JP2014018575A - ネーザルcpap素子 - Google Patents

ネーザルcpap素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2014018575A
JP2014018575A JP2012162914A JP2012162914A JP2014018575A JP 2014018575 A JP2014018575 A JP 2014018575A JP 2012162914 A JP2012162914 A JP 2012162914A JP 2012162914 A JP2012162914 A JP 2012162914A JP 2014018575 A JP2014018575 A JP 2014018575A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
nasal
branch
connection port
nasal cpap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012162914A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Hosoi
健司 細井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Saitama University NUC
Original Assignee
Saitama University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Saitama University NUC filed Critical Saitama University NUC
Priority to JP2012162914A priority Critical patent/JP2014018575A/ja
Publication of JP2014018575A publication Critical patent/JP2014018575A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Respiratory Apparatuses And Protective Means (AREA)

Abstract

【課題】小型であって装着時の負担が軽く、且つ、使用時の騒音が少ないネーザルCPAP素子を提供する。
【解決手段】縦型タイプのネーザルCPAP素子30であって、ノズル36から噴出する空気を二分するスプリッター37が丸みを帯びた先端を有している。二分された空気の一方が第1分岐路38を経て流入する排気路40は、通過空気が渦を巻くように内壁401に凹曲面を有し、二分された空気の他方を排気管接続ポート34に導く第2分岐路39の内壁391、392にも、通過空気が渦を巻くように凹曲面を有する。第2分岐路39及び排出路40で発生する渦は、負圧を発生して流れを引き込むため、小型の構造でも、呼吸に対応する所定流路が確実に形成される。呼吸に応じてプリッター37上のよどみ点が円弧上をスムーズに移動するため、使用時の騒音が低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧力を加えた空気を鼻から送り込んで気道の閉塞を取り除く経鼻持続的気道陽圧(ネーザルCPAP:Nasal Continuous Positive Airway Pressure)療法に用いられるネーザルCPAP素子に関し、小型で使用時の騒音(ノイズ)が少ない素子の実現を図るものである。
ネーザルCPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の患者などの気道を確保するために広く行われている。
本発明者等は、先に、鼻でしか呼吸できない低出生体重児の自発呼吸を補助するネーザルCPAP素子を開発し、下記特許文献1に提案している。
図15は、このネーザルCPAP素子の構造を示している。この素子1は、一定圧力で空気を供給する給気チューブ21が結合される給気管接続ポート22と、鼻腔に挿入する鼻腔プロング12が結合される鼻腔プロングポート10、11と、排気チューブ24が結合される排気管接続ポート23とを有している。
このネーザルCPAP素子1は、鼻に供給する空気の圧力(CPAP圧)をできるだけ一定にして、呼吸に応じたCPAP圧の変動を小さくすると言うコンセプトの基に作られており、素子1の内部には、給気管接続ポート22に連続する噴流ポート2と、給気チューブ21から送られた空気を噴出するノズル3と、ノズル3に対向する位置に尖った先端があって、ノズル3から噴出された空気噴流を二分する噴流分岐板5(5a、5b)と、二分された空気噴流の一方(第1噴流)が流入する第1分岐路7と、第1分岐路7に接続し、且つ、鼻腔プロングポート10、11に連通するキャビティ9と、二分された空気噴流の他方(第2噴流)が流入する第2分岐路8と、キャビティ9と第2分岐路8との間の空気の流通を許容するバイパス6とが設けられている。第2分岐路8の先は、排気管接続ポート23に接続している。
このネーザルCPAP素子1の給気管接続ポート22には、給気チューブ21を通じて実質的に定圧力の空気が供給される。この空気は、給気管接続ポート22から噴流ポート2を経てノズル3に入り、ノズル3から流出する空気噴流が、噴流分岐板5先端のナイフエッジで第1噴流と第2噴流に分割される。ノズル3から流出する空気噴流の大部分は第1噴流となり、第2噴流の量は少ない。
第1噴流は、第1分岐路7を通ってキャビティ9に入り、壁面に沿うように紙面上で時計方向に旋回する。これにより、キャビティ9には陽圧(CPAP圧)が加わる。キャビティ9に流入した空気の一部は、鼻腔プロング12を通過して新生児の吸気となるが、キャビティ9に流入した空気の多くは、キャビティ9内を旋回した後、バイパス6を通って第2分岐路8に出る。
噴流分岐板5で分割された第2噴流と、バイパス6を通って第2分岐路8に流入した第1噴流とは、第2分岐路8を通って排気ポート23に進み、排気チューブ24を通じて外部に流出する。
新生児の自発呼吸により鼻腔プロングポート10、11に吸気圧が加わると、キャビティ9の空気がポート10、11に引かれるので、キャビティ9の圧力が下がり、そのためノズル3からキャビティ9への第1噴流の空気流量が増加する。一方、鼻腔プロングポート10、11に呼気圧が加わると、キャビティ9の圧力が上がり、そのためノズル3から排気ポート13に向かう第2噴流の空気流量が増加し、ノズル3からキャビティ9への第1噴流の空気流量が低下する。
キャビティ9と第2分岐路8とを繋ぐバイパス6は、自発呼吸に伴うキャビティ9の圧力変動を緩和する働きをしている。即ち、吸気期間には、吸気によりキャビティ9の圧力が下がると、バイパス6を通してキャビティ9から第2分岐路8に流れる空気流量が減少し、キャビティ9の圧力低下が抑えられる。一方、呼気期間には、呼気によりキャビティ9の圧力が上がると、バイパス6を通してキャビティ9から第2分岐路8に流れる空気流量が増加し、キャビティ9の圧力上昇が抑えられる。
このネーザルCPAP素子1は、図16に示すように、鼻腔プロング12が新生児の鼻に挿入され、給気チューブ21及び排気チューブ24が新生児の顔面を横切るように装着され、バンドや紐などの付いた固定保持具で新生児の頭部に固定される。
特許第4710015号公報
しかし、新生児の装着負担を軽減する上で、先に提案した、顔面の横方向に長い“横型タイプ”のネーザルCPAP素子は、改善の余地を有している。
実際の臨床現場では、ベッドに背臥位や腹臥位で寝かせる新生児にネーザルCPAP素子を装着するため、素子1に接続する給気チューブ21及び排気チューブ24を装着者の鼻の側から頭頂部の方向に導出している。この場合、横型タイプのネーザルCPAP素子は、横方向の寸法を短くすることが困難であるため、ネーザルCPAP素子、給気チューブ21及び排気チューブ24によって囲まれる面積、即ち、新生児の顔面を覆う面積が広くなり、装着負担が増大する。
また、このネーザルCPAP素子では、流路幅が大きいため供給流量が多く、乳幼児の自発呼吸に合わせて騒音が絶え間なく発生する。この騒音は、噴流分岐板5の先端がナイフエッジ状であるため、ノズル3から吹き出された空気噴流の噴流分岐板5上のよどみ点(分流の分岐点となる速度ゼロの点)の位置が、呼気時と吸気時とで大きく変わることにより起きており、よどみ点の位置の急変に伴って、排気される空気圧が急激に変動し、これが音となって伝播する。
静粛が要求される病院の新生児室では、ネーザルCPAP素子の騒音を抑えることが必要である。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、小型であって装着時の負担が軽く、且つ、使用時の騒音が少ないネーザルCPAP素子を提供することを目的としている。
本発明は、給気チューブが結合する給気管接続ポートと、鼻腔プロングが結合する鼻腔プロングポートと、排気チューブが結合する排気管接続ポートと、鼻腔プロングポートに連通するキャビティと、を備えるネーザルCPAP素子であって、排気管接続ポートの開口方向が、鼻腔プロングポートの開口方向と反対方向であり、給気管接続ポートの開口方向が、排気管接続ポートまたは鼻腔プロングポートの開口方向と同一方向であり、給気管接続ポートから流入する空気を、流入方向に対して略直角方向に噴出するノズルと、ノズルから噴出する空気を二分するスプリッターと、スプリッターで二分された空気の一方の流路を形成する第1分岐路と、二分された空気の他方を排気管接続ポートに導く第2分岐路と、第1分岐路及びキャビティから流出する空気を排気管接続ポートに導く排出路と、第2分岐路と排出路の間にあって、排出路から流出する空気の第2分岐路への流入を阻止するガイドベーンと、を備えている。そして、第2分岐路及び排出路は、排気管接続ポートに導く空気が渦を巻くように内壁に凹曲面を有し、スプリッターは、ノズルから噴出する空気が当たる円弧状の先端を有し、第1分岐路を通過する空気流量が、鼻腔プロングを挿入した患者の呼気時に比べて、吸気時に増加し、第2分岐路及び排出路を通過する空気流量が、患者の吸気時に比べて、呼気時に増加し、ノズルから噴出する空気のスプリッター上のよどみ点が、患者の呼吸に応じて、スプリッターの先端の円弧上を順次移動することを特徴とする
このネーザルCPAP素子は、顔面の縦方向に長い縦型タイプである。第2分岐路及び排出路で発生する渦は、負圧を発生して流れを引き込むため、小型の構造であっても、呼吸に対応する所定流路が確実に形成される。この素子は、スプリッターの先端が丸みを帯びているため、呼吸に応じてよどみ点が丸み(円弧)上をスムーズに移動し、ノズルからの噴出空気がスプリッターの先端で滑らかに分流される。その結果、使用時の騒音が低減する。
また、本発明のネーザルCPAP素子は、キャビティのCPAP圧が、患者の吸気時に上昇し、呼気時に下降する。
そのため、患者は、吸気時に息を吸い込み易く、呼気時に息を吐き出し易い。
また、本発明のネーザルCPAP素子では、スプリッターの円弧状先端の曲率半径をdとするとき、dを0.12mm〜0.25mmの範囲内に設定することが望ましい。
円弧状先端の曲率半径が下限値を下回ると、ネーザルCPAP素子の使用時の騒音が増加する。また、上限値を超えると、よどみ点に発生する圧力抗力が増大し、患者の呼吸時の負担が増大する。
また、本発明のネーザルCPAP素子では、第2分岐路の対向する内壁に曲率半径の異なる凹曲面を設け、一方の凹曲面の曲率半径を25d〜30dの範囲内に設定し、他方の凹曲面の曲率半径を8d〜12dの範囲内に設定することが望ましい。
第2分岐路の凹曲面をこのように設定することで第2分岐路の内壁内に渦が発生し、その負圧により、スプリッターで分流された空気が第2分岐路側に曲がり易くなる。
また、本発明のネーザルCPAP素子では、排出路の対向する内壁の少なくとも一方に凹曲面を設け、この凹曲面の曲率半径を25d〜50dの範囲内に設定することが望ましい。
排出路の凹曲面をこのように設定することで排出路の内部にも小さな渦が発生し、この渦が、第1分岐路から流出する空気やキャビティからの流出空気を排出路に引き込む。
また、本発明のネーザルCPAP素子では、第1分岐路と排出路とを分岐するガイド部の角部に丸みを形成し、この丸みの曲率半径を0.5d〜2dの範囲内に設定することが望ましい。
ガイド部の角部の丸みをこのように設定することで、ガイド部から剥離した空気が排出路に円滑に誘導される。
また、本発明のネーザルCPAP素子では、ノズルの中心線に対する、キャビティに開口する第1分岐路の出口面の傾斜角度を70°〜100°の範囲内に設定することが望ましい。
この出口面を有する第1分岐路は、ディフューザとして機能し、ノズルから噴出された第1噴流の流速を下げてCPAP圧力を回復する。
本発明のネーザルCPAP素子は、縦型タイプであり、且つ、小型であるため、装着する患者の負担を軽減できる。また、このネーザルCPAP素子は、使用時に発生する騒音が少ない。
本発明の実施形態に係るネーザルCPAP素子を示す図 図1のネーザルCPAP素子の装着形態を示す図 図1のネーザルCPAP素子の空気流を示す図 図1のネーザルCPAP素子のスプリッター先端を示す図 図1のネーザルCPAP素子における各所の曲率半径等を示す図 図1のネーザルCPAP素子における各所の寸法等を示す図 樹脂で作成したネーザルCPAP素子を示す図 図8のネーザルCPAP素子の主要部を示す図 ネーザルCPAP素子の動作解析用モデルを示す図 ネーザルCPAP素子の動作解析条件を示す図 ネーザルCPAP素子の動作解析箇所を示す図 図1のネーザルCPAP素子の動作解析結果を示す図 図1のネーザルCPAP素子のベクトル線図 図1のネーザルCPAP素子のCPAP圧とよどみ点付近の圧力との関係を示す図 従来のネーザルCPAP素子を示す図 従来のネーザルCPAP素子の装着状態を示す図
図1は、本発明の実施形態に係るネーザルCPAP素子30を示している。この素子30は、給気チューブが結合される給気管接続ポート31と、鼻腔プロングが結合される鼻腔プロングポート32、33と、鼻腔プロングポート32、33に連通するキャビティ35と、排気チューブが結合される排気管接続ポート34と、給気管接続ポート31から流入する空気を噴出するノズル36と、ノズル36の噴出空気を二分するスプリッター37と、スプリッター37で二分された空気の一方(第1噴流)の流路を形成する第1分岐路38と、二分された空気の他方(第2噴流)を排気管接続ポート34に導く第2分岐路39と、第1分岐路38及びキャビティ35から流出する空気を排気管接続ポート34に導く排出路40と、第1分岐路38及び排出路40の分岐位置で空気の流れを誘導するガイド42と、排出路40から流出する空気と第2分岐路39から流出する空気の干渉を防ぎ、排出路40から第2分岐路39への空気の逆流を阻止するガイドベーン41と、を備えている。
鼻腔プロングポート32、33は、図面上、上方に開口し、排気管接続ポート34は、逆方向の下方に開口している。給気管接続ポート31は、ここでは、排気管接続ポート34と同様に下方に開口しているが、鼻腔プロングポート32、33と同様に上方に開口するように構成しても良い。
図2は、このネーザルCPAP素子30を新生児に装着した状態を示している。鼻腔プロングポート32、33に結合した鼻腔プロングは、新生児の鼻に挿入する。排気管接続ポート34に結合した排気チューブと、給気管接続ポート31に結合した給気チューブは、Uターンさせて鼻の上を通し、頭頂部に導出して固定保持具で固定する。
このネーザルCPAP素子30のノズル36は、給気管接続ポート31から流入する定圧力の空気を、流入方向に対して略直角な方向(図1上で横方向)に噴出する。
スプリッター37の先端は、ノズル36の開口の下辺と略同じ高さに位置しており、ノズル36から噴出された空気を二分する。ノズル36の先端は丸みを帯びており、そのため、後述するように、新生児の呼吸に応じて、噴出空気のスプリッター37上のよどみ点が、先端の丸みの上を順次移動する。
第1分岐路38は、平行する内壁を有し、15°程度上向く直線的な流路を形成している。第1分岐路38の終端は、キャビティ35の下側に開口している。
この第1分岐路38は、ノズル36から噴出する空気の流速を下げてCPAP圧力を回復するディフューザの役割を果たしている。
ディフューザの出口に当たる第1分岐路38の開口は、排出路40の開口に隣接しており、第1分岐路38の開口と排出路40の開口との境界位置にガイド42が存在する。ガイド42の角部は丸みを帯びており、そのため、ガイド42の角部を乗り越えた気流は、角部の裏側でガイド42から剥離し、ガイド42の直後に発生する渦の作用で排出路40に誘導される。
第2分岐路39を構成する素子内側の内壁391及び素子外側の内壁392は、それぞれ湾曲しており、内壁391の凹曲面は、内壁392の凹曲面よりも短い曲率半径を有している。ここでは、湾曲する内壁391、392により形成される空洞をサブキャビティ390と呼ぶことにする。
ノズル36から流出し、スプリッター37で分割された第2噴流は、第2分岐路39のサブキャビティ391の壁に沿って流れ、渦を形成する。
また、排出路40を構成する素子外側の内壁401は、外側に多少膨らんでいる。そのため、ガイド42から剥離して排出路40に流入した空気は、膨らんだ内壁401に沿って流れることにより、ガイド42の直後に渦を形成する。排出路40に発生する渦は、サブキャビティ390に発生する渦に比べて小さい。
サブキャビティ390や排出路40に発生する渦は、負圧を伴う。そのため、第2分岐路39の流入口から第2噴流が引き込まれ易くなり、また、排出路40の流入口から第1分岐路38やキャビティ35からの流出空気が引き込まれ易くなる。
図3は、このネーザルCPAP素子30の基本的な空気の流れを示している。給気管接続ポート31から流入する定圧力の空気は、ノズル36から噴出し、スプリッター37で第1噴流と第2噴流とに分割される。
呼吸が無い定常的な状態では、図3(c)に示すように、第1分岐路38に流入した第1噴流は、第1分岐路38を通過すると、排出路40に発生した渦51により排出路40に引き込まれて、排気管接続ポート34から排出され、また、スプリッター37で分割された第2噴流は、サブキャビティ390に発生した渦52に引き込まれて、第2分岐路39に流入し、排気管接続ポート34から排出される。
なお、第1分岐路38から流出した空気の一部はキャビティ35にも流入するが、ここでは、キャビティ35に流入する空気の流線を省略している。
呼気時には、図3(a)に示すように、新生児の吐き出した呼気がキャビティ35から流出する。そのため、図3(c)の状態より、第1噴流が減少し、第2噴流が増加する。しかし、排出路40に流入する空気流量は、第1分岐路38から流出する空気にキャビティ35から流出する呼気が加わるため、図3(c)の状態よりも増加する。これらの空気流は、排出路40に発生した渦51により排出路40に引き込まれて、排気管接続ポート34から排出される。また、増加した第2噴流は、サブキャビティ390に発生した渦52に引き込まれて第2分岐路39に流入し、排気管接続ポート34から排出される。
一方、吸気時には、図3(b)に示すように、第1分岐路38からキャビティ35に引き込まれる空気流量が増加する。そのため、図3(c)の状態より、第1噴流が増加し、第2噴流が減少する。しかし、排出路40に流入する空気は、第1分岐路38から流出した空気の内、キャビティ35に流入しなかった空気だけになるため、排出路40に流入する空気流量は、図3(c)の状態よりも減少する。この空気は、排出路40に発生した渦51により排出路40に引き込まれて、排気管接続ポート34から排出される。また、減少した第2噴流は、サブキャビティ390に発生した渦52に引き込まれて第2分岐路39に流入し、排気管接続ポート34から排出される。
このように、排出路40に流入する空気流量は、吸気時よりも呼気時の方が多いため、排出路40で発生する渦51の負圧は、吸気時よりも呼気時の方が大きくなる。その影響も有って、キャビティ35のCPAP圧は、呼気時に下降し、吸気時に上昇する。
サブキャビティ390及び排出路40の内壁形状は、このような呼吸に応じた空気の流れを可能にする渦51、52が発生するように設定される。
このネーザルCPAP素子30は、小型化しても、渦51、52の存在により、呼吸に応じた所定の空気の流れを確保することができる。
図4は、呼吸に応じてスプリッター37の先端を移動するよどみ点(速度ゼロの点)を示している。
このネーザルCPAP素子30は、スプリッター37の先端が、図4(b)に拡大して示すように、丸みを帯びており、この先端にノズル36から噴出された空気が当たる。この空気は、スプリッター37上のよどみ点を分岐点として、第1噴流と第2噴流に二分される。図4(b)に示す黒丸は、1周期の呼吸の間に、よどみ点となり得る点の幾つかを例示している。
呼気時には、第1噴流が減少し、第2噴流が増加するため、よどみ点は、図4(b)の上側の黒丸位置に移動する。また、吸気時には、第1噴流が増加し、第2噴流が減少するため、よどみ点は、図4(b)の下側の黒丸位置に移動する。
このように、スプリッター37上のよどみ点は、新生児の呼吸に合わせて、上側の黒丸位置から順次移動して下側の黒丸位置に至り、さらに、下側の黒丸位置から順次移動して上側の黒丸位置に戻る。これを呼吸の周期に合わせて繰り返す。
こうして、よどみ点が、丸みを帯びたスプリッター37の先端をスムーズに移動するため、排気管接続ポート34から排出される空気は、急激な空気圧変動を生じない。それ故、ノイズの発生が抑えられる。
しかし、スプリッター37先端の曲率半径が余りに小さいと、呼吸に伴うよどみ点の移動量や移動速度が大きくなり、排出される空気の空気圧変動が増加し、気になるノイズが発生する。そのため、スプリッター37先端の曲率半径は、0.12mm以上に設定する必要がある。また、この曲率半径が大き過ぎると、よどみ点に発生する圧力抗力が増加して、吸気時に大きな吸込み力が必要になり、装着者の負担が増大する。そのため、新生児に使用するネーザルCPAP素子では、スプリッター37先端の曲率半径を0.18mm以下に設定することが望ましい。また、成人用のネーザルCPAP素子の場合は、0.25mm以下に設定することが望ましい。
また、図3に示す空気の流れを可能にする渦51、52を排出路40及び第2分岐路39に発生させるため、図5に示すように、第2分岐路39の素子内側の内壁391に形成する凹曲面の曲率半径を8d〜12d(但し、dはスプリッター37先端の曲率半径を表す。)の範囲に設定するとともに、素子外側の内壁392に形成する凹曲面の曲率半径を25d〜30dの範囲に設定し、また、排出路40の素子外側の内壁401に形成する凹曲面の曲率半径を25d〜50dの範囲に設定することが望ましい。
なお、排出路40の素子内側の内壁402には、曲率半径が50d〜100d程度の僅かに湾曲する凹曲面を設けても良い。
また、図5に示すように、第1分岐路38と排出路40の分岐位置にあるガイド部42には、排出路40に誘導する空気がガイド部42から剥離して円滑に排出路40に流入するように、曲率半径が0.5d〜2dの丸みを設けることが望ましい。
また、ディフューザの出口に当たる第1分岐路38の開口のノズル36中心線に対する傾斜角度は、第1噴流の流速を下げてCPAP圧力を回復するために、70°〜100°の範囲に設定することが望ましい。
なお、新生児用の小型のネーザルCPAP素子では、各範囲の内で小さい値を採ることが望ましい。
また、図6には、それ以外の箇所の寸法や曲率半径の望ましい範囲を示している。
図7は、合成樹脂ブロックの内部に形成した縦型タイプのネーザルCPAP素子を示している。この素子の製作に際して、3次元CADソフト(Solid Works)を用いて、ネーザルCPAP素子のCAD図面からSTLデータを取得し、そのSTLデータを使用した光造形法でネーザルCPAP素子を製作している。
また、図8は、この合成樹脂ブロックのネーザルCPAP素子が形成された箇所を拡大して示している。
次に、このネーザルCPAP素子の動作を解析したシミュレーション結果について説明する。
この解析のために、図9に示すように、呼吸を模擬するモデルを作成した。このモデルは、ネーザルCPAP素子30の鼻腔プロングポート32、33に肺部61を結合し、排気管接続ポート34に仮想空間62を結合している。
このモデルを用いてネーザルCPAP素子の動作を解析するに当たり、図10に示す境界条件を設定した。即ち、
Boundary 1:ネーザルCPAP素子30の給気管接続ポート31に流入する空気の単位時間当たりの流量は一定とする。
Boundary 2:肺部61の毎分の呼吸回数及び換気量は一定とする。
Boundary 3:仮想空間62の出口の圧力は一定とする。
ネーザルCPAP素子の臨床での使用条件に合わせるため、“Boundary 1”では、給気管接続ポート31への供給流量を7L/分とし、CPAP圧が500Paとなるようにしている。また、“Boundary 2”では、呼吸回数が毎分50回、換気量が20mlの正弦波状の模擬呼吸を設定し、“Boundary 3”では、出口圧力を大気圧としている。
この条件のもとで、図11に示すネーザルCPAP素子の各箇所での呼吸に伴う流量変化及び圧力変化を数値計算した。その結果を図12に示している。
図12において、
“inlet”は、給気管接続ポート31に流入する空気の流量変化を示している。
“outlet”は、排気管接続ポート34から流出する空気の流量変化を示している。
“respiration”は、鼻腔プロングポート32、33から流出・流入する空気の流量変化を示している。
“D1”は、第1分岐路38を流れる空気の流量変化を示している。
“D2”は、排出路40から流出する空気の流量変化を示している。
“D3”は、第2分岐路39から流出する空気の流量変化を示している。
“cpap”は、キャビティ35の黒丸位置の圧力変化を示している。
“subcavity-p”は、サブキャビティ390の黒丸位置の圧力変化を示している。
図12から、ノズル36より噴出された空気がスプリッター37で略半分の流れに分流されることが分かる。また、呼気時には、第1分岐路38に流れる空気が減少して第2分岐路39に流れる空気が増加し、吸気時には、第1分岐路38に流れる空気が増加して第2分岐路39に流れる空気が減少することが分かる。また、排出路40に流れる空気は、呼気時に増加し、吸気時に減少することが分かる。また、キャビティ35のCPAP圧は、呼気時に下降し、吸気時に上昇することが分かる。
また、図13は、呼気時のベクトル線図を示している。図13から、サブキャビティ390の内部と、排出路40の部分に渦が発生していることが分かる。また、図13(b)に拡大して示すように、スプリッター37の先端によどみ点が存在することが分かる。
図14は、図13(b)の4点(0.75°間隔に設定したL1、L2、L3、L4の点)の圧力とCPAP圧との関係を示している。CPAP圧は、呼気がピークになる手前から直線的に減少し、吸気に変わってから直線的に増加している。CPAP圧の変動(ばらつき)は、直線範囲で小さくなっている。
呼吸に伴うL1〜L4の4点の圧力の変化は、よどみ点がスプリッター37先端の円弧上を動いているために生じている。4点の圧力曲線の山及び谷の部分では、L1〜L4の圧力曲線が順番に並んでおり、この部分では、よどみ点が静止しており、安定状態にある。また、圧力曲線の山と谷の間ではL1〜L4の圧力曲線が重なっており、この部分では、よどみ点が動いている。また、よどみ点が動いている範囲では、CPAP圧の変動(ばらつき)が現われている。
よどみ点の移動範囲は、円弧上の2°程度(距離で6ミクロン程度)である。
よどみ点の円弧上の移動は、このネーザルCPAP素子の使用時の騒音を低減する。
また、CPAP圧が、吸気時に直線的に増加し、呼気時に直線的に減少するため、ネーザルCPAP素子を装着した患者は、空気を肺に吸い込み易く、吸った空気を吐き出し易い。そのため、本発明により、患者に優しいネーザルCPAP素子が提供可能である。
なお、この明細書で言う空気の中には、補充酸素を含む空気も含まれる。
本発明のネーザルCPAP素子は、装着が容易で使用時の騒音も少ないと言う利点を有しており、新生児から大人まで幅広く利用することができる。
1 ネーザルCPAP素子
2 噴流ポート
3 ノズル
5 噴流分岐板
6 バイパス
7 第1分岐路
8 第2分岐路
9 キャビティ
10 鼻腔プロングポート
11 鼻腔プロングポート
12 鼻腔プロング
21 給気チューブ
22 給気管接続ポート
23 排気管接続ポート
24 排気チューブ
30 ネーザルCPAP素子
31 給気管接続ポート
32 鼻腔プロングポート
33 鼻腔プロングポート
34 排気管接続ポート
35 キャビティ
36 ノズル
37 スプリッター
38 第1分岐路
39 第2分岐路
40 排出路
41 ガイドベーン
42 ガイド
51 渦
52 渦
61 肺部
62 仮想空間
390 サブキャビティ
391 第2分岐路内壁
392 第2分岐路内壁
401 排出路内壁
402 排出路内壁

Claims (7)

  1. 給気チューブが結合する給気管接続ポートと、鼻腔プロングが結合する鼻腔プロングポートと、排気チューブが結合する排気管接続ポートと、前記鼻腔プロングポートに連通するキャビティと、を備えるネーザルCPAP素子であって、
    前記排気管接続ポートの開口方向が、前記鼻腔プロングポートの開口方向と反対方向であり、前記給気管接続ポートの開口方向が、前記排気管接続ポートまたは鼻腔プロングポートの開口方向と同一方向であり、
    前記給気管接続ポートから流入する空気を、流入方向に対して略直角方向に噴出するノズルと、
    前記ノズルから噴出する空気を二分するスプリッターと、
    前記スプリッターで二分された空気の一方の流路を形成する第1分岐路と、
    二分された前記空気の他方を前記排気管接続ポートに導く第2分岐路と、
    前記第1分岐路及びキャビティから流出する空気を前記排気管接続ポートに導く排出路と、
    前記第2分岐路と前記排出路との間にあって、前記排出路から流出する空気の前記第2分岐路への流入を阻止するガイドベーンと、
    を備え、
    前記第2分岐路及び排出路は、前記排気管接続ポートに導く空気が渦を巻くように内壁に凹曲面を有し、
    前記スプリッターは、前記ノズルから噴出する空気が当たる円弧状の先端を有し、
    前記第1分岐路を通過する空気流量が、前記鼻腔プロングを挿入した患者の呼気時に比べて、吸気時に増加し、
    前記第2分岐路及び排出路を通過する空気流量が、前記患者の吸気時に比べて、呼気時に増加し、
    前記ノズルから噴出する空気の前記スプリッター上のよどみ点が、前記患者の呼吸に応じて、前記スプリッターの先端の円弧上を順次移動することを特徴とするネーザルCPAP素子。
  2. 請求項1に記載のネーザルCPAP素子であって、前記キャビティのCPAP圧が、前記患者の吸気時に上昇し、呼気時に下降することを特徴とするネーザルCPAP素子。
  3. 請求項2に記載のネーザルCPAP素子であって、前記スプリッターの円弧状先端の曲率半径をdとするとき、前記dが0.12mm〜0.25mmの範囲内にあることを特徴とするネーザルCPAP素子。
  4. 請求項3に記載のネーザルCPAP素子であって、前記第2分岐路の対向する内壁が曲率半径の異なる凹曲面を有し、一方の前記凹曲面の曲率半径が25d〜30dの範囲内にあり、他方の前記凹曲面の曲率半径が8d〜12dの範囲内にあることを特徴とするネーザルCPAP素子。
  5. 請求項4に記載のネーザルCPAP素子であって、前記排出路の対向する内壁の少なくとも一方が凹曲面を有し、該凹曲面の曲率半径が25d〜50dの範囲内にあることを特徴とするネーザルCPAP素子。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のネーザルCPAP素子であって、前記第1分岐路と前記排出路とを分岐するガイド部の角部が円弧形状に成形されており、前記円弧形状の曲率半径が0.5d〜2dの範囲内にあることを特徴とするネーザルCPAP素子。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のネーザルCPAP素子であって、前記ノズルの中心線に対する、前記キャビティに開口する前記第1分岐路の出口面の傾斜角度が70°〜100°の範囲内にあることを特徴とするネーザルCPAP素子。
JP2012162914A 2012-07-23 2012-07-23 ネーザルcpap素子 Pending JP2014018575A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012162914A JP2014018575A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 ネーザルcpap素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012162914A JP2014018575A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 ネーザルcpap素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014018575A true JP2014018575A (ja) 2014-02-03

Family

ID=50194114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012162914A Pending JP2014018575A (ja) 2012-07-23 2012-07-23 ネーザルcpap素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014018575A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5575223B2 (ja) 非侵襲性換気システム、患者の気道閉塞を少なくするシステムおよび睡眠時無呼吸を治療するデバイス
US6253766B1 (en) Continuous positive airway pressure therapy device
CA2825206C (en) Methods, systems and devices for ventilation using a nasal ventilation mask with a manifold and internal compliant tube and nasal sealing cushion assembly
CA2774902C (en) Methods, systems and devices for non-invasive ventilation including a non-sealing ventilation interface with an entrainment port and/or pressure feature
JP5758898B2 (ja) 自由空間のノズル・フィーチャを備える非密封式換気インターフェイスを含む、換気補助システムおよび換気装置
TWI652079B (zh) 具側壁的鼻罩換氣口
JP5576695B2 (ja) 酸素マスク
JP2013503720A5 (ja)
JP2012522609A5 (ja)
JP2014514053A (ja) 分流式ncpap装置
JP2013524914A (ja) 呼吸装置に関する改良
TWI738506B (zh) 呼吸輔助裝置
JP2014018575A (ja) ネーザルcpap素子
TW202300190A (zh) 患者介面
CN209529857U (zh) 一种多功能双通道恒定泄气量的无创通气面罩
JP4988320B2 (ja) 吸入用ガス供給用マスク
TWM605814U (zh) 呼吸輔助裝置
CN206745711U (zh) 一种呼吸机的风道装置
CN104812431B (zh) 用于产生脉动的气柱的装置
CN216877517U (zh) 一种呼吸机用面罩
JP6793351B2 (ja) ネーザルcpap素子
US9474873B2 (en) Training device for treating snoring and apnea
CN212325459U (zh) 一种内置鼻管对接外置喇叭口过滤体的耐用型口罩
JP5969530B2 (ja) 酸素マスク
CN212699974U (zh) 一种急诊科用吸氧装置