JP2014021182A - 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 Download PDF

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善弘 大浦
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Abstract

【課題】安定なR(リバース)−TN状態を有してRTNモードを実現する液晶表示素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示素子1は、第1の方向に配向処理された第1の基板2と、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板3と、その基板間で第1の回り方向に沿って捻じれて液晶分子4がツイスト配向するようされた液晶層5とを有する。液晶層5は、液晶分子4に、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するカイラル物質を含むと共に、液晶分子4の上述したツイスト配向のための配向手段を含む。配向手段は、重合性物質を液晶層5中で重合させた重合体であり、重合体層10を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法に関する。
液晶表示素子は、観察者の側に配置される透明な基板と、この透明な基板に対向して観察者とは反対側に配置される基板との間に、液晶層が挟持されて構成される。液晶表示素子の液晶層は、例えば、ネマチック相の液晶(以下、ネマチック液晶とも言う。)から形成できる。各基板の液晶層側の面には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明導電材料からなる、パターニングされた電極を設けることができる。各基板上の電極と液晶層との間には、液晶層の均一な初期配向を実現する液晶配向膜を設けることが好ましい。そして、液晶表示素子では、パターニングされた電極間に印加される電界に応じて、液晶層が初期の状態から配向変化する。液晶表示素子は、その液晶層の配向変化を利用し、液晶層を透過する光を制御し、画像の表示を行っている。
液晶表示素子は、薄型、高解像度、および低駆動電圧等の特徴を備え、表示用の素子として広く用いられるようになっている。
こうした液晶表示素子は、液晶層の初期配向状態および電圧印加時の液晶動作の違い等から、いくつかの(動作)モードに分類される。例えば、液晶表示素子は、初期配向として90°ツイスト配向されたネマチック液晶を一対の基板間に挟持し、基板間への電圧印加によって液晶層を垂直配向するよう動作させるTN(Twisted Nematic)モードの液晶表示素子が知られている。
TNモード液晶表示素子は、低電圧駆動とともに高い信頼性を有し、応答特性やコントラスト比等の表示特性のバランスにも優れ、現在最も多用されている液晶表示素子の1つである。TNモード液晶表示素子は、画素毎にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を設けたアクティブマトリクス表示装置への適用が可能であり、例えば、液晶モニタの他、自動車のインストルメントパネル等いわゆる車載用途にも用いられている。
近年、このようなTNモード液晶表示素子に対し、さらなる低電圧化や高表示品位化を可能とする技術が検討されている。
特許文献1および特許文献2には、液晶層を挟持する一対の基板のそれぞれに設けられた配向膜の配向処理の方向を組み合わせて、通常のTN配向状態を形成するときの液晶層の自発捻じれ方向に対して、反対方向の捻じれ方向を誘起するラセン(螺旋)ピッチの光学活性物質(カイラル物質)をその液晶層に含有させ、その液晶層が、スプレイ配向状態ではない、通常のTN配向状態を形成する、新しいTNモード液晶表示素子が開示されている。この液晶表示素子は、RTN(Reverse Twisted Nematic)モード液晶表示素子等と称される。そして、このRTNモード液晶表示素子は、従来のTNモード液晶表示に比べ、駆動電圧等において優れた特性を有するとされ、今後の発展が大いに期待されている。
特開2010−8911号公報 特開2011−164273号公報
図5は、RTNモードのR(リバース)−TN状態の形成を説明する図であり、図5(a)は通常のTN状態を説明する図であり、図5(b)はスプレイ配向するスプレイTN状態を説明する図であり、図5(c)はR−TN状態を説明する図である。
RTNモード液晶表示素子のR(リバース)−TN状態は、図5(a)〜図5(c)に示すように、通常、スプレイTN状態を経て形成される。
図5(a)に示すように、一対の基板100、101のそれぞれの表面に設けられた配向膜(図示されない)の配向処理の方向を好適に組み合わせ、ネマチック液晶からなる液晶層104を挟持する。それぞれの基板100、101の表面での液晶層104の液晶分子のチルト方向は、液晶層104のラセン方向と整合し、液晶層104の中央部分にある液晶分子が所定のチルト角を持って配向する。そして、基板100、101の間に、液晶層104の自発捻じれによる通常のTN配向状態が形成される。
そして、図5(b)に示すように、通常のTN配向状態を形成するときの液晶層104の自発捻じれ方向に対して、反対方向の捻じれ方向を誘起する光学活性物質(カイラル物質)を液晶層104に含有させることにより、液晶層104がスプレイ配向するスプレイTN状態が形成される。スプレイ配向状態では、それぞれの基板100、101の表面での液晶層104の液晶分子のチルト方向が、液晶層104のラセン方向と整合しない。そのため、液晶層104の中央部の液晶分子は、図5(a)に示すような所定のチルト角を持った配向を示すことができない。
そして、図5(c)に示すように、スプレイTN状態に十分な高電圧を印加することにより液晶層104に配向歪みが発生し、スプレイTN状態の液晶層104の捻じれが反転し、TN配向状態の液晶層104の自発捻じれと同様のR(リバース)−TN状態へと転移する。
しかしながら、電圧印加状態ではR(リバース)−TN状態が安定であるものの、電圧無印加状態ではスプレイTN状態の方が安定な状態となりやすい。そのため、R−TN状態を安定化するためには、基板と液晶層との界面の液晶分子のチルト角を大きくする必要がある。例えば、特許文献1に示されるように、10度以上の高チルト状態を作らなければならない。しかし、このような高チルト状態は、配向膜の配向処理法として通常用いられるラビング法では、液晶分子の配向の均一性を得にくいという問題があった。また、RTNモード液晶表示素子は、こうした高チルト状態となるため、マルチプレックス特性が悪いという欠点を有していた。
図5(c)に示すR(リバース)−TN状態は、チルト角が10度以下では、カイラル物質の逆捻じれの力もあって、駆動電圧無印加時および低い駆動電圧印加時において、スプレイTN状態に戻ってしまう。すなわち、R(リバース)−TN状態は、安定的ではなく、マルチプレックス特性と両立しないという問題があった。
そこで、RTNモード液晶表示素子では、10度以下の低いチルト角であっても、安定なR(リバース)−TN状態を実現する技術が求められている。
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、安定なR(リバース)−TN状態を有してRTNモードを実現する液晶表示素子を提供することである。
そして特に、本発明の目的は、ラビング法で実現できる10度以下の低いチルト角でも安定なR(リバース)−TN状態を有するRTNモードの液晶表示素子を提供することである。
また、本発明の目的は、安定なR(リバース)−TN状態を有するRTNモードの液晶表示素子を製造する製造方法を提供することである。
そして特に、本発明の目的は、ラビング法で実現できる10度以下の低いチルト角でも安定なR(リバース)−TN状態を有するRTNモードの液晶表示素子を製造する製造方法を提供することである。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、第1の方向に配向処理された第1の基板と、
その第1の基板と対向配置され、第1の基板側の法線方向から見て、第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板と、
第1の基板と第2の基板との間で、第1の回り方向に沿って捻じれて、液晶分子がツイスト配向するように配置された液晶層とを有する液晶表示素子であって、
液晶層は、カイラル物質と配向手段とを含み、
カイラル物質は、液晶層の液晶分子に、第1の基板側の法線方向から見て、第1の基板から第2の基板に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するものであり、
配向手段は、第1の回り方向に沿って捻じれる液晶分子のツイスト配向のためのものであることを特徴とする液晶表示素子に関する。
本発明の第1の態様において、液晶層は、第1の基板と第2の基板との間で第1の回り方向に沿って捻じれるラセン方向を備え、
第1の基板および第2の基板の表面での液晶分子のチルト方向がそのラセン方向と整合し、液晶層の中央部の液晶分子がそのチルト方向にチルトするよう構成されることが好ましい。
本発明の第1の態様において、液晶層は、10°以下のプレチルト角を有することが好ましい。
本発明の第1の態様において、配向手段は、液晶層に重合性物質を含ませて、第1の基板と第2の基板との間に配置し、その第1の基板と第2の基板との間に電圧を印加して上述したツイスト配向をさせてから、その重合性物質を重合させて形成されたものであることが好ましい。
本発明の第1の態様において、配向手段の形成に用いられる重合性物質は、光重合性の重合性物質であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、第1の基板と第2の基板との間に印加される電圧は、液晶層の液晶分子の第1の回り方向に沿って捻じれる上述のツイスト配向を形成する電圧であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、第1の方向に配向処理された第1の基板と、その第1の基板側の法線方向から見て、その第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板との間に、液晶層であって、液晶分子と、第1の基板側の法線方向から見て、第1の基板から第2の基板に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性をその液晶分子に付与するカイラル物質と、重合性物質とを含む液晶層を配置する工程と、
第1の基板と第2の基板との間に電圧を印加する電圧印加工程と、
第1の基板と第2の基板との間に配置された液晶層中の重合性物質を重合させる重合工程とを有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法に関する。
本発明の第2の態様において、電圧印加工程で印加される電圧は、第1の基板と第2の基板との間で、液晶層の液晶分子が第1の回り方向に沿って捻じれて、ツイスト配向を形成する電圧であることが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、安定なR(リバース)−TN状態を有してRTNモードを実現する液晶表示素子が提供される。
本発明の第2の態様によれば、安定なR(リバース)−TN状態を有するRTNモードの液晶表示素子を製造するその製造方法が提供される。
本発明の第1実施形態の液晶表示素子の模式的な断面図である。 本発明の第2実施形態の液晶表示素子の製造方法の液晶層形成工程によって、基板間に挟持された液晶層の状態を模式的に説明する断面図である。 本実施形態の液晶表示素子のR−TN状態の形成を模式的に説明する断面図である。 本発明の実施例の液晶表示素子の印加電圧と光透過率との関係を、比較例と比較して示すグラフである。 RTNモードのR(リバース)−TN状態の形成を説明する図であり、(a)は通常のTN状態を説明する図であり、(b)はスプレイ配向するスプレイTN状態を説明する図であり、(c)はR−TN状態を説明する図である。
本発明者らは、RTNモードにおいて、不安定なR(リバース)−TN状態(以下、単に、R−TN状態とも言う。)を安定化させる検討を行った。そして、本発明者らは、液晶層中に、R−TN状態を安定化させるための配向手段を含有させる技術が有効であることを見出し、本発明をするに至った。以下、適宜図面を参照し、本発明の実施形態である、RTNモードを実現した液晶表示素子について説明する。
実施形態1.
図1は、本発明の第1実施形態である液晶表示素子の模式的な断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態である液晶表示素子1は、第1の基板2と、その第1の基板2に対向するように配置された第2の基板3とを有し、液晶分子4により構成される液晶層5をそれらの基板間に挟持して構成される。液晶層5の厚みは、1μm〜10μmとすることができる。そして、生産性や応答特性等も考慮して、液晶層5の厚みは、3μm〜7μmとすることがより好ましい。
第1の基板2および第2の基板3は、光透過性のガラス基板や樹脂基板を用いて構成することができる。ガラス基板の場合、強度と光透過性とを考慮し、その厚みは、0.1mm〜3mmとすることが好ましい。
第1の基板2の液晶層5側の面には、液晶分子4を所望とする方向に配向するための配向膜6が設けられており、配向膜6は、所定方向である第1の方向に配向処理されている。そして、後述するように、プレチルト角が10°以下、さらに好ましくは5°以下になるように配向処理の条件を選ばれる。
第1の基板2に対向配置される第2の基板3の液晶層5側の面には、配向膜6と同様、液晶分子4を所望の方向に配向するための配向膜7が設けられている。配向膜7は、第1の基板2側の法線方向から見て、上述した第1の方向に対して、好ましくは、第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理される。
尚、第1の回り方向としては、右方向と左方向のいずれとすることも可能である。
第1の基板2の配向膜6と第2の基板3の配向膜7において、上述したような配向処理を行い、それらの間に液晶層5を挟持することで、液晶層5が後述するカイラル物質を含有しない場合に、第1の回り方向に70°〜110°の角度のツイスト配向を、液晶分子4の自発的な捻じれにより得ることができる。すなわち、液晶層5は、第1の回り方向に沿って捻じれて旋回する、第1のラセン方向のラセン構造を備える。液晶層5における第1のラセン方向は、第1の基板2および第2の基板3の表面での液晶分子4のチルト方向と整合するラセン方向であり、液晶層5はその中央部の液晶分子4が一定方向のチルトを与えられた状態を示す。
そして、配向膜7は、第1の回り方向に90°の角度をなす第2の方向に配向処理されることがより好ましい。すなわち、第1の基板2上の配向膜6と第2の基板3上の配向膜7とは、互いに直交する方向に配向処理されていることがより好ましい。このような状態を形成することで、後に説明する偏光板の効果と併せて、高いコントラスト比の表示が可能な液晶表示素子1を提供することができる。
配向膜6、7は、いずれも公知の材料から構成することができ、例えば、ポリイミド材料やアクリル材料等から構成することができる。また、それらの配向処理についても、公知の方法を用いることができ、ラビング処理や光配向処理等を利用することができる。その場合、液晶層5の液晶分子のプレチルト角は、液晶表示素子1において好適なマルチプレックス性を実現できる10°以下が好ましく、5°〜0.5°であることがより好ましい。
また、第1の基板2には、配向膜6より下層側に、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明導電材料からなる電極(図示されない)を配設することが好ましい。同様に、第2の基板3には、配向膜7より下層側に、ITO等の透明導電材料からなる電極(図示されない)を配設することが好ましい。電極がITOからなる場合、その厚みは、導電特性と光透過性等を考慮して、10nm〜500nmとすることが好ましい。
第1の基板2上の電極および第2の基板3上の電極は、それぞれ所望のパターニングを行って用いることができる。そして、それらパターニングされた電極の形状は、所望とする表示のパターンに対応する。電極が、上述したITOから形成される場合、公知のフォトリソグラフィ技術を利用してそのパターニングを行うことができる。液晶表示素子1は、この一対の電極を用い、第1の基板2と第2の基板3との間の液晶層5に電圧を印加することができる。
液晶層5は、その液晶分子4とともにカイラル物質(図示されない)および重合性物質を含む液晶組成物を用いて形成される。尚、後述するように、液晶組成物に含有される重合性物質は、液晶層5中に含有された後、重合されて重合体となり、重合体として液晶層5と配向膜6、7との界面に沈着し、液晶層5の配向を制御する。液晶組成物に含有される重合性物質の含有量は、液晶層5中に重合体に起因するドメインを形成しない、0.3重量%〜5重量%が好ましく、0.5重量%〜2重量%とすることで、界面に沈着した重合体が均一な厚みとなりやすく、誘電体としてマルチプレックス性を十分確保する観点から、より好ましい。
そして、その重合体は、液晶分子4とともにその重合体が混在された重合体層10を形成し、基板表面に沈着する。本実施形態の液晶表示素子1において、液晶層5中の重合体は、液晶分子4の配向状態に作用し、R−TN状態を安定的に実現するための、液晶層5中の配向手段となる。
液晶組成物の調製に用いられる液晶材料は、単一の液晶化合物からなる必要はなく、2種以上の液晶化合物や、後述するカイラル物質や重合性物質を除く、液晶化合物以外の物質を含んだ混合物であってもよい。
液晶材料が上述した混合物である場合、液晶材料の特性、例えば、等方性液体に相転移する際の相転移温度、粘度、屈折率異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)、および後述する重合性物質の溶解度等を配慮して、調製されることが好ましい。そして、特に、液晶材料は、正の誘電異方性を有するものが好ましい。
液晶材料の調製に用いる液晶化合物としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換−4−ビフェニリルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4−置換4’’置換ターフェニル、1−(4’−置換−4−ビフェニリル)−4−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)5−置換ピリミジン等と称されるもの等が挙げられる。
液晶組成物に含有されるカイラル物質としては、カイラルネマチック液晶およびコレステリック液晶として知られる化合物を用いることができる。
カイラルネマチック液晶としては、例えば、4’−(光学活性(以下略)2−メチルブチル)−4−シアノビフェニル、4’−(3−メチルペンチル)−4−シアノビフェニル、4’−(2−メチルブトキシ)−4−シアノビフェニル、4−(2−メチルブチル)安息香酸4−シアノフェニルエステル、4−(2−メチルブトキシ)安息香酸4−シアノフェニルエステル、4−(2−メチルブトキシ)安息香酸4’−シアノ−4−ビフェニリルエステル、4−(2−メチルブトキシ)安息香酸4’−シアノ−4−ビフェニリルエステル、4−(p−2ーメチルブチルフェニル)−4’−シアノビフェニル、4−(2−メチルブチル)シクロヘキサンカルボン酸4’−シアノ−4−ビフェニリルエステル、4−アルコキシ−4’−(2−メチルブチル)アゾキシベンゼン、4−アルキルフェニル安息香酸2−メチルブチルエステル、4−アルコキシフェニル安息香酸2−メチルブチルエステル等を挙げることができる。
コレステリック液晶としては、塩化コレステロール、脂肪酸コレステロールエステル、ノナン酸コレステロール、酢酸コレステロール、炭酸アルキルコレステロールエステル、炭酸メチルコレステロール、炭酸エチルコレステロール、安息香酸コレステロール、安息香酸Δ5,6−コレステン−3β−オール、p(又はo,m)−置換安息香酸コレステロールエステル、p−メトキシ安息香酸コレステロール、p−アミノ安息香酸コレステロール、フェニル脂肪酸およびその誘導体のコレステロールエステル、p−アミノケイ皮酸コレステロール、シトステロールエステル、酪酸シトエステル、安息香酸(またはその誘導体)のコレスタノールエステル、安息香酸コレスタノール、安息香酸のコレスタジエンエステル等を挙げることができる。
そして、カイラル物質は、液晶層5の液晶分子4に、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するものが選択されて、用いられる。すなわち、第1の回り方向が右方向である場合、カイラル物質は、液晶層5の液晶分子4に、左方向に旋回性を付与するものが選択される。同様に、第1の回り方向が左方向である場合、カイラル物質は、液晶層5の液晶分子4に、右方向に旋回性を付与するものが選択される。このとき、液晶層5において、第2の回り方向に旋回性が付与された場合、ラセン方向は上述した第1のラセン方向と逆方向の第2のラセン方向となる。そのため、液晶表示素子1では、第1の基板2および第2の基板3の表面での液晶分子4のチルト方向と整合せず、その結果、液晶層5は、その中央部の液晶分子4が一定方向のチルトを与えられた状態を示すことができない。
カイラル物質の含有により液晶組成物に誘起されるラセン構造のピッチ、すなわちカイラルピッチ(P)は、R−TN状態の安定性を考慮して、設定されることが好ましい。カイラルピッチ(P)は、カイラル物質およびその添加量の選択により決めることができる。その場合、カイラルピッチ(P)と液晶層5の厚みである第1の基板2と第2の基板3との間の距離(ギャップ)(d)との比(d/p)は、0.02〜0.5となるように設定されることが好ましい。
液晶組成物に含有され、液晶層5に含まれ、その後、重合されて重合体となる重合性物質としては、熱重合性化合物および光重合性化合物を用いることができる。熱重合性化合物を用いる場合には、液晶組成物が液晶相から等方相に転移するときの相転移温度以下で重合する化合物の選択が好ましい。そして、液晶表示素子1の製造の容易さと、得られる配向手段の配向性能の良さを考慮して、光重合性の重合性化合物を用いることがより好ましい。
光重合性化合物を用いる場合は、重合速度を速めるために、光重合開始剤を併用し、光重合性化合物とともに添加して用いてもよい。特に、ラジカル種により光重合可能な光重合開始剤であれば、信頼性に優れた液晶表示素子を製造することができる。
また、光重合性化合物を用いる場合には、例えば、光重合性ビニル系化合物を使用することが好ましい。
光重合性ビニル系化合物は、光二量化するものと、より高次に高分子化するものとに分けることができ、それぞれを用いることできる。前者は、その分子構造内にシンナモイル基やシンナミリデン基を有するものが多く、例えば、ポリケイ皮酸ビニル等を挙げることができる。後者は、その化合物自体の他、その化合物からなるオリゴマーが光により活性化されて、相互に、または、他の構造の光重合性ビニル系化合物(モノマー、オリゴマーおよびポリマーを含む。)と重合するものである。
光硬化性ビニル系化合物であって、重合して高分子化するものとしては、アクリロイル系、アリル系、スピラン系、ビニルベンゼン系の化合物(それらのオリゴマーおよびポリマーを含む。)等が挙げられる。
光硬化性ビニル系化合物であって、重合して高分子化するものの例としては、モノアクリレート、モノメタクリレート、ジアクリレート、ジメタクリレート、N−置換アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレンおよびその誘導体、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、フルオロアルキルアクリレート、ポリブタジエン骨格を有するポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート、ヒダントイン骨格を有するアクリレート、不飽和シクロアセタール等に代表される単官能および多官能ビニル基を有する化合物を挙げることができる。
本実施形態では、以上で例示した多様な光硬化性ビニル系化合物を使用できるが、アクリロイル系化合物を使用することが特に好ましい。アクリロイル系化合物は、光重合反応性に優れて光反応時間が短く、また、光重合処理後に得られる重合体が、所望とする優れた配向手段として機能する。そして、図1の液晶層5中において、その重合体に由来するドメインの形成が少なく、優れた表示品位の液晶表示素子1を製造することができる。
尚、アクリロイル系化合物のアクリロイル基は、α位、β位の水素原子がフェニル基、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
好ましいアクロイル系化合物の具体例としては、例えば、国際公開(WO)第2008/123235号パンフレット等に記載される重合性アクリレート化合物を挙げることができる。
そして、特に好ましいアクロイル系化合物として、液晶性メソゲン構造の末端にアクリル基またはメタクリル基を有する化合物を挙げることができる。そして、例えば、下記式(1)および下記式(2)の化合物を挙げることができる。
Figure 2014021182
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、単結合または炭素数1〜15のアルキレン基(そのアルキレン基中に存在する1個または2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−または−OCO−で置換されていても良く、そのアルキレン基中に存在する1個または2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基またはエチル基で置換されていても良い。)を表す。
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
Figure 2014021182
上記式(2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、単結合または炭素数1〜15のアルキレン基(そのアルキレン基中に存在する1個または2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−または−OCO−で置換されていても良く、そのアルキレン基中に存在する1個または2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基またはエチル基で置換されていても良い。)を表す。
上記式(2)中、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
上記式(1)および上記式(2)の化合物は、分子内にビフェニル骨格を有し、所謂、剛直な構造を備え、重合体を形成して、R−TN状態の安定化に好適な配向手段を提供できる。
尚、本実施形態において、重合性物質に熱重合性化合物を用いて熱重合された重合体を液晶層中に配置する場合には、重合体として、グアナミン樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリジアリルフタレート、ポリビニルエステル、メラミン樹脂、ユリア樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、エポキシ樹脂、DFK樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリテルペン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリプロピオン酸ビニル、マレイン酸樹脂、シリコーン等の中から選択して用いることができる。
本実施形態において、重合性化合物は、1種を単独で用いて液晶組成物に含有させることもでき、複数種類を混合して用いて液晶組成物に含有させることもできる。
また、図1の液晶層5を形成する液晶組成物は、カイラル物質および重合性物質の他、架橋剤、界面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、安定剤、吸収剤、色素、重合促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を含んでいてもよい。
以上のように、本実施形態の液晶表示素子1の液晶層5は、その液晶分子4とともにカイラル物質および重合性物質を含む液晶組成物を用いて形成される。そして、液晶組成物に含有される重合性物質は、液晶表示素子1の製造に際し、一旦、液晶層5の中に含有される。そして、液晶層5の液晶分子4において、所望とする配向状態が形成された後、その状態で重合されて重合体となり、重合体の状態で液晶層5に含有されることになる。すなわち、図1に示すように、その重合体は、液晶分子4とともに互いが混ざり合った重合体層10を、第1の基板2および第2の基板3の近傍を含む領域に形成する。そして、重合体は、その状態で液晶層5中に配置される。
液晶表示素子1は、液晶層5を、第1の方向に配向処理された第1の基板2と第1の基板2側の法線方向から見て、第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度、例えば、90°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板3とに挟持して構成されたものである。一方、液晶層5には、液晶層5の液晶分子4に、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するカイラル物質が含有されている。
したがって、本実施形態の液晶表示素子1において、仮に上述の重合体が無い場合、R−TN状態を安定的に実現することはできない構成となっている。
そのため、本実施形態の液晶表示素子1は、液晶層5中、特に配向膜の近傍に重合体を配置している。この液晶層5中の重合体は、液晶層5の液晶分子4の第1の回り方向に沿って捻じれるツイスト配向を実現した状態で、重合性化合物を重合して形成されたものである。したがって、液晶層5中の重合体は、液晶層5の液晶分子4に作用し、液晶分子4の第1の回り方向に沿って捻じれるツイスト配向の状態、すなわち、R−TN状態を安定化させるように機能する。液晶層5中の重合体は、R−TN状態を安定的に実現するための、液晶層5中の配向手段となる。
こうした配向手段を備える本実施形態の液晶表示素子1は、R−TN状態を安定的に実現することができ、安定なR−TN状態を備えた、RTNモードの液晶表示素子を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施形態として、本発明の実施形態の液晶表示素子の製造方法について、適宜、上述した図1の液晶表示素子1を例として用い、図面を参照しながらより詳細に説明する。したがって、液晶表示素子1の構成要素については、同じ符号を付して説明を行う。
実施形態2.
本発明の第2実施形態の液晶表示素子の製造方法は、次の第1〜第3の3つの工程を主要な工程として含む。
第1の工程は、第1の方向に配向処理された第1の基板と、第1の基板側の法線方向から見て、その第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板との間に、液晶分子からなり、その第1の基板側の法線方向から見て、その第1の基板からその第2の基板に向かう方向に沿って、その第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を液晶分子に付与するカイラル物質と、重合性物質とを含む液晶層を配置する液晶層形成工程である。
第2の工程は、第1の基板と第2の基板との間に電圧を印加する電圧印加工程である。
第3の工程は、第1の基板と第2の基板との間に配置された液晶層中の重合性物質を重合させる重合工程である。
以下、上述の3工程について、それぞれ説明する。
図2は、本実施形態の液晶表示素子の製造方法の液晶層形成工程によって、基板間に挟持された液晶層の状態を模式的に説明する断面図である。
液晶層形成工程では、上述した第1の基板2と第2の基板3とを準備し、上述した液晶組成物をそれらの基板間に導入し、液晶層5を第1の基板2と第2の基板3との間に配置する。液晶組成物には、上述したように、カイラル物質、および、0.3重量%〜5重量%、好ましくは0.5重量%〜2重量%の重合性物質が含有されている。したがって、液晶層5中には、その含有量で、重合性物質11が含まれることになる。
液晶層形成工程で準備される第1の基板2は、その液晶層5側の面に配向膜6を有し、配向膜6は、第1の方向に配向処理されている。
第2の基板3も、その液晶層5側の面に配向膜7が設けられている。第2の基板3上の配向膜7は、第1の基板2側の法線方向から見て、その第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理されている。配向処理は、10°以下、好ましくは、5°以下の低いプレチルト角が液晶層5で発現するように行われる。
第1の基板2および第2の基板3には、配向膜6、7の下層側に、上述したように、例えば、ITOからなる電極(図示されない)が形成されている。
配向膜6、7の形成は、第1の基板2および第2の基板3上に電極を形成した後、その電極を覆うようにして配向膜形成材料を塗布して行う。配向膜形成材料の塗布は、例えば、スピンコード法や、フレキソ印刷を用いて行う。インクジェット印刷を用いてもよい。配向膜材料としては、液晶分子4において低プレチルト角を発現させることができる、TNモード液晶表示素子用の水平配向膜形成材料を用いることが好ましい。この水平配向膜形成材料は市販の材料を利用することができる。
配向膜材料を塗布した第1の基板2および第2の基板3を、例えば、ホットプレート上に乗せ、50℃〜120℃の温度で1分間〜10分間の仮焼成(プリベーク)を行う。次いで、例えば、オーブンを用い、200℃〜300℃の温度で、30分間〜1時間程度の本焼成を行う。こうして、電極を覆う配向膜6、7を形成する。
次に、配向膜6、7の配向処理を行う。配向処理は、公知のラビング処理によって行うことができる。ラビング処理は、木綿やナイロンやポリエステル等からなるラビング布を巻いた円筒状のロールを高速に回転させ、配向膜表面を擦る処理であり、これにより配向膜6、7に接する液晶分子4を一方向に並べる(配向する)ことができる。
このとき、ラビング方向に配向する液晶分子4は、ラビング方向にプレチルト角を有して配向するが、プレチルト角としては、10°以下、好ましくは、0.5°〜5°に設定されることが好ましい。
第1の基板2と第2の基板3との間のギャップ(d)、すなわち、基板間距離は、液晶層5の厚みを決めるが、液晶層5の液晶分子4の応答性能や、液晶表示素子1の生産性を考慮して、1μm〜15μmとすることが好ましく、4μm〜8μmとすることがより好ましい。
第1の基板2と第2の基板3との間のギャップ(d)を一定に保つため、一方の基板面上にギャップコントロール材(図2中では図示されない。)を散布することが好ましい。ギャップコントロール材(スペーサとも称される。)には、例えば、粒径6μm等、所望とする液晶層5の厚みを実現する粒径を備えた、シリカ系材料等を使用することができる。シリカ系のスペーサは、乾式散布法によって分散散布することができる。シリカ系の材料の他、ボール状の樹脂スペーサを用いることもできる。
もう一方の基板面上にはシール材を印刷し、シールパターンを形成する。シール材は熱硬化性のものを用いることができ、スクリーン印刷法やディスペンサを用いた方法により印刷することができる。
次に、第1の基板2と第2の基板3とを重ね合わせ、互いに貼り合わせる。その場合、第1の基板2と第2の基板3とを所定の位置で重ね合わせ、プレスした状態で熱処理を施しシール材を硬化させる。このとき、重ね合わせは、上述したように、第1の基板2の配向処理の方向(第1の方向)と、第2の基板の配向処理の方向(第2の方向)とが、第1の基板2の法線方向から見て、その第1の方向を基準にして、第1の回り方向に70°〜110°、好ましくは、90°の角度となるように行われる。このとき、第1の回り方向は、第1の方向を基準にして、右方向とすることができ、また、左方向とすることもできる。その後、例えば、ホットプレス法を用い、150℃程度で加熱してシール材の熱硬化を行う。尚、図2において、シール材は図示を省略する。以下の図面でも同様である。
こうして形成された、所謂、空セル状態の第1の基板2と第2の基板3との間に、例えば、真空注入法を用い、上述した液晶組成物を注入する。液晶組成物には、上述したように、液晶分子4の他、カイラル物質および重合性化合物が含有されている。カイラル物質は、上述したように、液晶層5の液晶分子4に、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するものである。液晶組成物のカイラルピッチ(P)は、例えば、基板間のギャップ(d)との比(d/p)が、0.02〜0.5となるように設定される。
次に、液晶組成物の注入を行った注入口を、例えば、紫外線(UV)硬化タイプの封止剤で封止し、液晶表示素子1aを得る。尚、封止剤による封止は、後述する電圧印加工程の後に行ってもよい。
こうして製造された液晶表示素子1aは、図2に示すように、液晶層5中の上述したカイラル物質の効果によって液晶分子4が、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向とは逆の第2の回り方向にツイスト配向(スプレイ配向)する、スプレイTN状態となる。スプレイTN状態では、第1の基板2および第2の基板3のそれぞれの表面での液晶層5の液晶分子4のチルト方向が、液晶層5のラセン方向と整合しない。そのため、液晶層5の中央部の液晶分子は、次に説明する図3に示すような、所定のチルト角を持った配向を示すことができない。
図3は、本実施形態の液晶表示素子のR−TN状態の形成を模式的に説明する断面図である。
上述した液晶層形成工程の後、電圧印加工程では、スプレイTN状態を示すように製造された液晶表示素子1aを用い、図3で矢印によって模式的に示されるように、第1の基板2と第2の基板3との間に電圧12を印加する。そして、図2の液晶表示素子1aにおけるスプレイTN状態を解消して、新たにR−TN状態の液晶表示素子1bを製造する。R−TN状態の液晶表示素子1bは、液晶分子4が、第1の基板2側の法線方向から見て、第1の基板2から第2の基板3に向かう方向に沿って、第1の回り方向にツイスト配向する状態となる。そして、このR−TN状態では、第1の基板2および第2の基板3のそれぞれの表面での液晶層5の液晶分子4のチルト方向が、液晶層5のラセン方向と整合し、液晶層5の中央部の液晶分子4は、図3に示すような、所定のチルト角を持った配向を示す。
印加される電圧12は、液晶表示素子1bの面内で均一にR−TN状態が形成される値の電圧とすることが好ましい。すなわち、液晶表示素子1bの面内で均一に、液晶層5の液晶分子4の、第1の回り方向に沿って捻じれるツイスト配向を形成する電圧とすることが好ましい。印加電圧波形は、例えば、周波数1kHzの矩形波とすることができる。
電圧12の印加の方法としては、初めに、所定の期間、スプレイTN状態の解消に必要な十分に高い高電圧を印加し、その後、より低い低電圧を印加してR−TN状態を形成する2段階の電圧印加方法をとることができる。
このとき、電圧12の印加は、液晶表示素子1bの全面に対して行われることが好ましい。そして、第1の基板2および第2の基板3の有する電極のパターンによっては、全面への電圧12の印加が困難となる場合がある。その場合、液晶表示素子1bの全面点灯のために、第1の基板2および第2の基板3に電圧印加工程用の追加の電極を設けることや、第1の基板2および第2の基板3の各外側に外部電極を押し付けて電圧12を印加し、全面点灯を実現すること等が可能である。
次に、重合工程では、上述したR−TN状態の液晶表示素子1bを用い、上述したR−TN状態を形成する電圧12を印加しながら、第1の基板2と第2の基板3との間に配置された液晶層5中の重合性物質11を重合させる。そして、図1に示す本実施形態の液晶表示素子1を製造する。
図2および図3に示す、液晶層5中の重合成物質11が、光重合性である場合、その重合は露光によって行う。そして、露光は、例えば、高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置を用い、紫外線を照射して行うことができる。その場合、露光時間は、例えば、10分間〜1時間程度とすることができる。露光時間が短いと、重合性物質11の所望とする重合が実現できず、後述するR−TN状態の安定化効果が十分なものとはならない。また、露光時間が長すぎると製造される液晶表示素子1の生産性が低下してしまう。尚、図1に示すように、基板2、3の双方に表面に重合体層10を効率よく配置させるために、紫外線の照射は両基板側から行うことが好ましい。
重合性物質11の重合の後、液晶層5には、図1に示すように、重合体による重合体層10が形成されることになる。重合体層10の重合体は、液晶層5の液晶分子4に作用し、そのR−TN状態を安定化させる配向手段となる。すなわち、液晶表示素子1の液晶層5は、重合体を含むことにより、液晶分子4の第1の回り方向に沿って捻じれるツイスト配向のための配向手段を有することになる。
こうして製造された、図1の液晶表示素子1は、安定なR−TN状態を有するRTNモードの液晶表示素子となる。そして、液晶表示素子1は、R−TN状態が安定的に実現されることで、マルチプレックス駆動に好適な液晶表示素子となる。
また、製造された液晶表示素子1は、必要な場合、液晶組成物の相転移温度以上となるように、60℃〜150℃の温度で加熱を行うエージング処理を行い、液晶層5の液晶分子4の配向を整えるようにする。次いで、必要な洗浄等の処理を行った後に、第1の基板2と第2の基板3の液晶層5と反対側の面にそれぞれ、偏光板(図示されな)を貼付する。2枚の偏光板は、クロスニコルに配置し、ノーマリホワイトモードを実現する。こうして、液晶表示素子1は、ノーマリホワイトのRTNモードの液晶表示素子となる。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
上述した本実施形態の液晶表示素子の製造方法に従い、上述した液晶表示素子1と同様の構造の本実施例の液晶表示素子の製造を行った。
はじめに、誘電異方性が+12.9であるネマチック液晶材料を用い、微量のカイラル物質と、重合性化合物を1.5重量%、および重合開始剤を0.015重量%添加し、ラセン方向が右で、20μmのラセンピッチ(p)を有する液晶組成物を準備した。カイラル物質には、液晶分子に右ラセン方向の捻じれを誘起するR−811を用いた。重合性物質には、下記式で示す、液晶性メソゲン構造の各末端にアクリル基を備えた、ジアクリレートを用いた。
Figure 2014021182
そして、その液晶組成物を、d/pが0.3となるように、ギャップ(d)を6μmとした、水平配向膜およびITO電極付きの一対のガラス基板間に挟持した。ガラス基板上の水平配向膜はラビング処理が施されており、ガラス基板間に、プレチルト角が2°で90°ツイスト配向する液晶層を形成した。このとき、一対の基板上の水平配向膜は、液晶層が90°ツイストするとともに、液晶層のラセン方向が左ラセンに好適となるようチルト方向が設定され、配向処理が施されている。
その後、ITO電極を用いてガラス基板間の液晶層に、R−TN状態が面内で均一に形成される電圧を印加した。具体的な電圧印加の条件としては、周波数1kHzの矩形波を用い、10Vの電圧を1分間印加することによりR−TN状態を形成した後、そのR−TN状態が保たれる2.5Vを印加した。
次いで、電圧(2.5V)を印加したままR−TN状態を維持し、その状態で波長352nmの紫外線を4.7J/cmの照射量で照射した。そして、一対のガラス基板を挟持するように、外側からクロスニコル配置された一対の偏光板を設けて、ノーマリホワイトのRTNモードの液晶表示素子を製造した。
液晶組成物が、ラセン方向が左で100μmのラセンピッチを有し(d/p=0.06)、重合性化合物を含有せず、電圧印加と露光を行わなかったこと以外は、上記実施例と同様にして、比較例となるノーマリホワイトの液晶表示素子を製造した。
実施例および比較例の液晶表示素子を用い、電気光学特性(電圧−透過率特性)を評価した。印加電圧波形は、周波数1kHzの矩形波とした。
図4は、本発明の実施例の液晶表示素子の印加電圧と光透過率との関係を、比較例と比較して示すグラフである。
図4に示す、実線の電圧−透過率曲線が実施例の液晶表示素子の評価結果を示し、破線の電圧−透過率曲線が比較例の液晶表示素子の評価結果を示す。
図4に示すように、実施例の液晶表示素子の電気光学特性と比較例の電気光学特性は大きな違いがあり、実施例の液晶表示素子は、比較例に比べ、低い電圧によって駆動できることがわかった。すなわち、実施例の液晶表示素子は、低電圧化されていることが分かった。R−TN状態の安定的な実現により、本実施例の液晶表示素子は低電圧化できたものと解される。
次に、実施例の液晶表示素子および比較例の液晶表示素子を用い、形成されたR−TN状態の安定性を評価した。
その評価方法は、液晶表示素子にR−TN状態が形成されている状態で、2.5V〜0V(電圧無印加)の電圧を印加し、そのR−TN状態の維持が可能であるか否かを評価した。
評価における電圧の印加の条件は、2.5V、2.2V、2.0V、1.5V、1.0V、0.5V、0V(電圧無印加)の7条件とした。
重合体による配向手段を有しない、従来のRTNモード液晶表示素子においては、R−TN状態の安定性が乏しい。そのため、従来のRTNモード液晶表示素子は、電圧無印加状態および低い電圧の印加状態で、R−TN状態を保持し続けることは困難であることが知られている。したがって、比較的高い電圧印加の状態から、電圧無印加の状態または低電圧印加の状態の液晶表示素子を評価することによって、形成されたR−TN状態の安定性を評価することができる。
その結果、本実施例の液晶表示素子は、各電圧の印加状態で、形成されたR−TN状態が安定かつ面内均一に保持されることが分かった。特に、電圧無印加の状態でも、R−TN状態が保持されることが分かった。
一方、比較例である液晶表示素子は、2.5Vを印加した状態では、面内で均一なR−TN状態が保持されたものの、2.2Vおよび2.0Vの印加時には、液晶表示素子の面内のエッジ部分にスプレイTN状態の形成が見られた。そして、1.5Vの印加状態では、スプレイTN状態の形成領域の拡大が見られ、1.0Vの印加状態では、面内の半分の領域がスプレイTN状態の領域となった。さらに、0.5V印加状態および電圧無印加状態では、R−TN状態の領域は小さくなり、面内のほとんどの領域がスプレイTN状態を形成した。
以上の評価結果から、本実施例の液晶表示素子のR−TN状態は優れた安定性を有することが分かった。すなわち、本実施例の液晶表示素子は、安定性の高いR−TN状態を有するRTNモード液晶表示素子を実現していることがわかった。こうしたR−TN状態の安定化効果は、液晶層中の、重合体である配向手段の効果によるものと解される。
尚、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、本発明の液晶表示素子は、カラーフィルタを設け、カラーフィルタを備えたカラー液晶表示素子を構成することができる。
また、本発明の液晶表示素子は、各画素にTFT等のスイッチング素子を設け、低電圧駆動が可能なアクティブマトリクス型の液晶表示素子とすることも可能である。
1、1a、1b 液晶表示素子
2 第1の基板
3 第2の基板
4 液晶分子
5、104 液晶層
6、7 配向膜
10 重合体層
11 重合性物質
12 電圧
100、101 基板

Claims (8)

  1. 第1の方向に配向処理された第1の基板と、
    前記第1の基板と対向配置され、前記第1の基板側の法線方向から見て、前記第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間で、前記第1の回り方向に沿って捻じれて、液晶分子がツイスト配向するように配置された液晶層とを有する液晶表示素子であって、
    前記液晶層は、カイラル物質と配向手段とを含み、
    前記カイラル物質は、前記液晶層の液晶分子に、前記第1の基板側の法線方向から見て、前記第1の基板から前記第2の基板に向かう方向に沿って、前記第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を付与するものであり、
    前記配向手段は、前記第1の回り方向に沿って捻じれる前記液晶分子の前記ツイスト配向のためのものであることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記液晶層は、前記第1の基板と前記第2の基板との間で前記第1の回り方向に沿って捻じれるラセン方向を備え、
    前記第1の基板および前記第2の基板の表面での前記液晶分子のチルト方向が前記ラセン方向と整合し、前記液晶層の中央部の前記液晶分子が前記チルト方向にチルトするよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 前記液晶層は、10°以下のプレチルト角を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
  4. 前記配向手段は、前記液晶層に重合性物質を含ませて、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置し、前記第1の基板と前記第2の基板との間に電圧を印加して前記ツイスト配向をさせてから、該重合性物質を重合させて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  5. 前記配向手段の形成に用いられる前記重合性物質は、光重合性の重合性物質であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
  6. 前記第1の基板と前記第2の基板との間に印加される電圧は、前記液晶層の前記液晶分子の前記第1の回り方向に沿って捻じれる前記ツイスト配向を形成する電圧であることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示素子。
  7. 第1の方向に配向処理された第1の基板と、前記第1の基板側の法線方向から見て、前記第1の方向に対して第1の回り方向に70°〜110°の角度をなす第2の方向に配向処理された第2の基板との間に、液晶層であって、液晶分子と、前記第1の基板側の法線方向から見て、前記第1の基板から前記第2の基板に向かう方向に沿って、前記第1の回り方向とは逆の第2の回り方向に旋回性を前記液晶分子に付与するカイラル物質と、重合性物質とを含む液晶層を配置する工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に電圧を印加する電圧印加工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された前記液晶層中の前記重合性物質を重合させる重合工程とを有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  8. 前記電圧印加工程で印加される電圧は、前記第1の基板と前記第2の基板との間で、前記液晶層の前記液晶分子が前記第1の回り方向に沿って捻じれて、ツイスト配向を形成する電圧であることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子の製造方法。
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