JP2014020984A - 磁粉探傷試験用磁化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】どのような方向の亀裂であっても磁粉を十分に吸着できる、磁粉探傷試験用磁化装置を提供する。
【解決手段】二つの交流電源装置が生成する交流電圧の周波数を、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下である周波数に設定することで、ワークの表面の亀裂に対する、磁粉の付着ムラを防ぐことができる。従来技術とは異なり、二つの周波数には10を超える最大公約数が存在するような関係がないので、二つの交流電源装置のコントローラが相互に同期する必要はない。
【選択図】図1
【解決手段】二つの交流電源装置が生成する交流電圧の周波数を、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下である周波数に設定することで、ワークの表面の亀裂に対する、磁粉の付着ムラを防ぐことができる。従来技術とは異なり、二つの周波数には10を超える最大公約数が存在するような関係がないので、二つの交流電源装置のコントローラが相互に同期する必要はない。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁粉探傷試験用磁化装置に関する。
周知のように、鉄鋼等の強磁性体を用いる機械部品を検査するために、非破壊検査の一つであるJIS G 0565−1992に規定されている磁粉探傷試験が広く適用されている。
以下、磁粉探傷試験の手順を簡単に説明する。
先ず、試験を行う強磁性体の対象物(以下、「ワーク」(workpieceの略)と略す。)に、蛍光塗料が塗布された磁粉を含む溶液を塗布する。次に、ワークに交流磁界を与える。すると、ワークの表面に傷、すなわち亀裂があると、その亀裂に磁極が生じるので、磁粉が亀裂に集まる。その後、ブラックライトとも呼ばれる紫外線灯にて紫外線をワークに照射すると、亀裂に集まった磁粉が光る。この光を周知のCCDカメラ等で撮影して、亀裂の位置、大きさ、方向等を把握する。
特許文献1には、本願と同一の出願人による、磁粉探傷試験用磁化装置の技術内容が開示されている。
以下、磁粉探傷試験の手順を簡単に説明する。
先ず、試験を行う強磁性体の対象物(以下、「ワーク」(workpieceの略)と略す。)に、蛍光塗料が塗布された磁粉を含む溶液を塗布する。次に、ワークに交流磁界を与える。すると、ワークの表面に傷、すなわち亀裂があると、その亀裂に磁極が生じるので、磁粉が亀裂に集まる。その後、ブラックライトとも呼ばれる紫外線灯にて紫外線をワークに照射すると、亀裂に集まった磁粉が光る。この光を周知のCCDカメラ等で撮影して、亀裂の位置、大きさ、方向等を把握する。
特許文献1には、本願と同一の出願人による、磁粉探傷試験用磁化装置の技術内容が開示されている。
亀裂に磁極を効果的に生じさせるには、磁界の方向が亀裂の方向と直交する方向に生じている必要がある。一方、ワークの表面に存在する亀裂の方向は全く不規則であるから、磁界はワークの表面に対して万遍なくあらゆる方向に与えられる必要がある。特許文献1は、直交する方向に磁界を生じさせる二つのコイルの一方に第一の周波数の交流電流を、他方に第一の周波数の2以上の整数倍の周波数である第二の周波数の交流電流を流すことで、楕円形状の回転磁界をワークの表面に生じさせる技術内容が開示されている。
しかし、この楕円形状の回転磁界は、ワークの表面に発生する磁界の合成ベクトルの長さ、すなわち磁界の強さが不均一である。楕円の長辺に当たる方向には強い磁界が生じるが、楕円の短辺に当たる方向には弱い磁界が生じる。したがって、磁粉が亀裂に吸着する際、亀裂の方向によっては十分に磁粉が吸着されない、という不具合を生じる。
本発明は係る課題を解決し、どのような方向の亀裂であっても磁粉を十分に吸着できる、磁粉探傷試験用磁化装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の磁粉探傷試験用磁化装置は、磁粉探傷試験の対象となる強磁性体の対象物であるワークの長手方向に直交する方向の磁界を発生するX軸コイルと、ワークの長手方向に平行な方向の磁界を発生するZ軸コイルと、X軸コイルに10Hzを超える第一の周波数の交流電流を流す第一の交流電源装置と、Z軸コイルに10Hzを超えると共に第一の周波数との最大公約数が10以下である第二の周波数の交流電流を流す第二の交流電源装置とを具備する。
本発明により、どのような方向の亀裂であっても磁粉を十分に吸着できる、磁粉探傷試験用磁化装置を提供できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
[構成]
図1は本実施形態の磁粉探傷試験用磁化装置を用いる磁粉探傷試験装置の概略図である。
磁粉探傷試験装置101は、最初に、蛍光塗料が塗布された磁粉を含む磁粉溶液103をワーク102に塗布する。次に、ワーク102は磁化装置104を通過する。このとき、磁粉探傷試験用磁化装置(以下「磁化装置」と略す)104はワーク102に交流磁界を与える。すると、ワーク102の表面の亀裂に磁極が生じ、この亀裂に磁粉が集まる。その後、紫外線灯105を用いて紫外線をワーク102の表面に照射すると、亀裂に集まった磁粉が光る。この光を周知のCCDカメラ106等で撮影して、亀裂の位置、大きさ、方向等を把握する。
図1は本実施形態の磁粉探傷試験用磁化装置を用いる磁粉探傷試験装置の概略図である。
磁粉探傷試験装置101は、最初に、蛍光塗料が塗布された磁粉を含む磁粉溶液103をワーク102に塗布する。次に、ワーク102は磁化装置104を通過する。このとき、磁粉探傷試験用磁化装置(以下「磁化装置」と略す)104はワーク102に交流磁界を与える。すると、ワーク102の表面の亀裂に磁極が生じ、この亀裂に磁粉が集まる。その後、紫外線灯105を用いて紫外線をワーク102の表面に照射すると、亀裂に集まった磁粉が光る。この光を周知のCCDカメラ106等で撮影して、亀裂の位置、大きさ、方向等を把握する。
磁化装置104は、ワーク102の長手方向に直交する方向に磁界を生じさせるX軸コイル107と、ワーク102の長手方向に並行な方向に磁界を生じさせるZ軸コイル108と、これらX軸コイル107とZ軸コイル108に夫々異なる周波数の交流電流を流す交流電源装置109a及び109bを有する。
なお、交流電源装置109a及び109bは内部構成が全く同一であるので、これ以降、交流電源装置109a及び109bを区別しない場合には交流電源装置109と総称する。
なお、交流電源装置109a及び109bは内部構成が全く同一であるので、これ以降、交流電源装置109a及び109bを区別しない場合には交流電源装置109と総称する。
図2(a)及び(b)は、X軸コイル107とX軸ヨーク111の全体構成を示す斜視図と分解斜視図である。
図2(a)及び(b)から判るように、X軸コイル107はX軸ヨーク111に嵌め込まれている。
一方、Z軸コイル108はその中心部分にワーク102を通過させる仕様であるため、空芯コイルである。
図3は、ワーク102とX軸コイル107とX軸ヨーク111の配置関係を示す説明図である。
X軸ヨーク111から生じる磁力線M301の一部は、X軸ヨーク111から離れているワーク102の探傷面302近辺を通過する。
図2(a)及び(b)から判るように、X軸コイル107はX軸ヨーク111に嵌め込まれている。
一方、Z軸コイル108はその中心部分にワーク102を通過させる仕様であるため、空芯コイルである。
図3は、ワーク102とX軸コイル107とX軸ヨーク111の配置関係を示す説明図である。
X軸ヨーク111から生じる磁力線M301の一部は、X軸ヨーク111から離れているワーク102の探傷面302近辺を通過する。
図4は、交流電源装置109の概略ブロック図である。
三相交流電源401は、周知のダイオードブリッジよりなる整流回路402と、周知の平滑コンデンサC403を通過して、直流に変換される。この直流電圧はMOS FET404a、404b、404c及び404dよりなるインバータ404を通じて交流電圧に変換される。交流電圧はコイル406(X軸コイル107又はZ軸コイル108)に印加される。
インバータ404を構成するMOS FET404a、404b、404c及び404dのゲートはコントローラ407によってオン・オフ制御される。
三相交流電源401は、周知のダイオードブリッジよりなる整流回路402と、周知の平滑コンデンサC403を通過して、直流に変換される。この直流電圧はMOS FET404a、404b、404c及び404dよりなるインバータ404を通じて交流電圧に変換される。交流電圧はコイル406(X軸コイル107又はZ軸コイル108)に印加される。
インバータ404を構成するMOS FET404a、404b、404c及び404dのゲートはコントローラ407によってオン・オフ制御される。
コントローラ407は、周波数電流設定値408とPWM制御部409と電流検出部410よりなる。
周波数電流設定値408は周知のディップスイッチ等で構成され、インバータ404が出力する交流電圧の周波数と、コイル406に流れる電流の値が設定されており、これらの数値データに相当する情報をPWM制御部409に出力する。
周知のマイコンよりなるPWM制御部409は、内部に周知のPLLを内蔵し、周波数電流設定値408から得られる周波数及び電流の数値データに従う、PWM制御パルスを出力する。このパルス信号が、MOS FET404a、404b、404c及び404dのゲートに印加されることで、インバータ404から交流電圧が得られる。
コイル406の一端には電流センサ405が設けられており、電流センサ405の出力信号は電流検出部410によって実測値としての電流データに変換され、PWM制御部409に入力される。PWM制御部409は電流センサ405が検出した電流の値を周波数電流設定値408にて設定される電流の値に一致させるべく、PWM制御パルスのデューティ比を制御するフィードバック制御を行う。
PWM制御部409が出力するPWM制御パルスによってインバータ404が形成する交流電圧の周波数は、周波数電流設定値408の周波数データによって変化する。
なお、EMI対策の必要がない等の場合は、ROM410が出力するスイッチング制御信号を、PWMに代えて単純な矩形波であってもよい。
周波数電流設定値408は周知のディップスイッチ等で構成され、インバータ404が出力する交流電圧の周波数と、コイル406に流れる電流の値が設定されており、これらの数値データに相当する情報をPWM制御部409に出力する。
周知のマイコンよりなるPWM制御部409は、内部に周知のPLLを内蔵し、周波数電流設定値408から得られる周波数及び電流の数値データに従う、PWM制御パルスを出力する。このパルス信号が、MOS FET404a、404b、404c及び404dのゲートに印加されることで、インバータ404から交流電圧が得られる。
コイル406の一端には電流センサ405が設けられており、電流センサ405の出力信号は電流検出部410によって実測値としての電流データに変換され、PWM制御部409に入力される。PWM制御部409は電流センサ405が検出した電流の値を周波数電流設定値408にて設定される電流の値に一致させるべく、PWM制御パルスのデューティ比を制御するフィードバック制御を行う。
PWM制御部409が出力するPWM制御パルスによってインバータ404が形成する交流電圧の周波数は、周波数電流設定値408の周波数データによって変化する。
なお、EMI対策の必要がない等の場合は、ROM410が出力するスイッチング制御信号を、PWMに代えて単純な矩形波であってもよい。
[動作原理]
磁粉探傷試験において、磁束がワーク102に浸透する深さは、磁化電流の周波数に応じて変動する。したがって、探傷したい亀裂の深さに応じて、磁化電流の周波数を選択する。
磁場浸透深さは、次式で表される。
磁粉探傷試験において、磁束がワーク102に浸透する深さは、磁化電流の周波数に応じて変動する。したがって、探傷したい亀裂の深さに応じて、磁化電流の周波数を選択する。
磁場浸透深さは、次式で表される。
図5は、磁化電流の周波数と、磁場浸透深さとの関係を示すグラフである。前述の式(1)のグラフであり、横軸は周波数であり、縦軸は磁場浸透深さである。探傷に用いる交流電源装置109a及び109bが出力する交流電圧の周波数としては、概ね、30Hz以上300Hz以下の範囲の周波数が選択される。
図6(a)及び(b)は、ワーク102の表面に生じている亀裂と磁力線の関係を示す概略図である。
図6(a)は、ワーク102の表面を示す概略図である。図6(b)は、ワーク102の断面図である。
図6(a)に示すように、ワーク102の表面に生じている亀裂601に対し、磁力線の方向が亀裂601の方向に直交する方向L602を向いている場合、図6(b)に示すように、亀裂601の側面に磁極P603a及びP603bが生じて、磁粉604が吸着される。
逆に、ワーク102の表面に生じている亀裂601に対し、磁力線の方向が亀裂601の方向に平行な方向L605を向いている場合、亀裂601の側面に磁極P603a及びP603bが生じず、磁粉604が吸着されない。
このように、亀裂601に磁極P603a及びP603bを効果的に生じさせるには、磁界の方向が亀裂601の方向と直交する方向に生じている必要がある。一方、ワーク102の表面に存在する亀裂601の方向は全く不規則であるから、磁界はワーク102の表面に対して万遍なくあらゆる方向に与えられる必要がある。
図6(a)は、ワーク102の表面を示す概略図である。図6(b)は、ワーク102の断面図である。
図6(a)に示すように、ワーク102の表面に生じている亀裂601に対し、磁力線の方向が亀裂601の方向に直交する方向L602を向いている場合、図6(b)に示すように、亀裂601の側面に磁極P603a及びP603bが生じて、磁粉604が吸着される。
逆に、ワーク102の表面に生じている亀裂601に対し、磁力線の方向が亀裂601の方向に平行な方向L605を向いている場合、亀裂601の側面に磁極P603a及びP603bが生じず、磁粉604が吸着されない。
このように、亀裂601に磁極P603a及びP603bを効果的に生じさせるには、磁界の方向が亀裂601の方向と直交する方向に生じている必要がある。一方、ワーク102の表面に存在する亀裂601の方向は全く不規則であるから、磁界はワーク102の表面に対して万遍なくあらゆる方向に与えられる必要がある。
磁力線が発生する方向が直交関係にあるX軸コイル107とZ軸コイル108に交流電圧を印加すると、ワーク102の表面には、X軸コイル107が発生する磁力線と、Z軸コイル108が発生する磁力線とが組み合わされることで、磁力線の方向が任意の方向に変化する。磁力線をベクトルとして考えると、ワーク102の表面には磁力線の合成ベクトルが発生する、と考えることができる。
特許文献1に示す従来技術の場合、磁化装置104が形成する磁力線の合成ベクトルによって作成される軌跡が一定の楕円形状であった。
本実施形態の磁化装置104は、磁力線の合成ベクトルによって作成される軌跡が一定の形状にならないように、交流電源装置109a及び109bが生成する、X軸コイル107とZ軸コイル108に与える交流電圧の周波数を選定した。
具体的には、X軸コイル107とZ軸コイル108に与える交流電圧の周波数は、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下であることが望ましい。
本実施形態の磁化装置104は、磁力線の合成ベクトルによって作成される軌跡が一定の形状にならないように、交流電源装置109a及び109bが生成する、X軸コイル107とZ軸コイル108に与える交流電圧の周波数を選定した。
具体的には、X軸コイル107とZ軸コイル108に与える交流電圧の周波数は、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下であることが望ましい。
図7(a)、(b)及び(c)は、本実施形態の磁化装置104に採用して好適な周波数の組み合わせを示すベクトル軌跡図である。これらベクトル軌跡図は、それぞれx=sinω1t、z=sinω2tで、tを0から1まで変化させた際の合成ベクトルの軌跡を描画した図である。fxは、X軸コイル107に与える交流電圧の周波数である。fzは、Z軸コイル108に与える交流電圧の周波数である。
図7(a)は、周波数fxを80Hz、周波数fzを110Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。80と110の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である8と11の最大公約数は1であり、互いに素である。
図7(b)は、周波数fxを170Hz、周波数fzを200Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。170と200の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である17と20の最大公約数は1であり、互いに素である。
図7(c)は、周波数fxを210Hz、周波数fzを230Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。210と230の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である21と23の最大公約数は1であり、互いに素である。
このように、最大公約数が10以下である二つの周波数を選択することで、合成ベクトルの軌跡が万遍なく網の目を描くようになる。すなわち、磁界をワーク102の表面に対して万遍なくあらゆる方向に与えることが実現できる。また、10で割った数が互いに素であることを考慮して、選択される周波数は10より大きいことが望ましい。
図7(a)は、周波数fxを80Hz、周波数fzを110Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。80と110の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である8と11の最大公約数は1であり、互いに素である。
図7(b)は、周波数fxを170Hz、周波数fzを200Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。170と200の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である17と20の最大公約数は1であり、互いに素である。
図7(c)は、周波数fxを210Hz、周波数fzを230Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。210と230の最大公約数は10である。つまり、10で割った数である21と23の最大公約数は1であり、互いに素である。
このように、最大公約数が10以下である二つの周波数を選択することで、合成ベクトルの軌跡が万遍なく網の目を描くようになる。すなわち、磁界をワーク102の表面に対して万遍なくあらゆる方向に与えることが実現できる。また、10で割った数が互いに素であることを考慮して、選択される周波数は10より大きいことが望ましい。
一般的に、互いの周波数が高いほど、そして互いの周波数の差が小さいほど、合成ベクトルが描く軌跡の密度が高くなる。例えば、周波数fxを110Hz、周波数fzを111Hzとすると、110と111の最大公約数は1になり、ベクトル軌跡図は極めて細かい網の目を描くこととなる。但し、図7(b)及び図7(c)のように、特定の周波数の組み合わせにおいて、ベクトル軌跡の密度が前後することがある。
図8(a)及び(b)は、本実施形態の磁化装置104に採用して好ましくない周波数の組み合わせを示すベクトル軌跡図である。
図8(a)は、周波数fxを80Hz、周波数fzを120Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。80と120の最大公約数は40である。また、10で割った数である8と12の最大公約数は4であり、互いに素でない。
図8(b)は、周波数fxを60Hz、周波数fzを120Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。60と120の最大公約数は60である。つまり、10で割った数である6と12の最大公約数は6であり、互いに素でない。
図8(a)は、周波数fxを80Hz、周波数fzを120Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。80と120の最大公約数は40である。また、10で割った数である8と12の最大公約数は4であり、互いに素でない。
図8(b)は、周波数fxを60Hz、周波数fzを120Hzに設定した場合のベクトル軌跡図である。60と120の最大公約数は60である。つまり、10で割った数である6と12の最大公約数は6であり、互いに素でない。
図8(a)及び(b)を見て明らかなように、図7とは違ってベクトルの軌跡が定まった軌跡のみ描く。このため、ベクトルの方向によってはベクトルの長さが短くなってしまう角度が存在する。特に図8(b)の場合、ベクトルの角度が90°及び270°の時、ベクトルの長さが0になる。このような場合、この角度は完全に磁力線が生じないことを意味し、この角度に直交するワーク102の亀裂601には磁粉604が付着し難い。
以上の説明にて判るように、二つの交流電源装置109a及び109bが生成する交流電圧の周波数を、10を超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下である周波数に設定することで、ワーク102の表面の亀裂601に対する、磁粉604の付着ムラを防ぐことができる。従来技術とは異なり、二つの周波数には10を超える最大公約数が存在するような関係がないので、二つの交流電源装置109a及び109bのコントローラ407が相互に同期する必要はない。
本実施形態は以下の応用が可能である。
(1)二つの交流電源装置109a及び109bのうち、少なくとも片方の交流電源装置109a及び109bが発生する交流電圧の周波数をスイープさせることで、より柔軟な磁粉探傷のベクトル軌跡を形成できると共に、小さく浅い亀裂から大きく深い亀裂まで、広範囲な亀裂をカバーすることが可能になる。例えば、二つの交流電源装置109a及び109bのうちの一方の交流電源装置が発生する交流電圧の周波数を、30Hzから300Hz迄、0.5Hz周期で周期的に上下させる。特に、同一出願人による特願2010−41022号に開示される、複数の大きさの粒子を含む探傷試験用磁粉を用いると、交流電圧の周波数に応じた深さの亀裂に対して磁粉が集まるので、極めて良好な探傷性能を備える磁粉探傷試験装置101を実現できる。
(1)二つの交流電源装置109a及び109bのうち、少なくとも片方の交流電源装置109a及び109bが発生する交流電圧の周波数をスイープさせることで、より柔軟な磁粉探傷のベクトル軌跡を形成できると共に、小さく浅い亀裂から大きく深い亀裂まで、広範囲な亀裂をカバーすることが可能になる。例えば、二つの交流電源装置109a及び109bのうちの一方の交流電源装置が発生する交流電圧の周波数を、30Hzから300Hz迄、0.5Hz周期で周期的に上下させる。特に、同一出願人による特願2010−41022号に開示される、複数の大きさの粒子を含む探傷試験用磁粉を用いると、交流電圧の周波数に応じた深さの亀裂に対して磁粉が集まるので、極めて良好な探傷性能を備える磁粉探傷試験装置101を実現できる。
本実施形態では磁化装置104を開示した。
二つの交流電源装置109a及び109bが生成する交流電圧の周波数を、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下であり、互いの周波数の差が5Hz以上である周波数に設定することで、ワーク102の表面の亀裂601に対する、磁粉604の付着ムラを防ぐことができる。従来技術とは異なり、二つの周波数には10を超える最大公約数が存在するような関係がないので、二つの交流電源装置109a及び109bのコントローラ407が相互に同期する必要はない。
二つの交流電源装置109a及び109bが生成する交流電圧の周波数を、10Hzを超える周波数であって、且つ互いの周波数の最大公約数が10以下であり、互いの周波数の差が5Hz以上である周波数に設定することで、ワーク102の表面の亀裂601に対する、磁粉604の付着ムラを防ぐことができる。従来技術とは異なり、二つの周波数には10を超える最大公約数が存在するような関係がないので、二つの交流電源装置109a及び109bのコントローラ407が相互に同期する必要はない。
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
101…磁粉探傷試験装置、102…ワーク、103…磁粉溶液、104…磁化装置、105…紫外線灯、106…CCDカメラ、107…X軸コイル、108…Z軸コイル、109…交流電源装置、111…X軸ヨーク、302…探傷面、401…三相交流電源、402…整流回路、C403…平滑コンデンサ、404…インバータ、405…トランス、406…コイル、407…コントローラ、408…設定値、409…PLL、410…ROM、601…亀裂、604…磁粉
Claims (2)
- 磁粉探傷試験の対象となる強磁性体の対象物であるワークの長手方向に直交する方向の磁界を発生するX軸コイルと、
前記ワークの長手方向に平行な方向の磁界を発生するZ軸コイルと、
前記X軸コイルに10Hzを超える第一の周波数の交流電流を流す第一の交流電源装置と、
前記Z軸コイルに10Hzを超えると共に前記第一の周波数との最大公約数が10以下である第二の周波数の交流電流を流す第二の交流電源装置と
を具備する磁粉探傷試験用磁化装置。 - 磁粉探傷試験の対象となる強磁性体の対象物であるワークの長手方向に直交する方向の磁界を発生するX軸コイルと、
前記ワークの長手方向に平行な方向の磁界を発生するZ軸コイルと、
前記X軸コイル又は前記Z軸コイルに10Hzを超える第一の周波数の交流電流を流す第一の交流電源装置と、
前記X軸コイル又は前記Z軸コイルの、前記第一の交流電源装置に接続されていない側のコイルに、10Hzを超えると共に周波数をスイープさせる第二の周波数の交流電流を流す第二の交流電源装置と
を具備する磁粉探傷試験用磁化装置。
Priority Applications (1)
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JP2012161257A JP2014020984A (ja) | 2012-07-20 | 2012-07-20 | 磁粉探傷試験用磁化装置 |
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JP (1) | JP2014020984A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108107106A (zh) * | 2017-12-28 | 2018-06-01 | 南京高速齿轮制造有限公司 | 对大型宽直径齿轮轴通电磁化时提升表面磁场的装置 |
KR102611548B1 (ko) * | 2023-06-15 | 2023-12-08 | 고려공업검사 주식회사 | 자분탐상법을 이용한 터빈 로터 블레이드의 비파괴검사장치 |
KR102611549B1 (ko) * | 2023-06-15 | 2023-12-08 | 고려공업검사 주식회사 | 자분탐상법을 이용한 터빈 로터 블레이드 비파괴검사용 이송장치 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007298482A (ja) * | 2006-05-08 | 2007-11-15 | Nippon Denji Sokki Kk | 鋼管用磁粉探傷装置 |
-
2012
- 2012-07-20 JP JP2012161257A patent/JP2014020984A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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CN108107106A (zh) * | 2017-12-28 | 2018-06-01 | 南京高速齿轮制造有限公司 | 对大型宽直径齿轮轴通电磁化时提升表面磁场的装置 |
KR102611548B1 (ko) * | 2023-06-15 | 2023-12-08 | 고려공업검사 주식회사 | 자분탐상법을 이용한 터빈 로터 블레이드의 비파괴검사장치 |
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