JP2013539009A - 冷却システムによる熱統合の方法 - Google Patents

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Abstract

熱キャリアー回路(10)において、熱キャリアー媒体が第一の熱交換器(12)で第一のプロセス流(14)から熱を吸収し、且つ冷却システム(30)に当該熱を放出し、 さらに
冷媒回路(20)において、前記冷却システム(30)で冷媒が冷却され、当該冷媒が第二のプロセス流(24)から第二の熱交換器(22)で熱を吸収するか、又は、
第二のプロセス流(24)が前記冷却システム(30)で冷却される工学プロセスの熱統合の方法であって、
前記第一のプロセス流(14)が熱分離装置からの蒸気流であり、前記熱キャリアー媒体の温度を、第一の熱交換器(12)の出口と冷却システム(30)の入口との間の熱供給により上昇させることを特徴とする方法。

Description

本発明は、工学プロセス中での熱統合 (heat integration)の方法であって、ある熱キャリアー回路 (heat carrier circuit) において、第一の熱交換器中で熱キャリアー媒体 (heat carrier medium) が第一のプロセス流から熱を吸収し、ある冷却システムに放出し、さらに、第二のプロセス流がこの冷却システムで冷却される方法に関する。
エネルギー効率とコスト効率に関する需要が増大しているという背景から、工学プロセスにおいて熱統合がますます重要となってきている。専門家の間ではいろいろな異なる熱統合が知られており、いくつかは大規模工業プラントで用いられている。従来、この場合に、例えば反応器からの熱い流体が、反応器に供給される冷流体を温めるために使用される際、プロセス流間の温度差が利用される。直接の熱交換を行うのにこれらの流体間の温度差が小さすぎる場合、相当する温度レベルで熱を利用できるようにするのに冷却システムまたはヒートポンプがしばしば用いられる。スチームジェット冷却システムまたは圧縮冷却システムに加えて、特に、吸収冷却システムまたは吸収ヒートポンプをあげることができる。
吸収冷却機械においては、選ばれた冷媒と吸収材を含む一対の材料の吸収性能が利用される(例えば、“Dubbel Taschenbuch fur den Maschinenbau”[デュッベルの機械工学ハンドブック]、21st edition, Verlag Springer, Berlin, 2005, section M 1.4.3を参照)。この機械においては、低温レベルで冷媒が低圧で蒸発器中で気化し、プロセス流から熱を除く。結果として得られた冷媒蒸気は、吸収器において、熱が除去されて吸収材により吸収される。その冷媒濃度が増加した吸収材を高い圧力レベルでエクスペラ (expeller) 中に送り込み、高い温度レベルのプロセス流から熱を供給することにより、冷媒を再度放出させる。冷媒の除かれた吸収材は吸収器に再循環される。冷媒蒸気は冷却水を使用する凝縮器中で高い圧力レベルで液化され、蒸発器に返送される。工業用途、特に低温での用途では、アンモニアを冷媒とし水を吸収材とする材料ペアが有効である。また水を冷媒とし臭化リチウムを吸収材とする材料ペアも確立されている。
米国特許4,530,826には、比較的に低温レベルで手に入る工学プロセスの排熱の利用の可能性についての記載がある。この場合、吸収冷却システムまたは吸収ヒートポンプにより、それぞれの工学プロセスの異なる位置の他の流体から熱を除去する、あるいはそこに熱を供給するのに蒸留塔、吸収塔または脱着塔からの生成物流と反応器からの生成物流が使用される。この原理は、例えば、アクリロニトリルやメタクリル酸、アクリル酸、青酸、ホルムアルデヒドの製造方法に認められる。
PCT出願のWO2008/034798A1には、重縮合プロセスにおいて冷却エネルギー作る方法であって、副産物として形成される排液の蒸気を凝縮により排水に変換する方法が記載されている。排水蒸気の凝縮で放出される熱エネルギーは熱キャリアー媒体により取り上げられ、熱圧縮機を有する冷却発生器に送られて冷却エネルギーに変換される。この冷却エネルギーはプロセス媒体の冷却に使用でき、あるいは空調装置中の空気の温度調整に使用できる。
米国特許4,530,826 WO2008/034798A1
Dubbel Taschenbuch fur den Maschinenbau[デュッベルの機械工学ハンドブック]、21st edition、Verlag Springer, Berlin, 2005、section M 1.4.3
冷却システムとヒートポンプはすでに多くのエンジニアリングシステムにおいて熱統合に利用されているが、現在もなお、この技術の改善に対する、特にさらに広範囲での利用に対する要求が存在している。
以下に述べる本発明の目的は、熱統合の既知技術をより広い応用分野に適するように発展させることである。
本目的を達成するため、熱キャリアー回路において、熱キャリアー媒体が第一の熱交換器で第一のプロセス流から熱を吸収し、且つ冷却システムに熱を放出し、さらに、冷媒回路において、前記冷却システムで冷媒が冷却され、その冷媒が第二のプロセス流から第二の熱交換器で熱を吸収するか、又は、第二のプロセス流を前記冷却システムで冷却し、前記熱キャリアー媒体の温度を、第一の熱交換器の出口と冷却システムの入口との間の熱供給により上昇させることを特徴とする工学プロセスでの熱統合の方法が提案された。
本発明の方法はある加工プラントの2つ以上のプロセス流間の熱の移動に役立つ、即ちこれらを熱的にカップリングするのに役立つ。この場合、これらプロセス流のそれぞれの温度レベルのみが本プロセスに影響を持つため、これらプロセス流の組成上の種類は重要でない。本発明によれば、熱キャリアー媒体への伝熱場所での第一のプロセス流の温度は、冷媒への伝熱場所での第二のプロセス流の温度より高い。
図1は先行技術の熱統合装置の概略図である。 図2は、追加の熱交換器を有する本発明の熱統合装置の概略図である。 図3は、熱媒体を供給する本発明の熱統合装置の概略図である。 図4は、エチレンオキシドの製造プロセスの詳細プロセス図である。
第一の熱交換器中で第一のプロセス流から熱が吸収され、熱キャリアー媒体中に移される。当業者には、熱キャリアー媒体としていろいろな物質が存在し、これらの中から、要望に応じて適当な媒体が、例えば、水、水とエチレングリコールなどの有機物質の混合物、鉱油または合成の熱キャリアー媒体が選ばれる。この熱キャリアー媒体は液体であっても、気体または多相であってもよく、好まくは液体である。他の好ましい実施態様においては、この熱キャリアー媒体が液相の水である。
第一の熱交換器の設計のために、例えば並流型、向流型または交差流型熱交換器等いろいろな熱交換器が考えうる。これらは、利用分野に応じて選択されまたその規模が規定され、移される熱の量と温度レベルが決められる。熱キャリアー媒体と第一のプロセス流が向流に流れる熱交換器が好ましいことが分っている。これは、この場合に熱交換器出口から比較的高い温度の熱キャリアー媒体が得られるためである。
この熱キャリアー媒体は、まずプロセス流から熱を吸収する第一の熱交換器と熱キャリアー媒体が熱を放出する冷却システムを通る回路を流れる。本発明によれば、第一の熱交換器から出て冷却システムに入る熱キャリアー媒体の温度が熱の供給で増加する。この熱はいろいろな方法で供給される。
本発明の方法の第一の好ましい実施態様においては、この熱が追加の熱交換器から供給される。追加の熱交換器として、あらゆる種類が検討の対象となり、当業者は、熱キャリアー媒体に移される熱量や温度レベル、可能な補助エネルギーを基に、熱交換器を選択しそのサイズを決めることができる。
本発明の方法の第二の好ましい実施態様においては、熱が、熱キャリアー回路中に供給される液体状または気体状の熱媒体により供給される。この熱媒体は、熱キャリアー媒体中にも存在する物質であることが好ましい。熱キャリアー媒体が実質的に水を含む場合、熱水またはスチームを熱媒体として使用することが特に好ましい。循環する熱キャリアー媒体の量を少なくともほぼ一定に維持するために、熱キャリアー媒体と熱媒体の流れを、冷却システムの入口の上流であるいは冷却システム出口の下流で排出させることができる。
この排出は、冷却システム出口の下流で行うことが好ましい。この場合には、流量が大きいため冷却システムの運転のためにさらなるエネルギーが利用できるためである。
この冷却システムは、第二のプロセス流から熱を吸収するのに使用される。本発明の一つの実施態様のおいては、これが、第二のプロセス流が冷却システム中で冷却されて行われる。このために、これが冷却システムの相当する伝熱ユニットに接触させられる。本発明の別の実施態様においては、熱が第二のプロセス流から冷却媒体により吸収される。好ましくは、この冷却媒体は、第二の熱交換器中で第二のプロセス流から熱を吸収し、冷却システムにまで流れ、そこで熱を冷却システムに放出し、第二の熱交換器に流れ戻る回路を流動する。
また冷却媒体の場合、存在する需要が何かに応じて、例えば移動させられる熱量または温度レベルにおいて存在する需要が何かに応じて、当業者はいろいろな物質を選択することができる。ある好ましい実施態様においては、この冷却媒体が水である。
第二の熱交換器にも、いろいろな設計が考えられ、例えば並流型、向流型または交差流型の熱交換器であり、これらは、利用分野と移動させる熱量に関する要求事項に応じて選択し、そのサイズを決めることができる。冷却媒体と第二のプロセス流が向流に流れる熱交換器が好ましい。これはこの場合に、冷却エネルギーを特に効率的に利用できるためである。
本発明の方法において、この冷却システムはいろいろな風に設計可能である。適当な実施態様は当業者には明らかである。例えば、“Dubbel Taschenbuch fur den Maschinenbau, 21st edition, Verlag Springer, Berlin, 2005”, section M 1.4.3に記載のような吸収冷却システムを冷却システムとして用いることが好ましい。
本明細書の前後において、「第一」及び「第二」のプロセス流または熱交換器の表現は、異なる温度レベルのプロセス流を区別するために用いられる。これらは、厳密に単数形で解釈してはならない。本発明はまた、熱キャリアー媒体が2つ以上の「第一のプロセス流」と熱を交換する配置も含む。同様に、2つ以上の「第二のプロセス流」が、この冷却システム中であるいは一つの冷却媒体回路により冷却される配置も含まれる。
例えば第一のプロセス流がカラムから塔頂引き抜きで第二のプロセス流が同じカラムからの側面引き抜きまたは塔底引き抜きの場合、第一のプロセス流から熱キャリアー媒体への伝熱の場所と、第二のプロセス流と冷却媒体との熱交換の場所は、相互に接近していてもよい。しかしながら、例えばもしこれらの流体が異なる装置に導かれる場合、これらは工学プロセス中で相互により離れていてもよい。相互の位置の距離の極限値は、実用的な点と経済的な点からのみ設定可能である。大きく離れている場合、熱伝導媒体または冷却媒体の長いラインが必要で、これには相当するコスト、特に十分な絶縁が必要である。
ある好ましい実施態様においては、他の熱交換器または供給する熱媒体の制御変数が適当に調整することにより、冷却システムの入口上流で熱伝導媒体の温度が制御変数として既定値に制御され、他の好ましい実施態様においては、入口上流の温度に代えて、冷却システム出口下流の熱キャリアー媒体の温度が制御変数として制御される。制御変数として、冷却システム入口の熱キャリアー媒体の温度と冷却システム出口の温度は、冷却システムの性能と第二のプロセス流から吸収することのできる熱量に関係がある。これらの制御変数には、理論値を既定値とすることができる。その場合、コントローラは、一つ以上の制御変数を変化させて、実際に測定される温度がその理論値の近くになるようにする。本発明の方法において追加の熱交換器が存在する場合、この追加の熱交換器の出力も、例えば、冷却システムの上流または下流の温度を制御するために適当な制御変数である。これ対して、熱供給に熱媒体を使用する場合、供給する熱媒体の量を制御量として好ましく用いることができる。
本発明の方法の一つの好ましい実施態様において、第一のプロセス流が熱分離装置からの蒸気流である。適当な蒸気流をもつ熱分離装置の例は、蒸留塔や脱着塔である。他の好ましい実施態様においては、この第一のプロセス流が、例えば発熱反応のため生成物流が加熱され他の加工段階の前で冷却が必要な反応器からの生成物流である。この第一のプロセス流がガス状であり、さらなる加工のために少なくとも部分的に一種以上の液相に変換されることが多い。本発明の方法では、このために必要な凝縮を第一の熱交換器中で行うことが好ましい。他の熱交換器が、例えば空気凝縮器や冷却水凝縮器がさらに存在することができる。
特に好ましくは、本発明の方法を、脱着塔を捕集塔に連結するのに使用することができる。この場合、第一のプロセス流が脱着塔からの塔頂流体であり、第二のプロセス流が脱着塔から除かれ捕集塔に供給される流体である。このような連結については、下の実施例でより詳細に説明する。
冷却システムの入口温度を上げることで冷却システムの性能が上がり、このため第二のプロセス流から吸収することのできる熱量が増加する。現在まで利用されていない、第1及び第2のプロセス流の間の小さな温度差を経済的に好ましく利用できる。このさらに必要な他の熱交換器または熱媒体により供給される熱は、多くの場合いずれの場合もエンジニアリングプラント中に存在しており、このため本発明の方法を使用することによる利益が、エネルギー使用量の増加を上回る。
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。なお、これらの図は概略図である。これらの図は、具体的なデザイン上の変更に関して発明を制限するものではない。
図1は先行技術の熱統合装置の概略図である。第一の熱交換器12中で、比較的高温レベルで第一のプロセス流14が熱キャリアー媒体に熱を与える。この熱キャリアー媒体が冷却システム30中を流れ、ここで熱を冷却システム30に与える。熱キャリアー回路10は、冷却された熱キャリアー媒体を第一の熱交換器12にもどして回路を閉じる。第二の熱交換器22中で、低温レベルで冷却媒体が第二のプロセス流24から熱を取り出す。
暖められた冷却媒体が冷却媒体回路20中で冷却システム30を通過し、ここで冷却されて第二の熱交換器に流れ戻る。
図2は、本発明の方法の第一の実施形態の概略図を示す。熱交換器12から出た後の熱キャリアー媒体が冷却システム30に入る前に、追加の熱交換器16に導かれ、ここで熱が加えられるように、図1の既知の構成が変更される。第一の熱交換器12に入る際の第一のプロセス流14の温度が85℃〜130℃の範囲であることが好ましい。この第一の熱交換器12中で、熱キャリアー媒体が好ましくは1℃〜20℃、特に好ましくは5℃から15℃暖められる。第一の熱交換器12から出る熱キャリアー媒体の温度は、好ましくは80℃〜120℃である。第二の熱交換器22に入る冷却媒体の温度は、好ましくは5℃〜25℃の範囲である。第二の熱交換器22中で冷却媒体が2℃〜15℃暖められることが好ましい。
図3は、本発明の方法の第二の実施態様の概略図である。第一の熱交換器12出口から冷却システム30入口への流路中における熱キャリアー媒体の温度上昇が、熱キャリアー媒体に熱媒体18を供給して行われる。温度制御器を用いて混合ノズルを経由してこの熱媒体18を熱キャリアー回路10に供給することが好ましい。熱キャリアー回路10中での熱キャリアー媒体と熱媒体の蓄積を避けるため、図3に示すように、好ましくは冷却システム30の出口の後で流体19が排出される。好ましいデザインでは、この排出が補償容器中のレベル制御器により行われる。
この追加の熱交換器16による、あるいは熱媒体供給による熱キャリアー媒体の温度上昇は、好ましくは0.5℃〜10℃であり、特に好ましくは1℃〜5℃である。
エチレンオキシド(EO)は、大規模な工業スケールで、銀触媒の存在下でエチレンの空気または酸素による直接酸化により生産されている。このプロセスでは、エチレンと酸素が、この反応物に加えて不活性ガスとエチレンの完全酸化副産物である二酸化炭素を含む回収ガス流中に投入される。このようなプロセスは、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(ウルマン工業化学辞典)、第7版に記載されている。図4は、本発明の方法が用いられるプロセス図の詳細を単純化して示す。以下に示す圧力は、絶対圧力である。
反応器から出てくる冷却されたガス状の反応生成物40は捕集塔41に導かれる。ここで、この反応生成物は、12〜18barの圧力で向流でスクラビング液42に導かれ、ここで有価生成物であるEOと他の低沸点物が、吸収によりスクラビング液中に移動する。
この反応生成物を含むスクラビング液を、捕集塔41から側面の取り出し口43を通して抜き出し、熱交換器44で予熱し、脱着塔45に送る。ここで、温度が100〜150℃で圧力が1〜4barのスチームでこの液体を再生させる。EOの増加した蒸気流14を脱着塔45のオーバーヘッドから抜き出し、溶解している低沸点物を分離後、精留またはエチレングリコール製造プラントに送る。脱着塔45の底面取り出し口46中で、反応生成物を含まないスクラビング液を抜き出し、複数の熱交換器44と47と22で15〜30℃の範囲の、好ましくは18〜22℃の範囲の温度にまで冷却し、捕集塔41に再循環させる。
この実施例では、このスクラビング液は多段で冷却されている。スクラビング液の冷却に必要な冷却能の一部は、熱交換器44中の脱着塔への供給液中の反応生成物を含むスクラビング液との熱交換により得られる。このスクラビング液を次いで、冷却水を使用して運転している熱交換器47に導く。最大冷却力では、この熱交換器47の出口温度は、実質的には冷却水の温度となる。冷却水の例としては、河川水、海水、カン水、またはクローズ・サーキット冷却器や冷却塔からの水があげられる。利用可能な冷却水の温度には、地域的な差とともに季節的な差が存在する。中央ヨーロッパでは、例えば、河川水の温度は、冬の約5℃から夏の約25℃まで変動しうる。
冷却水を用いて運転される熱交換器47の出口の後で、このスクラビング液は、必要があれば冷水を用いて運転される熱交換器22でさらに冷却される。例えば、このスクラビング液を捕集塔に15℃で供給する必要があるが、冷却水の温度が20℃である場合は、この冷水熱交換器22が、このスクラビング液を冷却水熱交換器47出口の約20℃から必要な15℃までの冷却を行う。このためには15℃未満の冷水が必要となる。従来、必要な冷水を作るためにスチームジェット冷却プラントまたは圧縮冷却プラントが使用されている。この場合、冷却力を与えるためには多量の加熱スチームまたは電気エネルギーを与える必要がある。本発明の方法を用いるとこのエネルギー消費を大幅に低下させることができる。
冬季で比較的に低温の、例えば5〜10℃の冷却水が使用できる場合、冷水熱交換器22の運転を省いてもよい。しかしながらこのような状況では、例えば冷却水熱交換器47の冷却水側の最大許容温度差が規定され、完全にこの熱交換器47中で.スクラビング液が所望のリサイクル温度に冷却されるとこれを越してしまう場合には、この冷水熱交換器22を運転することも好ましいこともある。
熱交換器22用の冷水は、冷却媒体回路20中で冷却システム30により温度が10〜25℃で与えられる。この例では、このシステムが吸収冷却システムとして建設されている。冷却システム30の運転に必要なエネルギーは、脱着塔45からの温度が105〜125℃の蒸気流14の一部を凝縮させるために設けられている熱交換器12から引き抜かれる。熱キャリアー回路10中では、温度が80〜100℃で、水が冷却システム30から熱交換器12へ流れ、ここで蒸気流14から熱を吸収する。温度が85〜120℃の加熱水が冷却システム30に流れ戻り、熱を冷却システム30のエクスペラに与える。
冷却システム30の冷却力を上げるために、熱交換器12の出口から冷却システム30の入口の間で、熱媒体18としてスチームが、この熱キャリアー媒体としての水に供給される。この場合に、熱キャリアー媒体の温度は、冷却システム30の出口で測定され、供給する熱媒体18の量を変化させることで既定の理論値が制御される。冷却システム30から出た後、熱キャリアー媒体の一部は、熱キャリアー回路10中での熱キャリアー媒体の蓄積を避けるため、流体19として排出され、凝縮液システムに送られる。
冷却システム30に入る熱キャリアー媒体の温度を92℃から97℃へ増加させることにより、例えば、冷却システムに入る冷却媒体と同じ温度で、また冷却システム中のブライン回路と同じ温度レベルで、吸収冷却システムの冷却力を約15%上げることができる。
熱を供給することで、冷却力を増加させることできるとともに、冷却システムに投入される熱量が、蒸気流14に発生する流量または温度の変動に実質的に依存しなくなる。このため、熱交換器12に冷却エネルギーをより均一に供給できるようになり、このプラント部品が変動や故障の影響を受けにくくなる。
エネルギー消費の点で最適化された図4に示すプロセスの手順を達成するため、本明細書に記載の制御方法を実施でき、好ましくはモデルサポート制御の形で実施できる。脱着塔45中の少なくとも3点で温度の測定値を記録し、これらから塔内の温度変化を決定する。脱着塔45の蒸発器48に入るスチームは、底面取り出し口46中のスクラビング液のエチレンオキシド負荷量が0.5〜10重量ppm、好ましくは2〜5重量ppmとなるように調整される。また、捕集塔41に循環される供給されたスクラビング液42の量は捕集塔41を出て行くオーバーヘッド流中のエチレンオキシド濃度が10〜500重量ppm、好ましくは20〜50重量ppmとなるまで減らされる。冷却システム30へ入る前のスチーム投入量18の増加により循環スクラビング液42の量が減少し、このため、脱着塔45の蒸発器48中でより少量のスチームが必要となる。この制御方法で、冷却システムへのスチーム投入量18と蒸発器48ヘのスチーム投入量の合計が最小に抑えられる。また、冷却システムへのスチーム投入量18も、同様に直接影響を受ける。冷却システム30に入る前又はここから排出後の温度が影響を受けるといる間接的な影響もでてくる。この場合、このスチーム投入量18は、予備のコントロールループ内で影響を受ける。
本発明の方法を、このEOプロセスのもう一つ他の位置で使用することもできる(図4に図示せず)。圧縮して圧力を18〜24barとした後、捕集塔41から取り出したリサイクルガスのうち、その30〜99%の支流をCO吸収塔に供給する。この場合一般的には、炭酸カリウムの溶液が吸収材として用いられる。この吸収器から出た後の実質的にCOが除かれたこのリサイクルガスの支流を冷却し、EO反応器に再循環させる。COを含む炭酸カリウム溶液は、温度が100の120℃の脱着器中で熱的に再生させられる。
このプロセスにより炭酸カリウム溶液からCOが除かれ、1〜2barのスチームで飽和させられる。本発明によれば、冷却システムを運転するために、再度、温度が100〜115℃である脱着器からの蒸気流が第一の熱交換器に流される。得られる冷却エネルギーは、同様に、捕集塔41のスクラビング液の冷却に使用でき、あるいはEOプロセスの他の箇所で使用することもできる。
本発明の方法をEOの製造工程で使用することで、その経済効率が改善されることがある。脱着器蒸気流を利用することも好ましく、特に冷水を得るための吸収冷却システム用の熱エネルギーを作るのに、またそれを吸収器用のスクラビング液の冷却に使用することが好ましい。一定の供給速度のこの吸収器へのスクラビング液の供給温度を下げることで、リサイクルガス流から有価成分の吸収が改善されることがある。したがって本発明の方法を使用することで、外部から供給される加熱スチームを継続的に使用しながら、既存のプラント中でEOの吸収と脱着の能力を増加させることができる。
あるいは、一定の規模でも、吸収が改善されるため、循環スクラビング液の量が低下する。これにより、特に新プラントを計画するに当り装置が小さくなって資本コストが低下し、EO脱着器中のスクラビング液の再生に必要な加熱スチームが減少して運転コストが低下する。
本発明の方法は、他のプロセスでも好ましく使用することができる。好ましくは、この場合、脱着塔から分離され捕集塔に送られる第二のプロセス流は、10℃より高く用いる冷却水温より低い範囲の温度に冷却される。また、この冷却が多段で進むプロセスが、即ち脱着塔から出る第二のプロセス流が冷却水を用いて熱交換器中で実質的に冷却水温にまで冷却され、次いで吸収冷却システムからの冷却水を用いて運転されている少なくとも一台の熱交換器中で、10℃より高く用いる冷却水温より低い範囲の温度に持っていかれるプロセスが好ましい。

Claims (13)

  1. 熱キャリアー回路(10)において、熱キャリアー媒体が第一の熱交換器(12)で第一のプロセス流(14)から熱を吸収し、且つ冷却システム(30)に当該熱を放出し、 さらに
    冷媒回路(20)において、前記冷却システム(30)で冷媒が冷却され、当該冷媒が第二のプロセス流(24)から第二の熱交換器(22)で熱を吸収するか、又は、
    第二のプロセス流(24)が前記冷却システム(30)で冷却される工学プロセスの熱統合の方法であって、
    前記第一のプロセス流(14)が熱分離装置からの蒸気流であり、前記熱キャリアー媒体の温度を、第一の熱交換器(12)の出口と冷却システム(30)の入口との間の熱供給により上昇させることを特徴とする方法。
  2. 前記熱が、追加の熱交換器(16)を経由して供給される請求項1に記載の方法。
  3. 前記熱が、熱キャリアー回路(10)に供給される液体または蒸気状の熱媒体(18)により供給される請求項1に記載の方法。
  4. 前記冷却システム(30)に入る前の熱キャリアー媒体の温度を、追加の熱交換器(16)の排出量または熱媒体(18)の供給量を変化させて既定値に制御する請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記冷却システム(30)から出た後の熱キャリアー媒体の温度を、追加の熱交換器(16)の排出量または熱媒体(18)の供給量を変化させて既定値に制御する請求項2または3に記載の方法。
  6. 前記冷却システム(30)が吸収冷却システムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第一の熱交換器(12)から出る熱キャリアー媒体の温度が80℃〜120℃であり、続く熱キャリアー媒体の温度上昇が0.5℃〜10℃である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第一のプロセス流(14)が脱着塔からのオーバーヘッド流であり、前記第二のプロセス流(24)が当該脱着塔から抜き出され捕集塔に送られる流体である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記脱着塔から抜き出され前記捕集塔に送られる第二のプロセス流(24)が、10℃より高く、且つ用いる冷却水温より低い範囲の温度に冷却される請求項8に記載の方法。
  10. 前記冷却が、多段方式で、前記脱着塔から抜き出される第二のプロセス流(24)が冷却水を用いる熱交換器で実質的に冷却水温にまで冷却され、次いで、吸収冷却システムからの冷水を用いて運転されている少なくとも一台の熱交換器(22)で、10℃より高く、且つ冷却水温より低い範囲の温度に冷却されることで行われる請求項9に記載の方法。
  11. 前記工学プロセスがエチレンオキシド及び/又はエチレングリコールの製造プロセスである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記工学プロセスがエチレンオキシドの製造プロセスであり、脱着塔で、エチレンオキシドを含むスクラビング液が再生され、エチレンオキシドが増加した第一のプロセス流(14)が塔頂から抜き出され、再生されたスクラビング液が第二のプロセス流(24)と同様に多段で冷却され、捕集塔に循環させられ、上記冷却が、15℃〜30℃の範囲、好ましくは18℃〜22℃の範囲の温度で行われる請求項10に記載の方法。
  13. 蒸気状の熱媒体(18)が前記熱交換器回路(10)に供給され、且つ蒸気状の熱媒体(18)の量を変化させるモデルサポート制御が、供給される熱媒体(18)の量と前記脱着塔の蒸発器へのスチーム供給量の合計を最小化する請求項12に記載の方法。
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