図1は、本発明の関連技術に係る使い捨ておむつ1を広げた状態にて示す平面図である。使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを、左右両側の接続部4により腰周りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつであり、着用者からの排泄物を受ける。図1では、着用時に着用者に接する側(すなわち、着用者側)の面を手前にして使い捨ておむつ1を描いている。
図2は、使い捨ておむつ1を図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な左右方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
本体部2の図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「股下部202」と呼ぶ。使い捨ておむつ1では、本体部2が前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の幅が、股下部202の幅よりも大きい。
使い捨ておむつ1は、後方部203の両側部に取り付けられた一対の接続部4をさらに備える。使い捨ておむつ1が着用者に装着される際には、本体部2の前方部201および後方部203をそれぞれ着用者の腹側および背側に当接させた状態で、一対の接続部4が、図3に示すように、前方部201の外面(すなわち、着用者に接する面とは反対側の面)の被止着部26に止着されることにより、後方部203の両側部が前方部201の両側部に接続される。
図1および図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図2では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。図1に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、股下部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型とされる。
図3に示す被止着部26は、バックシート23の外面(すなわち、吸収コア22と対向する面とは反対側の面)上に、平面視において吸収コア22(図1および図2参照)と重なるように接合される。被止着部26は、バックシート23上にホットメルト接着剤等により接合される面ファスナのループ部材であり、樹脂等により形成されたベースシート、および、ベースシートのバックシート23に接合される面とは反対側の面に設けられる微細ループ構造を有する。微細ループ構造とは、多数の微細なループ要素の集合を意味する。
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。また、サイドシート3の左右方向の外側の部位は、バックシート23のトップシート21から露出する部位、および、トップシート21の左右方向のエッジ近傍の部位に、長手方向の全長に亘ってホットメルト接着剤を介して接合される。サイドシート3は、サイドシート本体31、および、サイドシート本体31の左右方向の内縁部である自由端にホットメルト接着剤により接合されて長手方向に伸びる弾性部材32aを備える。
図1に示す本体部2の長手方向の両端部では、各サイドシート3の左右方向の内側の部位(すなわち、本体部2の左右方向の中心軸側の部位)が、トップシート21の着用者側の面にホットメルト接着剤を介して接合される。また、本体部2の股下部202では、サイドシート3の左右方向の外縁近傍の部位において、長手方向に伸びる2本の弾性部材32bが、サイドシート3とバックシート23とに挟まれてホットメルト接着剤により接合されている。これらのホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合やサイドシート3とトップシート21との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
図1および図2に示す各サイドシート3では、サイドシート本体31の長手方向の両端部の間(すなわち、長手方向の中央部)における内側の部位313が、トップシート21(および他の構成)とは非接合とされており、弾性部材32aが収縮することにより、当該部位313が、図2に示すように、着用者に向かって立ち上がり、着用者の脚の付け根近傍に当接する側壁部(いわゆる、立体ギャザー)となる。また、弾性部材32bが収縮することにより、サイドシート3およびバックシート23が着用者側かつ内側に向かって立ち上がってレッグギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に着用者の足の付け根近傍に密着する。
図1に示すように、本体部2の長手方向の両端部にはそれぞれ、トップシート21とバックシート23とに挟まれるとともに左右方向に伸びる3本の弾性部材25が設けられる。使い捨ておむつ1では、伸張状態にてトップシート21およびバックシート23に接合された弾性部材25が収縮することによりウエストギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に本体部2が着用者の腰周りに密着する。使い捨ておむつ1では、弾性部材32a,32b、並びに、弾性部材25により本体部2が着用者に密着することにより、脚周りおよび腰周りからの尿等の漏出が防止される。
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布が利用されてもよい。
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。例えば、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことが防止される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。弾性部材32a,32b,25としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、図1に示す使い捨ておむつ1では、ポリウレタン糸が各弾性部材として利用される。
図4は、一対の接続部4のうち一方の接続部4近傍を拡大して示す平面図であり、他方の接続部4の構造も図4に示すものと同様である。一対の接続部4はそれぞれ、本体部2の長手方向(すなわち、図1および図4中の上下方向であり、以下、「本体長手方向」ともいう。)に配列される2つの止着テープ41、および、2つの止着テープ41の左右方向の内側(すなわち、本体部2側)に位置する略矩形の共通基部42を備え、2つの止着テープ41の構造および形状は同様である。換言すれば、図1に示す使い捨ておむつ1は、本体部2の後方部203の左右両側に取り付けられる一対の止着テープ41を備え、当該一対の止着テープ41と同様の他の一対の止着テープ41を、本体長手方向において上記一対の止着テープ41に隣接してさらに備える。
各止着テープ41は、使い捨ておむつ1の使用前の状態では、図4に示すように、左右方向の内側に折り返されており、使い捨ておむつ1の使用時には、図5に示すように、本体部2の後方部203の両側部から左右方向へと広げられる。左右方向に広げられた状態における各止着テープ41の左右方向の長さは、共通基部42の本体部2から露出している部位の左右方向の長さよりも長い。
各接続部4では、2つの止着テープ41のそれぞれが、使用時に左右方向へと広げられるテープ状のテープ基部413、並びに、広げられた状態におけるテープ基部413の一方の主面414(すなわち、図5中における手前側の面)上に設けられる第1止着部411および第2止着部412を備える。図5では、図の理解を容易にするために、第1止着部411および第2止着部412に平行斜線を付す。テープ基部413の主面414は、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に本体部2の前方部201(図3参照)に対向する面であり、以下、「内面414」という。各テープ基部413の内面414では、第1止着部411および第2止着部412がテープ基部413を本体長手方向に横断するように設けられ、第2止着部412が第1止着部411から中間領域415を介して本体部2側に離間して配置される。
第1止着部411および第2止着部412はそれぞれ、本体部2の前方部201の外面に設けられた被止着部26(図3参照)に対して止着可能な面ファスナのフック部材であり、テープ基部413の内面414上にホットメルト接着剤等により接合される。第1止着部411および第2止着部412はそれぞれ、樹脂等により形成されたベースシート、および、ベースシートのテープ基部413に接合される面とは反対側の面に設けられる微細フック構造を有する。第1止着部411および第2止着部412にそれぞれ設けられた微細フック構造は、多数の微細なフック要素の集合であり、被止着部26の微細ループ構造と互いに係合する(すなわち、被止着部26に対して止着可能である。)。
各接続部4では、2つの止着テープ41の2つのテープ基部413、および、共通基部42は樹脂等により形成された1つの接続部シート40の一部であり、2つの止着テープ41を左右方向に広げた状態では、2つのテープ基部413はそれぞれ、共通基部42から左右方向の外側(すなわち、本体部2とは反対側)に向かって突出する。また、共通基部42の内端部(接続部シート40の内端部でもある。)は、本体部2のサイドシート3とバックシート23との間に挟まれて接合され、共通基部42の内端部以外の部位は、本体部2から左右方向の外側に向かって突出する。
換言すれば、2つのテープ基部413は、本体部2側にて連続する1つの接続部シート40の一部であり、接続部シート40における2つのテープ基部413の接続部分である共通基部42は、本体部2の側方のエッジから側方へとはみ出している。なお、トップシート21(図2参照)の外縁がバックシート23の外縁に比較的近い位置に位置している場合には、共通基部42の内端部は、トップシート21とバックシート23との間に接合されてもよい。
各接続部4では、2つの止着テープ41のそれぞれの幅(すなわち、図5中の上下方向である本体長手方向におけるテープ基部413の長さ)が、テープ基部413の先端である左右方向の外側の端部に向かうに従って漸次減少する。各止着テープ41では、第1止着部411および第2止着部412はそれぞれ、テープ基部413の幅方向(本体長手方向に一致する方向であり、以下、「テープ幅方向」という。)の全体に亘ってテープ基部413上に設けられる。また、第2止着部412は、共通基部42の外エッジ421よりも左右方向の外側に位置し、共通基部42から離間している。
以下、テープ基部413における第2止着部412の本体部2側のエッジである内エッジ4122と共通基部42の外エッジ421との間の部位を「内側領域416」という。また、テープ基部413における第1止着部411の外エッジ4111(すなわち、テープ基部413の先端側のエッジ)よりも外側の部位を「外側領域417」という。中間領域415、内側領域416および外側領域417には、上述のフック部材は設けられない。
各止着テープ41では、第1止着部411の外エッジ4111と第2止着部412の内エッジ4122との間の左右方向の距離L1は、第1止着部411と第2止着部412との間の領域である中間領域415におけるテープ基部413のテープ幅方向の幅W1(ここでは、中間領域415の左右方向の中央における幅を指すものとする。)よりも大きい。中間領域415の左右方向の長さL2(すなわち、第1止着部411の内エッジ4112と第2止着部412の外エッジ4121との間の左右方向の距離)は、中間領域415におけるテープ基部413の幅W1の25%以上であることが好ましく、より好ましくはW1以上である。また、中間領域415の左右方向の長さL2は、第1止着部411および第2止着部412のそれぞれの左右方向の長さ(幅)よりも大きい。
上述のように、各接続部4における2つの止着テープ41の構造および形状は同様であるため、左右一対の止着テープ41におけるL1は他の左右一対の止着テープ41におけるW1よりも大きく、好ましくは、一対の止着テープ41におけるL2は他の一対の止着テープ41におけるW1の25%以上(より好ましくは、W1以上)である。図5に示す例では、各止着テープ41におけるL2はそれぞれW1に等しい。また、各止着テープ41におけるL1はL2のおよそ160%であり、第1止着部411および第2止着部412のそれぞれの左右方向の長さ(幅)はL2のおよそ30%である。
各接続部4では、接続部シート40が白色の樹脂材料により形成されており、第1止着部411および第2止着部412が白色以外の有色の樹脂材料により形成されている。このため、2つの止着テープ41のそれぞれにおいて、テープ基部413の内面414における第1止着部411および第2止着部412の視認が容易になるとともに、テープ基部413の外面からテープ基部413を透かして第1止着部411および第2止着部412の位置が視認可能となっている。
図6は、使い捨ておむつ1の接続部4近傍の部位を図4中のB−Bの位置にて切断した断面図である。図4および図6に示すように、テープ基部413は、使い捨ておむつ1の使用前の状態において、第1止着部411と第2止着部412との間の中間領域415に位置する折り返し線431にて、左右方向の内側(すなわち、本体部2側)へと折り返されている。折り返し線431は、第2止着部412の外エッジ4121におよそ重なっており、第2止着部412は、テープ基部413の内面414のうち第1止着部411に隣接する中間領域415に仮止着されている。また、第1止着部411は、共通基部42の内面422(すなわち、テープ基部413の内面414から連続して広がる面のうち第2止着部412よりも左右方向の内側の領域)に仮止着されている。ここで、2つのテープ基部413の内面414と共通基部42の内面422とをまとめて接続部シート40の内面401と呼ぶと、各止着テープ41の第1止着部411および第2止着部412は、接続部シート40の内面401に互いを避けて(すなわち、互いに重なることなく)仮止着されている。
上述の仮止着とは、第1止着部411および第2止着部412の被止着部26(図3参照)に対する止着に比べて小さい止着強度にて行われる止着を意味する。第1止着部411および第2止着部412の仮止着は使い捨ておむつ1の製造の際に行われ、使い捨ておむつ1は、第1止着部411および第2止着部412が仮止着された状態で梱包される。そして、使い捨ておむつ1が着用者に装着される際に、看護士や介護士等の作業者により、各止着テープ41の第1止着部411および第2止着部412の仮止着が解除され(すなわち、第1止着部411および第2止着部412が仮止着された部位から剥離され)、各止着テープ41が左右方向に広げられる。
使い捨ておむつ1では、使用前の状態において、各止着テープ41が折り返し線431にて折り返され、第1止着部411および第2止着部412がそれぞれ、共通基部42の内面422およびテープ基部413の内面414に仮止着されていることにより、止着テープ41の左右への突出長を短くすることができる。その結果、使い捨ておむつ1の製造の際に、止着テープ41が意図しない部位に止着して不良品が製造されてしまうことを防止することができる。また、第1止着部411および第2止着部412が接続部シート40の内面401に互いに重なることなく仮止着されることにより、第1止着部411の微細フック構造と第2止着部412の微細フック構造とが重なって潰れたり、両微細フック構造が強く係合して剥離される際に破損することが防止される。
使い捨ておむつ1では、第2止着部412がテープ基部413の中間領域415に仮止着されることにより、止着テープ41の左右への突出長をより短くすることができる。また、折り返し線431が第2止着部412の外エッジ4121とおよそ重なることにより、止着テープ41の左右への突出長をさらに短くすることができる。
図4に示すように、使用前の状態における使い捨ておむつ1では、第2止着部412の一部(本体長手方向の中央部)がテープ基部413と重なっており、第2止着部412の他の一部(本体長手方向の両端部)がテープ基部413と重なっていない(すなわち、テープ基部413から露出している。)。図4では、第2止着部412のうちテープ基部413と重なっていない部位4123に平行斜線を付す。
使い捨ておむつ1では、図7および図8に示すように、各止着テープ41のテープ基部413が、もう1つの折り返し線432にて本体部2側へとさらに折り返されていてもよい。折り返し線432は、テープ基部413を広げた状態において、第2止着部412と本体部2との間に位置する。図8は、接続部4近傍の部位を図7中のC−Cの位置にて切断した断面図である。図7に示すように、折り返し線432は、共通基部42の外エッジ421におよそ重なる。このとき、上述の第2止着部412のテープ基部413と重なっていない部位である露出部4123(図7中においても平行斜線を付す。)は、共通基部42の内面422(すなわち、折り返し線432よりも左右方向の内側の領域)に仮止着されている。これにより、止着テープ41の左右への突出長をより短くすることができる。
使い捨ておむつ1が着用者に装着される際には、左右方向に広げられた各止着テープ41が、図3に示すように前方部201の被止着部26に止着される。使い捨ておむつ1では、各止着テープ41が、左右方向に離間する第1止着部411および第2止着部412(図5参照)により被止着部26に止着されるため、止着テープ41が着用者の動作に追従して容易に変形する。その結果、止着テープ41が着用者の動作等により被止着部26から剥離してしまうことが抑制される。
使い捨ておむつ1が着用者の体型に対して大きい等の場合には(例えば、通常の着用者よりも痩せている着用者に対して使い捨ておむつ1が装着される際には)、各接続部4において、本体長手方向に配列された2つの止着テープ41のうち一方の止着テープ41が被止着部26に止着された後、他方の止着テープ41が一方の止着テープ41を跨ぐように被止着部26に止着される。例えば、各接続部4において、図9中の上側に位置する止着テープ(以下、「第1止着テープ41a」という。)が、先端を斜め下に向けて被止着部26に止着され、図9中の下側に位置する止着テープ(以下、「第2止着テープ41b」という。)が、先端を斜め上に向けて第1止着テープ41a上に重なった状態で被止着部26に止着される。これにより、本体部2の長手方向の両端部において前方部201および後方部203が着用者の腰周りにフィットするとともに、本体部の両側端部が着用者の両脚の付け根近傍にフィットする。
図10は、一対の接続部4のうち一方の接続部4近傍を拡大して示す図である。図10に示すように、被止着部26上では、第1止着テープ41aと第1止着テープ41aの上に重なる第2止着テープ41bとがおよそ垂直に交差する。すなわち、第1止着テープ41aの左右方向に伸びる中心線419aと第2止着テープ41bの左右方向に伸びる中心線419bとの為す角度θがおよそ90°となるように第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとが交差する。第1止着テープ41aの中間領域415は、第2止着テープ41bの中間領域415と重なっており、第2止着テープ41bの中間領域415の両側に配置された第1止着部411および第2止着部412が、第1止着テープ41aのテープ幅方向の両側において(すなわち、第1止着テープ41aを跨いで)被止着部26に止着される。図10では、図の理解を容易にするために、第1止着部411および第2止着部412に平行斜線を付す。
使い捨ておむつ1では、使い捨ておむつ1を装着する際の取り扱いを容易にするために、あるいは、使い捨ておむつ1の製造を容易にするために、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの長さがある程度の大きさ以下に制限され、その結果、各止着テープにおける第1止着部411の外エッジ4111と第2止着部412の内エッジ4122との間の距離L1(図5参照)にも上限が設けられる。接続部4では、止着テープの重ね止めの際に第1止着テープ41aの上に重なる第2止着テープ41bにおいて、第1止着部411と第2止着部412との間にフック部材が接合されない中間領域415を設けることにより、止着部(すなわち、第1止着部411および第2止着部412)の合計面積を小さくすることができる。これにより、使い捨ておむつ1の製造コストを低減することができる。
また、第2止着テープ41bの第1止着部411の外エッジ4111と第2止着部412の内エッジ4122との間の距離L1を、第1止着テープ41aの中間領域415におけるテープ基部413の幅W1(図5参照)よりも大きくすることにより、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めの際に、第2止着テープ41bの第1止着部411および第2止着部412のそれぞれの少なくとも一部を、第1止着テープ41aに重ねることなく前方部201の被止着部26に容易に止着することができる。その結果、使い捨ておむつ1を着用者に対してフィットさせることができる。
使い捨ておむつ1では、第1止着テープ41aにおいても、第2止着テープ41bと同様に、第1止着部411と第2止着部412との間にフック部材が接合されない中間領域415を設けることにより、第1止着部411と第2止着部412との合計面積を小さくすることができる。また、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に、第2止着テープ41bを被止着部26に止着した後に第1止着テープ41aを第2止着テープ41b上に重ねて被止着部26に止着する場合においても、第1止着テープ41aの第1止着部411および第2止着部412の少なくとも一部が、第2止着テープ41bと重なることなく被止着部26に容易に止着される。
使い捨ておむつ1では、各止着テープ41において、第1止着部411の外エッジ4111の上端と第2止着部412の内エッジ4122の下端との間の距離が、好ましくは中間領域415の幅W1以上である。これにより、止着テープ41の重ね止めの際に、上に重なる止着テープ41の第1止着部411および第2止着部412のそれぞれの少なくとも一部を、前方部201の被止着部26により容易に止着することができる。
接続部4では、第2止着テープ41bの中間領域415の長さL2(図5参照)が、第1止着テープ41aの中間領域415の幅W1以上とされることにより、第2止着テープ41bを第1止着テープ41a上に重ねて被止着部26に止着する際に第2止着テープ41bの止着に利用されない可能性が高い部位(すなわち、第1止着テープ41a上に重なる部位)に止着部が設けられることを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。また、第1止着テープ41aの中間領域415の長さL2が、第2止着テープ41bの中間領域415の幅W1以上とされることにより、第1止着テープ41aを第2止着テープ41b上に重ねて被止着部26に止着する際に第1止着テープ41aの止着に利用されない可能性が高い部位(すなわち、第2止着テープ41b上に重なる部位)に止着部が設けられることを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。
使い捨ておむつ1では、各止着テープ41において、第1止着部411の内エッジ4112の上端と第2止着部412の外エッジ4121の下端との間の距離が、好ましくは中間領域415の幅W1以上である。これにより、止着テープ41の重ね止めの際に、上に重なる止着テープ41の止着に利用されない可能性が高い部位に止着部が設けられることを抑制して止着部の合計面積をより小さくすることができる。
接続部4における止着テープの重ね止めの際には、第1止着テープ41aの中心線419aと第2止着テープ41bの中心線419bとの為す角度θは必ずしもおよそ90°には限定されず、例えば、角度θ(すなわち、中心線419aと中心線419bとの交点から第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの先端にそれぞれ向かう中心線419a,419bが為す角度)が30°以上90°以下となるように、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとが重ねられてもよい。
接続部4では、第2止着テープ41bの中間領域415の長さL2が、第1止着テープ41aの中間領域415の幅W1の25%以上とされる場合であっても、第2止着テープ41bを第1止着テープ41a上に重ねて被止着部26に止着する際に、通常の止着作業における角度θの範囲において、第2止着テープ41bの止着に利用されない可能性が高い部位に止着部が設けられることをある程度抑制することができ、止着部の合計面積を小さくすることができる。
また、第1止着テープ41aの中間領域415の長さL2が、第2止着テープ41bの中間領域415の幅W1の25%以上とされる場合は、第1止着テープ41aを第2止着テープ41b上に重ねて被止着部26に止着する際に、通常の止着作業における角度θの範囲において第1止着テープ41aの止着に利用されない可能性が高い部位に止着部が設けられることをさらに抑制することができる。その結果、止着部の合計面積をより小さくすることができる。
接続部4では、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bのそれぞれの幅が、テープ基部413の先端に向かうに従って漸次減少する。このため、止着テープの重ね止めの際に、後から止着される止着テープ(すなわち、他方の止着テープ上に重ねて被止着部26に止着される止着テープ)の第1止着部411を、先に止着された止着テープを避けて被止着部26に容易に止着することができる。その結果、後から被止着部26に止着される止着テープの先端部を被止着部26に強固に止着することができる。
接続部4では、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの2つのテープ基部413が本体部2側にて連続する1つの接続部シート40の一部であり、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの第2止着部412が、接続部シート40の共通基部42よりも左右方向の外側に位置する。このため、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bの根本部分(すなわち、第2止着部412と共通基部42との間の部位)の剛性が過剰に大きくなることが防止され、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bを根本部分にて容易に変形することができる。その結果、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めを容易に行うことができる。また、共通基部42が本体部2の側方エッジから側方へとはみ出しているため、共通基部42を変形させて第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとを容易に近づけることができる。その結果、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めをより容易に行うことができる。
さらに、第1止着テープ41aおよび第2止着テープ41bにおいて、第1止着部411および第2止着部412の位置がテープ基部413の外面から視認可能であることにより、第1止着テープ41aと第2止着テープ41bとの重ね止めの際に、2つの止着テープの中間領域415の重複面積を容易に大きくすることができる。換言すれば、後から被止着部26に止着される止着テープの第1止着部411および第2止着部412が、先に止着された止着テープと広い範囲に亘って重なってしまうことを防止することができる。その結果、後から被止着部26に止着される止着テープを被止着部26に強固に止着することができる。
次に、本発明の一の実施の形態に係る使い捨ておむつについて説明する。図11は、一の実施の形態に係る使い捨ておむつの接続部4近傍の部位の平面図であり、図12は、接続部4近傍の部位を図11中のD−Dの位置にて切断した断面図である。一の実施の形態に係る使い捨ておむつは、使用前の状態における各止着テープ41の折り返し形状が異なる点を除き、図1に示す使い捨ておむつ1と同様の構造を有する。以下の説明では、一の実施の形態に係る使い捨ておむつの各構成に、図1ないし図5に示す使い捨ておむつ1の対応する構成と同符号を付す。
図11および図12に示すように、各止着テープ41のテープ基部413は、使い捨ておむつ1の使用前の状態において、第1止着部411と第2止着部412との間の中間領域415に位置する折り返し線431にて、左右方向の内側(すなわち、本体部2側)へと折り返されている。第1止着部411は、テープ基部413の内面414のうち第2止着部412に隣接する中間領域415に仮止着されており、第2止着部412は、テープ基部413の内面414のうち第1止着部411よりもテープ基部413の先端側の外側領域417に仮止着されている。第1止着部411の外エッジ4111は、第2止着部412の外エッジ4121におよそ一致している。換言すれば、各止着テープ41の第1止着部411および第2止着部412は、テープ基部413の内面414に互いを避けて(すなわち、互いに重なることなく)仮止着されている。
使い捨ておむつ1では、使用前の状態において、各止着テープ41が折り返し線431にて折り返され、第1止着部411および第2止着部412がテープ基部413の内面414に仮止着されることにより、図1に示す使い捨ておむつ1と同様に、止着テープ41の左右への突出長を短くすることができる。また、第1止着部411および第2止着部412がテープ基部413の内面414に互いに重なることなく仮止着されることにより、第1止着部411の微細フック構造と第2止着部412の微細フック構造とが重なって潰れたり、両微細フック構造が係合して剥離される際に破損することが防止される。
図11に示すように、使用前の状態における使い捨ておむつでは、第2止着部412の一部(本体長手方向の中央部における外エッジ4121近傍の部位)がテープ基部413に重なっており、第2止着部412の他の一部(本体長手方向の両端部および内エッジ4122近傍の部位)はテープ基部413に重なっていない(すなわち、テープ基部413から露出している。)。図11では、第2止着部412のうちテープ基部413と重なっていない部位4124に平行斜線を付す。
使い捨ておむつでは、図13および図14に示すように、各止着テープ41のテープ基部413が、もう1つの折り返し線432にて本体部2側へとさらに折り返されていてもよい。折り返し線432は、テープ基部413を広げた状態において、第2止着部412と本体部2との間に位置する。図14は、接続部4近傍の部位を図13中のE−Eの位置にて切断した断面図である。図13に示すように、折り返し線432は、共通基部42の外エッジ421におよそ重なる。このとき、上述の第2止着部412のテープ基部413と重なっていない部位である露出部4124(図13中にもおいて平行斜線を付す。)は、共通基部42の内面422(すなわち、折り返し線432よりも左右方向の内側の領域)に仮止着されている。これにより、止着テープ41の左右への突出長をより短くすることができる。
上述の関連技術および一の実施の形態に係る使い捨ておむつでは、各止着テープ41において、第1止着部411の被止着部26に対する単位面積当たりの止着強度は、第2止着部412の被止着部26に対する単位面積当たりの止着強度に等しく、また、第1止着部411の左右方向の幅は第2止着部412の左右方向の幅に等しい。このため、1つの長尺状のフック部材により第1止着部411および第2止着部412を形成することができ、接続部4の製造を簡素化することができる。
本発明に係る使い捨ておむつの他の例では、第1止着部411の被止着部26に対する止着強度は、第2止着部412の被止着部26に対する止着強度よりも大きい。使い捨ておむつでは、止着テープ41のテープ基部413が着用者の衣服に引っかかった場合等、止着テープ41を剥離する方向の力が加えられた際に、テープ基部413の先端に近い第1止着部411に第2止着部412よりも大きい力が加わることが多い。そこで、上述のように、第1止着部411の被止着部26に対する止着強度を、第2止着部412の被止着部26に対する止着強度よりも大きくすることにより、止着テープ41の意図しない剥離を抑制することができる。
第1止着部411および第2止着部412の被止着部26に対する止着強度の差は、例えば、第1止着部411の面積を第2止着部412の面積よりも大きくすることにより実現されてもよく、あるいは、第2止着部412よりも被止着部26に対する単位面積当たりの止着強度が大きいフック部材が第1止着部411として利用されることにより実現されてもよい。
以上、本発明の実施の形態および関連技術について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、関連技術に係る使い捨ておむつ1では、使用前の状態において、各止着テープ41の第1止着部411がテープ基部413の内面414のうち内側領域416に仮止着されてもよく、テープ基部413の内側領域416から共通基部42の内面422に亘って仮止着されてもよい。あるいは、第1止着部411はサイドシート3上に仮止着されてもよい。また、止着テープ41が、テープ基部413を広げた状態において第2止着部412よりも左右方向の内側に位置する折り返し線432にて折り返される場合、テープ基部413を広げた状態において第1止着部411に最も近い折り返し線433は、図15に示すように、折り返し線432から左右方向の内側へと離間してもよい。
上記実施の形態および関連技術に係る使い捨ておむつの各止着テープ41では、テープ基部413の内面414に微細フック構造が直接形成されて第1止着部411および第2止着部412とされてもよく、本体部2では、前方部201の外面に微細ループ構造が直接形成されて被止着部26とされてもよい。
各止着テープ41では、例えば、テープ基部413の外面に第1止着部411および第2止着部412の位置を示す目印が印刷されることにより、テープ基部413の外面から第1止着部411および第2止着部412の位置が視認可能とされてもよい。
各接続部4では、必ずしも共通基部42が設けられる必要はなく、2つの止着テープ41のそれぞれのテープ基部413の端部が本体部2に直接接合されてもよい。また、各接続部4が1つの止着テープ41のみを有していてもよい。各止着テープ41のそれぞれの幅は、例えば、テープ基部413の左右方向のおよそ全長に亘って一定であってもよい。