JP2014025201A - マンホール内の排水方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浮き油を混入させることなく溜まり水を排水することができる、マンホール内の排水方法を提供すること。
【解決手段】マンホール内の水面のうち一部の水面の浮遊物(浮き油)を移動し(ST1)、浮遊物(浮き油)が移動された水面の位置に、筒状でかつ自立して浮かぶ排水ガイドを浮かせ(ST2)、排水ポンプ及び排水ホースを、排水ガイドを介してマンホールの溜まり水の中に沈めることで、排水ポンプを溜まり水の中に設置し(ST3)、排水ポンプによって、溜まり水を排水ホースを通して排水する(ST4)。
【選択図】図4

Description

本発明は、マンホール内の排水方法に関する。
マンホール内に設置された設備の保守などを行うためには、保守を行う前にマンホール内の溜まり水を排水する必要がある。
マンホール内の溜まり水の排水は、一般に、排水ポンプ及び排水ホースを用いて行う。すなわち、排水ホースが取り付けられた排水ポンプを溜まり水に沈め、この排水ポンプ及び排水ホースによって溜まり水を汲み上げることにより、溜まり水をマンホールの外部に排出する。
マンホール内の排水方法の例は、特許文献1に記載されている。
特開平5−272165号公報
ところで、本来、マンホール内の溜まり水は、雨水扱いで、路上の排水溝に放水することができる。しかしながら、排水した溜まり水に油分が混入すると、雨水扱いではなく、産業廃棄物の扱いになるので、その処理に多額の費用が必要となる。
例えば、電力ケーブルである、OF(Oil-Filled)ケーブルや紙ケーブルが配設されたマンホールでは、その撤去の際に漏れた油が溜まり水の水面に浮遊物として浮いている場合がある。
このような浮き油が排水中に混入してしまうと、排水溝に放水できなくなり、上述したようにその処理に多額の費用がかかる。一方、浮き油が排水中に混入しないように排水作業を行うためには、手間と時間がかかる問題がある。さらに、浮き油が排水中に混入しないように注意して排水作業を行ったとしても、その混入を確実に防ぐことができるとは言えなかった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、溜まり水に浮遊物としての浮き油を混入させることなく排水することができる、マンホール内の排水方法を提供することを目的とする。
本発明のマンホール内の排水方法の一つの態様は、マンホール内の水面のうち、一部の水面の浮遊物を移動又は除去するステップと、前記浮遊物が移動又は除去された水面の位置に、筒状でかつ自立して浮かぶ排水ガイドを浮かせるステップと、排水ポンプ及び排水ホースを、前記排水ガイドの内部の空洞部を通過させて前記マンホールの溜まり水の中に沈めることで、前記排水ポンプを前記溜まり水の中に設置するステップと、前記排水ポンプによって、前記溜まり水を前記排水ホースを通して排水するステップと、を含む。
本発明によれば、浮き油を混入させることなく溜まり水を排水することができる、マンホール内の排水方法を実現できる。
実施の形態のマンホール内の排水方法を用いて、マンホール内の溜まり水を排水している様子を示す図 排水ガイドの構成を示す断面図 排水ガイドの構成を示す斜視図 実施の形態におけるマンホール内の排水方法の手順を示すフローチャート
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のマンホール内の排水方法を用いて、マンホール20内の溜まり水21を排水している様子を示す。
マンホール20内には、排水ガイド10が配置されている。排水ガイド10にはロープ31が掛けられており、排水ガイド10は、作業員32によってロープ31を用いて、マンホール20内に投入され、及び、排水作業終了後マンホール20内から引き上げられる。排水ガイド10は、マンホール20内の溜まり水21に自立して浮くようになっている。なお、排水ガイド10の構成については、図2及び図3を用いて後述する。
排水ポンプ41は、排水ガイド10を介してマンホール20の溜まり水21の中に沈められ、マンホール20の底に設置される。排水ポンプ41に取り付けられた排水ホース42は、排水ガイド10内を通過して排水タンク43に繋がれている。排水ポンプ41及び排水ホース42によって汲み上げられた溜まり水21は排水タンク43に貯留される。
図2は、排水ガイド10の構成を示す断面図であり、図3は、排水ガイド10の構成を示す斜視図である。排水ガイド10は、ガイド本体11と、フロート12と、から構成されている。
本実施の形態の場合、ガイド本体11として、底面をカットしたプラスチック製バケツが用いられている。一実施例として、70リットルの家庭用のプラスチック製バケツの底面をカットしたものを用いることができる。また、フロート12として、ペットボトルが用いられている。一実施例として、500ミリリットルのペットボトルを用いることができる。排水ガイド10は、ガイド本体(ここでは底面がカットされたプラスチック製バケツ)11の周囲に、中身が空でキャップをした状態の複数のフロート12が結束部材13によって固定することでガイド本体11とフロート12が一体的に形成されている。ここでは、結束紐によって固定されている。フロート12はキャップ側を下向きにした状態でガイド本体11の周囲に固定されている。本実施の形態の場合、16本のフロート12がプラスチック製バケツの外周に対称位置に配置され固定されている。
ここで、本実施の形態の場合、そもそもプラスチック製バケツの蓋を閉じるために側方に突出するように形成された縁部11aを有するプラスチック製バケツ11が用いられている。これにより、ペットボトル(フロート)12の底面(キャップと反対側)をプラスチック製バケツ11の縁部11aに揃えて固定することができ、縁部11aを固定用ガイドとすることができる。また、上方に浮力を受けても、ペットボトル(フロート)12の底面の一部が縁部11aに突き当たることにより、結束部材13による固定が仮に緩んだ場合でもプラスチック製バケツ11から外れ難くなる。
また、本実施の形態の場合、フロート(ペットボトル)12をガイド本体(プラスチック製バケツ)11の縁部11aに固定することで、排水ガイド10をマンホール20内の溜まり水21に浮かせた際、ガイド本体11がフロート12に比べて水中深くに位置する。本実施の形態では、ガイド本体11の溜まり水21内に位置する長手方向(深さ方向)の長さは、フロート12の長手方向の長さの2倍以上を有する。これにより、排水ガイド10を介して排水ポンプ41を溜まり水21の中に設置する際、排水ガイド10が傾いても、排水ガイド10外周の浮遊物(浮き油)22が、ガイド本体11の底から排水ガイド10内に進入するのを防止することができる。また、排水の際の振動によって排水ガイド10が傾いても、排水ガイド10外周の浮遊物(浮き油)22が、ガイド本体11の底から排水ガイド10内に進入するのを防止することができる。
次に、排水ガイド10を用いた、マンホール内の排水方法について説明する。本実施の形態の排水は、図4に示した手順で行う。
先ず、第1ステップST1において、マンホール20内の水面のうち、一部の水面の浮遊物(浮き油)22を移動させる。この作業は、例えば、マンホール20の上方外側から、マンホール20内の水面の浮遊物(浮き油)22に向けて送風機で風を送ることで実現できる。
次に、第2ステップST2において、浮遊物(浮き油)22が移動された水面の位置に、排水ガイド10を浮かせる。この作業は、作業員32がロープ31を用いて排水ガイド10をマンホール20内に下ろして行くことにより行う。ここで、第1ステップST1の作業は、排水ガイド10内に浮遊物(浮き油)22が入らないようにするための作業であるが、浮遊物(浮き油)22を移動させても直ぐに元に戻ってしまうので、実際上、第1ステップST1の作業の直ぐ後に第2ステップST2の作業を行うか、あるいは、第1ステップST1の作業と第2ステップST2の作業を同時に行う必要がある。ここで、排水ガイド10は筒状なので、マンホール20の上方外側から送られた風は、排水ガイド10を通過して水面まで届くので、排水ガイド10は浮遊物(浮き油)22を移動させるための障害にはならない。
なお、本実施の形態では、送風機で浮遊物(浮き油)22を移動させた後、排水ガイド10を浮かせるようにしたが、これに代えて、油吸着マット等の油吸着材で浮遊物である浮き油を除去した上で排水ガイド10を浮かせるようにしてもよい。具体的には、例えば油吸着マット(図示せず)を排水ガイド10の底に当てながら排水ガイド10を水中に押し込み、水中に押し込んだ状態で油吸着マットを取り除く。これにより、排水ガイド10を設置する部分の浮き油は油吸着マットに吸着するため、排水ガイド10内に浮遊物(浮き油)22を入れることなく、排水ガイド10を浮かせることができる。
次に、第3ステップST3において、排水ガイド10を介して排水ポンプ41を溜まり水21の中に設置する。この作業は、作業員が、排水ホース42や、排水ポンプ41に繋がれた補助ロープ(図示せず)を持ちながら、排水ポンプ41を排水ガイド10の内部の空洞11bを通過させて溜まり水21の中に沈め、マンホール20の底まで下げることにより行われる。この際、排水ガイド10は、単なる自立する筒状の浮き輪と異なり、前述のとおり、ガイド本体11がフロート12に比べて水中深くに位置するため、排水ガイド10が傾いても、排水ガイド10外周の浮遊物(浮き油)22が、ガイド本体11の底から排水ガイド10内に進入するのを防止することができる。本実施の形態では、ガイド本体11の溜まり水21内に位置する長手方向(深さ方向)の長さは、フロート12の長手方向の長さの2倍以上を有する。
次に、第4ステップST4において、排水ポンプ41及び排水ホース42によって溜まり水21が汲み上げられ、排水が行われる。
ここで、排水が進むにつれて、溜まり水21の水面が下降していき、それに伴って水面に浮いている排水ガイド10も下降していく。やがて、排水ガイド10の底面がマンホール20の底面に達すると、排水ポンプ41は排水ガイド10の内部に収まる。このとき、単なる自立する筒状の浮き輪と異なり、前述のとおり、ガイド本体11がフロート12に比べて水中深くに位置するため、排水ガイド10が傾いても、排水ガイド10外周の浮遊物(浮き油)22が、ガイド本体11の底から排水ガイド10内に進入するのを防止することができる。よって、排水ポンプ41からは浮遊物(浮き油)22の混ざっていない溜まり水21が排水される。そして、浮遊物(浮き油)22がマンホール20の底面に達する直前に、排水ポンプ41が停止される。
このようにすることで、溜まり水21を油が混入しない状態で排水することができる。なお、図1では、溜まり水21を排水タンク43に貯留しているが、排水される溜まり水には油が混入していないので、雨水扱いで、路上の排水溝に放水することもできるようになる。また、残りの浮遊物(浮き油)22を含む水は少量となるため、産業廃棄物処理費用を安くすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、マンホール20内の水面のうち一部の水面の浮遊物(浮き油)22を移動又は除去し、浮遊物(浮き油)22が移動又は除去された水面の位置に、筒状でかつ自立して浮かぶ排水ガイド10を浮かせ、排水ポンプ41及び排水ホース42を、排水ガイド10の内部の空洞部11bを通過させてマンホール20の溜まり水21の中に沈めることで、排水ポンプ41を溜まり水21の中に設置し、排水ポンプ41によって、溜まり水21を排水ホース42を通して排水するようにした。このとき排水ポンプ41はマンホール20の底に設置される。これにより、溜まり水21に浮遊物(浮き油)22を混入させることなく排水することができる。
ここで、本実施の形態の排水ガイド10と、フロート12を有さないガイド本体11のみから構成された排水ガイドとを比較する。フロート12を有さないガイド本体11のみからなる排水ガイドでは、ガイド本体11にロープ31を取り付けて上部で作業員32の2人が、ガイド本体11の内部に浮遊物(浮き油)22が進入しないように、ガイド本体11のバランスを取りながら、排水による水面の低下変動に合わせたペースでガイド本体11の高さを調整する必要がある。しかしながら、この方法では、ガイド本体11の内部に浮遊物(浮き油)22が進入するかしないかは、作業員32の集中力やバランス操作の熟練度に依存してしまう。また、回りの金具等の突起物へロープ31が引っ掛かったり、水面と作業員32との距離が遠いため確認作業が難しい等の原因で、浮遊物(浮き油)22がガイド本体11内(排水ガイド10内)に進入する可能性がある。浮遊物(浮き油)22がガイド本体11内(排水ガイド内)に排水途中に進入した場合、排水された水には浮遊物(浮き油)22が混入しなくても、作業後、排水ポンプ41を引き上げる際、排水ポンプ41に浮遊物(浮き油)22が付着するため、今後当該ポンプをマンホールの排水に使えなくなるおそれがある。
これに対して、本実施の形態の排水ガイド10は、フロート12を有し、自立して浮かぶ構成とされているので、作業員32の技量に依存することなく、ガイド本体11が安定して水面に浮かぶことにより、浮遊物(浮き油)22がガイド本体11内に進入することを確実に防止できる。また、マンホール20の深部を覗いて排水ガイド10のバランスをとる必要がないので、排水作業の安全性を向上させることができる。さらに、排水ガイド10のバランスをとる必要がないので、1人の作業員でも排水作業を行うことができるようになり、排水作業の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態の場合には、フロート12として、廃材であるペットボトルを用いているので、廉価で、かつ、浮き輪等と比較して穴などの空きにくい耐久性の強い、自立浮遊式の排水ガイド10を実現できる。また、フロート12として、浮き輪を用いる場合と比較して、径方向のサイズをあまり大きくせずに浮力を得ることができるので、マンホール20内の狭い空間に投入されるのに適している。
なお、上述の実施の形態では、排水ガイド10を、プラスチック製バケツ11とペットボトル12とを用いて構成した場合について述べたが、本発明の排水ガイドの構成はこれに限らない。要は、排水ポンプ41及び排水ホース42が上下方向に通過できる空洞部を有する、筒状のガイド本体と、筒状のガイド本体の外周位置に形成されたフロートと、を有し、自立して浮かぶことができる構成であればよい。
また、上述の実施の形態では、マンホール内の水面の浮き油の場合について説明しているが、本発明の方法は、表面に浮き油が存在するか否かはっきりしないマンホール内の溜まり水を排水する場合に予防的に用いることもできる。すなわち、マンホール内の水面の浮遊物が浮き油か否かはっきりしない場合であっても本発明の方法を適用できる。
本発明は、マンホール内の溜まり水を排水する場合に用いて好適である。
10 排水ガイド
11 ガイド本体
11a 縁部
11b 空洞部
12 フロート
20 マンホール
21 溜まり水
22 浮遊物(浮き油)
31 ロープ
32 作業員
41 排水ポンプ
42 排水ホース
43 排水タンク

Claims (6)

  1. 以下のステップを含むマンホール内の排水方法。
    第1ステップ) マンホール内の水面のうち、一部の水面の浮遊物を移動又は除去す る。
    第2ステップ) 前記浮遊物が移動又は除去された水面の位置に、筒状でかつ自立し て浮かぶ排水ガイドを浮かせる。
    第3ステップ) 排水ポンプ及び排水ホースを、前記排水ガイドの内部の空洞部を通過させて前記マンホールの溜まり水の中に沈めることで、前記排水ポンプを前記溜まり水の中に設置する。
    第4ステップ) 前記排水ポンプによって、前記溜まり水を前記排水ホースを通して排水する。
  2. 前記排水ガイドは、
    前記排水ポンプ及び前記排水ホースが上下方向に通過できる空洞部を有する、筒状のガイド本体と、
    前記ガイド本体と一体的に形成されたフロートと、
    を具備する、
    請求項1に記載のマンホール内の排水方法。
  3. 前記第2ステップは前記第1ステップの直ぐ後に行われる、又は、前記第1ステップと前記第2ステップは同時に行われる、
    請求項1又は2に記載のマンホール内の排水方法。
  4. 前記第1ステップは、前記浮遊物に向けて送風機で風を送ることで行われる、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のマンホール内の排水方法。
  5. 前記浮遊物は浮き油である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のマンホール内の排水方法。
  6. 前記第1ステップは、油吸着材で前記浮き油を除去することで行われる、
    請求項5に記載のマンホール内の排水方法。

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