JP2014024700A - グラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

グラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及び成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】成膜されたグラフェン膜を巻き取りながら連続してグラフェンロールフィルムを成膜する方法において、グラフェンロールフィルムに生じる皺を低減したグラフェンロールフィルムの成膜方法を提供する。また、皺を低減したグラフェンロールフィルム、およびその成膜方法を実現する成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明によると、基材に設けたグラフェン膜を備え、前記グラフェン膜は、0.1mm以下の幅を有する皺部を有し、且つ、5nm以下の中心線平均粗さを有するグラフェンロールフィルムが提供される。走査型プローブ顕微鏡を用いた前記中心線平均粗さが、酸化インジウムスズを前記基材に堆積したフィルムと同等である。
【選択図】図1

Description

本発明は、グラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及び成膜装置に関する。特に、ロール・トゥ・ロール方式でのグラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及び成膜装置に関する。
グラフェン膜はSP結合した炭素原子による平面状の結晶性炭素膜であり、高い光透過率と電気伝導性のため、透明導電膜や透明電極としての利用が期待されている。グラフェン膜による結晶性炭素膜を用いた透明導電性炭素膜は、多岐にわたる工業的な利用が期待され、高いスループットでの大面積の成膜法が望まれている。最近、銅箔表面への化学気相成長法(CVD)によるグラフェン膜の形成法が開発されたが(非特許文献1、2)、銅の融点1080℃に近い高温での熱CVDによるプロセスであるため、グラフェン膜成膜中の銅の蒸発や再結晶化による銅箔表面の形状変化が生じるという問題があった。
また、高いスループットで大面積の成膜方法の1つとして、ロール状の基材を成膜領域に連続的に送り込みながら成膜し、ロールで巻き取りながら成膜するという手法が望まれるが、熱CVD法による手法では基材が高温になるため、このような製造方法の実現は困難であった。
Xuesong Li, Weiwei Cai, Jinho An, Seyoung Kim, Junghyo Nah, Dongxing Yang, Richard Piner, Aruna Velamakanni, Inhwa Jung, Emanuel Tutuc, Sanjay K.Banerjee, Luigi Colombo, Rodney S.Ruoff, Science,Vol.324,2009, pp.1312-1314. Xuesong Li, Yanwu Zhu, Weiwei Cai, Mark Borysiak, Boyang Han, David Chen, Richard D.Piner, Luigi Colombo, Rodney S.Ruoff, Nano Letters,Vol.9,2009,pp.4359-4363.
本発明者らは、上述の問題を解決する方法として、国際公開WO2011/115197において、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法を用いた500℃以下の低温条件での透明導電性炭素膜の製造方法を報告した。また、国際公開WO2011/115197及びCARBON 50 (2012) 2615-2619において、ロール・トゥ・ロール方式によるグラフェンロールフィルムの連続成膜方法を報告し、高いスループットで大面積のグラフェンロールフィルムの成膜の実現可能性を示した。
本発明者らは、上述したロール・トゥ・ロール方式によるグラフェンロールフィルムの成膜方法により製造されるグラフェンロールフィルムの実用化に向け更なる検討を行った結果、製造されたグラフェンロールフィルムには、微視的にグラフェンロールフィルムが折れ曲がって積層した皺が存在することが判明した。このグラフェンロールフィルムに皺が生じる原因を究明した結果、マイクロ波表面波プラズマCVDによりグラフェンロールフィルムが成膜された後に、グラフェンロールフィルムが成膜された基板に皺が生じて、グラフェンロールフィルムにも皺が形成されることを発見した。
本発明は、上述の問題を解決するものであって、皺を低減したグラフェンロールフィルムを提供することを目的とする。また、成膜されたグラフェンロールフィルムを巻き取りながら連続して成膜する方法において、グラフェンロールフィルムに生じる皺を低減したグラフェンロールフィルムの成膜方法およびその成膜方法を実現する成膜装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によると、基材に設けたグラフェン膜を備え、前記グラフェン膜は、0.1mm以下の幅を有する皺部を有し、且つ、5nm以下の中心線平均粗さを有するグラフェンロールフィルムが提供される。
前記グラフェンロールフィルムにおいて、前記基材は、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルサルファイド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、アクリル、ポリイミドから選択される樹脂、ガラス、金、銀、銅、チタン、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブデンから選択される金属、またはステンレス、ニッケルクロムから選択される合金、もしくは前記金属の何れかの薄膜が堆積された前記樹脂、前記ガラス、前記金属または前記合金であってもよい。
前記グラフェンロールフィルムにおいて、走査型プローブ顕微鏡を用いた前記中心線平均粗さが、酸化インジウムスズを前記基材に堆積したフィルムと同等であってもよい。
また、本発明の一実施形態によると、グラフェン膜を巻き取りながら連続して成膜するグラフェンロールフィルムの成膜方法であって、第1の基材を送り出し、前記第1の基材の第1の面に炭素を含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、前記第1の基材の第1の面にグラフェンを堆積させてグラフェン膜を形成し、前記グラフェン膜が形成されてから前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取るまでの間に、前記第1の基材を加熱且つ加圧し、前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取るグラフェンロールフィルムの成膜方法が提供される。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材を加熱且つ加圧することは、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧して行ってもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材は、前記第1の面にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する金属薄膜であってもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材は、前記第1の面にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する第1の金属層と、前記第1の金属層を支持し、前記第1の金属層よりも熱容量の大きな第2の金属層と、を有してもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧しながら、前記第1の基材の前記第1の面にグラフェンロールフィルムを堆積させてもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記グラフェンロールフィルムを堆積した前記第1の基材を、第2の基材に転写してもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材が単位面積当り所定の熱容量以上の熱容量を有してもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜方法において、前記第1の基材がグラフェンと同程度の線膨張係数を有してもよい。
また、本発明の一実施形態によると、グラフェン膜を巻き取りながら連続して成膜するグラフェンロールフィルムの成膜装置であって、第1の基材を送り出す第1のロールと、前記第1の基材の第1の面に炭素を含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、前記第1の基材の第1の面にグラフェンを堆積させてグラフェン膜を形成するグラフェン堆積部と、前記グラフェン膜が形成されてから前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取るまでの間に、前記第1の基材を加熱し且つ加圧する第1の加圧部と、前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取る第2のロールと、を備えるグラフェンロールフィルムの成膜装置が提供される。
前記グラフェンロールフィルムの成膜装置において、前記第1の加圧部は、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加熱し且つ加圧してもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜装置において、前記第1の面にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する金属薄膜を、前記第1の基材として用いてもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜装置において、前記第1の面にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する第1の金属層と、前記第1の金属層を支持し、前記第1の金属層よりも熱容量の大きな第2の金属層と、を有する前記第1の基材を用いてもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜装置において、前記グラフェン堆積部は、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧する第2の加圧部をさらに備えてもよい。
前記グラフェンロールフィルムの成膜装置において、前記第1の基材に形成した前記グラフェンロールフィルムを、第2の基材に転写する転写部をさらに備えてもよい。
本発明によれば、成膜されたグラフェンロールフィルムを巻き取りながら連続してグラフェンロールフィルムを成膜する方法において、グラフェンロールフィルムに生じる皺を低減したグラフェンロールフィルムの成膜方法が提供される。また、その成膜方法を用いた皺を低減したグラフェンロールフィルム、およびその成膜方法を実現する成膜装置が提供される。
本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルムを示す図である。 本発明の一実施例に係るグラフェンロールフィルムが堆積した基材を示す図である。 本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜装置を示す模式図である。 本発明の変形例に係るグラフェンロールフィルムの成膜装置を示す模式図である。 本発明の一実施例に係るグラフェンロールフィルムが堆積した基材を示す図である。 本発明の一実施例に係るグラフェンロールフィルムが堆積した基材を示す図である。 本発明の一実施例に係る転写したグラフェンロールフィルムを示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係るグラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及びグラフェンロールフィルムの成膜装置について説明する。但し、本発明のグラフェンロールフィルム、グラフェンロールフィルムの成膜方法及びグラフェンロールフィルムの成膜装置は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、基材に配置したグラフェン膜を備えたグラフェンロールフィルムを示す図である。図1は、形成された皺が見やすいように、色の着いた台の上に基材に配置したグラフェン膜を置いて撮影した図である。図1(a)は本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルム100を示し、図1(b)は従来のグラフェンロールフィルム900を示す。図1(b)から明らかなように、従来のグラフェンロールフィルム900においては、グラフェンロールフィルムが折れ曲がって積層した皺が全体的に形成される。一方、図1(a)に示した本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルム100においては、皺の形成が大幅に抑制されていることが明らかである。
本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルム100は、基材に設けたグラフェン膜を備え、グラフェン膜は、0.1mm以下の幅を有する皺部を有し、且つ、5nm以下の中心線平均粗さを有する。ここで、「中心線平均粗さ」とは、JISB0601により定義される表面の粗さである。本明細書において、中心線平均粗さは、走査型プローブ顕微鏡を用いたグラフェンロールフィルムの測定から求めることができる。
後述するように、5nm以下の中心線平均粗さは、基板上に酸化インジウムスズ(ITO)を堆積させた時のITOの表面の粗さと同程度であり、本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルム100は、ITOと同程度の表面の平坦性を有する。したがって、本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルム100は、ITOを代替する光透過性の導電材料として利用可能である。
ここで、基材は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン(PES)、アクリル(PMMA)、ポリイミド等の樹脂であってもよく、例えば、これらから選択することができる。また、基材は、ガラス、特に可撓性を有するガラスを用いることができる。また、基材は、金、銀、銅、チタン、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブデン等の金属であってもよく、例えば、これらから選択することができる。また、基材は、ステンレス、ニッケルクロム等の合金であってもよく、例えば、これらから選択することができる。基材は、上述した金属の何れかの薄膜が堆積された樹脂、ガラス、金属または合金であってもよい。すなわち、上述した樹脂、ガラス、金属または合金の何れかで形成した基板上に、上述した金属の何れかの薄膜が堆積した2層構造の基材を用いることもできる。したがって、本発明に係るグラフェンロールフィルムは、後述するように、形成した基材に載せたままの製品として提供してもよく、また、形成後に別の基材に転写した製品として提供してもよい。
本発明者らは、このように優れた特性を有するグラフェンロールフィルム100を、基材を送り出し、基材の上面(第1の面)に炭素ガスを含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、基材の上面にグラフェンを堆積させてグラフェン膜を形成し、グラフェン膜が形成されてからグラフェン膜が形成された基材を巻き取るまでの間に、基材を加熱且つ加圧し、グラフェン膜が形成された基材を巻き取ることにより作製できることを見出した。加圧は、搬送方向に対して垂直な圧力であり、加温は合成温度より低い温度を指す。
図2(a)に従来の方法でグラフェンロールフィルムを堆積した基材(第1の基材)を示す。ここで、第1の基材は、少なくともグラフェンロールフィルムを堆積する表面(第1の面)にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する金属薄膜である。成膜時の基材の搬送方向(第1の方向)と沿うように基材に皺が生じていることが明らかである。このような皺は、成膜したグラフェンロールフィルムにも生じる。後述するように、成膜したグラフェンロールフィルムは、他の基材(第2の基材)に転写した製品とすることもできるが、このような皺は、転写後においてもグラフェンロールフィルムに残存する。
このような皺を有するグラフェンロールフィルムであっても、例えば、導電性のみを要求されるような材料として用いる場合には、特段の影響も生じることなく利用可能な場合もある。一方、例えば、透明導電性膜のように、光学特性を要求される場合には、皺のある部分と皺のない部分とで光学特性が異なるため、要求される仕様を十分に満たせない場合も考えられる。そこで、本発明者らは、第1の基材である金属薄膜に皺が生じる原因と、成膜されたグラフェンロールフィルムにおいて皺を低減する方法について、鋭意検討した。なお、転写後のグラフェンロールフィルムから皺を除去する方法については、ナノメートルオーダーの厚さのグラフェンロールフィルムを操作する必要があり、現時点では有効な方法は見出せていない。
[グラフェンロールフィルムの成膜装置]
図3は、本発明の一実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜装置1000を示す模式図である。成膜装置1000は、真空チャンバ1100の内部に、第1の基材150を加熱する試料台1200、試料台1200に対向し所定の間隔を開けて配置されたマイクロ波表面波プラズマ発生部1300を備える。また、成膜装置1000には、原料ガスとして炭素を含むガスと、不活性ガスとを供給するガス供給管1400、真空チャンバ1100からガスを排出する排気管1500が接続される。
真空チャンバ1100の内部には、グラフェンロールフィルムを連続して成膜するために、第1の基材150を送り出す第1のロール1610、グラフェン膜が形成された第1の基材110を巻き取る第2のロール1630が配設される。また、真空チャンバ1100の内部には、第1のロール1610から送り出された第1の基材150を試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部130との間のプラズマが発生する空間に導入するためのガイド部1700を備える。真空チャンバ1100の内部には、グラフェンが堆積した第1の基材110を、第1の基材150側(下面側)から加熱するとともに、第1の基材150を第1の面(上面)方向に加圧する第1の加圧部1800がさらに配設される。従来の装置においては、第1の加圧部1800に替わって、ガイド部1700と同等の部材が配設され、単にグラフェン膜が形成された第1の基材110を第2のロール1630で巻き取るために方向転換させるのみであった。
ここで、グラフェン膜が形成された第1の基材110に皺が生じる原因を検討する。金属薄膜である第1の基材150は、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間を移動するときに、上面にグラフェンが堆積する。このとき、第1の基材150はマイクロ波表面波プラズマが発生した時の熱により高温で加熱されるため、伸びた状態となる。グラフェン膜が堆積した第1の基材110は、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間から出ると、急激に温度が低下して収縮するものと推察される。このとき、従来の成膜装置においては、第1の基材150上にグラフェンが均一に堆積するように、第1の基材150に一定のテンションを掛けていた。このようなテンションは、一般に、第1のロール1610側に負荷される。
試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300とが配設された領域から出たグラフェン膜が形成された第1の基材110は、温度が低下して収縮する時にも搬送方向(第1の方向)に常にテンションが付加された状態であるため、第1の方向と直交する第2の方向(第1の基材190の幅方向)にしか容易に収縮することができないため、第1の方向に沿った皺が形成されるものと推察される。
このような仮定を検証すべく、テンションを負荷せずに、第1の基材150の第1の面にグラフェンを堆積させた。その結果を図2に示す。図2(a)は従来例として20%の負荷を与えたグラフェン膜が形成された基材910を示し、本発明の一実施例として、図2(b)に0%の負荷を与えたグラフェン膜が形成された基材810、図2(c)に成膜装置のテンション負荷機構を除去した成膜したグラフェン膜が形成された基材710を示す。ここで、0%のテンション負荷とは、成膜装置のテンション負荷機構の設定を0%として場合である。したがって、0%のテンション負荷と、テンション負荷機構を除去した場合(以下、テンションフリーという)とは一致するものではなく、0%のテンション負荷とは、テンションが全く負荷されていない状態を必ずしも意味するものではない。図2に示したように、負荷されるテンションが低下することにより、グラフェン膜が形成された第1の基材に生じる皺が減少することが明らかとなった。
(第1の加圧部)
しかし、テンションフリーで成膜した場合でも、相当量の皺が残存しているため、更なる改良が必要である。そこで、本発明者らは、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300とが配設された領域から出たグラフェン膜が形成された第1の基材110が、温度の低下により収縮する点に注目した。すなわち、温度の急激な低下により完全に収縮する前に、グラフェン膜が形成された第1の基材110の皺を伸ばすことに想到した。その一手段として、本発明の実施形態においては、図3に示した第1の加圧部1800を試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との後段、すなわち、グラフェン膜が形成されてからグラフェン膜が形成された第1の基材を巻き取るまでの間に配設する。上述したように、第1の加圧部1800は、グラフェン膜が形成された第1の基材110を、第1の基材150側から加熱するとともに、第1の基材150を上面(第1の面)方向に加圧する。すなわち、第1の加圧部1800は、グラフェン膜が形成された第1の基材110を加熱且つ加圧することにより、アイロンがけして皺を伸ばす機構である。
第1の加圧部1800が第1の基材190を加熱する温度は、マイクロ波表面波プラズマ発生部1300と試料台1200の間で第1の基材150が加熱される温度を第1の温度とした時に、第1の温度以下の第2の温度である。グラフェンが堆積した温度より高いと、グラフェン膜が形成された第1の基材110が一旦伸長してもさらに急激に伸縮するため、好ましくない。また、加熱温度が低すぎると、グラフェン膜が形成された第1の基材110を伸張させることはできない。したがって、加熱温度は、グラフェン膜が形成された第1の基材110を伸長可能な温度以上であり、第1の基材150の材質に応じて任意に設定可能である。
また、第1の加圧部1800は第1の基材150側から上面(第1の面)方向にグラフェン膜が形成された第1の基材110を加圧するが、このときの圧力は、第2の温度で加熱しながらグラフェン膜が形成された第1の基材110を加圧することにより、マイクロ波表面波プラズマ発生部1300と試料台1200の間で第1の基材150が伸びた状態の幅と等しくなるような圧力以下である。これより大きな圧力で加圧すると、グラフェン中の炭素結合が切れて、グラフェン膜が損傷するため、好ましくない。また、第1の加圧部1800と対向するように別途加圧部を設けて、グラフェン膜が形成された第1の基材110を両側から加圧することも考えられるが、この場合、別途配設した加圧部がグラフェン膜に接触して損傷させる可能性もあるため好ましくない。
グラフェン膜が形成された第1の基材110を第1の基材150側から第1の面方向に加圧する処理は、急激な温度の低下によりグラフェン膜が形成された第1の基材110が完全に収縮する前に行うことが好ましい。このため、第1の加圧部1800は、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との後段の可能な限り直近の位置に配設することが好ましい。このような第1の加圧部1800をグラフェンロールフィルムの成膜装置1000に配設することにより、グラフェンロールフィルムに生じる皺を低減したグラフェンロールフィルムの成膜装置を実現することができる。
(第1の基材)
上述したように、本実施形態において、第1の基材150は、少なくともグラフェンを堆積する第1の面にグラフェン膜を形成する触媒能を有する金属薄膜である。第1の基材150は、例えば、金、銀、銅、チタン、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブデン、クロム等の金属、又はステンレス、ニッケルクロム等のこれら金属の合金の薄膜である。また、第1の基材150には、これらの金属または合金の何れかで形成した基板上に、これらの金属の何れかの薄膜が堆積した2層構造の基材を用いることもできる。さらに、第1の基材150には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン(PES)、アクリル(PMMA)、ポリイミド等の樹脂またはガラス(特に、可撓性を有するガラス)で形成した基板上に、これらの金属の何れかの薄膜が堆積した2層構造の基材を用いることもできる。上記に検討したように、第1の基材150は高温で加熱されることにより、一旦、伸びた状態となり、その後の温度の低下により皺が生じる。そこで、本発明者らは、本実施形態に係る第1の加圧部1800を配設したグラフェンロールフィルムの成膜装置1000に、加熱しても伸びにくい金属薄膜で形成された第1の基材150を組み合わせることにより、さらに皺の発生を抑制できるのではないかと考えた。
鋭意検討した結果、1つの方法として、第1の基材150の熱容量を大きくすることにより、第1の基材150の皺の発生を抑制できることを見出した。熱容量は、同じ種類の物質であれば、質量に比例する。したがって、第1の基材150の質量を大きくする、すなわち、第1の基材150の厚さを大きくすることにより、加熱時の伸びが抑制され、第1の加圧部1800で加熱および加圧することにより、皺の発生を抑制することができる。一例として、厚さが33μmで600mm幅のCu箔を70μm厚さで600mm幅のCu箔に変更することで、皺の発生を抑制することができる。
第1の基材150の厚さは、厚くすると皺の発生が抑制されるが、後述するように、成膜したグラフェンロールフィルムは第2の基材に転写するために除去されるため、厚みのある金属薄膜を第1の基材150に用いると、製造コストの上昇につながる。したがって、第1の基材150の厚さは、用いる金属薄膜の材質(熱容量)と、要求されるグラフェンロールフィルムの平坦性(皺の割合)に応じて、任意に設定可能である。
第1の基材150の皺の発生を抑制するもう1つの方法として、線熱膨張係数の小さな金属薄膜を第1の基材150に用いることにより、皺の発生を抑制できることを見出した。すなわち、第1の基材150がグラフェンと同程度の線膨張係数を有していれば、皺の発生を抑制できる。例えば、銅はグラフェンロールフィルムの成膜に良好な触媒能を有し、グラフェンロールフィルムの成膜に用いる基板として汎用されている。銅の線熱膨張係数は16.5 μm/mKであるが、例えば、ニッケルの線熱膨張係数は13.4 μm/mKであり、ニッケルを第1の基材150に用いて加熱時の伸びを抑えるとともに、第1の加圧部1800で加熱および加圧することにより、皺の発生を抑制することができる。また、融点の高い金属を第1の基材150に用いることにより、同様の効果を得ることができる。
しかし、第1の基材150に用いる金属の選択において、上述した成膜したグラフェンロールフィルムは第2の基材に転写する工程を考慮することも重要である。第1の基材150は、グラフェンロールフィルムを第2の基材に転写するために除去されるため、除去の容易性、金属のコストを勘案することも必要である。したがって、第1の基材150の材質は、これらの条件と、要求されるグラフェンロールフィルムの平坦性(皺の割合)とに応じて、任意に設定可能である。
また、第1の基材150は、1層の金属薄膜で構成される基材に限定されるものではなく、複数の金属薄層で構成されてもよい。第1の基材150は、第1の面にグラフェンロールフィルムを形成する触媒能を有する第1の金属層と、第1の金属層を支持し、第1の金属層よりも熱容量の大きな第2の金属層と、を有してもよい。例えば、熱容量の大きな金属薄膜に、蒸着等により触媒能を有する金属層を形成してもよい。このような構造を有する金属薄膜を用いることにより、加熱時の伸びを抑制し、皺を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る第1の基材は、熱容量を大きくすること、線熱膨張係数の小さな金属を用いること、融点の高い金属を用いること、およびこれらの組合せにより、加熱時の伸びを抑制し、皺を低減することができる。また、本実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜装置1000と組み合わせることにより、さらに皺の発生を低減可能である。
[成膜方法]
上述した本実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜装置1000を用いたグラフェンロールフィルムの成膜方法について、以下に説明する。本実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜方法は、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、グラフェンロールフィルムを巻き取りながら連続して成膜する方法である。
第1の基材150を巻きつけた第1のロール1610を真空チャンバ1100の内に配置する。真空チャンバ1100の内の圧力は、50Pa以下、好ましくは2Pa以上50Pa以下、さらに好ましくは5Pa以上20Pa以下である。第2のロール1630で巻き取ることにより、第1の基材150を第1のロール1610から送り出し、ガイド部1700で方向転換して、第1の基材150を試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間のプラズマが発生する空間に導入する。
第1の基材150を第1の温度に加熱し、ガス供給管1400から第1の基材150の上面(第1の面)に炭素を含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ発生部130で表面波プラズマを発生させて、第1の基材150の上面にグラフェンを堆積させる。また、反応後のガスは、排気管1500から排出される。試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間で、第1の基材150は、500℃以下、好ましくは200℃以上450℃以下の温度(第1の温度)となる。本実施形態に係るマイクロ波表面波プラズマ発生部1300は、プラズマをラングミュアプローブ法(シングルプローブ法)により検出した時に、電子密度が1011/cm以上1012/cm以下、周波数2.45GHzのマイクロ波に対するカットオフ電子密度7.4×1010/cmを超え、表面波により発生・維持する表面波プラズマを第1の基材150の上面に供給する。第1の基材150の処理時間は、特に限定されないが、1秒以上600秒以下、好ましくは1秒以上60秒以下である。
本実施形態において、原料ガス(反応ガス)は、炭素を含むガス又は炭素を含むガスと不活性ガスからなる混合ガスである。炭素を含むガスとしては、例えば、メタン、エチレン、アセチレン、エタノール、アセトン、メタノール等を挙げることができる。不活性ガスとしてはヘリウム、ネオン、アルゴン等を挙げることができる。炭素を含むガス又は炭素を含むガスと不活性ガスからなる混合ガスにおいて、炭素を含むガスの濃度は30モル%以上100モル%以下、好ましくは60モル%以上100モル%以下である。炭素を含むガスがこの範囲より少なくなると、グラフェンロールフィルムの電気伝導率の低下等の問題が生じるため好ましくない。
本実施形態において、炭素を含むガス又は混合ガスに、第1の基材150の第1の面の酸化を抑制するための酸化抑制剤を添加ガスとして加えることが好ましい。添加ガスとしては、水素ガスが好ましく用いられ、マイクロ波表面波プラズマCVD処理中の第1の基材150の第1の面の酸化抑制剤として作用し、電気伝導性の高いグラフェン膜の形成を促す作用を示す。この水素ガスの添加量は、炭素を含むガス又は混合ガスに対し、好ましくは1モル%以上30モル%以下、さらに好ましくは1モル%以上20モル%以下である。
グラフェン膜が形成された第1の基材110は、第1の加圧部1800で第1の基材150側から第1の温度以下の第2の温度で加熱されるとともに、グラフェンが堆積した第1の基材110は第1の面方向に加圧される。その後、グラフェン膜が形成された第1の基材110は、第2のロール1630に巻き取られる。
このように成膜されたグラフェンロールフィルムは、第1の基材150に堆積した製品として提供することができる。一方、利用者の取り扱いやすさから、堆積した第1の基材150から、第2の基材に転写することが好ましい。グラフェンロールフィルムを転写する第2の基材としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、アクリル(PMMA)、ポリイミド等の樹脂またはガラス(特に、可撓性を有するガラス)を用いることができる。グラフェンロールフィルムを第2の基材に転写した後、第1の基材150は、グラフェンロールフィルムから除去する。第1の基材150の除去方法としては、例えば、塩化第二鉄溶液、過硫酸アンモニウム溶液、硝酸などの無機酸や有機酸に含浸して第1の基材150を溶解させることである。
以上説明しように、本実施形態に係るグラフェンロールフィルムの成膜方法によると、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との後段に配設した第1の加圧部1800が、第1の基材150側から加熱しながら、第1の基材150を第1の面方向に加圧することにより、グラフェンロールフィルムに生じる皺を低減することができる。
(グラフェンロールフィルムの成膜装置の変形例)
図4にグラフェンロールフィルムの成膜装置の変形例を示す。成膜装置2000は、試料台1200上に第2の加圧部2850を備える点で、成膜装置1000と異なる。第2の加圧部2850は、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間の領域において、第1の基材150側から第1の面方向に第1の基材150を加圧する機構である。成膜装置2000に第2の加圧部2850を配設することにより、第1の基材150が第1の面方向に加圧された状態で、グラフェンを堆積させることができる。第1の基材150は、試料台1200とマイクロ波表面波プラズマ発生部1300との間の領域において、加熱により伸びるが、加圧されることにより均一に伸びた状態となり、温度が低下した後も皺が生じにくくなる。
[グラフェンロールフィルムの成膜]
成膜装置1000を用いてグラフェンロールフィルムの成膜を行った。第1の基材150として、幅297mm、厚さ33μm、表面粗さ(Ra)54nmの銅箔を用いた。マイクロ波表面波プラズマ発生部1300には、外形が38mmの石英管を誘電体材料として被覆したアンテナを等間隔で複数配置した。排気管1500を通して真空チャンバ1100内を1Pa以下に排気した。石英管と第1の基材150との距離が50mmになるよう試料台1200の高さを調整した。
真空チャンバ1100にガス供給管1400を通して、炭素を含むガスを導入した。炭素を含むガスは、メタンガス50SCCM、アルゴンガス20SCCM、水素ガス30SCCMであり、したがってそれぞれの原料ガスの濃度はメタンガス50モル%、アルゴンガス20モル%、水素ガス30モル%であった。真空チャンバ1100内の圧力を排気管1500に接続した圧力調整バルブ(図示せず)を用いて、3Paに保持した。
マイクロ波パワー6.0kWにてプラズマを発生させ、第1の基材150にグラフェンを堆積させた。グラフェン膜が形成された第1の基材110の巻き取り速度を2〜5mm/sで一定とした。プラズマに曝されている試料台1200の長さ(48cm)を考慮すると、成膜時間は96〜240sである。プラズマ処理中の第1の基材150の温度は、アルメル−クロメル熱電対を試料台1200に接触させることにより測定した。プラズマCVD処理を通じて第1の基材150の温度はおよそ400℃であった。第1の基材150がプラズマに曝露されることによるエッチング作用が過剰となり、第1の基材150が溶融し、さらに蒸発により消失することがある。したがって、十分注意深く第1の基材150の温度管理をすることが肝心である。第1の基材150の消失を防止するためには、400℃以下に保つことが好ましい。
図5は、本発明の一実施例に係るグラフェン膜が形成された第1の基材110を示す図である。図5(a)は第1の加圧部1800を加熱していない条件でのグラフェン膜が形成された第1の基材710の結果を示し、図5(b)は第1の加圧部1800を500℃に加熱した条件でのグラフェン膜が形成された第1の基材110の結果を示す。また、図5(c)は、第1の基材150として、厚さ70μmの銅箔を用い、第1の加圧部1800を500℃に加熱した条件でのグラフェン膜が形成された第1の基材210の結果を示す。
第1の加圧部1800を500℃に加熱したグラフェン膜が形成された第1の基材110では、搬送方向(第1の方向)に見られた皺がほとんど観察されず、第1の方向と略直交する第2の方向(第1の基材150の幅方向)への皺が生じていることが分かる。しかし、第1の加圧部1800を加熱していない条件でのグラフェン膜が形成された第1の基材710に対して、全体として皺が減少することが明らかとなった。また、図5(c)から明らかなように、第1の基材の厚さを70μmにして熱容量を大きくすると、グラフェン膜が形成された第1の基材210に生じる皺がさらに低減されることが明らかとなった。
図6は、本発明の一実施例に係るグラフェン膜が形成された第1の基材310を示す図である。図6(a)は第1の加圧部1800を加熱していない条件で、厚さ33μmの銅箔を第1の基材として用いたグラフェン膜が形成された第1の基材710の結果を示し、図6(b)は第1の加圧部1800を500℃に加熱した条件で、厚さ30μmのニッケル箔を用いた、グラフェン膜が形成された第1の基材310結果を示す。線熱膨張係数の小さなニッケル箔を用いることにより、グラフェン膜が形成された第1の基材310に生じる皺がさらに低減されることが明らかとなった。
[グラフェンロールフィルムの評価]
図7は、本発明の一実施例に係る転写したグラフェンロールフィルムを示す図である。第1の基材150として厚さ33μmの銅箔を用いた。図7(a)は第1の加圧部1800を加熱していない条件で、20%の負荷を与えた時の転写したグラフェンロールフィルム900の結果を示し、図7(b)は第1の加圧部1800を加熱していない条件で、テンションフリーとした時の転写したグラフェンロールフィルム700の結果を示し、図7(c)は第1の加圧部1800を500℃に加熱した条件で、テンションフリーとした時の転写したグラフェンロールフィルム100の結果を示し、図7(d)は第1の加圧部1800を500℃に加熱した条件で、厚さ70μmの銅箔を用い、テンションフリーとした時の転写したグラフェンロールフィルム200の結果を示す。
転写したグラフェンロールフィルムにおいても、テンションフリーとすることにより、皺が減少し、第1の加圧部1800を500℃に加熱することにより、さらに皺が低減された。また、厚さ70μmの銅箔を用いて第1の基材150の熱容量を大きくすると、さらにグラフェンロールフィルムに生じる皺が低減さることが明らかとなった。
<中心線平均粗さ>
本発明の実施例に係るグラフェンロールフィルム100の中心線平均粗さの評価を行った。本実施例においては、グラフェンロールフィルムを第2の基材としてポリエチレンテレフタラート基板(Ra3.52nm)に転写して、中心線平均粗さを評価した。中心線平均粗さは、SHIMADZU ナノサーチ顕微鏡SFT−3500を用いSPMの位相モードで20μm × 20μmの範囲を測定して求めた。参考例として、ポリエチレンテレフタラート基板に酸化インジウムスズを堆積させた透明導電膜(コメント:参考として厚さを記載できますか。)を測定すると、約Ra4.97nmであった。本実施例に係るグラフェンロールフィルムも同様に測定すると、Ra4.97nmを示し、酸化インジウムスズを堆積させた透明導電膜と同等の値であった。
100:第2の基材に転写したグラフェンロールフィルム、200:第2の基材に転写したグラフェンロールフィルム、700:第2の基材に転写した従来のグラフェンロールフィルム、900:第2の基材に転写した従来のグラフェンロールフィルム、110:グラフェン膜が形成された第1の基材、210:グラフェン膜が形成された第1の基材、310:グラフェン膜が形成された第1の基材、150:第1の基材、1000:成膜装置、1100:真空チャンバ、1200:試料台、1300:マイクロ波表面波プラズマ発生部、1400:ガス供給管、1500:排気管、1610:第1のロール、1630:第2のロール、1700:ガイド部、1800:第1の加圧部、2000:成膜装置、2850:第2の加圧部

Claims (17)

  1. 基材に設けたグラフェン膜を備え、
    前記グラフェン膜は、0.1mm以下の幅を有する皺部を有し、且つ、5nm以下の中心線平均粗さを有することを特徴とするグラフェンロールフィルム。
  2. 前記基材は、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルサルファイド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、アクリル、ポリイミドから選択される樹脂、ガラス、金、銀、銅、チタン、ニッケル、アルミニウム、鉄、モリブデンから選択される金属、またはステンレス、ニッケルクロムから選択される合金、もしくは前記金属の何れかの薄膜が堆積された前記樹脂、前記ガラス、前記金属または前記合金であることを特徴とする請求項1に記載のグラフェンロールフィルム。
  3. 走査型プローブ顕微鏡を用いた前記中心線平均粗さが、酸化インジウムスズを前記基材に堆積したフィルムと同等であることを特徴とする請求項1または2に記載のグラフェンロールフィルム。
  4. グラフェン膜を巻き取りながら連続して成膜するグラフェンロールフィルムの成膜方法であって、
    第1の基材を送り出し、
    前記第1の基材の第1の面に炭素を含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、前記第1の基材の第1の面にグラフェンを堆積させてグラフェン膜を形成し、
    前記グラフェン膜が形成されてから前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取るまでの間に、前記第1の基材を加熱且つ加圧し、前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取ることを特徴とするグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  5. 前記第1の基材を加熱且つ加圧することは、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧して行うことを特徴とする請求項4に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  6. 前記第1の基材は、前記第1の面にグラフェン膜を形成する触媒能を有する金属薄膜であることを特徴とする請求項4または5に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  7. 前記第1の基材は、前記第1の面にグラフェン膜を形成する触媒能を有する第1の金属層と、前記第1の金属層を支持し、前記第1の金属層よりも熱容量の大きな第2の金属層と、を有することを特徴とする請求項4または5に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  8. 前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧しながら、前記第1の基材の前記第1の面にグラフェン膜を堆積させることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  9. 前記第1の基材に堆積した前記グラフェン膜を、第2の基材に転写することを特徴とする請求項4乃至8の何れか一に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  10. 前記第1の基材が単位面積当り所定の熱容量以上の熱容量を有することを特徴とする請求項9に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  11. 前記第1の基材がグラフェンと同程度の線膨張係数を有することを特徴とする請求項9または10に記載のグラフェンロールフィルムの成膜方法。
  12. グラフェン膜を巻き取りながら連続して成膜するグラフェンロールフィルムの成膜装置であって、
    第1の基材を送り出す第1のロールと、
    前記第1の基材の第1の面に炭素を含むガスを供給して、マイクロ波表面波プラズマ化学気相成長法により、前記第1の基材の第1の面にグラフェンを堆積させてグラフェン膜を形成するグラフェン堆積部と、
    前記グラフェン膜が形成されてから前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取るまでの間に、前記第1の基材を加熱し且つ加圧する第1の加圧部と、
    前記グラフェン膜が形成された前記第1の基材を巻き取る第2のロールと、を備えることを特徴とするグラフェンロールフィルムの成膜装置。
  13. 前記第1の加圧部は、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加熱し且つ加圧することを特徴とする請求項12に記載のグラフェンロールフィルムの成膜装置。
  14. 前記第1の面にグラフェン膜を形成する触媒能を有する金属薄膜を、前記第1の基材として用いることを特徴とする請求項12または13に記載のグラフェンロールフィルムの成膜装置。
  15. 前記第1の面にグラフェン膜を形成する触媒能を有する第1の金属層と、前記第1の金属層を支持し、前記第1の金属層よりも熱容量の大きな第2の金属層と、を有する前記第1の基材を用いることを特徴とする請求項12または13に記載のグラフェンロールフィルムの成膜装置。
  16. 前記グラフェン堆積部は、前記第1の基材側から前記第1の面方向に前記第1の基材を加圧する第2の加圧部をさらに備えることを特徴とする請求項12乃至15の何れか一に記載のグラフェンロールフィルムの成膜装置。
  17. 前記第1の基材に形成した前記グラフェン膜を、第2の基材に転写する転写部をさらに備えることを特徴とする請求項12乃至16の何れか一に記載のグラフェンロールフィルムの成膜装置。
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