JP2014025875A - セシウム分圧測定装置及びセシウム分圧測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サンプル中のセシウム蒸気圧を迅速かつ簡易に測定可能な装置、および、この装置を用いた効率的な測定方法を提供する。
【解決手段】セシウムイオン伝導性の固体電解質を利用したサンプル中のセシウム蒸気圧を迅速かつ簡易に測定可能とし、また、固体電解質温度200℃〜1400℃の条件下で測定し、低いセシウム蒸気圧条件でも評価が可能となることから、放射性セシウムなどを微量含有する汚染物質などにも適用ができ、その減容化処理に用いる効果は極めて大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミナを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質からなる検知素子を備えたセシウム活量用固体電解質型測定装置、および、この装置を用いて、放射性元素を含有する土壌、焼却灰、スラッジ等の放射性汚染物中のセシウム活量や、一般物質中のセシウム分圧(または活量)の測定方法に関する。
固体電解質型分析装置や方法については、各種ガスや溶融金属、各種酸化物中の酸素ポテンシャル測定に広く応用されているジルコニア型酸素濃淡電池が良く知られている他、YDT(イットリアドープドトリア)や、よう化銀、蛍石など、固体電解質中に導電性を示すイオンとなる元素の濃度差による起電力と温度の関係から、サンプル中の当該元素の分圧〔または活量、以下、分圧と活量は実用上同義であることから分圧で一括して記載する。ここで、活量は、当該物質の混合物や化合物中の分圧(P1)と純物質の分圧(P2)との間の比(P1/P2)であり、また、純物質の分圧(P2)は温度のみで決まる物性値である。〕を求められることも知られている。
各種元素の活量や分圧のセンサーとして利用可能な固体電解質として、上記の種類の他に、アルミナを主成分とし、格子中に金属陽イオンを含有するベータアルミナに代表される酸化アルミニウム質固体電解質が知られており、例えば、非特許文献1には、その応用基本理論や応用技術が詳しく記載されている。
また、特許文献1には、ベータアルミナ中のナトリウムをセシウムにイオン交換してセシウム伝導性を付与した固体電解質の隔膜を用い、金属ナトリウム中のセシウムを除去する技術が記載されている。
しかし、特許文献1は溶融ナトリウム中に存在する不純物のセシウムを分離して除去する技術であり、セシウム分圧を求めるために起電力を測定することを教えるものではなく、また、セシウム分圧を測定するために適した固体電解質の組成についても何ら開示されていない。
一方で、セシウム分圧測定の重要性に関しては、2011年の津波により被害を受けた発電所から大量の放射性物質が外部に漏洩し、半減期が長期である放射性セシウム(Cs134、Cs137)が大量に外部に飛散したことから、主に放射性セシウムに起因する放射被ばく回避の目的から、土壌、スラッジ、焼却灰などに含まれた高濃度の汚染物質を除染によって中間貯蔵設備に保管し、更に、セシウム分を気化や吸着によって減容化させる技術の必要性が急務になっている。
特に、汚染物質から放射性セシウムを気化分離や化学分離の手段で分離除去するためには、汚染物質のセシウム分圧が重要な指標となることは言うまでも無く、特に、汚染物質が粘土質の土壌や焼却灰、スラッジの場合には、その主成分がシリカ分などの多量の珪素分を含有しており、このためにアルカリ金属であるセシウムはシリカ分と容易に化合物や会合体を形成してセシウム分圧が著しく低下する場合があり、結果としてセシウムの存在形態によってセシウム分圧が著しく異なるので、安定的なセシウムの分離除去操業を行うためには、汚染物質中に含まれるセシウムの分圧を把握し、このセシウム分圧からセシウムの存在形態がどのような形態(例えば、複合酸化物状態であるか、あるいは、固溶体としての含有物であるか等)を求め、このセシウムの存在形態に応じた分離除去操業を選択することが極めて重要である。例えば、セシウムを気化分離するための温度や雰囲気圧力、気化促進物質の選択を行うなど、セシウムの分離操業を決めることができる。
しかし、このような状況下において、放射性セシウム汚染物質などの含有セシウム分圧を簡易にかつ短時間で測定する有効な方法はこれまで存在していない。
特開2002−339091号公報
伊藤満、幸塚善作:日本金属学会会報第27巻第7号(1988)558頁
上記背景に基づき、本発明者は、迅速かつ簡易なセシウム分圧の測定装置、また、放射性セシウム汚染土壌等に代表される存在形態などによって大きく異なるサンプル物質に対するセシウム濃度の効果的な測定方法の提供を目的とする。
本発明者らは、測定装置のセンサーとなる固体電解質製造に対する技術科学的検討と共に、それを用いた測定技術に関する詳しい調査研究を行うことで、効率的な測定装置およびそれを用いた測定技術を開発するに至った。
本発明の要旨は次のとおりである。
(1)酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質を用いることを特徴とするセシウム分圧測定装置。
(2)酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質で形成され、セシウムを含有して所定の温度のときに所定のセシウム分圧を示す標準物質が接触する基準部、及び、セシウムを含む測定対象のサンプルが接触する検知部を有する検知素子と、セシウム分圧測定時に前記検知素子と前記サンプルとの間の接触部位の温度を測定する温度測定手段と、前記検知素子の基準部と検知部との間に発生する起電力を測定する起電力測定手段とを備え、前記温度測定手段で測定された測定温度と前記起電力測定手段で測定された起電力とからサンプルのセシウム分圧を求めることを特徴とする(1)に記載のセシウム分圧測定装置。
(3)前記固体電解質が、酸化セシウムを含む複合酸化物である(1)又は(2)に記載のセシウム分圧測定装置。
(4)前記固体電解質が、ベータアルミナ構造である(1)〜(3)のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置。
(5)前記固体電解質中に含有されるセシウム(Cs)が、固体電解質中に含有されるアルミニウム(Al)に対して、酸化物換算のモル比(Cs2O/Al2O3)で0.04〜0.20の範囲内であると共に、固体電解質中に含有される全アルカリ金属(M)に対して、酸化物換算のモル比(Cs2O/M2O)で0.6以上である(1)〜(4)のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置を用いることを特徴とするセシウム分圧測定方法。
(7)酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質で形成され、セシウムを含有して所定の温度のときに所定のセシウム分圧を示す標準物質が接触する基準部、及び、セシウムを含む測定対象のサンプルが接触する検知部を有する検知素子と、セシウム分圧測定時に前記検知素子と前記サンプルとの間の接触部位の温度を測定する温度測定手段と、前記検知素子の基準部と検知部との間に発生する起電力を測定する起電力測定手段とを備えたセシウム分圧測定装置を用いて、前記温度測定手段で測定された測定温度と前記起電力測定手段で測定された起電力とからサンプルのセシウム分圧を求める(6)に記載のセシウム分圧測定方法。
(8)前記起電力測定手段による起電力の測定は、前記検知素子の検知部とサンプルとの間の接触部位の全体又は一部の面における温度が200℃以上1400℃以下の条件下で行われる(7)に記載のセシウム分圧測定方法。
(9)前記サンプルが、珪素を20質量%以上の割合で含有する珪素含有サンプルである(7)又は(8)に記載のセシウム分圧測定方法。
(10)前記サンプル中に含まれるセシウムは、その50質量%以上が放射性セシウムである(7)〜(9)のいずれかに記載のセシウム分圧測定方法。
本発明によれば、サンプル中のセシウム分圧を短時間に測定できる装置、および、その装置を利用した効果的なセシウム分圧測定方法を提供することができ、例えば、放射性物質の飛散等によって発生した放射性セシウムの減容化処理に際して、効果的な処理条件を選択可能になるなどの大きなメリットを提供することができる。
図1は、本発明のセシウム分圧測定装置を用いた測定分析測定を説明するための説明図である。
本発明の実施形態を、図1を参照しながら説明する。
なお、本発明は、酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質を用いることを特徴とし、図1に示されるようなバッチ式加熱炉内測定方式に限られるものではなく、セシウムを含有して所定の温度のときに所定のセシウム分圧を示す標準物質からなる参照極を固体電解質の片面に予め接触させた状態に構成して、適正な温度条件下でもう一方の面を被測定物質に押し付けて連続的に接触させ、固体電解質の両方の接触面の電位差を連続的に測定できるように構成したオンライン測定等、適宜の方法で実施することができる。
図1において、セシウムイオン伝導性の固体電解質で形成された検知素子1には、サンプル2が接触する検知部の面の電極電位と参照極(標準物質)3が接触する基準部の面との間の電位差(起電力)を測定できるように、起電力測定手段として、一対の金属電極4と、直流電圧計7と、これら金属電極4と直流電圧計7との間を接続するリード線6とが配置されている。また、検知素子1とサンプル2との接触部位の温度を測定する手段については、温度計や熱電対等を挿入して直接測定するようにしてもよく、放射温度計等を用いて外部から間接的に測定したり、雰囲気温度から当該接触部位の温度を推定するようにしてもよい。
このときの、検知素子1を形成する固体電解質については、酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質、または、その一例でもあるセシウム酸化物含有のベータアルミナ(β-、β”-アルミナの両方を含む意味である)を用いる。この固体電解質の作成方法としては、アルミナと炭酸セシウムを円形ペレットに圧縮成型して高温にて焼結した焼成品としたものや、例えば、Ar不活性雰囲気で円形ペレットの両面を約500℃の絶縁された2つの金属セシウム浴に浸漬し、円形ペレットを挟んだ両側のセシウム浴の間に1V未満の直流電圧を印加してベータアルミナ中のNaを負極側に排出して陽極側からCsを格子内に侵入させてイオン交換させる等の、一般的なナトリウム伝導タイプのベータアルミナ電解質(購入品、自作品)中のナトリウムイオンをセシウムイオンに交換して得られた置換型電解質などを適宜使用することができる。
ここで、固体電解質に含有されるセシウム(Cs)とアルミニウム(Al)が酸化物換算のモル比(Cs2O/Al2O3)で0.04以上0.20以下であり、かつ、固体電解質中に含有されるアルカリ元素(M)中のセシウムが酸化物換算のモル比(Cs2O/M2O)で0.6以上1.0以下であることが望ましい。
この望ましい条件は、本発明者らの実験的検討より、一般的にはアルミナとのスピネル構造に取り込まれて導電性を発現するセシウムイオンがモル比(Cs2O/Al2O3)0.04未満の場合には、セシウムイオンが不足して十分な電気伝導性を確保できなくなり、センサーとしての機能を果たさなくなる場合が生じるからであり、逆に、モル比(Cs2O/Al2O3)が0.20を超える場合には、スピネル結晶構造格子内に取り込むことができる許容割合を超え、固体電解質の結晶が不安定になることから、測定時に破損する場合が多くなる。
更に、固体電解質中のアルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs,Fr)のCsの比率が低い場合には、Csと同様に、高いイオン伝導性を示す他のアルカリ元素は、例えば、測定物質中のカリウムやナトリウムなどの測定目的としないアルカリ金属の元素が固体電解質接触面での交換反応によって界面分極を起こして電気抵抗が大きくなることから電解質の寿命が短くなるなどの悪影響を及ぼすために、固体電解質中に含有される全アルカリ金属中のセシウムの割合はモル比で0.6以上であることが望ましい。
図1に記載の例では、焼成して作成した円盤状の固体電解質からなる検知素子1を保護管5(アルミナ質)にアルミナセメント(図示しない)にて接着して焼き固めて作製されている。ここで、保護管5は、検知素子1の基準部に接触させる参照極(標準物質)3を保持したり、雰囲気変化等の影響から保護するものである。
電極で得られる電位差(起電力)はリード線6で直流電圧計7に接続され、熱電対8により測定される温度より例えば下記のネルンストの式:(1)式に基づいて算出することができる。
E={RT/nF}×ln(PCs1/PCs2)……(1)
〔ここで、E:起電力(V)、R:気体定数、T:絶対温度(K)、n:電荷数(酸化還元反応において授受される電子数であって、Csの場合は1)、F:ファラデー定数、PCs1:サンプルのCs蒸気圧(atm)、PCs2:参照極のCs蒸気圧(atm)である。〕
このとき、適宜、電子電導や熱起電力、接触電位などの測定起電力の影響を、例えば通常の溶鋼中の溶存酸素測定に用いられるジルコニア型溶存酸素計などと同様の手法により、先ず、測定温度にて既知のセシウム蒸気圧を有する物質を両極に接触させて、発生する起電力を測定する予備実験にて、(1)式で定義される理論起電力との誤差の有無を把握して、その結果、必要に応じて、補正しておくなどして、測定目的であるPCs1の値を正確に求めることができる。
参照極3については、温度が一定の時に定まったセシウム分圧を示すもの(標準物質)であれば適宜使用でき、例えば、金属セシウム(活量=1)を用いることができるが、高温での測定では、蒸気圧が高いことによる測定の困難さや、水分や酸素分と反応しやすく取り扱いが困難であることから、安定な金属に少量のセシウムを溶解した合金(液体または気体)や、温度が定まれば分圧が一定になるCs2O・4SiO2とCs2O・2SiO2の混合粉末などを使用することによって高温にても安定的な測定を実施することができる。
電極棒4については、モリブデンやタングステン、白金、ステンレスなどの金属や、黒鉛質等の導体であれば使用は可能であるが、熱起電力の影響評価が可能な条件や、雰囲気温度の影響が小さいもの、接触面での電気ノイズや耐食性などの問題点の小さいものを適宜使用することができる。
測定温度は固体電解質の温度が200℃以上1400以下であることが望ましい。温度が200℃未満の場合は、電解質の電気抵抗が高くなりすぎて、直流電圧計の内部抵抗の影響などから起電力の誤差が大きくなり、また、1400℃を超える場合は、電解質中のセシウムの気化速度が速くなり、固体電解質の測定可能時間が短くなるためである。
また、セシウムの蒸気圧測定には、他の方法として真空下で蒸発量を測定するクヌーゼンセル法などが一般的に存在するが、このクヌーゼンセル法は、例えば、原子力発電で発生して土壌に飛散する放射性セシウムについては、土壌中の珪素酸化物や珪素水酸化などと反応して著しく活量が低くなるために、測定が困難になるので適していない。これに対して、本発明の起電力法による測定は、電気化学的な方法での測定であることから短時間の測定が可能であり、セシウムの活量が低い場合でも測定が可能であるので、放射性セシウムに汚染された汚染土壌等におけるセシウム分圧の測定に適している。また、土壌1tあたりの放射性セシウム重量が0.1g未満の極少量でも多量の放射線が発生されるが、元来天然土壌中などの放射性セシウム含有量は極々微量であることから、測定物質中の全セシウムに対して放射性セシウムが50%以上含有される条件では、有害な放射性セシウム減容処理手段を選定する際には本発明の方法は特に適している。
次に、本発明を実施例で更に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
本発明の効果を確認するために、セシウムを含有する下記1)〜3)の3種類のサンプルを準備した。各サンプルの成分値を表1に示す。
なお、本発明は、放射性セシウムを含む汚染物サンプルの分析にも適用可能であるが、実施例では、安全確保のために天然より採取した非放射性セシウム(主成分Cs133)のみを用いて実験したが、原子崩壊による放射特性と中性子量の違いによる比重を除いた化学的性質は、Cs134やCs137に等しいと見なせる。
また、本発明の検証は、例えば、安全基準に乗っ取った上で、放射性セシウムに汚染された土壌を用いたセシウム分圧測定を行ったり、それの分離率については処理前後のガンマ線等の発生量測定等により可能である。
1)金属セシウム(0.2mmアンダー品)1g+鉄粉99g混合品
2)炭酸セシウム(Cs2CO3)11.52g+SiO2試薬8.48gを混合し、Ar雰囲気にて800℃×60分焼成品
3)金属セシウム(0.2mmアンダー品)1gを田園にて採取した粘度状土壌10kgに混合し、200℃×5hr乾燥したもの
Figure 2014025875
また、本発明の実施例においては、以下の2種のベータアルミナ構造の固体電解質〔電解質a)及び電解質b)〕を用いているが、これらは、予め揮発分を見込んだ炭酸セシウム及びアルミナを、又は、炭酸セシウム、炭酸カリウム及びアルミナを粉末混合し、1600℃で5hr焼成した後に、200メッシュアンダーに再粉砕したものを圧縮成型してペレットにし、1500℃で8時間焼成して作製した焼結品であり、直径8mm×厚さ3mmの円盤状を有するようにした。その際、焼成によって炭酸化物中のCO2は揮発分離し、また、X線回折で目的の結晶構造になっていることを確認した。更に、下記に記した成分は、成分分析で測定された値であって複合酸化物を構成する酸化物基準で示したものである。
電解質a)
成分:Cs2O=13mol%、Al23=87mol%
〔アルミニウム(Al)に対するセシウム(Cs)の割合:酸化物換算モル比(Cs2O/Al2O3)=0.149〕
〔全アルカリ元素(M)中のセシウム(Cs)の割合:酸化物換算モル比(Cs2O/M2O)=1.0〕
電解質b)
成分:Cs2O=3mol%、K2O=3mol%、Al23=94mol%
〔アルミニウム(Al)に対するセシウム(Cs)の割合:酸化物換算モル比(Cs2O/Al2O3)=0.032〕
〔全アルカリ元素(M)中のセシウム(Cs)の割合:酸化物換算モル比(Cs2O/M2O)=0.5〕
そして、次のようにしてセシウム分圧測定装置を準備し、サンプル1)〜3)のセシウム分圧測定を測定した。
先ず、外径8mm(内径6mm)×高さ200mmのアルミナ製保護管5の一端に円盤状の電解質a)を配して、保護管5及び電解質a)の側面をアルミナセメントで覆って焼き固め、電解質a)からなる検知素子1を底に備えたるつぼ状のセルを作製した。このセル内に標準物質として1gのIn−1質量%Cs合金を入れて検知素子1の片面(基準部)に接触させ、この標準物質に直径0.5mmのMo線を挿入して参照極3を形成した。一方、検知素子1の他方の面(検知部)については、マグネシアるつぼに入れられた3gのサンプル1)の表面に押し当てるようにし、このサンプル1)に同じく直径0.5mmのMo線を挿入して試料極(サンプル)2を形成した。これらを温度調整機能付きのニクロム抵抗炉(加熱ヒータ)9に入れて、検知素子1とサンプル1)との間の接触部位付近に熱電対8を挿入してセシウム分圧測定時の温度を測定できるようにし、また、参照極3と試料極2とに挿入された一対のMo線を直流電圧計7に接続して、参照極3と試料極2との間に発生する起電力を測定できるようにした。サンプル2)及び3)に関しても、上記と同様のセシウム分圧測定装置でセシウム分圧を測定するようにした。また、電解質a)の代わりに電解質b)を使って検知素子1を形成した以外は上記と同様にしたセシウム分圧測定装置を用いて、サンプル1)〜3)のセシウム分圧を測定するようにした。
ここで、セシウム分圧(PCs)は、文献値より(O.Knacke et.al.:Thermochemical Properties of Inorganic Substance.(1991))、
log(PCs/bar)=−4209/T−1.31logT+8.182
であることから(Tは温度を表す)、600℃の純Csの蒸気圧は0.52bar(52000Pa)である。
また、In−Cs二元系の液体の活量線図より、Cs希薄溶液のヘンリー則が適用できる範囲の活量係数は0.09と算定され、Inの原子量は115であり、Csの原子量は133であることから、In−1質量%Cs合金中のCs活量(aCs)は次式の通り0.00078と算定される。
Cs=0.09×(1/133)/(1/133+99/115)=0.00078
更には、合金中の蒸気圧と活量の関係は下記の式で示されることより、参照極(標準物質)に用いるIn−1質量%Cs合金の600℃(873K)でのセシウム分圧(PCs2)は0.00078(-)×52000(Pa)=40(Pa)である。
Cs=P’Cs/PCs
〔P’Cs:合金中の蒸気圧(Pa)、PCs:純物質の蒸気圧(Pa)〕
そして、気体定数R=8.314(J/mol・K)、ファラデー乗数F=96500(C/mol)であり、また、セシウム蒸気圧の基準をCs単原子基準とした時の荷数:nは1であることより、上記式(1)に示したネルンストの式より、起電力E(V)と測定温度T(600℃=873K)の関係から、試料極(サンプル)のセシウム蒸気圧(PCs1)を求めることができる。ちなみに、予備実験において、本発明の実施例に係る条件下での電子伝導やホール伝導、接触電位などは、式(1)で与えられる測定データに起電力値の変動で示される誤差範囲が10%未満であることを確認したことから、測定データの補正は行っていない。また、測定は、600秒の連続的な起電力値を1秒ピッチで採取した起電力データより各測定点においてセシウム蒸気圧を自動計算し、その平均値を求めるようにした。更には、600点の測定値から、下記の式で得られる標準偏差σ(Pa)を測定精度の目安とした。なお、下記に示した比較例である、表4中のクヌーゼンセル法による標準偏差は、同一サンプルにて10回の測定で得られた測定値のばらつきより算出したものである。
σ2=1/600×Σ(PCs−PCsE2
(ここで、PCsは600点から求めた平均値(Pa)を示し、PCsEは600点の各測定蒸気圧(Pa)を示す。)
表2には、電解質a)を用い、各サンプルを対象に行った600℃におけるCs分圧の測定値と、その結果に基づいて、サンプル中に含有されるセシウムの除去に適正と考えられた分離手法、その結果のサンプルからのセシウム分離率(評価サンプルは全量10g)を示す。本発明の結果より、サンプル中のセシウム分圧に応じた最適条件を選択することができ、全ての場合において、処理後のサンプル中のセシウム濃度は分析限界以下で、ほぼ全量のセシウムをサンプル中より除去できたことを確認した。
尚、このときの測定にあたり、サンプルセットから起電力測定完了までに要した時間は約20分であった。また、分圧を測定したサンプル1)については「Ar(1atm)にて800℃×1時間」(高温による蒸発分離)の処理を、サンプル2)については「油回転式ポンプ真空引き条件にて800℃×1時間」(高温+高真空の組み合わせによる蒸発分離)の処理を、サンプル3)については「油回転式ポンプ真空引き+Al浴中撹拌で800℃×1時間」(高温+高真空の組み合わせによる蒸発分離に加えて、強脱酸元素であるAl添加によって酸化物として存在するCsを還元反応の組み合わせで分離)の処理を行った。例えば、サンプル1)の例で言えば、処理前後のサンプルの成分分析値から、Cs濃度を1%から0.01%未満に低減できたことになる。
Figure 2014025875
また、表3には電解質b)を用いて表2記載と同等の処理を試みた結果を示す。この場合、サンプル1)、2)に対する測定は可能であり、測定結果に基づくセシウム分離処理は可能であったが、測定起電力は比較的不安定で、分析精度の面でばらつきが大きかった。これは、固体電解質中のセシウムが低濃度(mol%Cs/mol%Al=0.032)であったことに起因するイオン透過性が劣っていたためと考えられる。また、サンプル3)に対する測定では、電解質の電気抵抗が大きく、有効な測定データを得ることができず、従って、セシウム除去処理の選択ができなかったが、これは、電解質b)には、酸化物としてアルカリ元素のカリウム含まれており、電解質中セシウムの全アルカリ元素中のモル比は0.5であったことから、サンプル3)中に含有されるK2Oの影響で、電解質とサンプルの界面で分極が起こり、有効な測定ができなかったためと考えられる。
Figure 2014025875
更に、表4には、比較例として既存の蒸気圧測定法であるクヌーゼンセル法によって本発明と同様の処理を試みたところ、サンプル1)の条件の場合のみ有効な蒸気圧値を測定でき、セシウム分離条件を選択でき、ほぼ全量のセシウム除去ができたが、サンプル2)、3)の条件では、蒸気圧が測定下限以下であったことから適正条件の選択ができず、セシウム除去処理が実施できなかった。
尚、このときの測定には、サンプルセット以降、蒸気圧の算定までの作業時間は6時間を要した。
Figure 2014025875
1:固体電解質(検知素子)、2:試料極(サンプル)、3:参照極(標準物質)、4:金属電極、5:保護管、6:リード線、7:直流電圧計、8:熱電対(温度測定手段)、9:加熱ヒーター。

Claims (10)

  1. 酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質を用いることを特徴とするセシウム分圧測定装置。
  2. 酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質で形成され、セシウムを含有して所定の温度のときに所定のセシウム分圧を示す標準物質が接触する基準部、及び、セシウムを含む測定対象のサンプルが接触する検知部を有する検知素子と、セシウム分圧測定時に前記検知素子と前記サンプルとの間の接触部位の温度を測定する温度測定手段と、前記検知素子の基準部と検知部との間に発生する起電力を測定する起電力測定手段とを備え、前記温度測定手段で測定された測定温度と前記起電力測定手段で測定された起電力とからサンプルのセシウム分圧を求めることを特徴とする請求項1に記載のセシウム分圧測定装置。
  3. 前記固体電解質が、酸化セシウムを含む複合酸化物である請求項1又は2に記載のセシウム分圧測定装置。
  4. 前記固体電解質が、ベータアルミナ構造である請求項1〜3のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置。
  5. 前記固体電解質中に含有されるセシウム(Cs)が、固体電解質中に含有されるアルミニウム(Al)に対して、酸化物換算のモル比(Cs2O/Al2O3)で0.04〜0.20の範囲内であると共に、固体電解質中に含有される全アルカリ金属(M)に対して、酸化物換算のモル比(Cs2O/M2O)で0.6以上である請求項1〜4のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置。
  6. 前記請求項1〜5のいずれかに記載のセシウム分圧測定装置を用いることを特徴とするセシウム分圧測定方法。
  7. 酸化アルミニウムを主成分とするセシウムイオン伝導性の固体電解質で形成され、セシウムを含有して所定の温度のときに所定のセシウム分圧を示す標準物質が接触する基準部、及び、セシウムを含む測定対象のサンプルが接触する検知部を有する検知素子と、セシウム分圧測定時に前記検知素子と前記サンプルとの間の接触部位の温度を測定する温度測定手段と、前記検知素子の基準部と検知部との間に発生する起電力を測定する起電力測定手段とを備えたセシウム分圧測定装置を用いて、前記温度測定手段で測定された測定温度と前記起電力測定手段で測定された起電力とからサンプルのセシウム分圧を求める請求項6に記載のセシウム分圧測定方法。
  8. 前記起電力測定手段による起電力の測定は、前記検知素子の検知部とサンプルとの間の接触部位の全体又は一部の面における温度が200℃以上1400℃以下の条件下で行われる請求項7に記載のセシウム分圧測定方法。
  9. 前記サンプルが、珪素を20質量%以上の割合で含有する珪素含有サンプルである請求項7又は8に記載のセシウム分圧測定方法。
  10. 前記サンプル中に含まれるセシウムは、その50質量%以上が放射性セシウムである請求項7〜9のいずれかに記載のセシウム分圧測定方法。
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