JP2014016132A - 空気調和機 - Google Patents

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雄二 井上
Hirokazu Kamota
廣和 加守田
Toshimitsu Hirota
利光 弘田
Takashi Sugio
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Abstract

【課題】省エネルギー性に優れた冷暖房を実現する空気調和機を提供する。
【解決手段】吹出口10から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根12を備え、上下風向変更羽根12は、吹出口10の近傍に回動自在に設けられた下羽根18及び上羽根20を備え、上羽根20は、下羽根18に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、下羽根18と上羽根20との間隔及び上羽根20と上羽根20と対向する吹出口10を形成するスタビライザ32との間隔を調整するように構成され、暖房時に、下羽根18と上羽根20との間隔が広く変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げるように制御するもので、温風を使用者の足元付近により多く当てることで、暖房運転の目標温度を所定温度幅だけより低い温度に設定して、室内に投入する熱量をより少なくしても、所望する暖かさを十分感じさせることが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、空気調和機に関するもので、特に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根の構造を有した空気調和機の制御に関するものである。
従来のこの種の空気調和機には、室内機の吹出口から吹き出される空気の向きを変更する風向変更羽根が設けられている。風向変更羽根は、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根と、吹出口から吹き出される空気の向きを左右に変更する左右風向変更羽根とで構成されている。
従来の空気調和機の上下風向変更羽根の構成としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。上記特許文献1には、空気調和機の運転時に、空気調和機の吹出口から吹き出される空気の向きを大きく変更するとともに、空気調和機の停止時には空気調和機の本体をコンパクトにすることを目的として、上下風向変更羽根を3つの羽根で構成したものが開示されている。
具体的には、特許文献1に開示された空気調和機の上下風向変更羽根は、風の流れ方向の上流側に位置する第1の羽根と、風の流れ方向の下流側に位置し、第1の羽根に2本のリンクにより連結された第2の羽根と、第2の羽根に取り付けられた第3の羽根とで構成されている。第1及び第2の羽根は、それぞれ定位置で固定された回動軸を中心として回動することにより、互いに直列に連結された位置と、互いに回動方向に離れた位置とに移動可能に構成されている。第3の羽根は、第1及び第2の羽根が互いに回動方向に離れて位置するときに、それらの間を風が通り抜けるのを防止するように設けられている。
特開2010−60223号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような従来の空気調和機の構成では、上下風向変更羽根は、吹出口から吹き出される空気を一方向のみに向ける構成となっているため、上部空間と下部空間の温度差をコントロールすることが困難で、使用者にとってより快適な空調環境を作り出すとともに、より省エネルギー性の高い冷暖房空調を実現するという点で未だ改善の余地があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、使用者にとってより快適な空調環境を作り出すとともにより省エネルギー性に優れた冷暖房空調を実現する空気調和機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と前記第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する
壁との間隔を調整するように構成され、暖房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔が広く変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げるように制御するもので、第2の羽根を移動することにより、吹出口から吹き出される空気を、第1の羽根と第2の羽根との間と、第2羽根と第2の羽根と対向する吹出口を形成する壁との間の二方向(例えば、室内の上部空間と下部空間)に向けるように分配し、分配する空気の風量を調整することによって、使用者の上半身と足元付近の温度差を所望の値にコントロールすることが可能になる。
そして、暖房時に、使用者の活動量が比較的小さいときには、室内に投入する熱量が同じであっても、吹出口から吹き出される空気の風量を室内の上部空間よりも下部空間により多く配分し、下部空間に吹き出された温風が使用者の足元付近により多く当たるようにすることによって、使用者の上半身の温度よりも足元付近の温度がより高くなり、使用者がより暖かく感じることができる。
このように、温風が使用者の足元付近により多く当たるようにして使用者の上半身の温度よりも足元付近の温度をより高くすることによって、暖房運転の目標温度を所定温度幅だけより低い温度に設定して、室内に投入する熱量をより少なくしても、使用者が所望する暖かさを感じさせることが可能となり、より省エネルギー性に優れた空調運転をすることができる。
また、本発明の空気調和機は、室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する壁との間隔を調整するように構成され、冷房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔がより広く変更され、且つ、前記第1の羽根と前記第2の羽根の向きが略水平ないし上向きから略水平よりも下向きに変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ上げるように制御するもので、冷房時に、使用者の活動量が比較的大きいときには、室内に投入する熱量が同じであっても、吹出口から吹き出される空気の風量を室内の上部空間よりも下部空間により多く配分し、下部空間に吹き出された冷風が使用者の上半身により多く当たるようにすることによって、使用者の足元付近の温度よりも上半身の温度がより低くなり、使用者がより涼しく感じることが出来る、
このように、冷風が使用者の上半身により多く当たるようにして使用者の足元付近の温度よりも上半身の温度をより低くすることによって、冷房運転の目標温度を所定温度幅だけより高い温度に設定して、室内に投入する熱量をより少なくしても、使用者が所望する涼しさを十分感じさせることが可能となり、変更前と同じ涼しさ感を維持しながら、より省エネルギー性に優れた空調運転をすることができる。
本発明の空気調和機は、使用者に快適な空調環境を作り出すとともにより省エネルギー性に優れた冷暖房空調を実現することができる。
本発明の実施の形態1にかかる空気調和機の室内機の縦断面図 同室内機を一部切り欠いて示す斜視図 同室内機の上羽根が並列位置に位置する状態を示す概略図 図3に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したままま同じ角度回動した状態を示す概略図 図3に示す状態から同上羽根が下羽根に近づいた状態を示す概略図 図5に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したままま同じ角度回動した状態を示す概略図 図5に示す状態から同上羽根が下羽根にさらに近づいた状態を示す概略図 図7に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したままま同じ角度回動した状態を示す概略図 同上羽根が下羽根と直列位置に位置する状態を示す概略図 冷房時において同室内機の上下風向変更羽根が図9に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図 冷房時において同上下風向変更羽根が図5に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図 冷房時において同上下風向変更羽根が図7に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図 暖房時において同上下風向変更羽根が図4に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図 暖房時において同上下風向変更羽根が図6に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図 暖房時において同上下風向変更羽根が図8に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図
第1の発明は、室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と前記第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する壁との間隔を調整するように構成され、暖房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔が広く変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げるように制御するもので、第2の羽根を移動することにより、吹出口から吹き出される空気を、第1の羽根と第2の羽根との間と、第2羽根と前記第2の羽根と対向する吹出口を形成する壁との間の二方向(例えば、室内の上部空間と下部空間)に向けるように分配し、分配する空気の風量を調整することによって、使用者の上半身と足元付近の温度差を所望の値にコントロールすることが可能になる。
そして、暖房時に、使用者の活動量が比較的小さいときには、室内に投入する熱量が同じであっても、吹出口から吹き出される空気の風量を室内の上部空間よりも下部空間により多く配分し、下部空間に吹き出された温風が使用者の足元付近により多く当たるようにすることによって、使用者の上半身の温度よりも足元付近の温度がより高くなり、使用者がより暖かく感じることができる。
このように、温風が使用者の足元付近により多く当たるようにして使用者の上半身の温度よりも足元付近の温度をより高くすることによって、暖房運転の目標温度を所定温度幅だけより低い温度に設定して、室内に投入する熱量をより少なくしても、使用者が所望する暖かさを感じさせることが可能となり、より省エネルギー性に優れた空調運転をすることができる。
第2の発明は、室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能
に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と前記第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する壁との間隔を調整するように構成され、冷房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔がより広く変更され、且つ、前記第1の羽根と前記第2の羽根の向きが略水平ないし上向きから略水平よりも下向きに変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ上げるように制御するもので、冷房時に、使用者の活動量が比較的大きいときには、室内に投入する熱量が同じであっても、吹出口から吹き出される空気の風量を室内の上部空間よりも下部空間により多く配分し、下部空間に吹き出された冷風が使用者の上半身により多く当たるようにすることによって、使用者の足元付近の温度よりも上半身の温度がより低くなり、使用者がより涼しく感じることが出来る。
このように、冷風が使用者の上半身により多く当たるようにして使用者の足元付近の温度よりも上半身の温度をより低くすることによって、冷房運転の目標温度を所定温度幅だけより高い温度に設定して、室内に投入する熱量をより少なくしても、使用者が所望する涼しさを十分感じさせることが可能となり、変更前と同じ涼しさ感を維持しながら、より省エネルギー性に優れた空調運転をすることができる。
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の空気調和機において、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げる乃至上げる制御を機能させるか否かを使用者が選択できる選択手段を設けたもので、使用者の体感の好みに応じて、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げたり、上げたりすることが出来る。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機の室内機の縦断面図、図2は、同室内機を一部切り欠いて示す斜視図、図3は、同室内機の上羽根が並列位置に位置する状態を示す概略図、図4は、図3に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したまま同じ角度回動した状態を示す概略図、図5は、図3に示す状態から同上羽根が下羽根に近づいた状態を示す概略図、図6は、図5に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したままま同じ角度回動した状態を示す概略図、図7は、図5に示す状態から同上羽根が下羽根にさらに近づいた状態を示す概略図、図8は、図7に示す状態から同上羽根と下羽根が略平行な状態を維持したままま同じ角度回動した状態を示す概略図、図9は、同上羽根が下羽根と直列位置に位置する状態を示す概略図、図10は、冷房時において同室内機の上下風向変更羽根が図9に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図、図11は、冷房時において同上下風向変更羽根が図5に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図、図12は、冷房時において同上下風向変更羽根が図7に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図、図13は、暖房時において同上下風向変更羽根が図4に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図、図14は、暖房時において同上下風向変更羽根が図6に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図、図15は、暖房時において同上下風向変更羽根が図8に示す状態にあるときに吹出口から吹き出される空気の流れを示す説明図である。
本実施の形態における空気調和機は、冷媒配管(図示せず)で互いに接続された室外機(図示せず)と室内機50とで構成されている。
図1において、室内機50は、本体2と、本体2の前面開口部2aを開閉自在に塞ぐ可動式の前面パネル4とを備えている。空気調和機の運転停止時においては、前面パネル4
は、本体2に密着して前面開口部2aを閉じるように設けられている。一方、空気調和機の空調運転時において、前面パネル4は、本体2から離反する方向に移動して前面開口部2aを開放するように設けられている。なお、図1は、前面パネル4が前面開口部2aを閉じた状態を示している。
本体2の内部には、熱交換器6と、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入れられた室内空気を熱交換器6で熱交換して室内に吹き出すためのファン8と、熱交換した空気を室内に吹き出す吹出口10を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下風向変更羽根12と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右風向変更羽根14とが設けられている。
また、前面開口部2a及び上面開口部2bと熱交換器6との間には、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入られた室内空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ16が設けられている。
上下風向変更羽根12は、第1の羽根の一例である下羽根18と、下羽根18の上方に設けられた第2の羽根の一例である上羽根20とを備えている。上下風向変更羽根12は、下羽根18と上羽根20とを協働させて、吹出口10から吹き出される空気の吹き出し方向を制御するように構成されている。また、下羽根18は、回動軸22を中心として回動自在に設けられている。上羽根20は、後述するリンクアーム36a、36bによって下羽根18と略平行に保たれた状態で自由に下羽根18に対して近接・離間できるように設けられている。
左右風向変更羽根14は、例えば、室内機50の正面から見て左側に位置する一組の羽根14aと、右側に位置する一組の羽根14aとで構成されている。各一組の羽根14aは、複数枚(例えば、4枚)の羽根14aで構成されている。また、各一組の羽根14aは、それぞれ別々の駆動源(例えば、駆動モータ)26に連結され、駆動源26により独立して制御される。
空気調和機が空調運転を開始すると、上下風向変更羽根12が開制御されて吹出口10が開放される。この状態でファン8が駆動されることで、室内空気が前面開口部2a及び上面開口部2bを介して室内機50の内部に取り入れられる。取り入れられた室内空気は、熱交換器6で熱交換が行われ、ファン8を通過し、ファン8の下流側に形成された通風路28を通過して、吹出口10より吹き出される。
吹出口10からの空気の吹き出し方向は、上下風向変更羽根12及び左右風向変更羽根14により制御される。上下風向変更羽根12及び左右風向変更羽根14の角度調整などの動作は、室内機50を制御する制御装置(図示せず)により制御される。
吹出口10の上流側に位置する通風路28は、ファン8の下流側に位置するリアガイダ30と、ファン8の下流側に位置しリアガイダ30に対向するスタビライザ32と、本体2の両側壁(図示せず)とで形成されている。
なお、上述した用語「スタビライザ」は、ファン8の下流近傍に位置し、ファン8の前部付近に発生する渦を安定化させるスタビライザと、このスタビライザの下流側に位置し、ファン8により搬送される空気の圧力回復を担うディフューザの前部の上側を構成する壁部分に分けることもできるが、ここでは、これらを総称して「スタビライザ」という。
また、前面パネル4には、図2に示すように、人の活動量を検知する活動量検知装置の一例として人感センサユニット34が設けられている。ここで、「人の活動量」とは、人
の動きの度合いを示す概念であり、例えば、「安静」、「活動量大」、「活動量小」などの複数の活動量レベルに分類されるものである。
「安静」とは、例えば、ソファでくつろいでいるときのようなほとんど活動がない場合をいう。「活動量大」とは、掃除しているときやアイロン掛けをしているときのような頻繁に活動している場合をいう。「活動量小」とは、食事をしているときのような多少活動している場合をいう。人感センサユニット34としては、特に限定されるものではなく、従来公知のもの(例えば、特開2008−215764号公報等参照)を使用することができる。
次に、上下風向変更羽根12の構成について、さらに詳しく説明する。図3〜図9は、上下風向変更羽根12の構成を示す概略図である。なお、図3〜図9においては、スタビライザ32の前端部とリアガイダ30の前端部とを結ぶ仮想曲線で吹出口10の位置を示している。
上下風向変更羽根12は、上述したように、下羽根18と上羽根20とを備えている。下羽根18と上羽根20とは、吹出口10の近傍に回動自在に設けられている。より具体的には、下羽根18の回動軸22は、吹出口10の下端部10aの近傍に設けられ、定位置で固定されている。一方、上羽根20の回動軸24は、定位置では固定されず、下羽根18に対して相対的に近接・離間するように移動可能に設けられている。
即ち、下羽根18と上羽根20とは、略平行な状態を維持するように連結されている。本実施の形態では、下羽根18と上羽根20とは、それぞれ一対のリンクアーム36a、36bに枢動可能に連結され、これにより、4節リンク機構が構成されている。一方のリンクアーム36aは、下羽根18の回動軸22と上羽根20の回動軸24とに枢動可能に連結されている。他方のリンクアーム36bは、下羽根18の回動軸22から風の流れ方向の下流側に離れた部分と、上羽根20の回動軸24から風の流れ方向の下流側に離れた部分とに枢動可能に連結されている。
なお、「略平行な状態」とは、下羽根18と上羽根20とが完全に平行な状態のみならず、巨視的に見て概ね平行な状態も含むことを意味する。下羽根18及び上羽根20として、直線形状や同一の厚さを有するものだけでなく、湾曲していたり、段差部が設けられたものを使用することができるからである。
また、下羽根18の回動軸22には、下羽根18を回動させる駆動モータ等の角度調整用の駆動源38が連結されている。駆動源38の駆動力により下羽根18が回動軸22を中心として回動することによって、下羽根18の回動動作にリンクして上羽根20が下羽根18に対して略平行な状態を維持しつつ回動軸24を中心として回動する。
これにより、図3及び図4若しくは図5及び図6若しくは図7及び図8に示すように、下羽根18及び上羽根20の両方の角度が調整される。より具体的には、下羽根18が回動軸22を中心として矢印A1方向に回動することにより、上羽根20が回動軸24を中心としてA1方向に回動する。一方、下羽根18が回動軸22を中心として矢印A1方向とは反対方向に回動することにより、上羽根20が回動軸24を中心としてA1方向と反対方向に回動する。下羽根18及び上羽根20の両方の角度を調整することにより、吹出口10から吹き出される空気の向きが調整される。
また、下羽根18の回動軸22と同軸上には、リンクアーム36aを回動させる駆動モータ等の間隔調整用の駆動源40が配置されている。駆動源40の駆動力によりリンクアーム36aが回動軸22を中心として回動することによって、リンクアーム36aの回動
動作にリンクしてリンクアーム36bが回動する。
これにより、図3、図5、図7に示すように、上羽根20の回動軸24が下羽根18に対して近づく又は離れるように移動する。より具体的には、リンクアーム36aが回動軸22を中心として矢印A2方向に回動することにより、上羽根20の回動軸24が下羽根18に対して近づくように移動する。一方、リンクアーム36aが回動軸22を中心として矢印A2方向とは反対方向に回動することにより、上羽根20の回動軸24が下羽根18に対して離れるように移動する。
図3に示す状態から図5に示す状態まで上羽根20の回動軸24が下羽根18に近づくことにより、下羽根18と上羽根20との間隔が狭くなり、上羽根20とスタビライザ32との間隔が広がる。これにより、吹出口10から吹き出される空気が二方向(例えば、上部空間と下部空間)に向かうように分配される。
また、図5に示す状態から図7に示す状態まで上羽根20の回動軸24が下羽根18に近づくことにより、下羽根18と上羽根20との間隔がさらに狭くなり、上羽根20とスタビライザ32との間隔がさらに広がる。これにより、下羽根18と上羽根20との間を通過する空気の風量が小さくなり、上羽根20とスタビライザ32との間を通過する空気の風量が大きくなる。
上述のように、上羽根20の回動軸24が下羽根18に対して近づく又は離れるように移動することによって、下羽根18と上羽根20との間を通過する空気の風量と、上羽根20とスタビライザ32との間を通過する空気の風量とが調整される。
また、駆動源40の駆動力によりリンクアーム36a、36bが回動するとき、上羽根20の上流側端部20aは、吹出口10を示す仮想曲線に対して風の流れ方向の上流側又は下流側に移動する。図3〜6に示す状態のとき、上羽根20の上流側端部20aは、吹出口10を示す仮想曲線に対して風の流れ方向の上流側に位置する。
例えば、図3に示す状態から図7に示す状態までリンクアーム36a、36bが回動することにより、上羽根20の上流側端部20aは、吹出口10を示す仮想曲線に対して風の流れ方向の上流側から下流側に移動する。この時、上羽根20の上流側端部20aから、スタビライザ32及び下羽根18へのそれぞれに対する距離の割合が変化し、この割合に応じてスタビライザ32の上側の壁面に略平行に吹き出す風量と、上羽根20および下羽根18に略平行に吹き出す風量との割合を自在に変動させ、快適な空調空間を実現することが出来る。
また、図3〜図9に示すように、上羽根20は、空調運転時において、下羽根18に対して並列に位置する並列位置B1と直列に連結される直列位置B2とに移動可能に構成されている。上羽根20の並列位置B1と直列位置B2との間の移動は、駆動源40の駆動力によりリンクアーム36aが回動軸22を中心として回動することによって行われる。
図9に示すように、上羽根20が直列位置B2に移動したとき、上下風向変更羽根12の見かけ上の長さが最大になる。これにより、吹出口10から吹き出される空気をより遠くまで供給することができる。なお、図9に示す状態において、上羽根20の上流側端部20aは、吹出口10を示す仮想曲線よりも風の流れ方向の下流側に位置している。
なお、上羽根20が直列位置B2に移動したとき、下羽根18の表面と上羽根20の表面とは、面一であることが好ましい。これにより、整流効果が増大し吹出口10から吹き出される空気の流れを妨げず、空気の整流効果を向上させることができる。また、下羽根
18及び上羽根20の裏面側についても面一であること好ましい。これにより、デザイン性を向上させることができるとともに、僅かながらも前記空気の整流効果を向上させることができる。また、下羽根18には、一対のリンクアーム36a、36bを収容する凹部(図示せず)が形成されることが好ましい。
また、上羽根20が直列位置B2に移動したとき、上羽根20の後端部と下羽根18の前端部とが重なるように構成されることが好ましい。また、この場合、図9に示すように、下羽根18の前端部には、上羽根20の後端部を受け入れる段差部18aが設けられることがさらに好ましい。これにより、上羽根20の後端部と下羽根18の前端部との間から吹出口10から吹き出される空気が漏れて、空気の整流効果が低下することを抑えることができる。また、上羽根20の後端部と下羽根18の前端部とが重なるように構成することで、上羽根20を長くしても同じ収容スペースで収容することができるので、上羽根20を長くすることが可能になる。
なお、上記実施の形態では、リンクアーム36a、36bの回動により上羽根20が移動することを説明するために、上羽根20の上流側端部20aの位置に着目して説明したが、上流側端部20aは、必ずしも吹出口10を示す仮想曲線を通過するように設けられる必要はない。また、この場合、上羽根20の回動軸24が、吹出口10を示す仮想曲線に対して風の流れ方向の上流側又は下流側に移動するように構成されてもよい。
次に、空調運転時の上下風向変更羽根12の好ましい制御動作について説明する。
冷房時においては、活動量レベルが「安静」に近い場合ほど、室内の上部空間と下部空間の温度をなるべく均一にし、なお且つ冷風を体に直接当てないようにすることが使用者にとって快適であると考えられている。例えば、活動量レベルが「安静」の場合には、室内の上部空間と下部空間の温度差を約0℃、さらに室内の上部空間と下部空間の風速は気流感を感じない風速でいずれも約0.2m/s以下にすると、使用者が快適に感じることが知られている。
このため、冷房時においては、図9に示すように、上羽根20が直列位置B2に移動するように駆動源38及び駆動源40を制御することが好ましい。これにより、上下風向変更羽根12の見かけ上の長さが最大になり、空気の整流効果が向上する。冷房時において室内機の内部で冷やされた空気(冷風)は、暖かい空気より重いため吹出口10から床面に向けて下降しようとするが、上下風向変更羽根12の見かけ上の長さが長くなることにより、空気の向きを天井面に沿う方向に変更することができる。これにより、図10に示すように、吹出口10から吹き出される空気(冷風)を天井面に沿って室内機50が設置される壁面と対向する壁面まで供給することができ、室内の上部空間と下部空間の温度をより均一にすることができるとともに、使用者には冷風が直接当たらないようにすることができる。
また、冷房時であっても、室内の温度が高い冷房初期の場合や、活動量レベルが「活動量大」に近い場合ほど、使用者が暑く感じやすい状況であるため、冷風の一部を使用者の上半身に直接当てて体感温度を下げる方が、使用者にとって快適であると考えられる(例えば、活動量レベルが「活動量大」の場合には、室内の上部空間を下部空間よりも約1℃低くなるように温度差をつけ、さらに室内の上部空間は適度な気流感を感じる風速約0.5m/s前後にすると、使用者が快適に感じることを本発明者らは見出した)。
このため、冷房初期や「活動量大」の場合においては、図5又は図7に示す位置に上羽根20が移動するように駆動源38及び駆動源40を制御することが好ましい。これにより、図11又は図12に示すように、吹出口10から吹き出される空気を天井面に沿う方
向と使用者に向かう方向の二方向に分配することができる。
さらに、活動量レベルが同じ「活動量大」の場合であっても、例えば、上羽根が図7に示す位置で運転中において、使用者が、空調運転の目標温度(=設定温度)を変えずに足元付近の温度と上半身の温度の温度差をより大きくしたい、つまり、体の全体的な暑さ寒さ感(=体感温度)は、変えずに足元付近の温度よりも上半身の温度をより低くしたいと選択手段の一つであるリモコン(図示せず)等の操作で要望した場合は、上羽根20の設定を変更して図5に示す位置に移動することにより、吹出口10から吹き出される空気(冷風)を、図11に示す状態から図12に示す状態に変化させて、使用者の上半身により多く冷風が当たるようにする。
しかし、このままの状態では使用者の体感温度が低下し過剰に冷やしすぎる可能性があるため、空調運転の目標温度を約1℃くらい高い設定に変更することによって、使用者にとって快適な体感温度を維持したまま、より省エネルギー性の高い冷房を実現することができる。
また、暖房時においては、活動量レベルが比較的小さいとき(例えば、安静時や読書、食事をしているとき等)は、室内の上部空間と下部空間の温度差を大きくし、使用者の上半身の温度よりも足元の温度をより高くすることが使用者にとって快適であると考えられている。(例えば、活動量レベルが「安静時」の場合には、室内の下部空間を上部空間よりりも約6℃高くなるように温度差をつけると、使用者が快適に感じることを本発明者らは見出した)。
このため、暖房時においては、図4又は図6に示す位置に上羽根20が移動し、且つ、上下風向変更羽根12の角度が下向きになるように駆動源38及び駆動源40を制御することが好ましい。暖房時において室内機50の内部で温められた空気(温風)は、吹出口10から上方に浮き上がろうとするが、上羽根20が並列位置B1に移動し且つ、上下風向変更羽根12の角度を下向きにすることにより、吹き出される殆どの空気の向きを下方に変更することができる。これにより、図13及び図14に示すように、吹出口10から吹き出される空気(温風)をより多く床面に向けて供給することができ、使用者の足元の温度を高くすることができる。
さらに、活動量レベルが同じ「安静時」の場合であっても、例えば、上羽根20が図6に示す位置で運転中において、使用者が足元付近の温度と上半身の温度の温度差をより大きくしたい、つまり、上半身の温度よりも足元付近の温度をさらに高くしたいとリモコン等の操作で要望した場合は、上羽根20の設定を変更して図4に示す位置に移動することにより、吹出口10から吹き出される空気(温風)を、図14に示す状態から図13に示す状態に変化させて、使用者の足元付近により多く温風が当たるようにする。しかし、このままの状態では、使用者の体感温度が上昇し過剰に暖めすぎる可能性があるため、空調運転の目標温度を約1℃くらい低い設定に変更することによって、使用者にとって快適な体感温度を維持したまま、より省エネルギー性の高い暖房を実現することができる。
なお、上羽根20を直列位置B2に移動させるのは、冷房時に限定されものではなく、暖房時であってもよい。また、上羽根20を並列位置B1に移動させるのは、暖房時に限定されものではなく、冷房時であってもよい。すなわち、吹出口10から空気を供給する目標地点までの距離が長いときに上羽根20を直列位置B2に移動させ、吹出口10から空気を供給する目標地点までの距離が短いときに上羽根20を並列位置B1に移動させればよい。
また、安静時や活動時などの使用者の状況に応じて、使用者が快適と感じる室内の上部
空間と下部空間の温度差が異なる。このため、人感センサユニット34の検知信号に基づいて下羽根18と上羽根20との間隔を調整することが好ましい。図3、図5、図7に示すように、下羽根18と上羽根20との間隔を調整することにより、吹出口10から吹き出される空気を二方向(例えば、上部空間と下部空間)に向けるように分配し、分配する空気の風量を調整することができる。これにより、上部空間と下部空間の温度差を所望の値にコントロールすることが可能になる。
以上、本実施の形態によれば、上羽根20を移動することにより、吹出口10から吹き出される空気を、下羽根18と上羽根20との間と、上羽根20とスタビライザ32との間の二方向に向けるように分配することにより、分配する空気の風量を調整し、上部空間と下部空間の温度差をコントロールすることができる。
また、上部空間と下部空間の温度差の変更によって生じる使用者の体感温度の変化に応じて、空調の目標温度を調節することにより、より快適な空調環境を作り出すとともに暖めすぎや冷やしすぎになることなくより省エネルギー性に優れた冷暖房を実現することができる。
また、このように冷房時及び暖房時において空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げる乃至上げる各々の制御を機能させるか否かは、リモコン等での操作により選択できるようにすることによって、使用者の体感の好みや生活シーンに適応した冷暖房運転を行うことができる。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施の形態では、下羽根18の回動軸22が定位置で固定され、上羽根20の回動軸24が移動可能に構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、上羽根20と下羽根18とが所定の距離を保ち、リンクアーム36a、36bが枢動することなく固定された状態で上羽根20と下羽根18とが相対位置を保ったまま、回動軸22を中心に回動させるようにしてもよい。
また、上羽根20の回動軸24が定位置で固定され、下羽根18の回動軸22が移動可能に構成されてもよい。すなわち、下羽根18と上羽根20のいずれか一方が定位置で固定され、下羽根18と上羽根20のいずれか他方が移動可能に構成されていればよい。
また、前記実施の形態では、下羽根18と上羽根20とを一対のリンクアーム36a、36bにより略平行な状態を維持するように連結したが、本発明はこれに限定されない。例えば、下羽根18と上羽根20とをジャッキのような部材で連結してもよい。
また、前記実施の形態では、上羽根20が下羽根18の前方に移動して互いに直列に連結されるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上羽根20が下羽根18の後方に移動して互いに直列に連結されるようにしてもよい。
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、使用者の状況に応じてより快適で且つより省エネルギー性に優れた冷暖房が実現できるので、一般家庭で使用される空気調和機を含む様々な空気調和機として有用である。
2 本体
2a 前面開口部
2b 上面開口部
4 前面パネル
6 熱交換器
8 ファン
10 吹出口
12 上下風向変更羽根
14 左右風向変更羽根
16 フィルタ
18 下羽根(第1の羽根)
18a 段差部
20 上羽根(第2の羽根)
22、24 回動軸
26、38、40 駆動源
28 通風路
30 リアガイダ
32 スタビライザ(壁)
34 人感センサユニット
36a、36b リンクアーム
50 室内機

Claims (3)

  1. 室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と前記第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する壁との間隔を調整するように構成され、暖房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔が広く変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げるように制御することを特徴とする空気調和機。
  2. 室内機に、吹出口から吹き出される空気の向きを上下に変更する上下風向変更羽根を設け、前記上下風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機において、前記上下風向変更羽根は、前記吹出口の近傍に回動自在に設けられた第1及び第2の羽根を備え、前記第2の羽根は、前記第1の羽根に対して近づく又は離れるように移動可能に構成されると共に、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔及び前記第2羽根と第2の羽根と対向する前記吹出口を形成する壁との間隔を調整するように構成され、冷房時において、前記第1の羽根と前記第2の羽根との間隔がより広く変更され、且つ、前記第1の羽根と前記第2の羽根の向きが略水平ないし上向きから略水平よりも下向きに変更された場合に、空調運転の目標温度を所定温度幅だけ上げるように制御することを特徴とする空気調和機。
  3. 空調運転の目標温度を所定温度幅だけ下げる乃至上げる制御を機能させるか否かを使用者が選択できる選択手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
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