本発明のシステムは、室内の複数の場所で同時に大量の視覚情報を表示するのに好適である。本発明を詳細に説明する目的であって、本発明の範囲を限定するものではないが、本発明は、室内の複数の領域で複数のディスプレイを使用して視覚情報を表示するためのシステムとして記載される。
図1を参照すると、中間コンピュータ130により提供される同じ視像を表示する少なくとも2つのマルチディスプレイ110及び120を含む、システム10が示されている。中間コンピュータ130は、ユーザーデバイス180に接続されている。中間コンピュータ130は、別の場所にあるコンピュータとの通信を可能にするために、ネットワーク160にも接続されている。
本発明の一態様では、マルチディスプレイ110及び120は、スクリーン又は壁と組み合わせて動作する複数のプロジェクター、複数のLCDスクリーン、複数のLEDスクリーン、複数のプラズマスクリーン、及び/又は複数のCRTスクリーンを含むことができる。本明細書で使用するとき、「マルチディスプレイ」とは、互いに隣接して配置される複数の画像生成装置を意味し、全ての画像生成装置を使用して単一の統合画像を表示することができる。換言すれば、マルチディスプレイは、いくつかのディスプレイ装置を共に組み合わせることにより配置される。各ディスプレイ装置は、対応する配置位置に応じて画像の一部を選択し、ディスプレイ装置の全画面サイズに調整する。したがって、全ての組み合わされたディスプレイ装置は、共同で入力信号の画像全体を表示する。一実施形態では、マルチディスプレイ110及び120は、壁に取り付けられたスクリーンと組み合わせた複数のライトプロジェクターを使用してそれぞれ作製される。スクリーンは、支持構造体に取り付けられたビニール、布、及び他の布地などの、様々な材料から作製されてもよい。アクリル樹脂又はガラスなどの硬質材料もスクリーン材料として使用され得る。好ましくは、3つのプロジェクターを使用してそれぞれのマルチディスプレイ110及び120を作製する。あるいは、4つのプロジェクターを使用してそれぞれのマルチディスプレイ110及び120を作製する。他の実施形態では、マルチディスプレイ110及び120は、複数のLCDスクリーンを使用してそれぞれ作製される。好ましくは、それぞれのマルチディスプレイ(110、120)は、並列に配置された3つのLCDスクリーンを使用して作製される。あるいは、それぞれのマルチディスプレイ(110、120)は、並列に配置された4つのLCDスクリーンを使用して作製される。
一実施形態では、マルチディスプレイは、少なくとも18ppi(ピクセル/インチ)の画像解像度を有する。好ましくは、マルチディスプレイは、少なくとも25ppiの画像解像度を有する。マルチディスプレイの全高は、好ましくは少なくとも約46cm(約18インチ)、より好ましくは少なくとも約61cm(約24インチ)、更により好ましくは少なくとも約91cm(約36インチ)である。マルチディスプレイの全幅は、好ましくは少なくとも約152cm(約5フィート)、より好ましくは少なくとも約183cm(約6フィート)、更により好ましくは少なくとも約244cm(約8フィート)である。本発明の一実施形態では、少なくとも2つの異なる種類の画像表示装置を使用してマルチディスプレイを作製する。換言すれば、1つのマルチディスプレイは、LCDスクリーンを使用して作製されてもよく、一方で別のマルチディスプレイは、LEDスクリーンを使用して形成される。
マルチディスプレイ110及び120は、サーバーコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は他の形態のパーソナルコンピュータ(PC)などの、様々な汎用計算装置として実装され得る、中間コンピュータ130に接続される。マルチディスプレイ110及び120は、中間コンピュータ130からビデオデータを受信する。一実施形態では、中間コンピュータ130は、ユーザーデバイス180に接続されている。ユーザーデバイス180は、パーソナルコンピュータ、対話型手持ち式装置(例えば、遠隔装置、タッチスクリーン装置、WiFi接続装置、又は携帯電話若しくはスマートホンなどの携帯電話装置)、又は中間コンピュータ130に様々な時点で直接若しくはネットワークを介して動作可能に接続されるいくつかの他の形態のコンピュータであってもよい。ユーザーデバイス180は、ユーザーがマルチディスプレイ110、120に表示される画像を制御できるようにする。マルチディスプレイ110、120に表示される視覚情報は、ユーザーデバイス180、中間コンピュータ130に保存されたデータ、及び/又はネットワーク160からのデータに由来してもよい。
中間コンピュータ130は、コンピュータネットワーク160に接続されている。ネットワーク160は、典型的に遠隔IP(インターネットプロトコル)ネットワーク接続である。ただし、特定のシステム構成によってはローカル接続を含むこともできる。したがって、ネットワーク160は、例えば、モデム、ケーブルモデム、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、イントラネット、インターネット、又は任意の他の好適な通信リンクの、任意の1つ又は組み合わせを含むことができる。ネットワーク160への接続は、マルチディスプレイ110、120に表示される視覚情報に使用するためのデータの取得を可能にする。また、ネットワーク160への接続は、中間コンピュータ130からネットワーク160への情報の送信を可能にする。これにより、遠隔ユーザーによる視覚情報の視聴だけでなく、遠隔データの保存も可能になる。例えば、会議室で使用される視覚情報及び他のデータは、ネットワーク160を介して遠隔視聴地に転送されることができ、そこで別の会議出席者が、表示されるデータを見ることができる。更に、遠隔視聴地は、電話接続又はビデオ会議ディスプレイを介して会議室に接続されてもよく、別の会議出席者が、会議室と通信することができる。
別の実施形態では、マルチディスプレイ110及び120に表示される視覚情報は、ユーザーデバイス180を使用せずに中間コンピュータ130から直接制御され得る。
ここで図2を参照すると、スクリーン350及び360に画像を投影するための複数のプロジェクター300、305、310、320、325、及び330を含む、システム20が示されている。この実施形態では、スクリーン350及び360は湾曲している。ただし、フラットスクリーンも使用可能である。スクリーンの曲率は異なっていてもよい。好ましくは、スクリーン350及び360は、同じ曲率を有するか、又は共にフラットであろう。一実施形態では、各スクリーンの半径は、中央のテーブル(例えば、スクリーン間に配置される会議テーブル)の湾曲した端に一致するであろう。
プロジェクター300、305、及び310は、中間コンピュータ1(210)に接続されており、プロジェクター320、325、及び330は、中間コンピュータ2(220)に接続されている。中間コンピュータ1及び2(210、220)は、サーバーコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は他の形態のパーソナルコンピュータ(PC)などの、様々な汎用計算装置として実装されてもよい。プロジェクター300、305、及び310は、中間コンピュータ1(210)からビデオデータを受信する。プロジェクター320、325、及び330は、中間コンピュータ2(220)からビデオデータを受信する。中間コンピュータ1及び2(210、220)は、ネットワーク260に接続されている。
ネットワーク260は、典型的に遠隔IP(インターネットプロトコル)ネットワーク接続である。ただし、特定のシステム構成によってはローカル接続を含むこともできる。したがって、ネットワーク260は、例えば、モデム、ケーブルモデム、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、イントラネット、インターネット、又は任意の他の好適な通信リンクの、任意の1つ又は組み合わせを含むことができる。ネットワーク260への接続は、プロジェクター300、305、310、320、325、及び330に表示される視覚情報に使用するためのデータの回収を可能にする。また、ネットワーク260への接続は、中間コンピュータ3(270)並びに/又は中間コンピュータ1及び2(210、220)からネットワーク260への情報の送信を可能にする。
中間コンピュータ3(270)は、マルチディスプレイ280に加えてネットワーク260にも接続されている。中間コンピュータ3(270)は、サーバーコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は他の形態のパーソナルコンピュータ(PC)などの、様々な汎用計算装置として実装されてもよい。マルチディスプレイ280は、中間コンピュータ3(270)からビデオデータを受信する。マルチディスプレイ280は、スクリーン又は壁と組み合わせて動作する複数のプロジェクター、複数のLCDスクリーン、複数のLEDスクリーン、複数のプラズマスクリーン、及び/又は複数のCRTスクリーンを含むことができる。
一実施形態では、中間コンピュータ3(270)は、少なくとも1つのマルチディスプレイと共に室内に配置される。好ましくは、部屋は少なくとも2つのマルチディスプレイを有する。図2では、マルチディスプレイ280は、中間コンピュータ3(270)から視覚データを受信する。他のデータに加えて視覚データもコンピュータネットワーク260に転送される。遠隔地では、中間コンピュータ1及び2(210、220)は、ネットワーク260からビデオデータを受信する。視覚データは、複数のプロジェクター300、305、310、320、325、及び330を介して遠隔地で表示される。更に、遠隔地は、電話接続又はテレビ会議ディスプレイを介して会議室に接続されてもよく、別の会議出席者が会議室と通信することができる。この実施形態は、ユーザーが1箇所より多くの場所で同時に大量の視覚情報を表示できるシステムを提供する。
別の実施形態では、中間コンピュータ3(270)は、例えば、パーソナルコンピュータ、対話型手持ち式装置(例えば、遠隔装置、タッチスクリーン装置、WiFi接続装置、又は携帯電話若しくはスマートホンなどの携帯電話装置)、又は中間コンピュータ3(270)に様々な時点で直接若しくはネットワークを介して動作可能に連結されるいくつかの他の形態のコンピュータなどの、ユーザーデバイスに接続される。この実施形態では、ユーザーデバイスは、ユーザーがマルチディスプレイ280に表示される画像を制御できるようにする。
他の実施形態では、ネットワーク260は、1つ以上の他の遠隔地で他の中間コンピュータに接続される。遠隔地は、1つ以上のマルチディスプレイを有していてもよい。中間コンピュータのそれぞれは、中間コンピュータ3(270)からビデオデータを受信する。遠隔地は、電話又はテレビ会議を介して全ての他の場所と通信することができる。これにより、一連の接続された会議室は全て、ほぼ同時に、同じ大量の視覚データを共有する。好ましくは、遠隔地は、主会議室と同様の構成に配置された2つ以上のマルチディスプレイを有する(例えば、会議室は複数のプロジェクター300、305、310、320、325、及び330を有する)。
1箇所より多くの場所で視覚情報の同時表示を可能にするために、様々な「デスクトップ共有」ソフトウェアプログラムが使用可能である。好ましい実施形態では、Cisco Systems,Inc.により現在市販されている「Webex」システムを使用して、視覚情報を表示することができる。Webexシステムは、任意の数のクライアントコンピュータ間でのアプリケーション共有をサポートする分散協調コンピュータシステムを提供する。これは、1つ以上の高速リンクを介して相互接続された複数のサーバーコンピュータを提供することにより実現される。クライアントコンピュータは、任意の使用可能なサーバーコンピュータに接続し、クライアントコンピュータが接続したサーバーコンピュータ又はシステム内の任意の他のサーバーのいずれかでホストされる会議を開始するか又は会議に出席することができる。このシステムの更なる詳細は、米国特許第7,203,755号に開示されている。
本発明の一実施形態では、「デスクトップ共有」ソフトウェアは、プレゼンテーションの遠隔視聴者が主会議室で使用される1つ以上のマルチディスプレイより小型のスクリーンで情報を見られるようにする。この実施形態では、小型のスクリーンは、マルチディスプレイで見られる画像全体を表示できない。これは、遠隔ユーザーの小型のスクリーンに発表者のマウスを「追跡」させることにより達成される。換言すれば、発表者がマウスを使用して画面上の矢印を動かすとき、遠隔視聴者のスクリーン上の画像は、画面上の矢印が存在するマルチディスプレイの領域を表示し続けるために移動するであろう。好ましくは、遠隔ユーザーは、発表者がマウスを動かしていないときに、マルチディスプレイのデータの表示を制御できるであろう。この種類の制御システムは、Cisco Systemsの「Webex」ソフトウェアを使用して利用可能である。
部屋環境
本発明の視覚ディスプレイシステムは、壁及び床を有する部屋での使用を意図したものである。好ましくは、部屋は、部屋の中央に大型テーブルと、テーブルの複数の側部に椅子とを有する、会議室として配置される。一実施形態では、大型テーブルは端が湾曲しており、結果としてテーブルは円形又は楕円形状を有する。好ましくは、テーブルの形状は楕円形である。より好ましくは、視覚ディスプレイは、楕円形の両長辺のそれぞれ後方の壁に配置され、視覚ディスプレイは湾曲しており、前方の楕円形テーブルの曲線と同じ半径を有する。
部屋は、少なくとも2つの視覚ディスプレイを収容し、各視覚ディスプレイ(すなわち「マルチディスプレイ」)は、1つより多い画像表示装置を使用して作製される。マルチディスプレイは、いくつかのディスプレイ装置を共に組み合わせることにより配置される。各ディスプレイ装置は、対応する配置位置に応じて画像の一部を選択し、ディスプレイ装置の全画面サイズに調整する。したがって、全ての組み合わされたディスプレイ装置は、共同で入力信号の画像全体を表示する。
一実施形態では、部屋は2つのマルチディスプレイを有する。マルチディスプレイは、部屋の対向する2壁面に配置され、部屋にはマルチディスプレイ間にテーブルが配置される。マルチディスプレイは、互いの方向に向くように配置される。換言すれば、各マルチディスプレイからの画像は、テーブルから見ることができる。マルチディスプレイそれぞれは、下端を有する。好ましくは、下端は、床から少なくとも約91cm(約36インチ)上げられる。より好ましくは、各マルチディスプレイの下端は、床から少なくとも約122cm(約48インチ)上げられる。更により好ましくは、各マルチディスプレイの下端は、床から少なくとも約132cm(約52インチ)上げられる。各マルチディスプレイの下端は、床からの高さが異なっていてもよい。好ましくは、各マルチディスプレイの下端は、床からの高さが同じである。マルチディスプレイの高さは、会議出席者が、テーブルで向かい側に座った出席者の身体及び頭で遮られることなく、表示された画像を快適に見られるようにする。好ましくは、マルチディスプレイは部屋の壁に配置され、マルチディスプレイの表示領域の部分は部屋の天井に配置されない。
マルチディスプレイは、同じ視覚情報を同時に表示する。したがって、会議出席者は、自分の前に配置される情報を見ることができ、現在見ているマルチディスプレイ上にないかもしれない更なる情報を振り返って見る必要がない。
部屋及び視覚ディスプレイシステムの配置により、大型視覚ディスプレイを使用しながら会議室形式の設定で対面して議論を続けることができる。少なくとも2つのマルチディスプレイが存在することから、会議出席者は典型的な会議室方式で互いに向き合うことができる。視覚情報は、テーブルの反対側に位置する会議出席者の頭上に表示されるであろう。これにより、出席者が対面して座り、わずかに見上げて表示された情報を見ることができる、快適な会議環境がもたらされる。大量のデータを一度で無理なく表示できるため、大きなサイズのマルチディスプレイも好ましい。
マルチディスプレイには様々な種類の視覚情報を表示することができ、これには、ドキュメント、スプレッドシート、チャート、録画されたビデオ、及び遠隔カメラからのライブビデオ画像が挙げられる。多くの市販のソフトウェアプログラムを使用して、所望の情報を表示することができる。このようなプログラムは、当業者には周知のものである。また、当該技術分野において既知の視覚情報を表示する他の手段も本発明で意図される。
他の実施形態では、部屋は1つ以上のテレビ会議モニターを収容する。「テレビ会議」は、本明細書で使用するとき、2箇所以上の場所が同時に両方向映像及び音声伝送を介して対話できる、双方向遠距離通信技術一式を意味する。これらのテレビ会議モニターは、好ましくは出席者のマルチディスプレイへの視線を遮らない部屋の領域に配置される。好ましくは、テレビ会議モニターは、マルチディスプレイを有さない部屋の側面に配置される。したがって、典型的な四方を壁に囲まれた部屋では、対向する2壁面がマルチディスプレイを有し、他の2壁面がテレビ会議モニターを有していてもよい。
他の実施形態では、部屋は、別の場所にいる人が会議に参加できるようにする音声会議機械装置を備える。
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲には、こうしたより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲が、こうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように、包含される。更に、本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのようなそれぞれの寸法は、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、ある用語の任意の意味又は定義の範囲が、援用文献中の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を例示、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行い得る点は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのような全ての変更及び改変を添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。