本発明の実施形態はポリウレタン発泡体に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、粘弾性を維持しながら圧縮永久歪み値が改善されたポリウレタン発泡体に関する。ポリウレタン発泡体の多数の市販配合物において、TDI系配合物より低いイソシアネート指標値に制約される傾向があるMDI系配合物では、低い圧縮永久歪み値は一般的であることが判明している。本発明者らは、粘弾性ポリウレタン発泡体におけるポリ(ブチレンオキサイド)の使用が圧縮永久歪み特性(これは多くの耐久性の予測となる)の無視できない予期せぬ増加をもたらすことを予想外に発見した。従って、本明細書に記載する実施形態は、しばしば貧弱な圧縮永久歪み特性を示すMDI系粘弾性ポリウレタン発泡体の圧縮永久歪みを改善するために用いられてもよい。
本明細書で用いられるように、「粘弾性発泡体」という用語は、ASTM D3574試験Hに従って測定される通り、25%未満の弾力を有する発泡体を指すことが意図される。好ましくは、発泡体は20%未満の弾力を有する。ある実施形態において、発泡体は15%未満又はさらに10%未満の弾力を有する。
本明細書で用いられるように、「気流」という用語は、125Pa(0.018psi)の圧力で発泡体の1.0インチ(2.54cm)厚2×インチ×2インチ(5.08cm)正方形断面を通過する空気の体積を指す。単位は立方デシメートル毎秒(即ち、リットル毎秒)で表され、標準立方フィート毎分に変換される。気流を測定するための代表的な商用ユニットは、スイス、チューリッヒのTexTest AGにより製造され、TexTest Fx3300と同定される。この測定はASTM D 3574試験Gに従う。
本明細書で用いられるように、「CFD 25%」という用語は圧縮力撓み測定を指し、横方向4×4インチ及び厚さ2インチ(10.16×10.16×5.08cm)の発泡体が厚さ軸に25%の圧縮歪みまで圧縮され、圧縮力撓み測定が測定される前の1分間保持され、即ち、発泡体は、ASTM D 3574 Cの手法に従って、その原厚の75%まで圧縮され、重量ポンド(Ibf)又はニュートン(N)で測定される。「CFD 65%」及び「CFD 75%」は同様に発泡体原厚の35%及び25%の圧縮にそれぞれ対応する。
本明細書で用いられるように、数平均当量は下記の通りに組み合わされる:総数平均当量=(Aのグラム+Bのグラム)/[(Aのグラム/Aの当量)+(Bのグラム/Bの当量)]。
本明細書で用いられるように、「75%の圧縮永久歪み」という用語は、75%圧縮変形レベルで発泡体の上昇方向と平行に測定される圧縮永久歪み試験を表す。この試験はクッション厚の使用時減少と発泡体硬度の変化との相互関係を示すために本発明で用いられる。圧縮永久歪みは、ASTM D 3574−95、試験Iの手法に従って測定され、試料の原厚の百分率として測定される。同様に、「90%の圧縮永久歪み」とは、上記(圧縮永久歪み)と同一の測定を指すが、今回は試料の90%圧縮変形レベルで発泡体の上昇方向と平行に測定される。
本明細書で用いられるように、「密度」という用語は本明細書で発泡体の単位体積当たりの重量を指すために用いられる。粘弾性ポリウレタン発泡体の場合、密度はASTM D357401、試験Aの手法に従って測定される。有利なことに、粘弾性発泡体は、少なくとも約3、好ましくは少なくとも約3.5、より好ましくは少なくとも約4、及び好ましくは最大で約8、より好ましくは最大で約6、最も好ましくは最大で約5.5ポンド/ft3(それぞれ48、56、64、128、96、88kg/m3)の密度を有する。
本明細書で用いられるように、発泡体に適用される「%伸び」という用語は、発泡体の試料が破断前に達し得る線形伸びを指すために本明細書で用いられる。発泡体は引張強度を測定するために用いられる同一の方法により試験され、結果はASTM D−3574、試験Eの手法に従って発泡体試料の原長の百分率として表される。
本明細書で用いられるように、「官能基性」という用語、特に「ポリオール官能基性」は、ポリオールを調製するために使用され、エポキシド分子(例えばエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド)と反応し得る開始剤の活性水素の数を指すために本明細書で用いられる。これは名目官能基性(nominal functionality)とも呼ばれる。ポリオール官能基性の目的上、任意の第一/第二アミン又はヒドロキシル官能基性は名目官能基性値に一旦反映される。
本明細書で用いられるように、「弾力性」という用語は弾性として認識される発泡体の性質を指すために用いられる。これはASTM D3574試験Hの手法に従って測定される。このボール跳ね返り試験は、公知の重量の落下鋼球が特定条件下で落下する際の発泡体の表面から跳ね返る高さを測定し、元の落下高の百分率として結果を表す。ASTM試験に従って測定すると、硬化VE発泡体は、有利にも最大約20%、好ましくは最大約10%の弾力性を示す。
本明細書で用いられるように、「支持係数(support factor)」という用語は、65%圧縮(圧入)力撓み(CFD)を25%圧縮力撓みで除する比率を指す。
本明細書で用いられるように、「引裂強度」という用語は発泡体試料を引き裂くのに要する最大平均力を指すために本明細書で用いられ、該試料は予め縦に切り込みを入れ、発泡体試料とする。試験結果は、ASTM D3574−Fの手法に従って、リニアインチ当たりポンド(lbf/in)又は1メートル当たりニュートン(N/m)で測定される。
本明細書で用いられるように、発泡体に適用される「引張強度」という用語は、犬用骨形状の発泡体試料が線形(一軸)伸展力下で引き延ばされながら耐え得る最大力を指すために本明細書で用いられる。応力は該材料が破断点に達するまで増加し、その時点での破断点荷重及び破断点伸びが引張強度及び伸びを算出するために用いられ、全てASTM D−3574、試験Eの手法に従って測定され、ポンド毎平方インチ(psi)又はキロパスカル(kPa)で測定される。
ポリウレタンの製造で使用されるイソシアネート反応性成分は一般に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物である。これらの化合物は本明細書でポリオールと呼ぶ。ポリオールはアルキレンオキサイドによる適切な出発分子(開始剤)のアルコキシル化により得られるものを含む。開始剤は2から8の反応部位を有し得る。2から4の反応部位を有する開始剤分子の例は、水、アンモニア、又は多価アルコール、例えば62から399の分子量を有する二価アルコール、特にアルカンポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン又はトリメチロールエタン、又はエーテル基を含む低分子量アルコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール又はペンタエリスリトールを含む。より高い官能基性開始剤の例には、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトース又は他の糖類等を含む。これらのポリオールは従来方法により調製される通常材料である。ポリオールについて、「トリオール」又は「モノール(monol)」という用語が用いられる場合、出発開始剤の官能基性(例えばトリオールではグリセリン及びモノールではn−ブタノール)が意図される。この重合の触媒作用は、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素などの触媒、又は二重金属シアン化物錯体(DMC)触媒、例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛若しくは第4級ホスファゼニウム(phosphazenium)化合物を用いたアニオン性又はカチオン性のいずれかであり得る。アルカリ性触媒の場合、これらのアルカリ性触媒は好ましくは製造の終わりに適切な仕上げ段階により、例えば合体、ケイ酸マグネシウム分離又は酸中和により、ポリオールから取り除かれる。
一実施形態において、粘弾性ポリウレタン発泡体を調製する反応系が提供される。該反応系は、(a)ポリイソシアネート成分及び(b)イソシアネート反応性成分を含む。反応系はさらに少なくとも1つの(c)1つ又はそれ以上の発泡剤、(d)1つ又はそれ以上の触媒成分、及び(e)1つ又はそれ以上の界面活性剤を含んでもよい。ある実施形態において、反応系はさらに追加の添加剤を含む。
成分(a)は、(i)約0から10%のトルエンジイソシアネート(TDI)系有機ポリイソシアネート;及び(ii)約90から100%のメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)系成分を含んでもよい。一実施形態において、TDI系成分は2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物であり、MDI系成分は高分子MDIである。高分子MDIは約2.3の官能基を有し得る。
成分(a)は、1分子当たり平均1.8以上のイソシアネート基を有する1つ又はそれ以上の有機ポリイソシアネートを含んでもよい。イソシアネート官能基性は好ましくは約1.9から4、より好ましくは1.9から3.5、特に2.0から3.3である。
有機ポリイソシアネートは、高分子ポリイソシアネート、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネート、又は脂肪族イソシアネートであってもよい。例示のポリイソシアネートには、m−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4−4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート及び4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートを含む。好ましくは、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、又はこれらの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及びこれらの混合物は総称的にMDIと呼ばれ、全て使用できる。トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート及びこれらの混合物は総称的にTDIと呼ばれ、全て使用できる。
好ましいMDI系ポリイソシアネートは、MDI及びMDIの誘導体、例えばビウレット修飾「液体」MDI生成物及び高分子MDIを含む。好ましいポリイソシアネートは、いわゆる高分子MDI生成物であり、該生成物は単量体MDIにおけるポリメチレン・ポリフェニレン・ポリイソシアネートの混合物である。一実施形態において、高分子MDIは全イソシアネートの70重量%以上を占める。特に適切な高分子MDI生成物は、5から50重量%、より好ましくは10から40重量%の遊離MDI含量を有する。このような高分子MDI生成物は、The Dow Chemical CompanyからPAPI(登録商標)及びVORANATE(登録商標)の商品名で入手できる。
特に好ましいポリイソシアネートは、2.3から3.3イソシアネート基/分子の平均イソシアネート官能基性及び130から170のイソシアネート当量を有する高分子MDI生成物である。この種類の適切な市販製品はPAPI(商標)PB−219、PAPI(商標)27、PAPI(商標)94、VORANATE(商標)M229、VORANATE(商標)220、VORANATE(商標)290、VORANATE(商標)M595及びVORANATE(商標)M600を含み、これら全てがThe Dow Chemical Companyから入手できる。
特に対象となるポリイソシアネートは、約80重量%の2,4−異性体を含む2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物である。特に対象となる他のポリイソシアネートは、少なくとも60重量%の2,4−異性体を含む2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物である。この種類の適切な市販製品にはVORANATE(商標)T−80を含む。
典型的に使用されるポリイソシアネートの量は、65から110のイソシアネート指標を提供するのに十分である。他の実施形態において、該指標は70から110であり、さらなる実施形態では80から90である。
成分(b)は、(i)35から74重量%であり、200から500の総数平均当量を有する1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオールのイソシアネート反応性成分、(ii)24から50重量%であり、200から2,000の総数平均当量を有する1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオールのイソシアネート反応性成分、及び(iii)2から10重量%であり、2,000以上の数平均当量を有する1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテルのイソシアネート反応性成分を含むイソシアネート反応性成分である。イソシアネート反応性成分(b)はさらに(iv)10から25重量%の1つ又はそれ以上のエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド・モノールのイソシアネート反応性成分を含んでもよい。
1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオール((b)(i))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%又は70重量%を占めてもよい。1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオール((b)(i))は、全イソシアネート反応性成分(b)の40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%以下又は75重量%以下を占めてもよい。1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオール((b)(i))は、全イソシアネート反応性成分(b)の45重量%から70重量%又は約50重量%から60重量%を占めてもよい。
1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオール((b)(i))は、200から500及び好ましくは220から450の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のPO−リッチ・ポリオール((b)(i))は、2.4から4.0の官能基性を有してもよい。
ある実施形態において、イソシアネート反応性成分(b)は、多価PO−リッチ・ポリオール成分、例えば200から500の総数平均当量を有する1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))、及び800から2,000の総数平均当量を有する1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))を含む。ポリオール成分は本明細書に記載するPOから算出される重量パーセントを独立して含み得る。
ある実施形態において、低当量ポリオール((b)(i)(A))及び高当量ポリオール((b)(i)(B))の両方が存在する場合、1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、又は55重量%を占めてもよい。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、全イソシアネート反応性成分(b)の35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%以下、又は60重量%以下を占めてもよい。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、全イソシアネート反応性成分(b)の30重量%から60重量%又は約35重量%から50重量%を占めてもよい。
1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、200から340の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、2から4の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、2.5から3の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、低当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%のポリオキシプロピレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、低当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%以下又は100重量%以下のポリオキシプロピレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、若干量の第一ヒドロキシル含量を有し得る。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、低当量PO−リッチ・ポリオールの全ヒドロキシル含量の20%以上の第一ヒドロキシル含量を有し得る。1つ又はそれ以上の低当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(A))は、低当量PO−リッチ・ポリオールの全ヒドロキシル含量の30%以上の第一ヒドロキシル含量を有し得る。
1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、又は20重量%を占めてもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも10重量%、15重量%、20重量%以下、又は25重量%以下を占めてもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、全イソシアネート反応性成分(b)の5重量%から25重量%又は約10重量%から15重量%を占めてもよい。
1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、900から1,200の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、2から4の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、2.2から3の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、低当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%のポリオキシプロピレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、高当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は100重量%以下のポリオキシプロピレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、高当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の少なくとも5重量%、8重量%、10重量%、又は15重量%のポリオキシエチレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、高当量PO−リッチ・ポリオールの全質量の8重量%、10重量%、15重量%、又は20重量%以下のポリオキシエチレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、触媒活性ポリオール、例えばThe DOW CHEMICAL COMPANYから入手可能なVORANOL(商標)VORACTIV(商標)を含んでもよい。1つ又はそれ以上の高当量PO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、コポリマーポリオール、例えばアクリロニトリルがグラフトしたポリエーテルポリオール、例えばThe DOW CHEMICAL COMPANYから入手可能なVORALUX(商標)HL−431を含んでもよい。
ある実施形態において、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも24重量%、29重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は45重量%を占めてもよい。ある実施形態において、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は50重量%以下を占めてもよい。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、全イソシアネート反応性成分(b)の30重量%から45重量%を占めてもよい。
ある実施形態において、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、200から2,800の総数平均当量を有する。配合物で使用するEO−リッチ・ポリオールの最小量は、500当量未満で24重量%から1,000当量超で29重量%に及ぶ。500から1,000当量では、該量は、式:重量パーセントのEO−リッチ・ポリオール量=[0.0041×(総数平均当量)+22.6]を用いて算出してもよい。
1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、200から500の総数平均当量を有する低当量ポリオールであってもよい。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、1,000から2,800の総数平均当量を有する高当量ポリオールであってもよい。他の実施形態において、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は500より高く1,000未満の当量を有し、又はポリオールの混合物は500より高く1,000未満の平均当量を提供する。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、2.8から8の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の低当量EO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、2.8から6の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上の高当量EO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、5.5から7の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオールの全質量の少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%のポリオキシエチレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオールの全質量の75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は100重量%以下のポリオキシエチレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(ii))は、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオールの全質量の少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%のポリオキシプロピレン含量を有し得る。1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオール((b)(i)(B))は、1つ又はそれ以上のEO−リッチ・ポリオールの全質量の10重量%、15重量%、20重量%、25重量%又は30重量%以下のポリオキシプロピレン含量を有し得る。
ある実施形態において、1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも2重量%、3重量%、5重量%、又は8重量%を占めてもよい。ある実施形態において、1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも3量%、5重量%、8重量%以下、又は10重量%以下を占めてもよい。ある実施形態において、1つ又はそれ以上のブチレンオキサイド(BO)リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は、全イソシアネート反応性成分(b)の2重量%から10重量%又は約3重量%から10重量%を占めてもよい。
1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は2,000以上の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は3,000以上の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は4,000以上の総数平均当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は1から3の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は、1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテルの全質量の少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%のポリオキシブチレン含量を有してもよい。1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテル((b)(iii))は、1つ又はそれ以上のBO−リッチ・ポリエーテルの全質量の75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、又は100重量%以下のポリオキシブチレン含量を有してもよい。ある実施形態において、BOリッチ・ポリエーテルは、EOキャッピングにより第一ヒドロキシルで強化され得る。本明細書に記載の実施形態は単官能基性BO−リッチ・ポリエーテルに限定しないことも理解されるべきである。
ある実施形態において、1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも10重量%、15重量%、又は20重量%を占めてもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、全イソシアネート反応性成分(b)の少なくとも15重量%、20重量%、21重量%以下又は25重量%以下を占めてもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、全イソシアネート反応性成分(b)の10重量%から25重量%又は約15重量%から21重量%を占めてもよい。
1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は300から800の当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は400から600の当量を有してもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、1から2の官能基性を有してもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、コポリマーの全質量の30〜70%のポリオキシエチレン含量を有してもよい。1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、コポリマーの全質量の40〜60%のポリオキシエチレン含量を有してもよい。ある実施形態において、1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、ランダム・ブロック・コポリマー(RBC)及びブロックコポリマーから選択される。ある実施形態において、1つ又はそれ以上のプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノール((b)(iv))は、オキシエチレン及びオキシプロピレン基に等しい重量を含む。
ある実施形態において、反応系はさらに(c)水を含む。含水量は反応系の1重量%から5重量%であり得る。含水量は全反応系の1重量%から2重量%であり得る。
ある実施形態において、反応系はさらに(d)1つ又はそれ以上の触媒を含む。触媒は典型的には少量で使用され、例えばそれぞれの触媒は全反応系の約0.0015から約5重量%で使用される。該量は、触媒又は触媒混合物、特定装置のゲル化と発泡反応の望ましいバランス、ポリオール及びイソシアネートの反応性、並びに当業者によく知られている他の因子に依存する。
多種多様な物質がポリウレタン発泡反応を触媒することが公知であり、第三アミン;第三ホスフィン、例えばトリアルキルホスフィン及びジアルキルベンジルホスフィン;様々な金属キレート、例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトアセテート等から、金属、例えばBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co及びNiを用いて得られるもの;強酸の酸金属塩、例えば塩化鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、塩化ビスマス;強塩基、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド及びフェノキシド、様々な金属アルコラート及びフェノラート、例えばTi(OR)4、Sn(OR)4及びAl(OR)3(式中、Rはアルキル又はアリールである)、アルコラートとカルボン酸との反応生成物、ベータ−ジケトン及び2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコール;アルカリ土類金属、Bi、Pb、Sn、又はAlのカルボン酸塩;並びに四価スズ化合物、及び三価又は五価ビスマス、アンチモン又はヒ素化合物を含む。好ましい触媒は第三アミン触媒及び有機スズ触媒を含む。第三アミン触媒の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン及びジメチルアルキルアミン(該アルキル基は4から18炭素原子を含む)を含む。これら第三アミン触媒の混合物が大抵使用される。
市販のアミン触媒の例は、NIAX(商標)A1及びNIAX(商標)A99(Momentive Performance Materialsから入手できるビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを含むプロピレングリコール)、NIAX(商標)B9(N,N−ジメチルピペラジン及びN−N−ジメチルヘキサデシルアミンを含むポリアルキレン・オキサイド・ポリオール)Momentive Performance Materialsから入手可能)、DABCO(登録商標)8264(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン及びジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物を含むジプロピレングリコール、Air Products and Chemicalsから入手可能)、DABCO(登録商標)BL−11(ビス(N,Nジメチルアミノエチル)エーテルを含むジプロピレングリコールの混合物、Air Products and Chemicalsから入手可能)及びDABCO 33LV(登録商標)(トリエチレンジアミンを含むジプロピレングリコール、Air Products and Chemicalsから入手可能)、NIAX(商標)A−400(専売第四アミン/カルボン酸塩及びビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルを含む水及び専売ヒドロキシル化合物、Momentive Performance Materialsから入手可能);NIAX(商標)A−300(専売第三アミン/カルボン酸塩及びトリエチレンジアミンを含む水、Momentive Performance Materialsから入手可能);POLYCAT(登録商標)58(Air Products and Chemicalsから入手できる専売アミン触媒)、POLYCAT(登録商標)5(ペンタメチルジエチレントリアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)及びPOLYCAT(登録商標)8(N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、Air Products and Chemicalsから入手可能)を含む。
有機スズ触媒の例は、塩化第二スズ、塩化第一スズ、オクタン酸スズ、オレイン酸スズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、式SnRn(OR)4−nの他の有機スズ化合物(式中、Rはアルキル又はアリールであり、nは0〜2である)等である。有機スズ触媒は、使用する場合、一般に1つ又はそれ以上の第三アミン触媒と併用される。対象となる市販の有機スズ触媒は、KOSMOS(登録商標)29(Evonik AGのオクタン酸スズ)、DABCO(登録商標)T−9及びT−95触媒(両オクタン酸スズ組成物はAir Products and Chemicalsから入手可能)を含む。
ある実施形態において、反応系は、膨張し硬化する際に発泡体の安定化を助けるためにさらに(e)1つ又はそれ以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は典型的には少量で使用され、例えば、各触媒は全反応系の約0.0015から約5重量%で使用される。ある実施形態において、界面活性剤は全反応系の約0.1重量%から約1重量%で存在し得る。該量は、界面活性剤又は界面活性剤の混合物、並びに当業者によく知られている他の因子に依存する。
界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤及び湿潤剤、例えばプロピレングリコールへのプロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイドの逐次付加により調製されるもの、固体又は液体のオルガノシリコン、及び長鎖アルコールのポリエチレン・グリコール・エーテルを含む。イオン性界面活性剤、例えば第三アミン、又は長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル及びアルキルアリールスルホン酸のアルカノールアミン塩も使用してよい。プロピレングリコールへのプロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイドの逐次付加により調製される界面活性剤が好ましく、固体又は液体のオルガノシリコンも同様である。有用なオルガノシリコン界面活性剤の例には市販のポリシロキサン/ポリエーテル・コポリマー、例えばTEGOSTAB(登録商標)(Evonik AGの商品名)B−8462、B−8404及びB−−8871、並びにDow CorningのDC−198及びDC−5043界面活性剤、並びにMomentive Performance MaterialsのNIAX(商標)L−618及びNIAX(商標)L−627界面活性剤が含まれる。
さらなる実施形態において、処理を改善し、より高いイソシアネート指標の使用を可能にするため、添加剤、例えば国際公開第20008/021034号に記載の添加剤(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)が反応混合物に添加されてもよい。このような添加剤には、1)カルボン酸のアルカリ金属又は遷移金属の塩;2)1,3,5−トリスアルキル−又は1,3,5−トリス(N,N−ジアルキルアミノアルキル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン化合物;及び3)第4級アンモニウム化合物のカルボン酸塩が含まれる。使用時には、該添加剤は一般に全100ポリオール当たり約0.01から1部の量で使用される。成分e)添加剤は一般に反応混合物の少なくとも1つの他成分に溶解する。ポリイソシアネートに溶解させることは一般に好ましくない。
様々な追加成分が粘弾性発泡配合物に含まれ得る。これらには、例えば鎖延長剤、架橋剤、充填剤、可塑剤、煙抑制剤、香料、強化剤、染料、着色料、色素、保存剤、臭気遮蔽剤、物理的発泡剤、化学的発泡剤、難燃剤、内部離型剤、殺生物剤、抗酸化剤、UV安定剤、帯電防止剤、チキソトロープ剤、付着促進剤、セル開放剤、及びこれらの組み合わせが含まれる。
発泡性組成物は鎖延長剤又は架橋剤を含んでもよい。これらの物質が使用される場合、典型的には少量で、例えば全反応系の100重量部当たり10重量部まで、特に2重量部までで使用される。鎖延長剤は2イソシアネート反応基/分子を有する物質であり、一方、架橋剤は平均で2を上回るイソシアネート反応基/分子を含む。いずれの場合にも、イソシアネート反応基当たりの当量は約30から100未満に及び、一般に30から75である。イソシアネート反応基は好ましくは脂肪族アルコール、第一アミン又は第二アミン基であり、脂肪族アルコール基が特に好ましい。鎖延長剤又は架橋剤の例には、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等;グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールが含まれる。
1つ又はそれ以上の充填剤も粘弾性発泡配合物に存在し得る。充填剤は有益な方法で組成物のレオロジー特性の改変に役立ち、コストを削減し、有益な物理的特性を発泡体に与える。適切な充填剤には、ポリウレタン発泡反応中に受ける温度に安定であり溶融しない微粒子の無機及び有機物質が含まれる。適切な充填剤の例は、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、雲母、珪灰石、タルク、高融点熱可塑性プラスチック、ガラス、フライアッシュ、カーボンブラック二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン等を含む。充填剤は発泡性ポリウレタン組成物にチキソトロピー特性を与える。ヒュームドシリカはこのような充填剤の一例である。
使用時に、充填剤は有利には反応系の約0.5から約30%、特に約0.5から約10%を占める。
反応性粒子も粘弾性発泡体の特性を改変するために反応系に含まれてもよい。このような反応系は、例えば、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes,Rapra Technology Limited(2005)pp 185-227に教示されるように、コポリマーポリオール、例えばスチレン/アクリロニトリル(SAN)を含むもの、ポリハーンストッフ(polyharnstoff)分散(PHD)ポリオール及びポリイソシアネート重付加生成物(PIPA)を含む。
追加の発泡剤(水以外)は一般に発泡性ポリウレタン組成物で使用されないが、追加の物理的又は化学的発泡剤を含めることは本明細書に記載する実施形態の範囲内である。物理的発泡剤の中には、液体CO2、超臨界CO2及び様々な炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、クロロカーボン(例えば塩化メチレン)、クロロフルオロカーボン及びヒドロクロロフルオロカーボンがある。化学的発泡剤は、高温で分解又は(イソシアナート基以外と)反応して二酸化炭素及び/又は窒素を生成する物質である。
VE発泡体はいわゆるスラブストック法で、又は様々な成形法により調製できる。スラブストック法において、成分は混合され、配合物が反応する槽又は他の領域に流し込まれ、少なくとも1つの方向に自由に膨張し、硬化する。スラブストック法は一般に連続的に商業規模で操業される。
スラブストック法では、様々な成分が個別に又は様々な部分的組み合わせで混合ヘッドに導入され、そこで混合され、分配される。成分温度は一般に混合前で15から35℃の範囲である。分配混合物は典型的には加熱されずに膨張し硬化する。スラブストック法において、反応混合物は自由に又は(カバーシート又はフィルムの重量により加えられ得るような)最低限の拘束下で膨張する。
反応混合物を密閉金型(ここで該混合物が膨張し硬化する)に導入することにより、成形法で粘弾性発泡体を製造することも可能である。多くの場合、金型自体は周囲条件を上回る温度に予熱される。このような金型の予熱はサイクル時間の短縮につながり得る。
本明細書に記載の実施形態に従って製造される粘弾性発泡体は、様々な包装及びクッション材用途、例えば、マットレス(マットレストッパーを含む)、枕、包装、バンパーパッド、スポーツ及び医療機器、ヘルメットライナー、パイロットシート、耳栓、並びに様々な騒音及び振動減衰用途に有用である。騒音及び振動減衰用途は、運送業、例えば自動車用途に特に重要である。
下記の実施例は本発明の実施形態を説明するために提供されるが、その範囲を限定することを意図しない。他に指定しない限り、全ての部数及び百分率は重量による。
実施例で使用する原料の説明は下記の通りである。
ポリオールAは、グリセリン開始の三官能性プロピレンオキサイド(PO)系ポリオールであり、336の当量及び167のヒドロキシル価を有し、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)3150の商品名で市販されている。
ポリオールBは、グリセリン開始の三官能性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン混合供給ポリオール(8重量%EO)であり、約994の当量及び56のヒドロキシル価を有し、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)3010ポリオールの商品名で入手できる。
ポリオールCは、スクロース/グリセリンで開始する6.9官能性のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダムコポリマーであり、70%を上回るエチレンオキサイドを含み、約1800の当量及び31のヒドロキシル価を有し、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)4053ポリオールの商品名で市販されている。
ポリオールDは、グリセリン開始の三官能性236当量全プロピレンオキサイド・ポリエーテル・ポリオールであり、238のヒドロキシル価を有し、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(登録商標)2070ポリオールの商品名で市販されている。
ポリオールEは、グリセリン開始の三官能性EO系ポリオールであり、338の当量を有する。
ポリオールFは、ポリプロピレンオキサイド−共−エチレンオキサイド・モノールであり、約520の当量を有し、The Dow Chemical CompanyからUCON(商標)50−HB−100の商品名で市販されている。
モノールAはブタノール開始の単官能性ブチレンオキサイド(BO)系モノールであり、4,400の当量を有する。
モノールBはブタノール開始の単官能性BO系モノールであり、11%エチレンオキサイド・キャッピング及び4,400の当量を有する。
界面活性剤Aは粘弾性MDI発泡体用に使用されるシリコーン界面活性剤であり、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンから成り、Momentive Performance MaterialsからNIAX(商標)L−618界面活性剤として市販されている。
触媒Aは、ビス(N,Nジメチルアミノエチル)エーテルを含むジプロピレングリコールの70/30混合物であり、Air Products and Chemicals,Incから入手できるDABCO(登録商標)BL−11触媒として市販されている。
触媒Bはトリエチレンジアミンを含むジプロピレングリコールの33/67混合物であり、Air Products and ChemicalsからDABCO 33LV(登録商標)として市販されている。
触媒Cはオクタン酸第一スズ触媒であり、Air Products and ChemicalsからDABCO(商標)T−9として市販されている。
イソシアネートAは2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物であり、VORANATE(商標)T−80としてTHE DOW CHEMICAL COMPANYから市販されている。
イソシアネートBは約2.3の官能基性をもつ高分子MDIであり、PAPI(商標)94としてTHE DOW CHEMICAL COMPANYから市販されている。
イソシアネートCは約2.2の官能基性をもつ高分子MDIであり、PAPI(商標)PB−219としてTHE DOW CHEMICAL COMPANYから市販されている。
試験方法
他に明記しない限り、発泡体の特性はASTM D3574により測定する。
本研究の試料は、透明プラスチック・フィルム・ライニングで裏打ちされた38cm×38cm×24cmの木箱を用いるボックス発泡により製造した。高剪断16ピン(4ピンがそれぞれ4半径方向にある)ミキサーを高回転速度で使用した。ピンミキサー頭部は、ピンの末端が1ガロン円筒形混合カップの壁と1cm離れるように設計された。ポリオール成分は1ガロン円筒形混合カップで直接検量した。他の添加剤は、風袋の重さを量ったシリンジで検量し、スズ触媒を除いて1ガロンカップに添加した。イソシアネート成分を計量し、さらに攪拌することなくトリポア(tripour)に移した。配合物の成分は、スズ触媒及びイソシアネートを除いて、まず15秒間2,400rpmで混合した。次いで、オクタン酸第一スズ触媒を添加し、即座にもう15秒間(2,400rpm)混合した。最後に、イソシアネートを混合物に添加し、即座にもう3秒間混合した(3,000rpm)。全混合物はプラスチックフィルムで裏打ちされた箱に注いだ。発泡(blow off)時間は最終混合段階(イソシアネートの添加段階)が開始する時点から測定した。発泡が完了した時点で、発泡体はさらに1週間硬化させた。発泡試料壁を廃棄し、残りの試料は機械的及び化学的分析で特性決定した。ポリウレタン発泡体の製造に使用した配合物は、表1、表3、及び表4で提供する。
発泡試料はASTM D 3574に従って特性決定した。製造した発泡体の機械的特性は表2、表3、及び表4で提供する。
表1は、2系列の試料である系列A(A00,A05,A10)及び系列B(A00,A05,A10)について調査した配合物を記載し、表2は該配合物で観察された機械的特性を示す。表2で示す結果は、十分量のブチレンオキサイドの使用が製造された発泡体の圧縮永久歪みを改善することを立証する。比較実施例はA00及びB00と表示し、両方ともブチレンオキサイド系モノール(モノールA又はモノールB)を含まない。A05も比較実施例である。本明細書に記載する実施形態の配合物は、A10、B05、及びB10と表示する。系列Aの配合物はポリオール定数の相対比率を保持しないため、もう1つの系列である系列Bを試験した。系列Bについて表1に示すように、ポリオールA及びポリオールBは約45から9の質量比で存在し、ポリオールCは全ポリオール100当たり約36部で固定される。表2において、A10、B05、及びB10の90%の圧縮永久歪み特性について改善が観察される。
表3は実施例#1−12の配合物及び90%圧縮永久歪み結果を示す。ブチレンオキサイド系モノール(モノールA又はモノールB)を含まない比較実施例は、#1、#8、及び#10と表示する。表3はポリオールC(高EW「セル開放剤」ポリオール)をEO−リッチ・ポリオールとして使用する配合物を示す。表4は実施例#13〜20の配合物及び90%圧縮永久歪み結果を示す。ブチレンオキサイドモノールを含まない比較実施例は、#13、#14、及び#16と表示する。表4はポリオールE(低当量全EOトリオール)を使用する配合物を示す。
表3の結果は、妥当な90%圧縮永久歪み(15%以下)が高当量EO−リッチ・ポリオール(EW=1795)では全ポリオールの100ポリオール当たり29部(pphp)から50pphpの量で、BO−リッチ・ポリエーテル・モノールでは、2pphp以上で得られることを立証する。EO−リッチ・ポリオールが約32pphpから約40pphpで存在しBO−リッチ・モノールが2pphp以上で存在する範囲がより好ましい。
表4の結果は、妥当な90%圧縮永久歪みが低当量EO−リッチ・ポリオール(EW=338)では20pphp以上の量で、BO−リッチ・ポリエーテル・モノールでは0.5pphp以上で得られることを立証する。EO−リッチ・ポリオールが28pphp以上の量で存在しBO−リッチ・モノールが2pphp以上で存在する範囲がより好ましい。
上記は本発明の実施形態を対象にしているが、本発明の他のさらなる実施形態が本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよい。