JP2014025025A - 液晶化合物および三重項消光剤を含有する液晶組成物 - Google Patents

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克巳 飯田
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聡 渭原
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真生人 中原
Katsuhiro Kitajima
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Abstract

【課題】ジフルオロスチルベン誘導体である、式(a)で表される化合物の光異性化を抑制することを目的とする、式(a)で表される化合物と三重項消光剤を含有する組成物の提供、式(a)で表わされる化合物の中でも光異性化を生じにくい新規ジフルオロスチルベン誘導体の提供、前記液晶組成物を用いた液晶電気光学素子の提供。
【解決手段】下記式(a)で表される化合物と、三重項消光剤を含有する液晶組成物。Ra1-(A1)na1-Z1-Ph1-CF=CF-Ph2-Z2-(A2)na2-Ra2(a)
【選択図】なし

Description

本発明は紫外線による液晶材料および基本特性の劣化を低減するための液晶組成物および該目的に有用な液晶化合物に関する。
液晶素子は携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどの用途に使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。
このような液晶素子には液晶相を示す材料が使用されているが、従来、上記のような特性の全てを単独で満たす化合物は存在せず、液晶化合物や非液晶性化合物を複数混合することで、要求性能を満たす液晶組成物を得ていた。このため、各種特性のすべてではなく、一または二以上の特性に優れた液晶または非液晶の材料開発が望まれている。
最近ではディスプレイのさらなる高速応答化が望まれており、このためにはいくつかの改善方法が考えられるが、その一つとして低粘性の液晶組成物がある。すなわち、液晶組成物の粘性が低下すれば、応答速度は向上し、低温でも実用的な速度での表示が可能となる。
このような目的のために、ジフルオロスチルベン化合物が提案されている(特許文献1、2参照)。
ジフルオロスチルベンは、二重結合部位にフッ素が置換されていないスチルベン化合物よりも光に対して安定性が向上しているものであった。しかしながら、一般的に用いられている液晶化合物と比較すると光安定性には未だ問題が残されてり、ジフルオロスチルベン化合物は一部の使用環境が制限された状況でのみ採用されていた。
このような問題を解決するために、配向膜を芳香族ポリイミドから脂肪族ポリイミドに変更することが提案されている(特許文献3参照)。
特許文献3によれば、配向膜に用いられるポリイミドの構造がジフルオロスチルベンの光異性化に大きく関係があると記載されている。
しかしながら、液晶ディスプレイの配向膜としては芳香族ポリイミドが用いられることが多いため、特許文献3の適用は難しいものであった。
したがって、低粘性で、かつ光に対する安定性が高い液晶材料、もしくは補助的に光安定化をするための添加剤が望まれていた。
特開平6−329566号公報 特開平7−133241号公報 特開2005−206617号公報
本発明は、ジフルオロスチルベン誘導体である、式(a)で表される化合物の光異性化を抑制することを目的とする。このために、式(a)で表される化合物と三重項消光剤を含有する組成物を提供することを目的とする。また、式(a)で表わされる化合物の中でも、光異性化を生じにくい新規ジフルオロスチルベン誘導体を提供することも目的とする。また、前記液晶組成物を用いた液晶電気光学素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(a)で表される化合物と、三重項消光剤を含有する液晶組成物を提供する。
a1-(A1)na1-Z1-Ph1-CF=CF-Ph2-Z2-(A2)na2-Ra2 (a)
式中の記号は以下の意味を示す。
a1およびRa2:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の1価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基中、1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、炭素−炭素原子間または該基の結合末端にエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
1およびA2:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基であり、これら各基中、1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
1およびZ2:相互に独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−、−CF2CF2−、−CF=CF−、−OCF2−、または−CF2O−。
Ph1およびPh2:相互に独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基。
a1およびna2:相互に独立して、0または1。
前記三重項消光剤としては、吸収極大が500nm以下である化合物が好ましい。
また、前記三重項消光剤としては、1,3,5−トリエンまたはその誘導体であるものが好ましい。
中でも、7員環以上で形成される1,3,5−シクロアルカントリエンまたはその誘導体であるものがより好ましい。
また、1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体であるものがさらに好ましい。
また、前記三重項消光剤としては、下記式(c)で表される化合物であるものも好ましい。

式中の記号は以下の意味を示す。
Ar1:1価の芳香族複素環基、1価の芳香族炭化水素基、およびこれらの組合せ。これらの基は置換基を有していてもよく、2個以上の環が縮合していてもよい。また、2つのAr1同士が結合していてもよい。
c1およびRc2:相互に独立して、置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の芳香族複素環基、またはハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基。また、Rc1およびRc2が環基である場合、該環基同士は結合していてもよい。
c3およびRc4:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の芳香族複素環基、またはハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基。
c:0〜3
中でも、式(c)において、nc=0または1の化合物であるものが好ましい。
また、式(c)において、Rc1、Rc2がいずれも1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基である化合物であるものがさらに好ましい。
また、前記式(a)で表される化合物が、下記式(a−1)で表される化合物であるものも好ましい。
a11-Ph11-CF=CF-Ph21-Ra21 (a−1)
式中の記号は以下の意味を示す。
a11およびRa21:相互に独立して、ハロゲン原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、該アルキル基中、1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、該基の結合末端にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい。
Ph11およびPh21:相互に独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子またはメチル基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基。
中でも、前記式(a−1)で表される化合物が、下記式(a−11)、式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)、式(a−15)および式(a−16)で表される化合物の少なくとも1種であるものが好ましい。
F-Ph-CF=CF-Ph-F (a−11)
CF3O-Ph-CF=CF-Ph-OCF3 (a−12)
F-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-F (a−13)
CH3-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-CH3 (a−14)
F-Ph(2Me)-CF=CF-Ph(3Me)-F (a−15)
Cl-Ph-CF=CF-Ph-Cl (a−16)
式中の記号は以下の意味を示す。
Ph:1,4−フェニレン基
Ph(2F):2−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph(3F):3−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph(2Me):2−メチル−1,4−フェニレン基
Ph(3Me):3−メチル−1,4−フェニレン基
また、前記式(a−1)で表される化合物が、前記式(a−11)、式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)、式(a−15)および式(a−16)で表される化合物の少なくとも1種であり、三重項消光剤が1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体である液晶組成物も好ましい。
また、前記式(a−1)で表される化合物が、前記式(a−11)、式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)、式(a−15)および式(a−16)で表される化合物の少なくとも1種であり、三重項消光剤が前記式(c)で表される化合物である液晶組成物も好ましい。
また、本発明は、前記いずれかの液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板間に封入してなる液晶電気光学素子も提供する。
前記液晶電気光学素子としては、液晶電気光学素子に用いられるポリイミド系配向膜が、主成分として芳香族化合物を用いたポリイミド共重合体であるものが挙げられる。
また、本発明は、下記式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)または式(a−15)で表される化合物を提供する。
CF3O-Ph-CF=CF-Ph-OCF3 (a−12)
F-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-F (a−13)
CH3-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-CH3 (a−14)
F-Ph(2Me)-CF=CF-Ph(3Me)-F (a−15)
式中の記号は以下の意味を示す。
Ph:1,4−フェニレン基
Ph(2F):2−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph(3F):3−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph(2Me):2−メチル−1,4−フェニレン基
Ph(3Me):3−メチル−1,4−フェニレン基
本発明の液晶組成物は、三重項消光剤を含有することにより、式(a)で表される化合物の光異性化を抑制することができる。また、式(a)で表される化合物の中でも、特定の化合物は、三重項消光剤が無くても高い耐光性を示し、三重項消光剤を含有することにより、より高い耐光性を示す液晶組成物を得ることができる。
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本明細書において、式(a)で表される化合物を化合物(a)と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書において、特に断りのない限り、式(a)におけるRa1に近いほうを常に1位とし、Ra2に近い方を常に4位とする。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」と記載する場合、置換基とは、具体的には、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは芳香族複素環基、またはハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基である。
また、本明細書において、液晶化合物とは、液晶相を示す化合物および液晶相を示さないが液晶組成物の構成成分として有用である化合物を意味するものである。
化合物(a)において、Ra1およびRa2は前記のとおりである。Ra1およびRa2において、水素原子のハロゲン原子への置換と、炭素−炭素原子間または該基の結合末端へのエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子の挿入は、同一の脂肪族炭化水素基に対して同時に行われていてもよい。
1価の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が挙げられ、中でもアルキル基またはアルケニル基が好ましい。
以下、エーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子およびハロゲン原子の少なくとも1つによる置換を含むアルキル基を「置換アルキル基」と記す。
また、エーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子およびハロゲン原子の少なくとも1つによる置換を含むアルケニル基を「置換アルケニル基」と記す。
置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルコキシアルキル基、フルオロアルキルチオ基等が挙げられる。
置換アルケニル基としては、アルケニルオキシ基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルチオ基、アルケニルチオアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルケニルオキシ基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。
アルキルチオアルキル基としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、プロピルチオエチル基、メチルチオプロピル基、エチルチオプロピル基、プロピルチオプロピル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基が挙げられる。
フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、ジフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基等が挙げられる。
フルオロアルコキシ基としては、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基等が挙げられる。
フルオロアルコキシアルキル基としては、トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
フルオロアルケニル基としては、2−フルオロエテニル基、2,2−ジフルオロエテニル基、1,2,2−トリフルオロエテニル基、3−フルオロ−1−ブテニル基、4−フルオロ−1−ブテニル基等が挙げられる。
フルオロアルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、1,1,2,2−テトラフルオロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基等が挙げられる。
a1およびRa2としては、化合物(a)の安定性の面から、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基が好ましい。
なかでも、Ra1およびRa2としては、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フルオロアルコキシ基が好ましい。
化合物(a)において、A1およびA2は前記のとおりである。A1およびA2が1,4−フェニレン基であり、さらに置換基としてハロゲン原子を有する場合、1つの1,4−フェニレン基に置換するハロゲン原子の数は1つから4つであるが、中でも1つまたは2つが好ましい。トランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、さらに置換基としてハロゲン原子を有する場合、ハロゲン原子の数は1つから4つであることが好ましい。また、ハロゲン原子はシクロヘキシレン基の1位または4位の炭素原子に結合していてもよい。
窒素原子で置換された1,4−フェニレン基としては、2,5−ピリミジニレン基または2,5−ピリジニレン基等が挙げられる。
エーテル性酸素原子、またはチオエーテル性硫黄原子で置換されたトランス−1,4−シクロへキシレン基としては、1−オキサン−2,5−ジイル基、1−チアン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基等が挙げられる。
1およびA2としては、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、または1つもしくは2つのフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が好ましい。
化合物(a)において、Z1およびZ2は前記のとおりである。Z1およびZ2としては、単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH2CH2−、−OCF2−、または−CF2O−が好ましく、化合物の安定性の面および合成の容易さから、単結合が特に好ましい。
化合物(a)において、Ph1およびPh2は前記のとおりである。Ph1およびPh2が1,4−フェニレン基であり、置換基としてハロゲン原子を有する場合、1つの1,4−フェニレン基に置換するハロゲン原子の数は1つから4つであるが、中でも1つまたは2つが好ましい。置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有する場合も同様である。
Ph1およびPh2としては、化合物(a)の安定性の面から、ハロゲン原子またはメチル基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましく、中でも、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、または3−メチル−1,4−フェニレン基が好ましい。
化合物(a)において、na1およびna2は前記のとおりである。na1およびna2としては粘性等の面から、一方が1でありもう一方が0であるものが好ましく、いずれも0であるものが特に好ましい。
本発明の化合物(a)は、特許文献1等の公知文献を参考に合成できる。他にも、例えば、化合物(a)が対称型(Ra1とRb1、Ph1とPh2が同じ構造で、Z1およびZ2が単結合、na1およびna2が0)である場合、下記のように、化合物(1)を、ブチルリチウム等の金属試薬と反応させ、リチオ化物である化合物(2)とし、これとテトラフルオロエチレンを反応させることによっても、合成することができる。

ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。
金属試薬としては、金属リチウム、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウムなどが挙げられ、中でもn−ブチルリチウムが好ましい。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどが挙げられ、中でもメチルt−ブチルエーテルが好ましい。
反応温度としては、反応基質によるが−30〜−70℃が好ましい。
本発明の液晶組成物において、三重項消光剤は、式(a)で表されるジフルオロスチルベン化合物の光刺激による幾何異性化反応を極力誘発させないために、液晶組成物に含有させるものである。
ジフルオロスチルベンの光刺激による可逆的な幾何異性化反応のメカニズムについて以下に示す。幾何異性体の一方であるトランス−ジフルオロスチルベンともう一方の幾何異性体であるシス−ジフルオロスチルベンの間にはポリイミド配向膜からの光増感による可逆的な光異性化反応にあると想定している。即ち、それぞれのジフルオロスチルベン幾何異性体は、ポリイミドが外部からの光刺激により励起されて、さらに系間交差を通して生成したポリイミド励起三重項状態より三重項エネルギーをもらうことでジフルオロスチルベンが三重項状態に励起する。通常三重項状態は一重項状態よりも寿命が長いため、励起三重項状態にあるトランス体、シス体のそれぞれのジフルオロスチルベンは準安定であるねじれ型構造に移行していくと考えられる。その後、ねじれ型構造のまま基底状態へ移り、基底状態のトランス体もしくはシス体のジフルオロスチルベンへと戻ることとなる。
前記の考え方とは別に、ジフルオロスチルベンが外部から入ってきた光刺激により光励起する場合もありうる。この場合についても、トランス体、シス体それぞれのジフルオロスチルベンは光吸収をして励起一重項状態になり、その後、三重項状態へ系間交差し、そのあとにジフルオロスチルベンは準安定なねじれ型構造の励起三重項状態となることが考えられる。その後は、ねじれ型構造のまま基底状態へ移り、基底状態のトランス体もしくはシス体のジフルオロスチルベンへと戻ることとなる。
前記のように、ジフルオロスチルベン誘導体は内因的、外因的に光刺激を受けてトランス体、シス体の間に可逆的な光異性化反応が起きることとなる。
ジフルオロスチルベン誘導体はトランス体、シス体では液晶物性が異なるため、光刺激によるトランス体、シス体の間での可逆的な光異性化反応が進行してしまうと平衡状態でない限りは液晶組成物の物性値に変化を起こしてしまうため、極力光異性化反応を抑制する必要がある。
ジフルオロスチルベン誘導体の可逆的な光異性化反応を抑制するための方法がいくつか考えられるが、その一つに三重項消光剤の添加が効果的である。
三重項消光剤はポリイミドの三重項状態、もしくはジフルオロスチルベン誘導体の三重項状態へ作用して、基底状態の一重項状態へ促す効果がある。即ち、ジフルオロスチルベン誘導体が励起三重項の準安定なねじれ型構造を通る前に基底状態に戻すことができれば光異性化は起きないと考えられるので、三重項消光剤を添加することで光異性化経路への誘導抑制が達成されていると想定している。
この作用が起きる基本的な考え方は、トランス−ジフルオロスチルベン誘導体の基底状態と三重項励起状態の準位、シス−ジフルオロスチルベン誘導体の基底状態と三重項励起状態の準位、選択する配向膜の基底状態と三重項励起状態の準位、そして選択する三重項消光剤の基底状態と三重項励起状態の準位の相対的なエネルギー差とエネルギー準位の位置に関係していると想定している。
ジフルオロスチルベン誘導体に対して効果的に抑制作用を示す三重項消光剤は、その化合物の励起内部準位や安定性から見出される。効果の大小はあるが、例えば、1,3,5−シクロヘプタトリエン誘導体や、1,1,2−トリフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラフェニルエチレン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン等のジアリールエチレン誘導体が挙げられる。
三重項消光剤は液晶組成物が所望の液晶物性を損なわない程度に添加することが可能である。通常は液晶組成物の含有量として0.0001〜10質量%、好ましくは0.0001〜5質量%、さらに好ましくは0.0001〜2質量%である。
三重項消光剤としては、液晶組成物として使用に耐えられる着色の範囲として、吸収極大が500nm以下である化合物を用いることができる。450nm以下が好ましく、400nm以下が特に好ましい。これらの化合物は、液晶組成物としてセルの中に組み込んだときの色としては、無色または薄黄色程度である。
好ましい三重項消光剤としては、1,3,5−トリエンまたはその誘導体がある。
さらに好ましくは、1,3,5−シクロアルカントリエンまたはその誘導体である。好ましい理由は、鎖状の1,3,5−トリエンではそれ自身が幾何異性化をしてしまい、液晶物性に影響を及ぼす可能性がある。7員環以上の環状化合物であれば、環をねじらせるエネルギーが大きいので幾何異性化をしないことから液晶物性に影響を与えないですむからである。
中でも、1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体が好ましい。
1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体としては、下記化合物(b)が好ましい。

式中の記号は以下の意味を示す。
b1、Rb2、Rb3、Rb4、Rb5、Rb6、およびRb7:それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、シクロヘプタトリエニル基、−ORb81、−NRb82b83、−SRb84、−OCORb85、−CORb86、−COORb87、または−C(Rb88)2b89
b81:水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロへキシル基、ジシクロヘキシル基、フェニル基、またはシクロヘプタトリエニル基。
b82およびRb83:相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、またはシクロヘプタトリエニル基。
b84:水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロへキシル基、ジシクロヘキシル基、フェニル基、またはシクロヘプタトリエニル基。
b85、Rb86およびRb87:相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基。
b88:シクロヘプタトリエニル基。
b89:水素原子、メチル基またはシクロヘプタトリエニル基。
ただし、ここに記載した環基中の水素原子は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜3のジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。
化合物(b)の中でも、合成が容易であり、化合物(a)の光異性化を抑制し、高い耐光性が得られることから、下記化合物(b−1)が好ましい。
式中のRb1は前記と同じ意味を示し、Rb21、Rb31およびRb71は、相互に独立して水素原子または炭素数1〜3のアルコキシ基である。
化合物(b−1)の中でも、昇華しにくく、かつ、合成が容易であることから、Rb1がシクロヘプタトリエニル基であり、Rb21、Rb31およびRb71が水素原子であるものが、特に好ましい。
本発明の液晶組成物に三重項消光剤として含有してよい1,3,5−シクロアルカントリエン三重項消光剤は具体的には以下のような構造が挙げられる。
また、本発明の液晶組成物に含有してもよい好ましい三重項消光剤としては、下記に挙げられる置換基を有していてもよい1,1−ジアリールエチレン誘導体がある。
化合物(c)において、Ar1は前記のとおりである。
1価の芳香族複素環基としては、それぞれ置換基を有していてもよいフラニル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
1価の芳香族炭化水素環としては、それぞれ置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等が挙げられる。また、1価の芳香族炭化水素基が直結した構造を有する基としては、置換基を有していてもよいビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
なお、2つのAr1同士が結合した構造としては、フルオレニリデン基が挙げられる。
Ar1としては、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基が好ましい。
化合物(c)において、Rc1およびRc2は前記のとおりである。
置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基としては、前記化合物(a)で挙げたものと同様の基が挙げられる。1価の芳香族炭化水素環および1価の芳香族複素環基としては、前記Ar1と同様の基が挙げられる。
なお、Rc1およびRc2が環基であり、該環基同士が結合した構造としては、フルオレニリデン基が挙げられる。
c1およびRc2としては、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基が好ましい。
化合物(c)において、Rc3およびRc4は前記のとおりである。
置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基としては、前記化合物(a)で挙げたものと同様の基が挙げられる。1価の芳香族炭化水素環および1価の芳香族複素環基としては、前記Ar1と同様の基が挙げられる。
c3およびRc4としては、水素原子、またはフッ素原子が好ましい。
化合物(c)において、ncは前記のとおりである。ncとしては0または1が好ましい。
化合物(c)としては、nc=0、1であり、Rc1が1価の芳香族炭化水素化合物、または1価の芳香族複素環化合物であるものが好ましい。
中でも、Rc1、Rc2がともに1価の芳香族炭化水素化合物、1価の芳香族複素環化合物であるものがさらに好ましい。好ましい理由は、化合物(c)はπ共役の面積がジフルオロスチルベンよりも大きくなり、ポリイミドの三重項エネルギーを三重項消光剤がもらいやすくなる。したがって、ジフルオロスチルベン誘導体の光増感による幾何異性化が抑制されると考えている。
化合物(c)において、ncが0の化合物としては、下記の化合物(c−1)が好ましい。

式中の記号は以下の意味を示す。
c11、Rc12、Rc13、Rc14、およびRc15:それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、フェニル基、カルボニル基(−COR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、カルボキシ基(−COOR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、ニトロ基、シアノ基、−NH2、または−N(Ak12(Ak1は炭素数1〜5のアルキル基)。
c16:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または下記式(c−16)で表される基。

式中の記号は以下の意味を示す。
c161、Rc162、Rc163、Rc164、およびRc165:それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、フェニル基、カルボニル基(−COR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、カルボキシ基(−COOR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、ニトロ基、シアノ基、−NH2、または−N(Ak12(Ak1は炭素数1〜5のアルキル基)。
c17:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または下記式(c−17)で表される基。

式中の記号は以下の意味を示す。
c171、Rc172、Rc173、Rc174、およびRc175:それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、フェニル基、カルボニル基(−COR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、カルボキシ基(−COOR:ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、ニトロ基、シアノ基、−NH2、または−N(Ak12(Ak1は炭素数1〜5のアルキル基)。
ただし、Rc11とRc12が結合して、2価の連結基である−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)を形成してもよい。
また、Rc11が−N(Ak12である場合、Ak1基はRc12、Rc13と結合して環を形成してもよい。
また、2つの環のそれぞれのRc14とRc14とが結合して、単結合、または2価の連結基である−Ak−、−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)、−O−、−S−、もしくは−NR−(Rは水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基)を形成してもよい。
また、Rc15とRc16、Rc164とRc17、のいずれか1つ以上が結合して、2価の連結基である−Ak2−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)を形成してもよい。
また、Rc16とRc17が結合して、2価の連結基である−Ak3−(Ak3は炭素数3〜6のアルキレン基)を形成してもよい。
また、Rc164とRc174が結合して、単結合、または2価の連結基である−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)、−O−、−S−、もしくは−NR−(Rは水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基)を形成してもよい。
化合物(c−1)において、Rc11とRc12が結合して、2価の連結基である−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)を形成した構造としては、以下のものが挙げられる
化合物(c−1)において、Rc11が−N(Ak12であり、Ak1基がRc12、Rc13と結合して環を形成した構造としては、以下のものが挙げられる。
化合物(c−1)において、2つの環のそれぞれのRc14とRc14とが結合して、単結合、または2価の連結基である−Ak−、−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)、−O−、−S−、もしくは−NR−(Rは水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基)を形成した構造としては、以下のものが挙げられる。
化合物(c−1)において、Rc15とRc16とが結合して、2価の連結基である−Ak2−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)を形成した構造としては以下のものが挙げられる。
化合物(c−1)において、Rc16とRc17が結合して、2価の連結基である−Ak3−(Ak3は炭素数3〜6のアルキレン基)を形成した構造としては、以下のものが挙げられる。
化合物(c−1)において、Rc164とRc17が結合して、2価の連結基である−Ak2−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)を形成した構造としては以下のものが挙げられる。
化合物(c−1)において、Rc164とRc174が結合して、単結合、または2価の連結基である−Ak−、−(OAk2O)−(Ak2は炭素数1〜5のアルキレン基)、−O−、−S−、もしくは−NR−(Rは炭素数1〜5のアルキル基)を形成した構造としては、以下のものが挙げられる。
また、化合物(c−1)において、Rc164とRc174が結合するとともに、2つの環のそれぞれのRc14とRc14とが結合した構造としては、以下の構造が挙げられる。
化合物(c)において、nが1の化合物としては、下記の化合物(c−2)が好ましい。
式中の記号は以下の意味を示す。
c18およびRc19:相互に独立して、水素原子またはフッ素原子。
c11、Rc12、Rc13、Rc14、Rc15、Rc16およびRc17は、式(c−1)と同じ意味を示す。
本発明の液晶組成物に含有する1,1−ジアリールエチレン誘導体である三重項消光剤は具体的には以下のような構造が挙げられる。

本発明の液晶組成物は、化合物(a)が、前記化合物(a−1)であるものが好ましい。
化合物(a−1)において、Ra11およびRa21は前記のとおりである。Ra11およびRa21において、水素原子のハロゲン原子への置換と、アルキル基の結合末端へのエーテル性酸素原子の挿入は、アルキル基に対して同時に行われていてもよい。
アルキル基を置換するハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
a11およびRa21としては、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フルオロアルコキシ基、が好ましい。
化合物(a−1)としては具体的には以下のような化合物があげられる。
F-Ph-CF=CF-Ph-F (a−11)
CF3O-Ph-CF=CF-Ph-OCF3 (a−12)
F-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-F (a−13)
CH3-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-CH3 (a−14)
F-Ph(2Me)-CF=CF-Ph(3Me)-F (a−15)
Cl-Ph-CF=CF-Ph-Cl (a−16)
式中の記号は、前記と同じである。
本発明の液晶組成物に用いる化合物(a)の中でも、粘性が低く、光安定性が特に良好であることから、化合物(a−11)、化合物(a−12)および化合物(a−13)が好ましく、さらに透明点も高いことから、化合物(a−12)が特に好ましい。
本発明は、化合物(a)と前記三重項消光剤を液晶組成物として組み合わせて使うことにより該液晶組成物は光安定性を向上させることが可能になる。また、この際、紫外線カットフィルターを併用することにより、効果的に紫外光に対する安定性を向上できる。
本発明の液晶組成物は、化合物(a)および三重項消光剤と、他の液晶化合物または非液晶性化合物(これらを総称して「他の化合物」という)とを混合させて液晶組成物を構成する。
本発明の液晶組成物における化合物(a)の含有量は、用途、使用目的、他の化合物の種類等により適宜変更できるが、液晶組成物全量に対して化合物(a)は、0.5〜50質量%が好ましく、特に2〜20質量%が好ましい。また、用途、使用目的等により、液晶組成物中に化合物(a)を2種以上含有してもよい。その場合、液晶組成物の全量に対して化合物(a)の合計量で0.5〜80質量%が好ましく、特に2〜50質量%が好ましい。
化合物(a)と混合して用いるほかの化合物としては、屈折率異方性値を調整する成分、粘性を下げる成分、低温で液晶性示す成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリック性を付与する成分、二色性を示す成分、導電性を付与する成分、その他各種添加剤等が挙げられる。これらは、用途、要求性能等により適宜選択されるが、通常は、液晶化合物および該液晶化合物と類似構造を有する主成分と、必要に応じて添加される添加成分とからなるものが好ましい。
本発明の液晶組成物において、前記他の化合物としては、例えば、以下の式で表されるものが挙げられる。以下の式中、R3およびR4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基等の基を表す。また、R3およびR4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
以下の各式中、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基を表し、−Ph−は1,4−フェニレン基を表し、−PhFF−はジフロオロフェニレン基を表す。
3−Cy−Cy−R4
3−Cy−Ph−R4
3−Cy−PhFF−CN
3−Ph−Ph−R4
3−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Cy−COO−Ph−R4
3−Cy−COO−PhFF−CN
3−Ph−COO−Ph−R4
3−Ph−COO−PhFF−CN
3−Cy−CH=CH−Ph−R4
3−Ph−CH=CH−Ph−R4
3−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CF=CF−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF=CF−Cy−R4
3−Ph−Cy−CF=CF−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF=CF−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CH2 CH2 −Ph−R4
3−Cy−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Cy−Ph−CH2 CH2−Cy−R4
3−Cy−Cy−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CH2 CH2−Cy−R4
3−Cy−Ph−Ph−R4
3−Cy−Ph−PhFF−CN
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Cy−Ph−C≡C−PhFF−CN
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−Ph−Ph−Cy−R4
3−Ph−Ph−Ph−R4
3−Ph−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−COO−Ph−Ph−R4
3−Cy−COO−Ph−PhFF−CN
3−Cy−Ph−COO−Ph−R4
3−Cy−Ph−COO−PhFF−CN
3−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R
3−Cy−COO−Ph−COO−PhFF−CN
3−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R4
3−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R4
3−Ph−CF2 O−Ph−R4
3−Cy−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−PhFF−R4
3−Cy−PhFF−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−PhFF−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−CF2 CF2 −Ph−R4
3−Cy−CF2 CF2−Ph−R4
3−Cy−CF2 CF2−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 CF2−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF2 CF2−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF2 CF2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 CF2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 CF2−Cy−R4
なお、これらの化合物は単なる代表例であり、該化合物中の環構造または末端基に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等で置換されたものでもよい。また、シクロヘキサン環やベンゼン環が他の六員環や五員環、例えば、ピリミジン環やジオキサン環等で置換されたものでもよく、環と環との間の結合基がそれぞれ独立して他の2価の結合基、例えば−CH2 O−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−COOCH2 −、−OCOCH2 −または−COCH2 −等に変更されているものでもよく、所望の性能に合わせて選択することができる。
さらに、本発明は、前記液晶組成物を液晶層の構成材として用いる液晶電気光学素子を提供する。本明細書において、液晶電気光学素子とは、表示素子に限られず、液晶の電気的または光学的特性を利用する各種の機能素子、例えば、液晶表示素子、さらに、調光窓、光シャッター、偏光変換素子、可変焦点レンズ等の用途に用いられる素子を含むものである。例えば、本発明の液晶組成物を液晶セル内に注入する等して形成される液晶層を、電極を備える2枚の基板間に挟持して構成される電気光学素子部を有する液晶電気光学素子を提供する。この液晶電気光学素子は、ツイストネマチック(TN)方式、スーパーツイストネマチック(STN)方式、ECBモード、VAモード、ゲストホスト方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式等種々のモードで駆動されるものが挙げられる。
代表的な液晶電気光学素子としては、ツイストネマチック(TN)型液晶表示素子が挙げられる。このツイストネマチック(TN)型液晶表示素子は、まず、プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO2 、Al2 3 等のアンダーコート層やカラーフ
ィルター層を形成し、In23 −SnO2 (ITO)、SnO2 等からなる被膜を成膜し、ホトリソグラフィ等により所要のパターンの電極を形成する。次に、必要に応じて、ポリイミド、ポリアミド、SiO2 、Al2 3 等のオーバーコート層を形成し、配向処理する。これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
さらに、空セルに、本発明の組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに、必要に応じて、偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルター、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルター等を積層、文字、図形等を
印刷、ノングレア加工等をして液晶電気光学素子を得ることができる。
なお、上述の説明は、液晶電気光学素子の基本的な構成および製法を説明したものであり、他の構成も採用できる。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブ
マトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが採用できる。
さらに、本発明の組成物は、前記TN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のSTN型液晶電気光学素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶電気光学素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させるインプレーンスイッチング(IPS)型液晶電気光学素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶電気光学素子、強誘電性液晶電気光学素子等、種々の方式で使用することができる。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を例示しようとするものである。
化合物(a−11)の合成

窒素気流下、化合物(1-1)30.00g、メチルターシャリーブチルエーテル(以下、MTBEと記載する)100mlを反応フラスコ内で混合し-10℃に冷却した。n-BuLiヘキサン溶液(1.6M)130mlを0℃を超えない範囲で滴下した。-10℃にて熟成を1hr行い、次いで同温度にてテトラフルオロエチレンガスを導入した。導入量はガスクロマトグラフィーの分析結果を参照しながら目的物純度が最大となるところまで導入を行なった。
12%塩酸70mlを加えて反応を停止し、5%重曹40ml、水40mlで有機層を洗浄して濃縮・乾燥を行なった。得られた結晶をシリカクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行ない化合物(a-11)7.65gを得た。
なお、各種スペクトルデータの測定結果は該当化合物の構造を強く支持した。
1H NMR(CDCl3、δ):7.73(dd、2H、Ar)、7.17(d、2H、Ar)。
19F NMR(CDCl3、δ):−111.53(2F、m、Ar)、−152.24(2F、s、CF=CF)。
化合物(a−12)の合成
窒素気流下、化合物 (1-2) 30.00g、MTBE100mlを反応フラスコ内で混合し-50℃に冷却した。n-BuLiヘキサン溶液(1.6M)80mlを-40℃を超えない範囲で滴下した。-50℃にて熟成を1hr行い、次いで同温度にてテトラフルオロエチレンガスを導入した。導入量はガスクロマトグラフィーの分析結果を参照しながら目的物純度が最大となるところまで導入を行なった。
12%塩酸80mlを加えて反応を停止し、5%重曹40ml、水40mlで有機層を洗浄して濃縮・乾燥を行なった。得られた結晶をシリカクロマトグラフィー、及び再結晶により精製を行ない化合物(a-12)10.81gを得た。
なお、各種スペクトルデータの測定結果は該当化合物の構造を強く支持した。
1H NMR(CDCl3、δ):7.81(dd、2H、Ar)、7.30(d、2H、Ar)。
19F NMR(CDCl3、δ):−58.28(3F、m、OCF3)、−151.79(2F、s、CF=CF)。
化合物(a−13)の合成
窒素気流下、化合物(1-3) 30.00g、MTBE100mlを反応フラスコ内で混合し-70℃に冷却した。n-BuLiヘキサン溶液(1.6M)80mlを-70℃を超えない範囲で滴下した。-70℃にて熟成を1hr行い、次いで同温度にてテトラフルオロエチレンガスを導入した。導入量はガスクロマトグラフィーの分析結果を参照しながら目的物純度が最大となるところまで導入を行なった。
12%塩酸80mlを加えて反応を停止し、5%重曹40ml、水40mlで有機層を洗浄して濃縮・乾燥を行なった。得られた結晶をシリカクロマトグラフィー、及び再結晶により精製を行ない化合物(a-13)8.20gを得た。
なお、各種スペクトルデータの測定結果は該当化合物の構造を強く支持した。
1H NMR(CDCl3、δ):7.46(m、2H、Ar)、7.19(d、1H、Ar)。
19F NMR(CDCl3、δ):−135.26(1F、m、F,-Ar)、−136.77(1F、m、F,-Ar)−151.20(1F、t、CF=CF)。
化合物(a−14)の合成
窒素気流下、化合物(1-4)50.00g、MTBE100mlを反応フラスコ内で混合し-70℃に冷却した。n-BuLiヘキサン溶液(1.6M)80mlを-70℃を超えない範囲で滴下した。-70℃にて熟成を1hr行い、次いで同温度にてテトラフルオロエチレンガスを導入した。導入量はガスクロマトグラフィーの分析結果を参照しながら目的物純度が最大となるところまで導入を行なった。
12%塩酸80mlを加えて反応を停止し、5%重曹40ml、水40mlで有機層を洗浄して濃縮・乾燥を行なった。得られた結晶をシリカクロマトグラフィー、及び再結晶により精製を行ない化合物(a-14)6.50gを得た。
なお、各種スペクトルデータの測定結果は該当化合物の構造を強く支持した。
1H NMR(CDCl3、δ):7.36(m、2H、Ar)、7.18(t、1H、Ar)、2.26(m、3H、Ar-Me)。
19F NMR(CDCl3、δ):−117.11(1F、t、Ar-F)、−151.62(1F、t、CF=CF)。
化合物(a−15)の合成
窒素気流下、化合物(1-5) 30.00g、MTBE100mlを反応フラスコ内で混合し-30℃に冷却した。n-BuLiヘキサン溶液(1.6M)80mlを-30℃を超えない範囲で滴下した。-30℃にて熟成を1hr行い、次いで同温度にてテトラフルオロエチレンガスを導入した。導入量はガスクロマトグラフィーの分析結果を参照しながら目的物純度が最大となるところまで導入を行なった。
12%塩酸80mlを加えて反応を停止し、5%重曹40ml、水40mlで有機層を洗浄して濃縮・乾燥を行なった。得られた結晶をシリカクロマトグラフィー、及び再結晶により精製を行ない化合物(a-15)7.50gを得た。
なお、各種スペクトルデータの測定結果は該当化合物の構造を強く支持した。
1H NMR(CDCl3、δ):7.55(dd、2H、Ar)、7.10(t、1H、Ar)、2.33(dd、3H、Ar--Me)。
19F NMR(CDCl3、δ):−115.88(2F、s、Ar-F)、−152.19(2F、s、CF=CF)。
本発明の化合物の液晶物性は以下の通り測定した。
なお、下記の各物性値は、メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」又は「ZLI−1565」90質量%と、本発明の化合物10質量%の割合で混合し液晶組成物を調合し、この液晶組成物を用いて、以下の方法で測定した。なお、組成物に10質量%溶解しない材料については5質量%とした。
[液晶透明点(Tc)の測定]
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート上に液晶組成物を置き、1℃/minで昇温し、相変化を観察、液晶組成物のTcを測定し、測定値を外挿することで化合物のTcの外挿値を算出した。
[誘電率異方性(Δε)の測定]
液晶組成物を水平配向及び垂直配向処理がなされた2枚のガラスセル(間隔8μm)の間に封入した。20℃にてこのセルに100mVの電圧を印加して、水平配向されたガラスセルを用いて液晶分子の短軸方向の誘電率(ε⊥)を測定した。同様に垂直配向されたガラスセルを用いて液晶分子の長軸方向の誘電率(ε‖)を測定した。化合物の誘電率異方性(Δε)は式Δε=ε‖−ε⊥から組成物のΔεを求めて、外挿することで求めた。
[ずり粘度(η)の測定]
日本グリース社製「粘度計校正用標準液」と液晶組成物がオストワルド型粘度管の2点間を到達する時間を測定し、換算式[標準液の粘度]×[液晶組成物の到達時間]/[標準液の到達時間]から25℃での液晶組成物のずり粘度を測定し、測定値を外挿することで化合物のずり粘度の外挿値を算出した。
前記測定方法によって得られたジフルオロスチルベンの物性データを表1に示す。
以下に耐光性試験方法について記載をする。
まず、三重項消光剤を添加しない液晶組成物について試験を行った。
メルク社製液晶組成物ZLI−4792を95質量%、化合物(a−11)を5質量%に調製した液晶組成物を、ガラスセルに封入し、液晶セルで通常用いる偏光板(日東電工製 NPF Q−12−35)を照射面側に設置し、キセノンウェザーメーター(XT1−15、スガ試験機社製)に入れて光照射をした。積算光量は紫外線積算光量計(本体:UIT−250、受光器:UVD−S365、ウシオ電機社製)を用いて照度を測定し、積算光量(J)=照度(W/cm)×照射時間(秒)にて算出した。積算光量として0J、32Jの各光量のときの液晶透明点(Tc)を測定してΔTcを算出した。ΔTcは、未照射時のTc0及び照射後のTc1を測定し、ΔTc=Tc1−Tc0から求めた。
同様にして、化合物(a−12)、化合物(a−13)、化合物(a−14)および化合物(a−15)も試験を行った。その結果を表2に示す。
表中の、化合物(a−11)〜化合物(a−15)は前記と同じ構造であり、
化合物(a−17)はC37-Ph-CF=CF-Ph-C37である。
この結果から、化合物(a)の中でも、化合物(a−11)〜化合物(a−15)は、耐光性が良好であることが分かった。
次に、三重項消光剤添加の実施方法について記載する。
なお、三重項消光剤としては、下記表3に示す化合物を用いた。(b−11)に示す化合物は、水に溶解させたテトラフルオロホウ酸トロピリウム(東京化成製)に亜鉛を加えて合成し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製したものを用いた。(c−11)は1,1,2−トリフェニルエチレン、(c−12)は1,1,2,2−テトラフェニルエチレン、(c−21)は1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエンをそれぞれ東京化成品を入手し、そのまま精製せずに用いた。
メルク社製液晶組成物ZLI−1565を93質量%、化合物(a−11)を7質量%に調製した液晶組成物(M1)に、組成物(M1)全体に対して1質量%の化合物(b−11)を添加した。これを組成物(M11)とする。
同様に、ZLI−1565を90質量%、化合物(a−17)を10質量%に調製した液晶組成物(M2)に、組成物(M2)全体に対して1質量%の化合物(b−11)を添加した。
これを組成物(M21)とする。
同様に、ZLI−1565を90質量%、化合物(a−18)を10質量%に調製した液晶組成物(M3)に、組成物(M3)全体に対して1質量%の化合物(b−11)を添加した。
これを組成物(M31)とする。
これら各組成物を、前記と同様の方法で耐光性試験を行った。結果を表4に示す。なお、ここでは16Jでの測定結果も記載した。

表中の、化合物(a−11)、化合物(a−17)、化合物(b−11)は前記と同じ構造であり、化合物(a−18)はC37-Ph-CF=CF-Ph-Fである。
この結果から、化合物(b)、特に化合物(b−11)は、三重項消光剤として、化合物(a)の耐光性を高める効果に優れることが分かった。特に、化合物(a−11)との組み合わせにおいては、Tcがほとんど変化しないという、極めて高い耐光性を示すことがわかった。
メルク社製液晶組成物ZLI−4792を90質量%、化合物(a−18)を10質量%に調製した液晶組成物(M4)に、組成物(M4)全体に対して1質量%の化合物(c−11)を添加した。これを組成物(M41)とする。
同様に、組成物(M4)全体に対して1質量%の化合物(c−12)を添加した。これを組成物(M42)とする。
同様に、組成物(M4)全体に対して1質量%の化合物(c−21)を添加した。これを組成物(M43)とする。
これら各組成物を、前記と同様の方法で耐光性試験を行った。結果を表5に示す。
表中の、化合物(a−18)、化合物(c−11)、化合物(c−12)および化合物(c−21)は前記と同じ構造である。
この結果から、化合物(c)、特に化合物(c−11)、化合物(c−12)および化合物(c−21)は、三重項消光剤として、化合物(a)の耐光性を高める効果に優れることが分かった。
本発明のジフルオロスチルベン化合物は液晶組成物として用いたときに公知のジフルオロスチルベン化合物と比較して光刺激による物性変化が小さくなった。さらに、本発明の三重項消光剤を液晶化合物に含有させることで、さらに物性変化を小さくすることができ、光刺激に対して安定性が向上した。本発明は公知のジフルオロスチルベンを用いた液晶組成物よりも優位性があり、有用である。
このような本願化合物を液晶組成物に用いることで、液晶電気光学素子に要求される様々な性能を持つ組成物の調製ができることが明らかになった。

Claims (15)

  1. 下記式(a)で表される化合物と、三重項消光剤を含有する液晶組成物。
    a1-(A1)na1-Z1-Ph1-CF=CF-Ph2-Z2-(A2)na2-Ra2 (a)
    式中の記号は以下の意味を示す。
    a1およびRa2:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の1価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基中、1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、炭素−炭素原子間または該基の結合末端にエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
    1およびA2:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基であり、これら各基中、1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
    1およびZ2:相互に独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−、−CF2CF2−、−CF=CF−、−OCF2−、または−CF2O−。
    Ph1およびPh2:相互に独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基。
    a1およびna2:相互に独立して、0または1。
  2. 三重項消光剤の吸収極大が500nm以下である化合物である、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 三重項消光剤が、1,3,5−トリエンまたはその誘導体である、請求項2に記載の液晶化合物。
  4. 三重項消光剤が、7員環以上で形成される1,3,5−シクロアルカントリエンまたはその誘導体である、請求項に3に記載の液晶組成物。
  5. 三重項消光剤が、1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体である、請求項4に記載の液晶組成物。
  6. 三重項消光剤が、下記式(c)で表される化合物である、請求項2に記載の液晶組成物。

    式中の記号は以下の意味を示す。
    Ar1:1価の芳香族複素環基、1価の芳香族炭化水素基、およびこれらの組合せ。これらの基は置換基を有していてもよく、2個以上の環が縮合していてもよい。また、2つのAr1同士が結合していてもよい。
    c1およびRc2:相互に独立して、置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の芳香族複素環基、またはハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基。また、Rc1およびRc2が環基である場合、該環基同士は結合していてもよい。
    c3およびRc4:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基もしくは1価の芳香族複素環基、またはハロゲン原子、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基。
    c:0〜3
  7. 三重項消光剤が、式(c)でnc=0または1の化合物である、請求項6に記載の液晶組成物。
  8. 三重項消光剤が、式(c)でRc1、Rc2がいずれも1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基である化合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
  9. 前記式(a)で表される化合物が、下記式(a−1)で表される化合物である、請求項1〜8のいずれかに記載の液晶組成物。
    a11-Ph11-CF=CF-Ph21-Ra21 (a−1)
    式中の記号は以下の意味を示す。
    a11およびRa21:相互に独立して、ハロゲン原子、または炭素数1〜5のアルキル基であり、該アルキル基中、1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、該基の結合末端にエーテル性酸素原子が挿入されていてもよい。
    Ph11およびPh21:相互に独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子またはメチル基で置換されていてもよい1,4−フェニレン基。
  10. 前記式(a−1)で表される化合物が、下記式(a−11)、式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)、式(a−15)および式(a−16)で表される化合物の少なくとも1種である、請求項9に記載の液晶組成物。
    F-Ph-CF=CF-Ph-F (a−11)
    CF3O-Ph-CF=CF-Ph-OCF3 (a−12)
    F-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-F (a−13)
    CH3-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-CH3 (a−14)
    F-Ph(2Me)-CF=CF-Ph(3Me)-F (a−15)
    Cl-Ph-CF=CF-Ph-Cl (a−16)
    式中の記号は以下の意味を示す。
    Ph:1,4−フェニレン基
    Ph(2F):2−フルオロ−1,4−フェニレン基
    Ph(3F):3−フルオロ−1,4−フェニレン基
    Ph(2Me):2−メチル−1,4−フェニレン基
    Ph(3Me):3−メチル−1,4−フェニレン基
  11. 三重項消光剤が1,3,5−シクロヘプタトリエンまたはその誘導体である、請求項10に記載の液晶組成物。
  12. 三重項消光剤が前記式(c)で表される化合物である、請求項10に記載の液晶組成物。
  13. 請求項1〜12に記載のいずれかの液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板間に封入してなる液晶電気光学素子。
  14. 前記液晶電気光学素子に用いられるポリイミド系配向膜が、主成分として芳香族化合物を用いたポリイミド共重合体である、請求項13に記載の液晶電気光学素子。
  15. 下記式(a−12)、式(a−13)、式(a−14)または式(a−15)で表される化合物。
    CF3O-Ph-CF=CF-Ph-OCF3 (a−12)
    F-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-F (a−13)
    CH3-Ph(2F)-CF=CF-Ph(3F)-CH3 (a−14)
    F-Ph(2Me)-CF=CF-Ph(3Me)-F (a−15)
    式中の記号は以下の意味を示す。
    Ph:1,4−フェニレン基
    Ph(2F):2−フルオロ−1,4−フェニレン基
    Ph(3F):3−フルオロ−1,4−フェニレン基
    Ph(2Me):2−メチル−1,4−フェニレン基
    Ph(3Me):3−メチル−1,4−フェニレン基
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