JP2014014293A - Ppar活性物質検出形質転換酵母及びppar活性物質検出方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】
PPAR活性物質及びPPAR活性物質を産出する微生物を簡易にスクリーニングできる形質転換酵母を提供する。
【解決手段】
本発明の形質転換酵母は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写共役因子ベクターを組み込むことなく、転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質の検出を可能とした。
【選択図】 図3
PPAR活性物質及びPPAR活性物質を産出する微生物を簡易にスクリーニングできる形質転換酵母を提供する。
【解決手段】
本発明の形質転換酵母は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写共役因子ベクターを組み込むことなく、転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質の検出を可能とした。
【選択図】 図3
Description
本発明は、PPAR活性物質検出可能な形質転換酵母、前記形質転換酵母を用いたPPAR活性物質検出方法及びPPAR活性物質を生成する微生物のスクリーニング方法に関する。
脂質代謝において、細胞内の核内受容体であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)が代謝制御に関与していることが知られており、このPPARに作用する成分があれば、PPARを活性化することにより、脂質の消費が向上して、結果として体内の脂質の低減、メタボリックシンドロームの対策として有効性があると期待されている。
先行技術として、PPAR活性物質を検出する方法に形質転換酵母を用いる方法が特許文献1に開示されているが、この先行技術の形質転換酵母には、PPARと結合し転写を促進する転写共役因子を酵母中に組み込む必要があり、組み込むための工程が余分に必要であった。
PPAR活性物質を検出するのに用いる形質転換酵母であって、その形質転換酵母がより少ない工程で作り出せること及びその形質転換酵母を用いてPPAR活性を検出すること、特に微生物が混在するような環境であってもPPAR活性を検出できることが課題であった。
本発明は、形質転換酵母に転写共役因子ベクターを組み込まなくても、PPAR活性物質を検出することができる形質転換酵母を見出し、発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記に記載の事項を特徴とするものである。
[1] ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質を検出可能としたことを特徴とする形質転換酵母。
[2]前記転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクターが、酵母のタンパク質発現プロモーターの下流に転写因子のDNA結合領域とPPARリガンド結合領域の融合遺伝子を挿入したベクターであり及び前記レポーター遺伝子発現ベクターがレポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターを有するベクターであることを特徴とする前記[1]記載の形質転換酵母。
[3]前記酵母のタンパク質発現プロモーターがADH1プロモーターであり、前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域がGal4のDNA結合領域であり、前記レポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターがGal1プロモーターであることを特徴とする前記[2]記載の形質転換酵母。
[4]前記PPARが、PPARα、PPARδ、PPARγのいずれかであることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の形質転換酵母。
[5]前記レポーター遺伝子がオワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の形質転換酵母。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の形質転換酵母と検査対象物質を混合し、前記形質転換酵母のレポーター遺伝子の発現を検知することにより前記対象物質中に含まれるPPARリガンド物質を検出することを特徴とするPPAR活性物質検出方法。
すなわち、本発明は、下記に記載の事項を特徴とするものである。
[1] ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質を検出可能としたことを特徴とする形質転換酵母。
[2]前記転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクターが、酵母のタンパク質発現プロモーターの下流に転写因子のDNA結合領域とPPARリガンド結合領域の融合遺伝子を挿入したベクターであり及び前記レポーター遺伝子発現ベクターがレポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターを有するベクターであることを特徴とする前記[1]記載の形質転換酵母。
[3]前記酵母のタンパク質発現プロモーターがADH1プロモーターであり、前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域がGal4のDNA結合領域であり、前記レポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターがGal1プロモーターであることを特徴とする前記[2]記載の形質転換酵母。
[4]前記PPARが、PPARα、PPARδ、PPARγのいずれかであることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の形質転換酵母。
[5]前記レポーター遺伝子がオワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の形質転換酵母。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の形質転換酵母と検査対象物質を混合し、前記形質転換酵母のレポーター遺伝子の発現を検知することにより前記対象物質中に含まれるPPARリガンド物質を検出することを特徴とするPPAR活性物質検出方法。
本発明の形質転換酵母は、酵母に転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込んだもので、転写共役因子ベクターを組み込まなくてもレポーター遺伝子を発現することが可能であるので、組み込む遺伝子構成が少ないことから試験酵母である形質転換酵母の作製が容易であり、転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質の発現が容易であるという特徴を有している。
すなわち、本発明の形質転換酵母は、PPARリガンド結合領域のcDNAを転写活性の強い転写因子のDNA結合領域cDNAと結合させているため、転写共役因子ベクターを組み込まなくてもレポーター遺伝子を発現することが可能である前記特徴を発揮するものである。
本発明の形質転換酵母を用いたPPAR活性物質の検出は、動物細胞を用いたPPAR活性検出法に比べて微生物が混在している条件下においてもPPAR活性物質を検出することが可能である。そして、微生物共存下でPPARの評価試験が可能なため、PPAR活性物質のスクリーニングだけでなく、PPAR活性物質を生産する微生物のスクリーニングにも利用することができる。すなわち、本発明により、PPARを生産する微生物が、簡単な操作により、短時間かつ高感度でスクリーニングすることが可能になった。
さらには本発明の形質転換酵母のレポーター遺伝子をオワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)とすることにより他のレポーター遺伝子による遺伝子産物(酵素)のように基質を添加することなく蛍光を発する形質転換酵母とすることが出来る。
本発明の形質転換酵母は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質を検出可能としたことを特徴とする形質転換酵母である。
スクリーニング対象のPPARはその対象によってPPARα、PPARδ、PPARγのいずれかとすることができる。PPARαは主に肝臓に発現し、脂肪酸代謝に関わる遺伝子群を活性化する。PPARδは組織全般に発現しインシュリン抵抗性の改善、脂質代謝改善に関与する。PPARγは主に脂肪細胞に発現し脂肪細胞の分化を制御する。
本発明の形質転換に用いられる酵母は、一般的な酵母菌であれば特に限定されることはないが、酵母菌の中でもサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastris)、カンジダ・ボイニイ(Candida boidinii)等が好ましく特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。
本発明の形質転換酵母は、上記した酵母に通常用いられるベクターの挿入方法によって転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによって得ることができる。
酵母にベクターを導入する通常の方法としては、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法等の方法がある。
酵母にベクターを導入する通常の方法としては、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法等の方法がある。
上記の転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクターは、転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質を発現可能にするベクターであり、前記融合タンパク質発現ベクターは各市販の酵母用タンパク質発現ベクターを利用し、酵母のタンパク質発現プロモーターの下流に転写因子のDNA結合領域cDNAとPPARリガンド結合領域cDNAの融合遺伝子をDNAライゲーション法などの通常用いられる遺伝子の挿入方法によって挿入することによって作製されるベクターである。
転写因子のDNA結合領域cDNAは、酵母、大腸菌などの微生物から一般的にPCR法を用いて増幅することにより獲得する。例えば、転写因子であるGal4及びADR1は酵母から、転写因子であるLexAは大腸菌から獲得することができる。また、PPARリガンド結合領域のcDNAは、動物の細胞から、一般的にPCR法を用いて増幅することにより獲得する。例えば、PPARαの場合はヒト肝臓組織由来のcDNAライブラリーから、PPARγの場合はヒト脂肪組織由来のcDNAライブラリーから、PPARδの場合はヒト骨肉腫細胞由来のcDNAライブラリーから獲得することができる。
そして、転写因子のDNA結合領域cDNAとPPARリガンド結合領域のcDNAをこの順序にDNAリガーゼを用い結合することにより転写因子のDNA結合領域cDNAとPPARリガンド結合領域cDNAの融合遺伝子を作製する。
前記融合遺伝子の末端に制限酵素切断部位を挿入し、制限酵素処理を行い、また前記タンパク質発現ベクターも同様の制限酵素処理を行い、DNAリガーゼを用いて前記融合遺伝子と前記タンパク質発現ベクターを結合することにより、前記転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクターを作製することができる。
本発明において、転写因子のDNA結合領域cDNAがPPARリガンド結合領域cDNAと結合した融合タンパク質発現ベクターは、転写因子−PPARリガンド結合領域融合タンパク質を生成する。前記融合タンパク質の転写因子は、転写共役因子ベクターを組み込まなくてもレポーター遺伝子を発現することが可能な転写活性の強い転写因子である必要があり、転写活性の強い本発明に用いられる転写因子として、Gal4、LexA、ADR1等がある。
酵母のタンパク質発現プロモーターは、各市販の酵母用のタンパク質発現ベクターの中に存在するプロモーターを利用することができる。酵母のタンパク質発現ベクターに含まれるタンパク質発現プロモーターとしてADH1プロモーター、PDC1プロモーター、CYC1プロモーター等がある。
レポーター遺伝子発現ベクターは、各種市販のレポーター遺伝子発現ベクターを用いて、PCR法などの通常用いられる遺伝子の挿入方法によってレポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーター遺伝子を挿入することによって作ることができる。前記プロモーター遺伝子を例示すると、転写因子がGal4の場合は、Gal1プロモーター遺伝子であり、転写因子がLexAの場合はLexAオペロンであり、転写因子がADR1である場合はADR1トランス活性化ドメインである。
各種市販等で入手できるレポーター遺伝子発現ベクターのレポーター遺伝子としては、オワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)、ホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子(Luc)、大腸菌由来のβガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)等があげられる。
上記のレポーター遺伝子の中でもオワンクラゲのGFP遺伝子(GFP)を用いることが特に好ましい。レポーター遺伝子としてオワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)を用いることにより他のレポーター遺伝子による遺伝子産物のように基質を添加することなく蛍光を発する形質転換酵母とすることが出来る。
本発明の形質転換酵母のレポーター遺伝子が発現するメカニズムを次に説明する。
前記形質転換酵母を25℃〜35℃で20時間から72時間程度振とう培養することにより、前記形質転換酵母内に転写因子−PPARリガンド結合融合タンパク質が生成する。
前記転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質のPPARリガンド結合部位に検査対象のPPARリガンド物質が結合すると、前記タンパク質の転写因子DNA結合部位がレポーター遺伝子発現ベクター上の転写因子のDNA結合領域上に結合し、下流のレポーター遺伝子が発現する。前記転写因子は、転写活性が強いため、共役転写因子を添加しなくてもレポーター遺伝子の転写が起こる。
次に本発明の形質転換酵母を用いてPPAR活性物質を検出する方法について説明する。
PPAR活性物質の検出方法は、前記形質転換酵母と検査対象物質を混合することにより、前記形質転換酵母のレポーター遺伝子の発現を検知することで前記対象物質中に含まれるPPARリガンド物質を検出することができる。
本発明の形質転換酵母を培養した培地に検査対象物を添加、もしくは検査対象物と培地の混合物に前記形質転換酵母を添加、もしくは検査対象物と前記形質転換酵母を培地中に添加した後に、一定期間培養を行いレポーター遺伝子の発現量を発色確認、可視光もしくは蛍光の検出等を行うことにより、検査対象物中のPPARリガンド物質の量を測定することができる。前記一定期間培養の条件は、一般的には、温度25℃〜40℃、より好ましくは28℃〜32℃、培養時間は20時間から72時間である。PPARリガンド量が多いほどレポーター遺伝子の発現量は多く、発色、可視光量、蛍光量は多い。
添加する形質転換酵母の量は103個から105個、より好ましくは104個のオーダーである。
添加する形質転換酵母の量は103個から105個、より好ましくは104個のオーダーである。
上記の培地としては、形質転換酵母が培養可能な培地であれば、特に限定されるものではないが、例えばYM培地、YPD培地、SD培地等が一般に用いられる。
本発明の形質転換酵母を用いて、例えばPPARαに対する作用薬のスクリーニングを行うことができる。PPARαのリガンドとしては、クロフィブラートなどのフィブラート系の化合物や、天然物では共役不飽和脂肪酸が同定されている。PPARαのリガンド物質は、脂肪酸β酸化を活性化することから高脂血症の予防、改善が期待される。
本発明の形質転換酵母を用いて、前記のPPARの作用薬はもちろんのこと、微生物、植物、動物などの生物からの抽出液および薬品を含む合成化学物質などが上記の検査対象物となる。さらには、PPAR活性物質生成微生物を上記の検査対象物とすることにより、PPAR活性物質生成微生物をスクリーニングすることが可能である。
また、本発明の形質転換酵母を用いて、PPAR活性物質生成微生物が上記検査対象物とする場合も前記と同様に実施することができる。その一例を、形質転換酵母をスクリーニング対象物を含んだ培地に添加する方法により説明する。スクリーニング対象物を形質転換酵母を培養する培地溶液で希釈し、その中にPPARのリガンドを検出することが可能な形質転換酵母を添加して、一定期間培養することにより、前記形質転換酵母の発色確認又は可視光若しくは蛍光の検出等をすることによってスクリーニングすることができる。培養は、前記に示した一般的な培養条件で行うことが出来る。
以下、実施例により、本発明を詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1) 形質転換酵母の作製
(1)PPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクターの構築
Gal4のDNA結合部位(1〜147)のcDNAを酵母(Saccharomyces cerevisiae)からPCR法により取得した。また、PPARαのリガンド結合部位のcDNAを、ヒト肝臓組織由来のcDNAライブラリーからPCR法によって取得した。Gal4のDNA結合部位(1〜147)のcDNAとPPARαのリガンド結合部位のcDNAをDNAリガーゼを用いて結合することにより、Gal4−PPARαリガンド結合部位融合遺伝子を作製した。取得した融合遺伝子のcDNAの前記Gal4側の末端にSalIの制限酵素部位を挿入し、PPARα側の末端にKpnIの制限酵素部位を挿入し、制限酵素処理を行った。そして、市販のpAUR123ベクター(タカラバイオ社製)をSalI、KpnIの制限酵素処理を行い、前記制限酵素処理を行った融合遺伝子のcDNAをDNAリガーゼを用いて上記のようなpAUR123ベクター(タカラバイオ社製)のADH1プロモーターの下流に挿入し、PPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクターを構築した(図1)。本ベクターは抗生物質オーレオバシジンの耐性遺伝子AUR1を保有し、本ベクターが形質転換された酵母はオーレオバシジン添加した培地で耐性を有する。
(1)PPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクターの構築
Gal4のDNA結合部位(1〜147)のcDNAを酵母(Saccharomyces cerevisiae)からPCR法により取得した。また、PPARαのリガンド結合部位のcDNAを、ヒト肝臓組織由来のcDNAライブラリーからPCR法によって取得した。Gal4のDNA結合部位(1〜147)のcDNAとPPARαのリガンド結合部位のcDNAをDNAリガーゼを用いて結合することにより、Gal4−PPARαリガンド結合部位融合遺伝子を作製した。取得した融合遺伝子のcDNAの前記Gal4側の末端にSalIの制限酵素部位を挿入し、PPARα側の末端にKpnIの制限酵素部位を挿入し、制限酵素処理を行った。そして、市販のpAUR123ベクター(タカラバイオ社製)をSalI、KpnIの制限酵素処理を行い、前記制限酵素処理を行った融合遺伝子のcDNAをDNAリガーゼを用いて上記のようなpAUR123ベクター(タカラバイオ社製)のADH1プロモーターの下流に挿入し、PPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクターを構築した(図1)。本ベクターは抗生物質オーレオバシジンの耐性遺伝子AUR1を保有し、本ベクターが形質転換された酵母はオーレオバシジン添加した培地で耐性を有する。
(2)Gal1−GFPレポーター遺伝子発現ベクターの構築
Gal1プロモーター遺伝子配列を酵母Saccharomyces cerevisiaeゲノムからPCR法によって取得した。取得したGal1プロモーター遺伝子をDNAリガーゼ用いて、独自に入手したpPS2011−GFPベクターのGFPの上流に挿入しGal1−GFPレポーター遺伝子発現ベクターを構築した(図2)。本ベクターはURA遺伝子を保有し、本ベクターが形質転換された酵母はウラシル欠失培地で耐性を有する。
Gal1プロモーター遺伝子配列を酵母Saccharomyces cerevisiaeゲノムからPCR法によって取得した。取得したGal1プロモーター遺伝子をDNAリガーゼ用いて、独自に入手したpPS2011−GFPベクターのGFPの上流に挿入しGal1−GFPレポーター遺伝子発現ベクターを構築した(図2)。本ベクターはURA遺伝子を保有し、本ベクターが形質転換された酵母はウラシル欠失培地で耐性を有する。
(3)酵母の形質転換
Gal4を欠失した酵母細胞株W303A株を用い、前記のPPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクター及びGal1−GFPレポーター遺伝子発現ベクターをエレクトロポレーション法により導入した。形質転換後、ウラシルを欠乏させてオーレオバシジンを添加した合成培地にて培養することにより生き残った酵母を一般の酵母から選別して、両ベクターが導入された形質転換酵母を得た(図3)。
Gal4を欠失した酵母細胞株W303A株を用い、前記のPPARα−GAL4融合タンパク質発現ベクター及びGal1−GFPレポーター遺伝子発現ベクターをエレクトロポレーション法により導入した。形質転換後、ウラシルを欠乏させてオーレオバシジンを添加した合成培地にて培養することにより生き残った酵母を一般の酵母から選別して、両ベクターが導入された形質転換酵母を得た(図3)。
(実施例2) 形質転換酵母を用いたPPARαリガンドの測定
前記形質転換酵母を2%グルコース含有SD培地(ウラシル欠失、オーレオバシジン添加)で30℃、振とう培養により24時間培養を実施した。培養時にPPARαリガンド物質であるGW7617(和光純薬)を10−6Mから10−9Mの濃度添加した。培養後、菌体の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(テカン社)を用いて測定した。
前記形質転換酵母を2%グルコース含有SD培地(ウラシル欠失、オーレオバシジン添加)で30℃、振とう培養により24時間培養を実施した。培養時にPPARαリガンド物質であるGW7617(和光純薬)を10−6Mから10−9Mの濃度添加した。培養後、菌体の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(テカン社)を用いて測定した。
形質転換酵母の蛍光は、GW7617の濃度に依存して増加した(図4)。この結果から、本形質転換酵母を用いてPPARリガンドが濃度依存的に検出できるものと考えられた。
(実施例3) 発酵食品中のPPARリガンドの測定
前記形質転換酵母を2%グルコース含有SD培地(ウラシル欠失、オーレオバシジン添加)で30℃、振とう培養により24時間培養を実施した。培養菌体を104個ずつ培養ディッシュに添加し、微生物が生存している発酵食品である味噌を1mg/mLになるように蒸留水で希釈したサンプルを培養菌体と等容量添加し、24時間培養を実施した。培養後、菌体の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(テカン社)を用いて測定し、味噌中のPPARαリガンド物質を検出した(図5)。図中のコントロールは、蒸留水のみを培養菌体に添加して蛍光強度を測定したものである。また、味噌は種類の違う味噌を3サンプル用いて結果を出したものである。
図5に示すように、微生物が生存した条件においても本発明の形質転換酵母を用いて、PPAR活性を測定することができた。また、味噌の種類の違いにより、PPAR活性物質量に差があることが分かった。
前記形質転換酵母を2%グルコース含有SD培地(ウラシル欠失、オーレオバシジン添加)で30℃、振とう培養により24時間培養を実施した。培養菌体を104個ずつ培養ディッシュに添加し、微生物が生存している発酵食品である味噌を1mg/mLになるように蒸留水で希釈したサンプルを培養菌体と等容量添加し、24時間培養を実施した。培養後、菌体の蛍光強度を蛍光プレートリーダー(テカン社)を用いて測定し、味噌中のPPARαリガンド物質を検出した(図5)。図中のコントロールは、蒸留水のみを培養菌体に添加して蛍光強度を測定したものである。また、味噌は種類の違う味噌を3サンプル用いて結果を出したものである。
図5に示すように、微生物が生存した条件においても本発明の形質転換酵母を用いて、PPAR活性を測定することができた。また、味噌の種類の違いにより、PPAR活性物質量に差があることが分かった。
本発明の形質転換酵母は、微生物、植物、動物などの生物からの抽出液および薬品を含む合成化学物質などからPPAR活性物質をスクリーニングしてPPAR活性物質を同定できると、PPARの作用薬、サプリメント、機能性食品及び食品添加物組成物等を製造することができる。さらには、PPAR活性物質生成微生物をスクリーニングすることが可能であり、PPAR活性物質生成微生物が単離できると、その微生物を用いてPPAR活性物質を含有する発酵食品その他PPARの作用薬、サプリメント、機能性食品及び食品添加物組成物等を製造することができる。
Claims (6)
- ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)を活性化させる物質を検出する形質転換酵母であって、酵母に転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクター及びレポーター遺伝子発現ベクターを組み込むことによってPPARを活性化させる物質を検出可能としたことを特徴とする形質転換酵母。
- 前記転写因子−PPARリガンド結合部位融合タンパク質発現ベクターが、酵母のタンパク質発現プロモーターの下流に転写因子のDNA結合領域とPPARリガンド結合領域の融合遺伝子を挿入したベクターであり及び前記レポーター遺伝子発現ベクターがレポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターを有するベクターであることを特徴とする請求項1記載の形質転換酵母。
- 前記酵母のタンパク質発現プロモーターがADH1プロモーターであり、前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域がGal4のDNA結合領域であり、前記レポーター遺伝子の上流に前記融合遺伝子の前記転写因子のDNA結合領域により遺伝子発現が起こるプロモーターがGal1プロモーターであることを特徴とする請求項2記載の形質転換酵母。
- 前記PPARが、PPARα、PPARδ、PPARγのいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の形質転換酵母。
- 前記レポーター遺伝子がオワンクラゲ由来のGFP遺伝子(GFP)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の形質転換酵母。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の形質転換酵母と検査対象物質を混合し、前記形質転換酵母のレポーター遺伝子の発現を検知することにより前記対象物質中に含まれるPPARリガンド物質を検出することを特徴とするPPAR活性物質検出方法。
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JPH1156369A (ja) * | 1997-08-27 | 1999-03-02 | Tanabe Seiyaku Co Ltd | Pparのアゴニスト及びアンタゴニストのスクリーニング方法 |
JPH11504331A (ja) * | 1995-04-25 | 1999-04-20 | ザ ソールク インスチチュート フォア バイオロジカル スタディズ | ペルオキシソーム増殖因子によって活性化されるレセプター−γの選択的モジュレーター、およびその使用法 |
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-
2012
- 2012-07-06 JP JP2012152556A patent/JP2014014293A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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