JP2014031532A - 電池蓋用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

電池蓋用アルミニウム合金板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたレーザ溶接性を安定して備える電池蓋用アルミニウム合金板、ならびに、その製造方法を提供する。
【解決手段】Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、当該アルミニウム合金板の表面に20〜500Åの平均厚さを有するアルミニウム酸化皮膜厚が形成されており、かつ、当該アルミニウム合金板に金属間化合物が分散しており、当該アルミニウム合金板表面において円相当直径1〜15μmを有する金属間化合物間の平均壁間距離が20μm以下であり、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μm以下であることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板、ならびに、その製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、蓄電システム、携帯電話、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ等に利用されるリチウムイオン電池の蓋材として好適なレーザ溶接性やコイニング外観に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池の多くが、缶体及び蓋の両方にアルミニウム材を用いている。一般に、缶体はプレスにより、アルミニウム材又はアルミニウム合金材を深絞り成形及びしごき成形して製造される。蓋はアルミニウム材又はアルミニウム合金材を打ち抜き加工又は機械加工により缶体と接合するための所定形状に成形され、端子の取り付けのための孔や窪み、液注入口などが設けられたものである。電池缶体は深いプレス成形加工を要するのに対し、蓋は平板に近い形態を有する。缶体と蓋は、電極などの内部構造体を封入した後に周囲をレーザ溶接により封止される。
このように、電池の蓋材にも良好なレーザ溶接性が求められ、特に、自動車などの電池において、レーザ接合部に長期の耐久性が必要となる場合が増えている。また、効率的な電池生産のためレーザ溶接速度が高速化されて、レーザ溶接の難度が増してきている。そのため、レーザ溶接が高速化された場合でも、溶け込み深さや溶接痕(ビード)幅のバラツキが少なく、安定した継手が得られる電池の蓋用合金板が求められている。
これまでに、レーザ溶接性に優れた蓋材用のアルミニウム合金板として、Al−Fe系アルミニウム合金板が提案されている(特許文献1、2)。優れたレーザ溶接性を得るために、特許文献1ではFe等含有量を、特許文献2ではFe等含有量、ならびに、2〜5μmの金属間化合物の組織中における分散個数を規定している。しかしながら、これらの技術では、レーザ溶接の安定性の阻害要因が正確に把握されておらず、溶接の高速化などで不安定となった溶接条件下では上記特許文献1,2に開示された技術を用いても安定したレーザ溶接性を得ることはできない。
特開2007−262559号公報 特開2009―52126号公報
本発明は、上記事情を背景としてなされたもので、優れたレーザ溶接性を安定して備える上、レーザ溶接が高速化された場合でも、溶け込み深さや溶接痕(ビード)幅のバラツキが少なく、安定した継手が得られる電池蓋用アルミニウム合金板の提供を目的とする。
本発明者等は、電池蓋用のAl−Fe系合金において金属間化合物の分散の不均一性及び表面酸化皮膜がレーザ溶接の安定性の阻害要因となっており、これらを適切に制御することで前記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は請求項1において、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、当該アルミニウム合金板の表面に20〜500Åの平均厚さを有するアルミニウム酸化皮膜が形成されており、かつ、当該アルミニウム合金板に金属間化合物が分散しており、当該アルミニウム合金板表面において円相当直径1〜15μmを有する金属間化合物間の平均壁間距離が20μm以下であり、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μm以下であることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板とした。
本発明は請求項2において、請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程と;鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明は請求項3において、請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;面削後の鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程と;均質化処理後の鋳塊を室温下で保持する室温保持工程と;熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明は請求項4において、請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;均質化処理を施すことなく、鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;圧延前の加熱保持工程が、面削後の鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で保持するものであり、これに続く圧延工程を含む熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法とした。
本発明は請求項5では請求項2〜4のいずれか一項において、加熱を伴ういずれかの工程あるいは複数の工程を酸化抑制雰囲気下で実施するものとした。また、本発明は請求項6では請求項2〜5のいずれか一項において、途中工程あるいは最終の工程でアルミニウム合金板表面を酸洗浄又はアルカリ洗浄する段階を含むものとした。
更に本発明は請求項7では請求項2〜6のいずれか一項において、前記焼鈍工程の後に更なる冷間圧延工程を備えるものとした。
本発明により、優れたレーザ溶接性を安定して備える電池蓋用アルミニウム合金板を提供することができ、電池の生産効率と品質の向上に寄与する上、レーザ溶接が高速化された場合でも、溶け込み深さや溶接痕(ビード)幅のバラツキが少なく、安定した継手を得ることができる。
金属間化合物間の壁間距離を示す概念図である。 金属間化合物の存在しない領域に描ける円を示す概念図である。 DC鋳造法の概念図と冷却速度の変化を示すグラフである。 鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離tminと鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離tmaxを示す概念図である。 コイニング試験のためにアルミニウム合金板試料に形成したくぼみの断面図である。
以下本発明について、詳細に説明する。
1.アルミニウム合金板の成分組成
先ず、本発明に用いる電池蓋用アルミニウム合金板の成分組成と限定理由について説明する。本発明に係るアルミニウム合金板は、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる。
1−1.Fe:0.8〜2.0mass%
Feはレーザ溶接性、強度、金属組織に大きな影響を及ぼす重要な成分元素である。母相中で大部分がAl−Fe系金属間化合物として存在している。Al−Fe系金属間化合物が存在することで、レーザ吸収率が増加し、レーザ溶接時の溶け込みを深くする効果が発揮される。
Fe含有量が0.8mass%(以下、単に「%」と記す)未満では、存在する金属間化合物が少なくなる。その結果、溶け込み深さが全体に浅くなり、レーザビードの安定性も不良となる。また、結晶粒が粗大になるため、プレス成形によってコイニングなどの窪み形状を形成する際に肌荒れが生じる。
一方、Fe含有量が2.0%を超えると、円相当直径15μmを超える粗大金属間化合物が生成され局所的にレーザ吸収率が増加する。その結果、その部位で溶け込みが特に深くなり、ビードが不均一になったりスパッタによる溶接欠陥発生等の原因となって安定したレーザ溶接性を得ることができない。
以上により、Fe量を0.8%〜2.0%とする。なお、好ましいFe含有量は1.0〜1.6%である。
1−2.Si:0.03〜0.20%
Siは、レーザ溶接性に大きな影響を及ぼす元素である。Si含有量が0.03%未満では、高純度のアルミニウム地金を使用する必要があり原料コストが増加する。一方、0.20%を超えると、液相線と固相線の温度差が大きくなる。この温度差が大きくなることで、レーザ溶接直後の凝固時に残存する液相量が増え、その液相残存部に凝固収縮の応力が加わって溶接割れが発生し易くなる。以上により、Si含有量を0.03〜0.20%とする。なお、好ましいSi含有量は0.04〜0.15%である。
1−3.Ti:0.004〜0.050%
Tiは、アルミニウム合金鋳塊の組織状態に大きな影響を及ぼす元素である。Ti含有量が0.004%未満では、鋳塊の結晶粒が微細化されず粗大結晶粒組織となる。その結果、アルミニウム合金板の結晶粒が大きくなり肌荒れの発生につながる問題がある。一方、Ti含有量が0.050%を超えると、結晶粒の粗大結晶粒組織化を防止する効果が飽和する。更に、粗大なAl−Ti系金属間化合物が形成され、この金属間化合物が圧延板にスジ状に分布して表面欠陥の原因となる。以上により、Ti含有量を0.004〜0.050%とする。なお、好ましいTi含有量は、0.007〜0.030である。
1−4.その他の成分
結晶粒組織を微細化するために、Tiと組合せてB及びCの少なくとも一方を微量添加してもよい。B及びCの両方を添加する場合には両方の合計量を、これに代わっていずれか一方を添加する場合にはその添加量を、0.0001〜0.0020%とするのが好ましい。なお、より好ましい添加量は、0.0005〜0.0015%である。前記添加量が0.0001%未満では、結晶粒微細化の効果が小さい。一方、前記添加量が0.0020%を超えると結晶粒微細化効果が飽和するだけでなく、Ti−B系化合物やTi−C系化合物の粗大凝集物による表面欠陥が生じ易くなる。
1−5.不可避的不純物
不可避的不純物として、Cu:0.03%以下、Mn:0.03%以下、Mg:0.03%以下、Cr:0.03%以下、Zn:0.03%以下、Zr:0.03%以下、ならびに、その他成分として合計が0.05%以下について、これらの1種又は2種以上を含有させてもよい。このような成分含有量であれば、電池ケース用アルミニウム合金板としての特性を損なうことがない。
本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板においては、アルミニウム合金の成分組成を前述のように規定するだけでなく、最終的に調製された状態において、アルミニウム合金板表面に形成されるアルミニウム酸化皮膜厚、ならびに、アルミニウム合金板表面に分散する金属間化合物のサイズと分散状態を規定する必要がある。以下に、詳細に説明する。
2.アルミニウム酸化皮膜の平均厚さ
アルミニウム合金板表面には酸化皮膜が存在しており、この酸化皮膜が厚過ぎるとレーザ溶接ビードのバラツキを助長する。本発明に係るアルミニウム合金板では、表面の酸化皮膜の平均厚さを20〜500Åと規定する。大気中においてアルミニウム合金板を扱う上で、この平均厚さを20Å未満とすることは技術的に困難である。一方、この平均厚さが500Åを超える厚い場合は、アルミニウム合金板の製造途中の加熱処理時において生成する高温酸化皮膜が表面に多く存在することになる。そうすると、高温酸化皮膜が存在する部位と存在しない部位との酸化皮膜厚さの差異が大きくなる。その結果、レーザ光吸収のバラツキやレーザ溶接部への巻き込みにより、溶け込み深さやビード幅の安定性が低下する。
以上により、アルミニウム合金板表面の酸化皮膜の平均厚さを20〜500Åとする。なお、好ましい平均厚さは20〜400Åである。より好ましい平均厚さは20〜200Åである。なお、酸化皮膜厚は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis、X線光電子分光法)の表面分析手段により一つの試料について5箇所測定され、その算術平均値をもって平均厚さとする。
3.金属間化合物のサイズと分散状態
金属間化合物のサイズ及び分散状態は、レーザ溶接性に大きな影響を及ぼす。アルミニウム合金板には、金属間化合物が分散している。そこで、当該アルミニウム合金板表面において円相当直径が1〜15μmの金属間化合物間の平均壁間距離を20μm以下とし、かつ、この円相当直径が1〜15μmの金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径を100μm以下とする。これによって、溶け込み深さやビード幅が均一な安定した溶接部が得られると共に、溶接欠陥の無い健全な溶接部が得られる。このような効果は、金属間化合物によってレーザ吸収率を増加できることで、また金属間化合物を均一分散することで得られるものである。
円相当直径が1μm未満の微細な金属間化合物は、レーザ溶接性に及ぼす影響は小さい。また、円相当直径が15μmを超える粗大金属間化合物が存在する場合には、レーザ吸収率の増加が局所的に生起する。そうすると、その局所部分において溶け込みが特に深くなるだけでなく、不均一なビードやスパッタが発生することによる溶接欠陥等の原因となる。そのため、円相当直径が1〜15μmの範囲内の金属間化合物を対象として、当該金属間化合物の分散状態を調べることによってレーザ溶接性の優劣が判断可能となる。
円相当直径が1〜15μmの金属間化合物間の平均壁間距離が20μmを超えると、金属間化合物の分布が疎になって、ビート幅や溶け込み深さが安定したレーザ溶接性を得ることができない。そのため、円相当直径が1〜15μmの金属間化合物間の平均壁間距離を20μm以下とする。なお、好ましい平均壁間距離は10μm以下である。この平均壁間距離の下限値は、特に規定するものではない。しかしながら、この下限値は、アルミニウム合金板の成分組成と製造工程によって自ずから決まるものであり、後述の本発明に係る製造工程では2μm程度である。
図1は、金属間化合物間の壁間距離の概念図である。平均壁間距離とは、アルミニウム合金板表面における250000μmの面積内に存在する円相当直径1〜15μmの金属間化合物を観察し、各金属間化合物間において近接する金属間化合物との間における壁間距離の測定値を算術平均したものである。壁間距離の定義は以下の式で表される。
(壁間距離)=(近接する粒子の重心間距離)−(2個の粒子の円相当半径の和)
アルミニウム合金板表面を観察して壁間距離を測定するには、例えば走査型電子顕微鏡が用いられる。なお、測定においては、円相当直径が1μm以上の金属間化合物を視認できる倍率で観察する必要がある。
円相当直径が1〜15μmの金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μmを超える場合は、レーザ吸収率が低い領域が存在することになる。このような低レーザ吸収率の領域をレーザ溶接すると、溶け込みが浅くなり継手としての強度が低下する。また、例えば充放電を繰り返すリチウムイオン電池では、電池反応時に内部圧力が上昇してクリープ変形により電池ケースが膨張するため、溶け込みが浅い部分から破壊が進行する。以上により、円相当直径が1〜15μmの金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径を、100μm以下とする。なお、当該最大直径は、好ましくは50μm以下である。しかしながら、この下限値は、アルミニウム合金板の成分組成と製造工程によって自ずから決まるものであり、後述の本発明に係る製造工程では19μm程度である。
図2は、円相当直径が1〜15μmの金属間化合物が存在しない領域に描ける円の概念図である。図に示すように、粒状の円相当直径1〜15μmの金属間化合物が分布する場合には、図中において点線で示す円Cが、これら金属間化合物が存在しない領域Aに描ける円のうちで最大直径(D)を有するものとなる。
このような円の測定は、アルミニウム合金板表面における250000μmの面積内で、円相当直径1〜15μmの金属間化合物が存在しない各領域において、描ける円の最大直径を測定することによって行なう。アルミニウム合金板表面を観察してこのような円直径を測定するには、例えば走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6460LA)が用いられる。なお、測定においては、円相当直径が1μm以上の金属間化合物を視認できる倍率で観察する必要がある。
以上のように、円相当直径が1〜15μmの金属間化合物間の平均壁間距離が20μm以下であり、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μm以下である金属間化合物分布を有するアルミニウム合金板は、金属間化合物が均一分散しているので、良好なレーザ溶接性を示す。
4.アルミニウム合金板の製造方法
次に、本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法は第1の実施態様において、請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程と;鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備える。
本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法は第2の実施態様では、第1の実施態様において面削工程前に設けていた均質化処理工程を面削工程後に設けるものとした。更に、第3の実施態様では、第1及び第2の実施態様のように均質化処理工程を特段に設けることなく、熱間圧延工程の圧延前における鋳塊の加熱保持工程条件を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間に設定することにより、この加熱保持工程をもって均質化処理効果を得るようにした。
また、前記各工程のうち、加熱を伴ういずれかの工程あるいは複数の工程を酸化抑制雰囲気下で実施することが好ましく、途中工程あるいは最終の工程で、アルミニウム合金板表面を酸洗浄又はアルカリ洗浄する段階を含むことが好ましい。更に、焼鈍工程の後に更なる冷間圧延工程を備えることが好ましい。
4−1.鋳造工程
まず、上記成分組成範囲内に調整されたアルミニウム合金溶湯に脱ガス処理、ろ過処理等の溶湯処理を適宜施し、その後、DC鋳造法等の常法に従い鋳造する。
4−2.均質化処理工程
面削工程の前後の少なくともいずれかにおいて、鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程が設けられる。本発明では、面削工程の前に均質化処理工程を設ける場合を第1実施態様に規定し、面削工程の後に均質化処理工程を設ける場合を第2実施態様に規定する。均質化処理は、最終板での金属組織や金属間化合物のサイズと分散状態に大きな影響を及ぼす。均質化処理の温度が450℃未満又は均質化処理の保持時間が1時間未満では、均質化効果が小さく、熱間圧延工程、中間焼鈍工程、最終焼鈍工程において再結晶粒が粗大化する。このような粗大再結晶粒が原因となって、蓋の取り付けや防爆のための窪みをコイニング加工で成形する場合に肌荒れが発生する。均質化処理の温度が620℃を超えると、微小な金属間化合物が固溶し、金属間化合物が粗大化するため、金属間化合物の存在しない領域広くなる。これにより、安定したレーザ溶接性を得ることができない。また、均質化処理の保持時間が20時間を超えると、均質化効果が飽和するため製造コストの観点から好ましくない。以上により、均質化処理条件は、温度450〜620℃で保持時間1〜20時間とする。なお、好ましい均質化処理条件は、温度480〜600℃で保持時間3〜15時間である。均質化処理を行った鋳塊は十分に均質化されているため、続く熱間圧延工程における加熱保持工程での保持時間、保持温度は特に制限されるものではなく、通常の条件を採用してもよい。
4−3.面削工程
鋳造工程後の鋳塊は、一旦室温下で保持された後に面削され(第2、3実施態様)、均質化処理工程後の鋳塊も一旦室温下で保持された後に面削される(第1実施態様)。面削量は、アルミニウム合金板表面における金属間化合物のサイズと分散状態に大きな影響を及ぼす。図3に、DC鋳造法の概念図と冷却速度の変化を示すグラフを示す。DC鋳型内に注入された溶湯は、水冷された鋳型壁に接触し急激に冷却される。凝固生成した鋳塊表層は収縮し、鋳塊表面と鋳型との間に空隙が生じる。この空隙の伝熱抵抗は、鋳型やスプレー水に比べて非常に大きいので鋳塊から外部へ拡散する熱量は減少し、それに伴い冷却速度も減少する。鋳塊が降下してスプレー水に鋳塊表面が接すると、冷却速度が急激に増加する。水冷された鋳型壁に接触し急激に冷却される領域ではチル層と呼ばれる微細なミクロ凝固組織が、鋳塊表面と鋳型との間に空隙が生じることで冷却速度が減少する領域では、粗大セル層と呼ばれる粗大なミクロ凝固組織が、そして鋳塊が降下してスプレー水に鋳塊表面が接すると、冷却速度が急激に増加する領域では、微細セル層と呼ばれる微細なミクロ凝固組織が生成される。粗大セル層では、15μmを超える粗大な金属間化合物が晶出し易く、それにより円相当直径1〜15μmの金属間化合物の存在しない領域が形成され易い。アルミニウム合金板表面に粗大セル層が露出して残留していると、安定したレーザ溶接性を得ることができない。そこで、アルミニウム合金板表面に粗大セル層が露出、残留しないように、面削量を調整する必要がある。なお、鋳造速度や冷却条件、溶湯温度等の鋳造条件によって粗大セル層の存在位置、厚さが変化するため、単純に面削量を決定することはできない。
具体的には、鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)とし、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)とし、鋳塊表面からこの粗大セル層へ向かう方向における鋳塊表面からの面削長さを面削量T(mm)として、3≦T<tmin (1)、又は、tmax<T (2)となるように面削量Tを調整する必要がある。ここで、tmin及びtmaxの基準となる鋳塊表面とは、鋳塊が一番厚い部位での鋳塊表面とする。
図4に、tmin、tmaxの概念図を示す。上記式(1)を満たす場合とは、面削量Tをtmin未満とするものである。これは、粗大セル層を鋳塊内部に残しつつ、鋳塊表面に粗大セル層を露出、残留させることなく面削するものである。ここで、鋳塊表面は平坦ではないため、面削量Tが3mm未満の場合、鋳塊表面の一部が面削されずに残留するおそれがあり、このような面削されないで残留する鋳塊表面が原因で、アルミニウム合金板において表面欠陥が発生する。そこで、式(1)ではTの下限値を3(mm)とする必要がある。なお、面削量Tがtmin≦T≦tmaxの場合、すなわち、鋳塊表面に粗大セル層が露出、残留するように面削する場合には、粗大セル層がアルミニウム合金表面に露出、残留して安定したレーザ溶接性を得ることができない。上記式(2)を満たす場合とは、面削量Tがtmaxを超えるものである。これは、粗大セル層を鋳塊内部に残さずに、かつ、鋳塊表面にも粗大セル層を露出、残留させることなく面削するものである。なお、式(2)において面削量Tの上限は特に規定するものではないが、面削量Tが40mmを超える場合は、歩留が悪化するため製造コストの観点から好ましくない。以上により、面削量Tは3≦T<tmin又はtmax<Tの範囲とし、好ましい面削量Tは、5≦T<(tmin−2)又は(tmax+2)<Tの範囲である。
表面処理を施した鋳塊のスライス板を観察することで、tmin、tmaxを測定することができる。具体的には、鋳造方向に対して直角断面のスライス板を採取した後、断面を研削し、そのスライス板を50〜60℃の5%NaOH水溶液に2〜10分程度浸漬処理する。浸漬処理の温度と時間は、処理後のスライス板表面に現れる金属組織の状態によって適宜調整してもよい。浸漬処理後に、室温の30%HNO水溶液に更に浸漬処理することで、最初の浸漬処理でスライス板表面に付着したスマットを除去する。スマット除去後にスライス板表面に現れる金属組織から、粗大セル層の存在位置を特定することができる。そこで、鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離と鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離を測定することで、tminとtmaxが求められる。
4−4.熱間圧延工程
4−4−1.加熱保持工程
面削された鋳塊は熱間圧延工程にかけられるが、熱間圧延工程は、圧延前に面削鋳塊を所定温度で所定時間加熱する加熱保持工程を含む。このように加熱された鋳塊が、次に熱間圧延される。ここで、面削工程前後に前述の均質化処理を行わないで、熱間圧延工程における加熱保持工程を適切な条件(保持温度と保持時間)に設定することにより、この加熱保持工程をもって、圧延前の加熱効果と共に均質化処理効果も付与するようにしてもよい(第3実施態様)。このような加熱保持工程とすることにより、均質化処理とほぼ同様の効果が得られるだけでなく、面削工程前後に均質化処理工程を設けた場合に比べて、製造工程数や製造コストの削減の点で有利となる。一方で、均質化処理を行わず、かつ、均質化処理効果が得られない条件で加熱保持工程を行った場合には、熱間粗圧延工程及び熱間仕上圧延工程、ならびに、中間焼鈍工程及び最終焼鈍工程において再結晶粒が粗大化する。更にこのような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、また成形後の肌荒れが発生する。
均質化処理工程を設けずに加熱保持工程によって均質化処理効果を得るためには、保持温度450〜620℃で保持時間1〜20時間とする。保持温度が450℃未満又は保持時間が1時間未満では、均質化効果が小さく、熱間粗圧延工程及び熱間仕上圧延工程、ならびに、中間焼鈍工程及び最終焼鈍工程において再結晶粒が粗大化する。このような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、また成形後の肌荒れが発生する。保持温度が620℃を超えると、微小な金属間化合物が固溶し、粗大な金属間化合物が更に粗大化するため、金属間化合物の存在しない領域が広くなる。これにより、安定したレーザ溶接性を得ることができない。また、保持時間が20時間を超えても均質化効果が向上せず、製造コストの観点から不経済となる。また続く熱間粗圧延工程及び熱間仕上圧延工程の製造効率が低下するため、なお、好ましい均質化処理条件は、温度480〜600℃で保持時間3〜15時間である。
4−4−2.圧延工程
圧延工程としては、一般的な熱間圧延条件が採用され、特に制限されるものではない。例えば、380〜550℃の開始温度で、200〜370℃の終了温度が採用される。
4−5.冷間圧延工程
熱間圧延工程にかけられた圧延材は、冷間圧延工程にかけられる。この冷間圧延工程における圧下率は、続く焼鈍工程における再結晶挙動に大きな影響を及ぼす。圧下率が50%未満では、蓄積される歪量が小さいため再結晶粒が粗大化する場合がある。その結果、肌荒れの原因となる。一方、圧下率が85%を超えると、冷間圧延回数が増加するため製造コストの観点で好ましくない。そのため、冷間圧延工程における圧下率は、50〜85%とするのが好ましい。なお、より好ましい圧下率は55〜80%である。
4−5.焼鈍工程と更なる冷間圧延工程(最終冷間圧延工程)
最終アルミニウム合金板の調質に合わせて、前述の冷間圧延工程後に最終焼鈍工程にかけてもよく、或いは、前述の冷間圧延工程後に中間焼鈍工程にかけた後に、更なる冷間圧延工程として最終冷間圧延を施してもよい。最終焼鈍工程及び中間焼鈍工程の条件としては特に限定されず、常法に従って行えばよい。好ましい焼鈍条件としては、バッチ式焼鈍炉を用いる場合は温度350〜450℃で1〜8時間の保持時間であり、連続焼鈍炉を用いる場合は温度400〜550℃で0〜30秒の保持時間である(ここで、保持時間0秒とは、所定温度に到達した後に直ちに冷却することを意味する)。また、中間焼鈍工程後の最終冷間圧延工程条件についても常法に従って行えばよいが、圧下率は通常20〜60%が好ましい。
このように、最終の調質がOの場合は、熱間圧延工程→冷間圧延工程→最終焼鈍工程とし、最終の焼鈍がH12からH18の場合は、熱間圧延工程→冷間圧延工程→中間焼鈍工程→最終冷間圧延工程とする。なお、O材の最終焼鈍後又はH材の最終冷間圧延後にレベラー矯正を行っても良い。
以上、本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法について説明したが、この製造方法においては以下の第1〜3の実施態様がある。
第1実施態様は、面削工程前に均質化処理工程を備え、第2実施態様は、面削工程後に均質化処理工程を備える。このように、第1、2実施態様では均質化処理工程を備えるので、後述の第3実施態様と比べた顕著な均質化効果として、金属組織と金属間化合物における良好なサイズと分散状態が得られる。なお、第2実施態様では、均質化処理温度から鋳塊を室温下に保持してから、熱間圧延における加熱保持工程まで加熱される。そして、加熱保持工程から直ちに熱間圧延するか、或いは、熱間圧延の開始温度まで冷却してから熱間圧延が行われる。
次に第3実施態様では、鋳造工程、面削工程及び熱間圧延工程がこの順序で行われる。この第3実施態様では均質化処理工程は採用されないが、鋳造工程後に鋳塊を面削工程にかけてから熱間圧延工程における加熱保持工程をもって均質化処理と同様の役割を兼ねさせ、加熱保持工程後に熱間圧延にかけられる。この第3態様では、均質化処理工程を省けるので製造コストの点で有利である。
この第3実施様態では、加熱保持工程の温度と熱間圧延の開始温度の差が大きい場合には、鋳塊を加熱保持工程にかけて所定の温度まで加熱、保持した後、熱間圧延の開始温度まで冷却してから熱間圧延にかけるのが好ましい。この場合には、加熱・保持された鋳塊を冷却制御することにより、熱間圧延の開始温度及び終了温度を適正な温度に調整できる。一方、前記温度差が小さい場合は、冷却段階を経ずに加熱保持工程から直ちに鋳塊が熱間圧延される。この場合には、冷却段階を経ないため速やかに熱間圧延工程に移行できるが、熱間圧延の開始温度及び終了温度が高くなり易く、粗大な再結晶粒が生成したり高Fe固溶量となる場合がある。
次に、アルミニウム合金材表面に、20〜500Åの平均厚さを有するアルミニウム酸化皮膜厚の形成方法について説明する。一つの方法は、加熱を伴う工程、すなわち熱間圧延工程における加熱段階、或いは、最終又は中間の焼鈍工程のいずれかの工程あるいは複数の工程を酸化抑制雰囲気下で実施するものである。これにより、酸化皮膜の成長を抑制することができて、通常の大気雰囲気で加熱された場合より最終板の酸化皮膜を薄く、すなわち、20〜500Åの平均厚さとすることができる。このような酸化抑制雰囲気として、DXガス、アンモニア分解ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス;真空状態などが使用できる。ここで、DXガスとは、天然ガス、プロパンといった炭化水素ガスと空気を一定の割合で混合し、燃焼室で燃焼させたガスを間接冷却させ、水分を除去したガスである。また、エアードライヤーを通した乾燥空気も使用することができる。
他の酸化皮膜制御方法としては、途中工程あるいは最終の工程でアルミニウム合金板表面を酸洗浄又はアルカリ洗浄する段階を設けるものである。なお、洗浄段階を設ける工程としては、熱間圧延工程後、焼鈍工程後、最終冷間圧延工程後が好ましい。洗浄の例としては、NaOH水溶液(濃度:10〜60g/リットル)によるエッチング、硝酸水溶液(濃度:15〜45重量%)によるデスマット、熱硫酸水溶液(温度:50〜90℃、濃度:5〜30重量%)によるエッチングなどを用いることができる。
以下に、本発明を本発明例及び比較例に基づいて更に詳細に説明する。なお、請求項に記載した以外の条件は、常法の条件範囲のものである。これら本発明例及び比較例は、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
本発明例1〜24及び比較例25〜43
表1に示す組成のアルミニウム合金を、半連続鋳造方により鋳造した。なお、0.01%未満の成分については、0.00%とした。得られた鋳塊を表2及び3に示す製造条件により、最終厚のアルミニウム合金板を得た。第1実施様態では、均質化処理し、鋳塊を室温まで冷却後に面削し、次いで、面削した鋳塊を熱間圧延工程における加熱保持工程において加熱した。更に、加熱した鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。第2実施様態では、鋳塊を面削視た後、均質化処理し、次いで、面削した鋳塊を熱間圧延工程における加熱保持工程において加熱した。更に、加熱した鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。第3実施様態では、半連続鋳造方により鋳造した鋳塊を面削し、均質化処理を兼ねる工程としての熱間圧延工程における加熱保持工程において面削鋳塊を加熱した。熱間圧延工程における加熱保持工程の加熱温度と熱間圧延開始温度の温度差が30℃以下の場合には、加熱保持工程から冷却段階を経ずに熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。また、熱間圧延工程における加熱保持工程の加熱温度と熱間圧延開始温度の温度差が30℃を超えた場合には、加熱保持工程終了後に熱間圧延の開始温度まで冷却してから熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た(以上、第3実施様態)。なお、表2、3において、均質化処理及び最終冷間圧延の工程において「−」とあるのは、これら工程を行わなかったことを意味する。また、前述の通り、面削量Tは得られた鋳塊のスライスからtmin及びtmaxを測定して決定した。面削量T、tmin及びtmaxも表2、3に示す。
Figure 2014031532
Figure 2014031532
Figure 2014031532
なお、酸化皮膜低減のために熱間圧延前の加熱段階と焼鈍工程では、加熱炉内の酸化抑制雰囲気として、DXガス、窒素ガス又は乾燥空気を用いた。また、酸化皮膜厚低減のためのアルミニウム合金板表面の酸洗浄又はアルカリ洗浄の処理を、最終工程の後に行った。表2、3に示す化学洗浄の処理条件は、(1)40g/リットルのNaOH水溶液に60秒浸漬後、30重量%HNO水溶液に30秒浸漬する処理、又は、(2)70℃の15重量%硫酸水溶液に180秒浸漬する処理である。
上記のようにして調製したアルミニウム合金板材試料を用いて、下記の方法で評価を行った。
(酸化皮膜厚)
アルミニウム合金板試料の表面の酸化皮膜厚は、ESCAにより測定した。具体的には、酸素強度に注目し、その強度が表面の最高強度の半分の値になるまでのスパッタリング時間と、純粋なアルミニウム酸化物を用いて測定したスパッタリング速度から、アルミニウム合金板試料表面の酸化皮膜厚を算定した。一つの試料について、5箇所測定してその算術平均値を算出した。結果を表4、5に示す。
Figure 2014031532
Figure 2014031532
(金属間化合物の分散状態)
アルミニウム合金板表面に分散する、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の分散状態は、前述の通り、走査型電子顕微鏡を用いて観察、測定を行った。測定した円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離、ならびに、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径を表4、5に示す。
(レーザ溶接性)
上記アルミニウム合金板試料(短辺:60mm、長辺:100mm、厚さ:1.3mm)を長辺同士で突合わせて、全長100mmにわたってレーザ溶接試験を行った。実際の電池では蓋材は缶体と接合されるが、この評価試験では蓋材のみのレーザ溶接性を評価した。なお、突合せ面にはフライス盤を用いて平面加工を施した。溶接速度として、1m/min、5m/min、20m/minで試験を行った。集光径は0.1mmφ、出力は圧延材の板厚0.6mmに対して平均溶け込み深さが70%となるように調整し、連続波(CW、Continuous Wave)条件でレーザ溶接した。終端部で出力を段階的に低下させる終端処理は行わなかった。
<レーザ溶接部の健全性>
上記レーザ溶接後の試料について、溶接部の全長(100mm)にわたって外観を目視で観察した。更に、溶接部断面(溶接方向に対する直交断面)を目視で10視野観察した。なお、溶接部断面における各視野の間隔は10mm以上設けた。
外観観察及び断面観察のいずれにおいても、溶接割れやビード欠陥が発生していなかったものを良好(○印)、溶接割れとビード欠陥の少なくともいずれかが発生しているものを不良(×印)と判定した。結果を表4、5に示す。
<レーザ溶接部の安定性>
健全性評価と同様にして、レーザ溶接後の試料について外観観察と断面観察を行った。ビード幅に関しては、溶接部の全長100mmにおいて任意位置のビード幅を10箇所測定し、その平均ビード幅waveを算出した。また,溶け込み深さに関しては、溶接部断面(溶接方向に対し直行断面)10視野における溶け込み深さを測定し、その平均溶け込み深さでdaveを算出した。
最大ビード幅wmax、最小ビード幅wmin、最大溶け込み深さdmax及び最小溶け込み深さdminを測定し、wmax/wave、wmin/wave、dmax/dave、dmin/daveがいずれも0.9〜1.1の範囲のものを優良(◎印)、0.8以上0.9未満又は1.1を超え1.2未満の範囲のものを良好(○印)、0.7以上0.8未満又は1.2を超え1.3未満の範囲のものを良(△印)、0.7未満又は1.3を超える範囲のものを不良(×印)と判定した。結果を表4、5に示す。
(コイニング後の外観評価)
更に、上記アルミニウム合金板試料を用いて、コイニング試験を行った。図5に示す断面形状で、長さ6mmのくぼみ形状を形成させた。くぼみの内部及び周辺の外観を観察し、肌荒れあるいは表面欠陥の有無を評価した。コイニング後、肌荒れや表面欠陥が発生しなかったものを優良(○印)、発生したものの実用上問題の無いものを良好(△印)、肌荒れあるいは表面欠陥が発生したものを不良(×印)とした。結果を、表4、5に示す。
本発明例1〜24では、アルミニウム酸化皮膜の平均厚が20〜500Å、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離20μm以下、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μm以下であり、優れたレーザ溶接性を安定的に示した。
比較例25では、鋳塊の面削位置が粗大セル層内部に位置するため、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離が大きく、かつ、当該金属間化合物の存在しない領域に描ける円の最大直径が大きいため、ビード幅や溶け込み深さのばらつきが大きく、またスパッタによるビード欠陥が発生し、レーザ溶接性(レーザ溶接部の健全性及び安定性)が不良であった。
比較例26では、鋳塊の面削位置が粗大セル層内部に位置するため、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離が大きく、かつ、当該金属間化合物の存在しない領域に描ける円の最大直径が大きいため、ビード幅や溶け込み深さのばらつきが大きく、またスパッタによるビード欠陥が発生し、レーザ溶接性(レーザ溶接部の健全性及び安定性)が不良であった。
比較例27では、均質化温度が高温であるため、微小な金属間化合物は固溶し粗大な金属間化合物が粗大化し、金属間化合物の存在しない領域が大きくなった。更に、アルミニウム酸化膜の厚さも厚くなった。これにより、ビード幅や溶け込み深さのバラつきが大きくなり、レーザ溶接部の安定性が不良であった。
比較例28では、アルミニウム合金板のFe量が少ないため、素板強度が低下した。また、再結晶粒が粗大化し、コイニング後に肌荒れが発生した。更に、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離が大きくなり、また当該金属間化合物が存在しない領域が大きくなるため、レーザ溶接部の安定性が不良であった。
比較例29では、Fe量が多いため、円相当直径15μmを超える粗大金属間化合物が生成され、円相当直径1〜15μmの金属間化合物が局所的に増加して局所的にレーザ吸収率が上がるため溶け込み深さやビード幅が不均一となり、更に、スパッタによる溶接欠陥等の原因となった。その結果、レーザ溶接性(レーザ溶接部の健全性及び安定性)が不良であった。
比較例30では、Si量が多いため液相線と固相線の温度差が大きくなり、溶接割れが生じ易くなった。具体的には、1m/minの低速溶接では溶接割れは生じなかったが、5m/min以上の高速溶接では溶接割れが生じ、レーザ溶接部の健全性が不良であった。
比較例31では、Ti量が少ないため、鋳塊の結晶粒が粗大化した。その結果、スジ状不具合が発生した。また、コイニング後に肌荒れも発生した。また、レーザ溶接部の凝固組織の微細化効果が小さいため、溶接割れが生じ易くなった。具体的には、1m/minの低速溶接では溶接割れは生じなかったが5m/min以上の高速溶接では溶接割れが生じ、レーザ溶接部の健全性が不良であった。
比較例32では、Ti量、B及びC量が多いため、Ti−B系化合物やTi−C系化合物の粗大凝集物が形成され、表面欠陥が発生し、コイニング後の外観評価で不良であった。
比較例33では、JIS3003アルミニウム合金であり、Si量が多いため、溶接割れが生じ易くなった。具体的には、1m/minの低速溶接では溶接割れは生じなかったが、5m/min以上の高速溶接では溶接割れが生じ、レーザ溶接部の健全性が不良であった。
比較例34〜37では、Ti量が少ないため、鋳塊の結晶粒が粗大化した。その結果、スジ状不具合が発生した。また、コイニング後に肌荒れも発生した。また、レーザ溶接部の凝固組織の微細化効果が小さいため、溶接割れが生じ易くなった。具体的には、1m/minの低速溶接では溶接割れは生じなかったが5m/min以上の高速溶接では溶接割れが生じ、レーザ溶接部の健全性が不良であった。
比較例38では、加熱保持温度が低いため、均質化効果が小さく、再結晶粒が粗大化した。このような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、またコイニング後に肌荒れが発生した。
比較例39では、加熱保持時間が短いため、均質化効果が小さく、再結晶粒が粗大化した。このような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、またコイニング後に肌荒れが発生した。
比較例40では、加熱保持温度が高温であるため、微小な金属間化合物は固溶し粗大な金属間化合物が粗大化し、金属間化合物の存在しない領域が大きくなった。更に、アルミニウム酸化膜の厚さも厚くなった。これにより、ビード幅や溶け込み深さのバラつきが大きくなり、レーザ溶接部の安定性が不良であった。
比較例41では、均質化温度が低く、また均質化処理時間が短いため、再結晶粒が粗大化した。このような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、またコイニング後に肌荒れが発生した。
比較例42では、均質化温度が高温であるため、微小な金属間化合物は固溶し粗大な金属間化合物が粗大化し、金属間化合物の存在しない領域が大きくなった。更に、アルミニウム酸化膜の厚さも厚くなった。これにより、ビード幅や溶け込み深さのバラつきが大きくなり、レーザ溶接部の安定性が不良であった。
比較例43では、均質化温度が低く、また均質化処理時間が短いため、再結晶粒が粗大化した。このような粗大再結晶粒が原因となって、耳率が増大し、またコイニング後に肌荒れが発生した。
本発明により、優れたレーザ溶接性を安定して有する電池蓋用アルミニウム合金板を提供できる。また、本発明に係る電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法により、前記電池蓋用アルミニウム合金板を確実かつ安定して得ることができる。
1・・・コイニング試験のためにアルミニウム合金板試料に形成したくぼみ
A・・・円相当直径1〜15μmの金属間化合物が存在しない領域
C・・・Aに描ける最大直径の円
D・・・Cの直径
tmin・・・鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離(mm)
tmax・・・鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離(mm)
具体的には、本発明は請求項1において、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、当該アルミニウム合金板の表面に20〜500Åの平均厚さを有するアルミニウム酸化皮膜が形成されており、かつ、当該アルミニウム合金板に金属間化合物が分散しており、当該アルミニウム合金板表面において円相当直径1〜15μmを有する金属間化合物間の平均壁間距離が20μm以下であり、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が25〜100μmであることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板とした。
本発明例1〜4、6〜24及び比較例25〜43
表1に示す組成のアルミニウム合金を、半連続鋳造方により鋳造した。なお、0.01%未満の成分については、0.00%とした。得られた鋳塊を表2及び3に示す製造条件により、最終厚のアルミニウム合金板を得た。第1実施様態では、均質化処理し、鋳塊を室温まで冷却後に面削し、次いで、面削した鋳塊を熱間圧延工程における加熱保持工程において加熱した。更に、加熱した鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。第2実施様態では、鋳塊を面削視た後、均質化処理し、次いで、面削した鋳塊を熱間圧延工程における加熱保持工程において加熱した。更に、加熱した鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。第3実施様態では、半連続鋳造方により鋳造した鋳塊を面削し、均質化処理を兼ねる工程としての熱間圧延工程における加熱保持工程において面削鋳塊を加熱した。熱間圧延工程における加熱保持工程の加熱温度と熱間圧延開始温度の温度差が30℃以下の場合には、加熱保持工程から冷却段階を経ずに熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た。また、熱間圧延工程における加熱保持工程の加熱温度と熱間圧延開始温度の温度差が30℃を超えた場合には、加熱保持工程終了後に熱間圧延の開始温度まで冷却してから熱間圧延、冷間圧延、中間(最終)焼鈍、ならびに、必要に応じて最終冷間圧延の各工程をこの順序で施こすことにより、表2、3に示す最終厚のアルミニウム合金板を得た(以上、第3実施様態)。なお、表2、3において、均質化処理及び最終冷間圧延の工程において「−」とあるのは、これら工程を行わなかったことを意味する。また、前述の通り、面削量Tは得られた鋳塊のスライスからtmin及びtmaxを測定して決定した。面削量T、tmin及びtmaxも表2、3に示す。
Figure 2014031532
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本発明例1〜4、6〜24では、アルミニウム酸化皮膜の平均厚が20〜500Å、円相当直径1〜15μmの金属間化合物の平均壁間距離20μm以下、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が25〜100μmであり、優れたレーザ溶接性を安定的に示した。

Claims (7)

  1. Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、当該アルミニウム合金板の表面に20〜500Åの平均厚さを有するアルミニウム酸化皮膜が形成されており、かつ、当該アルミニウム合金板に金属間化合物が分散しており、当該アルミニウム合金板表面において円相当直径1〜15μmを有する金属間化合物間の平均壁間距離が20μm以下であり、かつ、当該金属間化合物が存在しない領域に描ける円の最大直径が100μm以下であることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程と;鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;面削後の鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で均質化する均質化処理工程と;均質化処理後の鋳塊を室温下で保持する室温保持工程と;熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項1に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、Fe:0.8〜2.0mass%、Si:0.03〜0.20mass%、Ti:0.004〜0.050mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造する鋳造工程と;均質化処理を施すことなく、鋳塊表面からチル層及び粗大セル層の境界面までの最小距離をtmin(mm)、鋳塊表面から粗大セル層及び微細セル層の境界面までの最大距離をtmax(mm)として、面削量T(mm)が3≦T<tmin又はtmax<Tを満たすように鋳塊を面削する面削工程と;圧延前の加熱保持工程が、面削後の鋳塊を温度450〜620℃で保持時間1〜20時間で保持するものであり、これに続く圧延工程を含む熱間圧延工程と;熱間圧延材を冷間圧延する冷間圧延工程と;冷間圧延材を焼鈍する焼鈍工程と;を備えることを特徴とする電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 加熱を伴ういずれかの工程あるいは複数の工程を酸化抑制雰囲気下で実施する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  6. 途中工程あるいは最終の工程で、アルミニウム合金板表面を酸洗浄又はアルカリ洗浄する段階を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  7. 前記焼鈍工程の後に更なる冷間圧延工程を備える、請求項2〜6のいずれか一項に記載の電池蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
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