JP2014017036A - ネガ型光記録媒体製造方法、初期化装置 - Google Patents

ネガ型光記録媒体製造方法、初期化装置 Download PDF

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洋次郎 角
Seiji Kobayashi
誠司 小林
Kimihiro Saito
公博 齊藤
Fumisada Maeda
史貞 前田
Takashi Nakao
敬 中尾
Takahiro Miura
隆博 三浦
Tomoya Ikuta
朋也 生田
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Abstract

【課題】ネガ型光記録媒体の初期化処理に関して、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることのできる手法を提案する。
【解決手段】ホログラム記録材料層を有する光記録媒体の下面側にミラーを配置した状態で上記光記録媒体の上面側に光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成する。上記ホログラム記録材料層に上記レーザ光が垂直入射しない場合であっても、初期化の過程で各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができる。
【選択図】図4

Description

本技術は、いわゆるネガ型のホログラム記録手法にて用いられるネガ型光記録媒体の製造方法と、該製造方法に用いられて好適な初期化装置とに関する。
特開2008−135144号公報 特開2008−176902号公報 特開2011−198426号公報
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスクが普及している。
これらCD、DVD、BDなど現状において普及している光記録媒体の次世代を担うべき光記録媒体に関して、先に本出願人は、上記特許文献1や上記特許文献2に記載されるようないわゆるバルク記録型の光記録媒体を提案している。
ここで、バルク記録とは、例えば図19に示すようにして少なくともカバー層101とバルク層(記録層)102とを有する光記録媒体に対し、逐次焦点位置を変えてレーザ光照射を行ってバルク層102内に多層記録を行うことで、大記録容量化を図る技術である。
このようなバルク記録に関して、上記特許文献1には、いわゆるマイクロホログラム方式と呼ばれる記録技術が開示されている。
マイクロホログラム方式は、大別して、ポジ型マイクロホログラム方式とネガ型マイクロホログラム方式とに分けることができる。
マイクロホログラム方式では、バルク層102の記録材料として、いわゆるホログラム記録材料が用いられる。ホログラム記録材料としては、例えば光重合型フォトポリマ等が広く知られている。
ポジ型マイクロホログラム方式は、対向する2つの光束を同位置に集光して、その集光点近傍に微細な干渉縞(ホログラム)を形成し、これを記録マークとする手法である。
これに対し、ネガ型マイクロホログラム方式は、ポジ型マイクロホログラム方式とは逆の発想で、予め形成しておいた干渉縞をレーザ光照射により消去して、当該消去部分を記録マークとする手法となる(例えば上記特許文献3等を参照)。
図20を参照して、ネガ型マイクロホログラム方式(ネガ型ホログラム記録方式)についてより具体的に説明する。
ネガ型ホログラム記録方式では、記録動作を行う前に、図20Aに示されるようにして予めホログラム記録材料層102’に対して干渉縞(ホログラム)を形成するための初期化処理を行う。具体的には、図中に示すように例えば平行光による光束Lu,Ldを対向して照射し、それらの干渉縞をホログラム記録材料層102’の全体に形成しておく。
なお、このような初期化処理にあたってホログラム記録材料層102’に照射するレーザ光としては、光強度及び位相が一様なコヒーレント光を用いる。
ここで、以下、ホログラム記録材料層102’に対する初期化が行われる前のバルク型光記録媒体100については、バルク型光記録媒体100’と表記する。
図のように光線Luは、バルク型光記録媒体100’の上面側に対して照射される光線であり、光線Ldはバルク型光記録媒体100’の下面側に対して照射される光線である。
上記のような初期化処理により予めホログラムを形成しておいた上で、図20Bに示されるように、消去マークの形成による情報記録を行う。具体的には、記録用のレーザ光を任意の層位置に合焦させて、該レーザ光により記録情報に応じた消去マークの形成を行うものである。
このようなネガ型のホログラム記録方式によれば、情報記録にあたり、先のポジ型マイクロホログラム方式のように2つのレーザ光を同位置に集光させるといった必要がなくなり、例えば位置制御精度の面等で有利とできる。
図21は、ホログラム記録材料層102’に対する初期化を行うための初期化装置の構成を示している。
初期化前のバルク型光記録媒体100’の上面側、下面側の双方からレーザ光を照射すべく、レーザ110より出射されたレーザ光をビームスプリッタ111により分光する。分光された一方のレーザ光は、図のようにミラー112→ミラー113を経由してバルク型光記録媒体100’の上面側に照射される(前述した光束Lu)。
また、分光された他方のレーザ光は、ミラー114を経由してバルク型光記録媒体100’の下面側に照射される(光束Ld)。
これら光束Luと光束Ldの照射で形成できるホログラムのサイズはバルク型光記録媒体100’のサイズに対して小であるため、これら光束Lu及び光束Ldとバルク型光記録媒体100’との位置関係を順次変えて、ホログラム記録材料層102’の必要範囲の全域にホログラムを形成するための機構が設けられる。
具体的にこの場合は、図中の回転駆動部115とスライド駆動部116とによりバルク型光記録媒体100’側を動かすことで、光束Lu,Ldとの位置関係を変えるようにされている。回転駆動部115はバルク型光記録媒体100’を回転駆動し、スライド駆動部116はバルク型光記録媒体100’を回転可能に保持する上記回転駆動部115を、少なくともバルク型光記録媒体100’の半径方向に変位可能に保持している。
回転駆動部115によりバルク型光記録媒体100’を回転させることで、或る半径位置にホログラムを周状に形成できる。そして、スライド駆動部116によりバルク型光記録媒体100’を半径方向に変位させて、回転駆動部115によりバルク型光記録媒体100’を回転させることで、隣接半径位置に周状のホログラムを形成できる。
このような動作の繰り返しにより、ホログラム記録材料層102’の必要範囲の全体にホログラムを形成できる。すなわち、ホログラム記録材料層102’の初期化が実現される。
ここで、光束Lu及び光束Ldを照射してホログラムが形成されるまでには相応の時間を要する。この点に鑑みると、上記のような初期化処理では、バルク型光記録媒体100’の回転を逐次停止させながら1つ1つホログラムを形成していく(ホログラムを繋ぎ合わせていく)という手法を採るのが順当となる。
なおこの点に鑑みると、光束Lu及び光束Ldについては例えば平行光とすることが望ましい。1度に形成可能なホログラムのサイズが比較的大となることで、初期化に要する時間の短縮化が図られるためである。
ここで、上記のように従来のネガ型光記録媒体の製造手法では、初期化前のホログラム記録材料層102’に対して上面側/下面側の双方からレーザ光を照射し、これらレーザ光の照射位置と記録媒体位置との関係を順次変更していくことで、ホログラム記録材料層102’の必要範囲の全域にホログラムを形成するものとされている。
但し、このとき注意すべきは、レーザ光の照射位置と記録媒体位置との関係を変えるための機構には、メカ的な誤差が生じるという点である。具体的に、上述のように記録媒体側をスライド駆動するとした場合、或いは逆にレーザ光を照射する光学系側をスライド駆動するとした場合の何れにおいても、駆動対象物を厳密に水平方向にシフトさせることは困難である。このために、ホログラム記録材料層102’に対して光束Lu及び光束Ldを垂直入射させるということができない場合があり、その場合には、上述のように照射位置を順次変えながらホログラムを形成していくという過程において、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせるということができないものとなってしまう。
図22は、この問題点についての説明図である。
図22Aでは、メカ的な精度誤差等に起因して光束Lu及び光束Ldがホログラム記録材料層102’に垂直入射していない場合において、これら光束Lu及び光束Ldの照射によってホログラム記録材料層102’の或る位置に形成されたホログラムH1を例示している。
この図22Aに示すホログラムH1が形成された後に、バルク型光記録媒体100’の位置がシフトされ、異なる位置に光束Lu及び光束Ldが照射されて新たなホログラムが形成されたとする。図22Bではこの際に形成されたホログラムH2を例示している。
この図22Bを参照して理解されるように、ホログラム記録材料層102’に対して光束Lu及び光束Ldが垂直入射しない場合には、初期化の過程において、以前に形成したホログラム(H1)と新たに形成したホログラム(H2)との間に、位相のずれが生じるものである。
本技術はかかる問題点に鑑み為されたものであり、ネガ型光記録媒体の初期化処理に関して、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることのできる手法を提案することをその課題とする。
上記課題の解決のため、本技術ではネガ型光記録媒体製造方法として以下の方法を提案する。
すなわち、本技術のネガ型光記録媒体製造方法は、ホログラム記録材料層を有する光記録媒体の下面側にミラーを配置した状態で上記光記録媒体の上面側に光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成するものである。
また、本技術では初期化装置として以下の構成を提案する。
つまり、本技術の初期化装置は、ホログラム記録材料層を有する光記録媒体であって、その下面側にミラーが配置された状態の上記光記録媒体の上面側に対し、光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成するものである。
上記のように本技術では、従来のように初期化のためのレーザ光を、上記光記録媒体の上面側及び下面側の双方から照射するものとはせず、上記光記録媒体の下面側にミラーを配置した状態で、上記光記録媒体の上面側から照射するものとしている。このことで、上記ホログラム記録材料層には、照射した上記レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光との干渉縞により、ホログラムが形成されるものとなる。
このような手法とすることで、上記ホログラム記録材料層に上記レーザ光が垂直入射しない場合であっても、初期化の過程で各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができる。
上記のように本技術によれば、初期化の過程で各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができる。これにより、ネガ型光記録媒体の品質向上が図られる。
第1の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体の断面構造を示した図である。 基準面を用いた位置制御手法についての説明図である。 初期化前のネガ型光記録媒体の断面構造を示した図である。 第1の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。 第1の実施の形態の初期化によってホログラムが形成される様子を示した図である。 2段階目のレーザ照射の具体的な手法についての説明図である。 2段階目のレーザ照射により得られる作用についての説明図である。 第1の実施の形態の初期化装置の内部構成を示した図である。 第2の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体の断面構造を示した図である。 第2の実施の形態のネガ型光記録媒体への消去マークの記録/再生時における位置制御手法についての説明図である。 第2の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。 第1レーザ光と第2レーザ光の照射によりそれぞれ形成されるホログラムについての説明図である。 2つのホログラムのピッチ差に応じたビートにより形成されるホログラムのイメージを示した図である。 ホログラム記録材料層のダイナミックレンジによってホログラムの層構造が明確化される点についての説明図である。 第2の実施の形態においてホログラムの強度向上のために行われるレーザ照射の具体的な手法についての説明図である。 第2の実施の形態の初期化装置の内部構成を示した図である。 変形例としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。 入射角の異なる2つのレーザ光の照射によりそれぞれ形成されるホログラムについての説明図である。 バルク記録についての説明図である。 ネガ型ホログラム記録方式についての説明図である。 従来の初期化装置の構成を示した図である。 従来技術の問題点についての説明図である。
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.第1の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体]
[1-2.第1の実施の形態のネガ型光記録媒体製造手法]
[1-3.第1の実施の形態の初期化装置の構成]
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体]
[2-2.第2の実施の形態のネガ型光記録媒体製造手法]
[2-3.第2の実施の形態の初期化装置の構成]
<3.変形例>
<1.第1の実施の形態>
[1-1.第1の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体]

図1を参照して、第1の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体(以下、ネガ型記録媒体1とする)について説明しておく。
なお図1ではネガ型記録媒体1の断面構造を示している。
図1に示されるように、ネガ型記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3が形成されると共に、その下層側には、中間層4を介してネガ型バルク層5が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、例えば後述する記録再生装置(ネガ型記録媒体1に対し消去マークについての記録再生を行う装置)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指すものとする。
また、本明細書においては「深さ方向」という語を用いるが、この「深さ方向」とは、上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち上記記録再生装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
カバー層2は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成されている。具体的に本例では、案内溝の形成に伴う凹凸の断面形状が与えられている。
上記案内溝としては、連続溝(グルーブ)、又はピット列で形成される。例えば案内溝がグルーブとされる場合は、当該グルーブを蛇行させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報(半径位置情報や回転角度情報等)の記録を行うことができる。
カバー層2は、このような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
また、上記案内溝が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
ここで、本実施の形態のネガ型記録媒体1には、ネガ型バルク層5に対して記録/再生を行うための光(記録層用レーザ光とする)と、さらに上記のような案内溝に基づきトラッキングやフォーカスのエラー信号を得るための光(基準面用レーザ光)とを照射するものとされている(後の図2でも説明する)。
上記のように基準面用レーザ光は、反射膜3にて反射されて、トラッキングやフォーカスのエラー信号の生成に供されるべきものとなる。一方、上記記録層用レーザ光は、ネガ型バルク層5に到達して消去マークについての記録や再生が可能とされるべきものとなる。このため、反射膜3としては、基準面用レーザ光は反射し、記録層用レーザ光は透過するという選択性を有する反射膜が必要とされる。
従来よりバルク記録方式では、バルク層を対象として照射されるべき光と基準面用レーザ光とにそれぞれ波長の異なるレーザ光を用いるようにされており、これに対応すべく、選択反射膜3としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するという、波長選択性を有する反射膜が用いられる。
なお、上記説明からも理解されるように、位置案内子が形成された選択反射膜3の反射面は、ネガ型記録媒体1についての位置制御を行う上で基準となる反射面となる。この意味で、選択反射膜3の反射面については、以下、「基準面Ref」と表記する。
中間層4は、例えばUV硬化樹脂や熱可塑性樹脂などで構成され、選択反射膜3とネガ型バルク層5とを接着する接着層として機能する。具体的に、中間層4としての樹脂材料が選択反射膜3上に塗布され、そこにネガ型バルク層5(正確には初期化前のネガ型バルク層5:後述するホログラム記録材料層5’)を押し当てた状態で硬化処理が施されることで、選択反射膜3とネガ型バルク層5とが接着される。
ネガ型バルク層5は、いわゆるバルク状の記録層である。従って、その内部には位置案内子或いはそれが形成された反射膜は設けられていない。
ネガ型バルク層5は、所定の記録パワーによるレーザ光照射に応じて屈折率の変調を来す記録材料(ホログラム記録材料)で構成される。ホログラム記録材料としては、例えば光重合型フォトポリマ等が広く知られ、これを用いることができる。
このネガ型バルク層5には、後述する初期化処理によって、格子ピッチがほぼ一定のホログラムが一様に形成される。
ここで、ネガ型バルク層5に形成される回折格子のピッチ(Pitch)は、初期化光の波長をλ、ホログラム記録材料の屈折率をnとしたとき、

Pitch=λ/2n

と表される。
図2は、基準面Refを用いた位置制御手法についての説明図である。具体的にこの図2では、ネガ型記録媒体1の断面構造と、該ネガ型記録媒体1に照射される各光とを主に示している。
前述もしたように、ネガ型記録媒体1に対しては、ネガ型バルク層5に消去マークを形成するための記録層用レーザ光と、基準面用レーザ光とを照射するようにされる。
このとき、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図のように共通の対物レンズを介してネガ型記録媒体1に照射する。
前述のように、ネガ型バルク層5には位置案内子や反射膜が形成されていない。このように位置案内子や反射膜の形成されていないネガ型バルク層5に対して多層状の記録(多層状の消去マークの記録)を行うとしたときには、ネガ型バルク層5内において、記録を行うべき深さ位置、すなわち記録面の位置を何れの位置とするかを予め定めておくことになる。
ここで以下、深さ位置については層位置Lとも表記する。
この場合におけるネガ型バルク層5には、記録を行うべき層位置L(以下、情報記録層位置Lとも表記する)として、例えば図2に示されるように第1情報記録層位置L1〜第5情報記録層位置L5の計5つの情報記録層位置Lが設定されているとする。ここで、第1情報記録層位置L1は最も上層側に設定された層位置Lであり、以下、Lに付される数値が大となるに従ってより下層側に設定された層位置Lを意味する。
本例の場合、各情報記録層位置Lは、例えばネガ型バルク層5の中央に設定された第3情報記録層位置L3を基準として、そこからのオフセット値ofにより定義される。具体的に、第1情報記録層位置L1は、第3情報記録層位置L3からオフセット値of-L(3・1)に応じた分だけ上方の位置として定義される。同様に、第2情報記録層位置L2は、第3情報記録層位置L3からオフセット値of-L(3・2)に応じた分だけ上方の位置として定義される。また、第4情報記録層位置L4は、第3情報記録層位置L3からオフセット値of-L(3・4)に応じた分だけ下方の位置として定義され、第5情報記録層位置L5は、第3情報記録層位置L3からオフセット値of-L(3・5)に応じた分だけ下方の位置として定義される。
なお、この図2では図示の都合上、情報記録層位置Lが5つであるものとしているが、情報記録層位置Lの数は5に限定されるべきものではない。
ここで、ネガ型記録媒体1に対する消去マークの記録時には、図のように基準面用レーザ光を反射膜3(基準面Ref)に合焦させるように照射して、反射膜3からの当該基準面用レーザ光の反射光に基づき対物レンズのトラッキングサーボ制御を行う。
これにより、同じ対物レンズを介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における照射位置を基準面用レーザ光の照射位置と一致させることができ、結果、基準面Ref上の位置案内子に沿った位置に消去マークを形成できる。
このとき、対物レンズのフォーカスサーボ制御は、基準面レーザ光を基準面Ref上に合焦させるようにして行われることになる。基準面用レーザ光が基準面Refに合焦していなければ上記のトラッキングサーボ制御を実現できないためである。
記録層用レーザ光の合焦位置の制御は、対物レンズとは別途に設けたフォーカス機構を用いて行う。該フォーカス機構により、対物レンズに入射する記録層用レーザ光のコリメーション状態(収束/平行/発散の状態)を調整することで、記録層用レーザ光の合焦位置を所望の層位置Lに一致させる(つまり消去マークの記録対象とする層位置Lを選択する)ことができる。
なお確認のため述べておくと、上記の位置制御手法は、対物レンズが基準面用レーザ光を基準面Ref上に合焦させる位置にある状態で、且つ上述のフォーカス機構を非駆動とした状態(ニュートラル状態)において、記録層用レーザ光が第3情報記録層位置L3に合焦するように光学系が設計されていることを前提としたものである。
なお、消去マークが形成された層位置Lを再生する場合には、既記録の消去マーク列に対して記録層用レーザ光によりトラッキングサーボをかけることができる。つまり再生時には、記録時のように基準面用レーザ光により対物レンズのトラッキングサーボ制御を行う必要はない。
また、消去マークの形成部分と非形成部分との受光信号レベル差を利用して、記録層用レーザ光により所望の層位置Lにフォーカスサーボをかけることも可能であり、その場合には、上述のフォーカス機構を、(オフセット値of-Lではなく)記録層用レーザ光の反射光に基づき駆動するものとすればよい。
[1-2.第1の実施の形態のネガ型光記録媒体製造手法]

図3は、初期化前のネガ型記録媒体1としての、バルク型記録媒体1’の断面構造を示している。
なお図3において、既に図1で説明済みとなっている部分については同一符号を付して説明を省略する。
先の説明からも理解されるように、ネガ型記録媒体1とバルク型記録媒体1’との差は、ネガ型バルク層5の初期化が為されていない点である。前述のように、ここでは初期化前のネガ型バルク層5を、ホログラム記録材料層5’と表記する。
ここで、前述もしたように従来では、初期化対象としてのバルク型記録媒体1’に対しては、上面側と下面側の双方からコヒーレントなレーザ光を照射して、ホログラム記録材料層5’にホログラムを形成するようにされていた。
しかしながらこの従来手法によると、先の図22に示したように、初期化にあたりレーザ光の照射位置を順次変更していったときに、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができない場合があった。
具体的には、レーザ光の照射位置をずらすための機構にメカ的な精度誤差があること等に起因して、ホログラム記録材料層5’に対してレーザ光を垂直入射することができない場合に、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができないものとされていた。
そこで本実施の形態では、初期化の過程で各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができるようにすべく、以下のような手法を採る。
図4は、第1の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。
先ず前提として、ホログラム記録材料層5’の初期化処理、すなわちホログラム記録材料層5’の必要範囲の全域にホログラムを形成する処理を行うにあたっては、レーザ光の照射位置と記録媒体位置との関係を変化させるための機構部が必要となる。本例では、バルク型記録媒体1’側を動かすことでレーザ光の照射位置と記録媒体位置との関係を変化させるものとしており、図中の回転駆動部13とスライド駆動部14は、このための機構部を示したものとなる。
具体的に、回転駆動部13はターンテーブル上にセットされた駆動対象物を回転駆動可能とされ、スライド駆動部14は、該回転駆動部13を上記駆動対象物の面内方向に平行な方向に変位可能に保持している。具体的に、本例における上記駆動対象物はその形状がディスク状とされており、スライド駆動部14は、上記駆動対象物の半径方向に上記回転駆動部13を変位可能に保持している。
この前提を踏まえた上で、本実施の形態では、この図4に示すように、バルク型記録媒体1’の下面側にミラー6を配置した状態で、バルク型記録媒体1’の上面側に初期化のためのレーザ光Liを照射するものとしている。
具体的にこの場合、ミラー6、及びバルク型記録媒体1’はセンターホールを備えており、これらのセンターホールを共に上記のターンテーブル上にクランプさせることで、バルク型記録媒体1’とミラー6とが一体的に駆動されるようになっている。
本例の場合、バルク型記録媒体1’の外形はおよそ直径12cm程度のディスク状とされ、これに対応させミラー6としても、その外形を直径12cm程度のディスク状としている。
ここで、上記レーザ光Liとしては、光強度及び位相が一様なコヒーレント光を照射する。また本例の場合、レーザ光Liは平行光により照射する。
なおここで言う「光強度及び位相が一様な」とは、光源より出射されたレーザ光に対し空間光強度変調や空間光位相変調を特段施していないということを少なくとも意味するものである。
上記のようなレーザ光Liの照射により、ホログラム記録材料層5’においては、該レーザ光Liと、該レーザ光Liがミラー6にて反射して得られる反射レーザ光とが干渉し、ホログラム(反射型ホログラム)が形成されることになる(なお、レーザ光Liの光源にはこのような反射型ホログラムの形成を可能とする可干渉距離を持つものを用いることは言うまでもない)。
このようなホログラムの形成を、上記の回転駆動部13とスライド駆動部14によるバルク型記録媒体5’及びミラー6の駆動により、レーザ光Liの照射位置を順次変えながら行う。具体的にこの場合は、回転駆動部13により順次バルク型記録媒体5’及びミラー6を一体的に回転させてホログラムを周状に形成するという動作を、スライド駆動部14によりバルク型記録媒体5’及びミラー6の位置を一体的に順次シフトさせながら繰り返し実行することで、ホログラム記録材料層5’の必要範囲の全域に対してホログラムを形成する。
図5は、上記のような第1の実施の形態の初期化によってホログラムが形成される様子を示している。
図5Aではレーザ光Liを或る位置で照射して形成されたホログラムの様子を、図5Bではレーザ光Liを図5Aでの照射位置に隣接する位置で照射した際に形成されたホログラムの様子をそれぞれ示している。
この図を参照して分かるように、ミラー6をバルク型記録媒体1’の下面側に配置して初期化を行うことによっては、メカ的な精度誤差等によりレーザ光Liの入射角度に対して記録媒体側が相対的に傾いた状態でレーザ照射位置がシフトされる場合であっても、ホログラム記録材料層5’内におけるレーザ光Liの往路光と復路光(反射光)との関係が、どのシフト位置でも同じとなるようにできる。
このことから、初期化時における、レーザ光Liの照射位置を順次ずらしてホログラムを形成していくという過程において、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができる。
このように各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができることにより、ネガ型記録媒体1の品質向上が図られる。
ここで、光干渉によってホログラム記録材料にホログラムを形成するにあたっては、レーザ光Liを或る程度の時間にわたって照射し続けることを要する。
より強固にホログラムを形成する(つまり屈折率変調度の高いホログラムを形成する)ためには、1つのホログラムの形成につき、レーザ光Liの照射時間をより長くすることが考えられるが、レーザ光Liの照射時間をあまり長くし過ぎると、空気の揺らぎ等の外乱やホログラム記録材料の収縮の影響で、返って良好なホログラムを形成できなくなる虞がある。
そこで本実施の形態では、初期化処理を2段階に分けるものとし、1段階目で上述の手法によりホログラム記録材料層5’の必要範囲の全域にホログラムの形成を行った後、2段階目で、上記1段階目で形成されたホログラムの強度を高めるためのレーザ光照射を行うという手法を採る。
図6は、該2段階目のレーザ照射の具体的な手法についての説明図である。
なお図6において、既にこれまでで説明済みとなった部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
先の図4にて説明した1段階目のレーザ照射によりホログラム形成を行った後、2段階目のレーザ照射としては、図のようにミラー6を外した状態でレーザ光Liの照射を行う。
ここで、以下、1段階目のレーザ照射によってホログラムが形成されたホログラム記録材料層5’を、ホログラム記録材料層5''と表記する。また、このように1段階目のレーザ照射によってホログラムが形成されたバルク型記録媒体1’を、以下バルク型記録媒体1''と表記する。
この2段階目のレーザ光Liの照射としても、1段階目と同様に回転駆動部13とスライド駆動部14とを用いて、ホログラム記録材料層5''の必要範囲(つまりホログラムが形成された領域)の全域にわたって行うようにする。
図7は、このような2段階目のレーザ照射により得られる作用についての説明図である。
上記のようにミラー6を外した状態で、ホログラム記録材料層5''にレーザ光Liを照射することによっては、該ホログラム記録材料層5''に形成されたホログラムによる回折光が得られ、該回折光とレーザ光Liとを干渉させることができる。これにより、1段階目で形成されたホログラムを、同位相で上書きすることができる。
この結果、1段階目で形成したホログラムの屈折率変調度を高めることができ、ホログラムの回折効率を向上できる。
ここで、上記手法によれば、1度形成したホログラムをリファレンスとして上書きが行われることになるので、上述のような外乱や材料収縮の影響により意図しないホログラムが形成されてしまうといった事態の発生を効果的に抑制でき、結果、回折効率の高い良好なホログラムの形成を実現できる。
[1-3.第1の実施の形態の初期化装置の構成]

図8は、上記により説明した第1の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法を実現するための、第1の実施の形態の初期化装置10の内部構成を示した図である。
図8において、初期化装置10には、先に説明した回転駆動部13とスライド駆動部14とが設けられる。
本例の場合、初期化時の駆動対象物は、バルク型記録媒体1’とミラー6(1段階目)、或いはバルク型記録媒体1''単体となる(2段階目)。
前述のようにこれらは共にその外形がディスク状とされることから、この図では、これらバルク型記録媒体1’とミラー6、又はバルク型記録媒体1''単体としての駆動対象物を、ディスク状駆動対象物DTと表している。
初期化装置10には、レーザ光Liの光源であるレーザ11が設けられる。
このレーザ11としては、往路光としてのレーザ光Liとそのミラー6からの反射光とが干渉する程度の可干渉距離を持ったものを用いる。このレーザ11としては、固体レーザ、又は半導体レーザを用いることができる。後者の場合、可干渉性を高めるために外部共振器を用いることができる。
レーザ11より出射されたレーザ光Liは、図のようにミラー12でその光軸が90度折り曲げられるようにして反射されて、ディスク状駆動対象物DTの上面側(1段階目ではバルク型記録媒体1’の上面側、2段階目ではバルク型記録媒体1''の上面側となる)に対して照射される。
制御部15は、ホログラム記録材料層5’又はホログラム記録材料層5''の必要範囲の全域に対してレーザ光Liが照射されるように、回転駆動部13及びスライド駆動部14を制御する。
具体的に本例の場合は、ディスク状駆動対象物DTを回転駆動部13により順次回転させてレーザ光Liを周状にトレースさせるという動作を、スライド駆動部14によりディスク状駆動対象物DTを順次シフトさせながら繰り返し実行させるものである。
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体]

図9は、第2の実施の形態で製造するネガ型光記録媒体(以下、多層ネガ型記録媒体20と表記)の断面構造を示している。
なお以下の説明において、既に説明済みとなっている部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
先の図1と対比して分かるように、第2の実施の形態の多層ネガ型記録媒体20は、ネガ型記録媒体1との比較で、ネガ型バルク層5に代えて記録層形成領域21が形成された点が異なる。
この記録層形成領域21としても、ホログラム記録材料で構成されるものであるが、図のようにその内部にはネガ型バルク層5のように深さ方向に連続的にホログラムが形成されず、部分的にホログラム層HLが形成されたものとなる。
すなわち、ホログラムが多層状に形成されているものである。
この図では、ホログラム層HLが5つ形成されている場合を例示している。この場合も各層を区別するため、上層側のホログラム層HLから順にL1〜L5の符号を付すものとする。
なお、ここではホログラム層HLの数の5としているが、これはあくまで図示の都合であり、ホログラム層HLの数は5に限定されるべきものではない。
ここで、ホログラム層HLが形成された部分は、記録層形成領域21における他の部分(ホログラム層HLの非形成部分)との屈折率差により、反射体として機能する。
このため、消去マークの記録/再生時(特に記録時)には、記録層用レーザ光により各ホログラムHLにフォーカスサーボをかけることができ、結果、第1の実施の形態のネガ型記録媒体1の場合のようなオフセット値of-Lを用いたフォーカス制御を行う必要性が無いものとできる。
図10は、多層ネガ型記録媒体20への消去マークの記録/再生時における位置制御手法についての説明図である。
先ず前提として、この場合も基準面用レーザ光と記録層用レーザ光は共通の対物レンズを介して照射することになる。
この場合、記録時のトラッキングサーボについては、ネガ型記録媒体1の場合と同様に、基準面用レーザ光の反射光に基づき、該基準面用レーザ光のスポット位置が基準面Ref上の位置案内子に追従するように対物レンズを制御することで行う(各ホログラム層HLには位置案内子が形成されていないので)。
また、再生時のトラッキングサーボは、既に記録された消去マーク列を対象として、記録層用レーザ光の反射光に基づき行うことができる。
また、記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボに関しては、記録時/再生時の双方で、記録層用レーザ光の反射光に基づき、前述のフォーカス機構を制御することで実現できる。
[2-2.第2の実施の形態のネガ型光記録媒体製造手法]

第2の実施の形態では、初期化の為されていないホログラム記録材料層5’に対して、ホログラムを層状に形成する手法を提案する。
図11は、第2の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。
この図に示されるように、第2の実施の形態では、バルク型記録媒体1’の下面側にミラー6を配置した状態で、第1レーザ光Li1と、該第1レーザ光Li1とは波長の異なる第2レーザ光Li2とをバルク型記録媒体1’の上面側に照射する。
この際、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2は少なくともそれらの光束同士がホログラム記録材料層5'中で重なるようにして照射する。本例では、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2はそれらの光軸を一致させて照射するものとしている。
またここでの説明では、第1レーザ光Li1、第2レーザ光Li2の波長の関係が、「L1<L2」であるものとする。
なお、この場合も初期化として、回転駆動部13とスライド駆動部14とによりこれらのレーザ光の照射がホログラム記録材料層5’の必要範囲の全域にわたって行われるようにする点については第1の実施の形態の場合と同様である。
図12は、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2の照射によりそれぞれ形成されるホログラムについての説明図である。
図12Aは、第1レーザ光Li1を単体照射した場合に形成されるホログラムを、図12Bは第2レーザ光Li2を単体照射した場合に形成されるホログラムをそれぞれ模式的に示している。
第1レーザ光Li1を単体照射したとすると、該第1レーザ光Li1とそのミラー6からの反射光との干渉によってホログラム(反射型ホログラム)が形成される。また、第2レーザ光Li2を単体照射したとすると、同様に該第2レーザ光とそのミラー6からの反射光との干渉によってホログラム(反射型ホログラム)が形成される。
この際、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2とは波長が異なるため、上記2つのホログラムのピッチ(Pitch)はそれぞれ異なるものとなる。具体的に本例では、第1レーザ光Li1の方が波長が短く、第2レーザ光の方が波長が長いため、図12Aに示す第1レーザ光Li1によるホログラムのピッチは狭く、図12Bに示される第2レーザ光Li2によるホログラムのピッチは広くなる。
上記により説明した第2の実施の形態のレーザ照射を行うことは、ホログラム記録材料層5’内の同一領域に対して、これらピッチの異なる2つのホログラムを同時形成しようとするものと換言できる。
このようにピッチの異なる2つのホログラムを同一領域に同時に形成しようとすると、2つのホログラムが独立して形成されるものとはならず、2つのホログラムのピッチの差に応じたビート(うなり)によるホログラムが形成されることになる。
図13は、2つのホログラムのピッチ差に応じたビートにより形成されるホログラムのイメージを示した図である。
この図13では、第1レーザ光Li1により形成されるホログラムと第2レーザ光Li2により形成されるホログラムとを、それぞれ縦軸を深さ方向、横軸を屈折率変調度Δnとした屈折率変調度Δnの波形として表しているが、これらのホログラムを同一領域に同時に形成しようとすることは、図のようにそれらの波形を合成することに相当する。これにより、屈折率変調度Δnが部分的に高まる/弱まるといったビートが生じ、結果、第1レーザ光Li1によるホログラムと第2レーザ光Li2によるホログラムとを同一領域に同時に形成しようとすると、図中に示すようなビートによるホログラムが形成されるものである。
このビートによるホログラムの屈折率変調度Δnの比較的高い部分を、先の図9に示したホログラム層HLとして用いることができる。
このとき、ホログラム記録材料層5’のダイナミックレンジを利用することで、図14に示されるように、各ホログラム層HLの間に屈折率変調の無い部分、すなわち回折効率が0となる部分を設けることができる。
このことで、先の図9に示したようなホログラムの明確な層構造を実現できる。
ここで、各ホログラム層HLの層間隔の設定は、第1レーザ光Li1,第2レーザ光Li2の波長の設定により行うことができる。
上記のように第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2とを同一領域に同時に照射することによっては、これら2光線の各々が形成するホログラムの周波数差が上記のビートとして表れる。この際のビートの波長をλbとすると、該波長λbが、ホログラム層HLの層間隔に相当するものである。
ここで、第1レーザ光Li1の波長をλ1、第2レーザ光Li2の波長をλ2とすると、ビートの波長λbは下記のように表される。

λb=(λ1×λ2)/{2(λ1−λ2)}

これによると、例えばλ1=405nm、λ2=413であれば、ホログラム層HLのピッチはおよそ10μm程度となる。
なお確認のため述べておくと、上記による第2の実施の形態の初期化においても、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2の照射については、第1の実施の形態と同様にバルク型記録媒体1’の下面側にミラー6を配置した状態で行うものとしている。このため、第2の実施の形態においても、初期化の過程において、各ホログラムの位相をシームレスに繋ぎ合わせることができるものである。
この結果、多層ネガ型記録媒体20についての品質向上が図られる。
ここで、第2の実施の形態においても、先の第1の実施の形態の場合と同様の理由で、初期化処理を1段階目と2段階目とに分けて実行することが良好なホログラムを形成する上で望ましい。
このため第2の実施の形態においては、1段階目として、上記により説明した手法によりホログラム記録材料層5’に多層状のホログラムを形成した上で、2段階目として、該多層状のホログラムが形成されたバルク型記録媒体1’(以下、多層ネガ型記録媒体20’と表記する)に対し、形成されたホログラムの強度を向上させるためのレーザ照射を行う。
図15は、第2の実施の形態においてホログラムの強度向上のために行われるレーザ照射の具体的な手法についての説明図である。
この図15に示されるように第2の実施の形態の場合は、ミラー6を外した状態において、1段階目でホログラムの形成が行われた多層ネガ型記録媒体20’の上面側に対し、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2とを1段階目と同様に照射する。
なお図中では、1段階目で多層状のホログラムが形成されたホログラム記録材料5’を記録層形成領域21’と表記している。
上記のようなレーザ照射を行うことで、第1の実施の形態の場合と同様に、形成されたホログラムからの回折光によって該形成されたホログラムと同位相のホログラムを上書きすることができる。つまりこれにより、1段階目で形成されたホログラムの強度の向上を、第1の実施の形態の場合と同様に外乱や材料収縮の影響により意図しないホログラムが形成されてしまう事態の発生を抑制しつつ実現できる。
[2-3.第2の実施の形態の初期化装置の構成]

図16は、上記による第2の実施の形態としてのネガ型光記録媒体製造手法を実現するための第2の実施の形態の初期化装置(初期化装置30)の内部構成を示した図である。
先の図8と比較して分かるように、第2の実施の形態の初期化装置30は、第1の実施の形態の初期化装置10との比較で、第2レーザ光Li2の光源である第2レーザ31と、ダイクロイックプリズム32とが追加されたものとなる。
ここで、この図では第2レーザ31と区別する意味で、レーザ11を第1レーザ11と表記している。
第1レーザ11は、所定波長による第1レーザ光Li1を発光し、第2レーザ31は、第1レーザ11とは異なる波長による第2レーザ光Li2を発光する。
なお確認のため述べておくと、第2レーザ31としても、往路光としての第2レーザ光Li2とそのミラー6からの反射光とが干渉する程度の可干渉距離を持ったものを用いる。
ダイクロイックプリズム32は、第1レーザ11とミラー12との間に設けられ、その選択反射膜の一方の面側に第1レーザ11より発せられた第1レーザ光Li1が入射し、他方の面側に第2レーザ31より発せられた第2レーザ光Li2が入射するようにされている。
ダイクロイックプリズム32は、上記選択反射膜が、第2レーザ31より発せられる第2レーザ光Li2と同波長の光を反射し、それ以外の波長による光を透過するように構成されている。これにより、第2レーザ光Li2は上記選択反射膜で反射されて、図のようにミラー12を経由してディスク状駆動対象物DTに照射される。また第1レーザ光Li1は上記選択反射膜を透過することで、ミラー12を経由してディスク状駆動対象物DTに照射される。
先の説明からも理解されるように、本例の場合、初期化装置30が備える光学系は、第1レーザ光Li1と第2レーザ光Li2とがそれらの光軸が一致した状態でディスク状駆動対象物DTに照射されるように設計されるものとなる。
なお確認のため述べておくと、初期化装置30における回転駆動部13及びスライド駆動部14による駆動対象となるべきディスク状駆動対象物DTは、バルク型記録媒体1’及びミラー6(1段階目のとき)か、或いは多層ネガ型記録媒体20’単体(2段階目のとき)の何れかとなる。
<3.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明してきたが、本技術は上記に挙げた具体例に限定されるべきものではない。
例えば、第2の実施の形態では、ホログラムを多層状に形成する手法の例として、波長の異なるレーザ光を照射する場合を例示したが、多層状のホログラムを形成するにあたっては、少なくとも2以上のレーザ光をホログラム記録材料層に照射するものとすればよい。
具体的に、多層状のホログラムの形成は、同一波長によるレーザ光を用いても可能なものである。
図17は、同一波長のレーザ光を用いて多層状のホログラムを形成する変形例としてのネガ型光記録媒体製造手法についての説明図である。
この図17に示すように、同一波長によるレーザ光を用いたとしても、それらのレーザ光の入射角を異なるものとすることで、多層状のホログラムの形成が可能となる。
この図17では、第1の実施の形態で用いたレーザ光Liと、このレーザ光Liに対して入射角をθ°だけずらしたレーザ光Li’とを照射するものとしている。このとき、これらのレーザ光Li,Li’の照射は、少なくともホログラム記録材料層5’内でこれらレーザ光Li,Li’の光束同士が重なるようにして行う。
なお確認のため述べておくと、この場合もホログラム記録材料層5’に対してホログラムを形成するにあたっては、バルク型記録媒体1’の下面側に対してミラー6を設置した状態で、該バルク型記録媒体1’の上面側にレーザ光を照射する点は第1,第2の実施の形態の場合と同様となる。
この図17に示したようなレーザ光Li,Li’の照射を行うことは、図18A,図18Bに示される2つのホログラムを形成しようとすることに相当する。
具体的に図18Aでは、レーザ光L単体の照射により形成されるホログラム(レーザ光Liと該レーザ光Liのミラー6からの反射光との干渉で形成される反射型ホログラム)を示し、図18Bではレーザ光L’単体の照射により形成されるホログラム(レーザ光Li’と該レーザ光Li’のミラー6からの反射光との干渉で形成される反射型ホログラム)を示しているが、これらを対比して分かるように、レーザ光Li’単体の照射によっては、θ°による角度差がある分、レーザ光Li単体の照射により形成されるホログラムよりもピッチの広いホログラムが形成されることになる。
図17に示したレーザ光Li,Li’の照射を行うことは、ホログラム記録材料層5’内の同一領域に対して同時にこれらのホログラムを形成しようとしていることに相当する。つまりこのことからも理解されるように、図17に示した変形例によっても、第2の実施の形態と同様に、2つのホログラムのピッチ差に応じたビートによるホログラムを形成できるものであり、結果、第2の実施の形態と同様に多層状のホログラムの形成が可能となるものである。
このとき、レーザ光Liが垂直入射(入射角0°)であると仮定し、レーザ光Liとレーザ光Li’の波長が共にλ1であるとすると、レーザ光Li’単体の照射により形成されるホログラムのピッチ(Pitch)は「λ1/2cosθ」となる。
よって、「λ2/2=λ1/2cosθ」を満たすθを設定することで、第2の実施の形態のように波長λ1とλ2による2光を照射する場合と同じ多層ホログラム構造を実現することができる。
なお、上記により説明した変形例においては、レーザ光Liとレーザ光Li’とが干渉してしまうと透過型ホログラムが形成されてしまう。この透過型ホログラムの形成の防止を図るべく、上記変形例においては、レーザ光Liとレーザ光Li’の入射光同士及び反射光同士が干渉しないようにする。
具体的には、レーザ光Liとレーザ光Li’とを異なる2光源から得る、或いはこれらレーザ光Liとレーザ光Li’とを同一光源から得る場合にはこれらレーザ光Liとレーザ光Li’がホログラム記録材料層5’に到達するまでに光源のコヒーレント長よりも長い光路差を付けるなどして、レーザ光Liとレーザ光Li’の入射光同士及び反射光同士が干渉しないようにする。
ここで、上記変形例の場合も、ミラー6を外した状態でレーザ光Li及びレーザ光Li’を照射することで、ミラー6を設置した状態で形成したホログラムの強度を高めることができる。
なお、多層状のホログラムの形成(及び形成したホログラムの強化)にあって照射するレーザ光の数は2つに限定されるべきものではなく、3つ以上のレーザ光を照射することも可能であることは言うまでもない。
また、これまでの説明では、ディスク状のミラー6を用いるものとしたが、ミラー6の形状はディスク状に限定されるべきものではない。
また、これまでの説明ではディスク状のネガ型光記録媒体を製造することを前提としたが、ネガ型光記録媒体の形状はディスク状に限定されるべきものではなく、例えば矩形状などの他の形状とすることも有り得る。
また、これまでの説明では、回転とスライド移動とを組み合わせて光記録媒体の必要範囲の全域にホログラムを形成するものとしたが、例えばX−Yステージを利用して光記録媒体及びミラーを2次元的に動かすなど、他の駆動手法により上記必要範囲の全域にホログラムを形成することもできる。
また、上記必要範囲の全域にホログラムを形成するにあたっては、光記録媒体及びミラーの駆動を逐次停止させてホログラムを1つ1つ形成していく手法以外にも、光記録媒体及びミラーを連続的に動かして、ホログラムを連続的に形成していく手法を採ることもできる。
また、本技術は以下に示す構成を採ることもできる。
(1)
ホログラム記録材料層を有する光記録媒体の下面側にミラーを配置した状態で上記光記録媒体の上面側に光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成する
ネガ型光記録媒体製造方法。
(2)
上記ミラーを配置した状態で上記ホログラム記録材料層に上記ホログラムを形成した後、上記ミラーを外した状態で上記レーザ光を上記光記録媒体の上面側に対して照射する
上記(1)に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
(3)
上記レーザ光として、第1のレーザ光と第2のレーザ光とを上記光記録媒体の上面側に照射する
上記(1)又は(2)何れかに記載のネガ型光記録媒体製造方法。
(4)
上記第1のレーザ光、上記第2のレーザ光として、それぞれ波長の異なるレーザ光を照射する
上記(3)に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
(5)
上記第1のレーザ光、上記第2のレーザ光として、それぞれ上記光記録媒体に対する入射角の異なるレーザ光を照射する
上記(3)に記載の光記録媒体製造方法。
(6)
上記ミラーを配置した状態で上記ホログラム記録材料層に上記ホログラムを形成した後、上記ミラーを外した状態で上記第1のレーザ光と上記第2のレーザ光とを上記光記録媒体の上面側に対して照射する
上記(3)乃至(5)何れかに記載のネガ型光記録媒体製造方法。
1 ネガ型記録媒体、1’,1'' バルク型記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、4 中間層、5 ネガ型バルク層、5’,5'' ホログラム記録材料層、6 ミラー、10,30 初期化装置、11 レーザ(第1レーザ)、12 ミラー、13 回転駆動部、14 スライド駆動部、15 制御部、DT ディスク状駆動対象物、20,20’ 多層ネガ型記録媒体、21,21’ 記録層形成領域、HL ホログラム層、31 第2レーザ、32 ダイクロイックプリズム

Claims (7)

  1. ホログラム記録材料層を有する光記録媒体の下面側にミラーを配置した状態で上記光記録媒体の上面側に光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成する
    ネガ型光記録媒体製造方法。
  2. 上記ミラーを配置した状態で上記ホログラム記録材料層に上記ホログラムを形成した後、上記ミラーを外した状態で上記レーザ光を上記光記録媒体の上面側に対して照射する
    請求項1に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
  3. 上記レーザ光として、第1のレーザ光と第2のレーザ光とを上記光記録媒体の上面側に照射する
    請求項1に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
  4. 上記第1のレーザ光、上記第2のレーザ光として、それぞれ波長の異なるレーザ光を照射する
    請求項3に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
  5. 上記第1のレーザ光、上記第2のレーザ光として、それぞれ上記光記録媒体に対する入射角の異なるレーザ光を照射する
    請求項3に記載の光記録媒体製造方法。
  6. 上記ミラーを配置した状態で上記ホログラム記録材料層に上記ホログラムを形成した後、上記ミラーを外した状態で上記第1のレーザ光と上記第2のレーザ光とを上記光記録媒体の上面側に対して照射する
    請求項3に記載のネガ型光記録媒体製造方法。
  7. ホログラム記録材料層を有する光記録媒体であって、その下面側にミラーが配置された状態の上記光記録媒体の上面側に対し、光強度及び位相が一様なレーザ光を照射することで、該レーザ光と該レーザ光が上記ミラーにて反射して得られる反射レーザ光とを干渉させて、上記ホログラム記録材料層にホログラムを形成する
    初期化装置。
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