JP2014025898A - 核燃料製造装置及び核燃料製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トリウムを主原料とする核燃料を製造するときに核分裂性物質の分布を調整することが可能な核燃料製造装置及び核燃料製造方法を提供する。
【解決手段】
核燃料製造装置100は、イオン発射部101と、イオン発射部101から発射されたイオンビームを加速する荷電粒子加速器102と、加速されたイオンビームを受けたときに中性子を発射する中性子発生部103とを備える。また、中性子の照射対象であるトリウム塊を収容する容器104を保持する保持部105が中性子発生部103と対向するように設けられている。イオン発射部101によって発射されたイオンビームは荷電粒子加速器102によって加速され、中性子発生部103へと照射される。イオンビームを受けた中性子発生部103は中性子を発射し、この中性子が容器104中のトリウム集合体に照射され、これによってトリウム集合体中にウラン233がドープされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、トリウムを主原料とする核燃料を製造するための核燃料製造装置及び核燃料製造方法に関する。
トリウム−ウラン燃料サイクルは、天然トリウムの埋蔵量が天然ウランに比べて豊富であり、マイナーアクチノイドの生成量が少ないため高レベル放射性廃棄物の管理期間が短くて済む等、ウラン−プルトニウム燃料サイクルに対して多くの利点を有している。しかし、天然トリウムには中性子供給源となる核分裂性物質が含有されておらず、そのままでは核燃料として利用することができない。つまり、トリウム−ウラン燃料サイクル用の核燃料を得るためには、トリウムに核分裂性物質を添加する必要がある。
非特許文献1には、トリウム−ウラン燃料サイクルで運転されるトリウム熔融塩炉を起動するために、ウラン233を生産することが開示されている。生成されたウラン233はトリウム232の粉体等と機械により混合される。
三田地紘史、他4名、「BWRを用いたトリウム熔融塩炉起動用233Uの生成」、日本原子力学会和文論文誌、第8巻、第1号、p.1−10
しかしながら、上述したようにトリウム232の粉体等にウラン233等の核分裂性物質を機械的に混合する場合、混合が均一に行われない虞がある。また、核燃料の部位毎に核分裂性物質の含有率を調節(例えば、ある部分の含有率を2%、その他の部分の含有率を0.5%以下とする等)することはできなかった。
本発明は、斯かる事情を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができる核燃料製造装置及び核燃料製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の核燃料製造装置は、トリウムの集合体に対して中性子を発射する中性子発生源を備え、前記中性子発生源から発射された中性子を前記集合体に含まれるトリウム232に衝突させることにより、前記トリウム232をウラン233へ変化させる。
この態様において、前記中性子発生源は、荷電粒子を発射する荷電粒子発生源と、前記荷電粒子発生源により発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器と、前記荷電粒子加速器により加速された荷電粒子が衝突したときに、中性子を発射する中性子発生部と、を具備していてもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子加速器は、前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子の進行軌道に沿って互いに空間を隔てて配置された一対の電極と、前記一対の電極に直流電圧を印加するための直流電源と、前記直流電源と前記一対の電極の一方とを接続させ、又は接続を遮断させることにより、前記空間に電界を形成するためのスイッチと、前記荷電粒子発生源から荷電粒子が発射された後に、前記スイッチをオン/オフ制御することにより、前記荷電粒子を加速するための電界を前記空間に形成させる制御部と、を有していてもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子加速器は、前記スイッチに接続され、前記スイッチがオフからオン又はオンからオフに切り替えられたときに、前記空間に形成される電界の強さを時間に応じて増加させる応答遅れ生成部をさらに有し、前記制御部は、前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子が前記空間内を通過する間に、前記空間に形成される電界の強さが時間的に増加するように、前記スイッチをオン/オフ制御するように構成されていてもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子加速器は、前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子の進行軌道に沿って互いに空間を隔てて配置された複数の電極管をさらに備え、前記直流電源は、前記電極管に印加するための電圧を発生するように構成されており、前記一対の電極は、前記複数の電極管のうちの隣り合う一対の電極管であってもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子加速器は、その荷電粒子出力強度が10kW以上200kW以下であってもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子発生源は、互いに異なる複数の進行軌道のそれぞれに複数の荷電粒子を発射するように構成されており、前記電極管は、前記複数の進行軌道のそれぞれに沿って、空間を隔てて直列的に並べられており、前記複数の進行軌道のそれぞれに対応する複数の電極管からなる電極管群が、前記荷電粒子発生源によって発射される荷電粒子が通過する順番に複数段設けられており、前記核燃料製造装置は、前記直流電源と、一の段の電極管群とを接続することにより、前記一の段の電極管群と、前記一の段の電極管群と隣り合う他の段の電極管群との間の空間に荷電粒子を加速するための電界を形成するように構成されていてもよい。
また、上記態様において、前記荷電粒子加速器は、進行軌道1つ当たりにおける荷電粒子出力強度が10kW以上200kW以下であってもよい。
また、上記態様において、前記核燃料製造装置は、中性子の照射対象のトリウムの集合体を保持するための保持部を更に備えていてもよい。
また、上記態様において、前記保持部は、中性子を反射する中性子反射材によって構成されており、トリウムの集合体を取り囲むように保持し、前記中性子発生源から中性子が前記トリウムの集合体に照射されるように、前記中性子発生源と対向する部分に開口を有していてもよい。
また、上記態様において、前記保持部は、中性子を増倍する中性子増倍材によって構成されており、トリウムの集合体を取り囲むように保持可能に構成されていてもよい。この場合、前記保持部は、その中性子実効増倍率が0.95以下であってもよい。
また、上記態様において、前記保持部は、液体のトリウムの集合体を収容する容器を保持するように構成されており、前記集合体を撹拌するための撹拌部を具備していてもよい。
また、上記態様において、前記核燃料製造装置は、互いに配置を交換可能に構成された複数のブロックからなるトリウムの集合体に対して、前記中性子発生源から中性子を照射するように構成されていてもよい。
また、本発明の一の態様の核燃料製造方法は、トリウムの集合体に対して中性子発生源から中性子を発射し、前記中性子発生源から発射された中性子を前記集合体に含まれるトリウム232に衝突させることにより、前記トリウム232をウラン233へ変化させる。
また、上記態様において、前記中性子発生源は、荷電粒子発生源と、荷電粒子加速器と、中性子発生部とを備え、前記核燃料製造方法は、荷電粒子発生源から荷電粒子を発射するステップと、前記荷電粒子発生源により発射された荷電粒子を荷電粒子加速器により加速するステップと、前記荷電粒子加速器により加速された荷電粒子を中性子発生部に衝突させることにより、前記中性子発生部から中性子を発射するステップと、前記中性子発生部から発射された中性子をトリウムの集合体に衝突させるステップと、を有していてもよい。
本発明に係る核燃料製造装置及び核燃料製造方法によれば、トリウム232を主原料とする核燃料を製造するときに核分裂性物質の分布を調整することが可能となる。
実施の形態1に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図。 実施の形態1に係る荷電粒子加速器の概略構成を示す模式図。 実施の形態1に係る荷電粒子加速器の構成の一部を示す模式図。 加速電極管とダミー電極管との間のギャップに電界を形成するための回路を示す模式図。 保持部の構成を示す斜視図。 保持部の第1層の構成を示す斜視図。 保持部の第2層の構成を示す斜視図。 保持部の第3層の構成を示す斜視図。 実施の形態1に係る核燃料製造装置が有する制御部の処理の流れを示すフローチャート。 スイッチング素子の切り替え制御を示すタイミングチャート。 加速電極管とダミー電極管との間のギャップにおける電圧の時間的変化を示すグラフ。 スイッチング素子のオン/オフ制御を説明するための図。 イオンビームの半径方向への縮小の原理を説明する模式図。 実施の形態2に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図。 実施の形態2に係る核燃料製造装置によって製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフ。 実施の形態3に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図。 実施の形態3に係る核燃料製造装置によって製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフ。 実施の形態4に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図。 実施の形態4に係る核燃料製造装置によって製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフ。 実施の形態5に係る核燃料製造装置の概略構成を示す斜視図。 実施の形態5に係る荷電粒子加速器の構成を示す模式図。 実施の形態5に係る荷電粒子加速器が有する加速電極管の構成を示す模式図。 実施の形態6に係るトリウム集合体の保持部の構成を示す斜視図。 実施の形態7に係るトリウム集合体の容器の構成を示す斜視図。 実施の形態8に係るトリウム集合体の保持部の構成を示す断面図。 実施の形態9に係るトリウム集合体の保持部の構成の一部を示す斜視図。
以下、図及び表を用いて本発明の実施形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る核燃料製造装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図である。当該実施の形態に係る核燃料製造装置100は、荷電粒子を発射するイオン発射部101と、イオン発射部101から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器102と、荷電粒子加速器102によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部103とを備えている。また、中性子の照射対象であるトリウム塊を収容する容器104を保持する保持部105が中性子発生部103と対向するように設けられている。なお、中性子照射対象のトリウム塊は、大部分のトリウム232と、極めて少量のトリウム232の同位体とによって構成されている。本明細書において、トリウム232とその同位体との混成物を指す場合には「トリウム」と表記し、トリウム232のみを指す場合には「トリウム232」と表記する。
図2は、荷電粒子加速器102の概略構成を示す模式図である。当該実施の形態に係る荷電粒子加速器102は、線形加速器である。図2に示すように、荷電粒子加速器102は、荷電粒子を発射するイオン発射部101と、複数の加速電極管T,T,T,…,T28を備えている。イオン発射部101は、荷電粒子からなるイオンビームを発射可能に構成されている。以下の説明では、イオン発射部101の荷電粒子発射方向を「前方」といい、前記荷電粒子発射方向の反対方向を「後方」という。
イオン発射部101の前方には、加速電極管T,T,T,…,T28が並べて配置されている。イオン発射部101に最も近接した加速電極管Tの前後それぞれには、ダミー電極管DT,DTが設けられている。つまり、加速電極管Tは、ダミー電極管DT及びDTによって挟まれた状態で配置されている。後側のダミー電極管DTのさらに後方には、加速電極管T,T,…,T28が順番に配置されている。
図3は、実施の形態1に係る荷電粒子加速器の構成の一部を示す模式図である。図3に示すように、荷電粒子加速器102は、2つの高電圧直流電源P1,P2を備えている。高電圧直流電源P1の出力電圧は60kVであり、高電圧直流電源P2の出力電圧は20kVである。
高電圧直流電源P1は、陰極がスイッチング素子SWRを介して加速電極管Tに接続されている。また、高電圧直流電源P1の陰極は、スイッチング素子SWRを介して加速電極管Tに接続され、スイッチング素子SWRを介して加速電極管Tに接続され、同様にスイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28のそれぞれを介して加速電極管T,T,…,T28のそれぞれに接続されている。一方、高電圧直流電源P1の陽極は接地されている。
高電圧直流電源P2は、陽極がスイッチング素子SWFを介して加速電極管Tに接続されている。また、高電圧直流電源P2の陽極は、スイッチング素子SWFを介して加速電極管Tに接続され、スイッチング素子SWFを介して加速電極管Tに接続され、同様にスイッチング素子SWF,SWF,…,SWF28のそれぞれを介して加速電極管T,T,…,T28のそれぞれに接続されている。一方、高電圧直流電源P2の陰極は接地されている。
加速電極管Tは浮遊容量を持っており、浮遊容量によるコンデンサCの一方の電極は加速電極管Tに接続されており、コンデンサCの他方の電極は接地されている。
これにより、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにすると、高電圧直流電源P1と加速電極管Tとが接続されて、加速電極管Tの電位が変化する。ここで、後述するように、加速電極管T、高電圧直流電源P1、及びコンデンサCを含む回路は一次遅れ系となっている。このため、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにした後、加速電極管Tの電位は一次遅れで変化し、最終的に−60kVとなる。
他方、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにすると、高電圧直流電源P1と加速電極管Tとの接続は遮断され、高電圧直流電源P1と加速電極管Tとが接続されて、加速電極管Tの電位が変化する。ここでも、加速電極管T、高電圧直流電源P2、及びコンデンサCを含む回路は一次遅れ系を構成する。このため、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにした後、加速電極管Tの電位は一次遅れで変化し、最終的に20kVとなる。
他の加速電極管T〜T28についても同様に浮遊容量を持っており、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにすると、加速電極管Tの電位は一次遅れで−60kVに漸近する(nは2〜28の整数)。また、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにすると、加速電極管Tnの電位は20kVに漸近する。
図3に示すように、加速電極管Tとダミー電極管DTとの間には所定距離の間隙が設けられている。この空間(以下、「ギャップ」という。)GDが設けられていることにより、加速電極管Tとダミー電極管DTとは絶縁されている。同様に、加速電極管Tとダミー電極管DTとの間にもギャップGDが設けられている。また、ダミー電極管DTと加速電極管Tとの間にもギャップG1が設けられており、隣り合う加速電極管T〜T28のそれぞれの間にも、ギャップG2〜G27が設けられている。さらに、ダミー電極管DT及びDTのそれぞれは接地されている。
このように、加速電極管Tとダミー電極管DT,DTとの間にギャップGD,GDが設けられていることにより、加速電極管Tに電圧が印加されると、ギャップGD,GDには電界が形成される。同様に、隣り合う加速電極管T及びTn+1に電位差が生じると、これらの加速電極管T及びTn+1の間に設けられたギャップGに電界が形成される。この電界により、ギャップを通過する荷電粒子が加速される。
図4は、加速電極管Tとダミー電極管DT,DTとの間のギャップGD,GDに電界を形成するための回路を示す模式図である。スイッチング素子SWRは、オン抵抗RR及びRRを有している。図4に示すように、スイッチング素子SWRは加速電極管Tの後部に接続されており、抵抗RR、スイッチング素子SWR、及び抵抗RRは直列接続されているものとして示される。また、抵抗RRには、高電圧直流電源P1の陰極が接続されており、高電圧直流電源P1の陽極は接地されている。一方、加速電極管Tの前部には、スイッチング素子SWFが接続されている。スイッチング素子SWFはオン抵抗RF及びRFを有しており、抵抗RF、スイッチング素子SWF、及び抵抗RFのそれぞれは直列接続されているものとして示される。抵抗RFには、高電圧直流電源P2の陽極が接続されており、高電圧直流電源P2の陰極は接地されている。また、加速電極管Tには、上述したように浮遊容量としてのコンデンサCが存在する。等価回路として、この浮遊容量であるコンデンサCの一方の電極が加速電極管T接続されており、コンデンサCの他方の電極が接地されていると考えることができる。したがって、スイッチング素子SWRがオンとされ、スイッチング素子SWFがオフとされると、コンデンサC、加速電極管T、抵抗RR、スイッチング素子SWR、抵抗RR、及び高電圧直流電源P1の回路が形成される。この回路は一次遅れ系であるため、加速電極管Tには一次遅れで負の電位が印加される。また、スイッチング素子SWRがオフとされ、スイッチング素子SWFがオンとされると、コンデンサC、加速電極管T、抵抗RF、スイッチング素子SWF、抵抗RF、及び高電圧直流電源P2の回路が形成される。この回路もまた一次遅れ系であるため、加速電極管Tには一次遅れで正の電位が印加される。
荷電粒子加速器102は、FPGAにより構成された制御部112を有している。この制御部112は、スイッチング素子SWR及びSWFに接続されており、スイッチング素子SWR及びSWFを駆動することが可能である。また、図では省略したが、制御部112は、各スイッチング素子SWR〜SWR28,SWF〜SWF28にも接続されており、これらのスイッチング素子SWR〜SWR28,SWF〜SWF28も駆動することができる。さらに、制御部112は、イオン発射部101にも接続されており、イオン発射部101を制御することができる。
次に、中性子発生部103について説明する。中性子発生部103は、荷電粒子加速器によって加速された荷電粒子(陽子又は重陽子)が衝突したときに中性子を発生する物質、例えばリチウム又はベリリウムによって構成されている。かかる中性子発生部103は、図1に示すように、荷電粒子加速器102の前方、即ち、荷電粒子加速器102の荷電粒子照射側に配置されている。荷電粒子加速器102によって加速された荷電粒子は中性子発生部103へと照射され、これにより中性子発生部103から中性子が発射される。
かかる中性子発生部103には、冷却ユニット103aが併設されている。冷却ユニット103aは水冷式の冷却装置であり、中性子発生部103を冷却することが可能である。
次に、保持部105の構成について説明する。図5は、保持部105の構成を示す斜視図である。図5に示すように、保持部105は立方体の複数のブロック106により構成されている。各ブロック106はアクリル樹脂製である。アクリル樹脂は中性子を反射する性質を有している。保持部105は、前方から第1層105a、第2層105b、及び第3層105cの3つの層により構成されている。
図6Aは、第1層の構成を示す斜視図である。第1層105aは、8個のブロック106によって構成されている。即ち、1辺が3個のブロック106からなる正方形を形成するように8個のブロックが並べられて第1層105aが構成されている。つまり、第1層105aは、正面視において、中央部分が欠落した正方形をなしている。ブロック106は、1辺が25cmの立方体である。
図6Bは、第2層の構成を示す斜視図である。第2層105bもまた、8個のブロック106によって構成されている。即ち、1辺が3個のブロック106からなる正方形を形成するように8個のブロックが並べられて第2層105bが構成されている。また、第2層105bの正面視中央部分には、ブロック106と同一形状のステンレス合金製の容器104が配置されている。この容器104には、中性子照射対象のトリウムが収容される。収容されるトリウムとしては、金属トリウムの塊(1辺3cm程度の立方体)、又は二酸化トリウムのペレット(直径8.2mm、高さ13.5mm)の固体のトリウムの集合体(以下「トリウム集合体」という。)である。
図6Cは、第3層の構成を示す斜視図である。第3層105cは、9個のブロック106によって構成されている。即ち、1辺が3個のブロック106からなる正方形を形成するように8個のブロックが並べられて第3層105cが構成されている。つまり、第3層105cは、正面視において、前述した第1層105aの中央部分にもブロック106が配置された如き構成となっている。
以上のような第1層105a、第2層105b及び第3層105cが連なった状態で固着されることで、保持部105が構成されている。即ち、保持部105は、1辺が3個のブロック106からなる立方体形状をなしている。また、保持部105の正面中央は、ブロック1個分の開口が設けられており、この開口を通じて容器104が露出している。
図1に示すように、保持部105は、その開口側(正面側)を中性子発生源103へ向けて、中性子発生源103の前方に配置される。このため、中性子発生源103から発射された中性子の少なくとも一部は、開口を通じて容器104の内部のトリウム集合体に照射されることとなる。
次に、実施の形態に係る核燃料製造装置100の動作について説明する。図7は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100が有する制御部112の処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部112は、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにする。これと共に、スイッチング素子SWR,SWR,SWR,…,SWR28をオンにし、スイッチング素子SWF,SWF,SWF,…,SWF28をオフにする(ステップS1)。スイッチング素子SWRがオンとされ、スイッチング素子SWFがオフとされると、加速電極管Tと高電圧直流電源P1とが接続され、加速電極管Tと高電圧直流電源P2との接続が遮断される。したがって、加速電極管Tには、負の電位が印加される。また、ステップS1の処理が実行された後、加速電極管Tに印加される電位の変化が収束するのに十分な時間が経過してから、ステップS2の処理が実行される。このため、加速電極管Tの電位は−60kVとなる。
また、スイッチング素子SWR,SWR,SWR,…,SWR28がオンとされ、スイッチング素子SWF,SWF,SWF,…,SWF28がオフとされると、加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれと高電圧直流電源P2との接続が遮断され、加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれと高電圧直流電源P1とが接続される。したがって、加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれの電位は、−60kVとされる。
次に制御部112は、イオン発射部101を制御して、イオンビームを発射させる(ステップS2)。イオン発射部101は、設定で定められたイオン電流値、直径、及び長さを有するイオンビームを発射する。イオン発射部101から発射されたイオンビームは、ダミー電極管DTを通過し、ギャップGDに進入する。この時点において、ダミー電極管DTの電位はアース電位であり、加速電極管Tの電位は−60kVであるため、ギャップGDには、電界が形成されている。この電界の向きは、ダミー電極管DTから加速電極管Tへ向かう方向、即ち前方である。イオンビームに含まれる荷電粒子は正の電荷を有しているため、イオンビームはギャップGDを通過する間にこの電界によって加速され、加速電極管Tに進入する。ギャップGDでは全てのイオンビームが等電界で加速を受けるため、後述するようなイオンビームの軸長方向への収束作用は働かない。
次に制御部112は、所定の切替時間に到達したか否かを判別し(ステップS3)、切替時間に到達していないと判断した場合には(ステップS3においてNO)、再度ステップS3の処理を繰り返す。この切替時間は、予め設定された値であり、イオンビームが発射されてから、イオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの中央に到達するまでの時間である。つまり、ステップS3において、切替時間に到達したと判断された時点では、イオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの中央部分に位置していることになる。
ステップS3において、切替時間に到達している場合には(ステップS3においてYES)、制御部112はスイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにする(ステップS4)。こうすることで、加速電極管Tと高電圧直流電源P1との接続が遮断され、加速電極管Tと高電圧直流電源P2とが接続される。したがって、加速電極管Tには、正の電位が印加される。
図8は、スイッチング素子SWR及びSWFの切り替え制御を示すタイミングチャートである。図において、横軸は時間を、縦軸はスイッチング素子SWR及びSWFのオン/オフ状態を示している。t0はイオン発射部101からイオンビームが発射される時刻を、t1はイオンビームのリーディングエッジがダミー電極管DTの後端に到達する時刻を、t2はイオンビームのリーディングエッジがダミー電極管DTの前端に到達する時刻を、t3はイオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの後端に到達する時刻を、t4はイオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの中央に到達する時刻を、t5はイオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの前端に到達する時刻を、t6はイオンビームのリーディングエッジがダミー電極管DTの後端に到達する時刻を、t7はイオンビームのリーディングエッジがダミー電極管DTの前端に到達する時刻を、それぞれ示している。また、ts1は時刻t1から時刻t2に至る期間を、ts2は時刻t2から時刻t3に至る期間を、ts3は時刻t3から時刻t5に至る期間を、ts4は時刻t5から時刻t6に至る期間を、ts5は時刻t6から時刻t7に至る期間を、それぞれ示している。
図8に示すように、イオンビームが発射される時刻t0において、スイッチング素子SWRはオンとされ、スイッチング素子SWFはオフとされている。イオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの中央に位置する時刻t4において、スイッチング素子SWRがオフに切り替えられ、スイッチング素子SWFがオンに切り替えられる。
図9は、ギャップGDにおける電圧の時間的変化を示すグラフである。図に示すように、時刻t0〜t4においては、スイッチング素子SWRがオンとされ、スイッチング素子SWFがオフとされているため、加速電極管Tの電位は−60kVである。また、ダミー電極管DTの電位は0であるから、ギャップGDにおける電位差は60kVとなる。上述したように、時刻t4において、スイッチング素子SWRがオフに切り替えられ、スイッチング素子SWFがオンに切り替えられることで、加速電極管Tと高電圧直流電源P1との接続が遮断され、加速電極管Tと高電圧直流電源P2とが接続される。これにより、加速電極管Tの電位は上昇する。
コンデンサC、加速電極管T、抵抗RF、スイッチング素子SWF、抵抗RF、及び高電圧直流電源P2の回路は一次遅れ系であるため、加速電極管Tの電位(つまり、ギャップGDにおける電位差)は、時間の経過に応じて上昇する。
ここで、ダミー電極管DTの電位は0であるため、ギャップGDにおける電位差は、時間の経過に応じて上昇する。イオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの後端に位置する時点t5において、加速電極管Tの電位は0V以上となっている。すなわち、加速電極管Tの長さ、ギャップGDの長さ、コンデンサCの容量、抵抗RF及びRFの抵抗値等は、時刻t5においてギャップGDにイオンビームを加速させる電界を発生させ、且つ、その電界の強さが更に過渡現象による上昇過程の途中となるように設定される。つまり、時刻t5においては、ギャップGDにおける電位差は20kVに到達していない。本実施の形態においては、時刻t6においても、ギャップGDにおける電位差は20kVに到達せず、時刻t7の付近において20kVとなるように設定されている。
このように、ギャップGDに発生した電界は、イオンビームがギャップGDを通過する期間ts4において単調増加する。ギャップGDにおける電位差が正であれば、ギャップGDにおける電界の向きはイオンビームの進行方向と一致している。このため、ギャップGDにおける電界の強さが大きい程、荷電粒子はその進行方向へ強く加速される。つまり、イオンビームに含まれる荷電粒子は、イオンビームの中で後方に位置する程、ギャップGDに発生する電界によって進行方向へ強く加速される。したがって、イオンビームがギャップGDを通過することにより、当該イオンビームは軸方向に凝縮されバンチが形成される。
イオンビームが加速電極管Tの中央に位置してから、ギャップGDを通過するまでの期間は、加速電極管Tの長さ、ギャップGDの大きさ、及びイオンビームの速度によって様々であるが、5ナノ秒〜450ナノ秒である。このため、イオンビームがギャップGDを通過する間に、ギャップGDに発生する電界の強さを一次遅れで変化させるためには、RC回路の時定数を5〜450ナノ秒の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では、時定数を50ナノ秒として設定する。
図7に示す制御部112の処理の説明に戻る。制御部112は、ステップS4を実行した後、変数qに2を代入し(ステップS5)、次に進入する加速電極管Tに対応する所定の切替時間に到達したか否かを判別し(ステップS6)、切替時間に到達していないと判断した場合には(ステップS6においてNO)、再度ステップS6の処理を繰り返す。加速電極管T,T,T,…,T28毎に、対応する切替時間が予め定められている。各切替時間は、イオンビームが発射されてから、イオンビームのリーディングエッジが当該切替時間に対応する加速電極管Tの中央に到達するまでの時間である。つまり、ステップS6において、切替時間に到達したと判断された時点では、イオンビームのリーディングエッジが加速電極管Tの中央部分に位置していることになる。
ステップS6において、切替時間に到達している場合には(ステップS6においてYES)、制御部112はスイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにする(ステップS7)。こうすることで、加速電極管Tと高電圧直流電源P2とが接続され、加速電極管Tと高電圧直流電源P1との接続が遮断される。したがって、加速電極管Tには、正の電位が印加される。したがって、スイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにすると、加速電極管Tに含まれる浮遊容量の影響で加速電極管Tの電位は+20kVに漸近する。
ここで、加速電極管Tに後続する加速電極管Tq+1には、高電圧直流電源P2に接続されておらず、高電圧直流電源P1に接続されている。このため、加速電極管Tq+1の電位は−60kVである。したがって、加速電極管TとTq+1との間のギャップGにおける電位差は80kVであり、ギャップGにおける電界の向きは加速電極管Tから加速電極管Tq+1へ向かう方向、即ち前方である。これにより、イオンビームはギャップGを通過する間にこの電界によって加速されることになる。加速電極管Tの場合と異なり、加速電極管Tではスイッチング素子SWRのオン抵抗が小さな値に設定されており、一次遅れの時定数が5ナノ秒未満の非常に小さい値となっている。このため、イオンビームがギャップGを通過する時刻では加速電極管Tの電位はほぼ20kVに近い値となっている。従って、ギャップGを通過することでイオンビームが軸方向に凝縮される効果は殆どないと言ってよい。
制御部112は、その時点での変数qの値が28であるか否かを判別する(ステップS8)。変数qの値が28でない場合には(ステップS8においてNO)、制御部112は変数qの値を1だけインクリメントし(ステップ9)、ステップS6へ処理を戻す。これにより、荷電粒子加速器102の動作初期には−60kVに印加されていた加速電極管T,T,T,…,T28の電位が順次20kVに切り替えられる。
図10は、スイッチング素子SWR,SWF,SWR,SWF,…,SWR28,SWF28のオン/オフ制御を説明するための図である。以下の説明では、nが2〜26の整数を示すものとする。イオンビームに含まれる荷電粒子が加速電極管Tの軸長方向中央を通過するときには(図中、1行目)、スイッチング素子SWRがオンとされ、スイッチング素子SWFがオフとされる。このため、加速電極管Tの電位は+20kVとなっている。一方、スイッチング素子SWRn+1及びSWRn+2はオフ(初期状態)とされ、スイッチング素子SWFn+1及びSWFn+2がオン(初期状態)とされている。つまり、加速電極管Tに後続する加速電極管Tn+1,加速電極管Tn+2の電位は−60kVとなっている。このため、ギャップGには80kVの電位差が生じており、ギャップGにおける電界の向きは荷電粒子の進行方向と一致している。なお、ギャップGn+1の電位差は0であり、ギャップGn+1には電界が生じていない。
荷電粒子はギャップGを通過し、このときギャップGの電界により加速される。加速された荷電粒子は、次の加速電極管Tn+1に進入する(図中、2行目)。荷電粒子が加速電極管Tn+1の軸長方向中央を通過するときには(図中、3行目)、スイッチング素子SWRn+1がオンに切り替えられ、スイッチング素子SWFn+1がオフに切り替えられる。このため、加速電極管Tn+1の電位は+20kVに変化する。このとき、スイッチング素子SWRn+2及びSWFn+2のそれぞれは初期状態から変化しない。したがって、加速電極管Tn+2の電位は−60kVとなっている。このため、ギャップGn+1には80kVの電位差が生じ、ギャップGn+1における電界の向きは荷電粒子の進行方向と一致する。
荷電粒子はギャップGn+1を通過し、ギャップGn+1の電界により加速される。加速された荷電粒子は、次の加速電極管Tn+2に進入する(図中、4行目)。荷電粒子が加速電極管Tn+2の軸長方向中央を通過するときには(図中、5行目)、スイッチング素子SWRn+2がオンに切り替えられ、スイッチング素子SWFn+2がオフに切り替えられる。このため、加速電極管Tn+2の電位は+20kVに変化する。
このように、ギャップG,G,G,…,G27の電位差が次々に0から80kVに切り替わり、ギャップG,G,G,…,G27を通過することで、荷電粒子が加速される。
イオンビームは、静電レンズ又は4極電場回路を設けなければ、空間電荷効果によってその半径方向(軸長方向に直交する方向)に拡大される。本実施の形態においては、各ギャップGD,GD,及びG,G,…,G27に発生する電界が静電レンズとして機能する。つまり、イオンビームがギャップGを通過するとき、ギャップGに生じている電界の静電レンズ効果によって、イオンビームが半径方向に縮小される。図11は、イオンビームの半径方向への縮小の原理を説明する模式図である。加速電極管Tの電位が20kVであり、加速電極管Tn+1の電位が−60kVである場合、図に示すように、ギャップGには電界が発生する。この電界は、静電凸レンズとして機能し、ギャップGを通過するイオンビームをその半径方向に収束させる。イオンビームの収束作用の強さ、つまり、静電レンズの焦点距離は、電界の強さにより変化する。電界の強さは、加速電極管T及びTn+1の電位差の大きさ、ギャップGの軸長方向の長さにより定まる。したがって、加速電極管T及びTn+1の電位差、又は、ギャップGの軸長方向の長さを調整することで、イオンビームが加速電極管の内壁に衝突しないよう、イオンビームの半径方向の大きさを適切に設定することができる。
ステップ8において、変数qの値が28である場合には(ステップS8においてYES)、制御部112は、処理を終了する。
以上のように、本実施の形態においては、イオン発射部101から発射されたイオンビームがギャップGDを通過するときに、ギャップGDには時間に応じて変化しない電界が発生している。この電界の向きは、イオンビームの進行方向と一致しており、イオンビームはこの電界を通過するときに加速される。また、イオンビームがギャップGDを通過するときには、軸長方向へのビーム凝縮(収束)は行われない。また、イオンビームがギャップGDを通過するときに、ギャップGDには時間に応じて強度が大きくなる電界が発生している。この電界の向きは、イオンビームの進行方向と一致しており、イオンビームはこの電界を通過するときに加速される。また、イオンビームはギャップGDを通過するときに、電界の強さの時間的変化により、その軸長方向に凝縮される。
また、加速電極管T,T,T,…,T28では、オン抵抗が小さなスイッチング素子で電位が切り替えられるため、時定数が5ナノ秒未満と小さく、実質的に遅れを生じることなく加速電極管Tの電位が20kVになる。したがって、イオンビームがギャップGを通過するとき、このギャップGにおける電位差が時間的に変化することがない。したがって、イオンビームはギャップGを通過するときに、イオンビーム全体が均等に所定の加速電圧を受けることになる。このように、本実施の形態に係る荷電粒子加速器102は、イオンビームを均等に加速する要素と、イオンビームを軸長方向に凝縮する要素とを有しているので、イオンビームの加速及び適切なバンチ(荷電粒子群)形成の両立が可能となる。
本実施の形態に係る荷電粒子加速器から、イオンビームを軸長方向に凝縮する要素がなくなれば、イオンビームは空間電荷効果等により軸長方向に長くなってしまう。例えば、隣り合う2つの加速電極管のうち、前方の加速電極管の中央位置をイオンビームのリーディングエッジが通過する時点で、そのイオンビームの後端が後方の加速電極管から出ていない場合には、前方の加速電極管の電位を切り替えると、これらの2つの加速電極管の間の電位差が0になる。したがって、この場合にはイオンビームの前側部分は加速されるが、後側部分は加速されなくなる。このように、加速電極管の長さに対してイオンビームが長くなり過ぎると、適切な加速を行うことができない。したがって、荷電粒子加速器では、イオンビームの電気力線が遮断されている間、即ち、イオンビームの全体が加速電極内部(導体の内部)に収納されている間に加速電極管の電位を切り替える必要がある。このため、生成するイオンビームの長さよりも長い加速電極管が必要となる(例えば、長さ6mのイオンビームを加速しようとすれば長さ6m以上の加速電極管が必要となる)。イオンビームが常に30cmの長さを維持するよう制御される場合には、加速電極管はたかだか30cm程度の長さがあればよい。10段の線形加速器の場合(加速電極管が10個直列配置される場合)、前者では加速電極管の総長は60m以上に至るのに対し、後者では3m程度でおさまる。
また、イオンビームに含まれる電荷量は用途によって様々である。例えば、医療用では、電荷量の少ないイオンビームが求められる。一方、エネルギー分野の用途では、電荷量の多いイオンビームが求められる。本実施の形態に係る荷電粒子加速器では、イオンビームを凝縮する電界を1つのギャップGDにおいて発生させるように構成したが、イオンビームを凝縮する電界を発生させるギャップの数を増やすことで、電荷量が多く空間電荷効果のさらに大きなイオンビームを凝縮することも可能となる。つまり、イオンビームを凝縮する電界を発生させるギャップの数を調節することで、様々な電荷量を持つイオンビームに対して適切な凝縮(バンチ形成)を行うことが可能となる。
このようにして加速されたイオンビームは、荷電粒子加速器102から中性子発生部103へと発射される。中性子発生部103では、イオンビームが照射されることにより中性子が放出される。放出された中性子の少なくとも一部は、開口を通じて容器104の内部のトリウム集合体に照射される。また、中性子発生部103から放出された中性子の中には、保持部105に進入するものもある。保持部105は中性子反射材であるアクリル樹脂により構成されているため、保持部105の内部において中性子が反射され、かかる反射された中性子が容器104の内部のトリウム集合体へと照射される。
また、荷電粒子加速器102から中性子発生部103へイオンビームが照射されると、中性子発生部103が加熱する。このため、核燃料製造装置100が動作している間は、冷却ユニット103aが中性子発生部103を冷却するようになっている。
トリウム集合体に中性子が照射されると、トリウム232の一部が中性子を吸収し、トリウム233へ変化する。トリウム233はプロトアクチニウム233を経て、ウラン233へと変化する。このようにしてトリウム集合体の内部において核分裂性物質であるウラン233が生成され、ウラン233がドープされたトリウムを主原料とした核燃料(以下「トリウム核燃料」という。)が製造される。なお、ここでいう「ウラン233がドープされる」とは、トリウム集合体に中性子が照射されることによりトリウム232の一部がウラン233へ変化することを意味する。
例えば、トリウム集合体の内部の中性子束が2×1013個/cm・秒程度の強度となるように中性子線を照射した場合、約6568時間(約273日間)中性子線を照射し続けることで、トリウム集合体に2%のウラン233をドーピングすることができる。
荷電粒子加速器102における加速電圧が6MV、加速電流が25mAである場合、荷電粒子加速器102におけるイオンビームの出力強度は150kWである。この場合において、荷電粒子として重陽子が、中性子発生部103における中性子発生物質としてベリリウムが採用されたとき、核燃料製造装置100における中性子発生強度は1.75×1014個/秒となる。
荷電粒子加速器102のイオンビーム出力強度が低すぎると、中性子発生強度が小さく、トリウム集合体にウラン233を効率よくドープすることができなくなる。その一方、荷電粒子加速器102のイオンビーム出力強度が高すぎると、中性子発生強度が高まるものの、中性子発生部103が過度に高温となり、冷却ユニット103aによる冷却では不十分であることが考えられる。このため、イオンビームの出力強度は、10kW以上200kW以下の範囲で設定することが好ましい。
本実施の形態に係る核燃料製造装置100によれば、イオン発射部101、荷電粒子加速器102、及び中性子発生部103によってトリウム核燃料を製造することができ、再処理工場、原子炉等の大規模な施設を必要とせずにトリウム核燃料を製造することができる。したがって、大規模な施設を利用してトリウム核燃料を製造する場合に比べて、製造設備を小規模とすることが可能となり、製造コストを低減することができる。
また、中性子をトリウム集合体へ照射することによりトリウム集合体にウラン233をドーピングするため、トリウム集合体に核分裂性物質を機械的に混合する場合に比べて、トリウム核燃料中のウラン233の分布を均一化することが容易となる。さらに、トリウム集合体(が収容される容器104)の特定の部分が中性子発生部103に面する時間が、他の部分が中性子発生部103に面する時間より長くすることで、トリウム核燃料の前記特定の部分におけるウラン233の含有率を、その他の部分における含有率より大きくすることができるなど、トリウム核燃料におけるウラン233の分布を容易に調節することが可能となる。
本実施の形態に係る荷電粒子加速器102において、加速電極管T,T,T,…,T28の少なくとも1つに、オン抵抗の大きなスイッチング素子を接続してもよい。このようにすることで、当該スイッチング素子が接続された加速電極管の浮遊容量とオン抵抗とによって一次遅れ系が構成される。これにより、その加速電極管Tに対応するスイッチング素子SWRがオフにされ、同時にスイッチング素子SWFがオンにされると、加速電極管Tの電位が−60kVから一次遅れで20kVに変化する。このように、オン抵抗の大きなスイッチング素子を取り付ける加速電極管の数を調節することで、イオンビームを凝縮する電界を発生させるギャップの数を調節することが可能となる。
このような構成とすることにより、荷電粒子加速器102に高周波電源を備える必要がない。また、従来の荷電粒子加速器では、高周波の位相をイオンビームのギャップ通過と同期させる必要があり、このため、加速電極管の長さを精密に調整することが必要であった。本実施の形態に係る荷電粒子加速器102では、加速電極管の長さを調整することで、イオンビームのギャップ通過と加速電界の発生タイミングとの同期を取るのではなく、イオンビームがギャップを通過する間に加速電界の強さが増加するように、スイッチング素子のオン/オフ切替のタイミングを調整すればよい。このため、従来に比べて加速電極管の長さを精密に調整する必要がなく、加速電極管の製造コストを低減することが可能となる。
また、本実施の形態に係る荷電粒子加速器102では、高周波電源を必要としない。高周波電源を使用する場合、ギャップを通過する微少な時間に荷電粒子を加速するためには、数百メガHz以上の周波数の高周波電圧が必要であり、長距離にわたる加速器を駆動するためには水冷クライストロン管(真空管)を用いた高周波電源装置が不可欠である。このような高価な高周波電源を使用する必要がないため、本実施の形態に係る荷電粒子加速器102では、従来に比して大幅なコスト低減が可能となる。
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図である。当該実施の形態に係る核燃料製造装置200は、荷電粒子を発射するイオン発射部201と、イオン発射部201から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器202と、荷電粒子加速器202によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部203とを備えている。また、中性子の照射対象であるトリウム塊が収容された容器204が中性子発生部203の前方に設けられている。
なお、イオン発射部201、荷電粒子加速器202、中性子発生部203、及び冷却ユニット203aそれぞれの構成は、実施の形態1で説明したイオン発射部101、荷電粒子加速器102、中性子発生部103、及び冷却ユニット103aそれぞれの構成と同様であるので、その説明を省略する。また、容器204及びその内容物であるトリウム集合体の構成は、実施の形態1で説明した容器104及びトリウム集合体の構成と同様であるので、その説明を省略する。即ち、本実施の形態2に係る核燃料製造装置200は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100から保持部105を取り除いたものと同様の構成である。
本実施の形態に係る核燃料製造装置200では、トリウム集合体の周囲に中性子反射材が設けられていないので、中性子発生部203から発射された中性子のみがトリウム集合体の正面側に照射され、トリウム集合体のその他の面(上下面、左右側面、及び背面)には中性子が照射されることがない。このため、製造されるトリウム核燃料では、正面側の部分においてウラン233が多く分布することとなる。
図13は、製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフである。図において縦軸はウラン233の相対的な発生量(ドーピング濃度)を示し、横軸はトリウム核燃料の正面端からの距離を示している。図に示すように、ウラン233はトリウム核燃料の正面側において高い濃度でドーピングされており、背面側へ向かうにしたがって急峻にその濃度が減少している。このように、中性子をトリウム集合体の正面側から照射し、トリウム集合体の周囲に中性子反射材及び中性子増倍材を配置しなければ、正面側周辺部にのみ高濃度のウラン233がドーピングされているトリウム核燃料を製造することが可能となる。
(実施の形態3)
図14は、実施の形態3に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図である。当該実施の形態に係る核燃料製造装置300は、2つの中性子発生源310及び320が、トリウム集合体を収容する容器304を前後から挟むように配置された構成である。即ち、本実施の形態に係る核燃料製造装置300では、トリウム集合体に前後両方から中性子を照射するようになっている。
中性子発生源310は、荷電粒子を発射するイオン発射部311と、イオン発射部311から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器312と、荷電粒子加速器312によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部313と、中性子発生部313を冷却するための冷却ユニット313aとを備えている。また、中性子発生源320は、荷電粒子を発射するイオン発射部321と、イオン発射部321から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器322と、荷電粒子加速器322によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部323と、中性子発生部323を冷却するための冷却ユニット323aとを備えている。
中性子発生源310では、前方に向かって順番に、イオン発射部311、荷電粒子加速器312、及び中性子発生部313が配置されている。他方、中性子発生源320では、後方に向かって順番に、イオン発射部321、荷電粒子加速器322、及び中性子発生部323が配置されている。また、中性子の照射対象であるトリウム塊が収容された容器304が中性子発生部313の前方であって、中性子発生部323の後方に設けられている。
なお、イオン発射部311及び321、荷電粒子加速器312及び322、中性子発生部313及び323、並びに冷却ユニット313a及び323aそれぞれの構成は、実施の形態1で説明したイオン発射部101、荷電粒子加速器102、及び中性子発生部103それぞれの構成と同様であるので、その説明を省略する。また、容器304及びその内容物であるトリウム集合体の構成は、実施の形態1で説明した容器104及びトリウム集合体の構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置300では、トリウム集合体の周囲に中性子反射材が設けられていないので、中性子発生部313から発射された中性子がトリウム集合体の正面側に照射され、中性子発生部323から発射された中性子がトリウム集合体の背面側に照射され、トリウム集合体のその他の面(上下面、及び左右側面)には中性子が照射されることがない。このため、製造されるトリウム核燃料では、正面側及び背面側の部分においてウラン233が多く分布することとなる。
図15は、製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフである。図において縦軸はウラン233の相対的な発生量(ドーピング濃度)を示し、横軸はトリウム核燃料の正面端からの距離を示している。図に示すように、ウラン233はトリウム核燃料の正面側と背面側とにおいて高い濃度でドーピングされており、中央へ向かうにしたがって急峻にその濃度が減少している。このように、中性子をトリウム集合体の正面側及び背面側から照射し、トリウム集合体の周囲に中性子反射材及び中性子増倍材を配置しなければ、正面側周辺部と背面側周辺部とに高い濃度でウラン233がドーピングされているトリウム核燃料を製造することが可能となる。
(実施の形態4)
図16は、実施の形態4に係る核燃料製造装置の概略構成を示す模式図である。当該実施の形態に係る核燃料製造装置400は、2つの中性子発生源410及び420が、トリウム集合体を収容する容器404及び当該容器404を保持する保持部405を前後から挟むように配置された構成である。即ち、本実施の形態に係る核燃料製造装置400では、トリウム集合体を中性子反射材からなる保持部405によって保持し、当該トリウム集合体に前後両方から中性子を照射するようになっている。
中性子発生源410は、荷電粒子を発射するイオン発射部411と、イオン発射部411から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器412と、荷電粒子加速器412によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部413と、中性子発生部413を冷却するための冷却ユニット413aとを備えている。また、中性子発生源420は、荷電粒子を発射するイオン発射部421と、イオン発射部421から発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器422と、荷電粒子加速器422によって加速された荷電粒子を受けたときに中性子を発射する中性子発生部423と、中性子発生部423を冷却するための冷却ユニット423aとを備えている。
中性子発生源410では、前方に向かって順番に、イオン発射部411、荷電粒子加速器412、及び中性子発生部413が配置されている。他方、中性子発生源420では、後方に向かって順番に、イオン発射部421、荷電粒子加速器422、及び中性子発生部423が配置されている。また、中性子の照射対象であるトリウム塊が収容された容器404が保持部405によって保持され、当該容器404及び保持部405が中性子発生部413の前方であって、中性子発生部423の後方に設けられている。
なお、イオン発射部411及び421、荷電粒子加速器412及び422、中性子発生部413及び423、並びに冷却ユニット413a及び423aそれぞれの構成は、実施の形態1で説明したイオン発射部101、荷電粒子加速器102、中性子発生部103、及び冷却ユニット103aそれぞれの構成と同様であるので、その説明を省略する。また、容器404及びその内容物であるトリウム集合体の構成は、実施の形態1で説明した容器104及びトリウム集合体の構成と同様であるので、その説明を省略する。
保持部405は、図5、図6A、図6B、及び図6Cに示す保持部105から、第3層の中央部分のブロック106を取り除いた如き構成とされている。つまり、保持部405の第3層は、1辺が3個のブロック106からなる正方形を形成するように8個のブロックが並べられて構成されている。つまり、第3層は、正面視において、中央部分が欠落した正方形をなしており、図6Aに示した保持部105の第1層105aと同様の構成とされている。
したがって、保持部405は、1辺が3個のブロック106からなる立方体形状をなしている。また、保持部405の正面中央及び背面中央のそれぞれには、ブロック1個分の開口が設けられており、この開口を通じて容器404が露出している。
本実施の形態に係る核燃料製造装置400では、トリウム集合体の周囲に中性子反射材が設けられているので、中性子発生部413から発射された中性子がトリウム集合体の正面側に照射され、中性子発生部423から発射された中性子がトリウム集合体の背面側に照射され、トリウム集合体のその他の面(上下面、及び左右側面)からは保持部405によって反射された中性子が照射されることとなる。このため、製造されるトリウム核燃料では、全体において概ね均等にウラン233が分布する。
図17は、製造されたトリウム核燃料におけるウラン233の分布状態を示すグラフである。図において縦軸はウラン233の相対的な発生量(ドーピング濃度)を示し、横軸はトリウム核燃料の正面端からの距離を示している。図に示すように、ウラン233はトリウム核燃料の正面側と背面側とにおいて他の部位よりも若干多く発生しており、中央へ向かうにしたがってその発生量が漸減している。但し、トリウム核燃料の正面側端周辺部及び背面側端周辺部におけるウラン233の濃度1とすると、中央位置におけるウラン233の濃度は0.4程度である。実施の形態3の場合には、正面側端周辺部及び背面側端周辺部におけるウラン233の濃度を1とした場合、中央位置におけるウラン233濃度が約0.03であることと比較すると、正面側端及び背面側端及び中央位置におけるウラン233のドーピング濃度の差違は非常に小さく、トリウム核燃料全体に亘って概ね均一にウラン233がドーピングされているといえる。このように、中性子をトリウム集合体の正面側及び背面側から照射し、トリウム集合体の周囲に中性子反射材を配置すれば、全体に亘って概ね均一にウラン233が分布するトリウム核燃料を製造することが可能となる。
(実施の形態5)
図18は、実施の形態5に係る核燃料製造装置の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る核燃料製造装置は、複数の荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…を具備する荷電粒子加速器502を備えている。各荷電粒子加速ユニット502aの構成は、実施の形態1に係る荷電粒子加速器102の構成と同様である。即ち、荷電粒子加速ユニット502aは、複数の加速電極管T,T,T,T,…,T28を具備する線形加速器である。また、各荷電粒子加速ユニット502aは、加速電極管Tを挟むように、2つのダミー電極管DT及びDTを具備している。
図19は、実施の形態5に係る荷電粒子加速器の構成を示す模式図である。図19に示すように、荷電粒子加速器200は、2つの高電圧直流電源P1,P2を備えている。高電圧直流電源P1の出力電圧は60kVであり、高電圧直流電源P2の出力電圧は20kVである。
各荷電粒子加速ユニット502aは、加速電極管T,T,T,T,…,T28が直列的に複数段(28段)配置された構成である。つまり、複数の荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…のそれぞれには、28段の加速電極器T,T,T,T,…,T28が設けられており、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…のそれぞれに含まれる同じ段の加速電極管によって加速電極管群が構成される。即ち、荷電粒子加速器200は、28段の加速電極管群を備えている。
高電圧直流電源P1の陰極には、スイッチング素子SWRを介して1つの荷電粒子加速ユニット502aの加速電極管Tが接続されている。また、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…の加速電極管T,T,T,…は互いに導電体により接続されている。つまり、1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…は互いに導通可能に接続されている。さらに高電圧直流電源P1の陰極は、スイッチング素子SWRを介して1つの加速電極管Tに接続され、スイッチング素子SWRを介して1つの加速電極管Tに接続され、同様にスイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28のそれぞれを介して加速電極管T,T,…,T28のそれぞれに1つずつ接続されている。2段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…は導電体により互いに接続されており、同様に、3段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…、4段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…、…、28段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T28,T28,T28,…のそれぞれについても、同じ段の加速電極管群に含まれる加速電極管同士が互いに導通可能に接続されている。高電圧直流電源P1の陽極は接地されている。
上記の構成についてさらに詳しく説明する。図20は、加速電極管の構成を示す模式図である。互いに平行に配置された加速電極管T,T,T,…、即ち、1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…は加速電極管保持部材514によって保持されている。この加速電極管保持部材514は導電体であるステンレス合金により構成されている。このため、加速電極管保持部材514により加速電極管T,T,T,…は電気的に接続されることになる。2段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…、3段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…、4段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…、…、28段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T28,T28,T28,…のそれぞれの加速電極管についても、1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…と同様に、同じ段の加速電極管群に含まれる加速電極管同士が加速電極管保持部材514によって保持されており、加速電極管保持部材514によって電気的に接続されている。
高電圧直流電源P2の陽極には、スイッチング素子SWFを介して1つの荷電粒子加速ユニット502aの加速電極管Tが接続されている。また、高電圧直流電源P2の陽極は、スイッチング素子SWRを介して1つの加速電極管Tに接続され、スイッチング素子SWRを介して1つの加速電極管Tに接続され、同様にスイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28のそれぞれを介して加速電極管T,T,…,T28のそれぞれに1つずつ接続されている。かかる高電圧直流電源P2の陰極は接地されている。
各加速電極管Tは浮遊容量を有している。浮遊容量によるコンデンサCは、一方の電極が加速電極管Tに接続されており、他方の電極が接地されているものとして考えることができる。
これにより、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにすると、高電圧直流電源P1と1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…とが接続されて、各加速電極管T,T,T,…の電位が変化する。ここで、実施の形態1と同様に、加速電極管T、高電圧直流電源P1、及びコンデンサCを含む回路は一次遅れ系となっている。このため、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにした後、加速電極管T,T,T,…の電位は一次遅れで変化し、最終的に−60kVとなる。
他方、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにすると、高電圧直流電源P1と1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…との接続は遮断され、高電圧直流電源P2と加速電極管T,T,T,…とが接続されて、加速電極管T,T,T,…の電位が変化する。ここでも、実施の形態1と同様に、加速電極管T、高電圧直流電源P2、及びコンデンサCを含む回路は一次遅れ系を構成する。このため、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにした後、加速電極管T,T,T,…の電位は一次遅れで変化し、最終的に20kVとなる。
他の加速電極管T〜T28についても同様に浮遊容量を持っており、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにすると、n段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…の電位は一次遅れで−60kVに漸近する(nは2〜28の整数)。また、スイッチング素子SWRをオフにし、スイッチング素子SWFをオンにすると、n段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…の電位は20kVに漸近する。
図19に示すように、各加速電極管T,T,T,…と各ダミー電極管DT,DT,DT,…との間には等距離のギャップGD,GD,GD,…が設けられている。同様に、加速電極管T,T,T,…とダミー電極管DT,DT,DT,…との間にもギャップGD,GD,GD,…が設けられている。また、ダミー電極管DT,DT,DT,…と加速電極管Tとの間にもギャップG1,G1,G1,…が設けられており、隣り合う加速電極管T〜T28のそれぞれの間にも、ギャップG2〜G27が設けられている。さらに、ダミー電極管DT,DT,DT,…及びDT,DT,DT,…のそれぞれは接地されている。
このように、各加速電極管Tと各ダミー電極管DT,DTとの間にギャップGD,GDが設けられていることにより、加速電極管Tに電圧が印加されると、ギャップGD,GDには電界が形成される。同様に、隣り合う加速電極管T及びTn+1に電位差が生じると、これらの加速電極管T及びTn+1の間に設けられたギャップGに電界が形成される。この電界により、ギャップを通過する荷電粒子が加速される。
また、本実施の形態に係る核燃料製造装置は、図18に示すように、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…へイオンビームを発射するイオン発射部501と、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…によって加速されたイオンビームを受け、中性子を発生する中性子発生部503と、FPGAからなる制御部(図示せず)とを有している。イオン発射部501は、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…のダミー電極管DT,DT,DT,…へ同時にイオンビームを発射することが可能である。中性子発生部503は、複数の中性子発生ユニット503a,503a,503a,…を具備し、各中性子発生ユニット503a,503a,503a,…は、荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…の後方に配置されおり、荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…から発射されたイオンビームを受けて、中性子を発生することが可能である。また、制御部は、イオン発射部501、及び各スイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28,SWF,SWF,…,SWF28に接続されており、イオン発射部501及びスイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28,SWF,SWF,…,SWF28を駆動することができる。
中性子発生部503の後方には、中性子の照射対象であるトリウム集合体を収容する容器が配置される。ここで、容器は中性子反射材又は中性子増倍材によって構成された設置部において取り囲むように設置されていてもよいし、容器のみであってもよい。また、かかる容器の正面は、中性子発生部の前面(中性子照射面。つまり、荷電粒子加速器502とは反対側の面。)と同程度の大きさとされており、中性子発生部503と対向するように配置される。
次に、本実施の形態に係る核燃料製造装置の動作について説明する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置の処理手順は、実施の形態1と同様、図7により示される。まず、制御部は、スイッチング素子SWRをオンにし、スイッチング素子SWFをオフにする。これと共に、スイッチング素子SWR,SWR,SWR,…,SWR28をオンにし、スイッチング素子SWF,SWF,SWF,…,SWF28をオフにする(ステップS1)。スイッチング素子SWRがオンとされ、スイッチング素子SWFがオフとされると、1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P1とが接続され、1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P2との接続が遮断される。したがって、1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…には、負の電位が印加される。また、ステップS1の処理が実行された後、加速電極管Tに印加される電位の変化が収束するのに十分な時間が経過してから、ステップS2の処理が実行される。このため、1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…の電位は−60kVとなる。
また、スイッチング素子SWR,SWR,SWR,…,SWR28がオンとされ、スイッチング素子SWF,SWF,SWF,…,SWF28がオフとされると、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…の加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれと高電圧直流電源P2との接続が遮断され、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…の加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれと高電圧直流電源P1とが接続される。したがって、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…の加速電極管T,T,T,…,T28のそれぞれの電位は、−60kVとされる。
次に制御部は、イオン発射部501を制御して、イオンビームを発射させる(ステップS2)。イオン発射部501は、設定で定められたイオン電流値、直径、及び長さを有するイオンビームを各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…のダミー電極管DT,DT,DT,…へ同時に発射する。イオン発射部501から発射されたイオンビームは、ダミー電極管DT,DT,DT,…を通過し、同時にギャップGD,GD,GD,…に進入する。この時点において、ダミー電極管DTの電位はアース電位であり、加速電極管Tの電位は−60kVであるため、ギャップGDには、電界が形成されている。この電界の向きは、ダミー電極管DTから加速電極管Tへ向かう方向、即ち前方である。イオンビームに含まれる荷電粒子は正の電荷を有しているため、イオンビームはギャップGDを通過する間にこの電界によって加速され、加速電極管Tに進入する。ギャップGDでは全てのイオンビームが等電界で加速を受ける。
次に制御部は、所定の切替時間に到達したか否かを判別し(ステップS3)、切替時間に到達していないと判断した場合には(ステップS3においてNO)、再度ステップS3の処理を繰り返す。この切替時間は、予め設定された値であり、イオンビームが発射されてから、各イオンビームのリーディングエッジが1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…の中央に到達するまでの時間である。つまり、ステップS3において、切替時間に到達したと判断された時点では、各イオンビームのリーディングエッジが各加速電極管T,T,T,…の中央部分に位置していることになる。
ステップS3において、切替時間に到達している場合には(ステップS3においてYES)、制御部はスイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにする(ステップS4)。こうすることで、1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P1との接続が遮断され、1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P2とが接続される。したがって、1段目の加速電極管群に含まれる各加速電極管T,T,T,…には、正の電位が印加される。
コンデンサC、加速電極管T、抵抗RF、スイッチング素子SWF、抵抗RF、及び高電圧直流電源P2の回路は一次遅れ系であるため、加速電極管Tの電位(つまり、ギャップGDにおける電位差)は、時間の経過に応じて上昇する。
ここで、ダミー電極管DT,DT,DT,…の電位は0であるため、ギャップGD,GD,GD,…における電位差は、時間の経過に応じて上昇する。
このように、ギャップGD,GD,GD,…に発生した電界は、イオンビームがギャップGD,GD,GD,…を通過する期間において単調増加する。ギャップGD,GD,GD,…における電位差が正であれば、ギャップGD,GD,GD,…における電界の向きはイオンビームの進行方向と一致している。このため、ギャップGD,GD,GD,…における電界の強さが大きい程、荷電粒子はその進行方向へ強く加速される。したがって、各イオンビームがギャップGD,GD,GD,…を通過することにより、各イオンビームは軸方向に凝縮されバンチが形成される。
制御部は、ステップS4を実行した後、変数qに2を代入し(ステップS5)、次に進入する加速電極管Tに対応する所定の切替時間に到達したか否かを判別し(ステップS6)、切替時間に到達していないと判断した場合には(ステップS6においてNO)、再度ステップS6の処理を繰り返す。加速電極管T,T,T,…,T28毎に、対応する切替時間が予め定められている。各切替時間は、イオンビームが発射されてから、イオンビームのリーディングエッジが当該切替時間に対応する加速電極管Tの中央に到達するまでの時間である。つまり、ステップS6において、切替時間に到達したと判断された時点では、各イオンビームのリーディングエッジがq段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…の中央部分に位置していることになる。
ステップS6において、切替時間に到達している場合には(ステップS6においてYES)、制御部はスイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにする(ステップS7)。こうすることで、q段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P2とが接続され、q段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…と高電圧直流電源P1との接続が遮断される。したがって、q段目の加速電極管群に含まれる加速電極管T,T,T,…には、正の電位が印加される。したがって、スイッチング素子SWRをオフにし、同時にスイッチング素子SWFをオンにすると、各加速電極管T,T,T,…に含まれる浮遊容量の影響で加速電極管Tの電位は+20kVに漸近する。
ここで、q段目の加速電極管群に後続するq+1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管Tq+1,Tq+1,Tq+1,…には、高電圧直流電源P2に接続されておらず、高電圧直流電源P1に接続されている。このため、q+1段目の加速電極管群に含まれる加速電極管Tq+1,Tq+1,Tq+1,…の電位は−60kVである。したがって、加速電極管T,T,T,…とTq+1,Tq+1,Tq+1,…との間のギャップG,G,G,…における電位差は80kVであり、ギャップG,G,G,…における電界の向きは加速電極管T,T,T,…から加速電極管Tq+1,Tq+1,Tq+1,…へ向かう方向、即ち前方である。これにより、イオンビームはギャップG,G,G,…を通過する間にこの電界によって加速されることになる。加速電極管T,T,T,…の場合と異なり、加速電極管T,T,T,…ではスイッチング素子SWRのオン抵抗が小さな値に設定されており、一次遅れの時定数が5ナノ秒未満の非常に小さい値となっている。このため、イオンビームがギャップG,G,G,…を通過する時刻では加速電極管T,T,T,…の電位はほぼ20kVに近い値となっている。従って、ギャップG,G,G,…を通過することでイオンビームが軸方向に凝縮される効果は殆どないと言ってよい。
制御部は、その時点での変数qの値が28であるか否かを判別する(ステップS8)。変数qの値が28でない場合には(ステップS8においてNO)、制御部は変数qの値を1だけインクリメントし(ステップ9)、ステップS6へ処理を戻す。これにより、荷電粒子加速器200の動作初期には−60kVに印加されていた2段目以降の各段の加速電極管群の電位が順次20kVに切り替えられる。
スイッチング素子SWR,SWF,SWR,SWF,…,SWR28,SWF28のオン/オフ制御は、実施の形態1において説明したものと同様であるので、その説明を省略する。
ステップ8において、変数qの値が28である場合には(ステップS8においてYES)、制御部112は、処理を終了する。
このようにして加速されたイオンビームは、荷電粒子加速器502から中性子発生部503へと発射される。中性子発生部503では、イオンビームが照射されることにより中性子が放出される。放出された中性子の少なくとも一部は、容器の内部のトリウム集合体に照射される。
また、荷電粒子加速器502から中性子発生部503へイオンビームが照射されると、中性子発生部503が加熱する。このため、核燃料製造装置500が動作している間は、冷却ユニットが中性子発生部503を冷却するようになっている。
トリウム集合体に中性子が照射されると、トリウム232の一部が中性子を吸収し、トリウム233へ変化する。トリウム233はプロトアクチニウム233を経て、ウラン233へと変化する。このようにしてトリウム集合体の内部において核分裂性物質であるウラン233が生成され、ウラン233がドープされたトリウムを主原料としたトリウム核燃料が製造される。
本実施の形態に係る核燃料製造装置では、上記のように複数の平行なイオンビームを同時にイオン発射部501により発射し、これを各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…によって加速するため、1つの荷電粒子加速ユニットと同様の構成の荷電粒子加速器に比べて、全体として大きなエネルギーを有するイオンビームを出力することが可能となる。このため、中性子発生部503から多くの中性子を発生させることができ、ひいては短時間にトリウム集合体に所望量(例えば、2%)のウラン233をドープすることができる。
荷電粒子加速ユニット502a一機当たりにおける加速電圧が6MV、加速電流が25mAである場合、荷電粒子加速ユニット502a一機当たりにおけるイオンビームの出力強度は150kWである。この場合において、荷電粒子として重陽子が、中性子発生部103における中性子発生物質としてベリリウムが採用されたとき、荷電粒子加速ユニット502a一機当たりの中性子発生強度は1.75×1014個/秒となる。
荷電粒子加速ユニット502a一機当たりのイオンビーム出力強度が低すぎると、中性子発生強度が小さく、トリウム集合体にウラン233を効率よくドープすることができなくなる。その一方、荷電粒子加速ユニット502a一機当たりのイオンビーム出力強度が高すぎると、中性子発生強度が高まるものの、中性子発生部503が過度に高温となり、冷却ユニットによる冷却では不十分であることが考えられる。このため、イオンビームの出力強度は、荷電粒子加速ユニット一機当たり10kW以上200kW以下の範囲で設定することが好ましい。
本実施の形態に係る核燃料製造装置は、2つの直流電源P1,P2で、全ての荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…を駆動する構成である。また、1つのスイッチング素子SWRをオン/オフ制御することで、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…の加速電極管T,T,T,…と直流電源P1との接続/非接続を切り替えることができ、1つのスイッチング素子SWFをオン/オフ制御することで、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…の加速電極管T,T,T,…と直流電源P2との接続/非接続を切り替えることができる(nは1〜28の整数)。このため、各荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a…のそれぞれに対して、直流電源P1,P2及びスイッチング素子SWR,SWR,…,SWR28,SWF,SWF,…,SWF28を設ける構成に対して、製造コストを抑制することが可能となる。
(実施の形態6)
図21は、実施の形態6に係るトリウム集合体の保持部の構成を示す斜視図である。実施の形態6に係る核燃料製造装置は、中性子増倍材によって構成された保持部605により、トリウム集合体を収容する容器604が保持され、この容器604及び保持部605に対して中性子を照射する。中性子増倍材としては、(n,2n)反応で中性子を増倍させるベリリウム若しくはモリブデン、又は核分裂反応で中性子を増倍させる核分裂性物質を用いることができる。保持部605は、立方体をなしており、その内部中央において容器604を保持する。容器604の構成は、実施の形態1において説明した容器104の構成と同様であるので、その説明を省略する。
また、保持部605の中性子実効増倍率は、0.95以下とされる。ここで、中性子実効増倍率が高いほど、増倍される中性子が増え、トリウム232からウラン233への変換率が高くなる。つまり、中性子実効増倍率が高いほど、単位時間当たりに発生するウラン233の量が多くなる。これは、保持部605の中性子実効増倍率が高いほど、所定濃度のウラン233がドープされたトリウム核燃料を製造する時間が短くなることを意味する。したがって、保持部605の中性子実効増倍率は0.95とすることが好ましい。
なお、本実施の形態においては保持部605の中性子実効増倍率を0.95以下とすることについて述べたが、これに限定されるものではなく、0.98又は0.99以下であってもよい。このようにすることで、トリウム核燃料の製造効率を更に向上させることが可能となる。
また、本実施の形態に係る核燃料製造装置のその他の構成は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100のうちの容器104及び保持部105以外の構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置によってトリウム集合体に中性子を照射した場合、例えば、中性子実効増倍率が0.9の中性子増倍材を用いると、中性子増倍材を用いていない場合と比較して中性子束強度が約9倍になるので、同程度のウラン233をドープするために必要な照射時間を1/9に短縮することができる。即ち、本実施の形態に係る核燃料製造装置によれば、例えば、トリウム集合体の内部の中性子束が2×1013個/cm・秒程度の強度となるように中性子線を照射した場合、約730時間(約30日間)中性子線を照射し続けることで、トリウム集合体に2%のウラン233をドーピングすることができる。
(実施の形態7)
図22は、実施の形態7に係るトリウム集合体の容器の構成を示す斜視図である。実施の形態7に係る核燃料製造装置は、トリウム集合体を収容する複数の容器ブロック704aによって構成された容器704に対して中性子を照射する。容器ブロック704aは、1辺が8.3cmの立方体であり、ステンレス合金により構成されている。かかる容器ブロック704aが27個組み合わされて、容器704が構成される。即ち、容器704は、1辺が3個の容器ブロック704aからなる立方体をなしている。容器ブロック704aには、金属トリウムの塊(1辺3cm程度の立方体)、又は二酸化トリウムのペレット(直径8.2mm、高さ13.5mm)のような固体のトリウム集合体が収容される。また、各容器ブロック704aは、互いに配置を入れ換えることが可能である。
なお、本実施の形態に係る核燃料製造装置のその他の構成は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100のうちの容器104及び保持部105以外の構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置によれば、トリウム集合体に中性子を一定期間照射し、その後作業者が容器ブロック704aの位置を入れ換えて、再度中性子を照射することが可能である。例えば、24時間トリウム集合体に中性子を照射する毎に、容器ブロック704aの位置を入れ換え、これを20日間実施するようにすれば、各容器ブロック704a毎にウラン233の含有率を調節可能である。例えば、特定の容器ブロック704aを、他の容器ブロックに比べて正面側に配置する時間を長くすることにより、特定の容器ブロック704aに収容されたトリウム集合体に対して、他の容器ブロック704aに収容されたトリウム集合体よりも多くのウラン233をドープすることができる。このため、例えば1つの容器ブロック704aにおいてウラン233の含有率が3%のトリウム核燃料を製造し、他の容器ブロック704aにおいてウラン233の含有率が1%のトリウム核燃料を製造する等、きめ細かくウラン233の含有率を調節することができる。また、全容器ブロック704aに対して均等に中性子が照射されるように配置を調節することで、全ての容器ブロック704aにおいてウラン233の含有率が均一なトリウム核燃料を製造することも可能である。
(実施の形態8)
図23は、実施の形態8に係るトリウム集合体の保持部の構成を示す断面図である。実施の形態8に係る核燃料製造装置は、中性子反射材によって構成された保持部805により、液体のトリウム集合体810を収容する容器804が保持され、この容器804及び保持部805に対して中性子を照射する。液体のトリウム集合体として溶融塩を用いる場合には、その温度が600°程度となるため、アクリル樹脂を中性子反射材として使用すると溶解してしまう。そこで、中性子反射材としては、グラファイト又は炭化ケイ素を用いることができる。保持部805は、正面中央部から内部に至る開口が設けられた立方体をなしており、その内部中央において容器804を保持する。容器804は立方体をなしており、ニッケル合金により構成されている。かかる容器804の内部には、液体のトリウム集合体である4フッ化トリウムとフッ化リチウムとの共融塩が収容される。また、液体のトリウム集合体である溶融塩として、フッ化リチウムとフッ化ベリリウムと4フッ化トリウムとの共融塩を用いることもできる。
なお、上述した溶融塩に含有されるフッ化リチウムに代えて、塩化リチウムとフッ化リチウムとの混合塩を用いることも可能である。また、前記塩化リチウムとフッ化リチウムとの混合塩の代わりに、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化錫等の塩化物もしくはこれらの塩化物から選択された2以上の塩化物が混合された混合塩化物、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム、フッ化錫等のフッ化物もしくはこれらのフッ化物から選択された2以上のフッ化物が混合された混合フッ化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化錫等水酸化物もしくはこれらの水酸化物から選択された2以上の水酸化物が混合された混合水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、炭酸錫等の炭酸塩もしくはこれらの炭酸塩から選択された2以上の炭酸塩が混合された混合炭酸塩、又は硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸錫等の硝酸塩もしくはこれらの硝酸塩から選択された2以上の硝酸塩の混合物である混合硝酸塩を用いることも可能である。
また、保持部805には撹拌ユニット806が設けられている。撹拌ユニットは、モータ806aと、回転軸806bと、撹拌羽根806cとを有している。保持部805の上面から容器804の上面までを貫通する孔が設けられており、この孔に回転軸806bが挿通されている。回転軸806bの上端はモータ806aに接続されており、回転軸806bの下端には複数の板状部材が放射状に配置された撹拌羽根806cが取り付けられている。モータ806aが駆動されると、回転軸806bを介して撹拌羽根806cが回転するようになっており、これにより容器804内の4フッ化トリウムとフッ化リチウムとの共融塩が撹拌されるようになっている。
なお、本実施の形態に係る核燃料製造装置のその他の構成は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100のうちの容器104及び保持部105以外の構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置によれば、トリウム集合体に中性子を照射し、その照射している間に撹拌装置806によってトリウム集合体を撹拌することができる。トリウム集合体の撹拌は、連続して行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。このように、中性子照射中のトリウム集合体を撹拌することにより、トリウム集合体全体に均一にウラン233をドープすることが可能となる。
(実施の形態9)
図24は、実施の形態9に係るトリウム集合体の保持部の構成の一部を示す斜視図である。実施の形態9に係る核燃料製造装置は、中性子反射材によって構成された保持部により、トリウム集合体を収容する容器904が保持され、この容器904及び保持部に対して中性子を照射する。本実施の形態に係る保持部は、実施の形態1において説明した保持部105の第2層105bに代えて、図24に示す第2層905bを備えた構成である。つまり、第2層905bは、7個の立方体のブロックと、1つの円筒形の回転台座907とを備えており、これらのブロック及び回転台座907が正面視において正方形をなすように配置されている。さらに詳しく説明すると、第2層905bの上辺、左辺、右辺のそれぞれは、立方体のブロックが3個並べられて構成されており、下辺が2つの立方体のブロックと、これらのブロックの間に挟まれるように配置された回転台座907とによって構成されている。また、回転台座907の下方にはモータ908が配置されており、このモータ908の回転軸が回転台座907の下面に接続されている。モータ908が駆動されることで、回転台座907が水平回転するようになっている。
回転台座907の上方、即ち、第2層905bの中央部分は、トリウム集合体を収容する容器904を設置するための空間とされている。容器904は、上述したブロックよりも小さい立方体形状をなしている。つまり、回転台座907の上に設置された容器904を回転可能とするために、容器904は回転台座907の上面の円形からはみ出ない程度の大きさとされている。
本実施の形態に係る保持部の構成は、第2層が上述した構成である他は、実施の形態1で説明した保持部105の構成と同様であるので、その説明を省略する。また、本実施の形態に係る核燃料製造装置のその他の構成は、実施の形態1に係る核燃料製造装置100のうちの容器104及び保持部105以外の構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態に係る核燃料製造装置によれば、トリウム集合体に中性子を照射し、その照射している間に回転台座907を回転させることで、トリウム集合体を回転させることができる。トリウム集合体の回転は、連続して行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。例えば、中性子照射中のトリウム集合体を連続して回転させる場合には、トリウム集合体全体に均一にウラン233をドープすることが可能となる。また、トリウム集合体の特定の部分にウラン233を特定の含有率でドープし、他の部分に前記特定の含有率よりも低い含有率でウラン233をドープするような場合には、特定の部分が中性子発生部に向き合う時間を長くし、他の部分が中性子発生部に向き合う時間を短くするように、回転台座907を間欠的に回転させればよい。
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、荷電粒子加速器によってイオンビームを加速し、加速されたイオンビームを中性子発生源に照射することにより、中性子を発生させて、この中性子をトリウム集合体に照射する構成について述べたが、これに限定されるものではない。原子炉又は核融合炉を中性子発生源として利用して、発生された中性子をトリウム集合体に照射する構成とすることも可能である。
また、直流電源からの電圧印加をスイッチングによって制御する荷電粒子加速器によりイオンビームを加速する構成について述べたが、これに限定されるものではない。高周波電源によって駆動されるサイクロトロンであってもよい。
また、上述した実施の形態においては、ダミー電極管DT,DTの間に加速電極管Tを配置し、ダミー電極管DTと加速電極管Tとの間のギャップGDでは、イオンビームが通過する間において時間的に変化しない電界を形成し、この電界によってイオンビームを加速し、加速電極管Tとダミー電極管DTとの間のギャップGDでは、イオンビームが通過する間において時間的に強さが増大する電界を形成し、この電界によってイオンビームを加速する構成としたがこれに限定されるものではない。例えば、前側のダミー電極管DTに代えて、高電圧直流電源P1,P2のそれぞれに接続可能な加速電極管を配置してもよい。この場合、加速電極管Tの前側に配置された加速電極管に初期状態として−60kVの電位を印加しておく。加速電極管Tの軸長方向中央をイオンビームのリーディングエッジが通過する時点で、スイッチング素子SWRをオンからオフに切り替え、スイッチング素子SWFをオフからオンに切り替えることで、加速電極管Tの電位が一次遅れで増大する。これにより、加速電極管Tとその隣の加速電極管との間のギャップにおける電界の強さが一次遅れで変化し、変化している間に当該ギャップをイオンビームが通過することで、イオンビームを軸長方向に短縮することができる。
また、上述した実施の形態においては、加速電極管Tの浮遊容量であるコンデンサCにより、一次遅れ回路を形成する構成について述べたが、これに限定されるものではない。加速電極管Tにコンデンサを接続し、これによって一次遅れ回路を形成する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、ギャップにおける電界の強さを一次遅れで増加させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。隣り合う電極管の間のギャップにおいて、電界の強さを2次遅れにより変化させる構成としてもよい。例えば、加速電極管Tに2つのコンデンサを接続し、加速電極管T、高電圧直流電源P1、及び2つのコンデンサを含む回路を二次遅れ系とすることもできる。但し、この場合には、イオンビームがギャップを通過する間に、当該ギャップにおける電界が増加するように構成する必要があり、減衰比が1以下となるようにすることが特に好ましい。
また、上述した実施の形態においては、荷電粒子加速器を線形加速器としたが、これに限定されるものではない。複数の加速電極管を非線形に配置し、隣り合う加速電極管の間に偏向磁石を配置して、当該偏向磁石によって進行中の荷電粒子の進行方向を変化させて、非線形に配置された加速電極管に順次荷電粒子を通過させる構成としてもよい。この場合、少なくとも1つの加速電極管に大きなオン抵抗を有するスイッチング素子を接続し、このスイッチング素子をオン/オフ制御することで、当該加速電極管と、その隣の加速電極管との間のギャップに、時間的に強さが増加する電界を形成する。この電界の強さが増加している途中において、当該ギャップにイオンビームを通過させる構成とすることができる。
また、サイクロトロンの電極(ディー)に印加する電圧を制御することによって、イオンビームの長さを調整するように構成することもできる。例えば、サイクロトロンの電極の一方にオン抵抗の大きなスイッチング素子を接続して一次遅れ系とし、当該スイッチング素子を介して直流電源に電極を接続する。イオン発射部から発射されたイオンビームが1つの電極の内部を通過している間に、スイッチを切り替えることで前記一方の電極に負の電位を印加し、前記他方の電極に正の電位を印加する。ギャップの電界の強さが一次遅れにより増加する間に、イオンビームにギャップを通過させる。
また、上述した実施の形態においては、イオンビームが加速電極管Tを進行している間に、スイッチング素子SWRをオンからオフに切り替え、スイッチング素子SWFをオフからオンに切り替えることで、加速電極管Tに正の電位を印加し、接地されているダミー電極管DTと加速電極管Tとの間のギャップGDに時間に応じて強さが増加する電界を形成する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、次のような構成とすることもできる。ダミー電極管DTに一定の負の電位を印加しておき、負の電位が印加されている加速電極管に接続されたスイッチング素子をオフに切り替えることで、加速電極管と直流電源との接続を遮断する。これにより加速電極管の電位が0へ向かって変化し、ダミー電極管DTと加速電極管Tとの間のギャップGDに時間に応じて強さが増加する電界が形成される。
また、上述した実施の形態5においては、複数の荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…を並列に配置し、それぞれの荷電粒子加速ユニット502a,502a,502a,…において別々にイオンビームを加速し、各イオンビームを中性子発生部503の広い後面(荷電粒子加速器502に向き合う面)へ照射して、中性子照射面から広い範囲で中性子を発生させる構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、実施の形態1のように1つの荷電粒子加速ユニットからなる荷電粒子加速器の前方に電磁石を配置し、この電磁石によって発生する電場の向きを変化させることで、イオンビームを偏向させ、中性子発生部の後面上を走査するようにイオンビームを照射する構成とすることもできる。これにより、1つの荷電粒子加速ユニットにより、広い範囲に中性子を照射することが可能となる。
本発明の核燃料製造装置及び核燃料製造方法は、トリウムを主原料とする核燃料を製造するための核燃料製造装置及び核燃料製造方法として有用である。
100,200,300,400 核燃料製造装置
101,202,311,321,411,421 イオン発射部
102,202,312,322,412,422 荷電粒子加速器
103,203,313,323,413,423 中性子発生部
104,204,304,404 容器
105,205,305,405 保持部
112 制御部
C コンデンサ
GD,GD ギャップ
DT,DT ダミー電極管
P1,P2 高電圧直流電源
DC1,DC2,…,DC28 高電圧直流電源
RR,RR,RF,RF 抵抗
SWR,SWR,…,SWR28 スイッチング素子
SWF,SWF,…,SWF28 スイッチング素子
,T,…,T28 加速電極管

Claims (16)

  1. トリウムの集合体に対して中性子を発射する中性子発生源を備え、
    前記中性子発生源から発射された中性子を前記集合体に含まれるトリウム232に衝突させることにより、前記トリウム232をウラン233へ変化させる、
    核燃料製造装置。
  2. 前記中性子発生源は、
    荷電粒子を発射する荷電粒子発生源と、
    前記荷電粒子発生源により発射された荷電粒子を加速する荷電粒子加速器と、
    前記荷電粒子加速器により加速された荷電粒子が衝突したときに、中性子を発射する中性子発生部と、
    を具備する、
    請求項1に記載の核燃料製造装置。
  3. 前記荷電粒子加速器は、
    前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子の進行軌道に沿って互いに空間を隔てて配置された一対の電極と、
    前記一対の電極に直流電圧を印加するための直流電源と、
    前記直流電源と前記一対の電極の一方とを接続させ、又は接続を遮断させることにより、前記空間に電界を形成するためのスイッチと、
    前記荷電粒子発生源から荷電粒子が発射された後に、前記スイッチをオン/オフ制御することにより、前記荷電粒子を加速するための電界を前記空間に形成させる制御部と、
    を有する、
    請求項2に記載の核燃料製造装置。
  4. 前記荷電粒子加速器は、前記スイッチに接続され、前記スイッチがオフからオン又はオンからオフに切り替えられたときに、前記空間に形成される電界の強さを時間に応じて増加させる応答遅れ生成部をさらに有し、
    前記制御部は、前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子が前記空間内を通過する間に、前記空間に形成される電界の強さが時間的に増加するように、前記スイッチをオン/オフ制御するように構成されている、
    請求項3に記載の核燃料製造装置。
  5. 前記荷電粒子加速器は、前記荷電粒子発生源から発射された荷電粒子の進行軌道に沿って互いに空間を隔てて配置された複数の電極管をさらに備え、
    前記直流電源は、前記電極管に印加するための電圧を発生するように構成されており、
    前記一対の電極は、前記複数の電極管のうちの隣り合う一対の電極管である、
    請求項2乃至4の何れかに記載の核燃料製造装置。
  6. 前記荷電粒子加速器は、その荷電粒子出力強度が10kW以上200kW以下である、
    請求項2乃至5の何れかに記載の核燃料製造装置。
  7. 前記荷電粒子発生源は、互いに異なる複数の進行軌道のそれぞれに複数の荷電粒子を発射するように構成されており、
    前記電極管は、前記複数の進行軌道のそれぞれに沿って、空間を隔てて直列的に並べられており、
    前記複数の進行軌道のそれぞれに対応する複数の電極管からなる電極管群が、前記荷電粒子発生源によって発射される荷電粒子が通過する順番に複数段設けられており、
    前記直流電源と、一の段の電極管群とを接続することにより、前記一の段の電極管群と、前記一の段の電極管群と隣り合う他の段の電極管群との間の空間に荷電粒子を加速するための電界を形成するように構成されている、
    請求項5に記載の核燃料製造装置。
  8. 前記荷電粒子加速器は、進行軌道1つ当たりにおける荷電粒子出力強度が10kW以上200kW以下である、
    請求項7に記載の核燃料製造装置。
  9. 中性子の照射対象のトリウムの集合体を保持するための保持部を更に備える、
    請求項1乃至8の何れかに記載の核燃料製造装置。
  10. 前記保持部は、中性子を反射する中性子反射材によって構成されており、トリウムの集合体を取り囲むように保持し、前記中性子発生源から中性子が前記トリウムの集合体に照射されるように、前記中性子発生源と対向する部分に開口を有する、
    請求項9に記載の核燃料製造装置。
  11. 前記保持部は、中性子を増倍する中性子増倍材によって構成されており、トリウムの集合体を取り囲むように保持可能に構成されている、
    請求項9に記載の核燃料製造装置。
  12. 前記保持部は、その中性子実効増倍率が0.95以下である、
    請求項11に記載の核燃料製造装置。
  13. 前記保持部は、液体のトリウムの集合体を収容する容器を保持するように構成されており、前記集合体を撹拌するための撹拌部を具備する、
    請求項9乃至12の何れかに記載の核燃料製造装置。
  14. 互いに配置を交換可能に構成された複数のブロックからなるトリウムの集合体に対して、前記中性子発生源から中性子を照射するように構成されている、
    請求項1乃至13の何れかに記載の核燃料製造装置。
  15. トリウムの集合体に対して中性子発生源から中性子を発射し、前記中性子発生源から発射された中性子を前記集合体に含まれるトリウム232に衝突させることにより、前記トリウム232をウラン233へ変化させる、
    核燃料製造方法。
  16. 前記中性子発生源は、荷電粒子発生源と、荷電粒子加速器と、中性子発生部とを備え、
    荷電粒子発生源から荷電粒子を発射するステップと、
    前記荷電粒子発生源により発射された荷電粒子を荷電粒子加速器により加速するステップと、
    前記荷電粒子加速器により加速された荷電粒子を中性子発生部に衝突させることにより、前記中性子発生部から中性子を発射するステップと、
    前記中性子発生部から発射された中性子をトリウムの集合体に衝突させるステップと、
    を有する、
    請求項15に記載の核燃料製造方法。
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