粒子と(2)ガラス粒子とを必須成分とし、必要に応じて(3)樹脂バインダー、(4)その他の添加剤などを含む。
次いで、上記裏面の高濃度電界層14上にも裏面電極20を形成する。前述のように、本発明では裏面電極20の材質や形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀、又は銅などの金属を含む裏面電極用ペーストを塗布し、乾燥させて、裏面電極20を形成してもよい。このとき、裏面にも、モジュール工程におけるセル間の接続のために、一部に銀電極形成用銀ペーストを設けてもよい。
図1(6)では、電極を焼成して、太陽電池セルを完成させる。600〜900℃の範囲で数秒〜数分間焼成すると、表面側では電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜16が溶融し、更にシリコン(p型半導体基板)10表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がシリコン基板(p型半導体基板)10と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した表面電極18とシリコン基板(p型半導体基板)10とが導通される。これはファイアースルーと称されている。
表面電極18の形状について説明する。表面電極18は、バスバー電極30、及び該バスバー電極30と交差しているフィンガー電極32で構成される。図2(A)は、表面電極18を、バスバー電極30、及び該バスバー電極30と交差しているフィンガー電極32からなる構成とした太陽電池セルを表面から見た平面図であり、図2(B)は、図2(A)の一部を拡大して示す斜視図である。
このような表面電極18は、例えば、上述の金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着などの手段により形成することができる。バスバー電極30とフィンガー電極32とからなる表面電極18は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
上記では、表面にn型拡散層、裏面にp型拡散層を形成し、更にそれぞれの層の上に表面電極及び裏面電極を設けた太陽電池セルについて説明したが、本発明のn型拡散層形成組成物を用いればバックコンタクト型の太陽電池セルを作製することも可能である。
バックコンタクト型の太陽電池セルは、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池セルでは、裏面にn型拡散部位及びp型拡散部位の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本発明のn型拡散層形成組成物は、特定の部位にのみn型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池セルの製造に好適に適用することができる。また、本発明のn型拡散層形成組成物は、例えば電極直下のみに高濃度n型拡散層(n++層)を形成する、選択エミッターにも適用できる。
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。なお、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。
[実施例1]
ドナー元素を含む化合物として体積平均粒子径(D50、粒子径という場合、以下同様)130μmのリン酸二水素アンモニウム180gと、ガラス形成用化合物として粒子径200μmの二酸化珪素94gと、粒子径20μmの炭酸カルシウム26gを混合しガラス原料粉とした。次に、このガラス原料粉を白金製坩堝に充填し、電気炉に設置し、3.5時間で1500℃まで昇温し7時間保持した。その後、カーボン板上に流し出し、P−SiO−CaO系ガラスを作製した。顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残渣は確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
このガラスをスタンプミルで粉砕し、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末を作製するため、さらに、このガラス粉末をテルピネオール中でビーズミル粉砕を行うことでガラスの粒子径を0.5μmとした。
次に、ガラス粉末と、エチルセルロース(バインダー樹脂)と、テルピネオール(分散媒)がそれぞれ10g、7g、83gとなるように配合してペースト化し、n型拡散層形成組成物を調製した。
n型拡散層形成組成物を、スクリーン印刷によって塗布量が15〜20g/mとなるようにp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、900℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板をフッ酸に5分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は40Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
なお、上記表面のシート抵抗の値は、156cm×156cmの領域を等間隔に5点×5点測定を行い、その平均を示したものである。
[実施例2]
粒子径100μmのリン酸二水素アンモニウムと、粒子径40μmの二酸化珪素と、粒子径20μmの炭酸カルシウムを用い、1500℃保持時間を5時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は38Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例3]
85質量%オルトリン酸(水溶液)120gと、粒子径40μmの二酸化珪素82gと、粒子径100μmのピロリン酸二水素カルシウム50gを用い、1500℃保持時間を5時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は35Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例4]
85質量%オルトリン酸(水溶液)120gと、粒子径80μmの二酸化珪素82gと、粒子径50μmのピロリン酸二水素カルシウム50gを用い、1500℃保持時間を5時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は35Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例5]
85質量%オルトリン酸(水溶液)173gと、粒子径4μmの二酸化珪素90gと、粒子径11μmの炭酸カルシウム25gを用い、1500℃保持時間を3時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は33Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例6]
85質量%オルトリン酸(水溶液)173gと、粒子径4μmの二酸化珪素90gと、粒子径8μmの酸化カルシウム14gを用い、1500℃保持時間を3時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は38Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例7]
粒子径8μmの五酸化二リン107gと、粒子系0.8μmの二酸化珪素90gと、粒子径11μmの酸化カルシウム14gを用い、1500℃保持時間を3時間としてガラスを作製した以外は実施例1と同様にして、n型拡散層形成組成物用ガラスとその粉末を得た。
顕微鏡観察では、ガラス中に溶融残りは確認できなかった。また、X線回折測定の結果、ピークは見られず非晶質であった。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は32Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。
裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[実施例8]
粒子系8μmの五酸化二リン107gと、粒子径0.8μmの二酸化珪素90gと、粒子径40μmの酸化カルシウム14gを混合しガラス原料粉とした。この原料粉を誘導結合型プラズマトーチで発生させたプラズマ中に供給し、直接ガラス粉末を得た。粒子径は0.12μmであった。また、ガラス中に溶融残りは確認できず、X線回折測定の結果ピークは見られず非晶質であった。
次に、ガラス微粒子と、エチルセルロースと、テルピネオールがそれぞれ10g、7g、83gとなるように配合してペースト化し、n型拡散層形成組成物を調製した。
n型拡散層形成組成物を、スクリーン印刷によって塗布量が15〜20g/mとなるようにp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、900℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板をフッ酸に5分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の表面のシート抵抗は41Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。裏面のシート抵抗は測定上限以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
[比較例1]
粒子径250μmのリン酸二水素アンモニウム180gと、粒子径300μmの二酸化珪素94gと、粒子径70μmの炭酸カルシウム26gを用い、1500℃保持時間を7時間とした以外は実施例1と同様にして、ガラスを作製した。
目視で、ガラス中に溶融残渣(溶融残り)が確認できた。また、X線回折測定の結果、ピークが見られ、結晶成分を含有していた。
[比較例2]
粒子径8μmの五酸化二リン107gと、粒子径300μmの二酸化珪素90gと、粒子径40μmの酸化カルシウム14gを用いた以外は、実施例8と同様にして、ガラスを作製した。ガラス中に粗大粒子が確認できた。また、X線回折測定の結果、ピークが見られ、結晶成分を含有していた。
以上の実施例1〜8及び比較例1、2の結果を表1にまとめて示した。
Figure 2014033081
ドナー元素を含む化合物とガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以上の粒子を用いた比較例1と、ガラス形成用化合物の粒子径にのみ200μm以上の粒子を用いた比較例2では、いずれも加熱溶融して得られたガラスに溶融残りが見られ、n型拡散層が均一に形成されない。本発明の実施例1〜8に示したようにドナー元素を含む化合物とガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)を200μm以下とすることで加熱溶融して得られたガラスに溶融残りが見られず、n型拡散層を均一に形成させることができる。
10 p型半導体基板
11 n型拡散層形成組成物層
12 n型拡散層
13 第13族の元素を含む組成物
14 P型拡散層(高濃度電界層)
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極

Claims (9)

  1. ドナー元素を含む化合物と、1種又は2種以上のガラス形成用化合物とを混合及び加熱し、さらに粉砕して得られるn型拡散層形成組成物用ガラス粉末であり、
    ドナー元素を含む化合物が固体である場合、ドナー元素を含む化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下であり、ガラス形成用化合物が固体である場合、ガラス形成用化合物の体積平均粒子径(D50)が200μm以下である、n型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
  2. ドナー元素を含む化合物が、リン(P)を含む化合物である請求項1に記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
  3. ガラス形成用化合物として、ケイ素(Si)を含む化合物、又はカルシウム(Ca)を含む化合物を含有する、請求項1又は2に記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
  4. n型拡散層形成組成物用ガラス粉末中、ドナー元素を含む化合物の含有量が30〜80質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
  5. n型拡散層形成組成物用ガラス粉末の軟化点が200〜1000℃である、請求項1〜4のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のn型拡散層形成組成物用ガラス粉末と、分散媒とを含有するn型拡散層形成組成物。
  7. さらにバインダー樹脂を含有する、請求項6に記載のn型拡散層形成組成物。
  8. 請求項6又は7に記載のn型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布する工程と、該半導体基板を加熱処理する工程とを含むn型拡散層の製造方法。
  9. 請求項8に記載のn型拡散層の製造方法で得られるn型拡散層を有する太陽電池セル。
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