JP2014002180A - 複屈折パターンを有する物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コレステリック構造を用いた複屈折パターンを有する物品であって、多彩な色表示が可能な物品を、効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも次の[1]〜[4]の工程をこの順に含む、複屈折パターンを有する物品の製造方法:[1]支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層を形成する工程;[2]前記光学異方性層中のカイラル剤の少なくとも一部を抽出する工程;[3]前記光学異方性層に互いに露光条件の異なる2つ以上のパターン露光を行う工程;[4]前記工程[3]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも次の[1]〜[4]の工程をこの順に含む、複屈折パターンを有する物品の製造方法:[1]支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層を形成する工程;[2]前記光学異方性層中のカイラル剤の少なくとも一部を抽出する工程;[3]前記光学異方性層に互いに露光条件の異なる2つ以上のパターン露光を行う工程;[4]前記工程[3]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
【選択図】なし
Description
本発明は複屈折による色パターンを有する物品の製造方法に関する。
光学異方性を用いた特殊画像は真贋識別等のための媒体として、例えば有価証券、クレジットカード類、書類等に用いられている。これらの用途においてはさらなる偽造防止性や意匠性の向上が望まれている。
光学異方性を用いて画像の視認状態や画像そのものの状態に影響を与える技術のひとつとして、コレステリック液晶を識別媒体に用い、その反射光を目視または光学機器により検出するものがある。
コレステリック液晶は、連続的であるが、多層構造として想定した場合、分子長軸方向が互いに平行であり、かつ層面に平行である。各層は少しずつ回転して重なっており、立体的にスパイラル構造をとる。この構造によってコレステリック液晶は、特定の色(波長)を選択的に反射する性質(特性反射)を持つ。すなわち、スパイラル構造の方向因子が360°回転して元に戻るまでの距離であるコレステリックピッチpと、各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pとして求められる波長λの円偏光に対して選択的に反射する特徴を有する。
この特徴により、コレステリック液晶は独特の美しい色を呈する。また、コレステリック液晶の選択反射を使って得られた画像は通常状態で知覚される画像が所定の操作(傾ける、偏光フィルタを重ねるなど)で所定の変化を示す。
光学異方性を用いて画像の視認状態や画像そのものの状態に影響を与える技術のひとつとして、コレステリック液晶を識別媒体に用い、その反射光を目視または光学機器により検出するものがある。
コレステリック液晶は、連続的であるが、多層構造として想定した場合、分子長軸方向が互いに平行であり、かつ層面に平行である。各層は少しずつ回転して重なっており、立体的にスパイラル構造をとる。この構造によってコレステリック液晶は、特定の色(波長)を選択的に反射する性質(特性反射)を持つ。すなわち、スパイラル構造の方向因子が360°回転して元に戻るまでの距離であるコレステリックピッチpと、各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pとして求められる波長λの円偏光に対して選択的に反射する特徴を有する。
この特徴により、コレステリック液晶は独特の美しい色を呈する。また、コレステリック液晶の選択反射を使って得られた画像は通常状態で知覚される画像が所定の操作(傾ける、偏光フィルタを重ねるなど)で所定の変化を示す。
低分子のコレステリック液晶はコレステリックピッチが温度により変化するが、高分子のものは温度にかかわらず特定の波長の円偏光を選択反射する。このため、従来の識別媒体には高分子コレステリック液晶が用いられている。例えば、特許文献1においては、高分子コレステリック液晶性化合物を含む層のパターン露光により複屈折による色彩のパターンが形成できることが示されている。
本発明は、コレステリック構造を用いた複屈折パターンを有する物品であって、多彩な色表示が可能な物品を、効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
特許文献1においては、パターン状の露光を行うことで特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長の変化をパターン状に制御することができることが記載されているが、具体的には、パターン露光後に特性反射消失温度以上に加熱して、単層の高分子コレステリック液晶性化合物を含む層からは2色のパターンを形成することができることが示されているのみである。すなわち、特許文献1に記載の方法を用いてもパターン状の露光による多彩な色の表現は容易ではなかった。
上記に鑑み、本願発明者らは上記方法により、より効率よく色パターンを制御する方法を見出すために鋭意研究を行い、パターン露光を行う材料の前処理とパターン露光後の加熱温度の調節により、精度のよい、色パターンの制御が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
上記に鑑み、本願発明者らは上記方法により、より効率よく色パターンを制御する方法を見出すために鋭意研究を行い、パターン露光を行う材料の前処理とパターン露光後の加熱温度の調節により、精度のよい、色パターンの制御が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(12)を提供するものである。
(1)少なくとも次の[1]〜[4]の工程をこの順に含む、複屈折パターンを有する物品の製造方法:
[1]支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層を形成する工程;
[2]前記光学異方性層中のカイラル剤の少なくとも一部を抽出する工程
[3]前記光学異方性層に互いに露光条件の異なる2つ以上のパターン露光を行う工程;
[4]前記工程[3]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
(1)少なくとも次の[1]〜[4]の工程をこの順に含む、複屈折パターンを有する物品の製造方法:
[1]支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層を形成する工程;
[2]前記光学異方性層中のカイラル剤の少なくとも一部を抽出する工程
[3]前記光学異方性層に互いに露光条件の異なる2つ以上のパターン露光を行う工程;
[4]前記工程[3]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
(2)工程[4]の後に以下の工程[5]を含む(1)に記載の方法:
[5]前記積層体の全面に紫外線を照射する工程。
(3)前記の抽出が、前記光学異方性層上にカイラル剤抽出層を設けることにより行われる(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(3)に記載の製造方法。
(5)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(3)または(4)に記載の製造方法。
[5]前記積層体の全面に紫外線を照射する工程。
(3)前記の抽出が、前記光学異方性層上にカイラル剤抽出層を設けることにより行われる(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(3)に記載の製造方法。
(5)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(3)または(4)に記載の製造方法。
(6)前記カイラル剤が非光重合型カイラル剤である(1)〜(5)のいずれか一項に記載の製造方法。
(7)前記カイラル剤が非光反応型カイラル剤である(1)〜(5)のいずれか一項に記載の製造方法。
(8)工程[3]において、互いに露光条件の異なる3つ以上のパターン露光を行う(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法。
(9)前記光学異方性層が露光条件に従って特性反射のピーク波長が異なる領域を生じ、ピーク波長が最も短波長である領域と最も長波長である領域で20nm以上異なる(1)〜(8)のいずれか一項に記載の製造方法。
(7)前記カイラル剤が非光反応型カイラル剤である(1)〜(5)のいずれか一項に記載の製造方法。
(8)工程[3]において、互いに露光条件の異なる3つ以上のパターン露光を行う(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法。
(9)前記光学異方性層が露光条件に従って特性反射のピーク波長が異なる領域を生じ、ピーク波長が最も短波長である領域と最も長波長である領域で20nm以上異なる(1)〜(8)のいずれか一項に記載の製造方法。
(10)前記特性反射のピーク波長が380−780nmとなることを特徴とする(9)に記載の製造方法。
(11)支持体、前記支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って形成された、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層、および、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒の溶液を塗布乾燥することで形成されたカイラル剤抽出層を有する複屈折パターン作製材料。
(12)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(11)に記載の複屈折パターン作製材料。
(11)支持体、前記支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って形成された、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層、および、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒の溶液を塗布乾燥することで形成されたカイラル剤抽出層を有する複屈折パターン作製材料。
(12)前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである(11)に記載の複屈折パターン作製材料。
本発明により、コレステリック構造を用いた複屈折パターンを有する物品であって、多彩な色表示が可能な物品を、効率よく製造する方法が提供される。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において「特性反射消失温度」とは、特性反射のピーク反射率が20℃におけるピーク反射率の30%以下となる温度をいう。
本明細書において「特性反射消失温度」とは、特性反射のピーク反射率が20℃におけるピーク反射率の30%以下となる温度をいう。
[光学異方性層]
本明細書において、光学異方性層とは、コレステリック構造に由来する複屈折性を有し、その結果としてコレステリックピッチpと、各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pとして求められる波長λの円偏光に対して選択的な反射(特性反射)を示す層を示す。パターン作製前の光学異方性層を含む材料を本明細書において、「複屈折パターン作製材料」という。
本明細書において、光学異方性層とは、コレステリック構造に由来する複屈折性を有し、その結果としてコレステリックピッチpと、各層内の平均屈折率nとから、λ=n・pとして求められる波長λの円偏光に対して選択的な反射(特性反射)を示す層を示す。パターン作製前の光学異方性層を含む材料を本明細書において、「複屈折パターン作製材料」という。
[複屈折パターン作製材料]
複屈折パターン作製材料は複屈折パターンを作製するための材料であり、所定の工程を経ることで複屈折パターンを得ることができる材料である。
図1は複屈折パターン作製材料のいくつかの例の概略断面図である。複屈折パターン作製材料は複屈折パターンを作製するための材料であり、所定の工程を経ることで複屈折パターンを有する物品を作成することができる材料である。
図1(a)に示す複屈折パターン作製材料は支持体(基板)11上に光学異方性層12およびカイラル剤抽出層24を有する例である。図1(b)に示す複屈折パターン作製材料は配向層13を有する例である。配向層13は、光学異方性層12として棒状液晶性化合物とカイラル剤を含む組成物(塗布液)を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、熱または放射線照射によって重合固定化したものを用いる場合に、液晶性化合物の配向を助けるための層として機能する。
図には示さないが複屈折パターン作製材料は光学異方性層を複数有していてもよい。
複屈折パターン作製材料は複屈折パターンを作製するための材料であり、所定の工程を経ることで複屈折パターンを得ることができる材料である。
図1は複屈折パターン作製材料のいくつかの例の概略断面図である。複屈折パターン作製材料は複屈折パターンを作製するための材料であり、所定の工程を経ることで複屈折パターンを有する物品を作成することができる材料である。
図1(a)に示す複屈折パターン作製材料は支持体(基板)11上に光学異方性層12およびカイラル剤抽出層24を有する例である。図1(b)に示す複屈折パターン作製材料は配向層13を有する例である。配向層13は、光学異方性層12として棒状液晶性化合物とカイラル剤を含む組成物(塗布液)を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、熱または放射線照射によって重合固定化したものを用いる場合に、液晶性化合物の配向を助けるための層として機能する。
図には示さないが複屈折パターン作製材料は光学異方性層を複数有していてもよい。
[複屈折パターンを有する物品]
図2は複屈折パターン作製材料を用いた製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品のいくつかの例の概略断面図である。本発明の方法により得られる複屈折パターンを有する物品は少なくとも一層のパターン化光学異方性層112を有する。本明細書において「パターン化光学異方性層」とは「複屈折性が異なる領域を2つ以上有する光学異方性層」を意味する。なお、「複屈折性が異なる」場合として「一方が複屈折性を有し、他方が複屈折性を有していない(光学的に等方な領域である)」場合を含む。複屈折性が同一である領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。また各領域の複屈折性が異なる結果として、各領域の示す特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長が異なることが好ましい。
図2は複屈折パターン作製材料を用いた製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品のいくつかの例の概略断面図である。本発明の方法により得られる複屈折パターンを有する物品は少なくとも一層のパターン化光学異方性層112を有する。本明細書において「パターン化光学異方性層」とは「複屈折性が異なる領域を2つ以上有する光学異方性層」を意味する。なお、「複屈折性が異なる」場合として「一方が複屈折性を有し、他方が複屈折性を有していない(光学的に等方な領域である)」場合を含む。複屈折性が同一である領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。また各領域の複屈折性が異なる結果として、各領域の示す特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長が異なることが好ましい。
図2(a)に示す複屈折パターンを有する物品はパターン化光学異方性層112、カイラル剤抽出層24および支持体11を有する例である。本発明の製造方法により作製される複屈折パターンを有する物品は、互いに異なる露光条件で露光された(パターン露光が施された)複数の露光部(図2(a)においては第1露光部112−Aと第2露光部112−B)を有し、かつそれらの"互いに異なる露光条件で露光された複数の露光部"は異なる複屈折性を有する。
図2(b)に示す複屈折パターンを有する物品は異なる露光条件で露光された複数の露光部(第1露光部112−Aおよび第2露光部112−B)の他に未露光部112−Nを有する例である。この場合、未露光部112−Nはいずれの露光部とも異なる複屈折性を有する。図2(c)に示す複屈折パターンを有する物品は支持体11上に支持体側から順に配向層13、パターン化光学異方性層112、およびカイラル剤抽出層24を有する例である。
図2(b)に示す複屈折パターンを有する物品は異なる露光条件で露光された複数の露光部(第1露光部112−Aおよび第2露光部112−B)の他に未露光部112−Nを有する例である。この場合、未露光部112−Nはいずれの露光部とも異なる複屈折性を有する。図2(c)に示す複屈折パターンを有する物品は支持体11上に支持体側から順に配向層13、パターン化光学異方性層112、およびカイラル剤抽出層24を有する例である。
複屈折パターンを有する物品はパターン化光学異方性層を複数層有していてもよく、パターン化光学異方性層を複数有することによってはさらに多彩な機能を発揮することができる。
以下、複屈折パターン作製材料、それを用いた複屈折パターンを有する物品の製造方法および複屈折パターンを有する物品の材料、作製方法等について、詳細に説明する。ただし、本発明はこの態様に限定されるものではなく、他の態様についても、以下の記載および従来公知の方法を参考にして実施可能であって、本発明は以下に説明する態様に限定されるものではない。
複屈折パターン作製材料における光学異方性層は高分子化合物を含む。高分子化合物を含むことにより、複屈折性、透明性、耐溶媒性、強靭性および柔軟性といった異なった種類の要求を満たすことができる。該光学異方性層中の高分子化合物は未反応の反応性基を有することが好ましい。光学異方性層は加熱によりその特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長が変化する(特に特性反射消失温度を有する場合には顕著なピーク反射率の低下を示す)が、あらかじめ露光を行い未反応の反応性基を反応させることで加熱時の特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長の変化の程度を制御することが可能になり、さらにこの際にパターン状の露光を行うことで特性反射のピーク反射率および/もしくはピーク波長の変化をパターン状に制御することができる。
このように適宜に露光や加熱の処理を組み合わせることにより、本発明の複屈折パターン作製材料における光学異方性層に効率良く光学異方性のパターンを描くことが可能である。
本発明の複屈折パターン作製材料の光学異方性層における高分子化合物とは、多数の原子が結合してできる巨大分子のことを指し、例えば分子量が3000以上である化合物をいう。具体的にはアクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、あるいはこれらの共重合体などがあげられる。またこれらの高分子中には様々なモノマーが共重合されていても良い。こうしたモノマーの例としては、カルボン酸末端アクリルモノマー、液晶性アクリルモノマーなどがあげられる。(未反応の)反応性基としてはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基などがあげられる。この高分子化合物の光学異方性層における含有量は、好ましくは5〜99質量%、さらに好ましくは10〜95質量%である。
本発明の複屈折パターン作製材料の光学異方性層における高分子化合物とは、多数の原子が結合してできる巨大分子のことを指し、例えば分子量が3000以上である化合物をいう。具体的にはアクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、あるいはこれらの共重合体などがあげられる。またこれらの高分子中には様々なモノマーが共重合されていても良い。こうしたモノマーの例としては、カルボン酸末端アクリルモノマー、液晶性アクリルモノマーなどがあげられる。(未反応の)反応性基としてはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基などがあげられる。この高分子化合物の光学異方性層における含有量は、好ましくは5〜99質量%、さらに好ましくは10〜95質量%である。
光学異方性層は好ましくは20℃において、より好ましくは30℃において、さらに好ましくは40℃において固体であればよい。20℃において固体であると、他の機能性層の塗布や、支持体上への転写や貼合が容易であるからである。
他の機能性層の塗布を行うため、本発明における光学異方性層は耐溶媒性を有することが好ましい。本明細書において、「耐溶媒性を有する」とは対象の溶媒に2分間浸漬した後の特性反射のピーク反射率が浸漬前のピーク反射率の30%から170%の範囲内に、より好ましくは50%から150%の範囲内に、最も好ましくは80%から120%の範囲内にあることを意味する。対象の溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルの中から、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドンの中から、最も好ましくはメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはこれらの混合溶媒等があげられる。
他の機能性層の塗布を行うため、本発明における光学異方性層は耐溶媒性を有することが好ましい。本明細書において、「耐溶媒性を有する」とは対象の溶媒に2分間浸漬した後の特性反射のピーク反射率が浸漬前のピーク反射率の30%から170%の範囲内に、より好ましくは50%から150%の範囲内に、最も好ましくは80%から120%の範囲内にあることを意味する。対象の溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルの中から、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドンの中から、最も好ましくはメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはこれらの混合溶媒等があげられる。
本発明における光学異方性層は、コレステリック構造に起因する特性反射を示し、そのピーク波長が50〜3000nm、かつ、ピーク反射率が2〜100%であることが好ましい。このようなピーク波長及びピーク反射率を有する光学異方性層とすることにより特性反射が赤外光、可視光あるいは紫外光として観測され、認証や装飾、あるいは通信などの用途に利用することができる。ピーク波長は、300〜1600nmであることがより好ましい。
また、光学異方性層のコレステリックピッチが100〜2000nmであることが好ましく、150〜1200nmであることがより好ましい。このようなコレステリックピッチを有することにより300〜1600nm付近にピーク波長を有する光学異方性層とすることができる。
また、光学異方性層のコレステリックピッチが100〜2000nmであることが好ましく、150〜1200nmであることがより好ましい。このようなコレステリックピッチを有することにより300〜1600nm付近にピーク波長を有する光学異方性層とすることができる。
光学異方性層は、少なくとも2つの反応性基を有する棒状液晶性化合物とカイラル剤を含んでなる組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、熱または放射線照射によって重合固定化して形成される。
また、後述するように、本発明における光学異方性層は転写により形成されたものであってもよい。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることがさらに好ましい。
また、後述するように、本発明における光学異方性層は転写により形成されたものであってもよい。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることがさらに好ましい。
[棒状液晶性化合物]
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、コレステリック液晶相を形成させたのちに重合固定化するため、低分子の棒状液晶性化合物を用いる。温度変化や湿度変化を小さくできることから本発明においては1液晶分子中の反応性基が2以上ある化合物を用いる。棒状液晶性化合物は二種類以上の混合物でもよい。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、コレステリック液晶相を形成させたのちに重合固定化するため、低分子の棒状液晶性化合物を用いる。温度変化や湿度変化を小さくできることから本発明においては1液晶分子中の反応性基が2以上ある化合物を用いる。棒状液晶性化合物は二種類以上の混合物でもよい。
棒状液晶性化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することも好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有する高分子化合物を含む光学異方性層を作製することが可能となる。用いる重合条件としては重合固定化に用いる照射光の波長域でもよいし、用いる重合機構の違いでもよいが、好ましくは用いる開始剤の種類によって制御可能な、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基の組み合わせがよい。前記ラジカル性の反応性基がアクリル基および/またはメタクリル基であり、かつ前記カチオン性基がビニルエーテル基、オキセタン基および/またはエポキシ基である組み合わせが反応性を制御しやすく特に好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。特に好ましく用いられる上記低分子の少なくとも2つの反応性基を有する棒状液晶性化合物は、下記一般式(I)で表される。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、反応性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。本明細書においてEtはエチル基、Prはプロピル基を表す。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、反応性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。本明細書においてEtはエチル基、Prはプロピル基を表す。
L1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、およびNR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。前記式(I)中、Q1−L1およびQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−およびCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
A1およびA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W1−L5)n−W2−
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W1−L5)n−W2−
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
W1およびW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1およびW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報(WO97/00600)に記載の方法で合成することができる。
光学異方性層は、少なくとも2つの反応性基を有する棒状液晶性化合物と後述するカイラル剤を含有する組成物(例えば塗布液)を、後述する支持体の表面に塗布して乾燥させ、コレステリック液晶相を示す配向状態とした後、該配向状態を熱又は放射線照射により固定することで作製される。
液晶性化合物を含む組成物からなる光学異方性層を2層以上積層する場合、液晶性化合物の組み合わせについては特に限定されない。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の光学異方性層を積層してもよいし、異なる配向状態の光学異方性層を積層してもよい。例えば、特性反射のピーク波長等が異なる光学異方性層を積層することができる。
光学異方性層は、液晶性化合物および下記のカイラル剤、重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、後述する支持体の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[カイラル剤]
棒状液晶性化合物と光学活性化合物(カイラル剤)とを混合することによりコレステリック液晶性組成物が得られる。光学活性化合物としては公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。カイラル剤は、重合性基(反応性基)を有していても有していなくてもよいが、有していないことが好ましい。すなわち、カイラル剤は非光重合型カイラル剤であることが好ましく、さらに、カイラル剤は非光反応型カイラル剤であることが好ましい。カイラル剤が重合性基を有する場合は、棒状液晶性化合物の重合反応により、棒状液晶性繰り返し単位と光学活性構造とを有するポリマーを形成することができる。カイラル剤の重合性基は、棒状液晶性化合物の重合性基(反応性基)と同様の基であることが好ましい。
カイラル剤の使用量は、液晶性化合物を含む組成物(塗布液)中の対固形分濃度で0.5〜20質量%が好ましく、1.5〜16.0質量%がより好ましい。
棒状液晶性化合物と光学活性化合物(カイラル剤)とを混合することによりコレステリック液晶性組成物が得られる。光学活性化合物としては公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。カイラル剤は、重合性基(反応性基)を有していても有していなくてもよいが、有していないことが好ましい。すなわち、カイラル剤は非光重合型カイラル剤であることが好ましく、さらに、カイラル剤は非光反応型カイラル剤であることが好ましい。カイラル剤が重合性基を有する場合は、棒状液晶性化合物の重合反応により、棒状液晶性繰り返し単位と光学活性構造とを有するポリマーを形成することができる。カイラル剤の重合性基は、棒状液晶性化合物の重合性基(反応性基)と同様の基であることが好ましい。
カイラル剤の使用量は、液晶性化合物を含む組成物(塗布液)中の対固形分濃度で0.5〜20質量%が好ましく、1.5〜16.0質量%がより好ましい。
[棒状液晶性化合物の配向状態の固定化]
配向させた棒状液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、加熱または放射線照射により、棒状液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応により実施する。ここでいう放射線とは電波、光(赤外光、可視光、紫外光)、エックス線、ガンマ線などの電磁波と電子線(ベータ線)、陽子線、中性子線、アルファ線、イオン線などの粒子線の総称である。固定化に当たってはいずれの手段を用いても良いが、加熱、電波照射、光照射もしくは電子線照射を用いるのが好ましく、光照射もしくは電子線照射を用いるのがより好ましく、紫外線照射を用いるのが特に好ましい。なお、特に加熱を用いた重合反応は「熱重合反応」、光照射を用いた重合反応は「光重合反応」と呼ばれる。本明細書でもこの呼称を用いる。
重合反応に際しては、重合反応を促進するために開始剤を用いても良い。重合開始剤としては特に限定されないが例えば熱重合開始剤や光重合開始剤などがあげられる。前者は熱重合反応において、後者は光重合反応において用いられる。
光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などがあげられるが、ラジカル重合もしくはカチオン重合が好ましい。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示することができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
配向させた棒状液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、加熱または放射線照射により、棒状液晶性化合物に導入した反応性基の重合反応により実施する。ここでいう放射線とは電波、光(赤外光、可視光、紫外光)、エックス線、ガンマ線などの電磁波と電子線(ベータ線)、陽子線、中性子線、アルファ線、イオン線などの粒子線の総称である。固定化に当たってはいずれの手段を用いても良いが、加熱、電波照射、光照射もしくは電子線照射を用いるのが好ましく、光照射もしくは電子線照射を用いるのがより好ましく、紫外線照射を用いるのが特に好ましい。なお、特に加熱を用いた重合反応は「熱重合反応」、光照射を用いた重合反応は「光重合反応」と呼ばれる。本明細書でもこの呼称を用いる。
重合反応に際しては、重合反応を促進するために開始剤を用いても良い。重合開始剤としては特に限定されないが例えば熱重合開始剤や光重合開始剤などがあげられる。前者は熱重合反応において、後者は光重合反応において用いられる。
光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などがあげられるが、ラジカル重合もしくはカチオン重合が好ましい。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示することができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、25〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cm2であることが好ましく、20〜500mW/cm2であることがより好ましく、40〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。
[水平配向剤]
特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の、一般式(1)〜(3)で表される化合物および一般式(4)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の一般式(1)〜(4)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の、一般式(1)〜(3)で表される化合物および一般式(4)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の一般式(1)〜(4)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
[カイラル剤の抽出工程]
本発明の方法においては、パターン露光の前に、上記の光照射により仮硬化された光学異方性層からカイラル剤を抽出する。抽出方法は特に限定されないが、光学異方性層上に設けられるカイラル剤抽出層により行われることが好ましい。このようなカイラル剤抽出層は好ましくは光学異方性層上に直接設けられることが好ましい。カイラル剤抽出層は例えば複屈折パターン作製材料に設けられていればよい。
カイラル剤の抽出は、カイラル剤抽出層自体により、またはカイラル剤抽出層を設ける工程において行われていればよい。カイラル剤抽出層を設ける工程においてカイラル剤が抽出されているとは、例えば、カイラル剤抽出層が塗布により設けられる場合に、その塗布液の溶媒により、カイラル剤が抽出されることなどを意味する。
本発明の方法においては、パターン露光の前に、上記の光照射により仮硬化された光学異方性層からカイラル剤を抽出する。抽出方法は特に限定されないが、光学異方性層上に設けられるカイラル剤抽出層により行われることが好ましい。このようなカイラル剤抽出層は好ましくは光学異方性層上に直接設けられることが好ましい。カイラル剤抽出層は例えば複屈折パターン作製材料に設けられていればよい。
カイラル剤の抽出は、カイラル剤抽出層自体により、またはカイラル剤抽出層を設ける工程において行われていればよい。カイラル剤抽出層を設ける工程においてカイラル剤が抽出されているとは、例えば、カイラル剤抽出層が塗布により設けられる場合に、その塗布液の溶媒により、カイラル剤が抽出されることなどを意味する。
[カイラル剤抽出層]
カイラル剤抽出層の例としては、例えば、抽出されたカイラル剤と相溶する樹脂と光重合開始剤を含むことが望ましい。カイラル剤抽出層を形成する樹脂とカイラル剤の相溶性が十分でないと、塗布後にカイラル剤が樹脂表面に析出してくることがある。また、カイラル剤抽出層塗布時に光開始剤を光学異方性層に供給することによって、露光時の感度を向上させることができる。カイラル剤と相溶する好ましい樹脂としては、メチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体、アリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。
カイラル剤抽出層の例としては、例えば、抽出されたカイラル剤と相溶する樹脂と光重合開始剤を含むことが望ましい。カイラル剤抽出層を形成する樹脂とカイラル剤の相溶性が十分でないと、塗布後にカイラル剤が樹脂表面に析出してくることがある。また、カイラル剤抽出層塗布時に光開始剤を光学異方性層に供給することによって、露光時の感度を向上させることができる。カイラル剤と相溶する好ましい樹脂としては、メチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体、アリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。
カイラル剤抽出層は塗布成膜で設けられることが好ましく、その際の塗布液の溶媒はカイラル剤をよく溶解しうることが好ましい。カイラル剤を溶解しうる溶媒はカイラル剤種にもよるが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒などを挙げることが出来る。カイラル剤抽出層はカイラル剤を相溶するために十分な膜厚を塗布する必要があり、0.5μm〜3μmが好ましい。膜厚が0.5μm以下ではカイラル剤が樹脂表面に析出してくる場合がある。また、3μm以上では光学異方性層との密着性が損なわれる場合がある。
また、カイラル剤抽出層は例えば保護層として機能していてもよい。
また、カイラル剤抽出層は例えば保護層として機能していてもよい。
[他の層]
複屈折パターン作製材料は、または、複屈折パターンを有する物品は、前述の光学異方性層のほかに、様々な副次的機能を付与することが可能である機能性層を有していてもよい。機能性層としては、支持体、配向層、反射層、後粘着層、光吸収層、力学特性制御層、剥離層、表面保護層、などが挙げられる。また、転写材料として用いられる複屈折パターン作製用材料、又は転写材料を用いて作製された複屈折パターン作製材料などにおいて、仮支持体、転写接着層、または力学特性制御層を有していてもよい。これらの層の特徴、およびこれらの層の作製方法などについては、特開2011−33791号公報の記載を参照することができる。
複屈折パターン作製材料は、または、複屈折パターンを有する物品は、前述の光学異方性層のほかに、様々な副次的機能を付与することが可能である機能性層を有していてもよい。機能性層としては、支持体、配向層、反射層、後粘着層、光吸収層、力学特性制御層、剥離層、表面保護層、などが挙げられる。また、転写材料として用いられる複屈折パターン作製用材料、又は転写材料を用いて作製された複屈折パターン作製材料などにおいて、仮支持体、転写接着層、または力学特性制御層を有していてもよい。これらの層の特徴、およびこれらの層の作製方法などについては、特開2011−33791号公報の記載を参照することができる。
[複屈折パターン作製材料の作製方法]
本発明において複屈折パターン作製材料の作製は、棒状液晶化合物とカイラル剤とを含む組成物(塗布液)を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化された高分子化合物を含んでなる、光学異方性層を少なくとも1層形成することで行われる。この光学異方性層は、前記組成物を支持体上に直接、あるいは他の層を積層した上に塗布して形成することができる。
本発明において複屈折パターン作製材料の作製は、棒状液晶化合物とカイラル剤とを含む組成物(塗布液)を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化された高分子化合物を含んでなる、光学異方性層を少なくとも1層形成することで行われる。この光学異方性層は、前記組成物を支持体上に直接、あるいは他の層を積層した上に塗布して形成することができる。
なお、光学異方性層、カイラル剤抽出層、また、その他の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
棒状液晶化合物とカイラル剤とを含む組成物の乾燥に適した条件は使用する棒状液晶化合物、塗布液溶媒等によっても異なるが、膜面温度40〜140℃とし、5〜180秒間行うことが好ましい。
棒状液晶化合物とカイラル剤とを含む組成物の乾燥に適した条件は使用する棒状液晶化合物、塗布液溶媒等によっても異なるが、膜面温度40〜140℃とし、5〜180秒間行うことが好ましい。
光学異方性層は、あらかじめ転写材料中に作成しておいた光学異方性層を転写して形成することもできる。転写材料を用いた複屈折パターン作製材料の作製方法などについては、特開2011−33791号公報の記載を参照することができる。
[複屈折パターンを有する物品の製造]
上記のようにして複屈折パターン作製材料を作製した後、少なくとも、以下の工程[3]、[4]をこの順に行うことにより、複屈折パターンを有する物品を製造することができる。
[3]前記複屈折パターン作製材料にパターン露光を行う工程;
[4]前記工程[2]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
上記工程[3]でパターン露光を行うことにより、完全硬化した部分、仮硬化のままである部分、及びその中間の硬化状態の部分をパターニングすることができる。次いで工程[4]で加熱することにより、コレステリック液晶のらせんピッチを緩和させる。完全硬化した部分ではらせんピッチに変化はないが、仮硬化部分では抽出によるカイラル剤の減少分だけ長波長シフトする。同様に中間の硬化部分では長波長シフトの巾も中間程度となる。
上記工程に次いで、必要に応じて、UV照射により全面硬化を行う。
上記のようにして複屈折パターン作製材料を作製した後、少なくとも、以下の工程[3]、[4]をこの順に行うことにより、複屈折パターンを有する物品を製造することができる。
[3]前記複屈折パターン作製材料にパターン露光を行う工程;
[4]前記工程[2]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。
上記工程[3]でパターン露光を行うことにより、完全硬化した部分、仮硬化のままである部分、及びその中間の硬化状態の部分をパターニングすることができる。次いで工程[4]で加熱することにより、コレステリック液晶のらせんピッチを緩和させる。完全硬化した部分ではらせんピッチに変化はないが、仮硬化部分では抽出によるカイラル剤の減少分だけ長波長シフトする。同様に中間の硬化部分では長波長シフトの巾も中間程度となる。
上記工程に次いで、必要に応じて、UV照射により全面硬化を行う。
[パターン露光]
本明細書において、パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の一部が露光されるように行う露光を意味する。パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザーや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画してもよい。
前記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザー等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm2程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm2程度、最も好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。
本明細書において、パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の一部が露光されるように行う露光を意味する。パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザーや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画してもよい。
前記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザー等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm2程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm2程度、最も好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。
[パターン露光時の露光条件]
本発明の製造方法においては、複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光(パターン露光)を行うことを特徴とする。複屈折パターン作製材料の3つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光(パターン露光)を行うことが好ましい。この際、3つ以上の領域のうちの1つの領域はパターン露光の段階において、露光されない領域であってもよい。2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行うことにより、最終的に得られるパターンにおいてそれぞれの領域の複屈折性に細かい差異をつけることが可能となる。
上記の「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は複数回の露光によって行われてもよく、もしくは、例えば領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。
本発明の製造方法においては、複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光(パターン露光)を行うことを特徴とする。複屈折パターン作製材料の3つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光(パターン露光)を行うことが好ましい。この際、3つ以上の領域のうちの1つの領域はパターン露光の段階において、露光されない領域であってもよい。2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行うことにより、最終的に得られるパターンにおいてそれぞれの領域の複屈折性に細かい差異をつけることが可能となる。
上記の「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は複数回の露光によって行われてもよく、もしくは、例えば領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。
露光条件としては、特に限定はされないが、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、露光量、露光時の温度、露光時の雰囲気等が挙げられる。この中で、条件調整の容易性の観点から、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、および露光量が好ましく、露光照度、露光時間および露光量がさらに好ましい。パターン露光時に相異なる露光条件で露光された領域はその後、焼成を経て相異なる、かつ露光条件によって制御された複屈折性を示す。特に異なる特性反射を与える。すなわち、パターン露光の際に領域ごとに露光条件を調整することにより、焼成を経た後に領域ごとに異なる、かつ所望の特性反射を示す複屈折パターンを作製することが可能である。なお、異なる露光条件で露光された2つ以上の露光領域間の露光条件は不連続に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
[マスク露光]
露光条件の異なる露光領域を生じる手段として、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の元で同一時間の露光を行うことで異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
またレーザーなどを用いた走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能である。
露光条件の異なる露光領域を生じる手段として、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の元で同一時間の露光を行うことで異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
またレーザーなどを用いた走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能である。
[走査露光]
露光条件の異なる露光領域を生じる手段としては走査露光を行うこともできる。 走査露光は、例えば、光により所望の2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を応用して行うことができる。
このような描画装置の代表的な例として、光ビーム発生手段から導出された光ビームを、光ビーム偏向走査手段を介して被走査体上に走査させることにより、所定の画像等を記録するように構成された画像記録装置がある。この種の画像記録装置では、画像等の記録に際して、光ビーム発生手段から導出される光ビームを画像信号に対応して変調させる(特開平7−52453号公報)。
露光条件の異なる露光領域を生じる手段としては走査露光を行うこともできる。 走査露光は、例えば、光により所望の2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を応用して行うことができる。
このような描画装置の代表的な例として、光ビーム発生手段から導出された光ビームを、光ビーム偏向走査手段を介して被走査体上に走査させることにより、所定の画像等を記録するように構成された画像記録装置がある。この種の画像記録装置では、画像等の記録に際して、光ビーム発生手段から導出される光ビームを画像信号に対応して変調させる(特開平7−52453号公報)。
また主走査方向に回転するドラムの外周面に貼着された被走査体上に対してレーザビームを副走査方向に走査することで記録を行うタイプ、および、ドラムの円筒内周面に貼着された被走査体上に対してレーザビームを回転走査させることで記録を行うタイプ(特許2783481号)の装置も使用できる。
さらに、描画ヘッドにより2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を用いることもできる。例えば、半導体基板や印刷版の作製で用いられている、露光ヘッドにより所望の2次元パターンを感光材料等の露光面上に形成する露光装置が使用できる。このような露光ヘッドとして代表的なものは、多数の画素を有し所望の2次元パターンを構成する光点群を発生させる画素アレイを備えている。この露光ヘッドを、露光面に対して相対移動させながら動作させることにより、所望の2次元パターンを露光面上に形成することができる。
上記のような露光装置としては、たとえば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を露光面に対して所定の走査方向に相対的に移動させるとともに、その走査方向への移動に応じてDMDのメモリセルに多数のマイクロミラーに対応した多数の描画点データからなるフレームデータを入力し、DMDのマイクロミラーに対応した描画点群を時系列に順次形成することにより所望の画像を露光面に形成する露光装置が提案されている(特開2006−327084号公報)。
露光ヘッドが備える空間光変調素子としては、上記のDMDの以外の、空間光変調素子を使用することもできる。なお、空間光変調素子は、反射型および透過型のいずれでもよい。そのほかの空間光変調素子の例としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Spacial Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)等の液晶シャッターアレイなどが挙げられる。なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。
さらに、回折格子ライトバルブ(GLV;Grating Light Valve)を複数ならべて二次元状に構成したものを用いることもできる。
露光ヘッドの光源としては、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も使用可能である。
露光ヘッドの光源としては、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も使用可能である。
[加熱(ベーク)]
パターン露光された複屈折パターン作製材料に対して50℃以上150℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上150℃以下に加熱を行うことにより複屈折パターンを作製することができる。論理的には光学異方性層のガラス転移温度以上、熱重合温度以下で加熱をすればよい。
また、本発明において加熱は、未露光部分の光学異方性層の特性反射消失温度以下の温度で行うことが好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、30秒以上1時間以内が好ましく、1分以上10分以内がより好ましく、約2分が特に好ましい。
加熱に使用する機器としては、温風炉、マッフル炉、IRヒーター、セラミックヒーター、電気炉等が使用できる。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式加熱、ロール形態であればRtoR式加熱でもよい。RtoR式加熱を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
パターン露光された複屈折パターン作製材料に対して50℃以上150℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上150℃以下に加熱を行うことにより複屈折パターンを作製することができる。論理的には光学異方性層のガラス転移温度以上、熱重合温度以下で加熱をすればよい。
また、本発明において加熱は、未露光部分の光学異方性層の特性反射消失温度以下の温度で行うことが好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、30秒以上1時間以内が好ましく、1分以上10分以内がより好ましく、約2分が特に好ましい。
加熱に使用する機器としては、温風炉、マッフル炉、IRヒーター、セラミックヒーター、電気炉等が使用できる。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式加熱、ロール形態であればRtoR式加熱でもよい。RtoR式加熱を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
[後処理(有機色素の漂白)]
光学異方性層に有機色素を用いた場合、有機色素の色が残ることがあり、必要に応じ、これを後処理で漂白することができる。例えば、あらかじめホウ素化合物を過剰に添加しておき、全面露光によってホウ素化合物からラジカルを発生させ、これによって色素を分解させて漂白することができる。この方法は加温しながら行うと、より効果的である。また、漂白に用いる波長とパターン露光波長に用いる波長が近い場合はこの処理はベーク後に行うことが好ましい。
光学異方性層に有機色素を用いた場合、有機色素の色が残ることがあり、必要に応じ、これを後処理で漂白することができる。例えば、あらかじめホウ素化合物を過剰に添加しておき、全面露光によってホウ素化合物からラジカルを発生させ、これによって色素を分解させて漂白することができる。この方法は加温しながら行うと、より効果的である。また、漂白に用いる波長とパターン露光波長に用いる波長が近い場合はこの処理はベーク後に行うことが好ましい。
[紫外線照射]
作製された複屈折パターンの安定性をさらに高めたい場合、固定化された後にまだ残存している未反応の反応性基をさらに反応させて耐久性を高める目的のために仕上げの紫外線照射を行うことが好ましい。仕上げの照射条件としては、150 mJ/cm2以上の紫外線露光を行えばよい。
作製された複屈折パターンの安定性をさらに高めたい場合、固定化された後にまだ残存している未反応の反応性基をさらに反応させて耐久性を高める目的のために仕上げの紫外線照射を行うことが好ましい。仕上げの照射条件としては、150 mJ/cm2以上の紫外線露光を行えばよい。
[複屈折パターンに積層される機能性層]
複屈折パターン作製材料に、上述のようにパターン露光及びベークを行って複屈折性パターンを作製した後に、さらに様々な機能を持った機能性層を積層し、複屈折パターンを有する物品としてもよい。機能性層としては、特に限定されるものではないが、例えば表面の傷つきを防止するハードコート層や、複屈折パターンの視認を容易にする光吸収層などがあげられる。
複屈折パターン作製材料に、上述のようにパターン露光及びベークを行って複屈折性パターンを作製した後に、さらに様々な機能を持った機能性層を積層し、複屈折パターンを有する物品としてもよい。機能性層としては、特に限定されるものではないが、例えば表面の傷つきを防止するハードコート層や、複屈折パターンの視認を容易にする光吸収層などがあげられる。
[複屈折パターンを有する物品の利用法]
複屈折パターンを有する物品が示す反射は独特のもので、電子コピーや印刷で作製したパターンで模倣する事は困難である。一方で、このようなコレステリックパターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊である。従って、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は極めて模造されにくい性質を有しており、例えば偽造防止手段として利用することができる。より具体的には、例えば、特定のマーク(社名や商標など)状の複屈折パターンを有するラベルや転写箔として利用可能である。
また一方で、特性反射のもたらす視覚上あるいは光学上の効果を利用して情報媒体として用いる事も可能である。より具体的には、番号列、文字列、一次元あるいは二次元のバーコード(QRコード(登録商標))、記号、画像などをパターンとして書き込み、情報を織り込む事が可能である。またその際、用途に応じて適した特性反射の波長を選ぶ事も可能である。例えば認識性を重視し目視でも容易に識別できるパターンとしたいならば可視光領域の特性反射光を有する複屈折パターンが適しているし、逆に隠匿性のパターンとしたいならば紫外光領域や赤外光領域の特性反射を有するパターンを用いる事で目視では不可視のパターンとすることができる。不可視のパターンは下地のデザインに外観に影響を与えないで情報を与える(例えば、グラビア写真上に不可視のパターンで通し番号を打つ)という方面での利用も考えられる。
さらに一方で、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は、可視光領域の特性反射が有する美しい色としての特徴を利用して装飾用途に用いても良い。この場合、見る角度を変える事で特性反射の波長が変化し色が変わる事も魅力となる。
複屈折パターンを有する物品が示す反射は独特のもので、電子コピーや印刷で作製したパターンで模倣する事は困難である。一方で、このようなコレステリックパターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊である。従って、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は極めて模造されにくい性質を有しており、例えば偽造防止手段として利用することができる。より具体的には、例えば、特定のマーク(社名や商標など)状の複屈折パターンを有するラベルや転写箔として利用可能である。
また一方で、特性反射のもたらす視覚上あるいは光学上の効果を利用して情報媒体として用いる事も可能である。より具体的には、番号列、文字列、一次元あるいは二次元のバーコード(QRコード(登録商標))、記号、画像などをパターンとして書き込み、情報を織り込む事が可能である。またその際、用途に応じて適した特性反射の波長を選ぶ事も可能である。例えば認識性を重視し目視でも容易に識別できるパターンとしたいならば可視光領域の特性反射光を有する複屈折パターンが適しているし、逆に隠匿性のパターンとしたいならば紫外光領域や赤外光領域の特性反射を有するパターンを用いる事で目視では不可視のパターンとすることができる。不可視のパターンは下地のデザインに外観に影響を与えないで情報を与える(例えば、グラビア写真上に不可視のパターンで通し番号を打つ)という方面での利用も考えられる。
さらに一方で、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は、可視光領域の特性反射が有する美しい色としての特徴を利用して装飾用途に用いても良い。この場合、見る角度を変える事で特性反射の波長が変化し色が変わる事も魅力となる。
[円偏光フィルタを用いた特性反射の識別]
また、複屈折パターンを有する物品が有している光学異方性層が示す特性反射は右円偏光か左円偏光のいずれかになる(どちらになるかは材料や製造方法に応じて異なる)。円偏光は対応する円偏光フィルタ(右円偏光なら右円偏光フィルタ、左円偏光なら左円偏光フィルタ)はそのまま通過するが逆巻きの円偏光フィルタ(右円偏光なら左円偏光フィルタ、左円偏光なら右円偏光フィルタ)は通過できずに吸収される。この性質を利用し、複屈折パターンを有する物品に対して逆巻きの円偏光フィルタをかざした際にその特性反射が観察されなくなることを確認することで、正しく作られたパターンかどうかを判定することが可能である。(特性反射に由来しない通常の反射光の場合には、円偏光フィルタをかざすとその強度が半減するのみで、観察されなくなることは無い)
また、複屈折パターンを有する物品が有している光学異方性層が示す特性反射は右円偏光か左円偏光のいずれかになる(どちらになるかは材料や製造方法に応じて異なる)。円偏光は対応する円偏光フィルタ(右円偏光なら右円偏光フィルタ、左円偏光なら左円偏光フィルタ)はそのまま通過するが逆巻きの円偏光フィルタ(右円偏光なら左円偏光フィルタ、左円偏光なら右円偏光フィルタ)は通過できずに吸収される。この性質を利用し、複屈折パターンを有する物品に対して逆巻きの円偏光フィルタをかざした際にその特性反射が観察されなくなることを確認することで、正しく作られたパターンかどうかを判定することが可能である。(特性反射に由来しない通常の反射光の場合には、円偏光フィルタをかざすとその強度が半減するのみで、観察されなくなることは無い)
[光学素子]
また、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は光学素子への利用も可能である。例えば上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品を構造的な光学素子として用いた場合、特定の偏光にのみ効果を与える特殊な光学素子の作製が可能である。一例として、本発明の屈折率のパターンによって作製された回折格子は特定の偏光を強く回折する偏光分離素子として機能し、プロジェクターや光通信分野への応用が可能である。
また、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は光学素子への利用も可能である。例えば上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品を構造的な光学素子として用いた場合、特定の偏光にのみ効果を与える特殊な光学素子の作製が可能である。一例として、本発明の屈折率のパターンによって作製された回折格子は特定の偏光を強く回折する偏光分離素子として機能し、プロジェクターや光通信分野への応用が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成
──────────────────────────────────―
変性ポリビニルアルコール(AL−1−1) 8.00質量部
未変性ポリビニルアルコール(PVA217、クラレ(株)製)
2.00質量部
蒸留水 371.00質量部
メタノール 199.00質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.50質量部
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
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配向層用塗布液組成
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変性ポリビニルアルコール(AL−1−1) 8.00質量部
未変性ポリビニルアルコール(PVA217、クラレ(株)製)
2.00質量部
蒸留水 371.00質量部
メタノール 199.00質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.50質量部
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(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層塗布液LC−1として用いた。
────────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液
────────────────────────────────────────
重合性液晶化合物(RM257、メルク(株)製) 15.18質量部
重合性液晶化合物(LC−1−1) 11.07質量部
カイラル剤(LC−1−2) 2.88質量部
カチオン重合開始剤
(CPI−100P、サンアプロ(株)製) 0.22質量部
ラジカル重合開始剤
(IRGACURE907、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.47質量部
増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製) 0.16質量部
ラジカル重合抑制剤(IRGANOX1076、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.04質量部
架橋剤(OXT−121、東亞合成(株)製) 1.58質量部
配向制御剤(LC−1−3) 0.03質量部
メチルエチルケトン 62.34質量部
シクロヘキサノン 6.03質量部
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層塗布液LC−1として用いた。
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光学異方性層用塗布液
────────────────────────────────────────
重合性液晶化合物(RM257、メルク(株)製) 15.18質量部
重合性液晶化合物(LC−1−1) 11.07質量部
カイラル剤(LC−1−2) 2.88質量部
カチオン重合開始剤
(CPI−100P、サンアプロ(株)製) 0.22質量部
ラジカル重合開始剤
(IRGACURE907、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.47質量部
増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製) 0.16質量部
ラジカル重合抑制剤(IRGANOX1076、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.04質量部
架橋剤(OXT−121、東亞合成(株)製) 1.58質量部
配向制御剤(LC−1−3) 0.03質量部
メチルエチルケトン 62.34質量部
シクロヘキサノン 6.03質量部
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(光学異方性層用塗布液LC−2の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層塗布液LC−1として用いた。
────────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液
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重合性液晶化合物(RM257、メルク(株)製) 15.18質量部
重合性液晶化合物(LC−1−1) 11.07質量部
カイラル剤(LC-756、BASF(株)製) 2.88質量部
カチオン重合開始剤
(CPI−100P、サンアプロ(株)製) 0.22質量部
ラジカル重合開始剤
(IRGACURE907、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.47質量部
増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製) 0.16質量部
ラジカル重合抑制剤(IRGANOX1076、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.04質量部
架橋剤(OXT−121、東亞合成(株)製) 1.58質量部
配向制御剤(LC−1−3) 0.03質量部
メチルエチルケトン 62.34質量部
シクロヘキサノン 6.03質量部
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層塗布液LC−1として用いた。
────────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液
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重合性液晶化合物(RM257、メルク(株)製) 15.18質量部
重合性液晶化合物(LC−1−1) 11.07質量部
カイラル剤(LC-756、BASF(株)製) 2.88質量部
カチオン重合開始剤
(CPI−100P、サンアプロ(株)製) 0.22質量部
ラジカル重合開始剤
(IRGACURE907、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.47質量部
増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製) 0.16質量部
ラジカル重合抑制剤(IRGANOX1076、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
0.04質量部
架橋剤(OXT−121、東亞合成(株)製) 1.58質量部
配向制御剤(LC−1−3) 0.03質量部
メチルエチルケトン 62.34質量部
シクロヘキサノン 6.03質量部
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(カイラル剤抽出層用塗布液OC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、カイラル剤抽出用塗布液OC−1として用いた。ラジカル光重合開始剤RPI−1としては2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)1,3,4−オキサジアゾールを用いた。下記組成はその溶液としての使用量である。
──────────────────────────────────―
カイラル剤抽出層用塗布液組成(質量%)
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バインダ(MH−101−5、藤倉化成(株)製) 7.63
ラジカル光重合開始剤(RPI−1) 0.49
界面活性剤 0.03
(メガファックF−176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 91.85
───────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、カイラル剤抽出用塗布液OC−1として用いた。ラジカル光重合開始剤RPI−1としては2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)1,3,4−オキサジアゾールを用いた。下記組成はその溶液としての使用量である。
──────────────────────────────────―
カイラル剤抽出層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
バインダ(MH−101−5、藤倉化成(株)製) 7.63
ラジカル光重合開始剤(RPI−1) 0.49
界面活性剤 0.03
(メガファックF−176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 91.85
───────────────────────────────────
(カイラル剤抽出用塗布液OC−2の調製)
下記の組成物を調製後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、カイラル剤非抽出層用塗布液OC−2として用いた。
──────────────────────────────────―
カイラル剤非抽出層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
バインダ(PVA205、クラレ(株)製) 7.66
ラジカル光重合開始剤
(IRGACURE2959、チバスペシャリティケミカルズ(株)製) 0.49
蒸留水 91.85
───────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、カイラル剤非抽出層用塗布液OC−2として用いた。
──────────────────────────────────―
カイラル剤非抽出層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
バインダ(PVA205、クラレ(株)製) 7.66
ラジカル光重合開始剤
(IRGACURE2959、チバスペシャリティケミカルズ(株)製) 0.49
蒸留水 91.85
───────────────────────────────────
(実施例1:複屈折パターン作製材料P−1の作製)
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出層を形成し、実施例の複屈折パターン作製材料P−1を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−1は全体が青色を示した。
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出層を形成し、実施例の複屈折パターン作製材料P−1を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−1は全体が青色を示した。
(実施例2:複屈折パターンを有するフィルムP−2の作製)
P−1にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、複屈折パターンを有するフィルムP−2を作製した。図3中、無地で示した領域、横線で示した領域、縦線で示した領域に対応する部分がそれぞれ赤色、緑色、青色を示した。波長シフト巾は最大で200nmであった。
P−1にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、複屈折パターンを有するフィルムP−2を作製した。図3中、無地で示した領域、横線で示した領域、縦線で示した領域に対応する部分がそれぞれ赤色、緑色、青色を示した。波長シフト巾は最大で200nmであった。
(実施例3:複屈折パターン作製材料P−3の作製)
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−2を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出層を形成し、実施例の複屈折パターン作製材料P−3を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−1は全体が青色を示した。
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−2を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出層を形成し、実施例の複屈折パターン作製材料P−3を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−1は全体が青色を示した。
(実施例4:複屈折パターンを有するフィルムP−4の作製)
P−3にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、複屈折パターンを有するフィルムP−4を作製した。図3中、無地で示した領域、横線で示した領域、縦線で示した領域に対応する部分がそれぞれ緑色、青緑色、青色を示した。波長シフト幅は最大で70nmであった。波長シフト巾がP−2と比較して小さかったのは、カイラル剤の一部が重合し、層間移動量が低下したためである。
P−3にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、複屈折パターンを有するフィルムP−4を作製した。図3中、無地で示した領域、横線で示した領域、縦線で示した領域に対応する部分がそれぞれ緑色、青緑色、青色を示した。波長シフト幅は最大で70nmであった。波長シフト巾がP−2と比較して小さかったのは、カイラル剤の一部が重合し、層間移動量が低下したためである。
(比較例1:コレステリック液晶フィルム作製材料P−5の作製)
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上に開始剤非抽出層用塗布液OC−2を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤非抽出層を形成し、比較例のコレステリック液晶フィルム作製材料P−5を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−5は全体が青色を示した。
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上に開始剤非抽出層用塗布液OC−2を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤非抽出層を形成し、比較例のコレステリック液晶フィルム作製材料P−5を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−5は全体が青色を示した。
(比較例2:コレステリック液晶フィルムP−6の作製)
P−5にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行って、コレステリック液晶フィルムP−6を作製した。P−6は露光部に重合収縮にともなう僅かな波長シフト(<10nm)が見られたのみで全体が青いままであった。これは、カイラル剤がOC−2に不溶であり、層間移動が起こらなかったためである。
P−5にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が130℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行って、コレステリック液晶フィルムP−6を作製した。P−6は露光部に重合収縮にともなう僅かな波長シフト(<10nm)が見られたのみで全体が青いままであった。これは、カイラル剤がOC−2に不溶であり、層間移動が起こらなかったためである。
(比較例3:コレステリック液晶フィルム作製材料P−7の作製)
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出を形成し、比較例のコレステリック液晶フィルム作製材料P−7を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−7は全体が青色を示した。
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムの一方の表面をけん化した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射して重合した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度70℃で1分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。最後に、光学異方性層の上にカイラル剤抽出層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmのカイラル剤抽出を形成し、比較例のコレステリック液晶フィルム作製材料P−7を作製した。上記塗布はRtoRにて行った。P−7は全体が青色を示した。
(比較例4:コレステリック液晶フィルムP−8の作製)
P−7にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が190℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、反射率のみパターニングされたコレステリック液晶フィルムP−8を作製した。作製されたフィルムにおいては、上記の露光量に応じて各領域の特性反射の反射率が低下したが、波長変化は反射率低下にともなう反射スペクトル変化によってわずかに変化したのみ(<10nm)であった。これは熱重合温度以上の加熱によって消色した等方相状態で固定化されてしまったためである。
P−7にレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図3に示す露光パターンの繰り返しを、RtoRでパターン露光した。図3中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が20mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が150mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が190℃となるように5分間加熱した後、室温でUV全面露光を行うことで、反射率のみパターニングされたコレステリック液晶フィルムP−8を作製した。作製されたフィルムにおいては、上記の露光量に応じて各領域の特性反射の反射率が低下したが、波長変化は反射率低下にともなう反射スペクトル変化によってわずかに変化したのみ(<10nm)であった。これは熱重合温度以上の加熱によって消色した等方相状態で固定化されてしまったためである。
11 支持体または基板
12 光学異方性層
13 配向層
24 カイラル剤抽出層
112 パターン化光学異方性層
112−A パターン化光学異方性層(第一露光部)
112−B パターン化光学異方性層(第二露光部)
112−N パターン化光学異方性層(未露光部)
12 光学異方性層
13 配向層
24 カイラル剤抽出層
112 パターン化光学異方性層
112−A パターン化光学異方性層(第一露光部)
112−B パターン化光学異方性層(第二露光部)
112−N パターン化光学異方性層(未露光部)
Claims (12)
- 少なくとも次の[1]〜[4]の工程をこの順に含む、複屈折パターンを有する物品の製造方法:
[1]支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層を形成する工程;
[2]前記光学異方性層中のカイラル剤の少なくとも一部を抽出する工程
[3]前記光学異方性層に互いに露光条件の異なる2つ以上のパターン露光を行う工程;
[4]前記工程[3]の後に得られる積層体を50℃以上150℃以下でベークする工程。 - 工程[4]の後に以下の工程[5]を含む請求項1に記載の方法:
[5]前記積層体の全面に紫外線を照射する工程。 - 前記の抽出が、前記光学異方性層上にカイラル剤抽出層を設けることにより行われる請求項1または2に記載の方法。
- 前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである請求項3に記載の製造方法。
- 前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである請求項3または4に記載の製造方法。
- 前記カイラル剤が非光重合型カイラル剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記カイラル剤が非光反応型カイラル剤である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程[3]において、互いに露光条件の異なる3つ以上のパターン露光を行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記光学異方性層が露光条件に従って特性反射のピーク波長が異なる領域を生じ、ピーク波長が最も短波長である領域と最も長波長である領域で20nm以上異なる請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記特性反射のピーク波長が380−780nmとなることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
- 支持体、前記支持体上に少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の棒状液晶性化合物と少なくとも1種のカイラル剤とを含む組成物を塗布乾燥してコレステリック液晶相を形成した後、加熱または光照射を行って形成された、重合固定化した高分子化合物を含む光学異方性層、および、前記カイラル剤を溶解しうる溶媒の溶液を塗布乾燥することで形成されたカイラル剤抽出層を有する複屈折パターン作製材料。
- 前記カイラル剤抽出層が、前記カイラル剤と相溶しうる樹脂を含む塗布液を塗布乾燥することで形成されたものである請求項11に記載の複屈折パターン作製材料。
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Cited By (1)
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GB2578117A (en) * | 2018-10-16 | 2020-04-22 | De La Rue Int Ltd | Security devices and methods for their manufacture |
-
2012
- 2012-06-15 JP JP2012135489A patent/JP2014002180A/ja not_active Abandoned
Cited By (2)
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GB2578117A (en) * | 2018-10-16 | 2020-04-22 | De La Rue Int Ltd | Security devices and methods for their manufacture |
GB2578117B (en) * | 2018-10-16 | 2021-06-09 | De La Rue Int Ltd | Security devices and methods for their manufacture |
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