また、芯を使用してリザーバから香料を送給することができる。しかし、香料は、一般に蒸発速度が異なる「ノート(香り階層成分)」から構成されており(「ハイ」ノートは「ボトム」ノートよりも早く蒸発する)、芯は、一般には最も揮発性が低い「ボトムノート」の香料及びそのキャリア材料で飽和され、詰まりを生ずることになる。従って香料の効果は時間経過とともに減少する。香料には、いくつかの香り成分、溶剤、そして残留物が含まれる。種々の香り成分は、香料の特徴又はプロファイル(輪郭)を提供し、またトップ(ハイ)ノートからボトム/ラスト(ロー)ノートまでの範囲にわたる、異なる揮発性を有する。歴史的に香水製造者はボトムノートを使用して、長年にわたる慣習的香料製品を作り続けてきたが、これはすなわち揮発性の高いトップノートは持続しない傾向があるからである。
本発明の目的は、従来技術の不利な点のうちの少なくとも1つを克服又は改善しようとするものである。
本発明の一態様は、一枚のシートを備えた送給スクリーンを提供するものであり、そのシートは好ましくはほぼ平坦であり、また一般的には液状のキャリアに含まれる揮発性材料を供給する供給端部と、その液状キャリアに含まれる揮発性材料が毛管作用又は重力又はその組み合わせにより流動し、流動するとき蒸発する反対側端部との間に入り組んだ流路が形成される。入り組んだ流路は、シートに沿って流れる揮発性材料の流量を制御する。重力によりシートに沿った材料の下方への流れを推進するタイプの実施形態においては、シートに沿った材料の下方への垂直な流れを完全に妨げることにより、入り組んだ流路が重力の見かけ上の効果を低減し得る。重力による流れにより、材料をポンプ送給する端部動力源の必要性がない。更に実施形態において、シートの頂部に新しい揮発性の材料を供給することにより、それ以前に供給した材料のあらゆる残留物をシートの下方に向かって洗い流し、詰まりやその結果発生する性能劣化を抑えることができる。シートは、既に供給された材料を「洗い」”落とし、シートをきれいに保ち、更に多くの気化用材料を運べるようにする為の、新しく供給されたキャリア液と揮発性材料により効果的に洗浄される。入り組んだ流路により、あらゆる一定のシートサイズに対する流路の長さを増やすことができる。従って、シートをそれ以外の方法で作るよりもより小型に作製することができ、シートを保持するための余計な構造上の特徴を削減することができる。これらの要因は、また、シートの製造コストを低減するのに役立つ可能性がある。
このようなスクリーンにより、時間が経過しても揮発性材料を一定の又は一定に近い速度で蒸発させることができるのに加え、揮発性材料中の異なる化学物質を一定比率で蒸発させることができる。従って、匂いの強度、及び特定の匂いは、ディスペンサの寿命が来るまで実質的に変わらないのである。殺虫剤、昆虫駆除剤、抗ウイルス/抗菌剤、うっ血除去薬吸入剤、フェロモン及び誘引物に使用する場合、送給量は一定であるため、放出される材料の投与量もまたほぼ一定である。
シートは、好ましくは浸透性のあるものとする。シートは多孔性及び/又は織成したもの、及び/又は浸透性は、孔形成及び/又はシート貫通孔形成によるものとする。
シートは紙、又は他のセルロースをベースにした材料で形成することができる。孔を形成する場合、円形状、又はシートにわたる方向に細長くした長孔とすることができるが、実施形態において水平方向に対して角度(約30゜とすることができる)をなす長孔にすることもできる。このような孔は、流路上に入り組んだ経路を形成する迂回手段をもたらすことができる。それらは、ヘリングボーン(herring bone)、又は等角(isometric)パターン状に形成することができ、これにより、第1端縁と第2端縁との間に指向する方向に互いに隣接する孔の延在方向は、第1端縁と第2端縁との間に指向する方向に対して逆向きになるようにする。このような孔を設けることにより、2つの主要対向面間でシートの材料を大気に露出させ、またシートの内側材料に搬送された揮発性材料をも大気にさらし蒸発させることができ、これによりシートに供給されたキャリア材料によってシートの中心材料を塞ぐのを低減できることを意味する。また、それによりシートの表面積/重量比を増加させる。更に、シートがこのような浸透性を持つ為、多数のシートを主となるシート面に平行に配置することにより、使用するシートのサイズを増加させることなく蒸発させるための全表面積を増加させることができ、これによりシートを取り付けるディスペンサをコンパクトに保つことができる。角度付き格子状の形状も、このような孔、又は非浸透性材料によって設けることができる。
本発明の実施形態では、シートに非浸透性材料を設けることができ、この非浸透性材料はシートを効果的に2つの領域に分割する。第1領域において、迂回手段を形成し、また揮発性材料は、第1領域の一方の端部に供給し、他方の端部に移行する。他方の端部において、2つの領域を結合し、これにより揮発性材料は他方の領域を逆行して上昇することができ、この他方の領域ではシートを第1シートと同一又は類似の形状及び/又は機能を持つ第2シートに結合する。揮発性材料は、それから第2シートを下行することができる。第2シートもまた、2つの領域を備えてもよく、又は迂回手段を有する1つの領域のみを有していてもよい。このような結合は、揮発性材料に必要な全流路長になるまで繰り返すことが出来る。代替案として、全てのシートが1つの領域を有し、また第1シートの底部から第2シートの底部に連結し、そして第2シートの頂部から第3シートの頂部に連結する等を行い、流路を設けるようにすることもできる。代替案として、複数のシートを取り付け、また互いに独立して供給することができる。特に、不浸透性要素を第1端部又は端縁から第2端部又は端縁に向かって延在させて、第1端縁及びシートの少なくとも一部を2つの部分に分割し、シートの第1部分は迂回手段を備え、シートの第2部分は、第2端縁に到達した材料が第1端縁の第2部分に戻ることができるように、第2端縁領域から第1端縁の第2部分への直接連通チャネルを生ずるようにする。
シートは、例えばポリエステル又はセルロース等の織成した繊維又はプラスチックにより形成することができる。不浸透性材料をシート上に配置して、入り組んだ流路を形成する。不浸透性領域は互いにほぼ平行となるよう延在させ、隣接する領域はシートの両側の側端縁からそれぞれ延在させ、それぞれは反対側の端縁と不浸透性領域との間にギャップを生ずるようにし、材料のギャップがある側が、第1端縁から第2端縁に向かって交互に下がっていくよう構成する。シートは、六角形メッシュ織物のような織成材料で形成することができ、一般には六角形のモザイク状空間を有する。六角形は規則的な又は不規則な形状とすることができ、六角形ではない他の形状の空間、例えば八角形に形成することもできる。織成材料がシートの一方の端縁から他方の端縁まで直線状に延びることなく、空間が織成材料をさえぎるようにして空間が形成される。このようにしてシートの端縁間の入り組んだ流路を設ける。
本発明の第1態様によれば、請求項1に記載のシートを提供する。第1態様による好適な特徴は従属請求項により提供される。
本発明の実施形態においては、迂回手段は、シート表面における、又はシートの材料内に貫入したいずれかの不浸透性材料を備える。シート材料は、ポリエステル繊維を織成した材料とすることができる。不浸透性材料は、シートの頂部(使用時における)から底部(使用時における)に至る入り組んだ流路を形成する一連の平行ラインで形成することができる。不浸透性材料は、シートに対してジェルペン等を使って塗布する、又はジェルペンに使用されているのと同一若しくは類似した材料、例えばキサンタン(xanthan)樹脂若しくはトラガカント(tragacanth)樹脂若しくはポリアクリル酸塩の増粘剤(thickeners)のタイプの水溶性生体高分子により形成することができる。代替案として、強力接着剤を用いることもできる。隣接するラインはシートの両側の側辺から交互にシートの途中まで、少なくともシートの半分まで延在させ、揮発性材料が流れるギャップを残すようにする。これによりシート上を下降する入り組んだ又は「蛇行した」通路を形成する。やはり、揮発性材料は、毛管作用と重力効果の一方または両方によってシートを流れることができる。入り組んだ流路は、重力の効果を弱めて、揮発性材料がシートから蒸発するためにより多くの時間をかけられるように、伸長された流路をも提供する。迂回手段は、シートの材料を溶解させることにより形成される不浸透性要素を備えることができる。このことは、シートの繊維を結合して、揮発性材料が横切って流れないようにするか、又は横切って流れるのを妨げるための中実バリヤを形成することができる。レーザ、又は加熱冶具、又は加熱スタンプを用いて溶解/軟化を行うことができる。
特許文献1(米国特許第6631891号)、又は特許文献2(米国特許第7360671号)に開示されているように、シートを、例えばディスペンサに組み込むことができる。この場合、リザーバを設け、リザーバ内に揮発性材料を容れる。芯がほぼ垂直下方にリザーバ内に突入する。サイフォン作用により揮発性材料がシートの頂部まで供給されるようにシートをリザーバに対して位置決めすることができる。代替案として、芯には、特許文献2に開示されている圧力補償リザーバによって生ずる一定の流体静力学的ヘッドにより供給を受けることができる。これら2つの特許文献で説明されているディスペンサを用いてリザーバの底部の高さを効果的に一定に保つことによって、揮発性材料をほぼ一定の流速でシートの頂部まで供給することができる。
上記の特許文献1に記載のシートに使用されている材料は、ポリエステル繊維織物である。ポリエステルは、多くの揮発性材料によって悪影響を受けない安定した材料として知られており、香料を毛管作用により輸送し、またその外表面から香料を発散させるのに一般に良く使用される。香料の後に残る傾向にある樹脂や残余物が付着する性質のために、各ポリエステルフィラメントの表面平滑性の良い特性は芯としての使用に適している。ポリエステルフィラメントを一まとめにして芯を形成するとき、毛管作用のための極めて良好な手段を提供することになる。これにも関わらず、香料材料の性質により、それは使用中に次第にブロックされてしまう。これは、恐らくは香料の輸送及び発散手段としての性能に影響を及ぼしかねない。
本発明は、残余物の蓄積により次第にブロックされてしまうという作用に打ち勝つためにスクリーンの頂部から香料を供給する発散用スクリーンとして織成したポリエステル織物材料を使用することができる。重力と毛管力が組み合わさって、織物スクリーンに香料を充填する。このシステムを駆動するための原理はサイフォン作用である。サイフォンのリザーバから供給される側は一定レベルに維持されている一方、発散用スクリーンがサイフォンの他端となっている。重力が織物スクリーン内にある液体柱により大きな力を及ぼすようにサイフォンにバイアスをかける。香料はスクリーン内を制御された速度で連続的に流下する。香料の溶剤が供給芯及びスクリーンを洗浄し、残余物が蓄積しないようにしている。これにより蒸発速度が線形になるように性能が維持されている。スクリーンの底部は、ボトムノートにより洗い落とされた粘着性のある残余物を受ける為のシンク(例えば吸収性のある顆粒又は多孔性プラスチック)に連結することができる。
香料の最も良い性質を引き出すには、重力の影響を弱め、香料がスクリーン上を下降する経路長を長くすることが必要である。これにより、長い経路を移動しシンクに落ちるよりはむしろ、香料の大半が蒸発用スクリーンから出て行くようにする。明らかに、スクリーンが詰まらないように保つために、シンクまで移動するのに特定の量は必要である。特許文献1に記載の発明には、支持フレーム周りにひだを付ける方法によりスクリーンを物理的に曲げて、これを実現する方法が記載されている。この発明により流路が長くなり、液体製品がより遠くまで移動することにより揮発性材料がスクリーンから外に蒸発するためのより長い時間を提供する。香料は分子の入り組んだ連鎖内に形成され、角度の付いた配列全体が意味するところとしては、香料の柱が垂直方向に配列されると、重力の影響が従前よりも低減されることである。重力の影響を弱め、流路を長くするという2つの効果が組み合わさることにより、流速を遅くし、スクリーンの蒸発容量を最大化する。しかしながら、このような曲げられたスクリーンにより装置の寸法が大きくなり、付加的な製造工程を必要とする。
以前ポリエステルは、各モノフィラメントの平滑表面により、使用可能な唯一のタイプの材料であると考えられていた。しかし発明者は、例えば吸収性の紙/ボール紙及び多孔性プラスチックなどの他のタイプの材料もまた用い得ることを現在見出している。吸収性の紙スクリーンは表面の殆どが切除されているために高い浸透性を有する。これにより、何枚ものスクリーンをお互いに並べて配置することができる。これにより比較的コンパクトな容器内に蒸発性の高い手段を提供する。
実施形態において、迂回手段を孔の形式でシート上に高い密度で形成することにより、高い表面積対体積比を提供する。入り組んだ流路形成のためのヘリングボーン模様の孔を使用することにより、重力の影響を低減し、シートを下る材料の下降速度を遅くし、シート内における滞留時間を増加させる。
有孔スクリーンの浸透性により、空気の動きに敏感になり、例えば人がディスペンサの近くで動くと送給が増加する。
各孔の端縁は、入り組んだ流路により香料が供給される。シート表面で孔を切除することにより、香りが紙の内部繊維から放出できる。
この連続的な蒸発手段は、特に香料と同様に殺虫剤の放出に適している。更には、2又は3枚のスクリーンを直列に、例えば約3mm離して連結し、大きな表面積を持つコンパクトなシステムを提供することができる。しかし揮発性が高い材料の場合には、多数のシートは必要ではない。
香料産業においては、紙(セルロース)を、リザーバ及び送給手段として機能させる目的で使用する。それは、極めて基本的であり、単純であり、低コストであるにもかかわらず、汎用的な送給装置に使用する時には、香料を一定量送給するという点からは極めて非効率的である。
本発明の実施形態において、シート表面に孔を形成し、他の迂回手段を設けて入り組んだ流路を提供することによる変更を行う時には、吸収性のある紙や多孔性プラスチックのシートが機能することが見出されてきた。例えば、迂回手段は、揮発性材料が横切って流れないような少なくとも1種類の不浸透性要素を備えることができる。その迂回手段は、複数のオフセットした平行要素を備えることができる。その要素は、シート材料の溶解や熱溶接により形成することができる。
スクリーンは、例えば香料、殺虫剤、昆虫駆除剤、抗ウイルス/抗菌剤、うっ血除去薬吸入剤、フェロモン及び誘引物等の揮発性材料を送給するための送給手段として使用することができる。また、シート材料に孔を形成することにより、特許文献1に使用されている構造的に保持された織物システムの代替手段となる。
上述の通り、シートの主(発散)表面は、規則的なヘリングボーン模様の孔が高密度に形成された発散シートにより設ける。シートは、吸収性のある紙、剛性のあるボール紙、織物状又は多孔性のプラスチックから形成することができる。放散スクリーンの厚みは、例えば紙、ボール紙、又は多孔性プラスチックのうちどの材料を使用するかにより異なる。スクリーンの表面は、その表面から切除した孔が高密度に存在し、それにより材料の体積は大きく削減される。これにより充填される香料を減らし、その結果として香料を蒸発させるための露出表面積対体積比を増加させる。
その結果が孔が形成された高い浸透性を有する放散シートであり、これによりどのような僅かな外乱や対流やすきま風や人通りその他があっても蒸発が促進され、香料が周囲に漂う。
代替案として、シートの互いに対向する端縁間に入り組んだ流路を提供し、上述と同様の機能を提供する六角形メッシュ織物のような織成した材料を使用する。そのような材料は迂回手段及び入り組んだ流路を形成する孔を備える。
毛管力と重力が互いに組み合わさって、放散シートに充填される。シートに充填され、毛管力が減少するにつれ、重力が支配的となる。重力は、柱状の液体中の各分子に個別的にまた集合的に垂直方向下方に向かって作用する。従って、垂直方向に揃えられた直線経路では液体はあまりに速く下方に流れるために蒸発に必要な十分な時間を提供できない。
ヘリングボーン模様/六角形メッシュ織物を有するスクリーン上で1つの分子が通る経路は入り組んだものとなることが分かる。分子はスクリーンの頂部から底部に至るまで入り組んだ流路に沿って進むため、その距離はスクリーンの実際の垂直方向の距離と比べて長い。蒸発能力は、各スクリーンの表面積に直接比例する。
他の作用には重力があり、各液体分子の個々に作用し、また液柱全体に集合的に作用する。液柱がとる経路の殆どは垂直方向に対して所定の角度で(傾斜した平面として)配列される。これにより液柱に作用する重力の影響を低下させることができる。シート表面に設けた孔により高い浸透性を有し、それゆえに周囲の空気のどのような小さな動きにも極めて敏感になっている。更には、六角形メッシュ織物のような織成した材料の場合には、対向する端縁に加えられた張力により、シート上を液体が進む速度が影響を受ける。特に、張力が高くなると空間がある方向に広がるため、その方向に垂直な方向に押し潰される傾向がある。従って、両側の対向端縁からの織成した繊維の入り組み度合いは減少する。もし、シートが垂直方向にかけられた張力により押しつぶされないとしても、水平と垂直のどちらでもない側辺を形成する織成した材料の部分は垂直に近い状態となり、従って重力はシート上の揮発性材料をより速く下方に引っ張る。その材料は、シートが中実であった場合の表面積と比較してより大きい撚り糸の表面積を有するため、空気透過性が高くなり得る。その撚り糸は細かいポリエステルのモノフィラメントであり、織成してスクリーンとなる。その材料は自己洗浄機能を有する。
入り組んだ流路は、液体がスクリーンの頂部から底部に移行するときに、発散スクリーン表面にある各孔、及び全ての孔を取り囲む香料材料に影響を与えることが分かる。毛管力は重力と結合され、香料が孔を設けたスクリーン表面に均一に送給されるのを助ける。2つのスクリーンを備えたシステムは、香料を発散するためのコンベアベルトシステム(conveyor belt system)を形成するように連結させることができる。第1スクリーンの底部を第2スクリーンの底部と連結させることができる。そのような構成において、各スクリーンを流れる方向は反対向きとなる(一方では上方に向かって流れ、他方では下方に向かって流れる)。スクリーンは、送給する前に揮発性材料を貯留するリザーバを備える送給装置内に設置する。この装置のスクリーンは、第1端縁と第2端縁との間に延在するそのスクリーンの側端縁相互を少なくともその長さの一部に沿って結合されるように巻き込むことができる。
送給スクリーンを、リザーバの周囲に取り付けることができる。リザーバから送給スクリーンまで延在し、送給スクリーンの頂部又は頂部に隣接する位置に流体連通する芯(ウィック)を設け、送給スクリーンに揮発性材料を供給するようにする。
代替案として、シートは円筒体の中に巻き込むことができる。このシートの構成は、さもなければ上述したようにすることができる。円筒軸線または長手方向軸線を使用にあたり垂直方向に配置する円筒形又はその他の閉ループのデザインによれば、送給すべき揮発性材料を貯留するリザーバを、円筒体内に配置することができ、コンパクトで効率的なデザインを提供する。スクリーンのオープンな性質(孔)により、内部のリザーバを視認することができる。
本発明の第2態様によれば、蒸発により揮発性材料を送給するための送給装置を提供する。この装置は、送給手段に適用した後に蒸発しなかった揮発性材料を受け止めるシンクを備える。シンクは、揮発性材料を保持する吸収剤を備える。吸収剤は吸収性を有する顆粒又は多孔性プラスチックの形式とすることができる。このようにして、シンクが受け止める揮発性材料及びそのキャリア材料は、通常はそれも液体なのであるが、たとえシンクの向きが変わったとしても保持される。好ましくは、吸収性材料が送給手段を通じて効率良く必要以上に速くキャリア材料及び揮発性材料を吸収し、その結果送給手段上に留まる時間が、要求よりも短くなってしまうことを避けるために、シンクを直接送給手段と接触させない方が良い。この送給装置は単体のユニットとし、例えば家庭用又は商業用の空気調整ユニット又は空気循環ユニットなどと一体化することもできる。
シンクは、ディスペンサのベース内に囲み、例えば3mmの多孔性ロッドの形式としたドレインを収容する小さい開口を有するカバーによって密閉されたキャビティとして設けることができる。そのキャビティはシンクとして作用し、ドレインからの過剰な材料を受け取る多孔性顆粒材料、石英、セルロース、又は多孔性プラスチックで充填する。実施例において、スクリーンの頂部には、芯から変形可能なパッドとの接触を通して香料が供給される。このパッドは圧搾可能であり、スクリーンの頂部に注入するために使用できる香料を吸収し、毛管作用単独よりもより速く供給を行うことができる。パッド表面からシールを取り除き、ユニットを動作させる。
シンクは、材料におけるより揮発性が低い成分によって運ばれた残余物を収集することができる。これによりシートは、残余物がほぼない状態にすることができ、従って製品の寿命がある間は香料の線形な重量消失特性をもたらす。リザーバは、特許文献2に記載の一定レベル保持手段を収容するが、それは供給芯を包囲するチューブである。リザーバが使い尽くされると、シンクは液体中の揮発性がより低い成分を含む洗い落とされた残余物を吸収することができる。香料リザーバモジュールを交換することにより、ユニットを最大効率で動作させ続けることができる。通常の環境下においては、サイフォン作用によるシステムの継続した洗浄により、穴が形成された放散スクリーンは交換を必要としない。シンクとリザーバは単一のユニットとして形成することができ、この場合、ワンアクションで交換可能である。
代替的な実施形態において、シンクは設けずにおくが、これは、例えばキャリア材料又は送給すべき材料からの残余物が蒸発前にスクリーンのベースに達することがない場合である。この場合、キャリア材料を保持するリザーバのベースはディスペンサのベース近傍に配置することができる。
ディスペンサのベースは、全体的に又は部分的にリザーバに対応する形状にすることができる。このようにして、送給すべき材料はできるだけ低い位置に貯留することができる。これにより重心位置がより低い安定した送給装置を作成することができる。
このようにして形成したリザーバは交換可能である。このようにして形成したリザーバは、紫外線遮蔽プラスチックなどの透明な材料で作成することができる。これにより利用者は、送給すべき材料を使い切った時期を判断することができる。
好ましくは、リザーバの体積は、リザーバで供給される送給すべき材料の体積よりも大きくする。このようにして、もし装置が横転しても、その結果として起こる液体のレベルはリザーバを使い切ることができるレベルよりも下方に位置させることができる。例えば、装置がひっくり返っても、芯のような送給すべき材料を供給するデバイスのレベルよりも下になる。
本発明の実施形態による1枚又は複数のシートは、第2の態様によるディスペンサにおける送給手段として使用することができる。
図1は、第1実施形態による送給スクリーン10を示し、この送給スクリーン10に供給される揮発性材料を蒸発により送給するためのものであり、ほぼ平坦な材料のシート20と、シート20の平面内に形成された迂回手段30とを備える。この迂回手段30は、シート20の平面内における第1端縁40の少なくとも一部分と、これに対向する第2端縁50との間で最短経路長を形成するが、その最短経路長は第1端縁40と第2端縁50との間の距離よりも長い。
本実施形態において、迂回手段30は、丸みを付けた又は半円形端部を有する細長い穴30として形成するが、その長手方向はシート20の幅方向に対して角度をなすよう設定する。穴30の互いに隣接する行は、第1端縁40から第2端縁50まで逆向きの角度を交互に付け、ヘリングボーン模様を形成する。隣接する穴30は第1端縁から第2端縁に向かう方向にオーバーラップし、第1端縁40と第2端縁50との間で材料が直線ラインを形成しない。このようにして、揮発性材料及びキャリアが第1端縁40から第2端縁50まで進む経路長は、第1端縁40と第2端縁50との間の距離よりも必ず長くなる。
使用にあたり、シートは、第2端縁50のほぼ垂直方向上方にある第1端縁40で垂直方向に取り付ける。第1端縁40上には、揮発性材料及びキャリア材料を受け容れるための受容部60を設ける。揮発性材料が側方端縁をまっすぐ流れ落ち、それにより入り組んだ経路に追従しないことのないようにするため、不浸透性材料70をシート20に端縁穴30aから配置し、これら端縁穴30aはシート20における位置取りに起因して細長ではなく円形にする。このように、揮発性材料は不浸透性材料を透過して進むことができず、第1端縁40から第2端縁50に進むとき、円形穴30aの周囲を強制的に進まされる。他の特徴としては、シート表面の種々のポイントを飽和状態にして、液体がシートの両側の側方部を垂直に直接流下するのを防止することがある。シート20に含浸させた不浸透性材料70によりシート20を機械的支持する。
本実施形態によるシートは、紙で形成する。本実施形態において、その紙の参照番号は、ホリングスワース・アンド・ヴォース(Hollingsworth & Vose)社製1783/1である。その紙は、厚さ0.4mmである。薄い材料を用いることによりシート20上に充填される香料の体積を少なくし、それにより繊維質の紙材料内部に含まれる液体の体積あたりの表面積を最大化することができる。薄い材料を用いる別の理由は、(香料をシートの頂部に連結することによって)送給システムを最初に作動させるとき、シートが吸収すべき液体が少なくて済むことによって、システムはより迅速に充填できることは明らかだからである。香料がシートに充填されると、香りが放出される。紙の代わりに、多孔性プラスチックを用いることもできる。
ヘリングボーン設計は、美学的理由のみで用いられているのではなく、その目的は揮発性液体がシートを流れ落ちる速度を遅くすることにより、殆どの香料成分がその表面から蒸発するのに十分な時間がとれることにある。その模様により、2つの全く異なる方法でこの遅速化効果が得られる。
第1に、この実施形態における液体がとる入り組んだ流路は、シート20の頂部から底部までの垂直経路の1.75倍以上の距離がある。これは、ヘリングボーン模様の形式でシート表面から穴30を除去したことに起因する。液体がより長い経路を通過しなければならなくなればなるほど、ある一定流速の下でより多くの蒸発時間がかかる。
第2に、穴30周りの紙シート20の構造により、液体が進む唯一の経路が得られる。この経路は、垂直線に対し交互に逆向きの少なくとも60゜の角度をなす穴30によって回旋される。液体分子に単独及び集団的に作用する力は、毛管作用および重力である。毛管作用は、流体回路が初期充填を開始するときの主要な力である。シート20に材料が充填された後、重力が最も強い影響を及ぼす。シート20上の入り組んだ流路は液体に与える重力の影響を弱め、したがって、垂直に進んだ場合より流速はより一層遅くなる。
より長い経路、及び重力効果の軽減は、一緒に組み合わさって作用する。これにより殆どの製品はより長い時間をかけて蒸発するが、より揮発性が低い成分(香料のいわゆる「ボトムノート」)がシンクに向かって進み、基板を潅注し、シート繊維中の粘着性残留物の蓄積を防止する。
図2aは第1の実施形態の変更例を示し、図1に示した形態と類似しているが、この変更例における差異点のみを以下に説明する。この変更例において、シート20は、第1端縁40から第2端縁50に向かって延びており、第1端縁及びシート20の少なくとも一部を2つの部分に分割するための不浸透性要素80によって2つの領域82,84に分割し、第1領域82は、迂回手段(細長い穴30の形式とした)を有し、第2領域84は、第2端縁50近傍の連通領域86から第1端縁40の第2領域88までの直接連通チャネルを生じて、第2端縁に達した材料が第1端縁の第2領域まで回帰できるようにするものである。
シートの頂部における連結ポイントには、液体の流れる方向を表す矢印をマーク付けして示す。連結ポイント60のうち一方から本体に液体を供給し、シート20を下方に流下するのが分かる。反対に、他の連結ポイント88は、シート20の底部から(チャネル経由で)液体を受け取る。
数枚のシートを直列に連結し得ることが分かる。類似した他のシート20をその垂直軸線周りに180°回転させた状態にして設けることにより、いかなる枚数でも直列連結した複数シートを液体が常に流下できるのを確実にする。穴30により生ずる発散システムの浸透性によって可能となるこの特徴により、ディスペンサの所定の体積/スペース/高さに対してより高い出力を生じることができ、またコンパクトな設計を可能とする。隣接するシート20相互間に環状スペーサ(図示せず)を配置し、互いに離れる距離を小さく保つ。スペーサには、吸収性及び非吸収性の2タイプの材料がある。このようにして、必要な場合には数枚のシートを連結して積層することができる。第1のシートは、マニホルド上の固定位置に配置した吸収性構成要素に隣接して配置し、これにより、マニホルドに押し下げられたパッドから製品材料の供給を受けることができる。他のシートは適切なタイプのスペーサを間に挟んで組み立てることができる。代替案として、液体製品の供給源は、スクリーンに直交する2本の円筒状のバーにより構成したマニホルドにより第1シートに連結することができる。リザーバ/芯は、押し下げてマニホルドと接触する外側エンクロージャの頂部内にあるパッドに香料を供給する。
発散シート20の高さは、表面に設ける穴30の角度、及び送給される材料の揮発性に応じて変化する。スクリーンの高さが増大すると、発散シートにより支持されている液体コラムの高さが増大する。重力による引力がより長い液体コラムに作用し、蒸発の表面積が増加することに起因する、液体の薄膜化効果により製品の発散効率がよりよくなる。
不浸透性要素をシートの少なくとも側方端縁周りに全体的に延在させ、吸収性紙シートを支持することができる。
図2bは、図2aの更なる変更例であり、第2端縁に延長部90を設け、シート20の第2端縁50に達した揮発性材料及びキャリア材料が、シート20から例えば後述するシンクのような容器に滴り落ちるようにした点を除いて、図2aと同一である。更にこの実施形態では、第2端縁近傍に位置する、第1及び第2の領域82,84間における連通領域を塞ぎ、材料が第2部分からシート20の頂部に回帰するのを阻止する。代替案として、この変更例において、第2部分84及び不浸透性要素80を完全に省略することができる。多数のシートを順次に直列結合する場合、最後のシートの底部にドレインを設け、このドレインがシステムにおける流体静力学的に最低ポイントとなる。このドレインは、いかなる接触をも全く生じないキャビティに進入し、このキャビティにより過剰な液体を高吸収性粒状体又は多孔性プラスチックを含むシンクに滴下することができる。
図3に、本発明の一実施形態による蒸発により揮発性材料を送給する送給装置300を示す。装置300は、送給すべき材料用のリザーバ310と、リザーバから送給すべき材料の蒸発を可能にするよう構成した送給手段320と、及び使用にあたり送給手段320の下方で、送給手段320から蒸発しなかった材料を送給手段320から受取り、また保持するよう構成したシンク330とを備える。
本実施形態におけるシンク330は、アブソダン・プラス(ABSODAN PLUS)社製の多目的吸収性顆粒タイプ111/1(111/R)で充填した閉空間であり、その顆粒は粒径約1mmであり、オイルに対する極めて効率的な吸収剤である。しかし、他の吸収材料、例えば、多孔性プラスチックを必要に応じて用いることもできる。
リザーバ310は芯340及びコネクタ350により送給手段320に連結し、コネクタ350はカバー360を閉じると芯340がコネクタ350と係合し、これにより製品が作動状態となり、芯340がコネクタ350に連通し、その結果として送給手段320に連通するものであり、この送給手段320は、本発明において第1実施形態によるシートを備えるスクリーンである。本発明の実施形態において、芯はシートにサイフォン作用で材料を供給する。しかし、代替的実施形態においては、液体が高い揮発性及び低い粘性を有している場合、サイフォン作用を用いなくてもよい。一例としては、EXXSOL D 40、ISOPAR-L、及びISOPAR-M等の液体があり、蚊を殺す成分のキャリアとして使われている。
材料の供給源をシートにリンクさせる毛管システムは同一とすることができるが、この場合、シンクは必要ではない。シート上には、「伝播速度」が「蒸発速度」に等しくなる(所定の温度で)ポイントが存在し、またそのポイントの下方では揮発性材料が存在しない。このような実施形態における一定のレベルのリザーバ供給源は、送給シートにおける平衡ポイントのレベルよりも低く位置決めし、これにより制御及び可変調整を行う負の流体静力学的ヘッドを生ずるようにする。このシステムはサイフォンではなく、毛管作用と蒸発により駆動される。
本発明のこの実施形態において、システムはこの場合サイフォンとして動作し、また液体を発散スクリーンで流下するよう駆動するため、高い正圧のバイアスをかける必要がある。
図4は、本発明の第2実施形態による、送給スクリーンを示す。この実施形態において、シートは、香料ではなく、むしろ主として殺虫剤を送給する用途向けに設計する。
図は、材料のシート、及び静水圧補償したリザーバ103を有する送給アセンブリ102を示す。
圧力補償したリザーバ103は、特許文献1(米国特許6631891号)及び特許文献2(同第7360671号)に記載のタイプとし、これは大気圧に維持される一定レベルから液体製品を供給することができるリザーバである。これら特許文献に開示されているのと同様に、シートの頂部に揮発性材料を供給するのに使用する。
この送給装置によって蒸発させるべき液体103用の製剤には、有効成分を含む揮発性が高く低粘性のキャリア材料を使用する。揮発性が高く低粘性の液体は、重力の補助なしにシート領域にわたり毛管作用により比較的迅速に移動できる。更に、高揮発性であるがゆえに、蒸発速度は、特により高い温度では制御不能になるくらい速くなり得る。これに対抗するため、図面から分かるように、織物状シート108に不浸透性領域の形式とした交互に配列した一連の迂回手段、より詳細には、液体に作用する重力の影響を大幅に制限するように流路118を画定する水平方向の不浸透性の「壁」109を設ける。矢印112/118で示した交互配列した流路の全長は、シート108の垂直方向長さより何倍も長い。この構成により水平方向壁が重力に対して相当多量の液体を支持しているため、毛管作用を優勢的な力にしている。さらに、不浸透性壁109相互間の距離により、シートの頂部から底部まで均一な狭い流路123を生ずる。
流路118/123は、揮発性材料が添加される第1端縁から、反対側の第2端縁に至るまで、左から右へと互い違いにシートを降下していく均一に画定されたチャネルである。本発明のこの実施形態において、液体製品は、その揮発性及び通常の外気温度範囲により、決してシートの底部には到達しそうもないように見られる。液体113が移行する距離は、外気温度及びシステム構成によって生ずる静水圧的力によって規定される。液体113は、「伝播速度が蒸発速度に等しくなる」流路に沿うポイントまで移行する。このポイント以降では液体は存在しない。より高い外気温度では、液体は、規定の経路に沿って移行する距離がより短くなる。この効果を要約すると、より低い外気温度では、揮発性がより低くなり、製品が蒸発する前にシートに沿ってより遠くまで達するため、液体製品は発散面のより大きな領域から蒸発する。より高い外気温度では、液体製品は発散面のより小さな領域から蒸発する。従って、出力(重量ロス)は、この送給システムに固有の温度補償特性により制御され、またある温度範囲に対して出力は概ね同一となる。
図5に示すように、液体製品に対するバリヤとなる適切な材料を充含浸させることによって、又は代案として適切な場所で繊維を溶着するするレーザ手段によって、織物状シート108における壁109を形成することができる。垂直壁111はシステムが機能するのに必須ではないが、繊維の機械的支持を行う。ポリエステル織物のスクリーンは極めて軽量の材料である。厚さ約0.28mm、長さ120mm、幅60mmのシートでたったの0.75g程度の重さしかない。その軽量さは、スクリーンに対する液体製品の充填量が比較的少ないことを意味する。その材料は比較的高いボイド比(隙間割合)で、高い蒸発能力を有する。本発明のこの実施形態においては、いかなる壁対間であっても等距離離れる3つの「縦糸」(warp)繊維構造が存在する点に留意すべきであるが、これは必要に応じて変更することができる。これら構造は、材料のシートにおける一方の側辺から他方の側辺まで水平方向に液体113を搬送する役割を担う繊維束である。微細な「横糸」(weft)構造は、頂部から底部まで全てを一緒に連結する垂直方向下方への経路を生ずる。本発明のこの実施形態において、壁を作成するのに白い液状ゲルペンを使用するとうまくいったが、繊維を互いに融着することに加えて、他の適切な材料も使用して、揮発性材料が通過できない中実の壁を形成することもできる。
織物状シートの頂部を、多孔質プラスチック支柱106に縫い付けるか又は捲縮して取り付ける。織物状シートと多孔質プラスチックを接着すると液体の流れを阻止する障壁となり得るため、本発明の実施形態では回避した。しかし、形成された液体の流れに対し障壁とならないのであれば、接着の使用もまた可能である。2個の穴107は織物状シートを頂部で支持するものであり、シートは通気したエンクロージャ(図示せず)内で垂直方向下向きに懸架する。多孔性シートの最頂部には、ホルダ104によって囲まれた吸収性の接触パッド105と連結するための面119を設ける。接触パッド105は、芯110Bの一方の端部と密接に接触する。
接触パッド105は、シート周りに押し下げることが可能な通気したエンクロージャの一部であり、これによりパッド105とシート102の頂部の面119との間に接触圧力が生じる。代替案として、ねじ状の構成要素を回転することにより、パッド105をシートの頂面119に接触させる手段120を設けることができる。これはディスペンサを「オン・オフ」切替えするシンプルな方法である。芯110A−110Bはリザーバをディスペンサの頂部にある接触パッドに接続する。芯は、可撓性チューブ内に封入し、これにより液体がシート102に到達する前に蒸発により消失することはない。
他の実施形態において、リザーバ103は、透明な剛性のある外側本体124を有し、これにより利用者はリザーバ103が空になり交換が必要になる時を決めることができる。しかし、本発明の実施形態において、製剤における有効成分は、日光にさらされると経年劣化してしまうため、光がリザーバ壁124及び芯を覆っている可撓性チューブを経て進入するのを回避しなければならない。システムをスイッチオンするとき常に新鮮な液体がシート頂部から流下する。この送給システムは常に発散面にわたり液体を連続的に新鮮にし、また入れ替えをして、有効成分が日光に曝される時間量を制限することにより、有効成分に対して配慮している。
有効成分を含まない液状のキャリアである、EXXSOL D40、ISOPAR-LおよびISOPAR-Mについて実験を行った。本発明の実施形態において、有効成分は約0.2%と低濃度である。他のあり得るキャリアを使用して揮発性及び性能のテストを行うことができる。これらには、EXXSOL D80およびEXXSOL D100がある。
図6は、本発明の第2実施形態による、スクリーンの更なる変更例を示す。図は、2つの主要部分から成る送給アセンブリ202を示す。多くの点で、上述した実施形態と類似するため、差異点のみを以下に説明する。
シートの主本体は、多孔性材料204によって頂部で支持したポリエステル繊維を織成した織物状材料203から形成する。
織成した材料の上端縁を貫くように多孔性材料204に溝孔を設け、この後ステープル(staple)又は捲縮手段210によりそれらを互いに固定することができる。代替案として、多孔性材料を打ち抜き加工して領域208において折り曲げ、その2つの側辺部を織物状材料の両面に当てがい、次に210においてステープル留めする。
多孔性材料は、下方に向かって延びる織物状材料の支持手段をなすとともに、多孔性支持体204の毛細管と織物状シートの毛細管との間における接続も生ずる。
多孔性支持体204に設けられた孔209は、このアセンブリを送給手段エンクロージャ(図示せず)の上方部に係止する手段をなし、これにより織物状シート203をエンクロージャ内に吊り下げることができ、このエンクロージャにより空気が織物状シートのいずれの側からも流通することができる。
多孔性支持体204の上側部分208は、これに接触させられるパッド(図示しない)に対する接触手段をなす。パッドには、静圧補償されたリザーバに接続した芯から液体製品が供給される。このことは送給手段のスイッチをオン・オフすることを意味する。
この織物状シート203は、「横糸」構造206が垂直方向に配置され、また「縦糸」構造205は水平方向に配置されるよう向きを揃える。「縦糸」構造205は、織物の「横糸」構造206と比較してグループ内により多くの繊維を含有し、またそれゆえに液体製品(図示せず)を搬送する能力がより高い。液体製品に対して不浸透性を有する領域207は、自動レーザ手段を用いて「縦糸」構造に沿って繊維相互を熱融着することにより作製する。壁207は、左から右、及び右から左へと交互に延在させる。壁は規則的な間隔をとって配置し、また反対側側辺手前で終端させて、各壁の端部にギャップを設け、液体が「横糸」構造を通って後続の壁対間のスペースに流下できるようにする。これにより経路長が何倍にも伸び、液体製品に作用する重力作用を抑制する。
壁207間の空間は、主に、水平方向の壁207のどの対間にも等距離に配置された3つの「縦糸」構造205を有する、液体製品用の一貫した均一な経路をもたらす。従って、各経路における液体製品の装荷搬送能力は同一である。上述したように、液体製品は揮発性が高く、またそのことが毛管力を最大限に利用するよう織物によるこのような経路を設計してきた理由である。しかし、最低液体量(一定期間にわたり蒸発した製品の量)の4倍にも上る可変液体出力を生み出すには、毛管力との関係で流体静力学的な力が大きな役割を果たす。
このことは、リザーバを垂直方向面内で上下に摺動できるようにすることにより実現される。これには、リザーバ内の液体製品の高さに無関係に一定レベルを維持する圧力補償リザーバの恩恵を利用していることは勿論である。リザーバを上昇させることにより出力は増加し、またその逆も真であり、リザーバを下降させることにより出力は減少する。また、一定レベルであることは、出力が経時的にほぼ線形であることを確実にする。
上述したように、液体が織物における回路周りにどのくらい遠くまで移動するかは温度に依存する。温度が上昇するにつれて、液体製品の揮発性が高くなり、従って液体はより速く蒸発し、流路に沿って相対的に短い距離を進むだけである。温度がより低くなると、液体の揮発性は減少し、より遅い速度で蒸発する。従って液体は、平均すると蒸発前に、経路に沿ってより遠くのポイントまで進む。温度補償効果は、より小さい表面積面から送給される製品のより高い揮発性が、より大きな表面積にわたり送給される製品のより低い揮発性に同等である結果であると考えられる。
この実施形態において、揮発性の殺虫剤製品用の送給手段は、収集すべき残余物がないので、シンクは不要である。単に2つの主構成要素、すなわち、PCR及び送給アセンブリがともに極めてシンプルな構成を形成する。
この織物は、その構造中に高い空隙比を有するため、浸透性が高い。それは0.75gと極めて質量が小さく、0.34mmの厚みを有し、またこのおかげで製品の占有体積が極めて小さくなる。液体製品が空気中に自由に蒸発できるようその繊維は、有孔率を高くしたホルダ内に包囲する。
発明の第2実施形態によるディスペンサの利点には、製品寿命の最初から最後まで経時的な製品出力がほぼ一定である点が含まれる。更に、リザーバが空になった時に交換可能なリザーバカートリッジは、それが再利用可能であることを意味する。この装置は使用しないときにスイッチ切り替え可能とし、使用しないときにはスイッチオフすることができるため、製品の使用を長くすることができ、また初期使用後にその製品を輸送し、保管することができる。しかし他の実施形態において、スイッチを省略することができる。その出力は、安全確保すべきスペースの大きさに合わせて調整することができる。
上述の通り、システムは、温度変化に対して安定した性能を提供する。有効成分が時間とともに光により悪影響を受ける場合であっても、システムは極めて少量の製品を送給スクリーン上に装荷し、その蒸発の速度は比較的速く、露光は短い。
図8は、本発明の第2実施形態のリザーバ内の重量の減少が、使用状態で、経時的に高い線形性を有し、また従って揮発性液体の蒸発により送給が一定であることを示している。明細書末尾の表1は、第2実施形態によるディスペンサをある一定期間使用した時の蒸発量の実験結果を示す。
本発明の別の実施形態を、以下に図9および図10につき説明する。図は代替的実施形態を示し、図3に示す実施形態と類似するため、それを参照して説明する。リザーバ910を設け、その中には揮発性材料を入れる。リザーバ910の内側には、芯940を設け、この芯940は、それが使用状態にあるとき、リザーバ910の底部近傍からリザーバ910の頂部を貫通してプラグ915により封止し、このプラグ915は送給ユニット900内にリザーバ910を据え付ける前に芯940の頂部を封止する。芯940は円筒形のカバー914によって包囲し、揮発性液体が芯940の頂端部又は底端部からしか入れることがないようにする。芯940は、包囲体916内でリザーバ910に挿入し、この包囲体916はリザーバ910内における芯940の長手方向軸線周りに延びて存在(延在)する。包囲体916は、リザーバ910の内部から外部に延在するエアチャネル917を有する。キャップ918を包囲体916の内側端部に設ける。図に示すように、芯940を保管位置から動作位置までリザーバ910内に押し込むとき、キャップ918は包囲体916の端部から押し出される。キャップ918が包囲体916の端部から取り外されるとき、揮発性材料は包囲体916の内側で一定レベルの空気柱との界面を形成するとともに、芯940の端部は空気柱との界面をなす液体表面の僅か下方に入り込む。エアチャネル917は従ってリザーバ910の内側と連通する。
リザーバ910を取り囲んでいるのは、スクリーン920である。スクリーン920は、六角形のメッシュ織物で形成する。この実施形態において、スクリーン(920)は、垂直方向に略円筒形状に延在する部材とし、その円筒形軸線は芯940の円筒形軸線とほぼ平行となっている。スクリーン920はユニット900の頂部において、ほぼ水平方向に延びる上側支持体960に固定する。上側支持体960の中心部にはコネクタ950が貫通し、このコネクタは芯940の頂部と接触する。コネクタ950は多孔性であり、揮発性材料を芯940を経由してリザーバ910から排出し、上側支持体960上に取り付けたディスク965に流動できるようにするとともに、芯940からの揮発性材料が多孔性コネクタ950及びディスク965を経由してスクリーン920の頂部まで連通できるようにしている。この実施形態においてディスク965は紙で形成するが、揮発性材料を芯940からスクリーン920に導く他の材料も用いることができる。多孔性コネクタ950の周囲には、環状の多孔性ワッシャ967も設け、芯940からスクリーン920への揮発性材料の流れを援助する。ワッシャ967、ディスク965、上側支持体960はクランプ手段979により互いにクランプし、このクランプ手段979は多孔性コネクタ950をも所定場所に固定する。スクリーン920は、下側端部において下側支持体970にクランプする。上側支持体960及び下側支持体970は、ほぼ垂直方向に延びている支持体975により連結し、また一定の分離距離を維持する。この実施形態において、3個の支持体を設けるが、他の適当な数の支持体も用いることができる。下側支持体970は環状シールリング976の下側に環状ダクト974を有し、この環状シールリング976はスクリーン920の下方端部近傍で下側支持体970にクランプする。環状ダクト974には多数のドレイン素子978を設け、スクリーン920の底部に達したいかなる過剰揮発性材料をも収集し、また環状ダクト974から排出できるようにする。
リザーバ910及び下側支持体970の下方にはシンク930を設ける。シンク930は、中央が隆起した円柱状中央部分932を有する。この部分が下側支持体970の対応する寸法で延長した部分に係合し、これによって、下側支持体970はシンク930によって保持及び支持される。シンク930は、ハウジング934を備え、このハウジング934に隆起した中央部分932を形成する。ハウジング934部には、多孔性プラスチック体936を設け、ドレイン素子978からハウジング934の対応する位置に配置した孔を経由してシンク930に滴下してきた過剰な材料を吸収する。多孔性プラスチック体936は、上述したようにスクリーン920の下側端部に達した過剰な揮発性材料を全て吸収する。揮発性材料の蒸発に関するこのユニットの動作は、上述した先の実施形態と同様である。代替的な実施形態において、シンク930は、多孔性プラスチック体936の単一ブロックで形成され、ケース内に収納する。このユニットを動作させるとき、上側支持体960及び下側支持体970はそれらにクランプした多孔性素子と共にシンク930上に保持したリザーバ910上に配置する。これら素子をリザーバ910の上方からシンク930上に押し下げるとき、下側支持体970がシンク930のハウジング934における中央部分932に係合する。同時に上側支持体960、及び特に多孔性コネクタ950は接触パッド912上に押し下げられ、この接触パッド912は芯940をリザーバ910内に押し下げ、キャップ918を包囲体916から押し外す。これによりリザーバ910内の揮発性材料は、包囲体916内で空気柱との界面を形成し、また芯940の内側端部にも接触するのである。このとき、揮発性材料は芯940を上昇移動し、多孔性コネクタ950、環状ワッシャ967、及びディスク965を経てスクリーン920に達する。その後このユニットは上述したのと同様に動作する。
図10は、図9の実施形態の上面図を示す。この図は、シンク930の表面の孔938を示し、これら孔を通して多孔性プラスチック936を見ることが出来る。これら孔のうち3個(参照符号939で示す)は、ドレイン素子978に整列するよう構成し、これら3個のうち一つの位置が図を切除した状態で示す。
この実施形態は、揮発性材料がスクリーン920全体を下まで通過した後に残留物として残る香料用に特に適している。図11は、シンク930を必要としない代替的な実施形態を示し、この場合、揮発性材料は全てスクリーン920の下方部分に落ちる前に蒸発してしまうため、揮発性材料は、下側支持体970に隣接するスクリーン920の底部にはなんら残留しない。この図は、この実施形態と図9につき説明した実施形態との差異点のみを示す。従って、スクリーン920、上下の支持体960,970および関連する部分は示さない。リザーバ910、芯940及び芯の包囲体もまた、図9につき説明したのと同じであり、ここで更なる説明は行わない。差異点は、ベース980を形成している点である。ベース980は円筒状の開口を有し、この開口はリザーバ910の直径に対応した寸法にする。この場合、リザーバ910は、リザーバ910の底部がベース980の内側の底面に着床するか、又は送給装置のベースを形成するまで、開口内に挿入する。この実施形態ではシンク930を必要としないため、下側支持体970(図示しない)は、ドレイン素子及び環状ダクトを除去するよう変更することができる。下側支持体は、ベース980の上側部分を取り囲み、その上に着座し、また2つの垂直方向肩部を形成し、これら肩部の周りで下側支持体970の延長部分を突出させ、例えば摩擦嵌合し得るようにする。
図12は、図11の実施形態の上面図を示す。
ここでもやはり、ユニットの動作は、上述した通りである。
液体製品をリザーバ910からスクリーン920まで導く導管をなす毛管回路を形成するよう互いに接続する、吸収性/多孔性のある複数の構成要素が存在する。それら構成要素は、芯940から始まり、接触パッド912、コネクタ950、多孔性ワッシャ967、ディスク965、及びスクリーン920までが直列にして接続する。
香料送給手段(図9)の場合、スクリーン920の底部には3本のドレイン素子978を突設し、これにより流体静力学的なバイアスがかかって、残余物が蓄積しないようにスクリーン920を洗浄するサイフォンを形成している。この構成により、リザーバからスクリーンへ流れるのと同じ方向の力を発生させるための流体静力学的なバイアスがかかる。従って、毛管回路が完全に充填されると、同じ方向に作用する毛管力と重力とがお互いに支え合う。
流体静力学的なバイアスは、ドレイン素子978の底部を一定レベル保持手段(包囲体)916(図9参照)よりも低くすることにより生ずる。この構成において、液体製品は、相互接続された毛管の構成要素によって形成された回路のあらゆる部分に存在する。ドレイン素子978はこの回路の端部にあり、これらドレイン素子は定位置にある。一定レベル保持手段(包囲体)916を有するリザーバ910は、定位置にあるドレイン素子978に対して垂直方向上方に移動することができる。これにより、一定レベル保持手段(包囲体)916の底部とドレイン素子978の底部との高低差を増やすことができるため、液体製品の流速を速めることができる。これにより、性能を最適化するような微調整が可能となり、これにより流速と製品の蒸発速度とのバランスをとることができる。
図11に示す殺虫剤送給手段の場合には、リザーバ910がアセンブリの底部の定位置にあるのが分かる。製剤は有効成分のキャリアとして溶剤(ISO PAR-M)を使用し、またそれらはどちらも揮発性を有するので、ドレイン素子978は残余物を取り除く必要がない。この構成においては、一定レベル保持手段916の底部を、支持体970に取り付けたスクリーン920の底部よりはるかに低い位置にある。リザーバ910からスクリーン920への液体流の方向に対して負の流体静力学的なバイアスがかかっているため、この構成はサイフォンではなく、したがって、毛管力と重力は互いに対向する。この対向する力により、スクリーン920における液体の装荷量は少なく、Litmans573のようなスクリーン920用ポリエステル材料に関連して使用するとき、体積に対する表面積比が大きいため、高い蒸発効果を生ずる。このLitmans573は、高い浸透性を有し、軽量な六角形メッシュ織物である。
揮発性材料を送給する速度は、スクリーン920の材料に加える張力を調整することによっても調整することができる。図9及び図10に示す実施形態において、そのスクリーン材料はポリエステルである。図11及び図12に関して記載した実施形態において、そのスクリーン材料は、Litmans573ポリエステルである。図9〜10及び図11〜12に記載したいずれの実施形態においても、スクリーン920を上行部分から分離した状態に維持することが重要であり、さもないと、揮発性材料が上行部分を移動し、また下側支持体970まで直接降下移動し、したがって、揮発性材料の送給速度が増大するからである。代替的な実施形態においては、スクリーン920は、円筒形ではなくて、截頭円錐形であってもよい。この実施形態において、スクリーン920は、平坦材料の2個のハーフをその側端縁において溶着し、また一般的な円筒形又は截頭円錐形の形状に曲げることによって形成する。スクリーン920における2個のハーフの形状は、説明したような3次元面が要求される形状にするよう変更することができる。さらに、上下の支持体960,970間に中間の水平方向の支持体を設けることができる。このような中間の支持体を直立した保持素子に取り付け、上下の支持体960,970間でスクリーン920を保持する。
本発明は、単に例示として記載し、本発明の範囲及び精神内において様々な変更、修正、付加及び省略を行うことが出来る。用語「comprise」「comprising」「comprises」等は、文脈上明示しない限り、排他的ではなくむしろ包括的な、つまり「包含するがこれに限定されず」の意味として理解されたい。