JP2013538742A - 車両のためのパワーアシストブレーキシステム、およびパワーアシストブレーキシステムを制御する方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、車両のためのパワーアシストブレーキシステム（１）及びその方法に関する。
本パワーアシストブレーキシステム（１）は、車両のホイール（４）を制動するためのホイールブレーキシリンダ（７）と油圧接続されたチャンバ（３）を備えるマスタブレーキシリンダ（２）と、前記マスタブレーキシリンダ（２）のピストン（１２）を操作し、それによって前記チャンバ（３）の中の油圧液を圧力のもとにおく油圧式の操作装置（１１）と、油圧液を圧力のもとで蓄え、前記マスタブレーキシリンダ（２）の前記ピストン（１２）を操作するために前記操作装置（１１）へ供給する低圧リザーバ（２３）と、油圧液をタンク（２７）から前記低圧リザーバ（２３）へ供給するポンプ（２６）と、前記ポンプ（２６）を駆動する駆動装置（４１）とを有する。
【選択図】図１

Description

本発明は、車両のためのブレーキシステムに関する。

基本的に車両のためのブレーキシステムでは、いわゆる動力ブレーキシステムとパワーアシストブレーキシステムとが区別される。

動力ブレーキシステムでは、ホイールブレーキシリンダと油圧接続されたマスタブレーキシリンダは、運転者の踏力がこれに直接的に伝達されることなく、ホイールブレーキシリンダを油圧液で付勢するように操作される。このような動力ブレーキシステムは、たとえば特許文献１に記載されている。

これとは異なりパワーアシストブレーキシステムでは、ホイールブレーキシリンダを油圧液で付勢するために、運転者の踏力に加えて、マスタブレーキシリンダに作用するブレーキブースタが利用される。このようなパワーアシストブレーキシステムは、たとえば特許文献２に記載されている。

ドイツ特許出願公開第１０２００４０２５６３８Ａ１号明細書 ドイツ特許出願公開第１０３１８８５０Ａ１号明細書

次のものを有する、車両のためのパワーアシストブレーキシステムが知られている：自動車のホイールを制動するためのホイールブレーキシリンダと油圧接続されたチャンバを備えるマスタブレーキシリンダ；マスタブレーキシリンダのピストンを操作し、それによってチャンバの中の油圧液を押圧する油圧式の操作装置；油圧液を圧力のもとで蓄え、マスタブレーキシリンダのピストンを操作するために操作装置へ供給する圧力リザーバ；油圧液をタンクから低圧リザーバへ供給するポンプ；ポンプを駆動する駆動装置。

請求項１に定義されているパワーアシストブレーキシステム、ならびに請求項９に定義されている方法は、従来の解決法と比べたとき、油圧液を圧力のもとで蓄え、マスタブレーキシリンダのピストンを操作するために操作装置へ供給する低圧リザーバが設けられているという利点を提供する。このような低圧リザーバは比較的低コストであり、わずかなスペースしか必要としない。低圧リザーバは、ポンプおよびこれを駆動する駆動装置を、特に、駆動装置の慣性がまだ克服されないために第１のポンプがまだ油圧液を送出することができない時点でサポートする。

「低圧リザーバ」とは、本件では、車両を完全に減速させるために操作装置で必要となるよりも明らかに小さい最大圧力を蓄えるとともに、操作装置を完全に充填するのに必要であるよりも明らかに小さい最大油圧容積を含む圧力リザーバを意味している。

各従属請求項に記載されている構成要件は、本発明の対象物の好ましい発展例と改良に関わるものである。

本発明の実施例が図面のただ１つの図に示されており、以下の記述において詳しく説明する。

本発明の実施例に基づくブレーキシステムを模式的に示す図である。

図面では、別段の断りがない限り、同じ符号は同じ部材または機能が同じ部材を表している。

図面は、本発明の実施例に基づくパワーアシストブレーキシステム１を模式的に示している。

ブレーキシステム１は、詳しくは図示しない自動車で採用されるのが好ましい。

ブレーキシステム１は、自動車のホイール４を制動するための２つのホイールブレーキシリンダ７と配管５によってそれぞれ油圧接続された２つのチャンバ３を備えるマスタブレーキシリンダ２を有している。マスタブレーキシリンダ２は、タンデムマスタシリンダ（ＴＭＣ）であるのが好ましい。各々の配管５は、インレットバルブ６によってホイールブレーキシリンダ７と接続されている。インレットバルブ６は、図面に示すように無通電のときに開く２／２方向弁として構成されていてよい。さらに、逆止め弁１８がインレットバルブ６と並列に設けられている。各々の配管５は、２つのホイールブレーキシリンダ７に油圧液を供給するために、分岐して構成されていてよい。さらにホイールブレーキシリンダ７（以下の説明ではより良い理解のために図面の左に示すブレーキ回路だけを対象とする）は、アウトレットバルブ８、低圧リザーバ９、ポンプ１０、および配管１９によってチャンバ３と接続されている。アウトレットバルブ８は、図面に示すように無通電のときに閉じる２／２方向弁として構成されていてよい。ポンプ１０は、ブレーキシステム１がアンチブロックモードにあるときに、油圧液をチャンバ３へ送出する。

さらにブレーキシステム１は、マスタブレーキシリンダ２のピストン１２を操作し、それによってチャンバ３の中の油圧液を押圧する油圧式の操作装置１１を有している。油圧式の操作装置１１は、本例では、自動車の運転者からブレーキペダル１３によってピストン１２へ印加される踏力を増幅するブレーキブースタとして施工されている。したがってこれはパワーアシストブレーキシステムである。

操作装置１１はシリンダ１４を有しており、その中でピストン１５が案内されている。シリンダ１４とピストン１５の間で形成されるチャンバ１６が、油圧液１７によって付勢され（図１参照）、それによりピストン１５は長手方向に変位して、マスタブレーキシリンダ２のピストン１２に作用する。ペダルロッド２１が、ペダル１３をピストン１５と連結している。このように運転者は、操作装置１１に関わりなく、マスタブレーキシリンダ２のピストン１２に力を印加することができ、それによってホイールブレーキシリンダ７が操作される。このような力は、特に、操作装置１１が故障した場合を考えたときに好ましい。

たとえばペダルロッド２１とピストン１５の間に配置されるペダルセンサ２２が、運転手により印加されるペダル力およびこれに伴う運転者の制動の希望を検知する。センサ２２ならびにその基礎となる測定原理は、たとえばドイツ特許出願公開第１０２００８０４１３４９Ａ１号明細書に記載されているように設けられていてよい。

さらにブレーキシステム１は、油圧液を圧力のもとで蓄え、マスタブレーキシリンダ２のピストン１２を操作するために操作装置１１へ供給する低圧リザーバ２３を有している。

低圧リザーバ２３は、たとえばピストン型リザーバとして構成される。しかしながら、これ以外の種類の低圧リザーバを使用することも考えられる。低圧リザーバ２３は、車両の完全な減速のために操作装置１１（すなわちそのチャンバ１６）で必要とされる圧力よりも５から３０％小さい圧力を提供するために構成されており、また、操作装置１１（すなわちそのチャンバ１６）を完全に充填するのに必要な容積よりも５から３０％小さい容積を含んでいる。低圧リザーバ２３は、配管２４によって、操作装置１１のチャンバ１６と油圧接続されている。圧力センサ２５が配管２４の中の圧力を測定し、それに伴ってチャンバ１６の中の圧力を測定する。

さらにブレーキシステム１は、油圧液をタンク２７から低圧リザーバ２３に供給するポンプ２６を含んでいる。ポンプ２６は同じく複数の、たとえば４つの、オフセットされて配置された個別ポンプ３２が組み合わされて構成されていてよい。このことは、ポンプ２６で生成される圧力推移を滑らかにするという目的がある。ポンプ２６は、吸込側では配管３３によってタンク２７と油圧接続されており、吐出側では配管３４によって低圧リザーバ２３と油圧接続されている。配管３４は第１の制御バルブ３５によって配管２４と接続されており、すなわち、第１の制御バルブ３５は低圧リザーバ２３およびポンプ２６の吐出側を、操作装置１１のチャンバ１６と接続している。第１の制御バルブ３５は、たとえば図面に示すように無通電のときに閉じる２／２方向弁として施工されていてよい。さらに配管３６と第２の制御バルブ３７が、配管２４を配管３３と接続しており、すなわち第２の制御バルブ３７は、操作装置１１のチャンバ１６をタンク２７と接続している。第２の制御バルブ３７は、たとえば図面に示すように無通電のときに開く２／２方向弁として施工されていてよい。

ポンプ２６は、電動モータ４１の形態の駆動装置によって駆動される。電動モータ４１は、ホイールブレーキシリンダ７が操作されるべきときに、操作装置１１のチャンバ１６を油圧液で付勢するために、ブレーキインターバルの間にポンプ２６を駆動する。この場合、第１の制御バルブ３５は開いており、第２の制御バルブ３７は閉じている。そして油圧液はポンプ２６から制御バルブ３５を通ってチャンバ１６へ流れ込み、それにより、ホイールブレーキシリンダ７が最終的に操作される。さらに、ブレーキシステム１の制御装置（電子コントロールユニット、略して「ＥＣＵ」）４２は、ポンプ２６の作動時に生じる圧力変動が滑らかになるように、第２の制御バルブ３７を制御するようにセットアップされていてよい。このことは、第２の制御バルブ３７が一時的に開放され、それによって圧力ピークがタンク２７へ放出されることによって行われる。

上に説明したブレーキインターバルの最後で、電動モータ４１はそれ以上の電流を供給されなくなる。電動モータ４１はその慣性に基づいて惰行をする。この惰行は、第１のポンプ２６を駆動し、それによって低圧リザーバ２３を充填するために利用される。そのために第１の制御バルブ３５は、惰行の開始時に閉じられる。このことはエネルギー効率的である。さらに、このようにして低圧リザーバ２３を充填するための追加のポンプが不要になる。

さらにポンプ２６は、ブレーキシステム機能テストインターバルの間に低圧リザーバ２３を充填する。「機能テストインターバル」とは、本件では、機能の有用性についてテストがなされるブレーキシステムの状態を意味している。相応の機能テストは、典型的には、内燃機関が始動する前および／または後に自動車で実行される。電動モータ４１およびこれに伴ってポンプ２６を操作することも、このような機能テストの構成要素である。その際に送出される油圧液は、低圧リザーバ２３に蓄えられる。そのために第１の制御バルブ３５が閉じられる。

最大の制動モーメントを生成するために、制御装置４２は第１の制御バルブ３５とポンプ２６を制御して、ポンプ２６が圧力生成段階の最後でチャンバ１６に発生する圧力の大半の部分を、すなわち５０％超を、好ましくは７０％超を、油圧液で生成するようにする。これよりも少ない圧力の割合、すなわち５０％未満ないし３０％未満が、低圧リザーバ２３によって生成される。たとえば低圧リザーバ２３は圧力生成段階の最後で１０バールの圧力をまだ生成し、それに対してポンプ２６は６０バールの圧力を生成する。しかし圧力生成段階の最初では、低圧リザーバ２３はたとえば２０バールの圧力を生成し、それに対してポンプ２６はまだ事実上圧力を生成しない。特に、ポンプ２６が電動モータ４１の慣性に基づいてまだ意味のある圧力を生成しない圧力生成段階の初期には、低圧リザーバ２３が運転者をサポートし、それは、第１の制御弁３５が開き、それにより油圧液が低圧リザーバ２３からチャンバ１６へ供給されることによって行われる。

次に、より良い理解のためにブレーキサイクルについて短く説明する。

運転者がブレーキペダル１３を足で踏むと、それによって運転者はペダルセンサ２２を直接撓ませる。この信号に基づいて第１の制御バルブ３５が通電され、すなわち開放され、第２の制御バルブ３７が通電され、すなわち閉止される。電動モータ４１も、すでに事前に通電されていない場合には、同じく通電される。こうして操作装置１１のチャンバ１６で発生する油圧液は、運転者の踏力とともにマスタブレーキシリンダ２を操作し、それにより、配管５およびこれに伴ってホイールブレーキシリンダ７で制動圧力が生成される。

運転者がさらに踏込まなければ、ペダルセンサ２２によって検知されるその制動の希望は一定のままに保たれる。それに応じてポンプ２６への通電は低減され、すなわちポンプ出力が低減され、それ以上の圧力上昇は行われなくなる。このとき第２の制御バルブ３７は、圧力センサ２５で測定される発生している圧力に依存して圧力調節機能へと移行し、すなわち第２の制御バルブ３７の通電は、操作装置１１のチャンバ１６の中の圧力がほぼ同じに保たれる程度まで低減される。運転者がブレーキペダル１３をさらに踏込むと、チャンバ１６の中で発生している圧力を第１のポンプ２６がいっそう上昇させることができるようになるまで、第２の制御バルブ３７がより強力に通電される。上に説明したポンプ２６の圧力変動に基づく一時的な圧力超過は、第２の制御バルブ３７をさらに開くことによって対処され、このことは、制御装置４２による当該制御バルブの相応の制御によって行われ、それによって圧力ピークが大幅に弱められ、運転者に感知されることがなくなる。さらに圧力ピークは、これを弾性的に受け止める低圧リザーバ２３によって緩和される。

運転者が足をブレーキペダル１３から離すと、そのことがペダルセンサ２２で認識され、第２の制御バルブ３７およびポンプ２６への通電が低減される。第１の制御バルブ３５が閉じられる。低圧リザーバ２３の中に残っている残存圧力は、次回の制動のために利用される。チャンバ１６の中の圧力低下によって操作装置１１のばね４３が変位し、配管５の中の圧力がピストン１２，１５およびこれに伴ってブレーキペダル１３も初期位置へと戻す。

以上、実施例を参照しながら本発明について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、多種多様な仕方で改変することが可能である。本発明によるパワーアシストブレーキシステムについて説明した発展例や実施例は、本発明の方法についても相応に当てはまる。さらに付言しておくと、「ｅｉｎ」という冠詞は本件では複数を排除するものではない。

１ パワーアシストブレーキシステム
２ マスタブレーキシリンダ
３ チャンバ
４ ホイール
７ ホイールブレーキシリンダ
１１ 操作装置
１２ ピストン
２３ 低圧リザーバ
２６ ポンプ
２７ タンク
４１ 駆動装置、電動モータ
３５ 制御バルブ
３７ 制御バルブ
４２ 制御装置

Claims (10)

1. 車両のためのパワーアシストブレーキシステム（１）において、
   車両のホイール（４）を制動するためのホイールブレーキシリンダ（７）と油圧接続されたチャンバ（３）を備えるマスタブレーキシリンダ（２）と、
   前記マスタブレーキシリンダ（２）のピストン（１２）を操作し、それによって前記チャンバ（３）の中の油圧液を圧力のもとにおく油圧式の操作装置（１１）と、
   油圧液を圧力のもとで蓄え、前記マスタブレーキシリンダ（２）の前記ピストン（１２）を操作するために前記操作装置（１１）へ供給する低圧リザーバ（２３）と、
   油圧液をタンク（２７）から前記低圧リザーバ（２３）へ供給するポンプ（２６）と、
   前記ポンプ（２６）を駆動する駆動装置（４１）とを有しているパワーアシストブレーキシステム。
2. 前記低圧リザーバ（２３）は車両を完全に減速させるために前記操作装置（１１）で必要となる圧力よりも５から３０％低い圧力を蓄えるとともに、前記操作装置（１１）を完全に充填するために必要な容積よりも５から３０％小さい最大の油圧容積を含んでいる、請求項１に記載のブレーキシステム。
3. 電動モータ（４１）として構成された前記駆動装置は制動インターバルの間に前記操作装置（１１）を油圧液で付勢するためにポンプ（２６）を駆動し、前記ポンプ（２６）は前記制動インターバルに引き続く前記電動モータ（４１）の惰行中に前記低圧リザーバ（２３）を充填する、請求項１または２に記載のブレーキシステム。
4. 前記ポンプ（２６）はブレーキシステム機能テストインターバルの間に前記低圧リザーバ（２３）を充填する、先行請求項のうちいずれか１項に記載のブレーキシステム。
5. 最大の制動モーメントを生成するために第１および／または第２の制御バルブ（３５，３７）および／または前記ポンプ（２６）の前記駆動装置（４１）を制御して、前記ポンプ（２６）が圧力生成段階の最後に前記操作装置（１１）で発生している圧力の大半の部分を油圧液で生成するようにする制御装置（４２）が設けられている、先行請求項のうちいずれか１項に記載のブレーキシステム。
6. 前記ポンプ（２６）はその吐出側で前記第１の制御バルブ（３５）および前記低圧リザーバ（２３）と油圧接続されており、前記第１の制御バルブ（３５）はさらに前記操作装置（１１）と油圧接続されている、先行請求項のうちいずれか１項に記載のブレーキシステム。
7. 前記タンク（２７）は前記第２の制御バルブ（３７）によって前記操作装置（１１）と油圧接続されており、制動モーメントを生成するために前記第１の制御バルブ（３５）を開き、それによって前記操作装置（１１）に油圧液を供給し、それと同時に圧力ピークを補償するために前記第２の制御バルブ（３７）を制御する制御装置（４２）が設けられている、請求項６に記載のブレーキシステム。
8. 油圧式の前記操作装置（１１）は運転者から前記マスタブレーキシリンダ（２）のピストン（１２）へ機械的に印加される力を増強するブレーキブースタとして構成されている、先行請求項のうちいずれか１項に記載のブレーキシステム。
9. 車両のためのパワーアシストブレーキシステム（１）を制御する方法において、
   ポンプ（２６）によって低圧リザーバ（２３）に油圧液を供給し、
   油圧液を前記低圧リザーバ（２３）から操作装置（１１）へ供給し、
   前記操作装置（１１）によってマスタブレーキシリンダ（２）のピストン（１２）を操作し、それによって油圧液を前記マスタブレーキシリンダ（２）のチャンバ（３）から車両のホイール（４）を制動するためのホイールブレーキシリンダ（７）に供給するステップを有する方法。
10. 前記ポンプ（２６）は前記操作装置（１１）を油圧液で付勢するために制動インターバルの間に電動モータ（４１）として構成された駆動装置により駆動され、前記低圧リザーバ（２３）は制動インターバルに引き続いて前記電動モータ（４１）の惰行中にポンプ（２６）によって充填される、請求項９に記載の方法。

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