JP2014028943A - 配位高分子、並びにそれからなる吸着材、吸蔵材及び分離材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐候性を有する配位高分子を提供すること。
【解決手段】リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子によって上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、配位高分子、並びにそれからなる吸着材、吸蔵材及び分離材に関する。さらに詳しくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子に関する。本発明の配位高分子は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着材、吸蔵するための吸蔵材及び分離するための分離材として好ましい。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、多孔性配位高分子が開発されている。多孔性配位高分子は、(1)広い表面積と高い空隙率、(2)高い設計性、(3)外部刺激による動的構造変化、といった特徴を有しており、既存の吸着材にはない吸着特性が期待される。
しかしながら、実用化に際しては、吸着性能、吸蔵性能及び分離性能のさらなる向上のみならず、耐候性(熱・紫外光・酸素に対する安定性)の向上が求められている。
マンガンイオンと、1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオンと、4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシドとからなる配位高分子が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、実用化に際しては、吸着性能、吸蔵性能及び分離性能のさらなる向上のみならず、耐候性(熱・紫外光・酸素に対する安定性)の向上が求められている。
G.Xu、X.Zhang、P.Guo、C.Pan、H.Zhang、C.Wang、Journal of the American Society、第132巻、3656〜3657頁(2010年)
したがって、本発明の目的は、従来よりもガスの吸着性能、吸蔵性能及び分離性能に優れ、かつ耐候性にも優れており、ガス吸着材、ガス吸蔵材、或いはガス分離材として使用できる配位高分子を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子により、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子。
(2)該配位高分子がさらにアニオン性配位子を含む(1)に記載の配位高分子。
(3)該アミン−N−オキシド化合物が置換または非置換のピリジン−N−オキシド及び置換または非置換の4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシドから選択される少なくとも1種である(1)または(2)に記載の配位高分子。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の配位高分子からなる吸着材。
(5)該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である(4)に記載の吸着材。
(6)(1)〜(3)のいずれに記載の配位高分子からなる吸蔵材。
(7)該吸蔵材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸蔵材である(6)に記載の吸蔵材。
(8)(1)〜(3)のいずれかに記載の配位高分子からなる分離材。
(9)該分離材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を分離するための分離材である(8)に記載の分離材。
(10)該分離材が、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素、エチレンと二酸化炭素、メタンとエタン、エタンとエチレン、プロパンとプロペンまたは空気とメタンを分離するための分離材である(8)に記載の分離材。
(11)配位高分子と混合ガスとを0.01〜10MPaの圧力範囲で接触させる工程を含むことを特徴とする(8)に記載の分離材を用いる分離方法。
(12)該分離方法が圧力スイング吸着法である請求項11に記載の分離方法。
(13)リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを溶媒中で反応させ、析出させる、(1)に記載の配位高分子の製造方法。
本発明により、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオンまたはインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子を提供することができる。
本発明の配位高分子は、各種ガスの吸着性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着材として使用することができる。
また、本発明の配位高分子は、各種ガスの吸蔵性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気などを吸蔵するための吸蔵材としても使用することができる。
さらに、本発明の配位高分子は、各種ガスの分離性能に優れているので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気などを分離するための分離材としても使用することができる。
合成例1で得た配位高分子の結晶構造である。 合成例1で得た配位高分子の粉末X線回折パターンである。 合成例2で得た配位高分子の結晶構造である。 合成例2で得た配位高分子の粉末X線回折パターンである。 合成例3で得た配位高分子の結晶構造である。 合成例3で得た配位高分子の粉末X線回折パターンである。 比較合成例1で得た配位高分子の粉末X線回折パターンである。 合成例1、合成例2及び比較合成例1で得た配位高分子の空気雰囲気下における熱重量変化である。 合成例1及び合成例2で得た配位高分子の298Kにおける二酸化炭素の吸着等温線である。 合成例1及び合成例2で得た配位高分子の298Kにおけるエチレンの吸着等温線である。 合成例1で得た配位高分子の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 合成例2で得た配位高分子の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線である。 合成例1で得た配位高分子について、容量比でメタン:二酸化炭素=60:40からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、298K、0.8MPa、空間速度3min−1における破過曲線を測定した結果である。 合成例2で得た配位高分子について、容量比でメタン:二酸化炭素=60:40からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、298K、0.8MPa、空間速度3min−1における破過曲線を測定した結果である。
本発明の配位高分子は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む。
金属イオンは、単一の金属イオンを使用することが好ましいが、2種以上の金属イオンを含む混合金属配位高分子であってもよい。また、本発明の配位高分子は、単一の金属イオンからなる配位高分子を2種以上混合して使用することもできる。
該金属イオンは金属塩の形で用いてもよい。配位高分子の製造に用いる金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
上記の中でも、本発明に用いられる金属イオンとしては、周期表の2族に属するマグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン及び周期表の13族に属するアルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオンがより好ましく、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン及びアルミニウムイオンが特に好ましい。
本発明に用いられるアミン−N−オキシド化合物は、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物である。不対電子を有さないとは、アミン−N−オキシド化合物が置換基を有する場合、その置換基も含めた化合物中のいずれにも不対電子を有さないという意味である。アミン−N−オキシド化合物が分子中に不対電子を有する場合、酸素との反応性が高いので、得られる配位高分子の安定性が低くなる。
アミン−N−オキシド化合物を構成するアミンとしては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの脂肪族アミン;ピリジン、ピラジン、4,4’−ビピリジル、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン、フェナジン、ジアザピレンなどの複素環アミン;及びピリジンを2価の炭化水素基またはアゾ基で結合したジアミンなどが挙げられる。ピリジンを2価の炭化水素基またはアゾ基で結合したジアミンの例としては、例えば、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン、4,4’−アゾピリジン、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(4−ピリジル)プロパンなどが挙げられる。アミン−N−オキシド化合物を構成するアミンは置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、及び/またはカルボキシレート基などが挙げられる。
アミン−N−オキシド化合物が分子構造内にカルボキシレート基を有する場合、カルボキシレート基の数は1〜4個が好ましく、2個がより好ましい。当該アミン−N−オキシド化合物の例としては、ニコチン酸−N−オキシド、イソニコチン酸−N−オキシド、2,5−ピリジンジカルボン酸−N−オキシド、2,6−ピリジンジカルボン酸−N−オキシド、3,5−ピリジンジカルボン酸−N−オキシド、2,2’−ビピリジン−3,3’−ジカルボン酸−N,N’−ジオキシドなどが挙げられる。
本発明に用いられるアミン−N−オキシド化合物としては、例えば、ピリジン−N−オキシド、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−N,N’−ジオキシド、ピラジン−N,N’−ジオキシド、4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン−N,N’−ジオキシド、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン−N,N’−ジオキシド、1,4−ビス(4−ピリジル)ベンゼン−N,N’−ジオキシド、2,2’−ビ−1,6−ナフチリジン−N,N’−ジオキシド、フェナジン−N,N’−ジオキシド、ジアザピレン−N,N’−ジオキシド、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エテン−N,N’−ジオキシド、4,4’−アゾピリジン−N,N’−ジオキシド、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン−N,N’−ジオキシド、1,2−ビス(4−ピリジル)プロパン−N,N’−ジオキシドなどが挙げられる。中でもピリジン−N−オキシド及び4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシドが好ましく、4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシドが特に好ましい。
上述したように、これらの化合物はさらに上記置換基を有していてもよい。例えば、ピリジン−N−オキシドは、ピリジン−N−オキシドまたは4−フェニルピリジン−N−オキシドであることが好ましく、ピラジン−N,N’−ジオキシドは、ピラジン−N,N’−ジオキシドまたは2,5−ジメチルピラジン−N,N’−ジオキシドであることが好ましい。
本発明の配位高分子は、1種のみのアミン−N−オキシド化合物を含んでいてもよく、2種以上のアミン−N−オキシド化合物を含んでいてもよい。また、本発明の配位高分子は、単一のアミン−N−オキシド化合物を含む配位高分子を2種以上混合して使用することもできる。
本発明の配位高分子は、さらにアニオン性配位子を含むものが好ましい。アニオン性配位子とは上記金属イオンに対して配位する部位がアニオン性を有する配位子を意味する。本発明に用いられるアニオン性配位子としては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲンアニオン;テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンなどの無機酸アニオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオン、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸イオン、2,6−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸イオン、4,4’−ジヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸イオン、ニコチン酸イオン、イソニコチン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなどのモノカルボン酸アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなどのスルホン酸アニオン;フマレートイオン、1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートイオン、ピラジン−2,3−ジカルボキシレートイオン、ピリジン−2,5−ジカルボキシレートイオン、ピリジン−3,5−ジカルボキシレートイオン、1,3−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、2,5−チオフェンジカルボキシレートイオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,7−ナフタレンジカルボキシレートイオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートイオン、2,2’−ジチオフェンジカルボキシレートイオン、1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオン、1,3,4−ベンゼントリカルボキシレートイオン、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレートイオンなどの多価カルボン酸アニオンなどを挙げることができる。これらの中でも、多価カルボン酸アニオンが好ましく、配位高分子の構造安定化の観点から、芳香族多価カルボン酸アニオンがより好ましい。
上記のアニオン性配位子がモノカルボン酸アニオン、多価カルボン酸アニオンなどの有機酸配位子の場合、該有機酸配位子はカルボキシル基、ヒドロキシ基などのアニオンになり得る置換基以外に他の置換基をさらに有していてもよい。例えば1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオンは、2−ニトロ−1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオンであってもよい。置換基の数は1,2または3個が挙げられる。置換基としては、特に限定されないが、例えばアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖または分岐を有する炭素数1〜5のアルキル基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
本発明の配位高分子は、1種のみのアニオン性配位子を含んでいてもよく、2種以上のアニオン性配位子を含んでいてもよい。また、本発明の配位高分子は、単一のアニオン性配位子を含む配位高分子を2種以上混合して使用することもできる。
本発明に用いられるアニオン性配位子は、金属イオンに使用される金属塩のカウンターアニオンをそのまま使用してもよく、その場合、他のカウンターアニオンを有する配位高分子を前記アニオン性配位子の金属塩と反応させることでアニオン性配位子を有する配位高分子へと変換され得る。
本発明の配位高分子は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物と、必要に応じて該金属イオンと結合可能なアニオン性配位子とを、気相、液相または固相のいずれかで反応させることで製造できるが、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することが好ましい。例えば、金属塩の水溶液または有機溶媒溶液と、アミン−N−オキシド化合物を含有する水溶液または有機溶媒溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより本発明の配位高分子を得ることができる。
配位高分子を製造するときの金属塩とアミン−N−オキシド化合物の混合比率は、金属塩:アミン−N−オキシド化合物=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲では目的とする配位高分子の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して得られた配位高分子の精製が困難になる。
配位高分子を製造するための混合溶液におけるアミン−N−オキシド化合物のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする配位高分子は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
配位高分子を製造するための混合溶液における金属塩のモル濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.05〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする配位高分子は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では未反応の金属塩が残留し、得られた配位高分子の精製が困難になる。
配位高分子を製造するときの金属塩がアニオン性配位子以外の他のカウンターアニオンを有する場合には、他のカウンターアニオンの含有量はアニオン性配位子よりも少なくなることが好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする配位高分子は得られるが、収率が低下し、副反応も増えるために好ましくない。
配位高分子の製造に用いる溶媒としては、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。反応温度としては、253〜423Kが好ましい。
本発明の配位高分子の製造は、弱酸性〜弱アルカリ性条件下で行うことが好ましい。具体的には、pH4〜8の範囲で行うことが好ましい。強酸性あるいは強アルカリ性条件下で製造した場合、所望の性能を発現する配位高分子が得られない場合がある。
反応が終了したことは吸光光度法、ガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができるが、これらに限定されるものではない。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒による洗浄後、373K程度で数時間真空乾燥することにより、本発明の配位高分子を得ることができる。
本発明の配位高分子は多孔質体であり、細孔にガスなどの低分子を吸着し、また脱着することができる。しかし、製造時に使用した反応溶媒が吸着した状態ではガスを吸着しない。そのため、本発明の吸着材、吸蔵材、或いは分離材として使用する際には、予め得られた配位高分子について真空乾燥を行い、細孔内の溶媒を取り除くことが必要である。通常は配位高分子が分解しない程度の温度(例えば298K〜523K以下)で真空乾燥を行えばよいが、その温度はより低温(例えば298K〜393K以下)であることが好ましい。この操作は、超臨界二酸化炭素による洗浄によっても代えることができ、より効果的である。
以上のようにして得られる本発明の配位高分子はその骨格中に遷移金属イオンを含まないため、酸素に対する高い安定性が発現すると考えられる。また、アミン−N−オキシド化合物の分極構造により、優れたガス吸着性能、ガス吸蔵性能、或いはガス分離性能が発現すると考えられる。
前記の安定性向上及び吸着性能向上のメカニズムは推定ではあるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明で規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の配位高分子は、各種ガスの吸着性能、吸蔵性能及び分離性能に優れている。従って、本発明の配位高分子は、各種ガスの吸着材、吸着材及び分離材として有用であり、これらも本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の吸着材、吸蔵材及び分離材は、例えば、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタン、1−ブテン、イソブテン、1−ブチン、2−ブチン、1,3−ブタジエン、メチルアレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着、吸蔵、分離するために好適に使用できる。本発明の分離材にあっては、特に、メタン中の二酸化炭素、水素中の二酸化炭素、窒素中の二酸化炭素、エチレン中の二酸化炭素、メタン中のエタン、エタン中のエチレン、プロパン中のプロペンまたは空気中のメタンなどを、圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により分離するのに適している。有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;ペンタン、イソプレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、1−オクテン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエンなどの炭素数5〜16の炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
本発明の吸着材、吸蔵材及び分離材は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン誘導体または紙などの天然もしくは合成繊維、或いはガラスもしくはアルミナなどの無機繊維と組み合わせて複合化してもよい。
本発明における吸着材、吸蔵材及び分離材の使用形態は特に限定されない。例えば、配位高分子を粉末のまま用いてもよいし、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、各種異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布、不織布などに成形して用いてもよい。
本発明の吸着材、吸蔵材または分離材を含むペレットの作製方法としては、特に限定はなく、従来から知られているペレット化方法のいずれもが採用できるが、よりペレットの高密度化が行える打錠成型法が好ましい。
本発明の吸着材、吸蔵材または分離材を含むシートの作製方法としては、特に限定はなく、従来から知られているシート化方法のいずれもが採用できるが、よりシートの高密度化が行える湿式抄紙法が好ましい。湿式抄紙法は、水に原材料を分散させて、網で濾過し、乾燥する製造方法である。
異形成形体の例として、ハニカム形状を挙げることができる。本発明の吸着材、吸蔵材または分離材を含むシートをハニカム形状とする方法としては、従来から知られている加工方法のいずれもが採用できる。なお、本発明においてハニカム形状とは、断面が六画形状のものの他、四角、正弦波形、ロール形のものなど中空多角柱、円柱などの中空柱体が連続したものをいう。例えば、本発明の吸着材、吸蔵材または分離材を含むシートを正弦波形のハニカム形状とするには、まず本発明の吸着材を含む当該シートを賦形ロールに通して波形に賦形し、波形の当該シートの片面または両面に平らなシートを接合する。これを積層化して正弦波形のハニカム形状のフィルターとする。ここで、波形の頂点に接着剤を付けて固定するのが普通であるが、波形の本発明の吸着材を含む当該シートを積層するとその間にある平らなシートは必然的に固定されるので、必ずしも接着剤を付ける必要はない。なお、接着剤を付ける場合はシートの吸着能を損なわないものを使用する必要がある。接着剤としては、例えば、コーンスターチ、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などを使用することができる。ガス吸着性能を高めるためには、波形の本発明の組成物を含む当該シートの接着ピッチを小さくし、山高さを低くするとよい。ピッチは0.5〜8mmが好ましく、山高さは0.4〜5mmが好ましい。
本発明の配位高分子(または本発明の吸蔵材)は、その吸蔵性能を活かしてガス貯蔵装置に用いることもできる。ガス貯蔵装置の例としては、気密保持可能でガスの出入口を備えた耐圧容器の内方側にガス吸蔵空間を設け、該貯蔵空間に本発明の配位高分子からなる吸蔵材を内装したものである。当該ガス貯蔵装置に所望のガスを圧入することにより、内装した吸蔵材に当該ガスを吸着させ貯蔵することができる。ガス貯蔵装置からガスを取り出すときは、圧力弁を開放し、耐圧容器内の内圧を低下させることでガスを脱着させることができる。ガス貯蔵空間に吸蔵材を内装するにあたっては、本発明の配位高分子を粉末状で内装してもよいが、取り扱い性等の観点から、本発明の配位高分子を成形加工したペレット状のものを用いてもよい。
分離方法は、ガス、水蒸気または有機蒸気が配位高分子に吸着できる条件でガス、水蒸気または有機蒸気と本発明の配位高分子とを接触させる工程を含む。ガスまたは有機蒸気が配位高分子に吸着できる条件である吸着圧力及び吸着温度は、吸着されるガスまたは有機蒸気の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、吸着圧力は0.01〜10MPaが好ましく、0.1〜3.5MPaがより好ましい。また、吸着温度は195K〜343Kが好ましく、273〜313Kがより好ましい。
分離方法は、圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法とすることができる。分離方法が圧力スイング吸着法である場合は、分離方法はさらに、圧力を、吸着圧力からガスまたは有機蒸気を配位高分子から脱離させることができる圧力まで減圧する工程を含む。脱離圧力は、吸着されるガスまたは有機蒸気の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、脱離圧力は0.005〜2MPaが好ましく、0.01〜0.1MPaがより好ましい。分離方法が温度スイング吸着法である場合は、分離方法はさらに、温度を、吸着温度からガスまたは有機蒸気を配位高分子から脱離させることができる温度まで昇温させる工程を含む。脱離温度は、吸着されるガスまたは有機蒸気の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、脱離温度は303〜473Kが好ましく、313〜373Kがより好ましい。
分離方法は、圧力スイング吸着法または温度スイング吸着法である場合、ガス、水蒸気または有機蒸気と配位高分子とを接触させる工程と、ガス、水蒸気または有機蒸気を配位高分子から脱離させることができる圧力または温度まで変化させる工程とを、適宜繰り返すことができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
(1)単結晶X線構造解析
得られた単結晶をゴニオヘッドにマウントし、単結晶X線回折装置を用いて測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製R−AXIS RAPID
X線源:MoKα(λ=0.71073Å) 40kV 100mA
検出器:イメージングプレート
コリメータ:Φ0.8mm
解析ソフト:CrystalStructure 4.0.1
(2)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜40°の範囲を走査速度2°/分で走査し、対称反射法で測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製RINT−UltimaIII
X線源:CuKα(λ=1.5418Å) 40kV 40mA
ゴニオメーター:横型ゴニオメーター
検出器:シンチレーションカウンタ
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=1.0mm
発散縦制限スリット=10mm
受光スリット=開放
散乱スリット=開放
(3)熱重量変化の測定
示差熱−熱重量同時測定装置を用いて、298〜650Kの温度範囲について測定した(JIS K7120に準拠)。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製Thermo plus TG8120
試料容器:株式会社リガク製TG−DTA Thermo plus用アルミパン
測定雰囲気:空気
窒素ガス流量:100mL/分
昇温速度:5K/分
(4)吸着等温線または吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着量装置を用いて容量法によりガス吸着量の測定を行い、吸着等温線または吸脱着等温線を作成した(JIS Z8831−2に準拠)。このとき、測定に先立って試料を373K、0.5Paで5時間乾燥し、吸着水などを除去した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
(5)破過曲線の測定
ガス流量計とバルブ類を備えたステンレスチューブでボンベと接続した内容積10mLの耐圧ガラス容器を用意した。測定は、耐圧ガラス容器に試料を入れ、373K、25Paで3時間乾燥し、吸着水などを除去した後に、混合ガスを流通させることで行った。このとき、出口ガスを2分おきにサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析することで出口ガスの組成を算出した(入口ガスの組成はあらかじめガスクロマトグラフィーを用いて測定)。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社島津製作所製GC−14B
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製Unibeads C 60/80
カラム温度:200℃
キャリアガス:ヘリウム
注入量:1.0mL
検出器:TCD
<合成例1>
窒素雰囲気下、塩化マグネシウム六水和物0.203g(1.0mmol)、テレフタル酸0.166g(1.0mmol)及び4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド0.094g(0.5mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、423Kで24時間攪拌した。析出した結晶について、単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。本配位高分子の骨格の組成は、マグネシウムイオン:テレフタル酸アニオン:4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド=2:2:1であった。また、結晶構造を図1に示す。
Monoclinic(C2/c)
a=18.2716(9)Å
b=17.2585(9)Å
c=13.5539(7)Å
α=90.0000°
β=129.6663(13)°
γ=90.0000°
V=3290.1(3)Å
Z=4
R=0.0554
Rw=0.1641
析出した配位高分子を吸引濾過により回収した後、N,N−ジメチルホルムアミドで3回洗浄した。続いて、298K、50Paで2時間乾燥し、目的の配位高分子0.292g(収率40%)を得た。得られた配位高分子の粉末X線回折パターンを図2に示す。
<合成例2>
窒素雰囲気下、硝酸カルシウム四水和物0.590g(2.5mmol)、テレフタル酸0.415g(2.5mmol)及び4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド0.941g(5.0mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド100mLに溶解させ、353Kで48時間加熱した。析出した結晶について、単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。本配位高分子の骨格の組成は、カルシウムイオン:テレフタル酸アニオン:4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド=1:1:1であった。また、結晶構造を図3に示す。
Monoclinic(C2/c)
a=21.768(3)Å
b=19.376(3)Å
c=10.1591(13)Å
α=90.0000°
β=120.292(4)°
γ=90.0000°
V=3699.8(9)Å
Z=4
R=0.1160
Rw=0.3547
析出した配位高分子を吸引濾過により回収した後、エタノールで3回洗浄した。続いて、298K、50Paで2時間乾燥し、目的の配位高分子0.526g(収率54%)を得た。得られた配位高分子の粉末X線回折パターンを図4に示す。
<合成例3>
窒素雰囲気下、酢酸マグネシウム六水和物0.107g(0.50mmol)及び4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド0.094g(0.50mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、423Kで6時間加熱した。析出した結晶について、単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。本配位高分子の骨格の組成は、マグネシウムイオン:酢酸アニオン:4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド=2:4:1であった。また、結晶構造を図5に示す。
Monoclinic(C2/c)
a=22.2003(19)Å
b=7.3575(7)Å
c=15.5257(12)Å
α=90.0000°
β=130.5877(18)°
γ=90.0000°
V=1925.8(3)Å
Z=4
R=0.1018
Rw=0.3757
析出した配位高分子を吸引濾過により回収した後、メタノールで3回洗浄した。続いて、298K、50Paで2時間乾燥し、目的の配位高分子0.097g(収率82%)を得た。得られた配位高分子の粉末X線回折パターンを図6に示す。
<比較合成例1>
非特許文献1に記載の方法を参考に合成を行った。窒素雰囲気下、50%硝酸マンガン水溶液50μL(マンガンイオン0.13mmol相当)、テレフタル酸0.022g(0.13mmol)及び4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド0.012g(0.065mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド6mLに溶解させ、393Kで6時間攪拌した。析出した配位高分子を吸引濾過により回収した後、N,N−ジメチルホルムアミドで3回洗浄した。続いて、298K、50Paで2時間乾燥し、目的の配位高分子0.0094g(収率18%)を得た。得られた配位高分子の粉末X線回折パターンを図7に示す。
<実施例1>
合成例1で得た配位高分子について、空気雰囲気下における熱重量変化を測定した。結果を図8に示す。
<実施例2>
合成例2で得た配位高分子について、空気雰囲気下における熱重量変化を測定した。結果を図8に示す。
<比較例1>
比較合成例1で得た配位高分子について、空気雰囲気下における熱重量変化を測定した。結果を図8に示す。
図8より、本発明の構成要件を満たす合成例1で得た配位高分子の分解開始温度は580K、合成例2で得た配位高分子の分解開始温度は585Kであり、本発明の構成要件を満たさない比較合成例1で得た配位高分子の分解開始温度は510Kであることから、本発明の配位高分子が安定性に優れていることは明らかである。このような差が生じた理由は必ずしも定かではないが、本発明の構成金属イオンを用いることで、金属イオンと酸素との反応性が低下し、優れた安定性が発現したと考えられる。
<実施例3>
合成例1で得た配位高分子について、298Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸着等温線を作成した。結果を図9に示す。
<実施例4>
合成例2で得た配位高分子について、298Kにおける二酸化炭素の吸着量を容量法により測定し、吸着等温線を作成した。結果を図9に示す。
図9より、本発明の構成要件を満たす合成例1及び合成例2で得た配位高分子は圧力の増加と共に二酸化炭素を吸着するので、本発明の配位高分子が二酸化炭素の吸着材として使用できることは明らかである。
<実施例5>
合成例1で得た配位高分子について、298Kにおけるエチレンの吸着量を容量法により測定し、吸着等温線を作成した。結果を図10に示す。
<実施例6>
合成例2で得た配位高分子について、298Kにおけるエチレンの吸着量を容量法により測定し、吸着等温線を作成した。結果を図10に示す。
図10より、本発明の構成要件を満たす合成例1及び合成例2で得た配位高分子は圧力の増加と共にエチレンを吸着するので、本発明の配位高分子がエチレンの吸着材として使用できることは明らかである。
<実施例7>
合成例1で得た配位高分子について、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図11に示す。
<実施例8>
合成例2で得た配位高分子について、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着量を容量法により測定し、吸脱着等温線を作成した。結果を図12に示す。
図11及び図12より、本発明の構成要件を満たす合成例1及び合成例2で得た配位高分子は圧力の増加と共に二酸化炭素を吸着し、また、圧力の減少と共に二酸化炭素を放出するので、本発明の配位高分子が二酸化炭素の吸蔵材として使用できることは明らかである。
<実施例9>
合成例1で得た配位高分子について、容量比でメタン:二酸化炭素=60:40からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、298K、0.8MPa、空間速度3min−1における破過曲線の測定を行い、ガス分離性能を評価した。結果を図13に示す。
<実施例10>
合成例2で得た配位高分子について、容量比でメタン:二酸化炭素=60:40からなるメタンと二酸化炭素の混合ガスを用い、298K、0.8MPa、空間速度3min−1における破過曲線の測定を行い、ガス分離性能を評価した。結果を図14に示す。
図13及び図14より、本発明の構成要件を満たす合成例1及び合成例2で得た配位高分子は二酸化炭素を優先的に吸着し、メタンを99.5%以上にまで濃縮することができることがわかる。二酸化炭素の破過時間(二酸化炭素が出口ガスに検出されるまでの時間)が長く、その間メタンのみを取り出せるので、本発明の配位高分子がメタンと二酸化炭素の分離材として使用できることは明らかである。また、図11及び図12より、本発明の配位高分子は、圧力の減少と共に吸着した二酸化炭素を放出するので、圧力スイング吸着法に用いる分離材として使用できることは明らかである。

Claims (13)

  1. リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを含む配位高分子。
  2. 該配位高分子がさらにアニオン性配位子を含む請求項1に記載の配位高分子。
  3. 該アミン−N−オキシド化合物が、置換または非置換のピリジン−N−オキシド及び置換または非置換の4,4’−ビピリジン−N,N’−ジオキシドから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の配位高分子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の配位高分子からなる吸着材。
  5. 該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である請求項4に記載の吸着材。
  6. 請求項1〜3のいずれに記載の配位高分子からなる吸蔵材。
  7. 該吸蔵材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸蔵材である請求項6に記載の吸蔵材。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の配位高分子からなる分離材。
  9. 該分離材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を分離するための分離材である請求項8に記載の分離材。
  10. 該分離材が、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素、エチレンと二酸化炭素、メタンとエタン、エタンとエチレン、プロパンとプロペンまたは空気とメタンを分離するための分離材である請求項8に記載の分離材。
  11. 配位高分子と混合ガスとを0.01〜10MPaの圧力範囲で接触させる工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の分離材を用いる分離方法。
  12. 該分離方法が圧力スイング吸着法である請求項11に記載の分離方法。
  13. リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン及びインジウムイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、不対電子を有さないアミン−N−オキシド化合物とを溶媒中で反応させ、析出させる、請求項1に記載の配位高分子の製造方法。
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