JP2014006085A - 計数チップ、計数方法、および計数装置 - Google Patents

計数チップ、計数方法、および計数装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易かつ高精度に計数対象物質を計数する。
【解決手段】計数チップ1は、液体試料20中の計数対象物質21を離散して1次元または2次元に並べる配列機構8と、液体試料20の少なくとも一部を着色液24によって着色する着色部9と、着色部9から導入された液体試料20に対し照射光を照射し、計数対象物質21から透過または散乱する光量と、計数対象物質21以外の部分から透過または散乱する光量との差を計測する計測部2と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体試料中に含まれる計数対象物質の数を計数するための計数チップ、計数方法、および計数装置に関する。
試料中の計数対象物質の計数は、医療分野において広く用いられるスクリーニング検査手法の一つである。上記計数対象物質として、具体的には、血液中の血球や、尿中の有形成分等が挙げられる。
血球計数は、尿検査、生化学検査とともに初診時に行うスクリーニング検査であり、感染症、貧血、出血等がある場合や、血液疾患の診断や経過観察に用いられる手法である。赤血球数は貧血等、白血球数は感染症等の診断のための基本指標となっている。
血球数計数方法として、簡易なものとして、血球数計算盤による赤血球または白血球の計数方法がある。例えば、特許文献1において、白血球の計数は、白血球の核を染色する希釈液により希釈した血液試料を特殊な計算盤、例えばバーカー(Barker)計算盤に入れて顕微鏡で見ることにより、手作業で行われる。この計算盤は、明確に画定された複数の小体積に区切る格子を含み、格子中の1枡あたりの血球数を計数することにより、白血球数を決定することができる。この方法は、手作業で実行されるため、検査に時間がかかり、測定精度が悪い。
血球を自動的に計数する方法としては、顕微鏡像をカメラで撮像し、画像処理によって計数する方法がある。例えば、特許文献2に記載の血球自動分類装置は、ステージに置かれた血液標本中に散在する染色済みの血球の顕微鏡像をテレビカメラで撮像し、画像信号を画像処理装置に出力し、色濃度から血球分類分析を行い、自動的に血球数を計数する。この方法は装置の複雑化および大型化、並びにこれによる高価格化を伴うものである。
血球を自動的に計数する別の方法としては、フローシステムを利用した方法がある。この方法は、血球を含んだ試料液を用い、血球が1個ずつ細い測定器を通過するように試料液を流し、上記測定器近傍に位置する検出器で発生する信号により血球を計数するものであり、光学的測定方法と、電気的測定方法がある。
光学的測定方法として、特許文献3には、レーザー光源と、試料中の血球が1個ずつ細い流路を流れるようにしたフローセルと、血球からの前方散乱光と側方散乱光を検出する測光部と、検出信号を解析する解析装置とを備えたフローサイトメーターを使用する白血球分類方法が記載されている。この方法では、白血球を測定する場合は、予め、赤血球を溶血剤により溶血させて測定を行う。
電気的測定方法としては、特許文献4に、コールター(Coulter)の原理による方法が記載されている。この方法において、白血球を測定する場合は、赤血球を溶血剤で溶血させ、白血球のみを含んだ電解液を細孔中に流し、血球が細孔を通過するときの細孔部のインピーダンス変化を検出し、検出信号の強弱によって白血球を識別し計数を行う。
また、特許文献5および6には、血液試料中の計数対象物質の体積計数のための試料獲得装置において、血液試料を受け取るための、固定された所定の厚さを有する計測空洞を確定する表面上に、該計数対象物質を選択的に染色するための試薬が乾燥固定されている構成が開示されている。
特開昭55−10906号公報(1980年1月25日公開) 特開昭61−258167号公報(1986年11月15日公開) 特開2002−303622号公報(2002年10月18日公開) 米国特許第5262302号明細書(1993年11月16日公開) 特表2008−533466号公報(2008年8月21日公表) 特表2009−541736号公報(2009年11月26日公表)
計数対象物質の計数に当たっては、試料の計測に先立って試料中の計数対象物質と該計数対象物質以外とを光学的に分類する目的で、計数対象物質を着色する手法が知られている。この計数対象物質の着色を小型のチップ内で簡易に行うことは実験の効率を高める上で有用である。
しかしながら、特許文献1〜4においては、血球等の計数対象物質をチップ内において確実に着色するための構成について開示がなされていない。一方、特許文献5および6には小型のチップ内で計数対象物質を着色する技術が記載されているが、着色に用いる試薬は乾燥固定されたものであり、この構成では、チップ内において着色剤の溶け残りが生じ、溶け残った着色剤によって計数誤差を生じる虞がある。
また、特許文献3〜6に記載されているように、白血球を計数する場合には、赤血球と識別するために、予め溶血剤により赤血球を溶血させる手法が知られている。しかしながら、赤血球が完全に溶血しない場合、溶血せずに残った赤血球が計数誤差となる。さらに、溶血剤により、白血球の裸核化、膨潤、収縮等の形状変化が生じることで、計数誤差が生じる虞がある。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、簡易かつ高精度な計数対象物質の計数を可能とする計数チップ、計数方法、および計数装置を提供することにある。
本発明に係る計数チップは、上記の課題を解決するために、計数対象物質を含む液体試料の光学的測定を可能とする計数チップであって、上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べる配列機構と、上記配列機構によって1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料の少なくとも一部を、着色液によって着色するための着色部と、上記着色部から導入された上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を計測するための計測部と、を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、計測部と別個の着色部を備えることにより、計測部での着色を不要とすることができるとともに、計測部に導入される液体試料を確実に着色することができる。
また、着色に着色液を用いることにより、粉末状の着色剤を用いる場合に生じ得る着色剤の溶け残りの虞がないため、これによる計数誤差の発生を防止することができる。
さらに、配列機構によって、計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べることにより、着色対象物と着色液との接触面積が増大するので、液体試料は着色部において確実に着色される。また、計測部においては、液体試料の計数対象物質が離散した状態で着色部から導入されるため、計数対象物の結合または重畳等による計数誤差の発生を防止することができ、高精度に計数することが可能になる。
これらにより、簡易かつ高精度な計数対象物質の計数が可能となる。
また、本発明に係る計数方法は、液体試料中に含まれる計数対象物質を計数する計数方法であって、上記液体試料を、光学的測定を可能とする計数チップに導入し、上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べ、上記1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料中の少なくとも一部を、着色液によって着色して、上記液体試料を計測部に導入し、上記計測部において、上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差によって、上記計数対象物質を計数することを特徴としている。
上記構成によれば、計測部への導入前に液体試料を着色液によって着色することにより、計測部での着色を不要とすることができるとともに、計測部に導入される液体試料を確実に着色することができる。
また、着色に着色液を用いることにより、粉末状の着色剤を用いる場合に生じ得る着色剤の溶け残りの虞がないため、これによる計数誤差の発生を防止することができる。
さらに、計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べることにより、着色対象物と着色液との接触面積が増大するので、液体試料を確実に着色することができる。また、計測部においては、液体試料の計数対象物質が離散した状態で導入されるため、計数対象物の結合または重畳等による計数誤差の発生を防止することができ、高精度に計数することが可能になる。
これらにより、簡易かつ高精度な計数対象物質の計数が可能となる。
また、本発明に係る計数装置は、上記の計数チップに対して照射光を照射する光源と、上記光源から照射された照射光の、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を検出する検出部と、を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、計測部に導入された着色後の液体試料に対し、光源から照射された照射光について、検出部が検出した、該液体試料中の計数対象物質から透過または散乱する光量に基づき、該計数対象物質を計数することが可能となる。これにより、簡易かつ高精度な計数対象物質の計数が可能となる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記着色部は、上記配列機構として機能してもよい。
上記構成によれば、液体試料は、着色部において、計数対象物質が離散され1次元または2次元に並べられるとともに、液体試料に対して着色液による着色が行われる。
これにより、計数対象物質の配列と液体試料の着色が同時に実行されるため、計数対象物質の計数に要する時間の短縮と、計数チップの小型化が可能となる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記配列機構は、上記液体試料と上記着色液とが合流することにより、上記計数対象物質を離散して1次元に並べる第1の合流部を含み、上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部に上記液体試料を導入する試料導入路と、上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部に上記着色液を導入する第1の着色液導入路と、を備え、上記着色部は、上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部にて合流した上記液体試料と上記着色液とが流入することにより、上記液体試料を着色するための第1の着色用流路を含むことが好ましい。
上記構成によれば、試料導入路によって導入された液体試料は、第1の着色液導入路によって導入された着色液と、第1の合流部において合流することで計数対象物質が離散され1次元に並べられ、該第1の合流部に接続された第1の着色用流路を含む着色部に流入し、該着色部にて着色される。
これにより、液体試料と着色液とを共に送液しながら液体試料の着色が行われるので、計数対象物質または着色液の濃度に偏りを生じさせることなく、着色後の液体試料を計測部に導入することができる。従って、より高精度な計数が可能となる。
上記計数チップは、上記第1の着色液導入路を複数備え、複数の上記第1の着色液導入路の少なくとも2つは、上記第1の合流部を挟んで対向するように配置されていてもよい。
上記構成によれば、合流部において、液体試料に対して着色液を少なくとも2つの方向から挟み込むように接触させることができるため、着色部における着色液の液体試料中への拡散距離を短くすることができる。これにより、着色剤による液体試料の着色を迅速に行うことができる。
上記計数チップにおいて、上記配列機構は、さらに、上記第1の着色用流路に接続され、上記第1の着色用流路で着色された上記液体試料と上記着色液とが合流することにより、上記計数対象物質を離散して1次元に並べる第2の合流部を含み、上記第2の合流部に接続され、上記第2の合流部に上記着色液を導入する第2の着色液導入路を備え、上記着色部は、上記第2の合流部に接続され、上記第2の合流部にて合流した、上記第1の着色用流路で着色された上記液体試料と上記着色液とが流入することにより、上記液体試料を着色するための第2の着色用流路をさらに含んでいてもよい。
上記構成によれば、第1の着色用流路で着色された上記液体試料は、第2の着色液導入路によって導入された着色液と、第2の合流部において合流することで計数対象物質が離散され1次元に並べられ、該第2の合流部に接続された第2の着色用流路をさらに含む着色部に流入し、該着色部にて着色される。
これにより、計数対象物質の離散および配列と、液体試料の着色とを複数回に亘り行えるため、より確実に着色を行うことができる。
本発明に係る計数チップは、大気に開放された開口部である大気開放部と、上記計測部と上記大気開放部との間に設けられ、上記着色部から上記計測部に導入された上記液体試料を停止させるとともに、上記計数チップの内部に含まれる気体を通過させる液止め部と、を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、液止め部は、計数チップ内に液体試料を停止させる一方、計数チップ内の気体を通過させるため、該気体は大気開放部から計数チップ外に排出される。
これにより、計数チップ内に液体試料が間隙なく充填されやすくなるので、該充填された液体試料の体積は、当該計数チップ内部の構造および当該液止め部の形状より導かれる。
従って、上記充填された液体試料中の計数対象物質を計測部において計数すれば、当該液体試料中の上記計数対象物質の濃度が高精度に求められる。
また、本発明に係る計数方法は、上記着色液によって着色された液体試料を、上記計数チップの内部に停止させるとともに、上記計数チップの内部に含まれる気体を上記計数チップの外部に排出することが好ましい。
上記構成によれば、液体試料が計数チップ内に停止する一方、計数チップ内の気体は該計数チップの外部に排出される。
これにより、計数チップ内に液体試料が間隙なく充填されやすくなるので、該充填された液体試料の体積は、当該計数チップ内部の構造より導かれる。
従って、上記充填された液体試料中の計数対象物質を計測部において計数すれば、当該液体試料中の上記計数対象物質の濃度が高精度に求められる。
上記計数チップは、上記計測部と上記液止め部との間に、上記液体試料の体積を定量するための定量部を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、計測部において計数対象物質を計数された液体試料は、定量部においてその体積が定量される。
これにより、計測部で計数された計数対象物質の数量と、定量部において定量された液体試料の体積とから、液体試料における計数対象物質の濃度が導かれる。従って、より高精度な計数が可能となる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記液止め部は、その内壁の一部又は全てが疎水性を有していてもよい。
上記構成によれば、疎水性を有する簡易な構造により液止め部を実現できるため、計数チップの加工が容易となる。
上記計数チップにおいて、上記液止め部が流路として構成されており、上記液止め部の流路幅をw1、流路の高さをh1、上記液止め部の鉛直上側の面である上面と上記液体試料との接触角をθ、上記液止め部の上記上面に対向する面である下面と上記液体試料との接触角をθ、上記液体試料と上記液止め部の側面との接触角をθ、気液界面の界面張力をσとしたとき、σ(cosθ/h1+cosθ/h1+2cosθ/w1)<0が成立することが好ましい。
上記構成によれば、液止め部において、液体試料を確実に停止させることができる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記計測部の、上記着色部と接続されていない側面のうちの少なくとも1つが、上記液止め部によって形成されていてもよい。
上記構成によれば、計測部の側面のうち、着色部と接続されていない側面のうち少なくとも1つが、液止め部によって形成されており、この液止め部を介して大気開放部と接続されており、従って計測部の当該側面全体から気体が効率的に排出される。これにより、計測部全面に液体試料を確実に充填することができる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記計測部は、蛇行形状を有する流路であってもよい。
上記構成によれば、計測部において働く毛細管力がより大きくなるため、計測部全面に液体試料を容易に充填することができる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記計測部は、上記計数対象物質が1つずつ通過可能な狭隘部であってもよい。
上記構成によれば、狭隘部において計数対象物質が1つずつ通過するので、計測部における複数の計数対象物質の重畳等による測定誤差が生じにくくなる。従って、より高精度な計数が可能となる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記計測部は、上記狭隘部を複数備えていてもよい。
上記構成によれば、計測部が狭隘部を複数備えることにより、複数の計数対象物質の重畳等を防ぎながら、同時に複数の計数対象物質を通過させることができるので、より高精度かつ高効率な計数が可能となる。
本発明に係る計数チップでは、上記着色部において、上記計数対象物質以外の部分が上記着色液により着色されてもよい。
上記構成によれば、計数対象物質の着色が不要であるため、着色に伴う計数対象物質の変性や形状変化を防止することができる。
本発明に係る計数チップにおいて、上記液体試料が血液であり、上記計数対象物質が白血球であってもよい。
上記構成によれば、白血球数が重要な指標となる白血病、感染症、または炎症性疾患等の診断および治療を適切に行うことができる。
本発明に係る計数装置において、上記検出部は、上記計数チップを構成する平板の面方向に2次元的に配置されるエリアセンサであってもよい。
上記構成によれば、計数装置は、平板方向の拡がりを有するエリアセンサを備えることで、該エリアセンサに重畳する計測部に充填された試料中の各領域の光吸収量を測定する。測定の結果、上記計測部の該計測部を形成する平板に対する垂直方向の距離をh2、該エリアセンサに重畳する計測部の平板方向の面積をpとしたとき、計数装置は、p・h2の体積を有する試料中の計数対象物質を計数することができる。なお、上記各領域は、該エリアセンサの受光素子の平板方向の大きさ、すなわち該エリアセンサの空間分解能と同義であってもよい。
これにより、試料中の計数対象物質を広範囲に亘って計数することができる。
本発明に係る計数装置において、上記検出部は、上記計数チップを構成する平板の面方向に水平であり、なおかつ上記計数チップにおける上記液体試料の導入方向に垂直な方向に1次元的に配置されたラインセンサであってもよい。
上記構成によれば、計数装置は、ラインセンサに重畳する計測部を流れる試料中の各領域の光吸収量を一定時間測定する。測定の結果、ラインセンサと重畳する計測部における該ラインセンサの線方向の距離をl、測定時間中の試料の移動距離をfとしたとき、計数装置は、l・f・h2の体積を有する試料中の計数対象物質を計数することができる。なお、上記各領域は、該ラインセンサの受光素子の平板方向の大きさ、すなわち該ラインセンサの空間分解能と同義であってもよい。
これにより、平板方向の広がりを有するエリアセンサと比較し、必要となる発光素子および受光素子が少量で済むため、計数装置の小型化・低価格化が可能となる。
本発明に係る計数装置において、上記光源および上記検出部は、上記光源により照射される上記照射光が上記検出部により受光される状態を維持しつつ、上記計数チップにおける上記液体試料の導入方向に対して平行に移動してもよい。
上記構成によれば、計数装置は、光源と検出部を平行に移動させることで、ラインセンサの移動範囲に重畳する計測部に充填された試料中の各領域の光吸収量を測定する。測定の結果、ラインセンサと重畳する計測部における該ラインセンサの線方向の距離をl、該ラインセンサの移動距離をmとしたとき、l・m・h2の体積を有する試料中の計数対象物質を計数することができる。なお、上記各領域は、該エリアセンサの受光素子の平板方向の大きさ、すなわち該エリアセンサの空間分解能と同義であってもよい。
これにより、小型の光源・検出部で広範囲に亘る計数が可能となる。
本発明に係る計数装置において、上記光源は半導体レーザーであり、上記検出部は上記半導体レーザーによって照射されたレーザー光を受光するフォトディテクタであってもよい。
上記構成によれば、レーザー光はLED等の他の発光素子と比較してより狭い波長域を有するため、着色液に含まれる色素の吸収波長のピークと同一の波長を有する照射光をより正確に照射することができる。
これにより、より高精度な計数が可能となる。
本発明に係る計数チップは、以上のように、計数対象物質を含む液体試料の光学的測定を可能とする計数チップであって、上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べる配列機構と、上記配列機構によって1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料の少なくとも一部を、着色液によって着色するための着色部と、上記着色部から導入された上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を計測するための計測部と、を備えている構成である。
また、本発明に係る計数方法は、液体試料中に含まれる計数対象物質を計数する計数方法であって、上記液体試料を、光学的測定を可能とする計数チップに導入し、上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べ、上記1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料中の少なくとも一部を、着色液によって着色して、上記液体試料を計測部に導入し、上記計測部において、上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差によって、上記計数対象物質を計数する方法である。
また、本発明に係る計数装置は、上記の計数チップに対して照射光を照射する光源と、上記光源から照射された照射光の、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を検出する検出部と、を備えているものである。
上記構成によれば、簡易かつ高精度な計数対象物質の計数が可能となる。
(a)は、本発明の一実施形態に係る計数チップの上面図であり、(b)は、上記計数チップの断面図であり、(c)は、上記計数チップの備える合流部を含む領域の拡大図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る計数チップの計測部に、未着色の血液試料が充填された状態を、計測部の各領域における、所定の波長の光についての透過光量に対応させて示す図であり、(b)は、上記計測部に、白血球が着色された血液試料が充填された状態を、計測部の各領域における上記透過光量に対応させて示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る計数チップの計測部に、未着色の血液試料が充填された状態を、計測部の各領域における、図2とは異なる波長の光についての透過光量に対応させて示す図であり、(b)は、上記計測部に、血漿が着色された血液試料が充填された状態を、計測部の各領域における上記透過光量に対応させて示す図である。 本発明の一実施形態に係る計数装置および計数チップの外観を示す上面図である。 (a)および(b)は、図4に示す計数装置内部に備えられた光源および検出部を、図1に示す計数チップとともに示す断面図である。特に、(a)は、上記検出部をエリアセンサにて実現した例を示す断面図であり、(b)は、上記検出部をラインセンサにて実現した例を示す断面図である。 (a)は、図1に示す計数チップの一変形例を示す上面図であり、(b)は、(a)に示す計数チップにおける合流部8を含む領域の拡大図であり、(c)は、図1に示す計数チップの別の変形例を示す上面図であり、(d)は、図1に示す計数チップのさらに別の変形例を示す上面図である。 (a)は、図1に示す計数チップにおいて、ジグザグ状の蛇行流路である計測部を備えた構成を示す上面図である。(b)は、図1に示す計数チップにおいて、楕円形の計測部を備えた構成を示す上面図である。(c)は、図1に示す計数チップにおいて、流路内に複数のピラー構造を設けた計測部を備えた構成を示す上面図である。(d)は、(c)に示す計数チップの断面図である。(e)は、図1に示す計数チップにおいて、側面が開放された計測部を備えた構成を示す上面図である。(f)は、(e)に示す計数チップの断面図である。 (a)は、本発明の別の変形例に係る計数チップの上面図であり、(b)は、(a)に示す計数チップにおける合流部と計測部とを含む領域の拡大図である。 図8に示す計数チップを用いて計数対象を計数するために、図4に示す計数装置に備えられ得る光源と検出部とを、上記計数チップとともに示す断面図である。 (a)は、本発明のさらに他の実施形態に係る計数チップの上面図であり、(b)は、(a)における計測部を含む領域の拡大図である。 図10に示す計数チップを用いて計数対象を計数するために、図5に示す計数装置に備えられ得る光源と検出部とを、上記計数チップとともに示す断面図である。 (a)は、本発明の別の実施形態に係る計数チップの着色部の構成の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す着色部に着色液が導入された様子を示す図である。
本発明の実施の形態について、図1〜図12に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付すものとし、それらの説明は重複して行なわない。また、図面における長さ、大きさおよび幅などの寸法関係ならびに形状は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法および形状を表してはいない。
〔第1の実施形態〕
〔1.計数チップの構造について〕
本発明の第1の実施形態に係る計数チップの構造について、図1〜図11を参照して説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る計数チップ1の上面図であり、図1(b)は、計数チップ1の、試料導入孔4と計測部2とを通る断面図である。
計数チップ1は、計測部2と、基板3と、試料導入孔4と、試料導入流路(試料導入路)5と、着色液導入孔6と、着色液導入流路(第1の着色液導入路)7と、合流部(配列機構、第1の合流部)8と、着色流路(着色部、第1の着色用流路)9と、空気孔(大気開放部)10と、空気孔流路11と、液止め部12とを備えて成る構成である。
計測部2は、試料を充填し、光源から照射した光を検出部で検出することによって計数対象物質を計数するための流路であり、加工後の基板3aと基板3bとを貼り合わせたときに形成される空間である。
基板3は、計数チップ1の平板構造を構成する基板であり、基板3aと基板3bとが接合されてなる。基板3aおよび基板3bを、ウェットエッチングやドライエッチング等の技術を用いて加工することにより、各流路および開口部が成形され、これらを備える計数チップ1が構成される。基板3を形成する物質としては、ガラスやプラスチック等、透光性を有しかつ平板を形成し得るあらゆる物質が挙げられる。
試料導入孔4は、計測部2に充填すべき液体試料を計数チップ1に導入するための開口部である。具体的には、血液等の液体試料が試料導入孔4から計数チップ1に導入される。試料導入流路5は、試料導入孔4と合流部8とを接続する流路であり、試料導入孔4から導入された試料を、合流部8に導入する。
着色液導入孔6は、液体試料を着色するための着色液24(図1(c)参照)を計数チップ1に導入するための開口部である。着色液導入流路7は、着色液導入孔6と合流部8とを接続する流路であり、着色液導入孔6から導入された着色液24を、合流部8に導入する。
合流部8は、試料導入流路5および着色液導入流路7を介して導入された液体試料および着色液24が合流する領域である。合流部8において、液体試料中の計数対象物質は、着色液導入流路7から導入された着色液24が合流部8に流れ込む力によって離散され、1列(1次元)に並べられるとともに、合流部8の、各着色液導入流路7との接続部と対向する領域の方へと流される。図1に示す例では、合流部8を挟んで対向する2つの着色液導入流路7が設けられているため、計数対象物質は、合流部8および着色流路9において、流路の中心に並べられる。本実施形態では、確実に計数対象物質を離散して1列に並べるために、合流部8が試料導入流路5および着色液導入流路7との接続形態、形状等が規定されているほか、液体試料および着色液24の流量等が調節されている。合流部8の下流には着色流路9が接続されている。
着色流路9は、合流部8で合流した液体試料および着色液24を混合し、液体試料を着色するための流路である。本実施形態では、液体試料中の計数対象物質は、着色流路9において離散した状態で1列に並んで送液され、且つ、該液体試料と接して着色液24が送液されるため、各計数対象物質の表面と着色液24とが接触しやすくなる。すなわち、各計数対象物質と着色液24との接触面積が増大する。また、計数対象物質以外の部分を着色する場合においては、当該計数対象物質以外の部分への着色液24の十分な拡散が短時間で達成される。従って、液体試料の着色が確実に行われる。なお、液体試料の着色をより確実に行うために、該液体試料の十分な着色に要する時間に応じて、着色流路9の長さを適宜調節すればよい。
さらに、合流部8での着色液24との合流によって計数対象物質が離散されるので、着色後の液体試料が計測部2へ導入され計測される際、計数対象物質同士の結合や重畳等による計数誤差の発生を防止することができる。
なお、本実施形態では、合流部8が計数対象物質を離散して1次元に並べる配列機構としての機能を有しているものとして説明するが、これに限らず、当該配列機構の機能を着色流路9が果たす構成であってもよい。この場合、合流部8および着色流路9が配列機構の機能を有していても、着色流路9のみが当該機能を有していてもよい。
空気孔(大気開放部)10は、計数チップ1内の各流路内の空気を計数チップ1の外部に排出するための開口部である。試料導入孔4および着色液導入孔6から液体試料および着色液24が導入されたときに、該液体試料および該着色液24の導入前に計数チップ1内の各流路を満たしていた空気が外部に排出されなければ、該液体試料および該着色液24がスムーズに導入されないという問題が生じる。空気孔10はこの問題を避けるために備えられており、液体試料導入前に計数チップ1内の各流路を満たしていた空気は、試料導入孔4および着色液導入孔6から導入された液体試料および着色液24に押し出される形で空気孔10から外部へと排出される。
空気孔流路11は、計測部2と空気孔10とを接続するための流路である。計数チップ1内の各流路を満たしていた空気は、空気孔流路11を通過して空気孔10から排出される。
液止め部12は、計測部2と空気孔流路11とを接続し、計測部2に導入された液体試料を停止させるとともに、計測部2内において液体試料および着色液24に押し出された気体を通過させる。液止め部12が備えられることにより、計測部2からの液体試料の流出を防ぐことができるため、より少量の試料で計測部2を満たすことができる。さらに、気体を通過させることにより、計数チップ1内に液体試料が間隙なく充填されやすくなるので、該充填された液体試料の体積は、計数チップ1内部の構造および液止め部12の形状より求められる。よって、充填された液体試料中の計数対象物質を計測部2において計数すれば、当該液体試料中の計数対象物質の濃度が高精度に求められる。
液止め部12は、内壁の一部又は全てが疎水性の構造を有していることが好ましい。
さらに、液止め部12が疎水性構造を有し、且つ流路として構成される場合、液止め部12の流路幅をw1、流路の高さをh1、液止め部12の鉛直上側の面である上面と液体試料との接触角をθ、液止め部12の上記上面に対向する面である下面と液体試料との接触角をθ、上記液体試料と液止め部12の側面との接触角をθ、気液界面の界面張力をσとしたとき、
σ(cosθ/h1+cosθ/h1+2cosθ/w1)<0 (式1)
が成立することが好ましい。
上記式の左辺は、液止め部12の流路内の液体に作用する圧力Pを表しており、0<Pのとき、当該流路において毛細管現象が生じるため、該流路において液体試料が移動する。一方、P<0のときは、当該流路において毛細管現象は生じないため、液体試料は該流路において移動しない、すなわち、停止する。従って、(式1)が成立すれば、P<0となり、よって、液止め部12において、液体試料を確実に停止させることができるという効果を奏する。
ここで、本実施形態において、液体試料中の計数対象物質を着色する方法と、液体試料中の計数対象物質以外の部分を着色する方法とを、図2〜図3を参照して説明する。図2〜図3では特に、具体例として、液体試料が血液試料20であり、計数対象物質が白血球21である場合について説明する。しかしながら、本実施形態に係る液体試料および計数対象物質はこれに限定されない。
図2(a)は、計測部2に血液試料(液体試料)20が充填された状態を、計測部2の各領域における透過光量に対応させて示す図であり、図1(b)に示す計測部2の拡大図である。血液試料20は、図2(a)に示すように、粒子として白血球(計数対象物質)21と赤血球22とを含み、液体成分として血漿(計数対象物質以外の部分)23を含む。図2(a)における参照符号h2は、計測部2における基板3a、3bの面方向に対する垂直方向の距離、すなわち計測部2の高さであり、少なくとも白血球21の最大径(約20μm)より大きい値を有する。そして、図2(a)においては、計測部2の各領域における透過光量も示されている。
ここで、透過光量とは、光源から照射され、計測部2を透過した所定の波長の光を、検出部において計測することで算出される数量である。図2(a)にて上下方向の破線を下ろした領域は、該破線で繋がれた計測部2における領域の透過光量を示している。図2では、白血球21の計数を行うために、赤血球22を透過する(光学測定において赤血球22の影響を受けにくい)波長の光を照射している。しかしながら、白血球21はほぼ無色透明であることから、図2(a)に示すように、未着色の状態では当該波長の光を照射しても、透過光量から白血球21を高精度に計数することは困難である。
そこで、白血球21を着色する手法が一般的に用いられている。図2(b)は、計測部2に、着色液24によって着色された白血球21を含む血液試料20が充填された様子を、計測部2の各領域における透過光量に対応させて示す図であり、図1(b)における計測部2の拡大図である。図2(b)における上下方向の破線の指示内容は、図2(a)と同様である。
図2(b)からわかるように、赤血球22を含む領域と、着色後の白血球21を含む領域と、白血球21の着色に伴い着色された血漿23のみを含む領域とで、透過光量が異なっている。
ここで、図2〜図3に示す透過光量のグラフは相対的な値を示すものである。図2(b)を参照すれば、白血球21の着色に伴い付随的に着色された血漿23と比較して、赤血球22の当該波長の光についての透過光量が相対的に多く、また、白血球21が選択的に着色されているので、付随的に着色された血漿23と比較して、着色後の白血球21の当該波長の光についての透過光量が相対的に少なくなっていることがわかる。白血球21を着色する手法としては、ギムザ染色、ロマノフスキー染色、ライト染色、メイギムザ染色、ライトギムザ染色、ペルオキシターザ染色等が挙げられ、照射光の波長はこれらによって染色された状態の白血球21の吸収波長のピークであることが好ましい。
上述の白血球21の着色の結果、図2(b)に示すように、1つの好ましい閾値th1を設定することで、白血球21を識別し計数することができる。つまり、閾値th1として、着色後の白血球21を含む領域に対応する透過光量と、血漿23に対応する透過光量との間の値を設定すれば、透過光量が閾値th1よりも小さくなる領域の数を、白血球21の数として認識することができる。
一方で、白血球21を着色することなく白血球21を計数する方法も適用され得る。
図3(a)は、計測部2に血液試料20が充填された状態を、計測部2の各領域における透過光量に対応させて示す図であり、図1(b)に示す計測部2の拡大図である。その他、図2(a)と同様であるが、本図では図2(a)とは照射光の波長が異なっている。図3(a)で照射される光は、赤血球22の吸収波長のピークと同一または近い波長を有し、この照射光は白血球21および血漿23を透過する。これにより、赤血球22を含む領域の透過光量が白血球21および血漿23より低いため、図3(a)の透過光量のグラフにて示すように、1つの好ましい閾値th2を設定することで、赤血球22を識別し計数することができる。
しかしながら、この条件では、図3(a)の測定値からは、白血球21と血漿23とを区別することができず、従って白血球21を計数することができない。この問題を解決するため、本図に示す方法では、血漿23が着色される。
図3(b)は、計測部2に、着色液24によって着色された血漿23を含む血液試料20が充填された状態を、計測部2の各領域における透過光量に対応させて示す図であり、図1(b)における計測部2の拡大図である。図3(b)における上下方向の破線の指示内容は、図3(a)と同様である。
そして、図3(b)からわかるように、赤血球22を含む領域と、白血球21を含む領域と、着色後の血漿23のみを含む領域とで、透過光量が異なっている。従って、1つの好ましい閾値th3を設定することで、白血球21を識別し計数することができる。つまり、閾値th3として、白血球21を含む領域に対応する透過光量と、着色後の血漿23のみに対応する透過光量との間の値を設定すれば、透過光量が閾値th3よりも大きくなる領域の数を、白血球21の数として認識することができる。
さらに、もう1つの閾値th4を設定することにより、赤血球22の計数も同時に行うことができる。つまり、閾値th4として、着色後の血漿23のみに対応する透過光量と、赤血球22を含む領域に対応する透過光量との間を設定すれば、透過光量が閾値th4よりも小さくなる領域の数を、赤血球22の数として認識することができる。
また、血漿23を着色する着色液24は、赤血球22の吸収波長域に吸収波長のピークを有していてもよく、具体的にはヘモグロビン溶液を着色液24として用いることができる。これにより、ヘモグロビンの吸収波長域の光を照射することで、白血球21を赤血球22と区別して効率よく計数することができる。
また、赤血球22を溶血させることで得られた溶血上清を着色液24として用いてもよい。着色液24を溶血上清として用いる場合、溶血処理は白血球21が変形および変性しない段階で停止することが好ましく、このとき一部の赤血球22が溶血せずに残存していても、白血球21とは光吸収量が異なるため、本実施形態に係る計数チップ1を用いて白血球の計数を行う際には問題とはならない。
一方で、白血球21と赤血球22の計数を同時に行いたい状況も考えられる。このような状況では、図3(b)に示すように2つの好ましい閾値th3、th4を設定する方法も考えられる。しかしながら、より精度の高い両血球の計数のためには、着色液24が、赤血球22の吸収波長域と異なる波長域に吸収波長のピークを有していることが好ましい。このような着色液24により血漿23を着色すれば、着色後の血漿23は赤血球22と異なる吸収波長のピークを有することになる。そして、計測部2に照射する光の波長を、赤血球22の吸収波長域と、着色後の血漿23の吸収波長域との2種類に設定することで、それぞれの照射光の検出結果に基づき、赤血球22と白血球21とをより高精度に計数することができる。すなわち、赤血球22によって完全に吸収され透過光量がほぼ0になる光と、着色後の血漿23によって完全に吸収され透過光量がほぼ0になる光とを別々に照射すれば、単一の好ましい閾値によって、赤血球22と血漿23の存在する範囲がそれぞれ明確となる。そして、両者の測定結果を組み合わせて、血液試料20から赤血球22と血漿23との存在範囲を除外することによって白血球21の計数を行うことができる。
図3に示す例において、上記h2を光路長としたときの、着色後の血漿23の吸光度をAλとすると、Aλの値を0.05≦Aλ≦2.5の範囲とすることが好ましい。Aλがこの範囲の値を取ることにより、計測部2における白血球21と着色後の血漿23との透過光量の差が、光学的にこれらを分類して識別するために十分な値となり、高精度な白血球21の計数が可能となる。
また、図2〜図3における計測部2の高さh2については、20μm<h2≦60μmが成立する程度の値とされる。この数値範囲は、本例における計数対象である白血球21の最大径から平均径の4倍までの範囲にほぼ対応する。計測部2がこの範囲の高さh2を有することにより、白血球21は、形状を変化させることなく計測部2に導入されるとともに、白血球21への照射光は、白血球21以外の部分(例として赤血球22または着色後の血漿23)によって遮蔽されにくくなる。これにより、計測部2における白血球21と白血球21以外の部分との光吸収量の差を大きくすることができ、より高精度に白血球21を計数することができる。
なお、図2〜図3に示す例では透過光量を指標としているが、透過光量に代えて散乱光量を用いてもよい。散乱光量は、光源から照射され、計測部2において計数対象物質等の粒子に当たって反射した所定の波長の光を、検出部において計測することで算出される数量である。
また、図2〜図3に示す例において、着色液24は水溶液であることが好ましい。これにより、血液試料20を容易に着色できるほか、血球と同程度の巨大な粒子を含まないため、血球計数精度を低下させる虞もない。また、着色液24は血液試料20の等張液であってもよい。これにより、血球の収縮や溶血・膨潤等の変形、変性を防ぐことができ、高精度な血球計数を行うことができる。
図1(c)を参照して、計数チップ1における液体試料および着色液24の導入方法を説明する。図1(c)は、計数チップ1における、試料導入流路5、着色液導入流路7、合流部8、および着色流路9を含む領域の拡大図である。以下では、説明の便宜上、図2〜図3で示したものと同じ具体例を用いて記載する。すなわち、液体試料を血液試料20、計数対象物質を白血球21として記載する。
試料導入孔4から図中黒矢印の方向に導入された血液試料20は、計数対象の粒子として白血球21を含んでおり、試料導入流路5を通過し、合流部8へ到達する。なお、図中で血液試料20に含まれる計数対象の粒子を白血球21としているが、これに限らず、上記粒子は赤血球22等の他の細胞であってもよい。
一方、着色液導入流路7からは、着色液導入孔6から図中白矢印の方向に導入された着色液24が、血液試料20を両側から挟む形で合流部8へ到達する。これにより、着色液24がシース液の機能を果たし、着色流路9においてシースフローが形成される。さらに、試料導入流路5、着色液導入流路7、および着色流路9の幅、またはこれらを通過する血液試料20および着色液24の流量を調節することにより、着色流路9を通過する着色後の血液試料20において、白血球21は離散するとともに1列に並べられる。これにより、上述のとおり、白血球21または血漿23の着色が確実に行われる。
〔2.計数装置の構造について〕
次に、本実施形態において、計数処理を行うための計数装置40の構造について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る計数装置40の外観を、計数チップ1とともに示す図である。計数装置40は、チップホルダ41と、操作ボタン42と、表示部43とを備えて成る構成である。
チップホルダ41は、血液試料20を導入した計数チップ1を装着するためのホルダである。すなわち、チップホルダ41から計数チップ1を装着することによって、計測部2を計数装置40内部の光源と検出部とによって適切に挟むことができる。
操作ボタン42は、計数処理の開始・終了の指示や、計数処理において用いられるパラメータ等を計数装置40の制御部に入力するためのインターフェースである。さらに、操作ボタン42を介して、計測部2に照射される光の波長、図2〜図3に示す各閾値、および、計数対象となる血球を決定する操作等を行ってもよい。
表示部43は、計数処理の測定結果や、各種パラメータ等を表示するためのものである。計数装置40の操作者は、表示部43に表示される測定結果を参照して、上記閾値を再設定してもよい。
図5(a)は、本実施形態に係る計数装置40が備える光源51および検出部(エリアセンサ)52を、計数チップ1とともに示す図である。
光源51は、計測部2に充填された血液試料20に対し、照射光を照射するためのものである。上記照射光は、所定の波長域にピークを有する光である。そして、照射光のピークは、例えばヘモグロビンの吸収波長のピークと一致させることができる。光源51は、LED等の発光素子やレーザーによって実現されてもよい。なお、光源51が照射する照射光の強度分布については、測定範囲(検出部52によって透過光量または散乱光量が検出される、計測部2における領域)の最大強度をLmax、最小強度をLminとしたとき、Lmax/Lmin≦2であることが好ましく、最も好ましくは均一である。これにより、照射光の強度の違いに起因する測定誤差を少なくし、高精度に計数対象の血球を計数することができる。以下で記載する光源51の種々の変形例においても、好ましい照射光の強度分布は上記と同様である。
検出部(エリアセンサ)52は、光源51が照射し、計測部2に充填された血液試料20を透過または散乱した照射光を検出する。検出部52は、CCD等の受光素子によって実現されてもよい。また、図5(a)に示す構成において、検出部52は、基板3の面方向に2次元的に配置されるエリアセンサであり、例えばエリアCCDによって実現されてもよい。
上記構成により、計数装置40は、検出部52に重畳する計測部2の範囲に充填された血液試料20中の各領域の光吸収量を測定する。そして、該測定結果に基づいて上記範囲に対応する体積の血液試料20中の血球を計数することができる。なお、上記各領域とは、検出部52の画素サイズに対応していてもよく、すなわち検出部52の空間分解能を指す。さらに、上記画素サイズpは、撮影倍率をxとしたとき、例えば白血球21を計数する場合はp≦15μm・x/2であることが好ましい。さらに、赤血球22の計数も行う場合は、p≦8μm・x/2程度であることが好ましい。これにより、透過光量または散乱光量によって計数対象の血球を高精度に計数することが可能となる。以下で記載する検出部52の種々の変形例においても、好ましい画素サイズは上記と同様である。
エリアセンサによって実現された検出部52は、一度に広範囲の計測部2の領域についての測定が可能となる。一方で、要求される測定範囲の拡大に従って光源51とともに大型化が必要となる場合もある。
そこで、計数装置のコンパクト化を実現するために、図5(b)に示す構成の光源51aおよび検出部(ラインセンサ)52aを用いることが可能である。図5(b)は、検出部52aとして、基板3の面方向に水平であり、なおかつ計数チップ1における血液試料20の導入方向に垂直な方向に1次元的に配置されたラインセンサを備えた構成を示す断面図である。また、検出部52aは、例えばラインCCDによって実現されてもよい。
図5(b)に示す構成において、光源51aおよび検出部52aは、光源51aにより照射される照射光が検出部52aにより受光される状態を維持しつつ、図中の白矢印の方向に平行に移動する。なお、光源51aおよび検出部52aの移動方向(図中白矢印)は計数チップ1における上記液体試料の導入方向(図中黒矢印)と平行であることが好ましい。しかしながら、光源51aおよび検出部52aの移動方向は、これに限られず、基板3の平板方向に対して平行であればよい。また、図5(b)では光源51aおよび検出部52aが1方向に移動する構成を示しているが、光源51aおよび検出部52aは2方向に移動してもよい。
光源51aと検出部52aとが上記のように移動することにより、計数装置40は、検出部52aの移動範囲に重畳する計測部2の範囲(好ましくは計測部2全体)に充填された血液試料20中の各領域の透過光量または散乱光量を測定する。そして、該測定結果に基づいて上記範囲に対応する体積の血液試料20中の血球を計数することができる。なお、上記各領域とは、検出部52aを実現するラインセンサの受光素子の単位時間(測定の時間分解能)当たりの移動範囲に対応していてもよく、すなわち検出部52aの空間分解能を指す。これにより、光源51aおよび検出部52aに係る設置空間や価格を抑えながら、計測部2の広範囲に亘る測定が可能となる。
〔3.計数チップの流路の形状について〕
本発明に係る計数チップ1の各流路は多様な形状を有しうる。以下に、いくつかの例を示す。
〔3−1.合流部およびその周辺の形状の変形例〕
図6を参照しながら、本実施形態に係る計数チップにおける合流部8およびその周辺の形状の変形例について説明する。
図6(a)は、図1に示した計数チップ1において、着色液導入流路7が合流部8に対し片側にのみ設けられている構造を有する計数チップ1aを示す図である。この構成では、着色液24は合流部8に対し片側から流れ込むため、図6(b)に示すように、合流部8において、血液試料20中の白血球21は、合流部8の、着色液導入流路7との接続部と対向する領域の方へと流される。図6(b)においては、図1(c)と同様に、黒矢印は血液試料20の導入方向を、白矢印は着色液24の導入方向を示している。
この構成によれば、図1(a)と比較して、着色液導入孔6および着色液導入流路7が1つずつ少なくなるため、より簡易な加工で本実施形態に係る計数チップを実現できるとともに、該計数チップの小型化が可能となる。
図6(c)は、図1に示した計数チップ1において、両側に1つずつ着色液導入孔6aおよび着色液導入流路(第2の着色液導入路)7aが追加され、これに伴い、合流部8および合流部(配列機構、第2の合流部)8aの多段の合流部を設けた構造を有する計数チップ1bを示す図である。
この構成では、着色流路9で着色された血液試料20が、合流部8aにおいて、着色液導入孔6aから着色液導入流路7aを介して導入された新たな着色液24と合流し、着色流路(第2の着色用流路)9aにおいてさらに着色される。着色液導入流路7aから導入される着色液24の流量は、図1の説明にて述べた着色液導入流路7と同様であることが好ましい。これにより、血液試料20の着色がより確実に行われるとともに、血液試料20中の白血球21を確実に離散して1次元に並べることが可能となる。
図6(d)は、図1に示した計数チップ1において、着色液導入流路7が合流部8に対し片側にのみ設けられており、且つ、合流部が8および8aとして多段に設けられている構造を有する計数チップ1cを示す図である。
この構成によれば、図6(a)および図6(c)の奏する効果の両方を得ることができる。すなわち、計数チップ1cは、本実施形態に係る計数チップの小型化、および、血液試料20のより確実な着色を可能とする。
〔3−2.計測部の形状の変形例1:エリア計測部〕
次に、図7を参照して、本実施形態に係る計数チップにおける計測部の形状の変形例について説明する。
図7(a)は、図1に示した計数チップ1において、矩形形状を有する計測部2に代えて、ジグザグ状の蛇行流路である計測部(蛇行形状を有する流路)2aを備えた計数チップ1dを示す。計測部2aが細い蛇行流路であることにより、図1に示した矩形形状を有する計測部2と比較して、より強い毛細管力が働くので、計測部2aの全体に血液試料20を容易に充填することができる。
図7(b)は、図1に示した計数チップ1において、矩形形状を有する計測部2に代えて、楕円形の計測部2bを備えた計数チップ1eを示す。計測部2bは円形であってもよい。計測部2bが円形または楕円形を有することにより、計測部2bの全体に確実に血液試料20を充填することができる。
図7(c)は、図1に示した計数チップ1において、矩形形状を有する計測部2に代えて、流路内に複数のピラー構造71を設けた計測部2cを備えた計数チップ1fの上面図である。図7(c)に示す構成において、計数チップ1fを構成する基板3cは、図7(d)に示す基板3dと基板3eとが接合されてなり、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)等の変形しやすい物質からなる部材が想定されている。ピラー構造71は、図7(d)に示すように、計測部2cにおいて、基板3dおよび基板3eを支える柱構造であり、基板3dおよび基板3eの湾曲等による計測部2cの変形を防ぐ機能を果たす。これにより、PDMS等の変形しやすい基板3cから構成される計数チップ1fにおいても、計測部2cの高さが一定に保たれる。
図7(e)は、図1に示した計数チップ1において、矩形形状を有する計測部2に代えて、側面が開放された計測部2dを備えた計数チップ1gの上面図である。また、計数チップ1gは、計数チップ1d(図7(a)参照)等に設けられた円形の開口部である空気孔10に代えて、計測部2dの各側面と同程度の長さを有する溝である空気孔(大気開放部)10aを備えている。さらに、計数チップ1gは空気孔流路11を備えておらず、計測部2dと空気孔10aとは、液止め部12aのみによって隔てられている。
図7(f)は、計数チップ1gの断面図である。図7(f)に示すように、計数チップ1gは、計測部2dと空気孔10aとの間に幅の狭い空気孔流路11が設けられていない。したがって、図1に示した計数チップ1と比較して、計数チップ内の気体を短時間でより多く通過させ、外部に排出することができる。よって、計測部2dに効率的に血液試料20を充填することができる。
なお、図7(e)において、計測部2dは3面の側面が空気孔10aに開放されている構造となっているが、計数チップ1gにおいて開放されている側面の数は3に限定されず、1面のみ、あるいは計測部の側面すべてが空気孔10aに開放されていてもよい。
〔3−3.計測部の形状の変形例2:スポット計測部〕
上述の記載において、計測部2およびその変形例は、全て基板の面方向における広がりを有する流路として説明したが、本発明に係る計測部の形状はこれに限定されない。本実施形態に係る計数チップおよび計数装置40に関する別の構成例について、図8および図9を参照して説明する。
図8(a)は、図1に示した計数チップ1において、計測部2に代えて、白血球21が1つずつ通過可能な狭隘部である計測部(狭隘部)2eを備えている計数チップ1hを示す図である。計数チップ1hはさらに、計測部2eと液止め部12との間に定量部81を備えている。なお、図中で空気孔10と液止め部12は空気孔流路11を介さずに接続されているが、計数チップ1hは空気孔流路11を備えていてもよい。
計測部2eは、着色流路9にて着色された血液試料20を通過させる狭隘部である。本実施形態のように白血球21を計数対象物質とする場合、計測部2eの流路幅w2(図8(b)参照)について、好ましくは20μm<w2≦60μmが成立する。上記幅w2と計測部2eの高さh2(図2および図3参照)との組み合わせにより、計測部2eは、計数対象物質である白血球21が1個ずつ通過するために適切な流路形状を有する。
なお、図中では着色流路9の幅方向の中央で狭窄しているが、着色液導入流路7が片側のみに設けられている場合は、合流部8の、着色液導入流路7との接続部と対向する領域から血液試料20の導入方向に延伸した領域に狭窄部が設けられていてもよい。これは、合流部8において、血液試料20に対し着色液24が片側から合流すると、図6(b)に示したように、白血球21は、合流部8の、着色液導入流路7との接続部と対向する領域の方へと流され、着色流路9において着色液導入流路7の反対側に偏って流れるためである。このような状態の白血球21が計測部2eをスムーズに通過するためには、計測部2eは、白血球21が偏っている側に狭窄していることが好ましい。
定量部81は、血液試料20の体積を定量するための空間である。定量部81は、下流に液止め部12を備えており、計測部2eを通過した血液試料20が定量部81に間隙なく充填されれば、着色液24の流量と、定量部81および液止め部12との構造とから、計測部2eを通過した血液試料20の体積が一義的に求められる。従って、該求められた血液試料20の体積と、計測部2eによって計数された白血球21の数とから、血液試料20中の白血球21の濃度を求めることができ、これにより高精度な白血球21の計数が実現される。なお、上記の液止め部12の構造とは、例えば、液止め部12が毛細管力を利用した吸収体である場合には、液止め部12による血液試料20の吸収量によって規定されてもよい。すなわち、液止め部12の構造によって、定量部81に充填される血液試料20の体積に影響を与える数値が一義的に規定されればよい。
なお、計測部2eを通過した血液試料20の体積は、血液試料20と着色液24との流量の比を用いて求めることも可能である。具体的には、血液試料20と着色液24とが所定の流量の比を維持して定量部81を充填することができる場合、該流量の比と、定量部81および液止め部12との構造とから、計測部2eを通過した血液試料20の体積が一義的に求められる。
図8(b)を参照して、計測部2eにおける白血球21の通過態様を説明する。図8(b)は、図8(a)に示した計数チップ1hにおける、試料導入流路5、着色液導入流路7、合流部8、着色流路9、計測部2e、定量部81を含む領域の拡大図である。
図8(b)に示すように、合流部8において着色液24と合流した血液試料20は、着色流路9を離散かつ1列に並んだ状態で通過する。図8(b)においては、図1(c)と同様に、黒矢印は血液試料20の導入方向を、白矢印は着色液24の導入方向を示している。
着色流路9を1列に並んで通過した白血球21は、上記の高さh2および幅w2を有する狭隘部である計測部2eを通過し、定量部81に導入される。
図9は、血液試料20と着色液24とが導入された計数チップ1hと、光源(半導体レーザー)51bおよび検出部(フォトディテクタ)52bとを示す断面図である。図中の黒矢印は血液試料20の導入方向を示す。
光源51bは半導体レーザーによって実現可能であり、検出部52bは上記半導体レーザーによって照射されたレーザー光を受光するフォトディテクタによって実現可能である。光源51bと検出部51bとは、計数チップ1hが計数装置40に載置されたときに、計測部2eを挟むことが可能なように設置される。光源51bおよび検出部52bは、狭窄した計測部2eに重畳し得る形状であればよいため、さらに計数装置の小型化が可能となる。
光源51bは、計測部2eを通過する血液試料20にレーザー光を照射し、検出部52bは、計測部2e内の血液試料20を透過した上記レーザー光を検出する。これが一定時間繰り返され、検出部52bが検出した透過光量または散乱光量に基づき、計測時間中に計測部2eを通過した血液試料20中に存在する白血球21の計数が行われる。
半導体レーザーによる光源51bが発するレーザー光は、通常のLEDが発する光と比較して、波長および振幅のばらつきが少ない。このため、所望の波長、すなわち着色液24または赤血球22の吸収波長のピークとなる波長を有する光を血液試料20に照射することができ、より精度の高い血球計数が可能となる。
〔3−4.計測部の形状の変形例3:ライン計測部〕
本実施形態に係る計数チップおよび計数装置40のさらに別の構成例について、図10および図11を参照して説明する。
図10(a)に、着色流路9と同じ流路幅を有する計測部2fを備えた計数チップ1iの上面図を示す。計測部2fは、複数の狭隘部2f1によって構成されている。そして、計測部2fにおいては、図11に示すように、血液試料20は計測部2fを通過しながら光源51cから照射光を照射される。より具体的には、血液試料20は、各狭隘部2f1を通過しながら照射光を照射される。
図10(b)は、計測部2fの拡大図であり、各狭隘部2f1を白血球21が通過している状態を示している。各狭隘部2f1の流路幅は、好ましくは計測部2e(図8参照)の流路幅w2と同一の数値範囲を取る。これにより、血液試料20が計測部2fを通過するとき、各狭隘部2f1において白血球21が1つずつスムーズに通過する。
図11は、計数チップ1iとともに、光源51cおよび検出部(ラインセンサ)52cの構成を示す図である。検出部52cは、基板3の面方向に水平であり、なおかつ計数チップ1iにおける血液試料20の導入方向に垂直な方向に1次元的に配置されたラインセンサであり、ラインCCD等によって実現される。光源51cと検出部52cとは、計数チップ1iが計数装置40に載置されたときに、計測部2fを挟むことが可能なように設置される。
また、試料導入孔4から図中矢印の方向に導入された血液試料20は、合流部8において着色液24と合流し、その後着色流路9において着色され、続いて計測部2fを通過する。
計測部2fにおいて、白血球21は、各狭隘部2f1(図10(b)参照)において1つずつ通過する。この狭隘部2f1を通過する白血球21を含む血液試料20に対し、光源51cから照射光が照射され、検出部52cは、血液試料20を透過した上記照射光を検出する。検出部52cが検出した透過光量または散乱光量に基づいて、白血球21の計数が行われる。
計測部2fは、狭隘部2f1を複数備えることにより、計測部2e(図8(a)参照)を複数備えていると見做せる構造を有している。これにより、計測部2eと比較して一度に計測できる血液試料20の体積が多くなるため、高効率な血球計数が可能となる。
なお、図9に示す光源51bおよび検出部52bは、2方向に移動することにより、基板3の面方向の拡がりを有する計測部2、2a、2b、2c、2d(図1および図6〜7参照)における所定領域について測定を行うことができる。ここで、上記2方向とは、基板3の面方向内の2つの方向であり、好ましくは、血液試料20の導入方向、並びに、該導入方向および計測部2等の高さ方向と垂直な方向である。上記所定領域は、計測部の全体であっても、一部であってもよい。これにより、光源51bおよび検出部52bに係る設置空間や価格を抑えながら、計測部2の広範囲に亘る測定が可能となる。また、光源51bおよび検出部52bは、1方向に移動することにより、計測部2fの測定を行うことも可能である。ここで、上記1方向とは、計数チップ1iにおける血液試料20の導入方向に垂直な方向である。
〔第2の実施形態〕
本発明において、計数チップはまた、着色部の形状によっても計数対象物質を離散してかつ1次元または2次元に並べることが可能である。すなわち、第1の実施形態では、計数対象物質を離散して1次元に並べる配列機構の機能を、主として合流部8および8aの構造により実現していたが、本実施形態では、その機能を主として着色部の形状によって実現するものである。さらに、本実施形態は、着色部の形状により、計数対象物質を2次元に並べることが可能な構成となっている。
本発明の第2の実施形態に係る計数チップ100について、図12を参照して説明する。なお、説明の便宜上、既に説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図12は、計数チップ100の備える着色部(配列機構)900の斜視図である。着色部900は、少なくとも幅w3、高さh3を有し、大気開放された溝構造を有する。
本実施形態において、着色液24は計数チップ100の外部から着色部900に導入されることが好ましい。また、着色部900は、上記第1の実施形態にて示した任意の計測部に接続されており、所定の時間間隔ごとに、着色部900から受ける液圧等によって開放される遮断弁によって、上記計測部と隔てられていることが好ましい。上記所定の時間間隔は、着色部900に導入された液体試料200が、着色液24によって確実に着色されるために要する時間によって決定される。
高さh3は、液体試料200中の計数対象物質210がスムーズに通過可能であって、且つ2つ以上重畳しない数値範囲を取り、白血球21を計数対象物質とする場合は、上記第1の実施形態にて示したh2と同一の値であってもよい。
幅w3は、例えば、少なくとも1回の測定に必要となる液体試料200が導入され、且つ、導入される計数対象物質210の最大直径のほぼ整数倍となる長さであればよい。例えば、液体試料200が血液で計数対象物質210が白血球である場合、幅w3は、75〜15000μmであることが好ましい。この数値範囲は、平均径15μmを有する白血球が5〜1000個並ぶと仮定して算出したものである。
図中の長さlは、液体試料200が計数チップ100の備える計測部(不図示)に到達するまでに、着色液24によって着色されるために十分な長さであればよい。
図12(a)に示すように、上記のように規定された着色部900に液体試料200が導入されると、液体試料200中の計数対象物質210が、着色部900の長さlおよび幅w3の方向に沿って面状に並ぶ。すなわち、計数対象物質210は着色部900において2次元に並べられる。そして、この状態において着色液24が計数チップ100の外部から着色部900に導入されると、図12(b)に示すように、複数の計数対象物質210のそれぞれの表面に着色液24が接触することとなる。すなわち、計数対象物質210と着色液24との接触面積が増大する。よって、計数対象物質210を効率的に着色することができる。また、着色部900が上記のように規定された形状を有することにより、計数対象物質210が離散されるため、着色後の液体試料200が不図示の計測部に導入され計測される際に、計数対象物質210の結合または重畳等による計数誤差の発生を防止することができる。
このように、図12に示す計数チップ100によれば、着色部900が複数の計数対象物質210を2方向に1列に並べるので、一度に着色する計数対象物質210の数を多くすることができる。
なお、計数対象物質210を1次元に並べる場合には、幅w3を、計数対象物質210がスムーズに通過可能であって、且つ2つ以上同時に通過不可能な数値範囲に規定すればよく、白血球21を計数対象物質とする場合は、上記第1の実施形態にて示したw2と同一の値であってもよい。これにより、着色部900に液体試料200が導入されると、計数対象物質210は、着色部900において長さlの方向に沿って線状に並ぶ。すなわち、計数対象物質210は着色部900において1次元に並べられる。
上述した機構によって1次元または2次元に並べられた計数対象物質210を含む液体試料200は、上記第1の実施形態にて示した任意の計測部に導入され、計数対象物質210の計数が行われる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る計数チップ、計数方法、および計数装置は、バイオテクノロジーの分野における、医薬品製造等の試料中の粒子管理、および医療分野における血液中の血球測定や尿中の有形成分分析等に、好適に利用することができる。
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i 計数チップ
2、2b、2c、2d、2f、2g、2h、2i 計測部
2a 計測部(蛇行形状を有する流路)
2e 計測部(狭隘部)
2f1 狭隘部
5 試料導入流路(試料導入路)
7 着色液導入流路(第1の着色液導入路)
7a 着色液導入流路(第2の着色液導入路)
8 合流部(配列機構、第1の合流部)
8a 合流部(配列機構、第2の合流部)
9 着色流路(着色部、第1の着色用流路)
9a 着色流路(着色部、第2の着色用流路)
10 空気孔(大気開放部)
10a 空気孔(大気開放部)
12 液止め部
20 血液試料(液体試料)
21 白血球(計数対象物質)
23 血漿(計数対象物質以外の部分)
24 着色液
40 計数装置
51、51a、51c 光源
51b 光源(半導体レーザー)
52 検出部(エリアセンサ)
52a、52c 検出部(ラインセンサ)
52b 検出部(フォトディテクタ)
81 定量部
100 計数チップ
200 液体試料
210 計数対象物質
900 着色部(配列機構)

Claims (22)

  1. 計数対象物質を含む液体試料の光学的測定を可能とする計数チップであって、
    上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べる配列機構と、
    上記配列機構によって1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料の少なくとも一部を、着色液によって着色するための着色部と、
    上記着色部から導入された上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を計測するための計測部と、を備えていることを特徴とする計数チップ。
  2. 上記着色部は、上記配列機構として機能することを特徴とする請求項1に記載の計数チップ。
  3. 上記配列機構は、上記液体試料と上記着色液とが合流することにより、上記計数対象物質を離散して1次元に並べる第1の合流部を含み、
    上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部に上記液体試料を導入する試料導入路と、
    上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部に上記着色液を導入する第1の着色液導入路と、を備え、
    上記着色部は、
    上記第1の合流部に接続され、上記第1の合流部にて合流した上記液体試料と上記着色液とが流入することにより、上記液体試料を着色するための第1の着色用流路を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の計数チップ。
  4. 上記第1の着色液導入路を複数備え、
    複数の上記第1の着色液導入路の少なくとも2つは、上記第1の合流部を挟んで対向するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の計数チップ。
  5. 上記配列機構は、さらに、上記第1の着色用流路に接続され、上記第1の着色用流路で着色された上記液体試料と上記着色液とが合流することにより、上記計数対象物質を離散して1次元に並べる第2の合流部を含み、
    上記第2の合流部に接続され、上記第2の合流部に上記着色液を導入する第2の着色液導入路を備え、
    上記着色部は、
    上記第2の合流部に接続され、上記第2の合流部にて合流した、上記第1の着色用流路で着色された上記液体試料と上記着色液とが流入することにより、上記液体試料を着色するための第2の着色用流路をさらに含むことを特徴とする請求項3または4に記載の計数チップ。
  6. 大気に開放された開口部である大気開放部と、
    上記計測部と上記大気開放部との間に設けられ、上記着色部から上記計測部に導入された上記液体試料を停止させるとともに、上記計数チップの内部に含まれる気体を通過させる液止め部と、を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計数チップ。
  7. 上記計測部と上記液止め部との間に、上記液体試料の体積を定量するための定量部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の計数チップ。
  8. 上記液止め部は、その内壁の一部又は全てが疎水性を有していることを特徴とする請求項6または7に記載の計数チップ。
  9. 上記液止め部が流路として構成されており、
    上記液止め部の流路幅をw、流路の高さをh、上記液止め部の鉛直上側の面である上面と上記液体試料との接触角をθ、上記液止め部の上記上面に対向する面である下面と上記液体試料との接触角をθ、上記液体試料と上記液止め部の側面との接触角をθ、気液界面の界面張力をσとしたとき、
    σ(cosθ/h+cosθ/h+2cosθ/w)<0
    が成立することを特徴とする請求項8に記載の計数チップ。
  10. 上記計測部の、上記着色部と接続されていない側面のうちの少なくとも1つが、上記液止め部によって形成されていることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の計数チップ。
  11. 上記計測部は、蛇行形状を有する流路であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の計数チップ。
  12. 上記計測部は、上記計数対象物質が1つずつ通過可能な狭隘部であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の計数チップ。
  13. 上記計測部は、上記狭隘部を複数備えていることを特徴とする請求項12に記載の計数チップ。
  14. 上記着色部において、
    上記計数対象物質以外の部分が上記着色液により着色されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の計数チップ。
  15. 上記液体試料が血液であり、
    上記計数対象物質が白血球であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の計数チップ。
  16. 液体試料中に含まれる計数対象物質を計数する計数方法であって、
    上記液体試料を、光学的測定を可能とする計数チップに導入し、
    上記計数対象物質を離散して1次元または2次元に並べ、
    上記1次元または2次元に並べられた上記計数対象物質を含む液体試料中の少なくとも一部を、着色液によって着色して、上記液体試料を計測部に導入し、
    上記計測部において、上記液体試料に対して照射光を照射し、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差によって、上記計数対象物質を計数することを特徴とする計数方法。
  17. 上記着色液によって着色された液体試料を、上記計数チップの内部に停止させるとともに、上記計数チップの内部に含まれる気体を上記計数チップの外部に排出することを特徴とする請求項16に記載の計数方法。
  18. 請求項1から15のいずれか1項に記載の計数チップに対して照射光を照射する光源と、
    上記光源から照射された照射光の、上記計数対象物質から透過または散乱する光量と、上記計数対象物質以外の部分から透過または散乱する光量との差を検出する検出部と、を備えていることを特徴とする計数装置。
  19. 上記検出部が、上記計数チップを構成する平板の面方向に2次元的に配置されるエリアセンサであることを特徴とする請求項18に記載の計数装置。
  20. 上記検出部が、上記計数チップを構成する平板の面方向に水平であり、なおかつ上記計数チップにおける上記液体試料の導入方向に垂直な方向に1次元的に配置されたラインセンサであることを特徴とする請求項18に記載の計数装置。
  21. 上記光源により照射される上記照射光が上記検出部により受光される状態を維持しつつ、上記光源および上記検出部が、上記計数チップにおける上記液体試料の導入方向に対して平行に移動することを特徴とする請求項20に記載の計数装置。
  22. 上記光源が半導体レーザーであり、上記検出部が上記半導体レーザーによって照射されたレーザー光を受光するフォトディテクタであることを特徴とする請求項18に記載の計数装置。
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