JP2014019040A - フッ素コーティング構造、そのコーティング物体およびそのコーティング方法 - Google Patents

フッ素コーティング構造、そのコーティング物体およびそのコーティング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面にナノメートルレベルの膜厚のフッ素被膜を施すコーティング処理技術を提供する。
【解決手段】金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材5の表面5aに、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜6(6a、6b)が化学結合により形成されて、フッ素構造1が構成されてなる。これにより、従来、フッ素樹脂被膜の膜厚を薄くすることが困難で、コーティングが不可能とされていた鋭利な刃物や針等の刃先や針先にも、フッ素被膜6をコーティング処理することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素コーティング構造、そのコーティング物体およびそのコーティング方法に関し、さらに詳細には、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面にナノメートルレベルの膜厚のフッ素被膜を施すコーティング処理技術に関する。
一般に、打抜き金型や型抜き金型、あるいは切削刃物等を含む工業用刃物・工具には、その切断抵抗を小さくして切れ味を向上させ、かつその切れ味を長期にわたり保つため、また切り屑の付着を防止するため、低摩擦係数、非粘着性、撥水性および撥油性といった特性が求められる。
これら特性を付与するため、従来、例えば上記刃物の表面には各種樹脂被膜を施すなどのコーティング処理がなされており、中でも、フッ素樹脂被膜によるコーティング処理は、上記刃物の表面に求められる特性を付与するという点で非常に優れていた。
ところが、従来のフッ素樹脂のコーティング方法では、フッ素樹脂の非粘着性の高さゆえに、刃物表面との密着性が悪くて密着強度が弱く、比較的短期間の使用で剥離してしまい、その耐久性に問題があった。また、フッ素樹脂被膜の膜厚を薄くすることが困難で、刃物の刃先までコーティングすることができず、所期の特性を付与できないという問題もあった。
これらの問題は、他の鋭利な刃先や先端を有する食肉加工用刃物、調理用包丁等の各種刃物や注射針、裁縫針等の各種針、あるいは摺接部や摺動部を有する歯車等の機械要素や機械部品などにも共通する問題であった。
この点に関して、例えば特許文献1に開示されるように、耐剥離性に優れ、ナノメートルオーダーの膜厚を得ることができる化学吸着単分子膜のコーティング方法が提案されている。
しかしながら、このコーティング方法は、刃物の表面に、膜厚さがナノメートルレベルのフッ素を含む化学吸着単分子膜を、刃物(基材)との化学結合によって形成するというものであるが、膜形成時に塩酸ガスが発生するという問題等があり、実施上これらの問題の解決が要望されており、また、大がかりな工業設備が必要で、設備コストが高く、多量生産には適している反面、多品種少量生産には不向きであった。
特開平4−239635号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材の表面にナノメートルレベルの膜厚のフッ素被膜が施されてなるフッ素コーティング構造を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面に上記フッ素コーティング構造を備えるフッ素コーティング物体を提供することにある。
さらに、本発明のもう一つ他の目的とするところは、上記フッ素コーティング構造の形成に適したもので、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面にナノメートルレベルの膜厚のフッ素被膜を施すフッ素コーティング方法を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明のフッ素コーティング構造は、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材表面に、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜が化学結合により形成されてなることを特徴とする。
ここに、「フッ素被膜」とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂の総称であるフッ素樹脂からなるフッ素樹脂被膜(フッ素成分比率が8〜35%程度)に対する用語であり、単分子構造の純粋なフッ素を含んでなるフッ素コート剤を基材表面に塗布して、これを乾燥処理することにより基材表面に化学結合により形成される純フッ素被膜(フッ素成分比率が98%以上)を意味する(以下、本明細書および特許請求の範囲を通じて同様とする)。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記フッ素被膜は、ポリテトラフルオロエチレンの単分子層を備えてなる。
(2)上記フッ素被膜は、上記基材表面に化学結合により形成されたプライマー層と、このプライマー層表面に化学結合により形成された上記ポリテトラフルオロエチレンの単分子層とからなる。
(3)上記プライマー層はガラスコーティング層である。
本発明のフッ素コーティング物体は、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面に上記フッ素コーティング構造を備えることを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記物体が鋭利な刃先または針先を有し、この刃先または針先の表面に上記フッ素被膜が形成されている。
(2)上記刃先の尖端表面は、上記フッ素被膜がなく外部に直接露出している。
本発明のフッ素コーティング方法は、上記フッ素コーティング構造の形成に適したもので、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材表面に、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜を形成するコーティング方法であって、上記基材表面にプライマー層を形成するプライマーコーティング工程と、このプライマーコーティング工程により形成されたプライマー層の表面に、フッ素層を形成するフッ素コーティング工程とを含んでなり、上記フッ素コーティング工程において、上記プライマー層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置し乾燥処理することを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記フッ素コーティング工程は、上記プライマー層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置してフッ素中間層を形成する少なくとも1つのフッ素中間コーティング工程と、上記フッ素中間層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置してフッ素仕上層を形成するフッ素仕上コーティング工程とから構成されている。
(2)上記プライマーコーティング工程において、上記基材表面に、成膜時の膜厚がナノメートルレベルとなるように調製されたプライマーコート剤を塗布して、湿度40〜90%、温度20〜120℃の雰囲気中で40〜60分間放置し乾燥処理する。
(3)上記プライマーコーティング工程は、上記基材表面温度が20〜98℃において行う。
(4)上記フッ素層は、上記プライマー層表面に化学結合により形成されるポリテトラフルオロエチレンの単分子層である。
(5)上記プライマー層は、上記基材表面に化学結合により形成されるガラスコーティング層である。
本発明は、近年研究開発されている単分子構造のフッ素(例えば特許文献1参照)を採用することにより実現した。
本発明のフッ素コーティング構造によれば、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材表面に、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜が化学結合により形成されてなるから、従来、フッ素被膜の膜厚を薄くすることが困難で、コーティングが不可能とされていた鋭利な刃物や針等の刃先や針先にも適用可能で、刃物の刃先や針の針先までフッ素被膜をコーティング処理することができる。
また、本発明のフッ素コーティング物体によれば、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面に上記フッ素コーティング構造を備えるから、鋭利な刃物や針の先端部位表面に求められる切れ味や差し込み抵抗の低減化といった特性を備えたフッ素コーティング物体が生産可能である。特に、低摩擦係数、非粘着性、撥水性および撥油性といった表面特性を強く求められる打抜き金型、型抜き金型等の工業用刃物において、切れ味に優れるのみならず、その切れ味を長期にわたって有効に保つことができる長寿命の製品を提供することができる。
さらに、本発明のフッ素コーティング方法によれば、プライマーコーティング工程により形成されたプライマー層の表面に、フッ素層を形成するフッ素コーティング工程において、上記プライマー層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置し乾燥処理するから、上記フッ素コーティング構造を、有害ガスを発生することもなく(環境対策基準・規制としてのRoHS指令およびREACH規制の有害物質を含まない。)、安全に形成することができる。特に、塗布されたフッ素コート剤を98℃の低温で乾燥処理することにより、精密な寸法精度が求められる上記工業用刃物において、その寸法精度に悪影響を与えることもない。
また、上記フッ素コーティング方法の実施に際しては、大がかりな工業設備が不要で、設備コストの低減化を図ることができ、製造コストの低いフッ素コーティング構造を提供することでき、延いては製品コストの低いフッ素コーティング物体を提供でき、特に工業化による自動多量生産が困難な多品種少量生産に好適に採用され得る。
本発明の一実施形態であるフッ素コーティング構造を模式的に拡大して示す正面断面図である。 同フッ素コーティング構造を製造するフッ素コーティング方法を説明するための工程ブロック図である。 図3(a)〜(d)は、同フッ素コーティング方法の各工程における基材表面の状態を模式的に拡大して示す正面断面図である。 図4(a)および(b)は、同フッ素コーティング構造を刃先に有するフッ素コーティング物体の一例である工業用刃物を模式的に例示する正面断面である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
本発明に係るフッ素コーティング構造を図1に示し、このフッ素コーティング構造1は、撥水・撥油・非粘着・防汚性が求められる物体の表面を構成するもので、例えば、図4(a)および(b)に示されるような鋭利な刃先を有する工業用刃物の刃先に好適に採用されるものである。
図4(a)は、打抜き金型2によるワークWの打抜き状態を示しており、ダイ2aと、このダイ2a上に支持されるワークWに対して打抜き動作するパンチ2bの刃先を含む表面部位(一点鎖線の囲みで示す部位)に上記フッ素コーティング構造1(フッ素被膜)が採用されている。また、図4(b)は、型抜き金型3によるワークWの型抜き状態を示しており、ダイ3a上に支持されるワークWに対して型抜き動作する型抜き刃3bの刃先を含む表面部位(一点鎖線の囲みで示す部位)に上記フッ素コーティング構造1(フッ素被膜)が採用されている。
また、具体的には図示しないが、上記刃先の尖端表面は、上記フッ素コーティング構造1(フッ素被膜)を有さず、外部に直接露出している。これは、刃先の本来的機能であるワークWに対する初期の切れ味を確保するためであるが、後述するフッ素コーティング方法によれば、フッ素コート剤(液体塗料)が低粘度であることから、刃先に塗布する際に、その表面張力により上記尖端表面には塗布されず、よってフッ素被膜は形成されない。
上記フッ素コーティング構造1は、具体的には図1に示すように、物体を構成する基材5の表面に、ナノメートルレベル(1μm以下)の膜厚tを有するフッ素被膜6が形成されてなり、図示の実施形態のフッ素被膜6においては、膜厚tが平均500nmに設定されている。なお、図1は、フッ素被膜6の断面構成を説明することに主眼をおいて模式的に描いたものであり、実際の断面構成は図示のように明確ではなく、また境界線も厳密には直線ではない。
上記基材5の構成材料としては、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等が挙げられ、図示の実施形態においては、図4に示す工業用刃物2、3を構成する超硬合金等の金属からなる。
フッ素被膜6は、具体的には、プライマー層6aと、表面層であるフッ素層6bとからなる二層構造とされ、上記基材5の表面5aに化学結合により強固に形成されている。このような二層構造により、従来、膜厚を薄くすることが困難で、コーティングが不可能とされていた部位へのフッ素被膜6の形成が可能となる。なお、フッ素層6bは、後述するように、同一のフッ素コート剤が連続する複数回のフッ素コーティング工程(少なくとも1回のフッ素中間コーティング工程とフッ素仕上コーティング工程)を経て一層の単分子層に形成されるものである。
プライマー層6aは、フッ素被膜6の下地層を形成する薄膜状のものであり、具体的には、化学結合作用によりフッ素層6bを基材5の表面5a上に形成するためのものである。この目的のため、プライマー層6aは、フッ素コーティング対象となる上記基材5の構成材料と化学結合しやすく、かつ上記フッ素層6bの構成材料とも化学結合しやすい化学成分ものからなり、図示の実施形態においては、後述するようにガラス系プライマーコート剤が基材5の表面5aに化学結合により形成されてなるガラスコーティング層からなる。
上記フッ素層6bは、フッ素被膜6の表面層を形成する薄膜状ものであり、具体的には、上記プライマー層6aを介して基材5の表面5a上に間接的に化学吸着されるものである。この目的のため、フッ素層6bは、上記プライマー層6aの構成材料と化学結合しやすい単分子構造のフッ素からなり、図示の実施形態においては、後述するように単分子構造のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コート剤がプライマー層6a表面に化学結合により形成されてなるPTFEの単分子層からなる。
続いて、以上のように構成されたフッ素構造1の形成方法(フッ素コーティング方法)について説明する(図2参照)。
本実施形態のフッ素コーティング方法は、図2に示すように、(1)洗浄処理工程、(2)脱脂処理工程、(3)プライマーコーティング工程、(4)フッ素中間コーティング工程、(5)フッ素仕上コーティング工程および(6)防錆処理工程を基本として構成されている。以下の順を追って説明する。
(1)洗浄処理工程
この工程は、既存の物品(物体、基材)5の表面5aに本実施形態のフッ素コーティング、より具体的にはプライマーコーティングを施す場合など、フッ素コーティング対象となる物品5の表面5aに付着物があって汚れが激しく、その汚れを除去するためのメンテナンスが必要な場合に行われる。例えば、図4(a)、(b)に示すような打抜き金型2や型抜き金型3の表面に、抜きカスや粘着剤が残存する場合には必須の処理工程として行われる。
i)水系洗浄剤(例えば、(株)新日本テック製「とれ太」)を物体5の表面5aに噴霧して、そのまま10分間程度馴染ませる。
ii)スチームクリーナ(スチーム洗浄機)で物体5の表面をスチーム洗浄した後、竹くし等の清掃具で上記表面5aの汚れを取り除く。この場合、スチーム洗浄の前に、アルコールを噴霧することで洗浄効果が倍増する。
iii)上記i)およびii)の作業を複数回(例えば2〜3回)繰り返して、物体5の表面5aの汚れが完全に洗浄除去できたことを目視で確認する。錆の部分があれば、金属磨き用研磨剤(例えば、日本磨料工業(株)製「ピカール」)や、細かいサンドペーパー(番手1000番以上)で落とす。
iv)洗浄の完了した物体5を、乾燥炉あるいはドライヤーなどの乾燥手段により温風乾燥する。
v)物体5の表面5aのうち、フッ素コーティングを施さない部分については、軽く防錆剤を含ませた布で拭いて防錆処理を施し、また必要に応じてマスキングを施す。特に、物体を構成する基材5が硬度の低い鉄系材料の場合には、以降の工程で錆びるおそれがあるので、防錆処理は必須である。
(2)脱脂処理工程
この工程は、後工程においてプライマー層6aを形成するプライマーコート剤およびフッ素層6bを形成するフッ素コート剤が、汚れ、水分、油分を極端に嫌うため、これらを除去するために行われる。
i)アルコールやシンナー薄め液等を用いて、物体5の表面5aにおけるフッ素コーティング部位の脱脂を細部まで確実に行う。
ii)乾燥炉あるいはドライヤーなどの乾燥手段により所定時間(図示の実施形態においては10分間程度)温風乾燥して、上記フッ素コーティング部位を確実に乾かせる(図3(a))。フッ素コーティング部位が乾いていないと、次工程のプライマーコーティング工程において、このフッ素コーティング部位にプライマーコート剤が密着しない。
(3)プライマーコーティング工程
この工程は、前述したように、物体の基材5とフッ素層6bを化学結合作用により吸着させるためのプライマー層6aを形成するためのものである。
プライマー層6aの形成に使用されるプライマーコート剤自身は液体ガラス(ガラス系プライマーコート剤)であり、具体的には、主成分がケイ素(Si)、窒素(N)、水素(H)から構成される化合物であるポリシラザン系コーティング剤であり、物体の基材5に対して化学結合によりプライマー層6aを結合形成する。
なお、このプライマーコート剤は、加工対象物表面5aが加温で活性状態にある時、より化学結合しやすいところ、本工程は前工程における脱脂乾燥に引き続き実施するため、加工対象物表面5aの温度(基材表面温度)20〜98℃において行う(図示の実施形態においては、50〜80℃に加温された状態で実施される。)。
ここに、加工対象物表面5aの温度(基材表面温度)を20〜98℃に設定保持するのは、基材表面温度が20℃より低いと、基材表面に水滴が付着するとともに、基材表面が活性化しないという問題があり、また98℃よりも高いと、プライマーコート剤の溶剤が急激に揮発して塗りムラが発生するという問題があるからである。
i)成膜時の膜厚がナノメートルレベル(図示の実施形態においては350〜500nm)となるように調製された上記プライマーコート剤(例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製の「パーヒロドポリシラザン(Perhydropolysilazane)」(商品名「アクアミカ(AQUAMICATM)」)を、基材5の表面(金属表面)5aのフッ素コーティング部位を濡らす程度に塗布する。この場合、プライマーコート剤を塗り重ねると塗りムラが目立つので、出来るだけ一回塗りを行うことが望ましい。
ii)プライマーコート剤を塗布した物体5を、湿度40〜90%(図示の実施形態においては40%以上)、温度20〜120℃(図示の実施形態においては92℃)の雰囲気中で40〜60分間(図示の実施形態においては40分間)放置し乾燥処理して、プライマー層6aを形成(焼成)する(図3(b))。プライマーコート剤は、乾燥雰囲気の温度と湿度によって強固に化学結合したプライマー層(被膜)6aを作る。
ここに、上記湿度を40〜90%に設定保持するのは、40%より低いと、基材5に対するプライマーコート剤の化学結合が所定時間内に終了せずに、過度に時間を要するという実務上の問題があり、また90%よりも高いと、基材表面に水滴が付着するという問題があるからである。上記温度を20〜120℃に設定保持するのは、20℃より低いと、基材表面が活性化しないという問題があり、また120℃よりも高いと、プライマーコート剤の溶剤が急激に揮発して塗りムラが発生するという問題があるからである。また、乾燥処理時間を40〜60分間に設定保持するのは、40分より短いと、基材5に対するプライマーコート剤の化学結合が十分に行われないという問題があり、また60分よりも長いと、生産効率が落ちて実務上の問題があるからである。
図示の実施形態においては、プライマーコート剤を塗布した物体5を、恒温恒湿装置の庫内に入れて、92℃設定で40分間放置する。この場合、上記庫内の湿度は60%以内、つまり40〜60%の範囲内に保つように設定する。
ちなみに、上記庫内の湿度が60%よりも高く設定されると、基材5が金属であることから、基材表面が結露してプライマーコート剤の化学結合が十分に行われず、また基材5の錆発生の原因となる。
このような条件での処理工程においては、プライマーコート剤の溶剤揮発(乾燥)時間が短いため(数秒)、形成されたプライマー層(薄膜)6a中への異物混入はほとんど発生しない。
なお、恒温恒湿装置の庫内における乾燥雰囲気の温度(乾燥温度)20〜120℃(図示の実施形態においては92℃)は、上記庫内開閉時における温度低下も考慮して設定される。このような温度設定により、基材5表面における塗布原液であるプライマーコート剤は、例えば80℃−40分間の基本乾燥工程条件(つまり、上記庫内開閉に関わらずプライマー層6a表面の乾燥に求められる工程条件)を厳守することが出来るとともに、対象物である物体(基材)5を例えば98℃以下で処理することができる。また、加湿のための容器内の水による湿気も、乾燥温度が水の沸点以下のため穏やかな湿度(想定湿度)を実現することができる。
iii)必要に応じて、乾燥後の処理として、柔らかい布やティッシュでプライマー層6aのムラ(模様)を拭取る。
つまり、図示の実施形態の場合、プライマー層6a自身は、プライマーコート剤として350〜450nmの薄膜となるが、多めに塗布されたプライマーコート剤が虹斑(ニュートンリング状)として付着していることがある。このムラ(模様)部分を除去するために上記拭取りを実施して、均一な下地層としてのプライマー層6a(350〜450nmの膜厚)を実現させることができる。
なお、上記拭取りの実施により上記プライマーコート剤のムラ部分が除去されるのは、本実施形態のプライマーコート剤の特性により、成膜されたプライマー層6aが化学結合による単分子膜で、上記のように、予め設定調整された成膜時の膜厚(図示の実施形態においては350〜500nm)より厚膜となることはないからである。
(4)フッ素中間コーティング工程
この工程は、物体の基材表面5aに、プライマー層6aを仲介として単分子構造を持つフッ素中間層6bを接着形成させるためのもので、具体的には、上記プライマー層6a表面に少なくとも1つ(図示の実施形態においては1層)のフッ素中間層6bを化学結合により形成するためのものである。
なお、フッ素層6bの形成に使用されるフッ素コート剤は、加工対象物5の表面であるプライマー層6aが加温で活性状態にある時、下地(ガラス)表面とより化学結合しやすく、本工程は、前工程のプライマーコーティング工程後の加工対象物表面つまりプライマー層6aの表面温度が20〜140℃において行う(図示の実施形態においては、20〜80℃に加温された状態で実施される。)。
ここに、加工対象物表面6aの温度(プライマー層表面温度)を20〜140℃に設定保持するのは、20℃より低いと、プライマー層6a表面が活性化しないという問題があり、また140℃よりも高いと、フッ素コート剤の溶剤が急激に揮発してしまってプライマー層6aに対するフッ素コート剤の化学結合が純分に行われないという問題があるからである。
i)溶剤揮発温度を所定温度(図示の実施形態においては145℃)となるように設定調製された単分子構造を持つフッ素コート剤、具体的には単分子構造のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コート剤(例えば、(株)フロロテクノロジー製「フロロサーフ」(商品名))をプライマー層6a表面のフッ素コーティング部位を濡らす程度に塗布する。
フッ素コート剤の溶剤揮発温度を上記所定温度となるように設定調製するのは、フッ素コート剤の急激な乾燥を防止して、これにより、単分子のフッ素被膜(フッ素中間層)6bを平均した薄膜に形成するためである。
ii)フッ素コート剤を塗布した物体5を、湿度40〜80%(より望ましくは60〜70%)、温度20〜140℃(より望ましくは80〜98℃)の雰囲気中で60〜480分(より望ましくは60〜70分(温度に対応して設定調整される。))間放置し乾燥処理して、フッ素中間層6bを形成(焼成)する(図3(c))。フッ素コート剤は、乾燥雰囲気の温度と湿度によって強固に密着したフッ素層(被膜)6bを作る。
ここに、上記湿度を40〜80%に設定保持するのは、40%より低いと、プライマー層6a表面が活性化しないという問題があり、また80%よりも高いと、プライマー層6a表面に水滴が付着して、フッ素中間層6bの成膜が妨げられるという問題があるからである。上記温度を20〜140℃に設定保持するのは、20℃より低いと、プライマー層6a表面が活性化しないという問題があり、また140℃よりも高いと、フッ素コート剤の溶剤が急激に揮発して均一なフッ素中間層6bが形成されないという問題があるからである。また、乾燥処理時間を60〜480分間に設定保持するのは、60分より短いと、プライマー層6aに対するフッ素コート剤の化学結合が十分に行われず、フッ素中間層6bが完全に形成されないという問題があり、また480分よりも長いと、生産効率が落ちて実務上の問題があるからである。
なお、乾燥雰囲気の温度(乾燥温度)20〜140℃(図示の実施形態においては92℃)は、恒温恒湿装置の庫内における昇温誤差や扉の開閉時の温度低下を考慮して設定される。このような温度設定により、プライマー層6a表面における塗布原液であるフッ素コート剤は、例えば80℃−60分間の基本乾燥工程条件(つまり、上記庫内開閉に関わらずフッ素中間層6b表面の乾燥に求められる工程条件)を厳守することが出来るとともに、対象物である物体(基材)5を例えば98℃以下で処理することができる。また、加湿のための容器内の水による湿気も、乾燥温度が水の沸点以下のため穏やかな湿度(想定湿度)を実現することができる。
また、上記のごとくフッ素コート剤の溶剤揮発温度が145℃に設定されているため、フッ素コート剤は急激に乾燥せずに、この結果、単分子のフッ素被膜(フッ素中間層)6bを平均した薄膜(図示の実施形態においては35〜55nmの膜厚)として形成することができる。
(5)フッ素仕上コーティング工程
この工程は、最終的に形成されるフッ素被膜の密度を上げて、物体5の表面5aに所期の特性を付与するために行うもので、具体的には上記(4)のフッ素中間コーティング工程とまったく同じ工程を実施する。
換言すれば、フッ素被膜は、上記のごとく単分子層の薄膜であるため、一回塗りでは薄膜全体がマダラ状態で形成されており(図3(c)参照)、二回塗り以上を実施することでマダラ状態が密になり、本来のフッ素膜の特性を発現できるものであり、上記プライマー層6a表面に、上記(4)のフッ素コーティング工程を、所期のフッ素被膜の特性を付与するために、少なくとも複数回(図示の実施形態においては2回)繰り返して、単分子層のフッ素層6bを形成することとし、最後のフッ素コーティング工程がこのフッ素仕上コーティング工程となる。
なお、上記(1)の洗浄処理工程において、フッ素コーティングを施さない部分にマスキングを施している場合は、2回目のフッ素コーティング工程における乾燥処理(焼成処理)の開始前に剥がす(長時間にわたる加熱によりマスキング部材が剥がれ難くなるのを防止するため。)
(6)防錆処理工程
この工程は、脱脂処理工程の実施により、フッ素コーティングが施されなかった物体5の表面部位が経時的に錆びるのを防止するために行うものである。
具体的には、物体表面5aのうち、フッ素被膜(フッ素コーティング構造)1の存在した部位について、軽く防錆剤を含ませた布で拭いて防錆処理を施す。
しかして、以上のように構成されたフッ素構造1によれば、金属、ガラス、プラスチック、ゴム等(図示の実施形態においては金属)の基材5の表面5aにナノメートルレベルの膜厚t(図示の実施形態においては平均500nm)のフッ素被膜6(6a、6qb)が化学結合により形成されてなるから、従来、フッ素樹脂被膜の膜厚を薄くすることが困難で、コーティングが不可能とされていた鋭利な刃物や針等の刃先や針先、例えば図4に示す工業用刃物2、3の刃先にも適用可能で、刃物の刃先や針の針先までフッ素被膜6をコーティング処理することができる。
つまり、本実施形態のフッ素構造1によれば、従来の一般的なフッ素樹脂コーティングに比較して、(i)フッ素被膜6の基材5に対する結合形態が化学結合である、(ii)適用される基材5も鉄系金属等の金属に限られず、ガラス、プラスチック、ゴム等のほぼすべての基材が適用可能であり、コーティング対象である基材(素材)を選ばない、(iii)前処理としてのブラスト処理が不要で、基材5表面を荒らすことがない、(iv)成膜される膜厚が1μm以下のナノメートルレベルである、(v)処理温度が98℃以下の低温も可能である、(vi)フッ素成分比率が、従来の8〜35%に対して98%以上である等の特性を有する。
そして、上記フッ素構造1を備えることにより、例えば図1に示すように、水滴Aをはじき、あるいは粘着剤等の汚れBをはじくといった表面特性を含めて、鋭利な刃物や針の先端部位表面に特に求められる切れ味や差し込み抵抗の低減化といった表面特性を備えるフッ素コーティング物体が生産可能である。特に、例えば図4に示す工業用刃物2、3のように、鋭利な刃物や針の先端部位表面に特に求められる切れ味や差し込み抵抗の低減化といった特性を強く求められるものにおいては、切れ味に優れるのみならず、その切れ味を長期にわたって有効に保つことができる長寿命の製品を提供することができる。
また、上述した本実施形態のフッ素コーティング方法によれば、プライマーコーティング工程により形成されたプライマー層6aの表面に、フッ素層6bを形成するフッ素コーティング工程において、上記プライマー層6a表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置し乾燥処理するから、上記フッ素コーティング構造1を、有害ガスを発生することもなく(環境対策基準・規制としてのRoHS指令およびREACH規制の有害物質を含まない。)、安全に形成することができる。特に、塗布されたフッ素コート剤を98℃の低温で乾燥処理することにより、精密な寸法精度が求められる上記工業用刃物、例えば図4に示す工業用刃物2、3において、その寸法精度に悪影響を与えることもない。
また、上記フッ素コーティング方法の実施に際しては、従来の一般的なフッ素樹脂コーティング技術にかかるような大がかりな工業設備が不要で、設備コストの低減化を図ることができ、製造コストの低いフッ素コーティング構造を提供することでき、延いては製品コストの低いフッ素コーティング物体を提供でき、特に工業化による自動多量生産が困難な多品種少量生産に好適に採用され得る。
さらに、本実施形態に係るフッ素構造1の具体的な適用実施例について行った試験結果を以下に列挙する。
(1)フィルム打抜き機械に装着の専用ハサミの刃先表面に本実施形態のフッ素コーティングを適用して、特殊粘着フィルムの裁断を行ったところ、従来のコーティングなしの場合で40万回程度の使用寿命であったものが、225万回継続使用できることが判明した。
(2)本実施形態のフッ素コーティングを適用したハーフカット用ピナクル刃によるPET基材の二層粘着シートのハーフカット加工で、従来のコーティングなしの場合で3000ショットであったものが、少なくとも8万ショット(ロット生産終了)以上に寿命が延びることが判明した。
(3)本実施形態のフッ素コーティングを適用したプレスコンビネーション金型の粘着シート打抜き加工で、従来のコーティングなしの場合で2万ショットであったものが、少なくとも5万ショット連続加工(現在生産試験継続中)が可能であることが判明した。
(4)本実施形態のフッ素コーティングを適用した特殊繊維(カーボン、アラミド系)の織機用横糸用はさみ刃では、従来のコーティングなしの場合で15,000ショットであったものが、少なくとも25万ショット連続加工(現在継続使用中)が可能であることが判明した。
(5)本実施形態のフッ素コーティングを適用した極厚粘着層シートのトムソン型抜きにおいて、従来のコーティングなしの場合で300ショットであったものが、5,000ショット連続加工(ロット生産終了)が可能であることが判明した。
(6)粘着剤を取り扱う条件下での金属や樹脂ローラーへの本実施形態のフッ素コーティングの適用試験では、従来の適用前には数日毎に長時間のメンテナンスが必要であったものが、適用後は簡単な拭取りだけで1週間以上使用可能になり、メンテナンスが驚異的に容易化することが判明した。なお、本出願時点現在も耐久テスト継続中であるが、粘着物以外の外的要因がなく、未だ限界が見えない状態である。
(7)本実施形態のフッ素コーティングを適用した粉体成形金型への適用試験では、滑り性を生かした金型からの離型・脱型コートの安定が、また本実施形態のフッ素コーティングを適用した樹脂成形金型や関連部品への適用試験では、離型性向上と製品寸法の安定がそれぞれ試験的に確認されている。
(8)本実施形態のコーティングの適用により、微細形状を有する医療部品の成形加工品では、従来では離型剤を使用できないため生産効率が非常に悪かったものが、離型剤を使用しなくても標準的な成形サイクルで生産が可能になる上に、品質も安定し、従来に比較して5倍の生産性向上に繋がることが判明している。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲において種々の設計変更が可能である。
例えば、本発明は上述した工業用刃物2、3を含めて、一般用途の鋏、ナイフ、カッター、食肉加工用刃物、調理用包丁等の各種刃物、手術用、鍼術用、縫製用等の各種針、あるいは歯車等の機械要素や機械部品など、鋭利な先端部分や摺接部、摺動部を有する物品(物体)に好適に採用可能である。
また、前述したように、基材5の構成材料としても、化学結合により形成されるプライマー層6aの存在により、図示の実施形態のような金属の他、ガラス、プラスチック、ゴム等が採用可能である。
1 フッ素コーティング構造
5 基材(物体)
5a 基材表面
t ナノメートルレベルの膜厚
6 フッ素被膜
6a プライマー層
6b フッ素層

Claims (13)

  1. 金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材表面に、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜が化学結合により形成されてなる
    ことを特徴とするフッ素コーティング構造。
  2. 前記フッ素被膜は、ポリテトラフルオロエチレンの単分子層を備えてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のフッ素コーティング構造。
  3. 前記フッ素被膜は、前記基材表面に化学結合により形成されたプライマー層と、このプライマー層表面に化学結合により形成された前記ポリテトラフルオロエチレンの単分子層とからなる
    ことを特徴とする請求項2に記載のフッ素コーティング構造。
  4. 前記プライマー層はガラスコーティング層である
    ことを特徴とする請求項3に記載のフッ素コーティング構造。
  5. 金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材からなる物体の表面に請求項1から4のいずれか一つに記載のフッ素コーティング構造を備える
    ことを特徴とするフッ素コーティング物体。
  6. 前記物体が鋭利な刃先または針先を有し、この刃先または針先の表面に前記フッ素被膜が形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のフッ素コーティング物体。
  7. 前記刃先の尖端表面は、前記フッ素被膜がなく外部に直接露出している
    ことを特徴とする請求項6に記載のフッ素コーティング物体。
  8. 金属、ガラス、プラスチック、ゴム等の基材表面に、ナノメートルレベルの膜厚を有するフッ素被膜を形成するコーティング方法であって、
    前記基材表面にプライマー層を形成するプライマーコーティング工程と、このプライマーコーティング工程により形成されたプライマー層の表面に、フッ素層を形成するフッ素コーティング工程とを含んでなり、
    前記フッ素コーティング工程において、前記プライマー層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置し乾燥処理する
    ことを特徴とするフッ素コーティング方法。
  9. 前記フッ素コーティング工程は、前記プライマー層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置してフッ素中間層を形成する少なくとも1つのフッ素中間コーティング工程と、前記フッ素中間層表面に、単分子構造のフッ素コート剤を塗布して、湿度40〜80%、温度20〜140℃の雰囲気中で30〜480分間放置してフッ素仕上層を形成するフッ素仕上コーティング工程とから構成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載のフッ素コーティング方法。
  10. 前記プライマーコーティング工程において、前記基材表面に、成膜時の膜厚がナノメートルレベルとなるように調製されたプライマーコート剤を塗布して、湿度40〜90%、温度20〜120℃の雰囲気中で40〜60分間放置し乾燥処理する
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のフッ素コーティング方法。
  11. 前記プライマーコーティング工程は、前記基材表面温度が20〜98℃において行う。
    ことを特徴とする請求項10に記載のフッ素コーティング方法。
  12. 前記フッ素層は、前記プライマー層表面に化学結合により形成されるポリテトラフルオロエチレンの単分子層である
    ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一つに記載のフッ素コーティング構造。
  13. 前記プライマー層は、前記基材表面に化学結合により形成されるガラスコーティング層である
    ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一つに記載のフッ素コーティング方法。
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